JP3978007B2 - 魚釣用リール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣用リールに係わり、特に、釣糸が巻回されるスプールの回転に制動力を付与するドラグ機構を備えた魚釣用リールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚釣用リールは、スプールの釣糸繰り出し方向の回転に制動力を付与するドラグ機構を備えている。このようなドラグ機構では、スプールや駆動歯車等の回転体がリール本体の支軸に回転可能に摩擦結合されており、この摩擦結合状態を変化させることによりドラグ力の調整が行なえるようになっている。
【0003】
ドラグ機構は、一般に、巻取り駆動機構のハンドル軸上に螺合された調節部材(スタードラグ等)の回動操作により制動力を調節する方式と、リール本体の一側に回動可能に支持されたレバー形状の調節部材の回動操作により制動力を調節する方式とに大別できる。
【0004】
前者の方式は、ハンドルを保持した巻取り操作状態で調節部材を容易に回動操作できるため、主に小型から中型のリールに使用されている。これに対し、後者の方式は、リール本体を保持しながら調節操作でき且つレバーの回動操作だけで容易に大きな力が掛けられるため、主に中型から大型のリールに広く使用されている。
【0005】
中型から大型のリールに使用される後者のタイプのドラグ機構としては、例えば実公平4−25977号公報に開示されているように、レバー形状の調節部材の回動操作によりスプールを軸方向に変位させて単板圧接力を調節する形態のものや、実開平2−120164号公報に開示されているように、動力伝達機構(遊星歯車支持体)の駆動軸上のリール本体収容部に複数の制動板を収容する形態のもの等が知られている
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した2つの公報に開示されるタイプのドラグ機構にあっては、以下に述べるような幾つかの課題が残されている。
【0007】
すなわち、実公平4−25977号公報に開示されたドラグ機構は、スプールが軸方向に変位するため、釣糸をスプールに均等に巻回させるレベルワインド機構(平行巻き装置)を組み込むことが困難である。また、海水等に常時晒されるスプールの近傍にドラグ機構が設けられているため、ドラグ機構の防水を図ることが難しい。更に、巻取り速度を上げるためにギヤ比を高める場合には、駆動ギヤを大径化する必要があり、結果的に、リール全体の大型化を招く虞がある。
【0008】
また、実開平2−120164号公報のドラグ機構は、電動リールへの適用例として開示されているが、ドラグ機構を構成する制動部材がリール本体に一体形成された筒部内あるいは連動歯車内に収容されているため、前記筒部の材料や位置が制約されるなど、設計の自由度が制約される。また、手動巻取りが不可能であり、仮に手動巻取り駆動機構を装備したとしても、簡易且つコンパクトに装備することが難しい(この構成のまま、手動巻取り駆動機構を装備すると、リール全体が大型化する虞がある)。
【0009】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その主な目的は、本体を大型化させることなく、また、設計の自由度を損なうことなく、手動巻取り駆動機構の増速化およびドラグ機構の防水を容易に図ることができる魚釣用リールを提供することにある。また、他の目的は、前記主目的を達成しながら電動巻取り及び手動巻取りの両方を行なうことができる魚釣用リールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、リール本体の両側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記一方の側板に設けられたハンドルの回転操作により前記スプールを釣糸巻取り方向に回転させる手動巻取り駆動部とを備えた魚釣用リールにおいて、前記スプールと前記手動巻取り駆動部との間に介在して設けられた遊星歯車伝達機構と、この遊星歯車伝達機構の遊星歯車を支持する支持体を兼ね、前記手動巻取り駆動部の動力を前記遊星歯車伝達機構に伝達する駆動軸と、前記一方の側板側でこの駆動軸上に設けられ、前記スプールの釣糸繰り出し方向の回転に、調節部材で調節された制動力を付与するドラグ機構と、を具備し、このドラグ機構は、前記駆動軸上に回転可能に支持されかつ一端が開口した収容部を有する収容体と、前記駆動軸上に回り止めされて前記収容部内に配置され、前記調節部材で調節された押圧力で前記収容体に摩擦結合される制動板と、この収容部の一端開口に設けられて収容部内を水密に維持するシール部材とを有し、前記手動巻取り駆動部の動力を、前記ドラグ機構の収容体から前記制動板を介して、前記駆動軸および遊星歯車伝達機構に伝達して、前記スプールを釣糸巻取り方向に回転させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用リール1は、電動リールであり、左右両側に側板4a,4a’が取り付けられたリール本体4を有している。リール本体4には、図中向かって右側に、後述する手動巻取り駆動部150を構成する手動ハンドルHが取り付けられている。また、リール本体4の上側には操作パネル93が設けられている。また、左側板4aと右側板4a’との間には、釣糸が巻回されるスプール8が回転自在に支持されている。
【0012】
スプール8の内部には、スプール8を回転駆動させるためのスプール駆動用モータ10が収容されている。このモータ10には、図示しないバッテリから電力が供給されるようになっている。具体的には、モータ10の電気接点72に接続された電気ライン71がリール本体4の図示しないコネクタに電気的に接続されており、給電コード70を介して前記コネクタを図示しないバッテリに接続することにより、モータ10への給電が行なわれるようになっている。
【0013】
スプール駆動用モータ10は、スプール8と同軸に配置されている。スプール駆動用モータ10の左駆動軸10aには、スプール駆動用モータ10の逆回転を防止するための一方向クラッチ90が連結されており、また、右駆動軸10bには減速機構(遊星歯車伝達機構)40が連結されている。
【0014】
一方向クラッチ90は、スプール駆動用モータ10が右側板4a’側から見て時計回りに回転(正転駆動)した時に、フリー回転状態(駆動軸10a,10bを自由に回転させる状態)となってスプール8の巻き取り駆動を可能とし、手動ハンドルHで巻き取り操作された時に、駆動軸10a,10bの回転が阻止されて手動ハンドルHの動力がスプール8に伝達されるように設定構成されている。なお、以下において、時計回り、反時計回りとは、全て右側板4a’側から見たものとする。
【0015】
スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと右側板4a’との間には、手動巻取り駆動部150の動力を減速機構40に伝達する回転駆動軸45が、スプール駆動用モータ10の左右駆動軸10a,10bと同軸に設けられている。この回転駆動軸45は、軸受100,101によって回転可能に支持されている。なお、軸受101は、後述するように、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0016】
減速機構40は、第1ないし第3の遊星ギヤ機構40A,40B,40Cから成り、スプール駆動用モータ10の正転駆動時に右駆動軸10bの回転運動を第1の遊星ギヤ機構40Aで減速させた後、更に、第2および第3の遊星ギヤ機構40B,40Cで減速させてスプール8に伝達するように構成されている。
【0017】
図2に拡大して示すように、第1の遊星ギヤ機構40Aは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと一体回転する第1の太陽歯車50と、この第1の太陽歯車50に噛合した複数の第1の遊星歯車51と、これら第1の遊星歯車51が常時噛合するようにスプール8の内面に刻設された内歯歯車52とを備えている。
【0018】
また、第2の遊星ギヤ機構40Bは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第2の太陽歯車55と、この第2の太陽歯車55に噛合した複数の第2の遊星歯車57とを備えており、複数の第2の遊星歯車57は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0019】
更に、第3の遊星ギヤ機構40Cは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第3の太陽歯車58と、この第3の太陽歯車58に噛合した複数の第3の遊星歯車59とを備えており、複数の第3の遊星歯車59は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0020】
また、複数の第1の遊星歯車51はそれぞれ第1のキャリア60に支持されており、この第1のキャリア60は第2の太陽歯車55と一体回転するよう連結されている。また、複数の第2の遊星歯車57はそれぞれ第2のキャリア61に支持されており、この第2のキャリア61は第3の太陽歯車58と一体回転するよう連結されている。更に、複数の第3の遊星歯車59はそれぞれ第3のキャリア62に支持されており、この第3のキャリア(支持体)62は、係止ピン103を介して回転駆動軸45に連結され、回転駆動軸45と一体で回転するようになっている。
【0021】
また、本実施形態の魚釣用リール1は、釣糸の繰り出しで回転するスプール3に制動力を付与しながらスプール3の釣糸繰り出し方向への回転を許容する制動作用を与えるとともに、この制動作用を利用してスプール8をフリー回転状態と釣糸巻取り状態とに切換えるクラッチ作用を与えるドラグ機構160を備えている。
【0022】
具体的には、ドラグ機構160は、回転駆動軸45に回転可能に嵌合支持された収容体20と、この収容体20と噛み合ってこれと一体回転する複数の第1の制動板(ワッシャ)21A,21Bと、回転駆動軸45に回り止め支持(嵌合)されて回転駆動軸45と一体に回転する第2の制動板(ワッシャ)22と、リール本体4の右側板4a’に対して前後方向(図面の表裏方向)に回動可能に取り付けられたドラグ操作部材(ドラグ力調節部材)27と、ドラグ操作部材27の回転によって制動板21A,21B,22を押圧するように移動される押圧機構と、制動板21A,21B,22の摩擦面(制動面)間に介在して設けられたライニング材23とを備えている。この場合、各制動板21A,21B,22およびライニング材23は、一括して収容体20の凹状の収容部20a内に収容されるとともに、回転駆動軸45の軸方向に移動自在となっている。
【0023】
また、前記押圧機構は、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合された第1のカム部材29と、第1のカム部材29と係合し且つドラグ操作部材27の回動操作に伴う第1のカム部材29の回転によって回転駆動軸45の軸方向に移動する第2のカム部材30と、第2のカム部材30に保持され且つ第2のカム部材30とともに軸方向に移動する押圧部材31と、回転駆動軸45および前記軸受101に回転可能に嵌合支持されて制動板21Bを押圧する押圧体24と、押圧部材31と押圧体24との間に介挿され且つ押圧部材31によって押圧移動される板ばね25および軸受28とから成る。
【0024】
この場合、第1および第2のカム部材29,30は、リール本体4の右側板4a’に固定された支持部材32内に収容され、この支持部材32によって軸方向に移動可能に支持されている。また、第2のカム部材30は、支持部材32の内面に軸方向に沿って形成された回り止め溝33と係合することにより、その回転が規制されている。また、軸受28は、回転駆動軸45の端部を回転可能に支持するとともに、回転駆動軸45に対して軸方向に移動できる。また、板バネ25は、回転駆動軸45の外周に嵌合され、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0025】
なお、押圧部材31と回転駆動軸45の端部との間には、押圧部材31の軸方向の移動を許容する所定の空間Sが形成されるようになっている。また、収容体20と第2の制動板22との間および第2の制動板22と軸受101(押圧体24)との間には、圧縮コイルバネ26が介挿されている。これらの圧縮コイルバネ26は、回転駆動軸45の外周に巻装されており、制動板22と収容体20と軸受101(押圧体24)とを互いに軸方向に離間させる方向(押圧力を解除する方向)で付勢している。また、収容体20の収容部20aの一端開口には、収容体20内を水密に維持するためのシール部材80が設けられている。また、同様の目的、すなわち、ドラグ機構160を防水する目的で、収容体20および押圧体24が嵌合する回転駆動軸45の外周面部位にはそれぞれ、Oリング82,84が配設されている。
【0026】
また、リール本体4の右側板4a’には、右側板4a’からのドラグ操作部材27の抜けを防止する抜け止めプレート34が、止め輪35を介して、右側板4a’に対して螺着されている。また、押圧部材31には微調整用ノブ36が係合しており、この微調整用ノブ36を回転させることによって押圧部材31を軸方向に移動できるようになっている。なお、微調整用ノブ36の軸方向への移動量は抜け止めプレート34によって制限されている。
【0027】
また、押圧体24の外周面には、係止ピン37を介して、ピニオンギヤ38が嵌合されている。すなわち、ピニオンギヤ38は、押圧体24と一体的に回転できるようになっている。また、ピニオンギヤ38には、手動巻取り駆動部150のドライブギヤ66が噛合している。
【0028】
手動巻取り駆動部150は、ハンドルHと、ハンドルHと一体で回転するハンドル軸65と、ハンドル軸65に回り止め嵌合されたドライブギヤ66とを備えて成る。
【0029】
また、ハンドル軸65の基端部には、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた際に、これに連動してハンドル軸65が回転しないように、逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、外周面にラチェット爪67aが所定ピッチで形成されたラチェットギヤ67と、ラチェット爪67aに対して一定の付勢力で常時係合している図示しないストッパとを備えており、ラチェットギヤ67は、ハンドル軸65に回り止め嵌合されている。このような逆転防止機構によれば、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに前記ストッパが係止方向で噛み合うため、ラチェットギヤ67の回転が阻止され、スプール駆動用モータ10の回転に連動してハンドル軸65が回転することが防止される。したがって、スプール駆動用モータ10の動力は減速機構40を介してスプール8のみに伝達される。これに対し、手動ハンドルHの回転操作によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに係合する前記ストッパはラチェットギヤ67の回転を許容するため、手動ハンドルHの回転操作に連動してハンドル軸65を回転させることができる。
【0030】
なお、図1に示されるように、スプール8の前方には、スプール8の回転に連動して動作するレベルワインド機構95が設けられている。このレベルワインド機構95は、外周面にトラバース溝が形成され且つ端部にギア121が取り付けられたウォームシャフトと、このウォームシャフトを収容する筒体120と、前記トラバース溝と係合して前記ウォームシャフトの回転により筒体120に沿って左右に摺動する係合子128とを有しており、係合子128に形成された孔128aを介してスプール8に巻回された釣糸を案内する。したがって、ハンドルHを回転操作すれば、スプール8の回転および係合子128の左右の摺動により、スプール8には釣糸が均等に巻回される。
【0031】
次に、上記構成の魚釣用リール1の実釣時における動作を説明する。
【0032】
まず、ドラグ操作部材27を一方向に回転操作すると、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合する第1のカム部材29が回転し、それに伴って、第2のカム部材30が回転駆動軸45の軸方向に移動する。その結果、軸受28、板ばね25、押圧体24が圧縮コイルバネ26の付勢力に抗して軸方向に移動され、押圧体24によって制動板21A,21B,22が押圧される。これにより、制動板21A,21B,22が回転駆動軸45の軸方向に沿ってスライドされ、制動板21A,21B,22の摩擦面同士がライニング材23を介して圧接されるとともに、制動板21Aが収容体20に所定の押圧力で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力が制動板22を介して回転駆動軸45に作用することにより、押圧体24を含む押圧機構の構成要素が回転駆動軸45に対して摩擦結合され、スプール8に所定のドラグ力が発生する。
【0033】
このように所定のドラグ力が形成された状態で、手動ハンドルHを時計回りに回転操作すると、ドライブギヤ66およびドライブギヤ66と噛み合うピニオンギヤ38が回転され、ピニオンギヤ38と一体の押圧体24が回転する。そして、この押圧体24の回転力は、押圧機構による前記摩擦結合力に応じて、回転駆動軸45に伝達され、回転駆動軸45に連結された第3のキャリア62を反時計回りに回転させる。この時、遊星歯車59は、反時計回りに自転すると共に公転し、内歯歯車52を反時計回りに増速した状態で回転駆動する。これにより、スプール8は、釣糸巻取り方向に回転駆動される。なお、内歯歯車52の反時計回りの回転駆動により、第1の太陽歯車50は時計回りに回転しようとするが、その回転駆動は、モータ10に対して反対側に位置する一方向クラッチ90によって規制される。
【0034】
また、手動ハンドルHによらず、スプール駆動用モータ10を正転駆動(時計回り)させると、第1の太陽歯車50は時計回りに回転駆動される。この回転駆動により、遊星歯車51は、反時計回りに回転すると共に時計回りに公転し、第3の太陽歯車58が時計回りに回転する。この回転方向では、前述した逆転防止機構によってハンドル軸65の回転が規制されているため、ハンドル軸65にドライブギヤ66を介して連結したピニオンギヤ38(押圧体24)の回転(時計回りの回転)が規制される。その結果、ピニオンギヤ38と摩擦結合した回転駆動軸45および第3のキャリア62は、回転することなく一定位置に静止した状態に維持される。したがって、第3の太陽歯車58が時計回りに回転した際、第3のキャリア62に回転可能に支持された複数の遊星歯車59は、第3の太陽歯車58の回りを公転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0035】
この状態において、複数の遊星歯車59の反時計回りの回転運動は、スプール8の内面に刻設された内歯歯車52に減速されて伝達され、この内歯歯車52を反時計回りに回転させる。そして、これに伴ってスプール8は、釣糸巻取方向(反時計回り)に回転する。この結果、釣糸は、レベルワインド機構95を介してスプール8に均一に巻き取られる。なお、このような電動巻取時には、前記逆転防止機構が機能しているため、手動ハンドルHが連動して高速で回転することはない。
【0036】
一方、ドラグ操作部材27を他方向に回転操作していくと、圧縮コイルバネ26の付勢力によって押圧体24が押し戻され、制動板21A,21B,22同士が互いに離間する。したがって、押圧体24を含む押圧機構の構成要素と回転駆動軸45との摩擦結合力すなわちドラグ力が弱まる。そして、ドラグ操作部材27を他方向に十分回転操作すると、最終的に、スプール8はフリー回転可能状態に維持される。この状態では、釣糸を仕掛けの自由落下によってスプール8から繰り出すことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の魚釣用リール1は、スプール8と手動巻取り駆動部150との間に遊星歯車機構から成る減速機構40が介在して設けられるとともに、手動巻取り駆動部150の動力を減速機構40に伝達する回転駆動軸45上にドラグ機構160が設けられ、手動巻取り駆動部150の動力をドラグ機構160から回転駆動軸45を介して減速機構40に伝達することにより、スプール8を釣糸巻取り方向に回転させるようになっている。
【0038】
このように、手動巻取り駆動部150の動力を遊星歯車機構を介してスプール8に伝達させるようにすれば、リール全体を大型化することなく、手動巻取り駆動機構の増速化を容易に行なうことができる。また、海水等に常時晒されるスプール8の近傍にドラグ機構160が設けられていないため、ドラグ機構160の防水を容易に図ることができる。実際に、本実施形態では、収容体20の収容部20aの一端開口にシール部材80が設けられ、また、収容体20および押圧体24が嵌合する回転駆動軸45の外周面部位にそれぞれOリング82,84が配設されているため、ドラグ機構160の防水性を格段に向上させることができる。
【0039】
特に、本実施形態では、回転駆動軸45が、減速機構40の遊星歯車59を支持する第3のキャリア62を兼ねている。すなわち、回転駆動軸45は、第3のキャリア62に連結され、このキャリア62と一体で回転する。しかも、モータ10がスプール8の内部に設けられ、モータ10の回転軸10a,10bと回転駆動軸45とが同軸に配置されている。したがって、モータ10を含むこれらの電動巻取り機構をリール本体4内にコンパクトに装備できるだけでなく、このような電動巻取り機構を備えた電動リール1に対して手動巻取り駆動機構150を簡易且つコンパクトに装備することができ、電動および手動の両方の巻取り機能を併存させつつ、また、設計の自由度を損なうことなく、リール全体をコンパクトにする(リール全体の大型化を防止する)ことができる。
【0040】
また、本実施形態では、ドラグ機構160の制動力を調節するドラグ操作部材27が、リール本体4の右側板4a’に対して前後方向に回動可能に取り付けられている。したがって、良好な手動巻き取り操作とドラグ調節操作の一連の複合的な魚釣り操作を円滑に行なうことができる。
【0041】
また、本実施形態の魚釣用リール1は、スプール8を軸方向に変位させてドラグ力を作用させる形態ではないため、釣糸をスプールに均等に巻回させるレベルワインド機構95を容易に組み込むことができる。
【0042】
また、本実施形態では、制動板21A,21B,22およびライニング材23を、リール本体4とは別体の収容体20内に収容しているため、設計の自由度を制約することなく、ドラグ機構160を装備することができる。
【0043】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、本発明が電動リールに適用されているが、本発明を非電動リール(手動リール)に適用することも可能である。また、前述した実施形態では、スプール駆動用モータ10がスプール8内に収容されている例が示されているが、スプール駆動用モータ10がスプール8の外側に設けられていても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の魚釣用リールによれば、スプールと手動巻取り駆動部との間に介在する遊星歯車伝達機構の支持体を、手動巻取り駆動部の動力を遊星歯車伝達機構に伝達する駆動軸が兼ねることにより、本体を大型化させることなく、また、設計の自由度を損なうことなく、手動巻取り駆動機構の増速化を図ることができ、更に、この駆動軸上に配置されたドラグ機構の収容体が制動版を収容する収容部の開口をシール部材で水密に維持することにより、ドラグ機構の防水を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用リール(電動リール)の断面図である。
【図2】図1の魚釣用リールの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…魚釣用リール
4…リール本体
4a,4b…側板
8…スプール
10…スプール駆動用モータ
40…減速機構(遊星歯車伝達機構)
45…回転駆動軸(駆動軸)
150…手動巻取り駆動部
160…ドラグ機構
Claims (1)
- リール本体の両側板間に回転自在に支持されたスプールと、前記一方の側板に設けられたハンドルの回転操作により前記スプールを釣糸巻取り方向に回転させる手動巻取り駆動部とを備えた魚釣用リールにおいて、
前記スプールと前記手動巻取り駆動部との間に介在して設けられた遊星歯車伝達機構と、
この遊星歯車伝達機構の遊星歯車を支持する支持体を兼ね、前記手動巻取り駆動部の動力を前記遊星歯車伝達機構に伝達する駆動軸と、
前記一方の側板側でこの駆動軸上に設けられ、前記スプールの釣糸繰り出し方向の回転に、調節部材で調節された制動力を付与するドラグ機構と、を具備し、
このドラグ機構は、前記駆動軸上に回転可能に支持されかつ一端が開口した収容部を有する収容体と、前記駆動軸上に回り止めされて前記収容部内に配置され、前記調節部材で調節された押圧力で前記収容体に摩擦結合される制動板と、この収容部の一端開口に設けられて収容部内を水密に維持するシール部材とを有し、
前記手動巻取り駆動部の動力を、前記ドラグ機構の収容体から前記制動板を介して、前記駆動軸および遊星歯車伝達機構に伝達して、前記スプールを釣糸巻取り方向に回転させることを特徴とする魚釣用リール。
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