JP2002371151A - 表面改質ゴム成形体の製造法、表面改質ゴム成形体およびその用途 - Google Patents

表面改質ゴム成形体の製造法、表面改質ゴム成形体およびその用途

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JP2002371151A
JP2002371151A JP2001182331A JP2001182331A JP2002371151A JP 2002371151 A JP2002371151 A JP 2002371151A JP 2001182331 A JP2001182331 A JP 2001182331A JP 2001182331 A JP2001182331 A JP 2001182331A JP 2002371151 A JP2002371151 A JP 2002371151A
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monomer
fluororubber
rubber
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rubber molded
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Yukio Kobayashi
林 幸 雄 小
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ゴム材料が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、
機械的強度、変形追従性を保持しつつ、非粘着性、低摩
擦係数、低摩耗性、低放出ガス性などにバランス良く優
れたフッ素ゴム成形体を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂を硬化してなる官能基含有
熱硬化樹脂とフッ素ゴムとが含まれたフッ素ゴム基材
(a)と、上記官能基含有熱硬化樹脂中の反応性官能基
と反応し得る官能基を有する反応性モノマー(b-i)と、
この熱硬化樹脂と該モノマーとの反応を開始させる反応
開始剤(b-ii)とが含まれた処理液(b)と、を接触させ
た後、得られた接触処理フッ素ゴム基材を加熱すること
により該モノマーを重合させると共に該モノマーと上記
熱硬化樹脂とを反応させて、該基材表面とその近傍を改
質することを特徴とする表面改質ゴム成形体の製造法お
よび得られた表面改質ゴム成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、表面改質ゴム成形体の製
造法、得られた表面改質ゴム成形体並びにその用途に関
し、さらに詳しくはフッ素ゴム材料が本来有する圧縮永
久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従性を保持しつ
つ、非粘着性、低摩擦係数、低摩耗性、低放出ガス性な
どに優れたフッ素ゴム成形体が得られるような表面改質
ゴム成形体の製造法、表面改質ゴム成形体並びにその用
途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ゴム成形体は、例えば、化学機
器、半導体製造装置、薬液配管・タンク類、食品製造装
置等のシール材として広く用いられている。しかしなが
ら、ゴム成形体は、一般的に、摩擦係数が高く粘着性が
大きいために、ゴム材料本来の特性が生かされず、その
使用範囲が制限される場合がある。
【0003】このようなゴム成形体に低摩擦性、非粘着
性、耐摩耗性を付与する手法としては、本願出願人が先
に提案した:特開平11−172027号公報の「発
明の技術的背景」に欄にも記載したように、下記(1)〜
(2)に示すようなゴム材自体を改質する方法、(3)〜(5)
に示すようなゴム材の表面あるいはその近傍を改質する
方法などが知られている。
【0004】(1)ゴム材料にPE、PTFE、POM、
ポリエステル等の樹脂粉末を混入する方法(固体潤滑剤
添加法)、(2)ゴム材料にPEG、シリコーンオイル、
フッ素化オイル等のオイルを混入する方法(ブリード
法)、(3)ゴム成形体の表面を樹脂にて被覆する方法
(表面被覆法)、(4)ゴム成形体の表面に架橋剤を含浸
させ、加熱によりゴム表面近傍での架橋を進行させる方
法(架橋剤含浸法)、(5)ゴム成形体の表面から内部
に、ゴムと相溶性のあるモノマーを含浸し重合させるこ
とにより、その表面近傍を硬化させる方法(表面重合硬
化法:特開平4-202239号公報参照)など。
【0005】これらのうちで上記固体潤滑剤添加法(1)
では、ゴム成形体の表面にゴム材料に混入されている固
体潤滑剤が突出しにくいことなどから、低摩擦性、非粘
着性などの機能が充分に発現しない。しかしながら、こ
の固体潤滑剤添加法において、ゴム材表面の上記機能を
向上させるために固体潤滑剤をゴム基材に多量に添加す
れば、上記機能を向上させることができるとしても、得
られるゴム成形体の機械的強度およびゴム弾性が低下
し、相手材への追従性が劣るようになる傾向があり、そ
の上圧縮永久歪も大きくなる傾向がある。
【0006】ブリード法(2)では、得られるゴム成形体
の機械的強度が小さく、しかもゴム材に混入されている
オイルのブリード(滲出)速度が大きく、またそのブリ
ード量に応じてゴム成形体表面の潤滑性が異なったり、
ブリード完了後には、急激にゴム成形体の摩擦係数が上
昇するなどの現象が見られ、ゴム成形体は、長期間に渡
って安定した潤滑性を保持することができない。また、
ゴム成形体から滲出したオイルが相手材を汚染したりす
るという問題点もある。
【0007】表面被覆法(3)では、得られる樹脂被覆成
形体を構成しているゴム成形体と表面被覆層との密着性
が低下する虞があるため、シール部材として実際に機器
に組み込んで動的状態で使用するには不向きであり、ま
た樹脂被覆成形体表面のゴム弾性が低下して相手材への
追随性が劣るようになる傾向がある。上記(1)〜(3)の手
法においては、ゴム成形体の表面にその表面エネルギー
を低下させ得る物質をゴム材表面に介在・被覆させるか
ゴム材に配合することにより、低摩擦性、非粘着性など
の機能を発現させようとしているのに対して、架橋剤含
浸法(4)では、ゴム材表面近傍を架橋処理することによ
り表面硬度を上昇させ、主に相手面との接触面積を低下
させることでその機能を発現させようとしている。しか
しながら、この架橋剤含浸法(4)では、ゴム成形体表面
の組成自体は他の部位と変わらないのでその機能発現レ
ベルは、表面架橋の度合いに依存する。それゆえ、機能
発現レベルを上げるべくゴム材表面近傍(表面層)での
架橋を進行させるとゴム成形体表面でのクラック発生が
さらに進行するとともに、相手面への変形追随性が劣る
ようになるため、このようなゴム成形体をシール部材と
して使用した場合には、漏洩につながり易いという問題
点がある。
【0008】例えば、フッ素ゴムは、耐プラズマ性、耐
熱性、耐薬品性に優れており、これら特長を生かして半
導体製造装置用のシール材として使用されているが、相
手材への固着が起こりやすく、半導体製造装置の開閉部
シール材として用いるには、該開閉部の開閉作業性の点
で必ずしも充分でないという問題点がある。また、表面
重合硬化法(5)では、該ゴム材と相溶性を有し、かつ低
分子量のモノマーに限定され、シリコーン系、フッ素系
の広範なモノマーを用いることができず、またこの表面
重合硬化法(5)では、得られるゴム成形体の表面硬度が
上昇すると、その表面に微細クラックが生じやすくな
り、また相手面への変形追随性が低下し、シール性が低
下する恐れがあるという問題点がある。
【0009】このような問題点を解決すべく、ゴム材料
が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形
追従性を保持しつつ、ゴム基材表面に低摩擦性、非粘着
性、耐摩耗性、耐プラズマ性を有するゴム材料を得るた
めに、本願出願人は、先に、上記(特開平11−17
2027号公報)にて、重合性二重結合含有モノマーと
重合開始剤と溶剤とを含有する処理液と、ゴム基材とを
接触させた後、得られた接触処理ゴム基材を加熱するこ
とにより、該モノマーを重合させ、ゴム基材表面とその
近傍を改質することを特徴とする表面改質ゴムの製造方
法を提案しており、該公報に記載の方法によれば、非粘
着性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性等に優れた表
面改質ゴムが製造できる。
【0010】また本願出願人は、:特開平11−19
9691号公報において、重合可能な官能基を2個以上
含有する官能基含有モノマーおよび溶剤を含有する処理
液を、ゴム基材と接触させて、少なくとも官能基含有モ
ノマーをゴム基材表面およびゴム基材内部に存在させた
後、得られた接触処理ゴム基材を加熱することにより、
該モノマーをその官能基間の反応により重合させ、ゴム
基材表面とその近傍の改質を行う、ゴムの表面改質法を
も提案しており、該公報に記載の方法によれば、非粘着
性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性等に優れた表面
改質ゴムが製造できる。
【0011】また、:特公平7−103258号公報
には、表面に多官能性不飽和化合物および有機過酸化物
を付着させた加硫フッ素ゴム成形品を該有機過酸化物分
解温度に加熱する、加硫ゴム成形品の表面処理方法が記
載され、該方法によれば、加硫フッ素ゴム成形品表面の
低摩擦化、非粘着化が可能である旨記載されている。ま
た、多官能性不飽和化合物としては、トリアリルイソシ
アヌレートなど非フッ素系化合物のみが挙げられてい
る。また、加硫フッ素ゴム成形品表面に上記多官能性不
飽和化合物および有機過酸化物を付着させる際に、アセ
トンなどにて可溶性溶媒溶液などとして用いられる旨記
載されている。
【0012】しかしながら、これらの公報〜に記載
のゴムの表面改質法では、非粘着性、低摩擦係数、低摩
耗性、低放出ガス性などの何れかには優れているものが
得られるとしても、これら特性のバランスの点では、さ
らなる改良の余地がある。
【0013】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、ゴム材料が本
来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従
性を保持しつつ、非粘着性、低摩擦係数、低摩耗性、低
放出ガス性などにバランス良く優れたフッ素ゴム成形体
が得られるような表面改質ゴム成形体の製造法、表面改
質ゴム成形体並びにその用途を提供することを目的とし
ている。
【0014】
【発明の概要】本発明に係る表面改質ゴム成形体の製造
法は、熱硬化性樹脂を硬化してなる官能基含有熱硬化樹
脂とフッ素ゴムとが含まれたフッ素ゴム基材(a)と、
上記官能基含有熱硬化樹脂中の反応性官能基と反応し得
る官能基を有する反応性モノマー(b-i)と、この熱硬化
樹脂と該モノマーとの反応を開始させる反応開始剤(b-i
i)とが含まれた処理液(b)とを接触させた後、得られ
た接触処理フッ素ゴム基材を加熱することにより該モノ
マーを重合させると共に該モノマーと上記熱硬化樹脂と
を反応させて、該基材表面とその近傍を改質することを
特徴としている。
【0015】本発明においては、上記処理液(b)と上
記フッ素ゴム基材(a)とを接触させて、ゴム基材中に
上記モノマーと反応開始剤を含浸させた状態で、上記モ
ノマーを重合させると共に、該モノマーと上記熱硬化樹
脂とを反応させることが好ましい。本発明においては、
上記処理液にゴム基材を浸漬することにより、該処理液
とゴム基材とを接触させることが好ましい。
【0016】本発明に係る表面改質ゴム成形体は、上記
何れかの方法で得られることを特徴としている。本発明
に係る上記表面改質ゴム成形体は、シール材用、特に液
晶・半導体製造装置用シール材、あるいはプラズマ処理
装置用シール材として好ましい。このような本発明によ
れば、ゴム材料が本来有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機
械的強度、変形追従性を保持しつつ、非粘着性、低摩擦
係数、低摩耗性、低放出ガス性などにバランス良く優れ
たフッ素ゴム成形体が得られるような表面改質ゴム成形
体の製造法、このような特性の表面改質ゴム成形体並び
にその好適な用途が提供される。
【0017】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る表面改質ゴム
成形体の製造法、表面改質ゴム成形体並びにその用途に
ついて、具体的に説明する。[表面改質ゴム成形体の製造法] 本発明に係る表面改質
ゴム成形体の製造法では、熱硬化性樹脂を硬化してなる
官能基含有熱硬化樹脂とフッ素ゴムとが含まれたフッ素
ゴム基材(a)と、上記官能基含有熱硬化樹脂中の反応
性官能基と反応し得る官能基を有する反応性モノマー(b
-i)と、この熱硬化樹脂と該モノマーとの反応を開始さ
せる反応開始剤(b-ii)とが含まれた処理液(b)と、を
接触させた後、得られた接触処理フッ素ゴム基材を加熱
することにより該モノマーを重合させると共に該モノマ
ーと上記熱硬化樹脂とを反応させて、該基材表面とその
近傍を改質している。
【0018】以下、上記フッ素ゴム基材(a)、処理液
(b)について説明する。<フッ素ゴム基材(a)> フッ素ゴム基材(a)として
は、フッ素ゴムに、熱硬化性樹脂を硬化してなる官能基
含有熱硬化樹脂を含むものが用いられる。本発明で用い
られるフッ素ゴム基材(a)としては、材質、形状、寸
法など特に限定されず、従来より公知の種々のものを用
いることができる。フッ素ゴム フッ素ゴムの材質としては、例えば、パーオキサイド架
橋可能なフッ素ゴムであると、より有効に該モノマーを
重合させフッ素ゴム中に固定化させることができて、非
粘着性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性などの機能
を発現させることができるので好ましい。
【0019】このようなフッ素ゴム(FKM)として
は、特開平11−172027号公報[0070]〜
[0071]に記載のものを好ましく用いることがで
き、具体的には、例えば、熱可塑性フッ素ゴム;テトラ
フルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル系共重合体;テトラフルオロエチレン/プロピレン系
共重合体;フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレ
ン系共重合体、フッ化ビニリデン/トリフルオロクロロ
エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン/ペンタフルオ
ロプロピレン系共重合体等の2元系のフッ化ビニリデン
系ゴム;フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/
ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデ
ン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル系共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフ
ルオロエチレン/プロピレン系共重合体等の3元系のフ
ッ化ビニリデン系ゴム;などを挙げることができる。こ
れらゴムは、放射線架橋されていてもよい。
【0020】このフッ素ゴムとしては、例えば、デュポ
ン社製の「カルレッツ(放射線架橋品)」、ダイキン工
業製の「ダイエルパーフロ」、「ダイエルG901」等
が上市されている。官能基含有熱硬化樹脂 フッ素ゴム基材(a)中に、このベースとなるフッ素ゴ
ムと共に配合される熱硬化樹脂としては、熱硬化性樹脂
を硬化させてなり、後述するモノマー中の官能基と反応
可能な官能基を有する(残存している)ものが用いられ
る。換言すれば、本発明者らは、硬化反応後において
も、硬化に関与しなかった官能基が一定割合で残存して
おり、本発明では、硬化(成形)後に残留しているこの
ような官能基をゴムの表面改質に利用することで、上述
したような優れた特性の表面改質ゴム成形体が得られて
いるのであろうと考えている。
【0021】熱硬化性樹脂を硬化してなる官能基含有熱
硬化樹脂(熱硬化樹脂)は、熱硬化性樹脂の硬化後であ
るにも拘わらず、官能基として、メチロール基、ビニル
基などが1種または2種以上含まれている。このような
熱硬化樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール
樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、ホル
ムアルデヒド樹脂、フラン樹脂等の水酸基(−OH)、
メチロール基(−CH2−OH)等の官能基を含有する
樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、トリアリルシアヌレー
ト樹脂等のビニル基を含有する樹脂;等が挙げられる。
【0022】これらの樹脂のうち、例えば、フェノール
樹脂の末端水酸基、メチロール基の存在は、フェノール
樹脂をアセトン−d6に溶解し、プロトンNMRを測定
することによって確認することができる。また、不飽和
ポリエステル樹脂の炭素−炭素二重結合の存在に関して
も、同上のNMR測定法により、炭素−炭素二重結合が
存在することに基づくピークを確認することができる。
【0023】これら熱硬化樹脂は2種以上混合して用い
てもよい。これら熱硬化樹脂は、微粉末状、繊維状、フ
レーク状などの何れの状態でゴム基材(a)中に含まれ
ていてもよい。ゴム基材(a)中における該熱硬化樹脂
配合量としては、加硫(架橋)されたフッ素ゴム100
重量部に対して、該熱硬化樹脂が5〜50重量部、好ま
しくは10〜30重量部であることが好ましい。熱硬化
樹脂量がこれより少ないと目的とする機能の効果すなわ
ちフッ素ゴム成形体に、非粘着性、耐摩耗性が発現しに
くく、また、熱硬化樹脂量がこれより多いと、得られる
フッ素ゴム成形体の圧縮永久歪が大きくなり、得られる
成形体をシール材として用いる場合に、そのシール寿命
が短くなる傾向がある。
【0024】<フッ素ゴム基材(a)の調製>このよう
な架橋・硬化したフッ素ゴムと、上記熱硬化樹脂とが含
まれたフッ素ゴム基材(a)を得るには、例えば、ベー
スとなる未架橋(未加硫)のフッ素ゴム100重量部に
対して、架橋剤(加硫剤、例:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t
-ブチルパーオキシ)ヘキサン)0.5〜5重量部、架
橋助剤(例:トリアリルイソシアネート)2〜10重量
部、補強剤(例:カーボンブラック)10〜60重量
部、および熱硬化樹脂0.1〜50重量部をオープンロ
ールを用いて従来より既知の方法で配合(混合)を行
い、次いで、所定のサイズのシール材用金型にこの混合
物を充填し、圧縮プレスにて、100〜200℃の温度
で1〜30分圧縮成型を行う。
【0025】このような圧縮成型後、二次加硫として、
100〜200℃で、1〜24時間加熱を行えばよい。
なお、本発明では、上記のようなフッ素ゴム基材(a)
を調製するには、上記熱硬化樹脂に代えて、未硬化の熱
硬化性樹脂を樹脂用硬化剤と共に用い、ゴム加硫時ある
いはゴム加硫後に、未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させる
ようにしてもよい。なお、本発明では、ゴムに熱硬化性
樹脂を配合した状態で、該熱硬化性樹脂を硬化させて用
いてもよい。
【0026】なお、このような熱硬化樹脂の平均粒径
は、10〜100μmであることが好ましい。この平均
粒径が上記範囲にあると、シール材として要求される強
度、柔軟性等の物性の確保ができ、しかもその表面積が
適度に大きく、モノマーと反応に有効な官能基が多く有
利となる傾向がある。このような粒径の熱硬化樹脂とし
ては、上市されているものを利用してもよい。
【0027】<処理液(b)>処理液(b)としては、
反応性モノマー(b-i)と、反応開始剤(b-ii)とを含有し
たものが用いられる。このうちの反応性モノマー(b-i)
は、上記官能基含有熱硬化樹脂中の官能基と反応し得る
官能基を有するモノマー(マクロモノマーを含む。)で
あり、また反応開始剤(b-ii)は、熱硬化樹脂中の反応性
官能基と該モノマーとの反応、あるいは該モノマー同士
の重合反応を開始させる働きなどを有している。反応性モノマー(b-i) 本発明では、該モノマー(b-i)としては、官能基含有含
フッ素化合物類(i)または官能基含有オルガノシロキサ
ン類(ii)が好適であり、このようなモノマーには、前記
熱硬化樹脂と反応しうる官能基を少なくとも1個該モノ
マー1分子中に有している。
【0028】該官能基としては、例えば、メチロール基
(−CH2−OH)、ビニル基(−CH=CH2)、(メ
タ)アクリロイル基[−CO−C(H、CH3)=C
2]、アミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−CO
OH)等が挙げられる。このようなモノマーのうちで
も、その数平均分子量Mnは、好ましくは、100〜2
0000、さらに好ましくは1000〜5000である
ことが望ましい。
【0029】このような官能基を有するモノマー(b-i)
としては、本願出願人が先に提案した特開平11−19
9691号公報[0058]〜[0077]欄に記載の官
能基含有含フッ素化合物類(i)または官能基含有オルガ
ノシロキサン類(ii)を使用できる。これらのうちでも、
上記官能基含有含フッ素化合物類(i)として上市されて
いるもののうちでは、アウジモント社製フォンブリン誘
導体シリーズ、住友3M社製フロラードシリーズなどが
好ましく、また官能基含有オルガノシロキサン類(ii)の
うちでは、信越化学社製変性シリコーンオイルシリー
ズ、チッソ社製サイラプレーンシリーズなどが好まし
い。 <含フッ素アルコール類>
【0030】
【表1】
【0031】<含フッ素脂肪族系アルコール類>(ダイ
キン工業社製) (5):3-パーフルオロブチル-2-プロペン-1-オル[ F(C
F2)4CH=CHCH2OH] (6):3-パーフルオロブチル-2-ヨードプロパノール[F(C
F2)6CH2CHICH2OH] (7):3-パーフルオロヘキシル-2-プロペン-1-オル[F(CF
2)6CH=CHCH2OH] (8):3-パーフルオロヘキシル-2-ヨードプロパノール[F
(CF2)6CH2CHICH2OH] (9):3-パーフルオロオクチル-2-プロペン-1-オル[F(CF
2)8CH=CHCH2OH] (10):3-パーフルオクチル-2-ヨードプロパノール[F(CF
2)8CH2CHICH2OH] (11):3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヨード
プロパノール[(CF3)2CF(CF2)4CH2CHICH2OH] (12):3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヨード
プロパノール[(CF3)2CF(CF2)6CH2CHICH2OH] <カルボキシル基またはハロゲン化カルボニル基含有化
合物類>(ダイキン工業社製) (13):3-クロロテトラフルオロプロピオン酸[CClF2CF2C
OOH] (14):3-クロロテトラフルオロプロピオニルクロライド
[CClF2CF2COCl] (15):3,4-ジクロロペンタフルオロブタン酸[CClF2CClF
CF2COOH] (16):3,4-ジクロロペンタフルオロブチリルクロライド
[CClF2CClFCF2COCl] (17):3,5,6-トリクロロオクタフルオロヘキサン酸[Cl
(CF2CClF)2CF2COOH] (18):3,5,6-トリクロロオクタフルオロヘキサノイルク
ロライド[Cl(CF2CClF)2CF2COCl] <含フッ素沃素化合物類>(ダイキン工業社製) (19):テトラフルオロ-1,2-ジヨードエタン[ICF2CF2I] (20):1,2-ジクロロトリフルオロヨードエタン[CF2ClCF
ClI] (21):オクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン[I(CF2)4I] (22):ドデカフルオロ-1,6-ジヨードヘキサン[I(CF2)
6I] (23):ヘキサデカフルオロ-1,8-ジヨードオクタン[I(CF
2)8I] <ハロアルカン類(除く沃素化合物)>(ダイキン工業
社製) (24):1-ブロモ-2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン[C
HClFCF2Br] (25):1,1,1,3-テトラクロロテトラフルオロプロパン[C
ClF2CF2CCl3] (26):1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン[CF3CBrFCB
rF2] (27):1,2,4,4,4-ペンタクロロペンタフルオロブタン[C
ClF2CClFCF2CCl3] (28):1,1,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン[Cl
(CF2CFCl)2Cl] (29):1,1,1,3,5,6-ヘキサクロロオクタフルオロヘキサ
ン[Cl(CF2CFCl)2CF2CCl3] (30):1,1,3,5,6-ペンタテトラクロロノナフフルオロヘ
キサン[Cl(CF2CFCl)3Cl]
【0032】
【表2】
【0033】<パーフロロアルキルシラン類> (35):CF3CH2CH2Si(OCH3)3[KBM-7103、 信越化学工業
社製] (36):CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3[KBM-7803、 信越化
学工業社製] <官能基含有オルガノシロキサン類(ii)>官能基含有
オルガノシロキサン類(ii)は、官能基の種類により、
(a)−COOH、(b)−OH、(c)−SH、(d)−OR、
(e)−NH2、(f)エポキシ基、(g)−Si−H、(h)−C
2Cl、(i)上記(a)〜(h)のうちの少なくとも2種の官
能基を含有するか、あるいは上記(a)〜(h)のうちの少な
くとも1種と必要によりさらにこれら以外の他の官能基
とを含有する異種官能基含有タイプに分類できる。
【0034】このような官能基含有オルガノシロキサン
類(ii)の分子量は、通常、100〜20,000、好
ましくは1,000〜5,000程度である。このよう
な官能基含有オルガノシロキサン類(ii)として、具体
的には、下記表3〜表15に示すものが挙げられ、これ
らの官能基含有オルガノシロキサン類(ii)のうちで
は、官能基(a)−COOH、(b)−OH、(c)−SH、(e)
−NH2、(f)エポキシ基、(g)−Si−H、(h)−CH2
Cl、(i)異種官能基を含有する化合物が好ましく、特
に官能基(a)−COOH、(e)−NH2、(f)エポキシ基、
(g)−Si−H、(h)−CHR2Clを含有する化合物が
好ましく用いられる。これら表に示す化合物番号(1)
〜(39)に示す官能基含有オルガノシロキサン類(i
i)のうちでは、化合物番号(1)〜(3)、(5)〜
(33)、(35)〜(39)に示すものが好ましく、
特に化合物番号(2)〜(3)、(7)〜(12)、
(14)、(17)〜(18)、(24)、(27)〜
(33)、(35)〜(37)、(39)が好ましく用
いられる。
【0035】これらの官能基含有オルガノシロキサン類
は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。なお、下記に記載の官能基含有オルガノシロキサン
類中、R、R’は、分子鎖中に存在する場合には単結合
またはアルキレン基を示し、分子末端に存在する場合に
はアルキル基を示し、Phは分子鎖中に存在する場合に
はフェニレン基を示し、分子末端に存在する場合にはフ
ェニル基を示し、POAは、ポリオキシアルキレン基を
示す。また、添字a、b、m、n、x,y等は、繰返し
単位数を示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】
【表12】
【0046】
【表13】
【0047】
【表14】
【0048】
【表15】
【0049】これら反応性モノマー(b-i)は1種または
2種類以上組み合わせて用いてもよい。反応開始剤(b-ii) 反応開始剤(重合開始剤)(b-ii)としては、過酸化物系
開始剤が好ましい。このような過酸化物系反応開始剤と
して、より具体的には、例えば、1,3-ビス(tert-ブチ
ルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルヒ
ドロパーオキシド、1,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-
ジヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5-ジ
メチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、
tert-ブチルクミルパーオキシドなどが挙げられる。
【0050】これら反応開始剤は、1種または2種以
上、組み合わせて用いてもよい。また、これら反応開始
剤を用いることにより、反応性モノマーと、熱硬化樹脂
中の官能基との間に以下のような反応が促進されるので
あろうと推定される。すなわち、例えば、熱硬化樹脂と
モノマー(b-i)の両者がメチロール基(-CH 2-OH)を
有する場合には、両者の水酸基間での脱水反応によりエ
ーテル結合の生成が起こり(また、さらに反応が進行す
る場合、生成したエーテル結合より酸素と炭素を含む分
子が離脱して、メチレン基となる可能性もある。)、フ
ッ素ゴム基材(a)中の該熱硬化樹脂部位を起点とす
る、該モノマー(b-i)から誘導される成分単位(モノマ
ーユニット)の数個の連鎖であるオリゴマーあるいは多
数個の連鎖であるポリマーが形成され、あるいはモノマ
ー同士間での重合反応が行われて、フッ素ゴム基材
(a)表面あるいはその近傍(基材中)の表面改質が行
われるのであろうと考えられる。
【0051】あるいは、熱硬化樹脂とモノマー(b-i)の
何れか一方がメチロール基(-CH2-OH)を有し、他
方がビニル基(-CH=CH2)を有する場合には、下記
式(ロ)に示すような反応が生じて、また、熱硬化樹脂
とモノマー(b-i)の何れか一方がメチロール基(-CH2-
OH)を有し、他方が基(-C(CH3)=CH2)を有
する場合には、下記式(ハ)に示すような反応が生じ
て、また、熱硬化樹脂とモノマー(b-i)の何れか一方が
メチロール基(-CH2-OH)を有し、他方がアミノ基
(-NH2)あるいはアミノメチル基(-CH2-NH2)を
有する場合には、下記式(ニ)に示すような反応が生じ
て、また、熱硬化樹脂とモノマー(b-i)の何れか一方が
メチロール基(-CH2-OH)を有し、他方がカルボキ
シル基(-COOH)を有する場合には、下記式(ホ)
に示すような反応が生じて、フッ素ゴム基材(a)表面
あるいはその近傍(基材中)の表面改質が行われるので
あろうと考えられる。
【0052】
【化1】
【0053】溶剤(溶媒) また、フッ素ゴム基材(a)に反応性モノマーおよび反
応開始剤が容易あるいは迅速に含浸しないような場合
は、フッ素ゴム基材(a)を膨潤させることのできる溶
剤に、上記反応性モノマーおよび反応開始剤を溶解させ
て、フッ素ゴム基材に、反応性モノマーおよび反応開始
剤を溶剤とともに含浸(導入)・拡散させてもよい。
【0054】溶剤としては、フッ素ゴム基材を膨潤させ
ることができ、反応性モノマーおよび反応開始剤を溶解
させることができれば、特に限定されない。本発明で
は、溶媒としては、モノマーの溶解度およびフッ素ゴム
基材の膨潤度の大小に関係なく使用できるが、その溶解
度および膨潤度の大きい溶媒の方が好ましい。
【0055】このような好ましい溶剤としては、特開平
11−172027号公報[0058]〜[0062]
欄に記載されているような、例えば、アセトン、メチル
エチルケトン(MEK)等のケトン類;ヘキサン、ヘプ
タン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(TH
F)等の脂肪族あるいは芳香族炭化水素類;クロロトリ
フルオロメタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類などが挙げられ、用いる
フッ素ゴム基材(エラストマー基材(a))の種類に応
じて1種または2種以上、適宜選定される。また、該溶
剤は最終的にフッ素ゴム基材の外部に蒸発等により留去
されるものであれば、溶剤の留去される時期は、該モノ
マー同士あるいは該モノマーと基材(a)との反応中で
も反応後でもいつでも良い。その他の成分 このような処理液(b)には、上記成分以外に、重合促
進剤(分解促進剤)、メチルハイドロジェンシリコーン
オイル等が含まれていてもよい。
【0056】重合促進剤(分解促進剤)としては、具体
的には、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッ
ケル、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、アビエ
チン酸コバルト等の高級カルボン酸の金属塩、あるいは
p-キノンジオキシム、エチレンジメタクリレート、N,N-
M-フェニレンビスマレイミド、トリアリルイソシアネー
ト等の有機系共架橋剤が用いられる。
【0057】なお、上記処理液にはさらにメチルハイド
ロジェンシリコーンオイル等が含まれていても良く、こ
のような処理液を使用することにより、得られるフッ素
ゴム成形体の非粘着特性をいっそう高めることができ
る。<処理液(b)の調製> このような処理液(b)を調製
するには、それぞれ上記のような量で該処理液に含まれ
る各成分であるモノマー(b-i)、反応開始剤(b-ii)に加
えて、必要により溶剤、さらには重合促進剤(分解促進
剤)、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどを任
意の順序で添加混合等すればよい。
【0058】本発明では、上記処理液(b)中には、官
能基含有含フッ素化合物類(i)および/または官能基含
有オルガノシロキサン類(ii)等のモノマー(マクロモノ
マー)(b-i)100重量部に対して、ジクミルパーオキ
シド等の反応開始剤(b-ii)は、通常10〜100重量
部、好ましくは20〜70重量部の量で、必要により用
いられるアセトン等の溶剤は、0〜10000重量部、
好ましくは0〜5000、特に100〜3000重量部
の量で含まれることが望ましい。
【0059】また、本発明の好ましい態様では、上記処
理液(b)には溶剤が含まれるが、このような上記処理
液(b)中には、溶剤のアセトンなど100重量部に対
して、モノマー(マクロモノマー)(b-i)の官能基含有
含フッ素化合物類(i)および/または官能基含有オルガ
ノシロキサン類(ii)等は、通常0.1〜50重量部、好
ましくは1〜40重量部の量で、反応開始剤(b-ii)のジ
クミルパーオキシド等は、通常0.1〜30重量部、好
ましくは1〜20重量部の量で含まれることが望まし
い。
【0060】このモノマー(b-i)(マクロモノマー)濃
度が、上記量より少ないと、処理されるフッ素ゴム基材
の表面での該モノマー存在量が少なくなりすぎ、また上
記量を超えると溶剤によるフッ素ゴム基材の膨潤効果が
薄れるため該モノマーを有効にゴム表面とその近傍(す
なわちフッ素ゴム基材内部)へ含浸、拡散できなくなる
傾向がある。
【0061】また、反応開始剤(b-ii)濃度が、上記量未
満ではラジカル生成濃度が少なすぎてフッ素ゴム基材表
面とその近傍において反応性モノマー(b-i)と熱硬化樹
脂とを反応させることができなくなったり、あるいは、
該モノマー同士を重合反応させて生じたポリマーを有効
にフッ素ゴム基材表面あるいはフッ素ゴム基材表面近傍
(内部)の熱硬化樹脂あるいはゴム分子鎖中に固定化さ
せることができなくなり、上記量を超えるとゴム表面と
その近傍での反応開始剤(b-ii)に基づく成分の存在量が
多くなりすぎてモノマーの化学構造例えば、シロキサン
結合に起因する部分の粘着性低減効果が小さくなると同
時に、本来、モノマーを重合反応させフッ素ゴム基材に
固定化(反応・固定化ともいう)させる役割で用いられ
ている反応開始剤(b-ii)が、その濃度増大に伴いゴム表
面付近の架橋反応に消費される量が増えてくるため、ゴ
ム表面付近の硬度上昇に伴うクラックに結びつきシール
性に悪影響をもたらす傾向がある。
【0062】いずれの成分の配合量の場合においても上
記範囲を外れると低摩擦性、非粘着性、耐摩耗性発現効
果が損なわれる傾向がある。なお、本発明においては、
モノマー(b-i)と反応開始剤(b-ii)と必要により溶剤と
を含有する上記処理液(a)と、上記フッ素ゴム基材
(b)とを接触させて、フッ素ゴム基材中にモノマー(b
-i)、反応開始剤(b-ii)さらには溶剤などを含浸、拡散
させた状態でフッ素ゴム基材(a)中の熱硬化樹脂とモ
ノマー(b-i)を反応させ、あるいはモノマー(b-i)同士を
重合させると、上記のようにフッ素ゴム基材表面あるい
はその近傍(すなわちフッ素ゴム基材内部)は改質され
るが、そのメカニズムは明かでない。
【0063】恐らくは、フッ素ゴム基材表面あるいはフ
ッ素ゴム基材内部で、反応開始剤(b-ii)が、熱エネルギ
ーにより分解し、活性化した反応開始剤(b-ii)によっ
て、熱硬化樹脂中の官能基とモノマー(b-i)とが反応を
生じて結合したり、モノマー(b-i)が重合してポリマー
(b-i)を生じ、このポリマーがフッ素ゴム基材中の熱硬
化樹脂を基点(アンカー)としてポリマーをフッ素ゴム
基材(a)表面あるいはその近傍に生じ、あるいはポリ
マー(b-i)がフッ素ゴム基材(a)を構成しているゴム
分子鎖あるいはゴム分子網目に一部絡み合うことにより
フッ素ゴム基材に固定化され、場合によっては、一部の
モノマー(b-i)あるいは一部の上記ポリマー(b-i)とフッ
素ゴム基材との反応も生じて、上記モノマー(b-i)ある
いはポリマー(b-i)はフッ素ゴム基材に固定化され、フ
ッ素ゴム基材の表面あるいはその近傍の改質が行われる
のであろうと推測される。
【0064】なお、必要により配合されるメチルハイド
ロジェンシリコーンオイルは、溶剤100重量部に対し
て、例えば、0〜100重量部の量で用いられる。[接触処理] 本発明では、例えば、上記のようにして得
られるフッ素ゴム基材(a)と、処理液(b)とを接触
させている。
【0065】この処理液(b)には、モノマー(b-i)、
反応開始剤(b-ii)、さらに溶剤などは、それぞれ上記し
たような量で含まれていることが好ましい。すなわち、
本発明では、上記処理液(b)中には、モノマー(マク
ロモノマー)(b-i)100重量部に対して、反応開始剤
(b-ii)は、通常10〜200重量部、好ましくは12.
0〜170重量部の量で、必要により溶剤を配合する場
合には、該溶剤は、0〜10000重量部、好ましくは
0〜5000、特に100〜3000重量部の量で含ま
れることが望ましい。
【0066】上記基材(a)と処理液(b)との接触方
法は特に限定されず、例えば、処理液(b)にフッ素ゴ
ム基材(a)を浸漬させてもよく、スプレー等の方法で
処理液を基材に吹付け、散布してもよく、刷毛等を用い
てフッ素ゴム基材(a)に処理液(b)を塗布してもよ
いが、上記処理液(b)にフッ素ゴム基材(a)を浸漬
することがフッ素ゴム基材表面に均一な処理層を形成で
きる点で好ましい。
【0067】また、この接触量、接触時間、温度、圧力
等は特に限定されないが、好ましい態様においては、例
えば、フッ素ゴム基材(a)を処理液(b)に常温(1
5〜25℃)、常圧(1気圧)下で接触させる場合に
は、通常1秒〜1日間程度、好ましくは1分〜60分間
程度接触させることが望ましい。このように処理液
(b)とフッ素ゴム基材(a)とを接触させると、例え
ば、該処理液中の溶媒分子のフッ素ゴム基材(a)中へ
の含浸・拡散がきっかけとなり、該モノマーおよび反応
開始剤(b-ii)がフッ素ゴム基材(a)中へ含浸・拡散
し、フッ素ゴム基材は次第に膨潤してくる。
【0068】このように膨潤した基材(a)は、通常、
速やかに、所定の容器に移し入れて、炭酸ガスや不活性
ガス(例:窒素ガス、ヘリウムガス)雰囲気下で、通
常、100〜250℃、好ましくは150〜200℃の
温度で、常圧(1気圧)下に、通常1〜72時間(3日
間)、好ましくは5〜36時間、保持(放置)あるいは
熱処理する。
【0069】また、減圧下に、好ましくは1.0×10
5Pa以下、さらに好ましくは1.0×10-2Pa以下
の条件で上記加熱処理を行ってもよい。このように減圧
にして、反応を阻害する酸素濃度を低減させた方が、該
モノマーを有効に反応・固定化させうるために好まし
い。本発明においては、上記のように処理液(b)とフ
ッ素ゴム基材(a)とを接触させて、フッ素ゴム基材中
にモノマー(b-i)、反応開始剤(b-ii)を含浸させた状態
で、熱硬化樹脂とモノマー(b-i)を反応させあるいはモ
ノマー(b-i)同士を重合させることが好ましい。
【0070】なお、該基材(a)に含浸・拡散している
モノマー、重合開始剤がブリードアウトしてしまわない
限り、適宜期間経過後に上記保持(あるいは加熱処理)
を行ってもよい。本発明では、上記のような条件下で、
フッ素ゴム基材(a)と処理液(b)とを接触処理して
いるので、フッ素ゴム基材(a)中の熱硬化樹脂とモノ
マー(b-i)との反応や、モノマー(b-i)同士の重合反応等
を充分に進行させて、フッ素ゴム基材の表面及びその近
傍の改質が可能であり、非粘着性、低摩擦係数、低摩耗
量、低放出ガス量等の特性にバランス良く優れた表面改
質ゴム成形体が得られるという効果が得られている。
【0071】[表面改質ゴム成形体およびその用途]
発明に係る表面改質ゴム成形体は、上記何れかの方法で
得られることを特徴としている。このような本発明に係
る表面改質ゴム成形体は、ゴム材料が本来有する圧縮永
久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従性を保持しつ
つ、非粘着性、低摩擦係数、低摩耗量、低放出ガス量等
の特性にバランス良く優れている。
【0072】本発明の表面改質ゴム成形体は、後述する
条件下で測定した場合の固着力(単位:N)で示す非粘
着性が、0〜2.5N、好ましくは0〜1.5Nであ
り、また、後述する条件下で測定した場合の摩擦係数
(単位:μ)が、0〜1.0μ好ましくは0〜0.6μ
であり、また、後述する条件下で測定した場合の摩耗量
(単位:mg)が、0〜80mg、好ましくは0〜50
mgであり、また、後述する条件下で測定した場合の放
出ガス量(単位:Pam3/sec)が、0〜3.0×
10-6Pam3/sec、好ましくは0〜9.0×10
-7Pam3/secである。
【0073】本発明に係る上記表面改質ゴム成形体は、
シール材用、特に液晶・半導体製造装置用シール材、あ
るいはプラズマ処理装置用シール材として好ましい。そ
の他に、下記のようなような用途に好適に使用できる。
例えば、化学機器、薬液配管・タンク類、食品製造装置
等のシール材など。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素ゴム材料が本来
有する圧縮永久歪、ゴム弾性、機械的強度、変形追従性
を保持しつつ、非粘着性、低摩擦係数、低摩耗性、低放
出ガス性などにバランス良く優れたフッ素ゴム成形体が
得られるような表面改質ゴム成形体の製造法、このよう
な特性の表面改質ゴム成形体並びにその好適な用途が提
供される。
【0075】本発明に係る上記表面改質ゴム成形体は、
シール材用、特に液晶・半導体製造装置用シール材、あ
るいはプラズマ処理装置用シール材として好ましい。
【0076】
【実施例】以下、本発明について実施例によりさらに具
体的に説明するが、本発明は係る実施例により何等限定
されるものではない。なお、以下の実施例、比較例等に
おける非粘着性、摩擦係数、摩耗性、放出ガス量の測定
条件などを以下に示す。<非粘着性> 図1に概念的に示す「レスカ社製タッキン
グ試験機タックII」を用いて、円柱状のSUS材をゴム材
表面に一定温度、一定荷重にて押し付け、一定時間後に
引き上げる時の力を測定した。以下に測定条件を示す。
【0077】試験装置:レスカ社製タッキング試験機タ
ックII、 押し付け材(相手材):SUS304φ5(mm)、 押し付け荷重:0.05MPa、 引き上げ速度(引離し速度):10mm/s、 温度:25℃、 押し付け時間(圧締時間):10分。 <摩擦係数>ヘイドン表面性試験機 TYPE:HEI
DON−14D(新東科学株式会社製)を用い、ボール
圧子(SUS φ6)法により被測定物(加硫ゴム成形
体)の摩擦係数を測定した。
【0078】図2に本試験の概略図を示す。このヘイド
ン表面性試験機では、図2に示すように垂直荷重用分銅
が支持部材を介してSUS製ボール上に取付られてお
り、このSUS製ボールをゴムシート上に垂直荷重用分
銅(200g)の重さで押し付ける。そして、ゴムシー
トを紙面に向かって右方向に一定速度で移動させるとき
に生じる摩擦力を計測する。
【0079】以下に試験条件を示す。 試験装置:新東科学社製HEIDON-14D、 押し付け材(測定治具):ボール圧子SUS304φ6(m
m)、 試料サイズ:50×100×2mm(厚)、 荷重:200g、 移動速度:5m/s、 温度:25℃。 <磨耗量>スラスト式摩擦摩耗試験機を用いて、図3に
概念的に示すような方法で被測定物(加硫ゴム成形体)
の摩耗量を測定した。
【0080】すなわち、被測定物(各加硫ゴム成形体)
1の上部に付番3で示すリング状の金属SS41をセッ
トし、この加硫ゴム成形体1の下方から上方のリング状
金属3に向かって押し付け荷重0.2MPaを加えた状
態で、速度0.1m/秒の条件のもとにこの加硫ゴム成
形体1上の金属リング3を回転させることにより、被測
定物の摩耗量を測定した。
【0081】摩耗量測定条件、摩耗量の算出法を以下に
示す。 [摩耗量測定条件] 機種:スラスト式摩擦磨耗試験機TT100C型(三井
造船(株)製) ゴムシート試料サイズ:縦40mm×横40mm×厚さ
2mm、 金属リングサイズ:外径φ25.6mm×内径φ20m
m×長さ8mm、 金属リング材質:SS41、表面粗さRmax:2μm
程度、 押し付け圧:0.2Mpa、 回転速度:0.1m/s、 摺動距離:5km、 雰囲気:温度23℃±2、相対湿度50%±10。 [摩耗量の算出法]上記した摩擦係数測定前後の試料の
重量変化より摩耗量を算出した。 <放出ガス量>図4に模式的に示すような放出ガス測定
装置を用いて、下記のような方法で加硫ゴム成形体(フ
ッ素ゴム成形体、ゴム材)の放出ガス量を測定した。
【0082】すなわち、一定体積のゴム材を測定室内に
入れ、測定室を10-6Paオーダーで50時間放置し、測
定室内の分圧の変化を電離真空計で測定し、放出ガス量
を求めた。以下に測定条件を示す。 ゴム材体積:7cm3 、 温度:25℃。
【0083】なお、以下の実施例、比較例などで用いた
成分の共重合成分組成、分子量、粘度、製造・販売元、
商品型番などの詳細は以下の通り。<注1>フッ素ゴム : (イ)商品型番「ダイエルG902」、 (ロ)製造販売元:ダイキン工業社製、 (ハ) ビニリデンフルオライド−ヘキサフフルオロプ
ロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、 (ニ)ムーニー粘度(ML1+10):約50、 (ホ)比重(23℃):1.90。
【0084】<注2>MTカーボンブラック : (イ)商品型番「ThcrmaxN−990」、 (ロ)製造元:Cancarb社、 (ハ)比重:1.8、 (ニ)平均粒径:450〜556mμ。
【0085】<注3> フェノール樹脂: (イ)商品型番「ベルパールR800」(実施例等では
この粉末をそのまま配合した。)、 (ロ)製造元:鐘紡社製、 (ハ) 基本構造:
【0086】
【化2】
【0087】(ニ)比重1.26、 (ヘ)嵩密度:0.4g/cc。<注4> メタクリル変性シリコーンモノマー : (イ)商品型番:「X-22-164B」 (ロ)製造元:信越化学工業(株)製、 (ハ)基本構造:
【0088】
【化3】
【0089】(ニ)粘度(25℃):58cSt、 (ホ)比重(25℃):0.98。<注5> アミノ変性シリコーンモノマー (イ)商品型番:「KF-865」、 (ロ)製造元:信越化学工業(株)製、 (ハ)基本構造:
【0090】
【化4】
【0091】(n:繰り返し単位数) (ニ)粘度(25℃):90cSt、 (ホ)比重(25℃):0.96。<注6> パーフルオロポリエーテルカルボキシル変性
シリコーンモノマー (イ)商品型番:「GALDEN MOND ACI
D」、 (ロ)製造元:アウジモント社製、 (ハ)基本構造:
【0092】
【化5】
【0093】(p、q:繰り返し単位数) (ニ)動粘度(20℃):11cSt、 (ホ)密度(20℃):1.77g/cm3
【0094】
【実施例1】 <フッ素ゴム基材用の配合組成A> フッ素ゴム(ダイキン工業(株)製、商品名「G902」、注1)100重量部 MTカーボンブラック (注2) 20重量部 フェノール樹脂(注3) 10重量部 2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5重量 部 トリアリルイソシアヌレート 4重量部 <加硫ゴム成形品の製造>上記配合物Aについて170
℃、15分間のプレス加硫および180℃、4時間のオ
ーブン加硫を行い、140mm×180mm×2mm
(厚)の加硫シートAを作成した。 <フッ素ゴム基材の処理液による表面処理>この加硫シ
ート(表面未処理の加硫ゴム材)Aを、下記の反応性モ
ノマー溶液Aに10分間浸漬した後、別の容器に移し
て、N2ガス雰囲気中で170℃、8時間熱処理を行っ
た。
【0095】得られた表面処理フッ素ゴム成形体Aにつ
いて、上記方法にて、非粘着性、摩擦係数、磨耗量およ
び放出ガス量を測定したところ、非粘着性は0.9N、
摩擦係数は0.47μ、磨耗量は12.5mg、放出ガ
ス量は7.6×10-7 Pa・m3/sとなった。 (反応性モノマー溶液A) アセトン 100重量部 メタクリル変性シリコーンモノマー(X-22-164B、信越化学社製、注4) 10重量部 ジクミルパーオキシド 5重量部
【0096】
【実施例2】実施例1において、反応性モノマー溶液と
して、下記のアミノ変性シリコーンモノマー(KF−8
65、信越化学社製)含む溶液Bを用いた以外は、実施
例1と同様にして表面処理フッ素ゴム成形体Bを作成
し、得られた表面処理フッ素ゴム成形体について、上記
と同様の方法にて、非粘着性、摩擦係数、磨耗量および
放出ガス量を測定したところ、非粘着性は0.7N、摩
擦係数は0.38μ、磨耗量は13.3mg、放出ガス
量は5.9×10-7 Pa・m3/sとなった。 (反応性モノマー溶液B) アセトン 100重量部 アミノ変性シリコーンモノマー(KF-865、信越化学社製、注5) 10重量部 ジクミルパーオキシド 5重量部
【0097】
【実施例3】実施例1において、反応性モノマー溶液と
して、下記のパーフルオロポリエーテルカルボキシル変
性シリコーンモノマー(アウジモント社製)を含む溶液
Cを用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理フッ
素ゴム成形体を作成し、得られた表面処理フッ素ゴム成
形体Cについて、上記と同様の方法にて、非粘着性、摩
擦係数、磨耗量および放出ガス量を測定したところ、非
粘着性は0.4N、摩擦係数は0.25μ、磨耗量は1
0.1mg、放出ガス量は3.7×10-7 Pa・m3
/sとなった。 (反応性モノマー溶液C) アセトン 100重量部 パーフルオロポリエーテルカルボキシル変性シリコーンモノマー(アウジモン ト社製、注6) 10重量部 ジクミルパーオキシド 5重量部
【0098】
【比較例1】実施例1において作成した加硫シートA
を、表面処理することなくそのまま用いた以外は、実施
例1と同様にした。得られた加硫シートAについて、上
記と同様の方法にて、非粘着性、摩擦係数、磨耗量およ
び放出ガス量を測定したところ、非粘着性は2.7N、
摩擦係数は0.88μ、磨耗量は53.9mg、放出ガ
ス量は2.8×10-7 Pa・m3/sとなった。
【0099】
【比較例2】 <フッ素ゴム基材用の配合組成D> フッ素ゴム(ダイキン製品G902) 100重量部 MTカーボンブラック 20重量部 2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5重量部 トリアリルイソシアヌレート 4重量部 <加硫ゴム成形品の製造>上記熱硬化樹脂未配合の配合
物Dについて170℃、15分間のプレス加硫および1
80℃、4時間のオーブン加硫を行い、140mm×1
80mm×2mm(厚)の加硫シートDを作成した。 <フッ素ゴム基材の処理液による表面処理>この加硫シ
ート(表面未処理の加硫ゴム材)Dを、上記実施例1の
反応性モノマー溶液Aに10分間浸漬した後、別の容器
に移して、N2ガス雰囲気中で170℃、8時間熱処理
を行った。
【0100】得られた表面処理フッ素ゴム成形体Dにつ
いて、上記方法にて、非粘着性、摩擦係数、磨耗量およ
び放出ガス量を測定したところ、非粘着性は0.8N、
摩擦係数は0.45μ、磨耗量は89.7mg、放出ガ
ス量は4.7×10-6Pa・m3/sとなった。 (反応性モノマー溶液A) アセトン 100重量部 メタクリル変性シリコーンモノマー(X-22-164B、信越化学社製)10重量部 ジクミルパーオキシド 5重量部
【0101】
【比較例3】比較例2において、フッ素ゴム基材の処理
液による表面処理の際に、実施例2の反応性モノマー溶
液Bを用いた以外は、比較例2と同様にした。得られた
表面処理フッ素ゴム成形体Eについて、上記方法にて、
非粘着性、摩擦係数、磨耗量および放出ガス量を測定し
たところ、非粘着性は0.9N、摩擦係数は0.55
μ、磨耗量は65.2mg、放出ガス量は5.2×10
-6Pa・m3/sとなった。 (反応性モノマー溶液B) アセトン 100重量部 アミノ変性シリコーンモノマー(KF-865、信越化学社製) 10重量部 ジクミルパーオキシド 5重量部
【0102】
【比較例4】比較例2に示す加硫シートDについて、反
応性モノマー溶液による表面処理をせずに、そのまま用
いた。得られた表面処理していないフッ素ゴム成形体
(加硫ゴムシート)Fについて、上記方法にて、非粘着
性、摩擦係数、磨耗量および放出ガス量を測定したとこ
ろ、非粘着性は4.5N、摩擦係数は1.12μ、磨耗
量は149.9mg、放出ガス量は1.5×10-7Pa
・m3/sとなった。
【0103】これらの実施例、比較例の試験結果を併せ
て表16に示す。
【0104】
【表16】
【0105】<考察>上記実施例1〜3によれば、本発
明品は、非粘着性、低摩擦性、耐磨耗性を兼ね備えてい
ることが分かる。また、放出ガス量についても、本発明
のように熱硬化樹脂とフッ素ゴムとを含むフッ素ゴム基
材(a)を用いる場合には、比較例2〜3に示すよう
に、基材として熱硬化樹脂を含まないフッ素ゴムを用
い、該フッ素ゴムについて反応性モノマー溶液による表
面処理を行う場合と比較して、放出ガス量が大きく低減
されていることが分かる。
【0106】このように、本発明に係る表面処理フッ素
ゴム成形体は、非粘着性、低摩擦性、耐磨耗性、低放出
ガス特性にバランス良く優れている。従って、本発明の
表面処理フッ素ゴム成形体は、半導体製造装置などのク
リーン度が要求されるシール材として好適に使用可能
で、さらに非粘着性、耐磨耗性などの機能を有している
ことによりゲート弁などの摺動部分での使用が推奨され
る。
【0107】ところで、比較例1と比較例4とを対比す
ると、共に表面処理を行わない点で共通し、熱硬化樹脂
をゴム材に配合するか(比較例1)否か(比較例4)の
点で相違する。比較例4に示すように、熱硬化樹脂を配
合していないゴム材を表面処理せずに用いる場合に比較
して、比較例1に示すような熱硬化樹脂を配合したゴム
材を表面処理せずに用いる場合には、非粘着性、摩擦係
数、磨耗量ともに改善が見られるが、本発明の実施例1
〜3に比してその改善レベルは低い。
【0108】また、熱硬化樹脂を含まないフッ素ゴム基
材について、反応性モノマー含有溶液による表面処理の
み行う場合は、非粘着性および摩擦係数について効果の
発現は見られるが、耐磨耗性に十分な効果が見られず、
放出ガス特性に劣る結果が得られた。このように、本発
明によれば、あらかじめ反応活性点をもつ樹脂をゴム材
料に配合しておき、その後、非粘着性、耐磨耗性、低摩
擦性等の機能発現に寄与するような表面状態を形成する
反応性モノマー(マクロモノマー)を内部に含浸させる
ことによって、ゴム表面近傍での反応性モノマーの反応
固定化が従来よりも良好に進み、非粘着性、耐磨耗性、
低摩擦性の機能を発現させることが可能となっており、
用いられた上記モノマーに起因して高機能が発現すると
ともに、表面処理されたゴム成形体内における未反応の
モノマー量が減っており、真空シール材として使用され
た場合に放出ガス量が少なくなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、フッ素ゴム基材の相手部材に対する粘
着力測定方法の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例、比較例において、摩
擦係数を測定するためのヘイドン表面性試験機の原理説
明図である。
【図3】図3は、本発明の実施例、比較例で用いられる
摩擦摩耗試験機(松原式摩擦摩耗試験機)の原理説明図
である。
【図4】図4は、放出ガス量測定装置の概念図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂を硬化してなる官能基含有熱
    硬化樹脂とフッ素ゴムとが含まれたフッ素ゴム基材
    (a)と、 上記官能基含有熱硬化樹脂中の反応性官能基と反応し得
    る官能基を有する反応性モノマー(b-i)と、この熱硬化
    樹脂と該モノマーとの反応を開始させる反応開始剤(b-i
    i)とが含まれた処理液(b)とを接触させた後、得られ
    た接触処理フッ素ゴム基材を加熱することにより該モノ
    マーを重合させると共に該モノマーと上記熱硬化樹脂と
    を反応させて、該基材表面とその近傍を改質することを
    特徴とする表面改質ゴム成形体の製造法。
  2. 【請求項2】上記フッ素ゴム基材(a)と上記処理液
    (b)とを接触させて、ゴム基材中に上記モノマーと反
    応開始剤を含浸させた状態で、上記モノマーを重合させ
    ると共に、該モノマーと上記官能基含有熱硬化樹脂とを
    反応させることを特徴とする請求項1に記載の表面改質
    ゴム成形体の製造法。
  3. 【請求項3】上記処理液(b)に上記フッ素ゴム基材
    (a)を浸漬することにより、該処理液とゴム基材とを
    接触させることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記
    載の表面改質ゴム成形体の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れかの方法で得られるこ
    とを特徴とする表面改質ゴム成形体。
  5. 【請求項5】前記表面改質ゴム成形体が、シール材用で
    あることを特徴とする請求項4に記載の表面改質ゴム成
    形体。
  6. 【請求項6】前記シール材が液晶・半導体製造装置用シ
    ール材であることを特徴とする請求項5に記載の表面改
    質ゴム成形体。
  7. 【請求項7】前記シール材がプラズマ処理装置用シール
    材であることを特徴とする請求項5に記載の表面改質ゴ
    ム成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006036884A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Nippon Valqua Ind Ltd シール材、その製造方法および処理剤
JP2014118536A (ja) * 2012-12-19 2014-06-30 Mitsubishi Cable Ind Ltd 含フッ素エラストマー組成物およびゴム部材
JP2020070326A (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 三菱電線工業株式会社 未架橋フッ素ゴム組成物及びそれを用いて製造されるゴム製品

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