JP2002371146A - 表面改質ゴムの製造方法およびシール材 - Google Patents

表面改質ゴムの製造方法およびシール材

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JP2002371146A
JP2002371146A JP2001182330A JP2001182330A JP2002371146A JP 2002371146 A JP2002371146 A JP 2002371146A JP 2001182330 A JP2001182330 A JP 2001182330A JP 2001182330 A JP2001182330 A JP 2001182330A JP 2002371146 A JP2002371146 A JP 2002371146A
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hydroperoxide
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Masanori Okazaki
崎 雅 則 岡
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 メタクリレート基含有不飽和オルガノシ
ロキサンと、ハイドロパーオキサイドと、高級カルボン
酸金属塩および/または有機系共架橋剤と、溶剤とを含
む処理液と、ゴム基材とを接触させた後、得られた接触
処理ゴム基材を、常温〜100℃の温度で保持すること
により、該モノマーを重合させ、ゴム基材表面とその近
傍を改質する。上記処理液とゴム基材とを接触(好まし
くは処理液に基材を浸漬)させて、含浸させた状態でメ
タクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンを重合さ
せることが好ましい。該表面改質ゴムはシール材として
好ましい。 【効果】 ゴム材が本来有する強度、圧縮永久歪、シー
ル性、変形追随性等の特性を保持しつつ、非粘着性など
に優れた表面改質ゴム基材が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、表面改質ゴムの製造方
法、得られた表面改質ゴム並びにその用途に関し、さら
に詳しくはゴム材料が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾
性、機械的強度、変形追従性を保持しつつ、非粘着性な
どに優れたゴムが得られるような表面改質ゴムの製造方
法、表面改質ゴム並びにその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ゴム成形体は、一般的に、摩擦係
数が高く粘着性が大きいために、ゴム材料本来の特性が
生かされず、その使用範囲が制限される場合がある。例
えば、フッ素ゴムは、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性
に優れており、これら特長を生かして半導体製造装置用
のシール材として使用されているが、相手材への固着が
起こりやすく、半導体製造装置の開閉部シール材として
用いるには、該開閉部の開閉作業性の点で必ずしも充分
でないという問題点がある。
【0003】このような問題点を解決すべく、ゴム材料
が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形
追従性を保持しつつ、ゴム基材表面に低摩擦性、非粘着
性、耐摩耗性、耐プラズマ性を有するゴム材料を得るた
めに、本願出願人は、先に、 :特開平11−172027号公報にて、重合性二重
結合含有モノマーと重合開始剤と溶剤とを含有する処理
液と、ゴム基材とを接触させた後、得られた接触処理ゴ
ム基材を加熱することにより、該モノマーを重合させ、
ゴム基材表面とその近傍を改質することを特徴とする表
面改質ゴムの製造方法を提案しており、該公報に記載の
方法によれば、非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラ
ズマ性等に優れた表面改質ゴムが製造できる。
【0004】また本願出願人は、:特開平11−19
9691号公報において、重合可能な官能基を2個以上
含有する官能基含有モノマーおよび溶剤を含有する処理
液を、ゴム基材と接触させて、少なくとも官能基含有モ
ノマーをゴム基材表面およびゴム基材内部に存在させた
後、得られた接触処理ゴム基材を加熱することにより、
該モノマーをその官能基間の反応により重合させ、ゴム
基材表面とその近傍の改質を行う、ゴムの表面改質法を
も提案しており、該公報に記載の方法によれば、非粘着
性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性等に優れた表面
改質ゴムが製造できる。
【0005】しかしながら、これらの公報〜に記載
のゴムの表面改質法では、加熱して該モノマー同士を重
合させ、あるいは該モノマーとゴム基材とを反応させる
ことにより、ゴム基材の表面とその表面近傍(内部)の
改質を行っている。また、これら公報〜に記載の方
法では、重合開始剤として、パーオキサイドを用いる場
合には、これらモノマー同士、あるいはゴム基材と該モ
ノマーとの反応には、実質上、加熱処理容器中に存在す
る酸素分子の個数を1ml(1cm 3)中に1.0×1
19個以下に低減して行う必要があり、このような低酸
素条件下でモノマー同士の重合反応などを実施しない場
合には、上記反応が安定的には進行しないことがあり、
ゴム基材表面が粘着性を帯びることがあるなど、目的と
するような優れた特性のものが得られないことがある。
【0006】しかも、このような低酸素雰囲気下での反
応は、炭酸ガス中や不活性ガス気流中やこれらのガスで
置換された条件下で行うか、真空ポンプ等で大気圧以下
に減圧した条件下で反応を行うか、あるいは液体中で行
うなど、酸素濃度を大気中よりも低くした条件下に設定
する必要がある。このような低酸素条件下で上記反応を
行うためには、特別な反応設備が必要であり、工業的に
実施するには必ずしも有利であるとは言い難い。
【0007】また、上記公報〜に記載の方法でゴム
基材の表面処理を行う場合、加熱処理を、100℃以下
の温度で行うと、パーオキサイド等の重合開始剤の分解
・誘起が不充分となり、該モノマー同士、該モノマーと
ゴム基材とが短時間には充分に反応せず、目的とする特
性のゴム基材を得るには、加熱処理に長時間を要すると
いう問題点がある。
【0008】そこで、本願発明者らは、上記問題点を解
決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を含有する
処理液を用いれば、該処理液と、ゴム基材とを接触させ
た後、得られた接触処理ゴム基材を、常圧下で、しかも
常温〜100℃という低い温度で保持することにより、
該モノマーを重合させ、ゴム基材表面とその近傍を改質
することができ、非粘着性等に優れた表面改質ゴムが簡
単な設備で工業的に有利に得られるなど、上記問題点を
一挙に解決し得ること等を見出して本発明を完成するに
至った。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、ゴム材料が本
来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従
性を保持しつつ、非粘着性などに優れたゴムが得られる
ような表面改質ゴムの製造方法、表面改質ゴム並びにそ
の用途を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係る表面改質ゴムの製造方法
は、(a)メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキ
サンと、重合開始剤としてのハイドロパーオキサイド
と、高級カルボン酸金属塩および/または有機系共架橋
剤と、溶剤とを含む処理液と、(b)ゴム基材と、を接
触させた後、得られた接触処理ゴム基材を、常温〜10
0℃の温度で保持することにより、該モノマーを重合さ
せ、ゴム基材表面とその近傍を改質することを特徴とし
ている。
【0011】本発明においては、上記処理液(a)とゴ
ム基材(b)とを接触させて、ゴム基材中にメタクリレ
ート基含有不飽和オルガノシロキサン、重合開始剤のハ
イドロパーオキサイド、高級カルボン酸金属塩および/
または有機系共架橋剤を含浸させた状態でメタクリレー
ト基含有不飽和オルガノシロキサンを重合させることが
好ましい。特に、上記高級カルボン酸金属塩と有機系共
架橋剤のうちでは、有機系共架橋剤を用いると、金属系
不純物がゴム中に残留するおそれがないため、有機系共
架橋剤を含浸させた状態でメタクリレート基含有不飽和
オルガノシロキサンを重合させることが好ましい。
【0012】また、上記有機系共架橋剤が、トリアリル
イソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタ
アリルイソシアヌレート、ジアリルフタレートのうちか
ら選択される1種または2種以上であることが好まし
く、また、上記ゴム基材が、フッ素ゴムであることが好
ましい。本発明においては、上記処理液(a)にゴム基
材(b)を浸漬することにより、該処理液とゴム基材と
を接触させることが好ましい。
【0013】本発明に係る表面改質ゴムは、上記何れか
の方法で得られることを特徴としている。本発明に係る
上記表面改質ゴムは、シール材用、特に液晶・半導体製
造装置用シール材、あるいはプラズマ処理装置用シール
材として好ましい。このような本発明によれば、ゴム材
料が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変
形追従性を保持しつつ、非粘着性などに優れたゴムが得
られるような表面改質ゴムの製造方法、このような特性
の表面改質ゴム並びにその好適な用途が提供される。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る表面改質ゴム
の製造方法、表面改質ゴム並びにその用途について、具
体的に説明する。[表面改質ゴムの製造方法] 本発明に係る表面改質ゴム
の製造方法では、下記の処理液(a)と、ゴム基材
(b)とを接触させた後、得られた接触処理ゴム基材
を、常温〜100℃の温度で保持することにより、該モ
ノマーを重合させ、ゴム基材表面とその近傍を改質して
いる。
【0015】この処理液(a)には、メタクリレート基
含有不飽和オルガノシロキサン(モノマー、マクロモノ
マー等ともいう。)(i)と、重合開始剤としてのハイド
ロパーオキサイド(ii)と、高級カルボン酸金属塩および
/または有機系共架橋剤(iii)と、溶剤(iv)とが含まれ
ている。以下、メタクリレート基含有不飽和オルガノシ
ロキサンと、ハイドロパーオキサイドと、高級カルボン
酸金属塩および/または有機系共架橋剤と、溶剤とを含
む上記処理液(a)について、まず初めに説明する。
【0016】<処理液(a)>メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサン(i) メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンとして
は、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロ
キサン等のような、低摩擦、非粘着性を付与するオルガ
ノシロキサン骨格を有し、かつメタクリレート基[CH
2=C(CH3)−C(=O)−]を少なくとも一個以上
有する化合物が用いられる。
【0017】このようなメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンとしては、数平均分子量Mnが100
〜10万、好ましくは250〜2万5千のものが用いら
れる。このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノ
シロキサンとして、具体的には、例えば、下記のような
ものが挙げられる。なお、下記式中、Me:メチル基、
n:繰り返し単位個数、を示す。これらのうちでは、付
番(1)、(3)に示すように、両末端メタクリレート
基のものが好ましい。 (1)両末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)
製):
【0018】
【化1】
【0019】(Me:メチル基) [分子量Mn1000:FM-7711] [分子量Mn5000:FM-7721] [分子量Mn10000:FM-7725] (2)片末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)
製):
【0020】
【化2】
【0021】(Me:メチル基、n:繰り返し単位数を
示す。) [分子量Mn1000;粘度10mm2/s(cSt);比重0.96:FM
-0711] [分子量Mn5000;粘度70mm2/s(cSt);比重0.97:FM
-0721] [分子量Mn10000;粘度200mm2/s(cSt);比重0.97:
FM-0725] (3)両末端反応性変性シリコーンオイル(信越化学工
業(株)製):
【0022】
【化3】
【0023】(R:単結合又は2価の基、Me:メチル
基、n:繰り返し単位数) [分子量Mn3200;粘度58mm2/s(cSt);比重0.98:X-
22-164B] [分子量Mn3200;粘度94mm2/s(cSt);比重0.98:X-
22-164C] (4)片末端反応性変性シリコーンオイル(信越化学工
業(株)製):
【0024】
【化4】
【0025】(Me:メチル基) [分子量422.8;粘度5mm2/s(cSt);比重0.93:X-22-2
404] (5)反応性シロキサンオリゴマー(東芝シリコーン
(株)製):
【0026】
【化5】
【0027】(Me:メチル基) [分子量274.5;比重0.905:TSL9705、片末端官能型ダ
イマーシリーズ]など。これらのうちでは、上記「両末
端サイラプレーンシリーズ FM-7711、FM-7721、FM-772
5」、「両末端反応性変性シリコーンオイルX-22-164B、
X-22-164C」等の両末端変性タイプのものが好ましい。
【0028】このようなメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンは、1種単独で用いてもよく、また2
種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、メタクリレ
ート基含有不飽和オルガノシロキサンの一部または全部
を、アクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンで代
用することも可能であるが、上記のようにメタクリレー
ト基含有不飽和オルガノシロキサンを用いることが本発
明では望ましい。
【0029】ハイドロパーオキサイド(ヒドロペルオキ
シド)(ii) 本発明では、重合開始剤として特にハイドロパーオキサ
イドを用いることにより、液晶・半導体製造装置におい
て、最も敬遠される無機化合物が、得られるシール材等
の各種非粘着性表面改質ゴム(成形体)に残存すること
がなくなり、さらに酸素存在下における比較的低温にお
いて反応が進行するという効果が得られる。
【0030】このようなハイドロパーオキサイドとして
は、脂肪族、脂環族、芳香族等の何れでもよく、また不
飽和基を有していてもいなくてもよい。このようなハイ
ドロパーオキサイドとして、具体的には、例えば、メチ
ルハイドロパーオキサイド、エチルハイドロパーオキサ
イド、プロピルハイドロパーオキサイド、イソプロピル
ハイドロパーオキサイド、ブチルハイドロパーオキサイ
ド、sec−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、アミルハイドロパーオキサ
イド、ヘキシルハイドロパーオキサイド、ヘキシルハイ
ドロパーオキサイド、ヘプチルハイドロパーオキサイ
ド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ド、2,5-ジメチルヘキサン−2,5-ジハイドロパーオキサ
イド、アリルハイドロパーオキサイド、1−ビニルブチ
ルハイドロパーオキサイド等の飽和あるいは不飽和脂肪
族系ハイドロパーオキサイド;シクロペンチルハイドロ
パーオキサイド、1−メチルシクロペンチルハイドロパ
ーオキサイド、1−メチルシクロヘキシルハイドロパー
オキサイド、trans−デカリンハイドロパーオキサ
イド、2−シクロペンテン−1−イル−ハイドロパーオ
キサイド、2−シクロヘキセン−1−イル−ハイドロパ
ーオキサイド等の飽和あるいは不飽和脂環族系ハイドロ
パーオキサイド;ベンジルハイドロパーオキサイド(C
65-CH2-OOH)、1−フェニルエチルハイドロパ
ーオキサイド(C65-CH(CH3)-OOH)、クメ
ンハイドロパーオキサイド(C65-CH(CH32-O
OH)、クミルハイドロパーオキサイド((CH32
H-C64-OOH)、p−メチルベンジルハイドロパー
オキサイド、p−シメンハイドロパーオキサイド、ジフ
ェニルメチルハイドロパーオキサイド、トリフェニルメ
チルハイドロパーオキサイド、テトラリンハイドロパー
オキサイド、9−フルオレニルハイドロパーオキサイ
ド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等の
芳香族系ハイドロパーオキサイド;等が挙げられる。
【0031】これらのうちでは、1,1,3,3−テト
ラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−
2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ
サイド等が好ましく、特に、クメンハイドロパーオキサ
イド(C65C(CH32OOH)が、ゴムの表面改質
処理後の非粘着特性に優れる点で好ましい。
【0032】これらハイドロパーオキサイドは、1種ま
たは2種以上組み合わせて用いることができる。高級カルボン酸金属塩および/または有機系共架橋剤(i
ii) 高級カルボン酸金属塩(イ)は、該高級カルボン酸金属
塩(イ)に含まれる金属によりパーオキサイドのレドッ
クス分解がおこり、パーオキサイドの分解反応を促進す
る機能を有している。それにより発生したパーオキサイ
ドラジカルによる脱水素反応によりメタクリル基含有不
飽和オルガノシロキサンの重合を進行する働きを有して
いると考えられる。また、有機系共架橋剤(ロ)は、メ
タクリル基含有不飽和オルガノシロキサンラジカルと反
応して架橋構造を形成し、副反応を抑制して重合効率を
高める働きを有していると考えられる。
【0033】本発明では、処理液(a)としてこのよう
な重合開始剤のうちのハイドロパーオキサイドと、高級
カルボン酸金属塩または有機系共架橋剤などとを組み合
わせて用いているため、常圧下に、常温〜100℃で1
〜72時間保持してゴム基材の改質を行うことが可能と
なっている。高級カルボン酸金属塩(イ)としては、具
体的には、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニ
ッケル、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、アビ
エチン酸コバルト等が用いられる。(なお、高級カルボ
ン酸金属塩の高級とは、C8以上を意味する。)有機系
共架橋剤(ロ)としては、p-キノンジオキシム、エチレ
ンジメタクリレート、N,N-M-フェニレンビスマレイミ
ド、トリアリルイソシアネート、トリアリルシアヌレー
ト、トリメタアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレ
ート等が用いられる。
【0034】これら高級カルボン酸金属塩(イ)と有機
系共架橋剤(ロ)のうちでは、トリアリルイソシアヌレ
ート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシ
アヌレート、ジアリルフタレートなどの有機系共架橋剤
(ロ)を用いることが、半導体製造用装置に使用される
表面改質ゴムとしては、高級カルボン酸金属塩(イ)に
由来する金属成分が、得られた表面改質ゴム内に残存し
ないため好ましい。また、メタクリレート基含有不飽和
オルガノシロキサン(モノマー)の、より低温下での重
合などを行いゴムの改質処理を実施する上では、有機系
共架橋剤(ロ)よりも高級カルボン酸金属塩(イ)を用
いる方がより有効である。これらの高級カルボン酸金属
塩または有機系共架橋剤は、1種または2種以上組み合
わせて用いることができる。また本発明では、高級カル
ボン酸金属塩、有機系共架橋剤は何れか一方を単独で用
いてもよく、また両者を併用してもよい。溶剤(iv) 溶剤(溶媒)としては、該メタクリレート基含有不飽和
オルガノシロキサン、重合開始剤のハイドロパーオキサ
イド、高級カルボン酸金属塩、有機系共架橋剤などを溶
解させることができ、処理すべきゴム基材に含浸(浸
入)・拡散して該基材を膨潤させることが可能であれば
種類を問わない。
【0035】本発明では、溶媒としては、モノマーのメ
タクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンの溶解度
およびゴム基材の膨潤度の大小に関係なく使用できる
が、その溶解度および膨潤度の大きい溶媒の方が好まし
い。このような好ましい溶剤としては、特開平11−1
72027号公報[0058]〜[0062]欄に記載
されているような、例えば、アセトン、メチルエチルケ
トン(MEK)等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、ト
ルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)等の
脂肪族あるいは芳香族炭化水素類;クロロトリフルオロ
メタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類などが挙げられ、用いるゴム基材
(エラストマー基材(b))の種類に応じて1種または
2種以上、適宜選定される。また、該溶剤は最終的にゴ
ム基材の外部に蒸発等により留去されるものであれば、
溶剤の留去される時期は、該モノマー同士あるいは該モ
ノマーと基材(b)との反応中でも反応後でもいつでも
良い。ただし、該溶媒がゴム基材表面あるいは内部にお
いて、なんらかの結合に関与した成分についてはこの限
りではない。その他の成分 なお、上記処理液にはさらにメチルハイドロジェンシリ
コーンオイル等が含まれていても良く、このような処理
液を使用することにより、非粘着特性をいっそう高める
ことができる。
【0036】<処理液(a)の調製>このような処理液
(a)を調製するには、上記のような量で該処理液に含
まれる各成分であるメタクリレート基含有不飽和オルガ
ノシロキサン(i)、重合開始剤のハイドロパーオキサイ
ド(ii)、高級カルボン酸金属塩または有機系共架橋剤(i
ii)、溶剤(iv)、必要により用いられるメチルハイドロ
ジェンシリコーンオイルなどを任意の順序で添加混合等
すればよい。本発明では、上記処理液(a)中には、溶
剤(iv)100重量部に対して、マクロモノマーのメタク
リレート基含有不飽和オルガノシロキサン(i)は、通常
0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の量
で、重合開始剤、特にハイドロパーオキサイド(ii)は、
通常0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜20重
量部の量で、また高級カルボン酸金属塩は、通常0.0
1〜200重量部、好ましくは0.05〜5重量部で、
有機系共架橋剤は通常0.1〜100重量部、好ましく
は0.5〜50重量部の量で用いられることが望まし
い。このメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサ
ン(マクロモノマー)濃度が、溶剤100重量部に対し
て0.1重量部未満であると、処理をするゴム基材の表
面での該モノマー存在量が少なくなりすぎ、100重量
部を超えると溶剤によるゴム基材の膨潤効果が薄れるた
め該モノマーを有効にゴム表面とその近傍(すなわちゴ
ム基材内部)へ含浸、拡散できなくなる傾向がある。ま
た、重合開始剤の1種であるハイドロパーオキサイド濃
度が、溶剤100重量部に対して0.01重量部未満で
はラジカル生成濃度が少なすぎてゴム基材表面とその近
傍において該モノマーを重合反応させ、生じたポリマー
を有効にゴム基材表面あるいはゴム基材表面近傍(内
部)のゴム分子鎖中に固定化させることができなくな
り、50重量部を超えるとゴム表面とその近傍での重合
開始剤に基づく成分の存在量が多くなりすぎてモノマー
の化学構造例えば、シロキン結合に起因する部分の粘着
性低減効果が小さくなると同時に、本来、モノマーを重
合反応させゴム基材に固定化(反応・固定化ともいう)
させる役割で用いられているハイドロパーオキサイド
が、その濃度増大に伴いゴム表面付近の架橋反応に消費
される量が増えてくるため、ゴム表面付近のクラックに
結びつきシール性に悪影響をもたらす傾向がある。
【0037】また、上記高級カルボン酸金属塩(イ)の
量が0.01重量部未満では、十分なハイドロパーオキ
サイドの分解促進効果が得られず、また20重量部を越
えると、溶剤揮発後ゴム基材表面に析出し、ゴムの外観
が損なわれる傾向があり、また、ゴム表面の金属成分の
存在量が多くなり、半導体用途としては好ましくない。
【0038】有機系共架橋剤(ロ)の量が0.1重量部
未満の場合は、重合促進作用が充分でなく、メタクリル
基含有不飽和オルガノシロキサンの重合効率が悪くな
り、100重量部を超えると、ゴム基材表面における有
機共架橋剤の成分の割合が多くなり、シロキサン結合に
起因する部分の粘着性低減効果が小さくなる傾向があ
る。
【0039】いずれの成分の配合量の場合においても上
記範囲を外れると、得られる表面改質ゴムの低摩擦性、
非粘着性などの発現効果が損なわれる傾向がある。な
お、必要により配合されるメチルハイドロジェンシリコ
ーンオイルは、溶剤100重量部に対して、例えば、0
〜100重量部の量で用いられる。なお、本発明におい
ては、「メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサ
ンと、重合開始剤のハイドロパーオキサイドと、高級カ
ルボン酸金属塩および/または有機系共架橋剤と、溶剤
とを含有する上記処理液(a)」と、ゴム基材(b)と
を接触させて、ゴム基材中にメタクリレート基含有不飽
和オルガノシロキサンおよび重合開始剤、高級カルボン
酸金属塩または有機系共架橋剤などを含浸、拡散させた
状態でメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサン
を重合させると、上記のようにゴム基材表面あるいはそ
の近傍(すなわちゴム基材内部)は改質される。
【0040】その改質のメカニズムとしては、高級カル
ボン酸金属塩の場合、恐らくは、ゴム基材表面あるいは
ゴム基材内部で、高級カルボン酸金属塩は、ハイドロパ
ーオキサイドの熱分解が起こりにくい常温〜100℃に
おいて、分解を促進する効果があり、活性化を促進し、
活性化したハイドロパーオキサイドラジカルによってメ
タクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンのポリマ
ーを生じ、このポリマーがゴム基材を構成しているゴム
分子鎖あるいはゴム分子網目に一部絡み合うことにより
ゴム基材に固定化され、場合によっては、一部のメタク
リレート基含有不飽和オルガノシロキサンあるいは一部
の上記ポリマーとゴム基材との反応も生じて、上記モノ
マーあるいはポリマーはゴム基材に固定化され、ゴム基
材の表面あるいはその近傍の改質が行われるのであろう
と推測される。
【0041】また有機系共架橋剤は、メタクリル基含有
オルガノシロキサンと反応して架橋構造を形成し、副反
応を抑制して重合効率を高めているものと推測される。<ゴム基材(b)> 本発明で用いられるゴム基材(b)
としては、材質、形状、寸法など特に限定されず、従来
より公知の種々のものを用いることができる。ゴム基材
の材質としては、例えば、NBR,HNBR,SBR,
ACM,U,FKM(フッ素ゴム),Q,CR,NR,
IIR,BR等を挙げることができる。これらのゴム基
材のうち、ゴム基材がフッ素系ゴムであることが好まし
い。また、ゴム基材としては、パーオキサイド架橋可能
なゴム基材であると、より有効に該モノマーを重合させ
ゴム基材中に固定化させることができて、非粘着性、低
摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性などの機能を発現させ
ることができるので好ましい。このようなフッ素ゴム
(FKM)としては、特開平11−172027号公報
[0070]〜[0071]に記載のものを好ましく用
いることができ、具体的には、例えば、熱可塑性フッ素
ゴム;テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキル
ビニルエーテル系共重合体;テトラフルオロエチレン/
プロピレン系共重合体;フッ化ビニリデン/ヘキサフル
オロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/トリフ
ルオロクロロエチレン系共重合体、フッ化ビニリデン/
ペンタフルオロプロピレン系共重合体等の2元系のフッ
化ビニリデン系ゴム;フッ化ビニリデン/テトラフルオ
ロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フ
ッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル系共重合体、フッ化ビニリデ
ン/テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体等
の3元系のフッ化ビニリデン系ゴム;などを挙げること
ができる。これらゴムは、放射線架橋されていてもよ
い。
【0042】このフッ素ゴムとしては、例えば、デュポ
ン社製の「カルレッツ」、ダイキン工業製の「ダイエル
パーフロ」、「ダイエルG901(3元系フッ化ビニリ
デン系ゴム)」等が挙げられる。このような架橋された
ゴム基材を得るには、例えば、ベースゴム100重量部
に対して、加硫剤1.5〜3重量部、共架橋剤2〜10
重量部、補強剤10〜60重量部をオープンロールを用
いて従来より既知の方法で配合(混合)を行い、次い
で、所定のサイズのシール材用金型にこの混合物を充填
し、圧縮プレスにて、100〜200℃の温度で1〜3
0分圧縮成型を行う。このような圧縮成型後、二次加硫
として、100〜250℃で、1〜24時間加熱を行え
ばよいが、特に限定されるものではなく既知の方法で行
えばよい。
【0043】[接触処理]本発明では、例えば、上記の
ようにして得られるゴム基材(b)と、処理液(a)と
を接触させている。この処理液(a)には、溶剤(iv)1
00重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ま
しくは1〜50重量部の上記メタクリレート基含有不飽
和オルガノシロキサン(モノマー)(i)と、通常0.0
1〜20重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量の
高級カルボン酸金属塩あるいは0.1〜100重量部、
好ましくは0.5〜50重量部の有機系共架橋剤を含有
することが望ましい。
【0044】上記処理液(a)と基材(b)との接触方
法は特に限定されず、例えば、処理液(a)にゴム基材
(b)を浸漬させてもよく、スプレー等の方法で処理液
を基材に吹付け、散布してもよく、刷毛等を用いてゴム
基材(b)に処理液(a)を塗布してもよいが、上記処
理液(a)にゴム基材(b)を浸漬することが処理液を
ゴム基材に含浸、拡散させやすい点で好ましい。
【0045】また、この接触量、接触時間、温度、圧力
等は特に限定されないが、好ましい態様においては、例
えば、ゴム基材(b)を処理液(a)に常温(15〜2
5℃)、常圧(1気圧)下で接触させる場合には、通常
1秒〜24時間程度、好ましくは1分〜1時間程度接触
させることが望ましい。このように処理液(a)とゴム
基材(b)とを接触させると、該処理液中の溶媒分子の
ゴム基材(b)中への含浸・拡散がきっかけとなり、該
モノマーおよび重合開始剤がゴム基材(b)中へ含浸・
拡散し、ゴム基材は次第に膨潤してくる。
【0046】このように膨潤した基材(b)は、通常、
速やかに、所定の容器に移し入れて、常温〜100℃、
好ましくは30〜80℃の温度で、常圧(1気圧)下
に、通常0.5〜720時間、好ましくは1〜72時
間、保持(放置)あるいは熱処理する。本発明において
は、上記のように処理液(a)とゴム基材(b)とを接
触させて、ゴム基材中にメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサン、ハイドロパーオキサイドおよび高級
カルボン酸金属塩または有機系共架橋剤を含浸させた状
態でメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンを
重合させることが好ましい。
【0047】なお、該基材(b)に含浸・拡散している
モノマー、重合開始剤がブリードアウトしてしまわない
限り、適宜期間経過後に上記保持(あるいは加熱処理)
を行ってもよい。このように、本発明では、上記のよう
な特殊な配合成分組成の処理液(a)を用いてゴム基材
(b)を処理しているため、このように処理した後、処
理済みのゴム基材を容器内に入れて、従来のように特に
酸素濃度を低減したり圧力を低減することなく通常の大
気雰囲気下で、しかもハイドロパーオキサイドの加熱不
足となりハイドロパーオキサイドの分解、活性化が進行
しにくいと思われるような、常温〜100℃、好ましく
は30〜80℃という緩やかな(低い)温度条件下で、
0.5〜720時間、好ましくは1〜72時間という短
時間保持するだけで、メタクリレート基含有不飽和オル
ガノシロキサンの重合反応等が充分に進行されて、ゴム
基材の表面及びその近傍の改質が可能であり、低摩擦、
非粘着性等の特性にバランス良く優れた表面改質ゴムが
得られるという効果が得られている。
【0048】なお、このような本発明で採用される接触
処理ゴム基材の上記熱処理温度は、常温〜100℃の温
度であり、用いられている過酸化物架橋剤のハイドロパ
ーオキサイドの分解温度(例えば、130〜150℃)
よりも低い温度であることが多いが、本発明では、処理
液(a)として、上記のような特定組成のものを用いて
いるために、従来と異なりこのような低い温度での熱処
理を行うことが可能となっている。
【0049】上述してきたような本発明に係る表面改質
ゴムの製造方法によれば、ゴム材料が本来有する圧縮永
久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従性を保持しつ
つ、非粘着性などに優れたゴムが得られる。[表面改質ゴムおよびその用途] 本発明に係る表面改質
ゴムは、上記何れかの方法で得られることを特徴として
いる。
【0050】このような本発明に係る表面改質ゴムは、
ゴム材料が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強
度、変形追従性を保持しつつ、非粘着性などに優れてい
る。本発明の非粘着性表面改質ゴムは、後述する粘着力
測定条件(図1参照、25℃、1分間)で測定した場合
の固着力で示す非粘着性が、0〜100gf、好ましくは
0〜50gfである。
【0051】本発明に係る上記表面改質ゴムは、シール
材用、特に液晶・半導体製造装置用シール材、あるいは
プラズマ処理装置用シール材として好ましい。その他
に、下記のようなような用途に好適に使用できる。例え
ば、化学機器、薬液配管・タンク類、食品製造装置等の
シール材等、シール材に非粘着性が要求される用途に使
用できる。
【0052】
【発明の効果】本発明に係る表面改質ゴムの製造方法に
よれば、基本的に低摩擦、非粘着性のある分子骨格を有
したメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサン
(モノマー)と、ハイドロパーオキサイドと、高級カル
ボン酸金属塩または有機系共架橋剤と、溶剤とを含有し
た処理液(a)を、ゴム基材(b)の表面およびその近
傍(内部)に含浸・拡散させているため、このような含
浸・拡散処理されてなる接触処理ゴム基材を熱処理し
て、該接触処理ゴム基材中の上記メタクリレート基含有
不飽和オルガノシロキサン(モノマー)の重合反応、あ
るいは該ゴム基材表面近傍(内部)への該モノマーの反
応、固定化を行う際に、従来のように(熱)処理容器中
の酸素濃度を大気中よりも低く調整する必要がなく、通
常の大気中においてかつ従来の一般的な処理温度(10
0〜300℃)よりも比較的低温(常温〜100℃)で
上記モノマーの重合反応などを促進させることができ、
そしてゴム基材表面とその近傍を改質して非粘着性、低
摩擦性などに優れた表面改質ゴムを得ることができると
いう効果がある。
【0053】しかも本発明によれば、上記のような酸素
濃度条件(大気中)、温度条件などを選択できるため、
このようなゴムの表面改質処理に際しては、従来必要と
していたような加圧装置、加熱装置なども省略できるな
ど簡便な工程で工業的に有利に所望の表面改質ゴムを製
造できるという効果がある。また、本発明によれば、こ
のように半導体製造装置用シール材として好適に用いら
れる、非粘着に優れた表面改質ゴムを提供することがで
きる。
【0054】
【実施例】以下、本発明について実施例によりさらに具
体的に説明するが、本発明は係る実施例により何等限定
されるものではない。なお、以下の実施例、比較例など
で用いた成分の共重合成分組成、分子量、粘度、製造・
販売元、商品型番などの詳細は以下の通り。<注1>フッ素ゴム: (イ)商品型番「ダイエルG902」、 (ロ)製造販売元:ダイキン工業社製、 (ハ)ムーニー粘度(ML1+10 100℃)55、 (ニ)比重:1.90、<注2> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル:
【0055】
【化6】
【0056】(M:メチル基、n:繰り返し単位数) (分子量1000、両末端サイラプレーン、FM-7711、
チッソ(株)製)<注3> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル: (分子量5000、式は「注2」と同様。両末端サイラ
プレーン、FM-7721、チッソ(株)製 )<注4> メチルハイドロジェンシリコーンオイル:
【0057】
【化7】
【0058】(n:繰り返し単位数) (粘度30cSt(25℃)、屈折率1.396、比重1.0
0、東レダウコーニングシリコーン社製、SH1107)<注5> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル:
【0059】
【化8】
【0060】(Me:メチル基、n:繰り返し単位数、
R:単結合又は2価の基) (分子量3200、屈折率1.410、官能基当量1630mgKOH
/g、粘度58mm2/s(cSt)、比重0.98、X-22-164B、信
越化学工業(株)製)<注6> 両末端ビニル変性シリコーンオイル:
【0061】
【化9】
【0062】(Me:メチル基、n:繰り返し単位数
) (分子量770、粘度6mm2/s(cSt)、比重0.93、DMS-V
05、チッソ(株)製)<注7> 片末端メタクリル変性シリコーンオイル:
【0063】
【化10】
【0064】(Me:メチル基) (屈折率1.418、官能基当量1.418mgKOH/g、粘度5mm2
/s(cSt)、比重0.93、X-22-2404、信越化学工業(株)
製)
【0065】
【実施例1】[加硫ゴムの成型]下記配合物を170℃
×10分間プレス成型を行った後、180℃×4時間二
次加硫を行い、150mm×190mm×2mm(厚)
のゴムシートを作成した。 <ゴム配合物の配合組成> フッ素ゴム(ダイエルG902:ダイキン工業社製、注1) 100重量部 2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 4重量部 MTカーボン 20重量部 [処理液の調製]下記成分を配合して処理理液を作成し
た。 <処理液の配合組成> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル(分子量1000、注2) 7重量部 クメンハイドロパーオキサイド 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 2重量部 アセトン 100重量部 [加硫ゴムの表面処理]上記加硫ゴムを上記処理液に5
分間浸漬し、取り出した後、大気中にて60℃×24時
間放置した。得られた加硫ゴムについて下記方法により
粘着力を測定した。 [粘着力測定方法]図1に示すように、SUS304に
て作製されたφ5(mm)×50mmの円柱状のプロー
ブを、25℃雰囲気下で荷重500gf/cm2で、上
記表面処理された加硫ゴムシートに1分間あるいは10
分間圧締めした後、600mm/minの速度で引き剥
がす時の荷重を測定した。
【0066】その結果、25℃で圧締め1分間行った場
合の粘着力(引き剥がす時の加重)は、35.8gfと
なり、圧締め10分間では56.2gfとなった。処理
液の配合組成、熱処理条件、得られた表面改質ゴムなど
の粘着力(1分、10分)などを併せて表1に示す。
【0067】
【実施例2】実施例1において、実施例1と同様にして
作成した加硫ゴムシートに下記配合組成の処理液を用い
て下記条件で加硫ゴムの表面処理を施した以外は実施例
1と同様にして表面改質ゴムを作製して、上記実施例1
と同様にその粘着力を測定した。 <処理液の配合組成> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル(分子量5000、注3) 7重量部 クメンハイドロパーオキサイド 1.5重量部 アビエチン酸コバルト 0.3重量部 アセトン 100重量部 <加硫ゴムの表面処理>加硫ゴムシートを上記処理液に
5分間浸漬し、取り出した後、大気中にて、40℃×2
4時間放置して試料(表面改質ゴム)を作成した。
【0068】該表面改質ゴムについて、上記と同様に粘
着力を測定したところ、25℃で圧締め1分間行った場
合の粘着力は、38.2gfとなり、圧締め10分間で
は61.7gfとなった。処理液の配合組成、熱処理条
件、得られた表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10
分)などを併せて表1に示す。
【0069】
【実施例3】実施例1において、実施例1と同様にして
作成した加硫ゴムシートに下記配合組成の処理液を用い
て処理を行った以外は実施例1と同様にして表面改質ゴ
ムを作製して、上記実施例1と同様にその粘着力を測定
した。得られた表面改質ゴムについて、上記と同様に粘
着力を測定したところ、25℃で圧締め1分間行った場
合の粘着力は、30.6gfとなり、圧締め10分間で
は54.2gfとなった。
【0070】処理液の配合組成、熱処理条件、得られた
表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10分)などを併せ
て表1に示す。 <処理液の配合組成> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル(分子量1000、注2) 7重量部 メチルハイドロジェンシリコーンオイル(注4) 5重量部 クメンハイドロパーオキサイド 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 2重量部 アセトン 100重量部
【0071】
【比較例1】実施例1において、実施例1と同様にして
作成したゴムシートを、処理液にて処理を行うことな
く、その粘着力を測定した。該ゴムシートについて、上
記と同様に粘着力を測定したところ、25℃で圧締め1
分間行った場合の粘着力は、270gfとなり、圧締め
10分間では347gfとなった。
【0072】処理液の配合組成、熱処理条件、得られた
表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10分)などを併せ
て表1に示す。
【0073】
【比較例2】実施例1において、実施例1と同様にして
作成したゴムシートに、特開平11−172027号公
報の実施例(A2)に記載の処理液と同様の下記処理液
を用いて下記条件で加硫ゴムの表面処理を施した以外
は、実施例1と同様にして表面改質ゴムを作製して、上
記実施例1と同様にその粘着力を測定した。 <処理液の配合組成> 両末端メタクリル変性シリコーンオイル(分子量3200、注5) 7重量部 メチルハイドロジェンシリコーンオイル(粘度30cSt:25℃、注4) 5重量部 片末端メタクリル変性シリコーンオイル(注7) 3重量部 ジクミルパーオキサイド 1.5重量部 アセトン 100重量部 <加硫ゴムの表面処理>加硫ゴムシートを上記処理液に
5分間浸漬し、取り出した後、N2ガス置換電気炉に
て、170℃×16時間放置して試料(表面改質ゴム)
を作成した。
【0074】該表面改質ゴムについて、上記と同様に粘
着力を測定したところ、25℃で圧締め1分間行った場
合の粘着力は、28.4gfとなり、圧締め10分間で
は52.6gfとなった。処理液の配合組成、熱処理条
件、得られた表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10
分)などを併せて表1に示す。
【0075】
【比較例3】実施例1において、実施例1と同様にして
作成した加硫ゴムシートに下記処理液にて表面処理を施
した以外は、実施例1と同様にして表面改質ゴムを製造
し、上記と同様にその粘着力を測定した。該表面改質ゴ
ムについて、上記と同様に粘着力を測定したところ、2
5℃で圧締め1分間行った場合の粘着力は、142.7
gfとなり、圧締め10分間では198.5gfとなっ
た。
【0076】処理液の配合組成、熱処理条件、得られた
表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10分)などを併せ
て表1に示す。 <処理液の配合組成> 両末端ビニル変性シリコーンオイル(分子量770、注6) 7重量部 クメンハイドロパーオキサイド 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 2重量部 アセトン 100重量部
【0077】
【比較例4】実施例1において、実施例1と同様にして
作成した加硫ゴムシートに下記処理液にて表面処理を施
した以外は、実施例1と同様にして表面改質ゴムを製造
し、上記と同様にその粘着力を測定した。該表面改質ゴ
ムについて、上記と同様に粘着力を測定したところ、2
5℃で圧締め1分間行った場合の粘着力は、54.8g
fとなり、圧締め10分間では71.4gfとなった。
【0078】処理液の配合組成、熱処理条件、得られた
表面改質ゴムなどの粘着力(1分、10分)などを併せ
て表1に示す。 <処理液の配合組成> メチルハイドロジェンシリコーンオイル(粘度30cSt:25℃、注4) 7重量部 クメンハイドロパーオキサイド 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 2重量部 アセトン 100重量部
【0079】
【表1】
【0080】<考察・評価>メタクリレート基含有不飽
和オルガノシロキサン(メタクリル基含有不飽和オルガ
ノシロキサン類)を用いた処理液にてゴム基材の表面改
質処理を行った場合は、実施例1、2、3に示したよう
に、比較例2(特開平11−172027号公報)と同
程度の低い粘着力の表面改質ゴムが得られた。
【0081】しかし、ビニル基含有不飽和オルガノシロ
キサン、又はハイドロジェンシリコーンオイルを用いて
作成した処理剤においては、比較例3、4に示したよう
に比較例1の未処理に比べると粘着力は低減している
が、粘着力の低減は不充分であり、比較例2のようなレ
ベルの低い粘着力は得られなかった。このように、大気
中で低温で反応させる場合は、メタクリレート基含有不
飽和オルガノシロキサンを用いると非粘着性が得られる
ことがわかる。
【0082】本発明によれば、メタクリレート基含有不
飽和オルガノシロキサン、ハイドロパーオキサイド、高
級カルボン酸金属塩または有機系共架橋剤、溶剤を混合
して得られる処理液を用いることにより大気中(常圧
下、酸素存在下)にて従来よりも低温(常温〜100
℃)で処理してもゴム基材に非粘着特性が得られること
が分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ゴム基材の相手部材に対する粘着力測
定方法の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 299/02 C08F 299/02 C08L 21:00 C08L 21:00 Fターム(参考) 4F073 AA32 BA04 BA12 BA16 FA01 4J011 CA01 CC02 CC08 4J015 BA04 CA05 4J027 AF02 AF05 AJ01 AJ02 AJ03 AJ06 BA17 BA20 BA22 BA23 BA29 CB04 CB07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)メタクリレート基含有不飽和オルガ
    ノシロキサンと、ハイドロパーオキサイドと、高級カル
    ボン酸金属塩および/または有機系共架橋剤と、溶剤と
    を含む処理液と、(b)ゴム基材と、 を接触させた後、得られた接触処理ゴム基材を、常温〜
    100℃の温度で保持することにより、該モノマーを重
    合させ、ゴム基材表面とその近傍を改質することを特徴
    とする表面改質ゴムの製造方法。
  2. 【請求項2】上記処理液(a)とゴム基材(b)とを接
    触させて、ゴム基材中にメタクリレート基含有不飽和オ
    ルガノシロキサン、重合開始剤としてのハイドロパーオ
    キサイド、高級カルボン酸金属塩および/または有機系
    共架橋剤を含浸させた状態でメタクリレート基含有不飽
    和オルガノシロキサンを重合させることを特徴とする請
    求項1に記載の表面改質ゴムの製造方法。
  3. 【請求項3】上記有機系共架橋剤が、トリアリルイソシ
    アヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリル
    イソシアヌレート、ジアリルフタレートのうちから選択
    される1種または2種以上である請求項1〜2の何れか
    に記載の表面改質ゴムの製造方法。
  4. 【請求項4】上記ゴム基材が、フッ素ゴムである請求項
    1〜3の何れかに記載の表面改質ゴムの製造方法。
  5. 【請求項5】上記処理液にゴム基材を浸漬することによ
    り、該処理液とゴム基材とを接触させることを特徴とす
    る請求項1〜4の何れかに記載の表面改質ゴムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の何れかの方法で得られるこ
    とを特徴とする表面改質ゴム。
  7. 【請求項7】前記表面改質ゴムが、シール材用であるこ
    とを特徴とする請求項6に記載の表面改質ゴム。
  8. 【請求項8】前記シール材が液晶・半導体製造装置用シ
    ール材であることを特徴とする請求項7に記載の表面改
    質ゴム。
  9. 【請求項9】前記シール材がプラズマ処理装置用シール
    材であることを特徴とする請求項7に記載の表面改質ゴ
    ム。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003057766A1 (en) * 2001-12-28 2003-07-17 Nippon Valqua Industries, Ltd. Process for producing surface-modified fluororubber, surface-modified fluororubber obtained, and use thereof
JP2005068290A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Toray Ind Inc 樹脂成形物の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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