JP2021063197A - 含フッ素共重合体組成物、金属ゴム積層体及び金属ゴム積層体の製造方法 - Google Patents

含フッ素共重合体組成物、金属ゴム積層体及び金属ゴム積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム物性が良好であり、金属接着性が優れた架橋ゴムを形成する含フッ素共重合体組成物、及びその架橋ゴムを用いた金属ゴム積層体を提供する。【解決手段】テトラフルオロエチレンに基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体並びにヘキサフルオロプロピレンに基づく単位及びフッ化ビニリデンに基づく単位を有する共重合体からなる群から選択されるいずれか1種の含フッ素共重合体と、酸化チタンと、受酸剤とを含む含フッ素共重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素共重合体組成物、金属ゴム積層体及び金属ゴム積層体の製造方法に関する。
含フッ素共重合体を架橋してなる架橋ゴムは、一般に耐熱性、耐油性、耐摩耗性に優れており、Oリング、パッキン、オイルシール、ガスケット等のシール材として、自動車、一般機械、建築、航空機等の分野で広く使用されている。シール材において架橋ゴムは、金属と接着させて複合材料として用いられる場合がある。そのため架橋ゴムには、引張り強度や圧縮永久歪等のゴム物性が良好であるだけでなく、金属に対する接着性(金属接着性)が優れていることも求められる。特許文献1〜2には、メルカプトシラン及び珪藻土を架橋ゴムに含有して、その金属接着性を向上させる技術が開示されている。特許文献3には、疎水性シリカを架橋ゴムに含有して、その物性を向上させる技術が開示されている。
特開2010−235906号公報 特開2010−235907号公報 国際公開第2014/084082号
特許文献1〜2に記載された架橋ゴムは、金属接着性は良好であるが、引張り強さ等の機械的強度、圧縮永久歪等のゴム物性が不良になる問題がある。このゴム物性を改善するために、本発明者は特許文献3を参照してさらに疎水性シリカを添加したところ、金属接着性が損なわれた。
本発明は、ゴム物性が良好であり、金属接着性が優れた架橋ゴムを形成する含フッ素共重合体組成物、その架橋ゴムを用いた金属ゴム積層体及び金属ゴム積層体の製造方法を提供する。
[1] テトラフルオロエチレンに基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体並びにヘキサフルオロプロピレンに基づく単位及びフッ化ビニリデンに基づく単位を有する共重合体からなる群から選択されるいずれか1種の含フッ素共重合体と、酸化チタンと、受酸剤とを含む含フッ素共重合体組成物。
[2] さらに架橋剤を含む、[1]に記載の含フッ素共重合体組成物。
[3] 前記架橋剤が有機過酸化物である、[2]に記載の含フッ素共重合体組成物。
[4] さらに架橋助剤を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物。
[5] 前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物。
[6] 前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物。
[7] 前記受酸剤が酸化マグネシウムである、[1]〜[6]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物を架橋してなる架橋ゴム層と、金属基材とを有する金属ゴム積層体。
[9] 前記架橋ゴム層と、前記金属基材が接する、[8]に記載の金属ゴム積層体。
[10] 前記架橋ゴム層と前記金属基材との間に接着剤層を有する、[8]に記載の金属ゴム積層体。
[11] 金属基材上に接着剤層を形成し、該接着剤層上に[1]〜[7]のいずれかに記載の含フッ素共重合体組成物からなる層を形成し、次いで、該含フッ素共重合体組成物からなる層を架橋する、金属ゴム積層体の製造方法。
本発明の含フッ素共重合体組成物によれば、ゴム物性が良好であり、金属接着性が優れた架橋ゴムを形成することができる。本発明の金属ゴム積層体は、シール材として好適である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合、三重結合等が例示される。
「単量体に基づく単位」とは、単量体1分子が重合することで直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換することで得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」を「単量体単位」とも記す。
本明細書において、親水性シリカの見かけ比重の値は、ISO787/XIにより得られる値である。
本明細書において、親水性シリカの比表面積の値はISO18852(JIS K6430(2008))に規定されるBET法により得られる値である。
本明細書において、親水性シリカの平均一次粒子径の値は、透過型電子顕微鏡観察により、粒子2500個以上の粒子径を測定し、個数平均を算出した値である。
<含フッ素共重合体組成物>
本発明の組成物は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、TFE単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとも記す。)に基づく単位を有する共重合体並びにヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとも記す。)に基づく単位及びフッ化ビニリデン(以下、VdFとも記す。)に基づく単位を有する共重合体からなる群から選択されるいずれか1種の含フッ素共重合体と、酸化チタン、受酸剤とを含む含フッ素共重合体組成物である。
本発明における各共重合体は、一般的なラジカル重合法によって得られる。ラジカル重合法として、例えば、ヨウ素単体又はヨウ素化合物存在下にラジカル重合するヨウ素移動重合法などのリビングラジカル重合法が挙げられる。
TFE単位及びプロピレン単位(以下、P単位とも記す。)を有する共重合体としては、国際公開第2009/119202号、及び国際公開第2017/057512号に記載の共重合体等が例示される。
HFP単位及びVdF単位を有する共重合体として、特開平06−306180号公報に記載の共重合体等が例示される。
TFE単位及びPAVE単位を有する共重合体として、米国特許第4035565号明細書、及び国際公開第2010/082633号に記載の共重合体等が例示される。
好ましい共重合体として、以下の共重合体が例示できる。
TFE単位とP単位を有し、共重合体が有する全単位に対して、TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%である共重合体(以下、TFE−P系共重合体という)。HFP単位とVdF単位を有し、共重合体が有する全単位に対して、HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、HFP−VdF系共重合体という)。TFE単位とPAVE単位を有し、共重合体が有する全単位に対してTFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、TFE−PAVE系共重合体という)。中でも、TFE−P系共重合体が好ましい。
TFE−P系共重合体としては、共重合体が有する全単位に対して、TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%であり、TFE単位/P単位(モル比)が30/70〜70/30である共重合体が好ましい。TFE単位/P単位(モル比)は、45/55〜65/35が好ましく、50/50〜60/40がより好ましい。TFE−P系共重合体は、ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
TFE−P系共重合体における、TFE単位及びP単位以外の単位としては、下式(1)で表される単量体1に基づく単位が好ましい。
CR=CR−R−CR=CR ・・・(1)
(式(1)中、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はメチル基であり、Rは、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキレン基又は前記パーフルオロアルキレン基の末端もしくは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基である。)
単量体1としては、CF=CFO(CFOCF=CF、CF=CFO(CFOCF=CF、CH=CH(CFCH=CHが例示できる。
TFE−P系共重合体が有する全単位に対する単量体1単位の割合は0.1〜1.5モル%が好ましく、0.15〜0.8モル%がより好ましく、0.25〜0.6モル%がさらに好ましい。
TFE−P系共重合体がTFE単位、P単位及び単量体1単位を含む場合、共重合体の全単位に対するTFE単位、P単位及び単量体1単位の合計は98〜100モル%が好ましい。また、TFE単位/P単位のモル比は30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
TFE−P系共重合体における、TFE単位、P単位及び単量体1単位以外の他の単位としては、下記の単量体に基づく単位が例示できる。
フッ素化オレフィン:モノフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、ジクロロジフルオロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロシクロブテン、ペンタフルオロブチレン、ヘプタフルオロペンテン、ノナフルオロヘキセン、ウンデカフルオロヘプテン
炭化水素オレフィン:エチレン、1−ブテン、イソブチレン、ペンテン
アルキルビニルエーテル:メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル
ビニルエステル:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル
上記以外の単量体:塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロスチレン
TFE−P系共重合体が有する全単位に対して、他の単位は、2.0モル%以下が好ましく、1.0モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
TFE−P系共重合体はヨウ素原子を含むことが好ましい。共重合体の全質量に対して、ヨウ素原子は0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。この範囲であると、TFE−P系共重合体のゴム物性を維持しつつ、架橋が容易になるため好ましい。
共重合体へのヨウ素原子の導入方法は、上記他の単量体としてヨウ素原子を有する単量体を用いる方法やヨウ素原子を有する連鎖移動剤を重合に用いる方法が挙げられる。共重合体の主鎖末端にヨウ素原子をさせ、架橋部位をコントロールしやすいことから。連鎖移動剤を用いる方法が好ましい。
連鎖移動剤としては、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,2−ジヨードパーフルオロエタン、1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,5−ジヨードパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサンが挙げられ、中でも1,4−ジヨードパーフルオロブタンが好ましい。
TFE−P系共重合体の市販品として、「アフラス100S」、「アフラス100H」、「アフラス150P」、「アフラス150E」、「アフラス150L」、「アフラス150C」、「アフラス150CS」、「アフラス300S」(以上、AGC社製)等が例示される。
TFE−PAVE系共重合体としてはTFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モルであり、TFE単位/PAVE単位(モル比)が20/80〜80/20である共重合体が好ましい。TFE単位/PAVE単位(モル比)は、50/50〜80/20が好ましく、60/40〜75/25がより好ましい。TFE−PAVE系共重合体は、ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(メトキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)が例示できる。
TFE単位及びPAVE単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体1に基づく単位が例示できる。
他の単量体1:クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、エチリデンノルボルネン、クロトン酸ビニル、HFP、VdF
TFE−PAVE系共重合体が有する全単位に対して、他の単位1は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
TFE−PAVE系共重合体はヨウ素原子を含むことが好ましい。共重合体の全質量に対して、ヨウ素原子は0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。この範囲であると、TFE−PAVE系共重合体のゴム物性を維持しつつ、架橋が容易になるため好ましい。
共重合体へのヨウ素原子の導入方法及び好ましい連鎖移動剤は、上記TFE−P系共重合体と同様である。
以上で説明した(3)TFE−PAVE系共重合体の市販品として、バイトンGLT、バイトンGFLT(以上、デュポンエラストマー社製)等が例示される。
HFP−VdF系共重合体としては共重合体の全単位に対して、HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モルであり、VdF単位/HFP単位(モル比)が60/40〜95/5である共重合体が好ましい。VdF単位/HFP単位(モル比)は、70/30〜90/10が好ましく、75/25〜85/15がより好ましい。HFP−VdF系共重合体は、ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
HFP単位及びVdF単位以外の単位としては、TFE単位が好ましい。共重合体がHFP単位、VdF単位及びTFE単位を含む場合、共重合体の全単位に対するHFP単位、VdF単位及びTFE単位の合計は98〜100モル%が好ましい。また、VdF単位/TFE単位/HFP単位(モル比)は、50/5/45〜65/30/5が好ましく、50/15/35〜65/20/15がより好ましい。
HFP単位、TFE単位及びVdF単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体2に基づく単位が例示できる。
他の単量体2:クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、エチリデンノルボルネン、クロトン酸ビニル
HFP−VdF系共重合体の全単位に対して、他の単位2は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
HFP−VdF系共重合体の市販品として、「ダイエルG−801」、「ダイエルG−901」、「ダイエルG−902」、「ダイエルG−912」、「ダイエルG−952」、「ダイエルG−9074」、「ダイエルG−9062」(以上、ダイキン工業社製)、「バイトンGF−600S」(デュポン社製)、「テクノフロンP959」、「テクノフロンP459」、「テクノフロンP757」、「テクノフロンP457」(以上、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製)等が例示される。
共重合体の貯蔵せん断弾性率G’は、100kPa〜600kPaが好ましく、200kPa〜500kPaがより好ましく、200kPa〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。共重合体の貯蔵せん断弾性率G’が前記範囲内であると、架橋ゴムの良好なゴム物性が得られやすい。貯蔵せん断弾性率G’の値は後述の方法により測定された値である。
本発明の組成物には、酸化チタンが含まれる。酸化チタンとしては、ルチル型、アナタース型又は無定型の酸化チタンをいずれも用いることができる。
本発明の組成物に含まれる酸化チタンの量の含有量は、共重合体100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、20〜35質量部がさらに好ましい。1質量部以上であると、金属接着性の向上効果が得られ、50質量部以下であると、組成物から形成された架橋ゴムのゴム物性を良好に保持しつつ、金属接着性を高めることができる。また、10質量部以上であるとより金属接着性が向上し、20質量部以上であるとさらに金属接着性が向上する。
本発明の組成物においては、親水性シリカを含んでもよい。
本発明における親水性シリカは、その表面がヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等を用いて疎水化処理されておらず、その表面が親水性であるシリカ粒子である。親水性シリカ粒子の表面には通常水酸基が多数存在する。各組成物に親水性シリカが含まれることにより、組成物から形成された架橋ゴムのゴム物性を良好に保持しつつ、金属接着性を高めることができる。また、組成物中に珪藻土が含まれることによるゴム物性の低下を、親水性シリカの含有によって抑制することができる。
親水性シリカの比表面積は、20m/g以上が好ましく、30m/g以上1000m/g以下がより好ましく、70m/g以上500m/g以下がより一層好ましく、100m/g以上450m/g以下がさらに好ましく、150m/g以上400m/g以下が特に好ましく、175m/g以上350m/g以下が最も好ましい。
親水性シリカの比表面積が前記範囲内であると、親水性シリカを含有する本発明の組成物を架橋してなる架橋ゴムの金属に対する接着性を充分に向上させることができる。
親水性シリカの比表面積が1000m/g以下、より好ましくは500m/g以下、さらに好ましくは400m/g以下、最も好ましくは350m/g以下であると、組成物を製造する際の親水性シリカの分散性や操作性が良好となる。
親水性シリカの見かけ比重は、20〜300g/Lが好ましく、30〜250g/Lがより好ましく、40〜200g/Lがさらに好ましい。見かけ比重が前記範囲内であると、各組成物が適度な粘度を示すため扱いやすく、架橋ゴムの伸びの低下を抑制し、良好な硬度が得られる。
親水性シリカの平均一次粒子径は5〜50nmが好ましく、6〜45nmがより好ましく、7〜40nmが特に好ましい。前記範囲内の平均一次粒子径であると、各組成物における親水性シリカの分散性が高まりやすい。
親水性シリカは、一般にその製造方法に基づいて、湿式シリカと乾式シリカとに分類される。架橋ゴムを成形加工する際のボイド不良を防止する観点から、乾式シリカが好ましい。
親水性シリカは市販品として入手可能であり、例えば日本アエロジル社製のAEROSIL 50、200、300等が挙げられる。前記組成物に含まれる親水性シリカは、1種のみでもよく、2種以上用いてもよい。
各組成物中の親水性シリカの含有量は、共重合体100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜20質量部がさらに好ましい。1質量部以上であると、金属接着性の向上効果が得られ、50質量部以下であると、架橋ゴムの破断伸びの低下を抑制することができる。
本発明の組成物に珪藻土が含まれている場合は、該組成物から形成された架橋ゴムの金属接着性を高める。組成物中の親水性シリカの比表面積が70m/g未満である場合、親水性シリカによる金属接着性の向上が不十分であったとしても、珪藻土を含有することによって前記架橋ゴムの金属に対する接着性を向上させることができる。珪藻土は一般に珪藻の殻の化石に由来する材料である。顕微鏡で観察することによってシリカ粒子とは明確に区別される。前記組成物に含まれる珪藻土としては、炭酸ナトリウム等の炭酸塩と共に焼成された珪藻土であるセライトが特に好ましい。
具体的な珪藻土としては、CELITE270,281,501,503,505,512,535,545,560,577,スノウフロス,スーパーフロス(以上、ジョンズ・マンビル(Johns Manville)社製商品名:米国)やラジオライト100,200,300,500,600,800,900,ファインフローB,F(以上、昭和化学社製商品名)やシリカ300S,600S,645,6B(以上、中央シリカ社製商品名)、Celite 350(Imerys Filtration Minerals, Inc.社製)などが例示される。前記組成物に含まれる珪藻土は、1種のみでもよく、2種以上用いてもよい。
前記組成物中の珪藻土の含有量は、共重合体100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。1質量部以上であると、金属接着性の向上効果が得られ、50質量部以下であると、架橋ゴムのゴム物性の低下を低減することができる。
本発明の組成物に含まれる受酸剤は、組成物中の共重合体を架橋させる際に生じる酸性物質を中和する薬剤である。また、その塩基性によってラジカルを安定化させ、過酸化物による架橋反応が速やかにかつ確実に進行しやすくなる。
受酸剤としては、1価アルカリ金属の金属酸化物及び金属水酸化物、2価金属の金属酸化物及び金属水酸化物、3価金属の金属酸化物及び金属水酸化物、又はこれらが複合した複合金属酸化物及び複合金属水酸化物が挙げられる。
中でも、酸化マグネシウム(低活性、中活性、高活性)、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等の2価金属の金属酸化物、水酸化カルシウム等の2価金属の水酸化物、酸化ナトリウム等の1価アルカリ金属の金属酸化物、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、モレキュラーシーブ、ハイドロタルサイト等が例示される。
具体的には、受酸剤として、下記の市販品が挙げられる。
低活性又は中活性酸化マグネシウム:協和化学工業社製キョーワマグ30、神島化学工業社製スターマグM、スターマグA、スターマグL及びスターマグP、米国シーピーホール社製マグライトA
高活性酸化マグネシウム:協和化学工業社製キョーワマグ150、神島化学工業社製スターマグU及びスターマグR、米国シーピーホール社製マグライトD
ハイドロタルサイト:協和化学工業社製DHT−4A
中でも、受酸効果が高いことから、受酸剤としては高活性酸化マグネシウムが好ましい。
前記組成物に含まれる受酸剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の受酸剤の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部がさらに好ましい。上記範囲であると、架橋ゴムの物性が優れる。
本発明の組成物には、架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれると、組成物中の共重合体同士が架橋してなる架橋ゴムを容易に得ることができる。通常、架橋ゴムはゴム弾性を有する。
架橋剤としては、有機過酸化物、ポリオール、アミン、トリアジン等が例示される。これらの中でも、耐スチーム性に優れる架橋ゴムが得られやすい点で有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、半減期が1分間となる温度が130〜220℃であるものが好ましい。具体的には、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ(tert−ブチル)ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン等が例示される。前記組成物に含まれる架橋剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の有機過酸化物の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、優れた物性を有する架橋ゴムが容易に得られる。
本発明の組成物には、架橋助剤が含まれることが好ましい。架橋助剤が含まれると、組成物中の共重合体同士の架橋が円滑に進み、優れた物性を有する架橋ゴムが得られる。
架橋助剤としては、1分子内に2個以上の不飽和結合を有する化合物が例示される。架橋助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジビニルベンゼン等が例示される。これらの中でもトリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが好ましい。前記組成物に含まれる架橋助剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の架橋助剤の含有量は、共重合体の100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、前記組成物の架橋ゴムの硬度、耐熱性等の物性が優れる。
本発明の組成物には、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、前記共重合体以外の樹脂からなる公知のエラストマー、添加剤等が例示される。
前記公知のエラストマーの含有量は、前記共重合体の100質量部に対して、0〜50質量部が好ましい。
本発明の組成物にカーボンブラックを含有させることも好ましい。カーボンブラックは、架橋ゴムの充填材としてだけでなく、架橋ゴムを補強する補強材としても有用である。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が例示される。これらのうち、補強性の点でファーネスブラック及びサーマルブラックがより好ましい。具体的には、HAF−LS、HAF、HAF−HS、FEF、GPF、APF、SRF−LM、SRF−HM、MT等が例示される。前記組成物に含まれるカーボンブラックは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中のカーボンブラックの含有量は、共重合体の100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、架橋ゴムの硬度が良好となり、上限値以下であると、架橋ゴムの伸びが良好となりやすい。
添加剤としては、充填材、加工助剤、分散助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、接着助剤等が例示される。
親水性シリカ、珪藻土及びカーボンブラック以外の充填材としては、石英粉末、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、グラファイト、ワラストナイト、二硫化モリブデン、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維等が例示される。
加工助剤としては、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド等の脂肪酸誘導体、天然ワックス、合成ワックス、界面活性剤等が例示される。分散助剤としては、高級脂肪酸及びその金属アミン塩等が例示される。可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体が例示される。軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油が例示される。
老化防止剤としては、フェニレンジアミン、ヒンダードアミン、フォスフェート、キノリン、クレゾール、フェノール、ジチオカルバメート金属塩等が例示される。接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が例示される。その他に、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を必要に応じて配合できる。
本発明の組成物は、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の混練装置を用いる混練方法によって、共重合体、親水性シリカ及び受酸剤と、必要に応じて、珪藻土、架橋剤、架橋助剤、加工助剤、充填材等の他の成分とを混合することにより調製できる。
本発明の組成物のムーニー粘度は、10〜130が好ましい。ムーニー粘度が前記範囲内であると、組成物の加工性、架橋ゴムの機械的物性等が良好となりやすい。組成物のムーニー粘度は、島津製作所社製SMV−201を用いて、JIS K6300−1:2013に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmのL型ローターを用い、121℃で予熱時間を1分間、ローター回転時間を4分間に設定して測定される値である。
<架橋ゴムの製造方法>
本発明の組成物を架橋することにより架橋ゴムが得られる。前記組成物を所望の形状に成形した後で架橋してもよいし、架橋した後で成形してもよい。成形方法及び架橋方法は特に限定されず、公知の方法が適用される。架橋方法としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋、被鉛架橋等が例示される。一次架橋と二次架橋に分けて架橋処理を行ってもよい。二段階に分けて架橋することにより、架橋ゴムのゴム特性等を安定化できる。一次架橋条件としては、100〜200℃で数秒〜24時間加熱する方法が例示される。二次架橋条件としては、100〜300℃で30分〜48時間程度加熱する方法が例示される。
前記架橋ゴムの硬度は、60〜99が好ましく、60〜90がより好ましく、65〜85がさらに好ましい。
前記架橋ゴムの破断伸びは、150%以上が好ましく、200%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常500%以下である。
前記架橋ゴムの引張り強さ(強度)は、8MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましく、15MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常40MPa以下である。
前記架橋ゴムの100%引張応力は、3MPa以上が好ましく、4MPa以上がより好ましく、5MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常15MPa以下である。
前記架橋ゴムの圧縮永久歪は、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、通常1%以上である。
前記架橋ゴムの比重は、通常、1.4〜1.8の範囲である。
以上の架橋ゴムの硬度、破断伸び、引張り強さ、引張応力、圧縮永久歪及び比重は、後述の方法で測定される値である。
(作用機序)
以上説明した本発明の含フッ素共重合体組成物にあっては、酸化チタンを含むので、架橋ゴムのゴム物性を損なうことなく、その金属接着性を向上できる。酸化チタンに加えて親水性シリカや珪藻土を含む場合には、架橋ゴムの金属接着性をさらに向上できる。親水性シリカ及び珪藻土の表面に存在する水酸基が金属接着性の向上に寄与していると推測される。また、珪藻土の含有による架橋ゴムのゴム物性の劣化を、親水性シリカの含有によって抑制することができる。
<金属ゴム積層体>
本発明の金属ゴム積層体は、本発明の含フッ素共重合体組成物を架橋してなる架橋ゴム層と、金属基材とを有する。架橋ゴム層と金属基材との間に接着剤層を有することが好ましい。
接着剤としては、シランカップリング剤系接着剤が好ましい。シランカップリング剤系接着剤であると、金属との接着性が良好であるとともに、本発明の含フッ素共重合体組成物を架橋してなる架橋ゴムとの接着性も良好である。シランカップリング剤系接着剤としては、横浜高分子社製VT−200、QZR−48、CF−5M、D−602、MP−204、VM−3A等が挙げられ、なかでもMP−204、VM−3Aが好ましい。
接着剤層の厚さは0.1〜30μmが好ましく、1.0〜20μmがより好ましい。この範囲であると、接着性が良好であるとともに、接着剤層の厚みが小さいことにより、架橋ゴム層と金属基材層とが部分的に接触して架橋ゴムと金属との間で結合を形成し、金属接着性がより向上すると考えられる。
架橋ゴム層の厚さは特に限定されず、例えば1mm〜100mm程度が挙げられる。
架橋ゴム層と金属基材の表面は平坦であってもよく、凹凸面、曲面等の非平坦面であってもよい。
金属基材を構成する金属材料は特に限定されず、例えば、一般鉄鋼材料(SPCC、SS400等)、ステンレス鋼材料、アルミニウム、銅合金材料、アルミニウム合金材料、等が挙げられる。金属基材の形状は特に限定されず、金属ゴム積層体の用途に応じた形状が適用される。
<金属ゴム積層体の製造方法>
本発明の金属ゴム積層体は、金属基材上に接着剤層を形成し、該接着剤層上に本発明の含フッ素共重合体組成物からなる層を形成し、該組成物からなる層を架橋する方法で製造することが好ましい。つまり、架橋ゴム層は、本発明の組成物が金属基材上の接着剤層に接触した状態で架橋反応を起こし、架橋ゴムになったものであることが好ましい。これにより、本発明の金属ゴム積層体における架橋ゴム層の金属基材に対する接着性がより一層向上する。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[共重合体の組成]
共重合体の組成(各単位のモル比)は、19F−核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
[共重合体のヨウ素含有量]
共重合体中のヨウ素含有量は、ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
[共重合体の貯蔵せん断弾性率G’]
Alpha Technologies社製RPA2000を用いて、ASTM D5289及びD6204に従い、温度100℃、振幅0.5度、振動数50回/分で測定した値を貯蔵せん断弾性率G’とした。
<架橋ゴムの物性評価>
[100%引張応力、引張り強さ、破断伸び]
含フッ素共重合体組成物を160℃で10分間の熱プレスによって一次架橋させた後、200℃のオーブン内で4時間加熱して2次架橋させて、厚さ2mmの架橋ゴムのシートを得た。得られた架橋ゴムシートを3号ダンベルで打ち抜き試料を作製した。
JIS K6251に準じて、100%引張応力、引張り強さ及び破断伸びを測定した。
JIS K6253に準じて硬度(ショアA)を測定した。
[比重の測定]
新光電子社製比重計を用い、JIS K6220−1に準ずる方法で、架橋ゴムの比重を測定した。
[圧縮永久歪(CS)の測定]
含フッ素共重合体組成物を160℃で10分間の熱プレスによって一次架橋させた後、200℃のオーブン内で4時間加熱して2次架橋させて、厚さ12.5mmの架橋ゴム板を得た。前記架橋ゴム板を用い、JIS K6262に準じて200℃で70時間の圧縮永久歪試験を行い、架橋ゴムの圧縮永久歪を測定した。
[金属接着性の評価]
JIS K6256−2に準じて、剛板と架橋ゴムからなる試験片とを接着剤(Monicas−204、横浜高分子社製)を介して接着した金属ゴム積層体について、常温(25℃)で90度剥離試験を行った。
剛板として、厚さ2±0.5mm、幅25±1mm及び長さ60±1mmの、冷間圧延板(SPCC)、ステンレス鋼板(SUS304,SUS316)又はアルミニウム板を用いた。架橋ゴムの試験片のサイズは、厚さ5±0.5mm、幅25±1mm及び長さ125±3mmとした。剛板と試験片の接着面積は、幅19±0.1mm及び長さ20±0.1mmとした。
剛板に試験片を接着する前に、剛板の接着面をアセトンで洗浄し、その洗浄面に前記接着剤をディッピングで塗布した後、160℃で10分の焼付けを行い、その焼付け面に前記接着剤をディッピングで塗布した後、210℃で30分の焼付けを行った。接着剤層の厚さは5〜10μmであった。次いで、前記接着剤を焼付けた所定の接着面に対して、所定の寸法に成形した未架橋の含フッ素共重合体組成物を貼り付け、加熱プレスによって実施例1〜7及び比較例1〜12は一次架橋処理(160℃で10分)及び二次架橋処理(200℃で4時間)を施した。実施例8〜10及び比較例13〜14は一次架橋処理を145℃で20分とした他は前記と同様に一次及び二次架橋処理を施した。一連の架橋処理によって、前記含フッ素共重合体組成物は、所定の寸法の架橋ゴムからなる試験片となった。その後、スチーム曝露処理(135℃で70時間、又は170℃で70時間)を施した。
前記二次架橋処理及び前記スチーム曝露処理を経た試験片の接着性を下記の基準で評価した。
架橋ゴムからなる試験片に材料破断が起こった時点で引張を停止し、剛板と試験片の接着面積を計測し、下記の通り、試験前の接着面積100%に近いほど優れた接着力であると評価した。各試験片について同一試験を2回行い、接着面積の平均値を評価した。
材料破断時の接着面積が95%以上=優秀(◎)
材料破断時の接着面積が90%以上95%未満=良好(○)
材料破断時の接着面積が50%以上90%未満=普通(△)
材料破断時の接着面積が50%未満=不良(×)
<含フッ素共重合体組成物に含まれる成分>
共重合体A:TFE単位とC3DVE単位とP単位とを有する共重合体、共重合体Aを構成する全単位の合計に対しTFE単位の割合が56モル%、P単位の割合が43.8モル%、C3DVE単位の割合が0.2モル%、G’=330kPa、共重合体の全質量に対してヨウ素原子を0.5質量%含有する。共重合体Aは、国際公開第2017/057512号に開示されている方法によって製造できる。
共重合体B:TFE単位とP単位とを有する共重合体、共重合体Bを構成する全単位の合計に対しTFE単位の割合が56モル%、P単位の割合が44モル%、G’=280kPa、共重合体の全質量に対してヨウ素原子を0.4質量%含有する。共重合体Bは、国際公開第2009/119202号に開示されている方法によって製造できる。
共重合体C:アフラス150P(製品名、旭硝子社製)、TFE単位とP単位とを有する共重合体、共重合体Cを構成する全単位の合計に対しTFE単位の割合が56モル%、P単位の割合が44モル%、G’=240kPa。
共重合体D:TFE単位とPMVE単位とを有する共重合体、共重合体Dを構成する全単位の合計に対しTFE単位の割合が69モル%、PMVE単位の割合が31モル%、G’=550kPa、ムーニー粘度=180、共重合体の全質量に対してヨウ素原子を0.15質量%含有する。共重合体Dは、国際公開第2010/082633号に開示されている方法によって製造できる。
カーボンブラック:THENMAX N−990(製品名)、Canarb Limited社製。
架橋助剤A:1,3,5−トリアリルイソシアヌレート、TAIC(製品名)、三菱ケミカル社製。
架橋助剤B:1,3,5−トリアリルイソシアヌレート、TAIC WH−60(製品名)、三菱ケミカル社製。
加工助剤A:ステアリン酸カルシウム、富士フィルム和光純薬社製。
加工助剤B:非イオン性界面活性剤、エマスター510P(製品名)、理研ビタミン社製。
架橋剤A:α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、パーカードックス14(製品名)(略称:P−14)、化薬アクゾ社製。
架橋剤B:2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、パーヘキサ(登録商標)25B(略称:パーヘキサ25B)、日油社製。
受酸剤:MgO粉末、キョーワマグ150(製品名)協和化学工業社製。
珪藻土:セライト、Celite350(製品名)、Imerys Filtration Minerals,Inc.社製。
親水性シリカA:AEROSIL 50(製品名)、比表面積50±15m/g、見かけ比重約50g/L、平均一次粒子径30nm、日本アエロジル社製。
親水性シリカB:AEROSIL 200(製品名)、比表面積200±25m/g、見かけ比重約50g/L、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製。
親水性シリカC:AEROSIL 300(製品名)、比表面積300±30m/g、見かけ比重約50g/L、平均一次粒子径7nm、日本アエロジル社製。
酸化チタン:SA−1(製品名、アナタース型酸化チタン)、堺化学工業社製。
疎水性シリカ:AEROSIL RX200(製品名)、比表面積140±25m/g、見かけ比重約50g/L、平均一次粒子径12nm、日本アエロジル社製。
[実施例、比較例]
表1〜2に示す配合(質量比)で、2本ロールを用い、各成分を均一に混練して含フッ素共重合体組成物を調製した。各組成物について、上述した方法により架橋ゴムの試験品を作製し、物性などを評価した。その結果を表3〜4に示す。
Figure 2021063197
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Figure 2021063197
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酸化チタンを含む架橋ゴムは、金属に対する接着性とゴム物性(破断伸び、圧縮永久歪等)に優れていた。
特に、酸化チタン、珪藻土、親水性シリカ及び受酸剤を含む架橋ゴムは、金属に対する接着性に優れ、さらにスチーム曝露後にもその優れた接着性が維持された。
酸化チタンを含まない架橋ゴムは、金属に対する接着性が不良であるか、又はゴム物性(破断伸び、圧縮永久歪等)が不良であった。

Claims (11)

  1. テトラフルオロエチレンに基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体並びにヘキサフルオロプロピレンに基づく単位及びフッ化ビニリデンに基づく単位を有する共重合体からなる群から選択されるいずれか1種の含フッ素共重合体と、酸化チタンと、受酸剤とを含む含フッ素共重合体組成物。
  2. さらに架橋剤を含む、請求項1に記載の含フッ素共重合体組成物。
  3. 前記架橋剤が有機過酸化物である、請求項2に記載の含フッ素共重合体組成物。
  4. さらに架橋助剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物。
  5. 前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物。
  6. 前記含フッ素共重合体が、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物。
  7. 前記受酸剤が酸化マグネシウムである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物を架橋してなる架橋ゴム層と、金属基材とを有する金属ゴム積層体。
  9. 前記架橋ゴム層と、前記金属基材が接する、請求項8に記載の金属ゴム積層体。
  10. 前記架橋ゴム層と前記金属基材との間に接着剤層を有する、請求項8に記載の金属ゴム積層体。
  11. 金属基材上に接着剤層を形成し、該接着剤層上に請求項1〜7のいずれか一項に記載の含フッ素共重合体組成物からなる層を形成し、次いで、該含フッ素共重合体組成物からなる層を架橋する、金属ゴム積層体の製造方法。
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