JP2007077286A - 含フッ素系エラストマーの表面改質方法及び該方法で表面改質された含フッ素系エラストマー、並びに、該表面改質された含フッ素系エラストマーを用いたシール材及びシール - Google Patents

含フッ素系エラストマーの表面改質方法及び該方法で表面改質された含フッ素系エラストマー、並びに、該表面改質された含フッ素系エラストマーを用いたシール材及びシール Download PDF

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Abstract


【課題】 含フッ素系エラストマーが本来的に有するゴム弾性を実質的に低下させずに、含フッ素系エラストマーの表面を非固着性の面に改質し得る含フッ素系エラストマーの表面改質方法を提供すること。
【解決手段】 含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射するか、或いは、含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射する。
【選択図】 なし

Description

本発明は含フッ素系エラストマーの表面改質技術に関する。詳しくは、含フッ素系エラストマー(すなわち、加硫フッ素ゴム成形品)が本来有するゴム弾性(特に表面の柔軟性)を実質的に低下させずに、その表面を、他の物体に対して固着しにくい非固着性の面に改質できる、表面改質方法及び該方法で表面改質された含フッ素系エラストマー、並びに、かかる表面改質された含フッ素系エラストマーからなるシール材及び該シール材を用いたシールに関する。
従来から、含フッ素系エラストマーは種々の形状に成形されて、種々の用途に使用されている。なかでも、含フッ素系エラストマーは耐熱性、耐油性及び耐薬品性等に優れるため、各種装置や機構内において密封構造体を形成するためのシール材(ゴム弾性体)として多く使用されている。
ところで、一般に、エラストマー(加硫ゴム成形品)をシール材等の他の物体に接触させた状態で使用する部材に用いる場合、エラストマーの表面には他の物体に対して固着しにくい非固着性が要求される。このため、従来から、エラストマーの表面に非固着性を付与するための種々の表面改質技術が提案されており、代表例として、例えば、以下の(イ)〜(ハ)の方法等が知られている。
(イ)エラストマーの表面にフッ素樹脂等の塗膜を形成する方法(特許文献1)。
(ロ)表面に多官能性不飽和化合物を付着させたエラストマーに放射線を照射処理する方法(特許文献2)。
(ハ)表面に多官能性不飽和化合物および有機過酸化物を付着させたエラストマーを有機過酸化物分解温度に加熱する方法(特許文献2)。
しかし、(イ)の方法で表面改質されたエラストマーはそれを圧縮使用した時に表面の塗膜に亀裂が入ったり、塗膜の剥離が生じ、その結果、例えば、エラストマーがシール材である場合、そのシール性能が低下してしまう。また、(ロ)の方法の場合、放射線照射処理装置が非常に大掛かりかつ高価な設備であり、また、バッチ処理となるため処理に時間がかかる。また、放射線はエネルギーが高く、非固着化の効果には優れるが、特に表面層の硬化が進行するため、表面層の柔軟性の低下は避けられない。よって、エラストマーがシール材である場合、相手面への追従性、すなわち、シール性能の低下が生じることがある。また、放射線は透過性が高いため、放射線がエラストマー内部にも到達し、その影響が及ぶ問題がある。
また、(ハ)の方法の場合、必ずしも、エラストマー表面に十分な非固着性を付与することができない。
なお、上記(イ)〜(ハ)の方法以外にも、例えば、(ニ)エラストマーに可塑剤、ワックス、プロセスオイル等を多量に配合しておき、これらを表面に経時的にブリードさせる方法、(ホ)エラストマーに二硫化モリブデン、PTFE、黒鉛等の固体潤滑剤を配合して分散させる方法等も知られているが、(ニ)の方法の場合、エラストマー自体の物性低下や、エラストマーが接触する物体の汚染等の問題があり、また、特にシール材に適用した場合にはブリードしたオイルの凝固によるシール性の低下が懸念される。また、(ホ)の方法の場合、ゴム自体の物性低下という問題がある。
このように、エラストマーが本来有するゴム弾性(特に表面の柔軟性)を実質的に低下させることなく、その表面を十分に非固着化し得る方法は確立されていない。特に、特許文献2では、含フッ素系エラストマーの表面の非固着化を図っているが、表面層の硬化が進行するため、表面層の柔軟性の低下は避けられない。
特開平11-255929号公報 特開平1−240536号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み成されたもので、その解決しようとする課題は、含フッ素系エラストマーが本来的に有するゴム弾性(特に表面の柔軟性)を実質的に低下させずに、その表面を非固着化し得る含フッ素系エラストマーの表面改質方法及び該方法によって得られる表面の非固着性に優れた含フッ素系エラストマーを提供することである。また、他の課題は、優れたシール性能と相手部材への固着が生じにくい非固着性とを兼ね備えたシール材及び該シール材を用いたシールを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させて(好適には光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させて)、該表面に紫外光を照射すると、含フッ素系エラストマー全体の機械的特性に大きく影響を及ぼさずに、その表面が非固着化され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射することを特徴とする含フッ素系エラストマーの表面改質方法。
(2)含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射することを特徴とする含フッ素系エラストマーの表面改質方法。
(3)含フッ素系エラストマーの表面への光開始剤の付着処理、或いは、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤の付着処理が、光開始剤を含む処理液、或いは、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を含む処理液を、含フッ素系エラストマーの表面に接触させる処理である、上記(1)又は(2)記載の方法。
(4)含フッ素系エラストマーの表面に紫外光を照射した後、当該エラストマーの表面を有機溶媒又は水で洗浄することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法で表面改質された含フッ素系エラストマー。
(6)上記(5)記載の含フッ素系エラストマーからなるシール材。
(7)シール用金具と、該金具の溝に装着された上記(6)記載のシール材とを含んでなるシール。
本発明の含フッ素系エラストマーの表面改質方法によれば、含フッ素系エラストマーが有する機械的特性(特に表面層のゴム弾性)を実質的に低下させずに、当該エラストマーの表面を非固着性の面に改質することができる。従って、本発明の表面改質方法によって表面改質された含フッ素系エラストマーは、含フッ素系エラストマーが本来的に有する機械的特性を有しながら、他の物体に対して固着しにくいものとなる。したがって、本発明の表面改質方法で表面改質された含フッ素系エラストマーを例えばシールのシール材(ゴム弾性部材)に適用すると、良好なシール性能を示し、しかも、相手部材にシール材が固着しにくいシールとなり、使用耐久性の高いシールを実現できる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明において、含フッ素系エラストマーの原料ゴムであるフッ素ゴムは、特に限定されず、有機過酸化物加硫が可能な公知のフッ素ゴムが使用される。例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)及びエチレン(Et)からなる群より選ばれた少な<とも1種(第1成分)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFVE)(具体例としては、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)等)およびプロピレン(Pr)からなる群より選ばれた少なくとも1種(第2成分)とを共重合させた2元乃至3元共重合体(ただし、エチレン(Et)とプロピレン(Pr)の2元共重合体は除く)が挙げられる。具体例としては、VDFとHFPとの2元共重合体、TFEとPFVEとの2元共重合体、TFEとPrとの2元共重合体、VDFとTFEとHFPとの3元共重合体、VDFとTFEとPFVEとの3元共重合体、VDFとTFEとPrとの3元共重合体、EtとTFEとPFVEとの3元共重合体等である。また、上記例示した含フッ素モノマー以外の含フッ素モノマー(例えば、ペンタフルオロプロピレン(PFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)等)と、上記の第1成分及び/又は第2成分との2元又は3元以上の多元共重合体を使用することもできる。該フッ素ゴムは1種又は2種以上が使用される。
また、含フッ素系エラストマーにおけるフッ素ゴムの加硫剤としては、従来からフッ素ゴムの加硫剤として使用されている公知の化合物、例えば、アミン系加硫剤、ポリオール系加硫剤、有機過酸化物加硫剤等を制限なく使用できる。有機過酸化物加硫剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。また、アミン系加硫剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジミアン、シクロヘキシルジアミンカーバメート等が挙げられる。また、ポリオール系加硫剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。いずれのタイプの加硫剤も1種または2種以上が使用される。また、加硫剤の使用量は、いずれのタイプの加硫剤もフッ素ゴム100重量部当たり0.1〜5重量部程度が一般的である。
なお、上記のフッ素ゴムのうち、有機過酸化物加硫が可能なものは、通常、ポリマー鎖中に、臭素、ヨウ素、二重結合等の易加硫部位が導入されている。この易加硫部位は、易加硫部位を与える単量体(例えば、ヨウ素化合物、臭素化合物など)を共重合する、あるいは、易加硫部位を与える後処理(加熱処理、オニウム塩存在下のアルカリ処理など)を行うことにより導入される。
加硫剤として有機過酸化物加硫剤を使用する場合、通常、有機過酸化物加硫剤とともに不飽和結合を2個以上有する化合物からなる加硫助剤が使用される。かかる加硫助剤としては、例えば、多アリル化合物、ジメタクリレート化合物、ジビニル化合物、ポリブタジエンなどが用いられる。なかでも、多アリル化合物が好ましく、具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。該加硫助剤は1種または2種以上が使用され、その使用量はフッ素ゴム100重量部当たり0.1〜10重量部程度が一般的である。
また、加硫剤としてアミン系加硫剤やポリオール系加硫剤を使用する場合、いずれの場合も、受酸剤として、MgO、Ca(OH)等の2価金属の酸化物や水酸化物またはこれらの塩等の、フッ酸と反応してフッ化物となるものを添加することが通常必要となり、ポリオール系加硫剤を使用する場合、触媒として作用するCa(OH)や、加硫促進剤として4級アンモニウム塩、4級フォスフォニウム塩等の添加が必要となる。受酸剤の配合量はフッ素ゴム100重量部当たり0.1〜5重量部程度が好適であり、加硫促進剤の配合量はフッ素ゴム100重量部当たり0.1〜5重量部程度が好適である。
本発明において、含フッ素系エラストマーは、フッ素ゴムに前述の加硫剤、加硫助剤等の加硫用添加剤及び必要に応じて配合される他の添加剤(例えば、充填剤、滑剤、酸化防止剤、安定剤、加工助剤等)を通常のゴム用加工機械(例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー等)で十分に混合して、加硫用組成物を調製し、該組成物を成形・加硫することで作製される。加硫は、例えば、金型に入れて加圧下において130〜200℃で2〜60分間保持することによってプレス加硫(一次加硫)を行ない、引き続き、150〜300℃の炉中で1〜48時間保持することによってオーブン加硫(二次加硫)を行なう方法等で行うのが好ましい。
本発明において、含フッ素系エラストマーは、その用途に応じて、製造原料の種類、配合量、加硫条件等を変更することで、所望の物性、特性、形状等を備えたエラストマー(加硫成形品)にする。例えば、半導体製造装置や液晶製造装置のチャンバーゲート部にて使用される密封構造体を構成するシール等のシール材(シール用ゴム弾性体)とする場合、フッ素ゴムとしては、VDFとHFPとの2元共重合体、TFEとPMVEとの2元共重合体、TFEとPrとの2元共重合体、VDFとTFEとHFPとの3元共重合体、VDFとTFEとPMVEとの3元共重合体、VDFとTFEとPrとの3元共重合体、EtとTFEとPMVEとの3元共重合体等が好ましく、中でも、汎用性の観点からVDFとHFPとの2元共重合体、TFEとPMVEとの2元共重合体、TFEとPrとの2元共重合体等の2元共重合体がより好ましい。
本発明の含フッ素系エラストマーの表面改質方法は、含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させる(好適には光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させる)処理を行った後、該エラストマーの表面に紫外光を照射することが特徴である。
紫外光は、電子線、γ線等の放射線に比べて低エネルギーであり、材料中への透過性も著しく小さいことから、エラストマーの表面層の柔軟性に影響を与えにくい。本発明の表面改質方法では、含フッ素系エラストマーをそのゴム弾性が実質的に低下せずに(特に表面層の柔軟性が低下せずに)、その表面を非固着性の面に改質することができる。これは、通常の含フッ素系エラストマーのゴム成分中には架橋点(易加硫部位)が完全に消失せずに残っており(ポリオール系加硫剤やアミン系加硫剤による加硫フッ素ゴムの場合は、その加硫時にポリマー中に二重結合が形成される。)、エラストマー表面に付着した光開始剤に紫外光が照射されると、エラストマー表面に残存するゴム成分中の架橋点(易加硫部位)若しくはメチレン基の部分に生じたラジカルを起点にして架橋反応が進行し、それによって、エラストマー表面の非固着性が向上するためと考えられる。また、エラストマー表面に光開始剤とともに有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させて、紫外光を照射すると、エラストマーの表面の非固着性がさらに一層高まる。これは、エラストマーの表面に光開始剤とともに有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤が付着すると、光開始剤から発生したラジカル種のさらなる活性化や活性状態の継続化が生じて、架橋反応がより一層進行するためと考えられる。
本発明の含フッ素系エラストマーの表面改質方法において、エラストマー表面に付着させる光開始剤は、特に限定されず、紫外線の照射によってラジカルを発生するものであれば公知の化合物を制限なく使用することができる。例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビスアシルホスフィンオキサイド、アシルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、n−ブチルベンゾインエーテル等)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン類(例えば、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン)、ジベンゾスベロン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンザルアセトン、ビアセチル、α,α−ジクロロ−4−フエノキシアセトフェノン、テトラメチルチウラムジスルフィド、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、フェニルグリオキシル酸メチル、o−ベンゾイル安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、カンファーキノン、3−ケトクマリン、アントラキノン類(例えば、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、α−クロロアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等)、アセナフセン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジクロロベンジル等が挙げられる。当該光開始剤は1種または2種以上を使用でき、中でも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンとの共融混合物が特に好適である。当該共融混合物は、分子内結合開裂型開始剤と分子内水素引抜型開始剤を組み合わせることにより、酸素禁止作用を減少させたものであり、常温で液体であるため取扱い性もよい。また、以下のアミン化合物の添加を特に必要としないので、エラストマーへの開始剤の付着のための処理操作がより簡便になる。
本発明において、光開始剤は酸素禁止作用が抑制されるように、アミン化合物(例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N’−ジメチルエタノールアミン等)と共存する状態で使用するのが好ましい。該アミン化合物は、1種又は2種以上を使用することができ、その使用量は、光開始剤に対して10〜100重量%程度が好適である。
また、本発明の含フッ素系エラストマーの表面改質方法において、エラストマー表面に付着させる有機過酸化物は、特に限定されないが、好適には、前述の、加硫剤として例示した有機過酸化物と同じものが挙げられる。その中でも、加硫ゴム物性に優れる等の点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドが好ましい。当該有機過酸化物は1種または2種以上を使用できる。
また、含フッ素系エラストマーの表面に付着させるアミノベンゾエー卜系重合促進剤は、特に限定はされないが、例えば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエー卜、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエー卜、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、2−エチルへキシル−4−ジメチルアミノベンゾエー卜などが挙げられる。当該アミノベンゾエー卜系重合促進剤は1種または2種以上を使用できる。
本発明において、含フッ素系エラストマーの表面への光開始剤の付着処理、或いは、含フッ素系エラストマーの表面への光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンソエー卜系重合促進剤の付着処理の方法は、特に制限されないが、溶媒に光開始剤を溶解乃至分散させた処理液(すなわち、光開始剤を含む処理液)、或いは、溶媒に光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を溶解乃至分散させた処理液(すなわち、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を含む処理液)を調製し、該溶液を含フッ素系エラストマーの表面に接触させる方法が好ましい。これら処理液の含フッ素系エラストマーの表面への接触は、含フッ素系エラストマーの表面に当該処理液をスプレー塗布、刷毛塗りする等によって行うこともできるが、塗布設備の簡易性、自動連続塗布化が比較的容易等の点から、当該処理液中に含フッ素系エラストマーを浸漬する方法が好ましく、浸漬時間は1秒〜10分程度が好ましい。
上記処理液の調製に使用する溶媒は、光開始剤のみを付着させる場合(有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤の付着を行わない場合)、光開始剤を溶解し得る溶媒であればよく、また、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエー卜系重合促進剤を付着させる場合は、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエー卜系重合促進剤を溶解し得る溶媒を使用する。これら溶媒の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記処理液における溶媒と光開始剤の配合比(溶媒:光開始剤)は重量比で1:0.05〜4が好ましく、1:0.1〜2が好ましい。かかる配合比を離れて光開始剤の量が少ない場合は、含フッ素系エラストマー表面に十分量の光開始剤を付着させることが困難となり、光開始剤の量が多い場合は、当該溶液を接触させた含フッ素系エラストマーの表面がべたつき、また、ハンドリングに問題を生じたり、コスト面でも不利となる。また、光開始剤の溶解が困難になることがあり、好ましくない。また、上記処理液が光開始剤とともに有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を溶解乃至分散させた処理液の場合、溶媒と光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤との配合比(溶媒:光開始剤:有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤)は重量比で、1:0.05〜4:0.05〜4が好ましく、1:0.1〜2:0.1〜2が好ましい。ただし、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤との合計量が溶媒の4重量倍以下であるのが好ましい。該合計量が溶媒の4重量倍の量を超えると、当該処理液を接触させた含フッ素系エラストマーの表面がべたつき、また、ハンドリングに問題を生じたり、コスト面でも不利となる。また、各薬品が十分に溶解しない場合があり、好ましくない。
上記の処理液を含フッ素系エラストマーの表面に接触させた後は、処理液中の溶媒を除去するのが好ましい。該溶媒の除去は、例えば、風乾、加熱等によって行えばよい。乾燥後の含フッ素系エラストマー表面における光開始剤の付着量(単位面積当たりの付着量)は0.001mg/cm以上であるのが好ましい。
含フッ素系エラストマー表面への紫外光の照射は、自体公知の紫外光発生手段を用いて行うことができ、該紫外光発生手段としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。紫外光照射量は150mJ/cm以上が好ましく、より好ましくは250mJ/cm以上である。しかし、必要以上に紫外光を照射することは経済的に不利であり、また、含フッ素系エラストマーの紫外線劣化を引き起こす恐れがあるため、紫外光照射量の上限は数千mJ/cm以下が好ましい。
なお、含フッ素系エラストマーの表面の非固着性をより向上させるために、含フッ素系エラストマーの表面への紫外光の照射後、該表面を有機溶媒や水で洗浄するのが好ましい。かかる有機溶媒や水による洗浄は、浸漬洗浄、噴霧洗浄、超音波洗浄等の種々の方法で行うことができるが、超音波洗浄で行うのが好ましく、超音波洗浄を採用することで、エラストマー表面の非固着性がさらに一層向上する。ここでの有機溶媒としては、表面に残存する光開始剤、有機過酸化物、重合促進剤及びそれらの反応残渣を溶解又は膨潤できるものであれば、特に限定はされないが、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、超音波洗浄の際の周波数は5〜200kHzの範囲が好ましく、特に好ましくは15〜100kHzである。
本発明の表面改質方法によって、含フッ素系エラストマーの表面は、後記にて説明する「固着力残率」が80%以下、さらには75%以下という優れた非固着性を示す面に改質される。
本発明の表面改質方法によれば、含フッ素系エラストマーのゴム弾性を実質的に低下させることなく、その表面に非固着性を付与できる。従って、例えば、流体(真空)の密封に用いられる密封構造体(具体的には、例えば、半導体製造装置や液晶製造装置のチャンバーゲート部にて使用される密封構造体等)を構成するシールのシール材として用いる含フッ素系エラストマーの表面を、本発明の方法で表面改質すれば、シールのシール性能(密封性)を実質的に低下させることなく、シール材の相手部材への固着性を低減することができ、シールの使用耐久性が向上する。
図1は一般的な半導体製造装置のチャンバーゲート部に使用される密封構造体の模式断面図であり、該密封構造体は、シール50と、これに対向する相手部材60とが開閉し得、閉状態のとき、シール50の金具50bに装着されたシール材(Oリング)50aが相手部材60に圧接して、清浄空間側(K)と大気側(M)とを遮断して密封するものである。図2はシール50の平面図であり、金具50bの一主面の周縁に沿って環状の溝51が形成され、ここにシール材(Oリング)50aが嵌着されている。該密封構造体において、上記の閉状態が長く続いた場合、シール材50aが相手部材60に固着し、この後、シール50と相手部材60が開状態になると、シール材50aのシール用金具50bの溝51(被取付部)内での姿勢が不安定になって、その後のシール性能が低下したり、溝51との擦れによる粉塵の発生が起こり易くなる傾向にある。本発明の方法で表面改質された含フッ素系エラストマーを上記密封構造体におけるシールのシール材に使用することで、このような問題を解消乃至軽減できる。すなわち、本発明の方法で表面改質された含フッ素系エラストマーからなるシール材を使用すれば、シールと相手部材間の閉状態が長く続いても、シール材が相手部材に固着せず、シールと相手部材間が開状態になったときに、シール材が相手部材からスムーズに退避するため、シール材の好ましくない移動や変位が生じるのを防止でき、上記のようなシール性能の低下や粉塵の発生という問題を解消乃至軽減することができる。
本発明の方法で表面改質された含フッ素系エラストマーをシール材に使用してシールを構成する場合、図1に示すように、シール材50aの被取付部となるシール用本体金具50bに形成する溝51は蟻溝が好ましいが、断面がコ字状の溝であってもよい。蟻溝であれば、図1に示すように、シール材50aの断面形状が円や楕円であっても、溝51にシール材50aを嵌入するだけで、シール材の固定を行うことができ、好ましい。断面がコ字状の溝の場合、シール材は接着剤等を用いて溝内に固定(固着)させる。
また、本発明の方法で表面改質されたフッ素系エラストマーをシール材に使用してシールを構成し、流体(真空)の密封に用いられる密封構造体を構成する場合の、シール材及びシール用本体金具に設ける溝(シール材の被取付部)の特に好ましい形状及び寸法は以下の通りである。すなわち、図3、4に示すように、シール用本体金具に設ける溝3は、開口部4と、相互に該開口部4側に近づくにつれて接近する第1側壁面5及び第2側壁面6と、底壁面7とを有する蟻溝にする。シール材1は、蟻溝3から突出する突出部9を有し、該突出部9が相手部材21に圧接して清浄空間側Kと大気側Mとを遮断するようにする。そして、突出部9と相手部材21とが非接触の状態で、蟻溝3の底壁面7に対応する底面ストレート部11を有し、上記清浄空間側Kに対応する上記第1側壁面5に対して上記開口部4の近傍にて近接乃至当接する高位肩部12Hを有し、上記大気側Mに対応する上記第2側壁面6に対して蟻溝深さ寸法Hの中位の高さで当接する中位肩部12Lを有し、中位肩部12Lから突出部9に渡って開口部4の開口端縁部4bとの間に間隙部Gを有する形状にする。また、シール材1は、さらに、上記高位肩部12Hから、蟻溝3の底壁面7に略直交する方向の側面ストレート部17、及び、アール部18又は勾配部をもって、上記底面ストレート部11に至る横断面形状であるのが好ましく、また、図4に示すように、第1側壁面5に対して近接乃至当接する高位肩部12Hの底壁面7からの高さ寸法(H13)を蟻溝深さ寸法(H)の80%〜95%とし、かつ、第2側壁面6に対して当接する中位肩部12Lの底壁面7からの高さ寸法(H12)を蟻溝深さ寸法(H)の30%〜70%に設定するのが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。
なお、実施例及び比較例の含フッ素系エラストマーの非固着性の評価は以下の固着力残率(%)を算出することで評価した。また、含フッ素系エラストマーの表面の硬さは、JIS K 6253のデュロメータ硬さ試験(タイプAデュロメータ)により測定した。
[固着力残率]
図5に示すように、2枚の、縦10mm×横60mm×厚み2mmの表面処理エラストマーシートS1、S2で、SUS304板(縦10mm×横50mm×厚さ1mm)T1をその上下両面から重ね代20mmとなるように挟み、この積重物(厚さ約5mm)を圧縮治具で総厚みが約4mmになるまで圧縮し、該圧縮状態で150℃×24時間加熱後、10時間以上室温で放置してから、圧縮治具から取り外して試料とした。
該試料の2枚のエラストマーシートS1、S2の間からSUS304板をその表裏面と平行方向に引張速度50mm/分で引張る(引抜く)引張試験を行い、完全にSUS304板が2枚の表面処理エラストマーシートから剥離するまでの最大荷重(引張り力)を測定し、表面処理を行っていないエラストマーシート(非表面処理エラストマーシート)を用いた場合の最大荷重(引張り力)を100%として、下記式により固着力残率を求めた。
固着力残率(%)=(表面処理エラストマーシートの最大荷重/非表面処理エラストマーシートの最大荷重)×100
実施例1
下記組成の加硫用フッ素ゴム組成物をシート状に成形し、160℃で10分間加硫成形し、さらに180℃で4時間の二次加硫を施して、厚みが約2.0mmのエラストマーシートを作製した。該エラストマーシートの表面硬度は70であった。
(加硫用フッ素ゴム組成物)
フッ素ゴム(VDF/HFP二元共重合体) 100重量部
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5重量部
トリアリルイソシアヌレート 4重量部
カーボンブラック 10重量部
次に、上記作製したエラストマーシートを下記組成の処理液に3分間浸漬し、溶媒を乾燥により除去した後、1000mJ/cmの紫外光を照射して、表面処理エラストマーシートを得た。そして、この表面処理エラストマーシートの表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行い、固着力残率を算出した。
(処理液)
1−ヒトヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(50重量%)とベンゾフェノン(50重量%)の共融混合物 1重量部
トルエン 3重量部
実施例2
処理液の組成を下記組成とし、紫外光照射量を250mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
(処理液)
1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(50重量%)とベンゾフェノン(50重量%)の共融混合物 1重量部
ジクミルパーオキサイド 3重量部
トルエン 3重量部
実施例3
処理液の組成を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
(処理液)
1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(50重量%)とベンゾフェノン(50重量%)の共融混合物 1重量部
2−エチルへキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート 1重量部
トルエン 1重量部
実施例4
実施例3で得られた表面処理エラストマーシートをトルエン中にて1分間超音波洗浄(周波数:38kHz)し、乾燥後、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
実施例5
処理液の組成を下記組成に変更した以外は、実施例1と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
(処理液)
1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(50重量%)とベンゾフェノン(50重量%)の共融混合物 1重量部
N−メチルジエタノールアミン 1重量部
トルエン 1重量部
比較例1
処理液の組成を下記組成とし、紫外光照射量を500mJ/cmに変更した以外は、実施例2と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
ジクミルパーオキサイド 3重量部
トルエン 3重量部
比較例2
処理液の組成を下記組成に変更した以外は、実施例3と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
(処理液)
2−エチルへキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート 1重量部
トルエン 1重量部
比較例3
処理液の組成を下記組成に変更した以外は、実施例3と同様にして表面処理エラストマーシートを得、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
(処理液)
N−メチルジエタノールアミン 1重量部
トルエン 1重量部
比較例4
実施例1で作製したエラストマーシートの表面に電子線を加速電圧150kVにて50Mrad照射した後、その表面硬度を測定し、さらに、前記の引張剥離試験を行って、固着力残率を算出した。
以上実施例1〜5及び比較例1〜4の結果が表1である。
Figure 2007077286
表1から、含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させ、紫外光の照射処理をした実施例では、エラストマーの表面の硬度が上昇せず、該表面が優れた非固着性の面に改質されることが分かる。
また、光開始剤とともに有機過酸化物又はアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させると、表面改質効果が一層高まり、紫外光を照射した後、エラストマー表面を洗浄することで、表面改質効果がさらに一層高まることが分かる。
なお、電子線照射を行った比較例4では、エラストマーの表面は非固着性を有する面になったが、未処理試料(表面硬度:70)より表面の硬度が上昇し、表面の柔軟性が低下してしまった。
本発明の方法は、含フッ素系エラストマーの表面改質のために含フッ素系エラストマーの表面に紫外光を照射するが、紫外光の照射は空気中で行えるので、含フッ素系エラストマーの表面改質を連続ライン化して実施することも期待できる。
一般的な半導体製造装置のチャンバーゲート部に使用される密封構造体の模式断面図である。 図1中のシールの平面図である。 本発明の表面改質方法で表面改質された含フッ素系エラストマーをシールのシール材に適用して、流体(真空)の密封に用いられる密封構造体を構成する場合の、シールにおけるシール材とシール用金具(溝)の好適な形状を説明するための図である。 本発明の表面改質方法で表面改質された含フッ素系エラストマーをシールのシール材に適用して、流体(真空)の密封に用いられる密封構造体を構成する場合の、シールにおけるシール材の好適な寸法を説明するための図である。 固着力残率を求めるためのエラストマーシートの剥離試験を示す図である。
符号の説明
50 シール
50a シール材(ゴム弾性体)
50b シール用本体金具
51 溝
60 相手部材

Claims (7)

  1. 含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射することを特徴とする含フッ素系エラストマーの表面改質方法。
  2. 含フッ素系エラストマーの表面に光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を付着させる処理を行った後、当該エラストマーの表面に紫外光を照射することを特徴とする含フッ素系エラストマーの表面改質方法。
  3. 含フッ素系エラストマーの表面への光開始剤の付着処理、或いは、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤の付着処理が、光開始剤を含む処理液、或いは、光開始剤と有機過酸化物又は/及びアミノベンゾエート系重合促進剤を含む処理液を、含フッ素系エラストマーの表面に接触させる処理である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 含フッ素系エラストマーの表面に紫外光を照射した後、当該エラストマーの表面を有機溶媒又は水で洗浄することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の方法で表面改質された含フッ素系エラストマー。
  6. 請求項5記載の含フッ素系エラストマーからなるシール材。
  7. シール用金具と、該金具の溝に装着された請求項6記載のシール材とを含んでなるシール。
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