JP2007314662A - エラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びoリング - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ低コストであり、表面損傷も少ない方法により表面にフッ素系樹脂の被膜が形成されたエラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びOリングを提供する。
【解決手段】真空蒸着法により、エラストマー成形体の表面に基材温度150℃〜320℃の条件下においてフッ素系樹脂の被膜を10μm以下の膜厚で形成する。これにより得られたフッ素系樹脂の被膜を有するエラストマー成形体は、200℃から300℃の環境下において、金属との固着力が100N以下であり、酸素と四フッ化炭素との混合プラズマ照射による重量減少率が1.0重量%以下である。
【選択図】なし
【解決手段】真空蒸着法により、エラストマー成形体の表面に基材温度150℃〜320℃の条件下においてフッ素系樹脂の被膜を10μm以下の膜厚で形成する。これにより得られたフッ素系樹脂の被膜を有するエラストマー成形体は、200℃から300℃の環境下において、金属との固着力が100N以下であり、酸素と四フッ化炭素との混合プラズマ照射による重量減少率が1.0重量%以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、表面特性が改良されたエラストマー成形体、特に半導体製造装置、半導体搬送装置、液晶製造装置等に好適なエラストマー成形体に関する。
従来より半導体、液晶製造装置等で使用されるOリング等のシール材料には、耐プラズマ性、耐熱性、クリーン性、非固着性、耐薬品性等が求められている。そのため、耐プラズマ性、耐熱性、耐薬品性等に優れたパーフルオロ系及びフッ素系のゴム材料が多く使用されている。
一般に、ゴム材料は、シールすべき金属面に固着しやすいので、開閉が頻繁に行われる装置においては、装置の正常動作を阻害する等の問題が生じ易かった。また、メンテナンス時においては、シール材が剥がせないほど強く金属面に固着し、これを無理に剥がそうとすると、ゴム粉がこすれ落ち、装置の不具合を引き起こす等の問題があった。このような、金属面への固着の問題は、表面エネルギーが低いフッ素系ゴムにおいても同様に生じていた。特に、パーフルオロ系のゴム材料は、真空あるいは高温にさらされる機会が多いので、金属への固着の問題は顕著となっていた。
以上のことから、シール材料、特にフッ素系ゴムの非固着化技術が求められている。ゴム材料の非固着化方法としては、従来よりゴム中へのオイルの配合、ゴム材料表面へのシリコーン反応層の形成処理、ゴム材料とシリコーンゴムとのブレンド、ゴム材料中へのフッ素樹脂粉末等の充填、ゴム材料への特定種のプラズマ照射、ゴム材料からの低分子量物質の除去等が知られていた。
しかし、上記ゴム材料中へオイルを配合する方法では、ゴム材料からオイルが染み出して周囲を汚染し、また材料自体の強度低下という問題があった。また他の方法では、特に高温、真空という厳しい環境下で使用されることが多いパーフルオロ系及びフッ素系のゴム材料に非固着性を発現させることが困難であった。
そこで、下記特許文献1には、スパッタリング法によりゴム材料の表面にフッ素系重合体の薄膜を形成する方法が提案されている。また、下記特許文献2には、プラズマCVD法(化学蒸着法)によりゴム材料の表面にフッ素含有モノマーの重合層を形成する方法が提案されている。このように、ゴム材料表面にフッ素系化合物の被膜を形成することは、ゴム材料に非固着性を発現させる上できわめて有効な方法である。
特公平4−17217号公報
特開2004−137349号公報
しかし、上記従来の技術においては、スパッタリング法、プラズマCVD法のいずれにおいても処理工程が複雑であり、処理装置のコストが高額であるという問題があった。また、スパッタリング法、プラズマCVD法は、エラストマー成形体の表面処理をするときに、エラストマー成形体の表面を損傷し易いという問題もあった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易かつ低コストであり、表面損傷も少ない方法により表面にフッ素系樹脂の被膜が形成されたエラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びOリングを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、エラストマー成形体であって、真空蒸着法により、表面に膜厚10μm以下のフッ素系樹脂の被膜が形成されていることを特徴とする。
ここで、上記真空蒸着法におけるゴム基材温度が、150℃〜320℃であるのが好適である。
また、上記エラストマー成形体は、200℃から300℃の環境下において、金属との固着力が100N以下であるのが好適であり、また、酸素と四フッ化炭素との混合プラズマ照射による重量減少率が1.0重量%以下であるのが好適である。
また、上記エラストマー成形体において、エラストマー成分は、パーフルオロオレフィンと、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、パーフルオロ(アルコキシビニル)エーテル、及びこれらの混合物からなる群より選択されたパーフルオロビニルエーテルと、硬化部位モノマーとの共重合単位を含有するパーフルオロエラストマーであるのが好適である。
また、上記エラストマー成形体において、エラストマー成分はフッ素系エラストマーであるのが好適である。
また、上記エラストマー成形体において、前記真空蒸着法に使用される蒸着材料は、主鎖に水素原子を含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びこれらの混合物からなる群より選択されたフッ素樹脂であるのが好適である。
また、本発明は、上記エラストマー成形体からなる半導体製造装置用、半導体搬送装置用または液晶製造装置用のゴム材料であることを特徴とする。
また、本発明は、上記エラストマー成形体からなるOリングであることを特徴とする。
本発明によれば、真空蒸着法により表面にフッ素樹脂の被膜を形成するので、エラストマー成形体の表面に簡易かつ低コストでの被膜の形成が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)について説明する。
本発明者らは、真空蒸着法を用いてエラストマー成形体の表面にフッ素樹脂の被膜を形成すると、エラストマー成形体の表面を損傷させ難く、高温環境下で金属と接触させても金属面に固着しない非固着性が発現することを見出すとともに、酸素、四フッ化炭素の混合プラズマに対する耐性も著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、真空蒸着法によりエラストマー成形体の表面にフッ素系樹脂の被膜を形成すると、例えば200〜300℃の環境下において、金属との固着力が100N(ニュートン)以下であるエラストマー成形体が得られる。このような表面の被膜処理が行われた本発明にかかるエラストマー成形体は、酸素、四フッ化炭素の混合プラズマ照射による重量減少率が1.0wt%以下となる。また、上記フッ素系樹脂の被膜は、その膜厚が10μm以下であることが好適である。被膜の膜厚が10μmを越えると、膜応力により表面クラックを生じ、シール性が低下するからである。被膜の膜厚を10μm以下とすることで、Heリーク量が1.0×10−8(Pa・m3/秒)以下に抑制することが可能となる。
ここで、エラストマー成形体の表面に形成されるフッ素系樹脂の被膜は、そのガラス転移温度がエラストマーと比較して非常に高いので、被膜が形成されたエラストマー成形体の表面分子鎖は、その分子運動が拘束され、高温下においても金属表面の微細な凹凸への流動が抑制される。また、フッ素系樹脂は、その分極率が小さいので、分子間凝集力が小さくなり、低表面自由エネルギー表面を形成するとともに、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基等の活性な官能基を有さない。これによって、金属表面との水素結合作用も抑制され、長期間優れた表面安定性を保持し、非固着性を有するエラストマー成形体を得ることができる。さらに、炭素−フッ素間の結合エネルギーは非常に大きいので、フッ素系樹脂の被膜の形成により耐プラズマ性に優れたエラストマー成形体を得ることができる。
以上に述べた本発明にかかるエラストマー成形体を構成するエラストマー成分としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハイパロン、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、パーフルオロゴム等があげられるが、これらに限定されるものではない。上記パーフルオロゴムとしては、パーフルオロオレフィンと、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、パーフルオロ(アルコキシビニル)エーテル、及びこれらの混合物からなる群より選択されたパーフルオロビニルエーテルと硬化部位モノマーとの共重合単位を含有するパーフルオロゴムが好適である。
なお、上記本発明にかかるエラストマー成形体を構成するエラストマー成分には、上述した各エラストマーの架橋成形体も包含する。ただし、架橋成形方法は特に限定されない。
以上のようなエラストマー成分から成形されたエラストマー成形体に対して、真空蒸着によりフッ素系樹脂の被膜を形成することにより、非固着性、耐プラズマ性に優れた本発明にかかるエラストマー成形体を得ることができる。
ここで、エラストマー成形体の表面に被膜を形成するために使用される蒸着材料は、非固着性及び耐プラズマ性の観点から、臨界表面張力が低く、結合解離エネルギーの大きいフッ素樹脂であることが好ましい。より好ましくは、主鎖中に水素原子を含有しないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びこれらの混合物からなる群より選択されたフッ素樹脂であることが好適である。
なお、真空蒸着を行う際の上記蒸着材料の温度条件は、材料の沸点以上の温度とすればよい。ただし、急激に過熱すると蒸着材料が突沸する可能性があるので、昇温速度は比較的低い速度とするのが好適である。
また、上記エラストマー成形体に対する真空蒸着におけるゴム基材温度は、膜応力の熱的な応力緩和と、ゴムの耐熱性の観点から、150℃〜320℃で被膜処理するのが好適である。ここで、処理時の基材温度が150℃より低いと表面クラックが生じ、シール性を発現しない。また、320℃を超えると、ゴムが熱によって劣化する。このため、上記温度範囲が好適である。
また、真空蒸着を行う際の装置の真空度は1Torr(133Pa)以下であることが好ましいが、真空蒸着装置及び蒸着材料により最適値を適宜設定する。真空度が低くなりすぎると、真空蒸着を行うチャンバー内における水分、酸素及びゴミの存在比が高くなるので、目的とする蒸着被膜を得ることが困難となる。このため、適宜な真空度の下限を設定するのが好適である。
また、蒸着時間は、1秒〜10分の範囲が好適である。蒸着時間はエラストマー成形体の表面に形成される被膜の膜厚に直接関係するが、上述したようにシール性を維持するためには、膜厚を10μm以下とする必要があるので、蒸着時間を適宜に制御する。なお、上記膜厚は、蒸着材料の仕込み量によっても制御することができる。
また、基材となるエラストマー成形体は、被膜形成処理の間、低速で回転させると形成される被膜の膜厚の均一性を向上することができる。この場合の回転速度は、5〜600rpmの範囲が好適である。
以上のようにして得られた本発明にかかるエラストマー成形体は、表面にフッ素系樹脂の被膜が形成されているので、耐熱性、耐薬品性の他、特に非固着性、耐プラズマ性に優れている。このため、半導体製造装置、半導体搬送装置、食品製造装置、食品移送器、食品貯蔵器、医療部品、液晶製造装置等の高温、真空といった厳しい環境下で使用する装置の構成材料として好適である。例えば、半導体製造の分野では、ウエット洗浄装置、プラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置、プラズマCVD装置、イオン注入装置、スパッタリング装置等の半導体製造装置及びこれらの装置の付属機器であるウェハ搬送機器等に使用できる。このように、本発明にかかるエラストマー成形体は、半導体製造装置用、半導体搬送装置用、液晶製造装置用、食品製造装置用、食品移送器用、食品貯蔵器用、医療部品用等のゴム材料特にOリングとして使用するのが好適である。
以下、上述した本発明にかかるエラストマー成形体の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
容量500mlのステンレスオートクレーブ内に、蒸留水200ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2.5g及びNa2HPO4・12H2O 4.4gを仕込んだ後、内部を窒素ガス置換し、その後減圧した。このオートクレーブを、50℃まで冷却した後、テトラフルオロエチレン32g、パーフルオロメチルビニルエーテル68g、パーフルオロ-8-シアノ-5-メチル-3,6-ジオキサ-1-オクテン6.4gを仕込み、80℃に昇温させた後、亜硫酸ナトリウム0.75g及び過硫酸アンモニウム3.75gをそれぞれ25mlの水溶液として仕込み、重合を開始した。
容量500mlのステンレスオートクレーブ内に、蒸留水200ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム2.5g及びNa2HPO4・12H2O 4.4gを仕込んだ後、内部を窒素ガス置換し、その後減圧した。このオートクレーブを、50℃まで冷却した後、テトラフルオロエチレン32g、パーフルオロメチルビニルエーテル68g、パーフルオロ-8-シアノ-5-メチル-3,6-ジオキサ-1-オクテン6.4gを仕込み、80℃に昇温させた後、亜硫酸ナトリウム0.75g及び過硫酸アンモニウム3.75gをそれぞれ25mlの水溶液として仕込み、重合を開始した。
以上のようにして、20時間重合を継続した後、未反応のガスをパージし、オートクレーブの底部に形成された水性ラテックスを取り出し、10%塩化ナトリウム水溶液で塩析した後、乾燥させ、クラムラバー状の三元系共重合体を44g得た。この三元系共重合体は、赤外線吸収分析の結果、テトラフルオロエチレン62モル%、パーフルオロメチルビニルエーテル37モル%及びパーフルオロ8-シアノ-5-メチル-3,6-ジオキサ-1-オクテン1.0モル%の共重合組成を有していることが確認された。
次に、上記三元系共重合体を使用し、以下の手順によりパーフルオロエラストマーを得た。
配合組成
・三元系重合体(100部)
・2,2´ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(1部)
・ジシクロヘキシル-18-クラウン-6(2部)
・亜鉛華(2部)
・MTカーボン(20部)
・三元系重合体(100部)
・2,2´ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(1部)
・ジシクロヘキシル-18-クラウン-6(2部)
・亜鉛華(2部)
・MTカーボン(20部)
以上のような配合成分をオープンロールで混練した後、190℃の温度で20分間熱処理して1次架橋し、ついで240℃で48時間熱処理をして2次架橋を行い、100mm×100mm×6tのシート状のパーフルオロエラストマー成形体を得た。
上記パーフルオロエラストマー成形体と、蒸着材料であるバルクのPTFEを真空蒸着装置のチャンバー内にセットし、真空度1.0×10−5Torr(1.33×10−3Pa)、基材温度250℃、基材ステージの回転数60rpmとして、蒸着材料温度を800℃まで10分間で昇温させ、PTFEが坩堝から全て蒸発するまで2分間蒸着を行った。
以上のようにして得られた、フッ素系樹脂であるPTFEの被膜形成処理が行われた本発明にかかるパーフルオロエラストマー成形体について、以下に示す固着試験、プラズマ曝露試験、ヘリウムリーク試験、膜厚測定を行った。
[実施例2]
上記実施例1と同様に作製したパーフルオロエラストマー成形体を使用し、基材温度200℃で、他の条件は実施例1と同じにしてPTFEの被膜形成処理を行った。このようにして被膜形成処理を行った本発明にかかるパーフルオロエラストマー成形体について、以下に示す固着試験、プラズマ曝露試験、ヘリウムリーク試験、膜厚測定を行った。
上記実施例1と同様に作製したパーフルオロエラストマー成形体を使用し、基材温度200℃で、他の条件は実施例1と同じにしてPTFEの被膜形成処理を行った。このようにして被膜形成処理を行った本発明にかかるパーフルオロエラストマー成形体について、以下に示す固着試験、プラズマ曝露試験、ヘリウムリーク試験、膜厚測定を行った。
[比較例1〜4]
比較例1としてPTFEの被膜形成処理が行われていないパーフルオロエラストマー成形体を、比較例2、3として、それぞれ基材温度25℃、100℃でPTFE被膜形成処理を行ったパーフルオロエラストマー成形体を、比較例4として蒸着時間20分でPTFE被膜形成処理を行ったパーフルオロエラストマー成形体についても、実施例1、実施例2と同様の試験を行った。
比較例1としてPTFEの被膜形成処理が行われていないパーフルオロエラストマー成形体を、比較例2、3として、それぞれ基材温度25℃、100℃でPTFE被膜形成処理を行ったパーフルオロエラストマー成形体を、比較例4として蒸着時間20分でPTFE被膜形成処理を行ったパーフルオロエラストマー成形体についても、実施例1、実施例2と同様の試験を行った。
以上に述べた実施例1、2、比較例1〜4の試験結果が表1に示される。また、固着試験の結果は固着力として、プラズマ曝露試験の結果は重量減少率として、ヘリウムリーク試験の結果はヘリウムリーク量としてそれぞれ示されている。
上記表1に示されるように、本発明にかかる、PTFEの被膜が形成されたパーフルオロエラストマー成形体の場合には、被膜形成が行われていないパーフルオロエラストマー成形体(比較例1)に対して6分の1程度の固着力となった。したがって、金属への非固着性が向上していることがわかる。また、プラズマ曝露試験においては、重量減少率に変化がなく、本発明にかかるパーフルオロエラストマー成形体も、良好な耐プラズマ性が維持されていることがわかる。さらに、ヘリウムリーク試験においては、比較例1に対し、本発明にかかるパーフルオロエラストマー成形体のヘリウムリーク量が殆ど遜色ない値となり、基材温度を低くした比較例2、3や、膜厚を厚くした比較例4に対し、ヘリウムリーク量は少なくなった。
ここで、各試験方法を説明する。
(固着試験方法)
厚さ6mm、直径10mmのパーフルオロエラストマー成形体を作製し、厚さ2mm、直径90mmの円盤状のステンレス鋼(SUS316L)の圧縮板またはアルミニウム(A5052アルマイト)の圧縮板で両側から厚さ方向に25%圧縮した。この状態で200℃のギアオーブンに22時間入れ、放置した。その後冷却し、上記金属製の圧縮板をオートグラフで垂直方向に10mm/秒の速度で引っ張り、その時の最大荷重を測定した。
厚さ6mm、直径10mmのパーフルオロエラストマー成形体を作製し、厚さ2mm、直径90mmの円盤状のステンレス鋼(SUS316L)の圧縮板またはアルミニウム(A5052アルマイト)の圧縮板で両側から厚さ方向に25%圧縮した。この状態で200℃のギアオーブンに22時間入れ、放置した。その後冷却し、上記金属製の圧縮板をオートグラフで垂直方向に10mm/秒の速度で引っ張り、その時の最大荷重を測定した。
(プラズマ曝露試験)
下記の条件により試料のプラズマ曝露を行い、その前後の試験片の重量減少率を測定して、耐プラズマ性を評価した。
下記の条件により試料のプラズマ曝露を行い、その前後の試験片の重量減少率を測定して、耐プラズマ性を評価した。
プラズマ曝露条件
・プラズマ発生装置 :神港精機株式会社製表面波プラズマエッチング装置
・試料サイズ :20mm×20mm×2t
・エッチングガス :O2/CF4(2000/200 ml/分)
・処理時圧力 :133Pa
・消費電力 :3000W
・プラズマ曝露時間 :2時間
・重量減少率(重量%):(プラズマ曝露前の試料重量−プラズマ曝露後の試料重量)/
プラズマ曝露前の重量×100
・プラズマ発生装置 :神港精機株式会社製表面波プラズマエッチング装置
・試料サイズ :20mm×20mm×2t
・エッチングガス :O2/CF4(2000/200 ml/分)
・処理時圧力 :133Pa
・消費電力 :3000W
・プラズマ曝露時間 :2時間
・重量減少率(重量%):(プラズマ曝露前の試料重量−プラズマ曝露後の試料重量)/
プラズマ曝露前の重量×100
(ヘリウムリーク試験)
LEYBOLD製、ヘリウムリークディテクターUL500を使用し、ヘリウムを流した1分後のリーク量を測定し、金属等の接面漏れを評価した。
LEYBOLD製、ヘリウムリークディテクターUL500を使用し、ヘリウムを流した1分後のリーク量を測定し、金属等の接面漏れを評価した。
(膜厚測定)
被膜処理したゴムシートの破断面をFE−SEMで観察し、膜厚を測定した。
被膜処理したゴムシートの破断面をFE−SEMで観察し、膜厚を測定した。
[実施例3]
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、40gのイオン交換水、5gの第3級ブタノール、0.5gのC8F17COONH4、1.0gのNa2HPO4・12H2O、0.1gのNaOHを仕込み、少量の水に溶解した過硫酸アンモニウム0.5gを加える。オートクレーブ内を液体窒素で冷却した後、予め調整した0.0075gのFeSO4・7H2O、0.009gのEDTA(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2H2O、以下同じ)、及び0.04gのCH2(OH)SO2Naを水5gに溶解した水溶液を加え、オートクレーブ内を脱気した。このようにして得られた触媒含有水性媒体のpHは9.1であった。
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、40gのイオン交換水、5gの第3級ブタノール、0.5gのC8F17COONH4、1.0gのNa2HPO4・12H2O、0.1gのNaOHを仕込み、少量の水に溶解した過硫酸アンモニウム0.5gを加える。オートクレーブ内を液体窒素で冷却した後、予め調整した0.0075gのFeSO4・7H2O、0.009gのEDTA(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・2H2O、以下同じ)、及び0.04gのCH2(OH)SO2Naを水5gに溶解した水溶液を加え、オートクレーブ内を脱気した。このようにして得られた触媒含有水性媒体のpHは9.1であった。
次に、C2F4/C3H6のモル比を85/15に調整した四フッ化エチレンとプロピレンの混合ガス8.2gを上記オートクレーブ内に仕込み、25℃に調整した恒温槽内でオートクレーブを振とうすることにより共重合反応を実施した。その結果、共重合反応速度120g/l・時間でC2F4/C3H6含有モル比55/45、分子量13.3×104のプロピレン-四フッ化エチレン共重合体であるフッ素ゴムラテックスが得られた。
上記フッ素ゴムラテックスに対し、5倍量の酢酸アンモニウム水溶液(濃度10重量%)を凝固槽に投入し、攪拌しながら上記フッ素ゴムラテックスを適当な速度で滴下した。この操作により、フッ素ゴムラテックスは凝固分離し、凝固分離したゴム状生成物を水洗、乾燥し、生ゴムを得た。
さらに、この生ゴムを150℃の熱プレスで100mm×100mm×6tのシート状に予備成形し、これに窒素雰囲気中でガンマ線を線量80kGyで照射して架橋を行い、架橋成形体(フッ素系エラストマー成形体)を得た。
このようにして得られたフッ素系エラストマー成形体に対して、実施例1と同様に真空蒸着によりPTFEの被膜形成処理を行った。
以上述べた工程により得られた、フッ素樹脂(PTFE)の被膜形成処理が行われたフッ素系エラストマー成形体について、上述した固着試験、プラズマ曝露試験、ヘリウムリーク試験を行った。なお、比較例5としてフッ素系樹脂の被膜形成処理を行わないフッ素系エラストマーについても同様に試験を行った。この試験結果が表2に示される。
表2に示されるように、フッ素系樹脂の被膜形成処理を行ったフッ素系エラストマー成形体は、フッ素系樹脂の被膜が形成されていないフッ素系エラストマー成形体(比較例5)に対して、固着力が5分の1程度となり、非固着性が向上していることがわかった。また、プラズマ曝露試験においては、比較例に比べてフッ素系樹脂の被膜形成処理が行われたフッ素系エラストマー成形体の重量減少率は4分の1程度と小さくなった。さらに、ヘリウムリーク試験においては、比較例に比べてフッ素系樹脂の被膜形成処理が行われたフッ素系エラストマー成形体のヘリウムリーク量がほとんど変化がなく、良好な耐リーク性を維持していることがわかった。
Claims (9)
- 真空蒸着法により、表面に膜厚10μm以下のフッ素系樹脂の被膜が形成されていることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1に記載のエラストマー成形体において、前記真空蒸着法におけるゴム基材温度が、150℃〜320℃であることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1または2に記載のエラストマー成形体において、200℃から300℃の環境下において、金属との固着力が100N(ニュートン)以下であることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1〜3のいずれか一項記載のエラストマー成形体において、酸素と四フッ化炭素との混合プラズマ照射による重量減少率が1.0重量%以下であることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のエラストマー成形体において、エラストマー成分が、パーフルオロオレフィンと、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、パーフルオロ(アルコキシビニル)エーテル、及びこれらの混合物からなる群より選択されたパーフルオロビニルエーテルと、硬化部位モノマーとの共重合単位を含有するパーフルオロエラストマーであることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のエラストマー成形体において、エラストマー成分がフッ素系エラストマーであることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1〜6のいずれか一項記載のエラストマー成形体において、前記真空蒸着法に使用される蒸着材料が、主鎖に水素原子を含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びこれらの混合物からなる群より選択されたフッ素樹脂であることを特徴とするエラストマー成形体。
- 請求項1〜7のいずれか一項記載のエラストマー成形体からなることを特徴とする半導体製造装置用、半導体搬送装置用または液晶製造装置用のゴム材料。
- 請求項1〜8のいずれか一項記載のエラストマー成形体からなることを特徴とするOリング。
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JP2006145639A JP2007314662A (ja) | 2006-05-25 | 2006-05-25 | エラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びoリング |
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