JPH11199691A - ゴムの表面改質法および該方法で得られたゴム成形体 - Google Patents
ゴムの表面改質法および該方法で得られたゴム成形体Info
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- JPH11199691A JPH11199691A JP10003302A JP330298A JPH11199691A JP H11199691 A JPH11199691 A JP H11199691A JP 10003302 A JP10003302 A JP 10003302A JP 330298 A JP330298 A JP 330298A JP H11199691 A JPH11199691 A JP H11199691A
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Abstract
能基含有モノマーおよび溶剤を含有する処理液を、ゴム
基材と接触させて、少なくとも官能基含有モノマーをゴ
ム基材表面およびゴム基材内部に存在させた後、得られ
た接触処理ゴム基材を加熱することにより、該モノマー
をその官能基間の反応により重合させ、ゴム基材表面と
その近傍の改質を行うことを特徴とするゴムの表面改質
法。上記官能基含有モノマーが、官能基含有含フッ素化
合物類および/または官能基含有オルガノシロキサン類
であることが好ましい。 【効果】 ゴム材料が本来有する強度、圧縮永久歪、シ
ール性、変形追従性等の特性を保持しつつ、非粘着性、
低摩擦性、耐摩耗性および耐プラズマ性に優れたゴム成
形体が得られる。
Description
該方法で得られるゴム成形体に関し、さらに詳しくは、
ゴム材料が本来有する強度、圧縮永久歪、シール性、変
形追従性等の特性を保持しつつ、非粘着性、低摩擦性、
耐摩耗性および耐プラズマ性に優れたゴム成形体が得ら
れるようなゴムの表面改質法並びに該方法で得られたこ
れら特性を有するゴム成形体に関する。
性、非粘着性、耐摩耗性を付与する手法としては、下記
〜に示すようなゴム材自体を改質する方法、〜
に示すようなゴム材の表面あるいはその近傍を改質する
方法などが知られている。
リエステル等の樹脂粉末を混入する方法(固体潤滑剤添
加法)、 ゴム材料にPEG、シリコーンオイル、フッ素化オイ
ル等のオイルを混入する方法(ブリード法)、 ゴム成形体の表面を樹脂にて被覆する方法(表面被覆
法)、 ゴム成形体の表面に架橋剤を含浸させ、加熱によりゴ
ム表面近傍での架橋を進行させる方法(架橋剤含浸
法)、 ゴム成形体の表面から内部に、ゴムと相溶性のあるモ
ノマーを含浸し重合させることにより、その表面近傍を
硬化させる方法(表面重合硬化法:特開平4-2022
39号公報参照)など。
は、ゴム成形体の表面にゴム材料に混入されている固体
潤滑剤が突出しにくいことなどから、低摩擦性、非粘着
性などの機能が充分に発現しない。しかしながら、この
固体潤滑剤添加法において、ゴム材表面の上記機能を向
上させるために固体潤滑剤をゴム基材に多量に添加すれ
ば、上記機能を向上させることができるとしても、得ら
れるゴム成形体の機械的強度およびゴム弾性が低下し、
相手材への追従性が劣るようになる傾向があり、その上
圧縮永久歪も大きくなる傾向がある。
機械的強度が小さく、しかもゴム材に混入されているオ
イルのブリード(滲出)速度が大きく、またそのブリー
ド量に応じてゴム成形体表面の潤滑性が異なったり、ブ
リード完了後には、急激にゴム成形体の摩擦係数が上昇
するなどの現象が見られ、ゴム成形体は、長期間に渡っ
て安定した潤滑性を保持することができない。また、ゴ
ム成形体から滲出したオイルが相手材を汚染したりする
という問題点もある。
体を構成しているゴム成形体と表面被覆層との密着性が
低下する虞があるため、シール部材として実際に機器に
組み込んで動的状態で使用するには不向きであり、また
樹脂被覆成形体表面のゴム弾性が低下して相手材への追
随性が劣るようになる傾向がある。
の表面にその表面エネルギーを低下させ得る物質をゴム
材表面に介在・被覆させるかゴム材に配合することによ
り、低摩擦性、非粘着性などの機能を発現させようとし
ているのに対して、架橋剤含浸法では、ゴム材表面近
傍を架橋処理することにより表面硬度を上昇させ、主に
相手面との接触面積を低下させることでその機能を発現
させようとしている。しかしながら、この架橋剤含浸法
では、ゴム成形体表面の組成自体は他の部位と変わら
ないのでその機能発現レベルは、表面架橋の度合いに依
存する。それゆえ、機能発現レベルを上げるべくゴム材
表面近傍(表面層)での架橋を進行させるとゴム成形体
表面でのクラック発生がさらに進行するとともに、相手
面への変形追随性が劣るようになるため、このようなゴ
ム成形体をシール部材として使用した場合には、漏洩に
つながり易いという問題点がある。
ように、表面重合硬化法では、ゴム材に含浸・重合さ
せるモノマーとしては、該ゴム材と相溶性を有するモノ
マーに限定され、かつ、該モノマーとしては、ゴム網目
鎖中へ拡散可能なように(メタ)アクリル酸及びその誘
導体など、その分子量が比較的小さなものしか、ゴム材
表面近傍に有効に拡散できず、ゴム材とモノマーとの相
溶性が乏しければ乏しいほど換言すれば溶解度指数が相
違するほど、またモノマーの分子量が大きければ大きい
ほど、該モノマーをゴム材表面近傍に含浸・拡散させる
ことは困難となり、従って低摩擦性、非粘着性、耐摩耗
性等の機能をゴム成形体表面に効果的に発現させること
も困難となる。
て、もしモノマーとしてシリコン系モノマーやフッ素系
モノマーを用いることができれば、ゴム成形体の表面エ
ネルギーは著しく低減でき、低摩擦性、非粘着性、耐摩
耗性、シール性等の機能発現に最も効果的であろうと思
われるが、これらのモノマーと殆どのゴムとの組み合わ
せにおいて相溶性が乏しく、例えば、シリコン系モノマ
ーとHNBR,NBR,SBR,ACM,FKM,C
R,CSM,T,CO,ECO,ACM,ANMあるい
はUの組み合わせ、およびフッ素系モノマーと、HNB
R,NBR,Q,SBR,ACM,CR,CSM,T,
CO,ECO,ACM,ANMあるいはUの組み合わせ
において、相溶性が乏しい。
リコン系モノマーやフッ素系モノマーを広範なゴム材の
表面近傍に含浸・拡散させ、重合して、低摩擦性、非粘
着性、耐摩耗性等に優れたゴム成形体を得ることができ
ない。しかもこの表面重合硬化法では、得られるゴム
成形体の表面硬度が上昇すれば、前記架橋剤含浸法と
同様、その表面に微細クラックが生じやすくなり、また
相手面への変形追随性が低下する傾向があり、シール性
が低下する虞がある。
ブリード法のようなゴム材自身を改質する方法では、
ゴム材の表面あるいはその近傍だけを改質することはで
きず、固体潤滑剤等をゴム材に添加することにより、得
られるゴム成形体の機械的強度、圧縮永久歪、ゴム弾性
など、ゴム材自体の物性が低下するとの問題点があり、
また表面被覆法、架橋剤含浸法、表面重合硬化法
のようなゴム材表面あるいは表面近傍を改質する方法で
は、得られたゴム成形体の表面近傍が硬化して微細クラ
ックが生じたり、相手面に対する変形追随性が低下する
との問題点があり、さらに、表面被覆法では、ゴム材
と異なる性質を持つ被覆材は、内部のゴム材との相溶性
に欠けるためゴム材の表面に固定化できず、ゴム材と表
面被覆層との密着性が乏しくなるとの問題点もある。
-301725号公報)には、フッ素ゴムを加硫してフ
ッ素ゴムに二重結合を形成させる工程、前記フッ素ゴム
表面に反応性シリコーン樹脂を浸透させる工程、前記浸
透せしめた反応性シリコーン樹脂をフッ素ゴムと反応さ
せる工程を含む非粘着性フッ素ゴムの製造方法が開示さ
れ、フッ素ゴム表面に反応性シリコーン樹脂を浸透させ
る工程としては、アセトン等の溶媒に反応性シリコーン
樹脂を溶解させてなる反応性シリコーン樹脂溶液へフッ
素ゴムを浸漬させる方法が挙げられている。しかしなが
ら、該方法によれば、表面非粘着処理可能なゴムとして
は、二重結合が導入されたフッ素ゴムに限定され、表面
処理に使用可能な表面改質剤の種類も限定されている。
また、この特許(特許第2536777号)では、表面
改質剤として反応性シリコーン樹脂を用いている。この
シリコーン樹脂は、高分子化合物であるため、ゴム基材
を該特許文献に記載されているような溶媒にて膨潤させ
ても、分子量が大きすぎるためゴム表面から内部に含浸
させることは困難である。
に表面改質剤として記載されているような高分子化合物
を含めてゴムの表面改質が期待できそうな種々の高分子
化合物を如何にしてゴム表面のみならず、ゴム表面層
(ゴム内部)に存在させ、効果的にゴムの表面改質を行
うかという課題を解決しようとして鋭意研究を重ねたと
ころ、この特許文献に記載されているように、高分子化
合物をそのまま溶剤とともにゴム内に浸透(含浸)させ
ようとしても困難であるが、モノマーの状態であれば分
子量も小さくゴム内に含浸させ易く、また、官能基がモ
ノマー中に存在すると一般的にポリマーへのモノマーの
溶解性が増す傾向にあることなどを見出すと共に、表面
改質剤として、高分子化合物を構成する官能基含有モノ
マーを溶剤で膨潤されたゴム内に含浸させ、ゴム内で重
合させて高分子化させると、ゴム材料が本来有する圧縮
永久歪等の特性を保持しつつ、低摩擦性、非粘着性、耐
摩耗性、耐プラズマ性に優れ、耐オゾン性、耐油膨潤性
など、用いられるモノマーの構造に起因した機能が発現
した表面改質ゴムが得られることなどを見出して、本発
明を完成するに至った。
のうちで、特にフッ素ゴム系のものは、耐熱性、耐薬品
性、耐プラズマ性に優れるとともに、ポリマー自身が安
定であり、他のゴム基材に一般的に用いられる老化防止
剤等のような、半導体製品等の汚染原因となるような不
純物が配合されないため、材料自身の純粋性に優れると
いう利点があり、液晶・半導体製造装置用、食品工業用
等のシール材として用いられている。
は、例えば、装置の開閉部に装着して使用すると、相手
材と固着し易いという性質(固着性、粘着性ともいう)
があり、装置の開閉作業性に劣るという問題点がある。
しかも、この固着性はフッ素ゴム系シール材が高温で用
いられるほど顕著に現れる傾向があり、従来のフッ素ゴ
ム系成形体では、常温以上の温度で用いられることも多
い上記液晶・半導体製造装置用、食品工業用等のシール
材としては、低摩擦性、非粘着性等の点で改良の余地が
あった。さらに、半導体装置として、近年プラズマ発生
装置が用いられるようになっており、真空下に効率よく
所望のプラズマを発生させるべく、プラズマ発生装置に
代表されるプラズマ処理装置のシール材には、プラズマ
に対する耐久性が要求されるとともに、チャンバー内等
のクリーンな真空状態を維持できるように、シール材自
身からガス等を放出しないような性質(低ガス放出性)
も求められる。
問題点を解決しようとするものであって、ゴム材が本来
有する強度、圧縮永久歪、シール性、変形追随性等の特
性を保持しつつ、非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性および
耐プラズマ性に優れ、耐オゾン性、耐油性など、用いら
れるモノマーの構造に起因した機能が発現できるゴム成
形体が得られるようなゴムの表面改質法を提供すること
を目的としている。
圧縮永久歪、シール性、変形追随性等の特性を保持しつ
つ、非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性および耐プラズマ性
に優れ、耐オゾン性、耐油性など、用いられるモノマー
の構造に起因した機能が発現できるゴム成形体を提供す
ることを目的としている。
可能な官能基を2個以上含有する官能基含有モノマーお
よび溶剤を含有する処理液を、ゴム基材と接触させて、
少なくとも官能基含有モノマーをゴム基材表面およびゴ
ム基材内部に存在させた後、得られた接触処理ゴム基材
を加熱することにより、該モノマーをその官能基間の反
応により重合させ、ゴム基材表面とその近傍の改質を行
うことを特徴としている。
ーが、官能基含有含フッ素化合物類および/または官能
基含有オルガノシロキサン類であることが好ましい。本
発明においては、上記官能基含有モノマーとして、−O
H基類、−SH基類、−NH2基類、−COOH基類、
≡Si−H基類、−SO2H基類、−SO3H基類、−N
HNH2・HCl基類のうちから選択される水素供与基
を官能基として有する付加重合反応可能なモノマーと、
として有する付加重合反応可能なモノマーとを併用する
ことが好ましい。本発明においては、上記官能基含有モ
ノマーとして、−COOH基、=(CO)2O基、−C
HO基、−COX基(X:ハロゲン原子)、−SO2X
基(X:ハロゲン原子)、−CH2X基(X:ハロゲン
原子)、のうちから選択される官能基を有する縮重合反
応可能なモノマーと、−NH2基、−CONH2基、−S
O2NH2基、−CSNH2基、−OH基、−CH2OH
基、≡Si−OH基、−Ph−OH基(Ph:フェニレ
ン基)、−NHOH基、=NOH基、のうちから選択さ
れる官能基を有する縮重合反応可能なモノマーとを併用
することが好ましい。
ーが、≡Si−OH基を有する官能基含有モノマーであ
る場合には、上記モノマーと共に、Si−OOCR基、
Si−ON=C(R)R’基、Si−OR基、Si−N
RR’基、Si−ONRR’基、Si−OC(CH2)
CH3基、Si−H基、Si−NH2基(但し、R,R’
は有機基を示す)の何れかを有する官能基含有モノマー
を併用することが好ましい。
触媒および/または促進剤(反応促進剤)を含有してい
ることが好ましい。本発明では、上記官能基含有モノマ
ーが、官能基含有含フッ素化合物類および/または官能
基含有含オルガノシロキサン類であることが好ましい。
することにより、該処理液とゴム基材とを接触させるこ
とが好ましい。このような本発明によれば、種々のゴム
材料が本来有するゴム弾性、圧縮永久歪、機械的強度、
変形追従性を保持しつつ、低摩擦性、非粘着性、耐摩耗
性および耐プラズマ性に優れ、耐オゾン性、耐油膨潤性
(耐油性)など、用いられるモノマーの構造に起因した
機能が発現できるゴム成形体が得られる。このようなゴ
ム成形体は、例えば、シール材として各種分野で好適に
用いることができ、液晶・半導体製造装置用のシール
材、特に液晶・半導体製造用プラズマ処理装置関連のシ
ール材として好適に用いることができる。
質法、該方法で得られたゴム成形体について具体的に説
明する。
能な官能基を2個以上含有する官能基含有モノマーおよ
び溶剤を含有する処理液(a)を、ゴム基材(b)と接触させ
て、少なくとも官能基含有モノマーをゴム基材表面およ
びゴム基材内部に存在させた後、得られた接触処理ゴム
基材を加熱することにより、該モノマー同士をその官能
基間の反応により重合させ、該重合物をゴム基材に固定
化させ、ゴム基材表面とゴム基材の内部、特にその表面
近傍の改質を行っているが、このようにゴム基材(b)と
接触させる、官能基含有モノマーと溶剤とを含有する処
理液(a)についてまず初めに説明する。
官能基含有モノマーは、分子骨格中に重合可能な官能基
を2個以上有するモノマーである。このような官能基含
有モノマーが、その1分子中に2個以上の重合可能な官
能基を少なくとも2種以上有し、これら2種以上の官能
基のうちの少なくとも2種が、互いに重合可能な官能基
である場合には、このような官能基含有モノマーを1種
類用いることにより、ポリマーを得ることができる。
その1分子中に2個以上の重合可能な官能基を1種のみ
有する場合には、重合可能な官能基を有する官能基含有
モノマーを2種以上組み合わせて用いることにより、ポ
リマーを得ることができる。なお、本明細書中では、
「ポリマー」なる語は、通常、一般的な意味で用いる
が、場合により2〜3量体程度の低重合物をも包含する
意味で用いることがあり、また「重合」なる語も、2〜
3量体程度の低重合度の重合物の生成に対しても用いる
ことがある。
組み合わせて用いられ、重合可能な官能基を2個以上有
する官能基含有モノマーとしては、(i)官能基含有含
フッ素化合物類と、(ii)官能基含有オルガノシロキサ
ン類が挙げられ、本発明では(i)または(ii)のいず
れか一方を単独で用いてもよく、(i)と(ii)の両方
を併用してもよい。
能基含有オルガノシロキサン類は、低摩擦・非粘着性等
をゴム成形体に付与する部位(表面改質基)を有し、か
つモノマー含浸後の加熱処理時に重合性を示す部位(官
能基)を2個以上を有するモノマーあるいはマクロモノ
マーであって、ゴム基材を、このような成分(i)及び
/または(ii)が含まれた処理液(a)で含浸処理し、加
熱処理することにより、耐摩耗性、低摩擦性および非粘
着性等に優れたゴム成形体を製造することができる。こ
こでマクロモノマーとは、通常、その分子量が数百〜数
万程度であり、上記官能基を有し、モノマーとみなし得
る化合物をいう。なお、このような官能基含有モノマー
は、単独で広範なゴム基材に含浸あるいは浸入させよう
としても、分子量が大きかったり、一般にゴム基材との
相溶性が乏しいなどのため、含浸(浸入)させることが
できないが、本発明では、該モノマーと、該モノマーに
対して相溶性のある溶剤とを一緒にした処理液(a)を用
いてゴム基材(b)を処理しているので、溶剤によりゴム
基材を膨潤させ、ゴム基材内部に該モノマーおよび必要
により触媒を良好に含浸・存在させて、該モノマーをゴ
ム基材内部(表面近傍)およびゴム基材表面で重合させ
ることができ、上記のような優れたゴム成形体を得るこ
とができる。
素化合物類(i)は、表面改質基として、低摩擦・非粘
着性等をゴム成形体に付与せしめる(ポリ)フルオロア
ルキル、(ポリ)フルオロアルキレン、(ポリ)フルオ
ロエーテル等から選ばれる少なくとも一種類を分子骨格
中に保有している。
F2n+1−(n:1以上の整数)で示され、フルオロアル
キレン基は−CnF2n−(n:1以上の整数)で示さ
れ、本発明では、このようなフルオロアルキル基、フル
オロアルキレン基などが該モノマー(官能基含有含フッ
素化合物類)中にあればよい。
は、低摩擦・非粘着性等をゴム基材に付与せしめるジメ
チルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、トリメチ
ルフルオロプロピルシロキサン等のオルガノシロキサン
の単独重合体または共重合体から誘導される。この単独
重合体または共重合体から誘導される部位には、長鎖ア
ルキル基、フロロアルキル基、アルキレンオキシド基等
が付加して、該(共)重合体は、変性されていてもよ
い。また、上記オルガノシロキサンの単独重合体または
共重合体から誘導される部位に、アルキレンオキシド、
シルフェニレン、シルエチレン、スチレン等の重合性モ
ノマーを共重合させ、あるいはポリカーボネート、ナイ
ロン、ポリウレタン等のポリマーを結合させて、上記オ
ルガノシロキサンの単独重合体または共重合体から誘導
される部位は変性されていてもよい。
よび官能基含有オルガノシロキサン類(ii)には、化学
反応性を示す官能基すなわち重合性官能基が2個以上存
在している。
素供与基と水素受容基とがある。水素供与基は、活性水
素を1個以上有するものであり、このような水素供与基
としては、例えば、−OH基類、−SH基類、−NH2
基類、−COOH基類、≡Si−H基類、−SO2H基
類、−SO3H基類、−NHNH2・HCl基類が挙げら
れる。
H基類、−NHNH2・HCl基類は、求電子付加す
る。上記官能基には、メチレン基、アミノ基、イミノ
基、カルボニル基などの他の基が結合したもの、あるい
は無水物基なども包含され、上記−OH基(水酸基)類
としては、−OH基の他に、−CH2OH基(ヒドロキ
シメチル基)、−NHOH基(ヒドロキシアミノ基)、
〓NOH基(>NOH基、ヒドロキシイミノ基)、シラ
ノール基(≡Si−OH)、ヒドロキシフェニル基[−
Ph−OH,(Ph:フェニレン)]等の水酸基含有基
が挙げられ、−SH基(メルカプト基、チオール基)類
としては、−SH基の他に、−COSH基、−CSSH
基等が挙げられ、−NH2基類としては、−NH2基の他
に、−CONH2基(カルバモイル基)、−SO2NH2
基(スルファモイル基)、−CSNH2基(チオカルバ
モイル基)等のアミノ基含有基が挙げられ、−COOH
基(カルボキシル基)類としては、−COOH基の他
に、=(CO)2O基(酸無水物基)が挙げられる。
基、チオエポキシ基、イミノ基、エチニル基、シアノ
基、ビニル基、イソプロペニル基、ケテン基が挙げられ
る。これらのうちでも、
水素供与基および/または水素受容基を有する官能基含
有含フッ素化合物類(i)あるいは官能基含有オルガノ
シロキサン類(ii)(両者をまとめて「官能基含有モノ
マー」とも言う)が用いられる。本発明においては、こ
のような官能基含有モノマーは、上述したように、
(i)または(ii)の何れか一方を単独で用いもよく、
また(i)と(ii)の両者を組合わせて用いてもよい。
このように(i)または(ii)の何れか一方を単独で用
いる場合、および(i)と(ii)とを組合わせて用いる
場合の何れの場合においても、上記(i)、(ii)は、
それぞれ2種以上組み合わせて用いてもよい。
有モノマーを組合わせて用いる場合には、上記水素供与
基を有する官能基含有モノマーと水素受容基を有する官
能基含有モノマーとを組合わせて用いることが望まし
く、さらには水素供与基のうちのアミノ基(−NH
2基)、カルボキシル基(−COOH基)、ヒドロキシ
ル基(−OH基)から選択される基を有するモノマー1
種以上と、水素受容基のうちのエポキシ基、イソシアナ
ト基から選択される基を有するモノマー1種以上とを組
合わせて用いることが望ましい。ここでいう水素供与基
を含有するモノマーとしては、水素供与基を2個以上、
あるいは水素供与基と水素受容基とをそれぞれ1個以上
含有していればよく、水素供与基を1個以上含有するモ
ノマーでは、その分子構造中に活性水素を1個以上含有
していればよい。
モノマーを組合わせて用いる場合には、下記[A]群に
示す官能基を含有する官能基含有モノマーと[B]群に
示す官能基を含有する官能基含有モノマーとを組合わせ
て用いることが望ましい。 [A]群:カルボキシル基(−COOH)、酸無水物基
[=(CO)2O]、アルデヒド基(−CHO)、ハロ
ゲン化カルボニル基[−COX,XはCl,Br,F等
のハロゲン原子]、ハロゲン化スルフォニル基[−SO
2X,XはCl等のハロゲン原子]、ハロゲン化メチル
基[−CH2X,XはCl,Br,F,I等のハロゲン
原子]が挙げられる。 [B]群:アミノ基(−NH2)、カルバモイル基(−
CONH2)、スルファモイル基(−SO2NH2)、チ
オカルバモイル基(−CSNH2)等のアミノ基含有基
類;水酸基(−OH)、ヒドロキシメチル基(−CH2
OH)、シラノール基(≡Si−OH)、ヒドロキシフ
ェニル基[−Ph−OH,(Ph:フェニレン)]、ヒ
ドロキシアミノ基(−NHOH)、ヒドロキシイミノ基
(=NOH、>NOH)等の水酸基含有基類;が挙げら
れる。
モノマーとB群の官能基を含有する官能基含有モノマー
との組合わせ以外であっても、縮重合反応可能であれば
1種のみ単独で使用してもよく、2種以上併用してもよ
い。
基(Si−OH)あるいはアルコキシシリル基[Si−
OR(R:メチル基など炭素数1〜5程度のアルキル
基)]を2個以上含有する官能基含有モノマーは、それ
ぞれ単独で使用しても縮重合反応可能である。但し、こ
こで−OH基あるいは−OR基(R:同上)が結合する
Si原子は同一でも異なっていてもよい。
H)を有する官能基含有モノマーは、下記(a)〜(h)に示
す官能基を含有する官能基含有モノマーと組合わせて使
用することができる。
は、有機基を示し、R,R’としては、炭素数1〜5程
度のアルキル基、フェニル基、ビニル基が挙げられ、上
記アルキル基、フェニル基は、ハロゲン置換されていて
もよく、このうちで、具体的には、メチル基、エチル
基、3,3,3−トリフロロプロピル基が好ましい。ま
た、例えば、下記(c)アルコキシシリル基(Si−OR
基)のような官能基において、アルコキシ基(−OR)
が結合しているSi原子は、同一であっても、異なって
いてもよい。換言すれば、例えば、同一のSi原子に複
数のOR基が結合してSi−(OR)3となっていても
よい。 (a)Si−OOCR基(例:Si−OOCCH3)、 (b)Si−ON=C(R)R’基[例:Si−ON=C
(CH3)C2H5]、 (c)Si−OR基(例:Si−OCH3)、 (d)Si−NRR’基(例:Si−N(CH3)2)、 (e)Si−ONRR’基 (f)Si−OC(CH2)CH3基、 (g)Si−H基、 (h)Si−NH2基。
計2個以上存在する限り、官能基含有モノマーすなわ
ち、官能基含有含フッ素化合物類(i)あるいは官能基
含有オルガノシロキサン類(ii)の片末端と側鎖、ある
いは両末端に存在していてもよく、また側鎖(ブラン
チ)に存在していてもよい。
物類(i)および官能基含有オルガノシロキサン類(i
i)中に存在する官能基の種類は1種以上であればよ
く、また官能基の個数は、2個以上であれば特に限定さ
れない。
素化合物類(i)、官能基含有オルガノシロキサン類
(ii)は、その官能基部位で付加重合反応および/また
は縮重合反応が生じるように1種以上適宜選択される。
マーすなわち官能基含有含フッ素化合物類(i)および
官能基含有オルガノシロキサン類(ii)と、付加重合反
応および/または縮重合反応可能であれば、上記の官能
基含有モノマーと、その他の活性水素含有化合物を併用
することもできる。この有機化合物には、有機ケイ素化
合物も含まれる。
併用する場合において、上記官能基含有モノマーが水素
受容基を有するものである場合には、その他の活性水素
含有化合物としては、活性水素を1個以上含有していれ
ばよく、無機化合物であっても有機化合物であってもよ
い。このような活性水素含有化合物としては、H2O、
HClなど分子中に活性水素を1個以上含有するもの
(低分子活性水素化合物)が挙げられる。例えば、官能
基含有モノマーとしてその両末端にイソシアネート基
(−NCO基)を有する化合物であるジイソシアネート
と、低分子活性水素化合物としての水(H2O)とを反
応させる場合には、−NCO基と水とが反応してまず脱
炭酸反応によりアミノ基が生成し、次いでこのアミノ基
がさらにイソシアネート基と反応して尿素結合を生じ、
さらにこの尿素結合がイソシアネート基と反応してビウ
レット架橋結合となる。
基を有するものである場合には、その水素供与基中の活
性水素と付加反応して、重合体を形成しうる化合物であ
ればよい。
ても、選択された官能基含有モノマーとその他の化合物
とが縮重合反応可能であれば使用できる。上述したよう
に上記処理液(a)には、通常、モノマーとして上記官能
基含有含フッ素化合物類(i)および/または官能基含
有オルガノシロキサン類(ii)、さらに必要により、
(i)、(ii)の何れかと付加重合反応もしくは縮重合
反応可能な有機化合物(iii)が配合されるが、これらの
モノマーに代えて、これらモノマーの前駆体を用い、反
応過程において上記モノマーを生成させるようにしても
よい。 <官能基含有含フッ素化合物類(i)>上記官能基含有
含フッ素化合物類(i)としては、例えば、 炭素数が1〜20、好ましくは2〜15、さらに好ま
しくは8〜15程度の含フッ素アルコール[但し、該含
フッ素アルコールには、炭素数1〜5程度の低級アルキ
ル基、−OH基などからなる分岐を有していてもよく、
該アルコール中の主鎖炭素原子は、「−SO2N(R)
−」(R:水素原子、炭素数1〜10程度のアルキル基
を示す。)などで置換されていてもよい。]、 上記官能基を1〜5個程度含有するパーフルオロポリ
エーテル、 上記官能基を1〜5個程度含有する含フッ素脂肪族化
合物、 上記官能基を1〜5個程度含有する含フッ素芳香族化
合物、 などが挙げられる。
物類(i)のうちで、官能基として、カルボキシル基
(−COOH)を有するものは、ハロゲン化され−CO
X(X:Cl,F等のハロゲン原子)となっていてもよ
い。
(i)の分子量は、通常、90〜10,000、好まし
くは100〜5000、さらに好ましくは150〜30
00程度である。
(i)として、具体的には、下記(1)〜(36)に示
すものが挙げられ、これらのうち化合物番号(1)〜
(4)、(13)〜(30)、(31)〜(32)が好
ましく、特に化合物番号(1)〜(4)、(31)〜
(32)が好ましく用いられる。これらの官能基含有含
フッ素化合物類(i)は、1種または2種以上組合わせ
て用いることができる。なお、以下の例示中Meはメチ
ル基を示し、Phはフェニル基を示す。 <含フッ素アルコール類>
キン工業社製) (5):3-パーフルオロブチル-2-プロペン-1-オル[ F(C
F2)4CH=CHCH2OH] (6):3-パーフルオロブチル-2-ヨードプロパノール[F(C
F2)6CH2CHICH2OH] (7):3-パーフルオロヘキシル-2-プロペン-1-オル[F(CF
2)6CH=CHCH2OH] (8):3-パーフルオロヘキシル-2-ヨードプロパノール[F
(CF2)6CH2CHICH2OH] (9):3-パーフルオロオクチル-2-プロペン-1-オル[F(CF
2)8CH=CHCH2OH] (10):3-パーフルオクチル-2-ヨードプロパノール[F(CF
2)8CH2CHICH2OH] (11):3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヨード
プロパノール(CF3)2CF(CF2)4CH2CHICH2OH (12):3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヨード
プロパノール(CF3)2CF(CF2)6CH2CHICH2OH <カルボキシル基またはハロゲン化カルボニル基含有化
合物類>(ダイキン工業社製) (13):3-クロロテトラフルオロプロピオン酸[CClF2CF2C
OOH] (14):3-クロロテトラフルオロプロピオニルクロライド
[CClF2CF2COCl] (15):3,4-ジクロロペンタフルオロブタン酸[CClF2CClF
CF2COOH] (16):3,4-ジクロロペンタフルオロブチリルクロライド
[CClF2CClFCF2COCl] (17):3,5,6-トリクロロオクタフルオロヘキサン酸[Cl
(CF2CClF)2CF2COOH] (18):3,5,6-トリクロロオクタフルオロヘキサノイルク
ロライド[Cl(CF2CClF)2CF2COCl] <含フッ素沃素化合物類>(ダイキン工業社製) (19):テトラフルオロ-1,2-ジヨードエタン[ICF2CF2I] (20):1,2-ジクロロトリフルオロヨードエタン[CF2ClCF
ClI] (21):オクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン[I(CF2)4I] (22):ドデカフルオロ-1,6-ジヨードヘキサン[I(CF2)
6I] (23):ヘキサデカフルオロ-1,8-ジヨードオクタン[I(CF
2)8I] <ハロアルカン類(除く沃素化合物)>(ダイキン工業
社製) (24):1-ブロモ-2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエタン[C
HClFCF2Br] (25):1,1,1,3-テトラクロロテトラフルオロプロパン[C
ClF2CF2CCl3] (26):1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン[CF3CBrFCB
rF2] (27):1,2,4,4,4-ペンタクロロペンタフルオロブタン[C
ClF2CClFCF2CCl3] (28):1,1,3,4-テトラクロロヘキサフルオロブタン[Cl
(CF2CFCl)2Cl] (29):1,1,1,3,5,6-ヘキサクロロオクタフルオロヘキサ
ン[Cl(CF2CFCl)2CF2CCl3] (30):1,1,3,5,6-ペンタテトラクロロノナフフルオロヘ
キサン[Cl(CF2CFCl)3Cl]
製] (36):CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3[KBM-7803 信越化学
工業社製] <官能基含有オルガノシロキサン類(ii)>官能基含有
オルガノシロキサン類(ii)は、官能基の種類により、
(a)−COOH、(b)−OH、(c)−SH、(d)−OR、
(e)−NH2、(f)エポキシ基、(g)−Si−H、(h)−C
H2Cl、(i)上記(a)〜(h)のうちの少なくとも2種の官
能基を含有するか、あるいは上記(a)〜(h)のうちの少な
くとも1種と必要によりさらにこれら以外の他の官能基
とを含有する異種官能基含有タイプに分類できる。
類(ii)の分子量は、通常、90〜70,000、好ま
しくは100〜30,000、さらに好ましくは150
〜10,000程度である。
類(ii)として、具体的には、下記表3〜表15に示す
ものが挙げられ、これらの官能基含有オルガノシロキサ
ン類(ii)のうちでは、官能基(a)−COOH、(b)−O
H、(c)−SH、(e)−NH2、(f)エポキシ基、(g)−S
i−H、(h)−CH2Cl、(i)異種官能基を含有する化
合物が好ましく、特に官能基(a)−COOH、(e)−NH
2、(f)エポキシ基、(g)−Si−H、(h)−CH2Clを
含有する化合物が好ましく用いられる。これら表に示す
化合物番号(1)〜(39)に示す官能基含有オルガノ
シロキサン類(ii)のうちでは、化合物番号(1)〜
(3)、(5)〜(33)、(35)〜(39)に示す
ものが好ましく、特に化合物番号(2)〜(3)、
(7)〜(12)、(14)、(17)〜(18)、
(24)、(27)〜(33)、(35)〜(37)、
(39)が好ましく用いられる。
は、1種または2種以上組み合わせて用いることができ
る。なお、下記に記載の官能基含有オルガノシロキサン
類中、R、R’は、分子鎖中に存在する場合には単結合
またはアルキレン基を示し、分子末端に存在する場合に
はアルキル基を示し、Phは分子鎖中に存在する場合に
はフェニレン基を示し、分子末端に存在する場合にはフ
ェニル基を示し、POAは、ポリオキシアルキレン基を
示す。また、添字a、b、m、n、x,y等は、繰返し
単位数を示す。
含有モノマーを溶解させることができ、ゴム基材を膨潤
させることが可能であれば、ゴム基材との相溶性の乏し
い1種の官能基含有モノマーあるいは2種以上の官能基
含有モノマーの混合物であってもゴム基材内へ容易に含
浸(浸入)・拡散させることができるため特に限定され
ず、広く使用可能である。
しうる官能基含有モノマー量の多少換言すれば溶解性の
大小、ゴム基材の膨潤度の大小などに関係なく上記機能
を発揮しうる限り使用できるが、官能基含有モノマーの
溶解度およびゴム基材の膨潤度の少な過ぎる溶剤は好ま
しくない。
としては、溶剤100重量部に対して、20℃におい
て、官能基含有モノマーを通常0.005重量部以上、
好ましくは0.05重量部以上、さらに好ましくは0.
1重量部以上の量で溶解しうるものが好ましい。
には、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のケ
トン類;ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、T
HF(テトラヒドロフラン)、ベンゼン、リグロイン、
イソパラフィン等の脂肪族・芳香族炭化水素類;クロロ
トリフルオロメタン(CClF3)、CClF2−CF3
等のフロン類(ハロゲン化炭化水素類);イソプロピル
アルコール、エタノール、メタノール等のアルコール
類;水;ジオキサン、エチルエーテル、イソプロピルエ
ーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル類;等が挙げ
られる。これらの溶剤は、1種または2種以上組み合わ
せて用いてもよく、用いられるゴム基材に応じて適時選
定される。
等により留去されれば、その留去される時期は該モノマ
ーの反応中でも反応後でもいつでも良い。ただし、該溶
剤が、ゴム基材表面あるいは内部においてなんらかの結
合に関与する場合においては、留去されなくともよい。
イドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオ
イルなどが含まれていてもよく、このような処理液を使
用することにより、得られるゴム成形体の低摩擦性、非
粘着性をいっそう高めることができる。
おいては、上記付加重合反応および/または縮重合反応
を効率よく進行させ得るように、また、ゴム基材内の官
能基含有モノマーがブリードアウトする前にゴム基材内
で重合反応を促進させ、ゴム基材内に効率よく固定化さ
せ得るように、これら官能基含有モノマーと溶剤とを含
有する処理液に触媒、促進剤(反応促進剤)などを添加
してもよい。
マー中の官能基の種類、あるいはその組合わせ等にも依
り異なり、一概に決定されないが、例えば、サリチル
酸、ピペリジン、Zn(BF4)3、KOH、SnC
l4、第四級アンモニウム塩、三級アミン、アルコー
ル、水などが挙げられる。
(1)官能基含有モノマー中の官能基がエポキシ基とアル
コール性の水酸基との組合わせである場合(これら官能
基は1種のモノマー中に存在しても、別異のモノマーに
存在してもよい。以下の例も同様。)には、触媒として
は、Zn(BF 4)3、KOH、SnCl4等が用いら
れ、(2)官能基含有モノマー中の官能基がエポキシ基と
フェノール性の水酸基との組合わせである場合には、触
媒としては、四級アンモニウム塩、NaOH等が用いら
れ、(3)官能基含有モノマー中の官能基がエポキシ基
と、カルボキシル基との組合わせである場合には、触媒
としては、三級アミン、四級アンモニウム塩、イミダゾ
ール化合物等が用いられ、(4)官能基含有モノマー中の
官能基がエポキシ基と酸無水物基との組合わせである場
合には、触媒としては、三級アミン、四級アンモニウム
塩、イミダゾール化合物等が用いられる、(5)官能基含
有モノマー中の官能基がエポキシ基と、二級アミン
[(R2NH,R:二級アミン残基)]由来のイミノ基
との組合わせである場合には、触媒としては、アルコー
ル、水等が用いられ、(6)官能基含有モノマー中の官能
基がエポキシ基と、一級アミン[(RNH2,R:一級
アミン残基)由来のアミノ基との組合わせである場合に
は、触媒としては、アルコール、水等が用いられる。
官能基含有モノマー中に存在してもよく、下記式に示す
ように相異なる(2種以上の)官能基含有モノマー中に
それぞれ存在してもよい。
ノマーがエポキシ基を有する場合には、該モノマーは、
触媒の非存在下に水(H2O)と反応し、また該モノマ
ーは、触媒の非存在下に無機酸(HCl、HNO
3等):HX(X:無機酸残基)と反応する。
具体的には、トリエチルベンジルアンモニウムクロライ
ド、テトラメチルアンモニウムクロライド等が挙げら
れ、三級アミンとしては、具体的には、ベンジルジメチ
ルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメチルアミ
ノ)メチルフェノール等が挙げられ、イモダゾール化合
物としては、具体的には、2-メチル-4-エチルイミダ
ゾール、2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
有機酸との反応の際に、ゴム基材にも-COOH基等の
官能基(活性水素)が含有される場合には、下記式に示
すように、官能基含有モノマーの1種であるこのエポキ
シ基含有モノマーは、そのエポキシ環が開環して、-C
OOH基等の官能基を含有するゴム基材と反応して、カ
ルボニルオキシ結合(エステル結合)「-C(=O)-O
-」を生じてゴム基材と結合(架橋)を形成し、ゴム基
材中に強固に固定される。このため、ゴム基材自体も、
用いられる該モノマーと反応可能な官能基を含有するポ
リマーであることが望ましい。
の官能基の組合わせが、エポキシ基とカルボキシル基と
である場合には、促進剤としては、好ましくは
記促進剤としての役割も有するN,N-ジメチルベンジ
ルアミン(略号:DMBA,pKa:8.93)が好ま
しく用いられる。
モノマーは、上記式で例示した化合物との反応以外に、
広範な物質とも反応してポリマーを生ずる。例えば、ア
セタール、オキシ塩化リン、二酸化炭素、アルデヒド、
アセチレン、亜硫酸ソーダ、ベンゼン、三級アミン、ア
ルキルハライド、チオシアネート、グリニヤ試薬、イソ
シアネート、チオール、青酸、硫化水素、エチレンイミ
ン、アセトアセテート、フタルイミド、ホスゲン、ハロ
ヒドリン、アシルハライド、チオシアン酸、亜リン酸、
ケトン、アミド、チオニールクロライド、ホスフィン、
アンモニア、アセトニトリルなどとも反応して、ポリマ
ーを生ずる。
100重量部に対して官能基含有モノマーは、通常0.
1〜10000重量部、好ましくは1〜100重量部、
さらに好ましくは1〜50重量部の濃度範囲で、触媒
は、通常5000重量部以下、好ましくは0.0001
〜3000重量部、さらに好ましくは0.0005〜1
000重量部、特に好ましくは0.001〜800重量
部の濃度範囲で用いられることが望ましい。
0.1重量部未満では、処理をするゴム基材の表面での
該モノマー存在量が少なくなりすぎ、10000重量部
を超えると溶剤によるゴム基材の膨潤効果が薄れるため
該モノマーを有効にゴム表面とその近傍へ含浸、拡散で
きなくなる傾向がある。いずれにしても上記範囲で官能
基含有モノマーが用いられると低摩擦性、非粘着性、耐
摩耗性発現効果が著しく優れる傾向がある。
されないが、溶剤100重量部に対して上記触媒量が
0.0001重量部未満ではゴム基材表面とその近傍に
おいて該モノマーを効率よく重合反応させる効果が見ら
れなくなり、5000重量部を超えるとゴム表面とその
近傍での触媒に基づく成分の存在量が多くなりすぎてモ
ノマーの化学構造に起因する部分の摩擦係数低減効果が
なくなる。何れにしても、触媒が上記範囲で用いられる
と、触媒および促進剤の添加が機能発現に対して、より
有効に作用する。
と溶剤とを含有する上記処理液(a)と、ゴム基材(b)とを
接触させて、少なくとも該モノマーをゴム基材内部に存
在させている。
要により用いられる触媒とを含有する処理液(a)と、ゴ
ム基材(b)とを接触させるには、該処理液にゴム基材を
浸漬してもよく、該処理液をゴム基材に掛けてもよく、
スプレー等で吹付てもよく、刷毛等で塗布してもよく、
本発明では、従来より公知の種々の接触方法を採用しう
るが、本発明では、ゴム基材(b)を上記処理液(a)に浸漬
することが好ましい。
せると、該処理液中の溶媒分子のゴム基材中への含浸
(浸入)・拡散がきっかけとなり、該モノマーおよび必
要により用いられる触媒がゴム基材中へ拡散し、ゴム基
材は次第に膨潤してくる。
の膨潤量は、用いられる該処理液中のモノマーの種類と
分子量、ゴムの種類、ゴムの架橋密度、触媒の種類、溶
剤の種類、処理液の濃度、上記処理液とゴム基材との接
触時間(浸漬時間)、浸漬温度あるいは、処理液と接触
後に加熱処理するまでの保存期間等にもより異なり、一
概に決定されない。
必要により用いられる触媒とをそれぞれ上記のような量
で含有する処理液(a)と、ゴム基材(b)とを、例えば、常
温すなわち15〜25℃の温度で、常圧(1気圧)下で
接触させる場合には、通常0.1秒以上、好ましくは1
秒〜1ヶ月間程度接触させることが好ましく、さらに好
ましくはこのような条件下でゴム基材(b)を該処理液(a)
に浸漬することが望ましい。
触処理により、官能基含有モノマーがゴム基材中に存在
している状態で、直ちに下記の加熱処理をしてもよく、
1ヶ月程度経過時に下記の加熱処理をしてもよい。本発
明では、ゴム基材(b)を処理液(a)に長時間浸漬すれば、
平衡に達する前は、時間とともに処理液は、深くゴム基
材内部に含浸するが、平衡膨潤に達すると処理液のゴム
基材中への含浸・拡散は見掛け上止まる。
基材表面と内部に拡散、浸透している処理液(a)中の該
モノマーなどが時間経過とともにゴム基材外へブリード
してくるため、拡散・浸透(含浸)されているモノマー
が少なくとも完全にブリードアウトしてしまう前にモノ
マーの重合反応を行う必要がある。例えば、ゴム基材表
面から内部への処理の深さ、すなわちモノマーが重合反
応し、ゴム基材中に固定化される層(反応−固定化層)
の厚さ(深さ)を大きくしたい場合には、可能な限り早
く下記の加熱処理を施し、付加重合反応および/または
縮重合反応を起こさせると良い。
ム基材)の保存温度を常温よりも低い温度例えば、+1
0℃〜−210℃に設定すれば、処理液(a)のブリード
(滲出)速度を抑制することが可能である。従って、そ
のような低温下では、溶剤処理ゴム基材を下記のような
加熱処理を行っていない状態で保存することも可能であ
るため、浸漬処理から加熱処理までの時間は、特に限定
されないが、常温、常圧中においては、接触処理後、加
熱処理まで上記期間すなわち1秒〜1ヶ月程度保存可能
である。
で処理したゴム基材(b)(接触処理ゴム基材)を、加熱
して、ゴム基材(b)表面およびゴム基材中で上記官能基
含有モノマーの付加重合反応あるいは縮重合反応を誘起
させて、該モノマー同士を重合反応させ、あるいは該モ
ノマーとゴム基材とを反応させることなどにより、ゴム
基材の表面とその内部、特に処理液(a)の含浸・拡散し
たゴム基材表面近傍の改質を行っている。
発明では、上記処理液(a)特に該処理液(a)中の官能基含
有モノマーがゴム基材内に存在し、さらには触媒がゴム
基材内に存在している状態で加熱処理を行い、官能基含
有モノマーを重合させているが、この加熱処理条件は、
ゴム基材内に含浸・拡散している官能基含有モノマーを
該モノマーの官能基部位で付加重合反応あるいは縮重合
反応にてゴム基材表面および内部、特にゴム基材内部に
固定化しうる限り特に限定されないが、通常、30〜4
00℃の温度で、通常1秒間〜720時間、好ましくは
40〜300℃の温度で10秒間〜72時間程度、加熱
処理が行われる。
含浸・拡散している官能基含有モノマーは、必要により
用いられる触媒の存在下に付加・縮重合反応などを起こ
して、ゴム基材内、ゴム基材表面に固定化される。な
お、加熱処理温度を上記範囲で上昇させてもモノマーブ
リード速度があまり増加せず、反応速度がこれに比して
著しく増加する場合には、より高温、例えば、100〜
330℃の温度でゴム基材を加熱処理して、ゴム基材の
深くまで改質できる。
を用いても、該処理液(a)中の官能基含有モノマーが反
応固定化される深さすなわちゴム基材表面から内部方向
の距離は、該処理液(a)の濃度、該処理液(a)への浸漬時
間、官能基反応速度、該モノマーのゴム基材外へのブリ
ード速度等により決定されるため、これら諸因子を適宜
コントロールすることにより、その処理の深さ(該モノ
マーの反応固定化層の厚み)を調整できる。例えば、ゴ
ム基材の改質処理をゴム基材深くまで行うためには、ゴ
ム基材(b)を処理液(a)に長時間浸漬し、浸漬後は、可能
な限り早く加熱処理を施し、付加・縮重合反応等をさせ
ると良い。なお、触媒・促進剤の添加は、重合速度の上
昇に効果的であり、改質処理層を深くするのに有効であ
る。さらに加熱処理温度を上昇させた場合に、温度上昇
によるモノマーブリード速度の増加よりも付加・縮重合
反応速度の増加が著しい系においては、その温度を上げ
ることでゴム基材深部まで改質処理を進めることができ
る。
ゴム基材が改質処理されていると判断しうる部分の深さ
(厚み)は、例えば、アセトン100部に対して、アミ
ノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイ
ル、カルボキシル基変性シリコーンオイルの合計量1〜
20部、触媒(サリチル酸)0.001〜3部からなる
処理液に、厚さ2mm程度のアクリル系ゴム基材を1〜
4分間程度浸漬した後、170℃で16時間程度真空加
熱処理した場合には、通常0.1〜3000μm程度に
なる。
マーと溶剤と必要により配合される触媒とを含有する上
記処理液とゴム基材とを接触させて、ゴム基材中に少な
くとも官能基含有モノマーを含浸(浸入)させた状態
で、上記のように加熱して官能基含有モノマーを重合さ
せると、上記のようにゴム基材表面あるいはその近傍
(すなわちゴム基材内部)は改質されるが、そのメカニ
ズムは明かでない。恐らくは、ゴム基材表面あるいはゴ
ム基材内部で、官能基含有モノマーが必要により用いら
れる触媒などによって重合反応を促進されてポリマーを
生じ、このポリマーがゴム基材を構成しているゴム分子
鎖あるいはゴム分子網目に一部絡み合うことによりゴム
基材に固定化され、場合によっては、一部の官能基含有
モノマーあるいは一部の上記ポリマーとゴム基材との反
応も生じて、上記モノマーあるいはポリマーはゴム基材
に固定化され、ゴム基材の表面あるいはその近傍の改質
が行われるのであろうと推測される。
可能なゴム基材としては、材質、形状、寸法など特に限
定されず、従来より公知の種々のものを用いることがで
き、ゴム基材の材質としては、具体的には、例えば、N
BR,HNBR,SBR,ACM,U,FKM,Q,C
R,NR,IIR,BR等が挙げられる。これらのゴム
基材のうちでは、前記例示に示すように官能基を含有し
たゴム基材を用いると、より有効に該モノマーをゴム基
材中で重合反応させ、ゴム基材に固定化させることがで
き、非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性など
の機能発現に最も効果的である。例えば、ウレタンゴム
等のように官能基:-NH基を有するゴム基材を、官能
基含有モノマーとしてのジイソシアナート化合物にて表
面改質するとビウレット結合が生じて該モノマーまたは
その重合物末端のイソシアナート基部位でゴム基材に反
応固定化でき、また例えば、エポキシ基含有モノマーに
て表面改質処理しても、ゴム基材に反応固定化できる。
いると、該モノマーが、付加・縮重合反応により、その
ゴム分子鎖へグラフトおよび/またはゴム分子鎖間の橋
架けに関与するような反応が生じて、耐摩耗性、低摩擦
性、非粘着性、耐プラズマ性などの上記効果がゴム基材
表面あるいはその近傍に発現するのであろうと推測され
る。
性の良好なフッ素系モノマーとを組み合わせて用い、ま
たシリコーン系ゴム基材と、該基材と相溶性の良好なシ
リコン系モノマーとを組み合わせて用いるなど、同系の
ゴム基材とモノマーとを組み合わせて用いれば、ゴム基
材が本来持っている性質と似通った性質が上記処理にて
ゴム基材に付与され、また、相溶性の異なるゴム基材と
モノマーとを組み合わせて用いると、ゴム基材の改質効
果が顕著に現れる傾向がある。
シート状、板状、棒状、リング状、各種の複雑なブロッ
ク形状等その用途に応じて任意の形状を採ることがで
き、特に限定されない。
用途に用いることができ、特定の用途に限られるもので
はないが、例えば液晶・半導体製造装置用、食品工業用
等のシール材として好ましく用いられる。
としては、コーターアンドデベロッパー、エッチング装
置(プラズマエッチング装置等)、プラズマアッシング
(ashing)装置、レジスト剥離装置、洗浄・乾燥装置等の
シール材;酸化・拡散炉、ランプアニール装置等の炉体
のシール材;メタルCVD装置、プラズマCVD装置、
LP−CVD装置等のCVD装置、およびスパッタリン
グ装置等のシール材;各種搬送装置(ウエハ搬送機器の
搬送用オーリング(O-ring)または搬送ベルト等);各
種レジスト搬送装置(レジスト搬送容器のキャップシー
ル材等);各種検査装置のシール材もしくは搬送用ベル
ト;等に好ましく用いられ、これらのうち、プラズマエ
ッチング装置、プラズマアッシング装置、プラズマCV
D装置およびこれら装置の付属機器であるウエハ搬送機
器等の耐プラズマ性が要求される装置類(これらをまと
めて「プラズマ処理装置」とも言う)に特に好ましく用
いられる。
は、具体的には、スパッタリング装置のシール材;CV
D装置(プラズマCVD、レーザーCVD等)のシール
材;エッチング装置(ドライエッチング装置、ウェット
エッチング装置等)のシール材;剥離装置のシール材;
酸化・拡散・イオン注入装置のシール材;蒸着装置(真
空蒸着装置、蒸着重合装置等)のシール材;洗浄装置
(ドライ洗浄方式のもの、ウェット洗浄方式のもの)の
シール材;各種検査装置(マスク検査装置、パターン検
査装置等)のシール材;露光装置(プロキシミティ方式
のもの、ステッパー方式のもの)のシール材;アニール
装置(ランプアニール装置、エキシマレーザーアニール
装置等)のシール材;
カラーフィルター電着装置、乾燥装置、レジストベーキ
ング装置、焼成装置、薬液供給装置、封孔装置、イオン
ドーピング装置、イオンシャワー装置、イオンミキシン
グ装置、レーザーリペア装置等のシール材;各種搬送装
置のシール材もしくは搬送用ベルト;液晶注入装置のシ
ール材;等が挙げられる。
の種類のプラズマに対する耐久性に限定されるものでは
ないが、本発明のシール材は特にシリコーン系のモノマ
ーを用いた場合、酸素プラズマ、および酸素を含有する
プラズマに対して耐久性が優れている。
ズマ処理装置によれば、プラズマが化学的に高活性なこ
とを利用して、半導体を高精度にエッチングしたり、半
導体上のレジストをアッシングしたりすることができ
る。
ラズマ処理は、所望のプラズマを効率よく発生させるた
めに、真空条件下で行われることが多い。それゆえ、プ
ラズマ処理装置のシール材には、プラズマに対する耐久
性が要求されるとともに、チャンバー等の真空状態を維
持し、ウエハー等の製品を汚染しないように、シール材
自身からガス等を放出しにくい特性も求められるが、本
発明のシール材は、これらの特性を備えておりプラズマ
処理装置のシール材として好適であり、上記の低摩擦
性、非粘着性等に加えて、化学的に高活性なプラズマの
暴露に対する耐プラズマ性が著しく優れている。
飲料水配管の継手シール等のように汚染を嫌う部位での
シールで用いられ、とくに温度の上昇等により固着が発
生するような使用環境において好ましく用いられる。
ば、広範なゴム材料が本来有するゴム弾性、機械的強
度、弾性、圧縮永久歪、変形追従性、シール性等の特性
を保持しつつ、低摩擦性、非粘着性、耐摩耗性、耐プラ
ズマ性に優れたゴムが得られる。
法、ブリード法、ゴム表面被覆法などとは異なり、ゴム
基材の表面あるいはその近傍のみが改質されて上記のよ
うな優れた性質が付与され、かつゴム基材内部と、ゴム
基材の表面あるいはその近傍とは密着性に優れており、
ゴム基材内部と、ゴム基材の表面あるいはその近傍との
間で剥離し、ゴム基材に割れが生じたりすることがな
い。
開平4-202239号公報においては使用困難とされ
るようなモノマーであっても、用いられる溶剤に溶かし
うるものであればゴム基材(ゴムの網目)への含浸・拡
散が容易に実施でき、使用可能なモノマーは特に限定さ
れない。また本発明では、ゴム基材の表面改質量すなわ
ちゴム基材表面から内部までの改質の深さをコントロー
ルし易い。例えば、モノマーの濃度を薄く調整できるの
で、改質度合のコントロールが容易にできる。
ば、分子量が数百〜数万程度のマクロマーであっても、
またゴム基材とモノマーとの相溶性の如何に依らず、ゴ
ム基材へ含浸・拡散させることができる。
HNBR、SBR、ACM、U、FKM、Q、CR、N
R、IR、BR]との相溶性の乏しいモノマーであるフ
ッ素系あるいはシリコン系モノマーあるいはこれらモノ
マーの混合物であっても、溶剤と共にゴム基材内へ容易
に含浸・拡散し、そのゴム基材内に含浸した該モノマー
は、必要により用いられる触媒の存在下に加熱されて付
加・縮重合反応を誘起され、ゴム基材表面もしくはその
近傍(表面層)へ強固に固定化させることが可能とな
り、その結果、ゴム基材表面あるいはその近傍に上記し
たように非粘着性、低摩擦性、耐摩耗性、耐プラズマ性
等の優れた特性を付与でき、さらに、耐オゾン性、耐油
性など、用いられるモノマーの構造に起因した機能も発
現可能となっている。
いて実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発
明はこのような実施例により何等限定されるものではな
い。
B1〜B2】下記表16〜18に示すような組成の溶液
(処理液)を調製し、ゴム成形体をその溶液に所定時間
浸漬した後、加熱処理を行った。なお、組成物中の各成
分量は、重量部表示である。
用したゴム基材は、アクリルゴム(ACM)ベース配合
70度品であり、実施例B1〜B2、比較例B1〜B2
で使用したゴム基材は、フッ素ゴム(FKM)ベース配
合70度品である。
よびその熱処理条件についても下記表に示した。また得
られた表面処理ゴム成形体について、引張強度、伸び、
硬さ等の加硫物性、粘着性、摩擦係数、摩耗量を測定し
た。
下に示す。] (i)加硫物性 JISK6301に準拠して測定。 (ii)粘着試験 図1に示す、レスカ社製タッキング試験機タックIIを用
いて以下の測定条件のもと粘着力を測定した。
Kgf/cm2(0.049MPa)、引離し速度60
0mm/分、温度25℃、圧締時間10分。 (iii)摩耗試験 スラスト式摩擦摩耗試験機を用いて、図2に概念的に示
すような方法で被測定物(加硫ゴム成形体)の摩耗量を
測定した。すなわち、被測定物(各加硫ゴム成形体)1
の上部に付番3で示すリング状の金属SS41をセット
し、この加硫ゴム成形体1の下方から上方のリング状金
属3に向かって荷重2Kgf/cm2を加えた状態で、
速度0.1m/秒の条件のもとにこの加硫ゴム成形体1
上の金属リング3を回転させることにより、被測定物の
摩耗量を測定した。
示す。 [摩耗量測定条件] 機種:スラスト式摩擦磨耗試験機TT100C型(三井
造船(株)製) ゴムシート試料サイズ:縦40mm×横40mm×厚さ
2mm 金属リングサイズ:外径φ25.6mm×内径φ20m
m×長さ8mm(接触表面積:2.0×10-4m2、摺
動半径:11.457mm) 金属リング材質:SS41、 Rmax2μm程度 面圧:0.196MPa(*ただし、FKMベースの試
料を用いる場合は、0.098MPa) 速度:0.1m/s(*ただし、FKMベースの試料を
用いる場合は、0.05m/s) 摺動距離:5km(時間:13.889hr)(*ただ
し、FKMベースの試料を用いる場合は、720m(時
間:2hr)) 雰囲気:温度23℃±2、相対湿度50%±10 [摩耗量の算出法]上記した摩擦係数測定前後の試料の
重量変化より摩耗量を算出した。 (i)ボール圧子摩擦試験 ヘイドン表面性試験機 TYPE:HEIDON−14
D(新東科学株式会社製)を用い、ボール圧子(SUS
φ6)法により被測定物(加硫ゴム成形体)の摩擦係
数を測定した。図3に本試験の原理図を示す。
すように垂直荷重用分銅が支持部材を介してSUS製ボ
ール上に取付られており、このSUS製ボールをゴムシ
ート上に垂直荷重用分銅(200g)の重さで押し付け
る。そして、ゴムシートを紙面に向かって右方向に移動
させるときに生じる摩擦力を計測する。
す。 測定治具;ボール圧子(SUS φ6) 試料サイズ;100×150×2tmm以上のゴムシー
ト(最大240×110×8tmm) 試験荷重;200g(垂直荷重用分銅) 試験速度;0.005m/s(300mm/分) 測定回数;n=3以上 測定位置;毎回ずらして測定 試料の前処理;ゴムシート・・・メタノールで軽く拭いて
一昼夜風乾あるいはドライヤー乾燥 SUSボール・・・測定毎にアセトンで拭き乾燥して使用 雰囲気;23℃±2、 50%±10RH(空調範囲内
結露無きこと) [表中に使用した原料の説明] 1.アセトン:キシダ化学(株)製、試薬特級 2.変性シリコーンモノマー (2-a)タイプ 「アミノ変性シリコーンオイル」(粘度29cs(25
℃)、比重0.97、屈折率1.411、官能基当量8
40g/mol、X22-161A、信越化学工業
(株)製) (2-b)タイプ 「エポキシ変性シリコーンオイル」(粘度65cs(2
5℃)、比重0.98、屈折率1.410、官能基当量
1760g/mol、X22-163B、信越化学工業
(株)製) (2-c)タイプ 「カルボシキシル基変性シリコーンオイル」(粘度20
7cs(25℃)、比重0.98、屈折率1.406、
官能基当量2330g/mol、X22162C、信越
化学工業(株)製) (2-d)タイプ 「親水性特殊変性シリコーンオイル」(粘度40cs
(25℃)、比重0.96、屈折率 1.413、X2
2-904C、信越化学工業(株)製) 3.触媒 サリチル酸 ピペリジン
摩擦摩耗試験機(松原式摩擦摩耗試験機の原理説明図で
ある。
定するためのヘイドン表面性試験機の原理説明図であ
る。
Claims (11)
- 【請求項1】重合可能な官能基を2個以上含有する官能
基含有モノマーおよび溶剤を含有する処理液を、ゴム基
材と接触させて、少なくとも官能基含有モノマーをゴム
基材表面およびゴム基材内部に存在させた後、 得られた接触処理ゴム基材を加熱することにより、該モ
ノマーをその官能基間の反応により重合させ、ゴム基材
表面とその近傍の改質を行うことを特徴とするゴムの表
面改質法。 - 【請求項2】上記官能基含有モノマーが、官能基含有含
フッ素化合物類および/または官能基含有オルガノシロ
キサン類である請求項1に記載のゴムの表面改質法。 - 【請求項3】上記官能基含有モノマーとして、−OH基
類、−SH基類、−NH2類基、−COOH基類、≡S
i−H基類、−SO2H基類、−SO3H基類、−NHN
H2・HCl基類のうちから選択される水素供与基を官
能基として有する付加重合反応可能なモノマーと、 【化1】 のうちから選択される水素受容基を官能基として有する
付加重合反応可能なモノマーとを併用することを特徴と
する請求項1〜2の何れかに記載のゴムの表面改質法。 - 【請求項4】上記官能基含有モノマーとして、−COO
H基、=(CO)2O基、−CHO基、−COX基
(X:ハロゲン原子)、−SO2X基(X:ハロゲン原
子)、−CH2X基(X:ハロゲン原子)、のうちから
選択される官能基を有する縮重合反応可能なモノマー
と、−NH2基、−CONH2基、−SO2NH2基、−C
SNH2基、−OH基、−CH2OH基、≡Si−OH
基、−Ph−OH基(Ph:フェニレン基)、−NHO
H基、=NOH基、のうちから選択される官能基を有す
る縮重合反応可能なモノマーとを併用することを特徴と
する請求項1〜2の何れかに記載のゴムの表面改質法。 - 【請求項5】上記官能基含有モノマーが、≡Si−OH
基を有する官能基含有モノマーである場合には、 上記モノマーとともに、Si−OOCR基、Si−ON
=C(R)R’基、Si−OR基、Si−NRR’基、
Si−ONRR’基、Si−OC(CH2)CH3基、S
i−H基、Si−NH2基(但し、R,R’は有機基を
示す)の何れかを有する官能基含有モノマーを併用する
請求項4に記載のゴムの表面改質法。 - 【請求項6】上記処理液が、さらに触媒および/または
促進剤を含有していることを特徴とする請求項1〜5の
何れかに記載の表面改質法。 - 【請求項7】上記処理液にゴム基材を浸漬することによ
り、該処理液とゴム基材とを接触させることを特徴とす
る請求項1〜6の何れかに記載のゴムの表面改質法。 - 【請求項8】請求項1〜7の何れかの方法で得られたゴ
ム成形体。 - 【請求項9】上記ゴム成形体が、シール材用であること
を特徴とする請求項8に記載のゴム成形体。 - 【請求項10】上記シール材が液晶・半導体製造装置用
であることを特徴とする請求項9に記載のゴム成形体。 - 【請求項11】上記シール材がプラズマ処理装置用であ
ることを特徴とする請求項9〜10の何れかに記載のゴ
ム成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10003302A JPH11199691A (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | ゴムの表面改質法および該方法で得られたゴム成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10003302A JPH11199691A (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | ゴムの表面改質法および該方法で得られたゴム成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11199691A true JPH11199691A (ja) | 1999-07-27 |
Family
ID=11553579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10003302A Pending JPH11199691A (ja) | 1998-01-09 | 1998-01-09 | ゴムの表面改質法および該方法で得られたゴム成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11199691A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008003054A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Nsk Ltd | 多極磁石エンコーダ多極磁石エンコーダ付き密封装置該密封装置を備えた転がり軸受及び車輪支持用軸受ユニット |
JP2010241915A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 表面改質ゴム成形体の製造方法 |
KR20200128417A (ko) * | 2018-11-20 | 2020-11-12 | 와커 헤미 아게 | 블록-변형된 폴리실록산 및 이로부터 형성된 조성물 |
US11903320B2 (en) | 2019-01-28 | 2024-02-13 | Wacker Chemie Ag | Method for applying at least one silicone layer by laser transfer printing |
-
1998
- 1998-01-09 JP JP10003302A patent/JPH11199691A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010241915A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 表面改質ゴム成形体の製造方法 |
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