JP3936882B2 - 魚釣用電動リール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体に回転可能に支持したスプールを巻取り駆動するスプールモータを備えると共に、当該スプールに制動力を付与するドラグ装置を備えた魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
船釣り等、一般に深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リール(以下、「電動リール」という)が広く使用されている。
従来周知のようにこの電動リールは、リール本体に装着したスプールモータの駆動でスプールを回転させて釣糸の巻取りを行うもので、通常、モータ軸上に複数の遊星歯車からなる遊星減速機構を装着し、スプールモータの巻取り駆動力を当該遊星減速機構で減速してスプールに伝達させている。
【0003】
ところで、実開昭64−41270号公報には、上記遊星減速機構を構成する一部の太陽歯車の回転を、リール本体に設けた変速レバーの操作で回転阻止状態と回転フリー状態とに切り換えて、スプール回転を高速と低速とに変速させる変速機構を備えた電動リールが開示されている。
而して、この変速機構は、スプールの低速回転時に、手動巻取り駆動機構のドラグ装置にモータ巻取り駆動時の動力を伝達させてドラグ機能を作用させ、一方、スプールの高速回転時に、遊星減速機構の太陽歯車の回転を阻止して、ドラグ装置に伝達させる前でモータ巻取り駆動力を遮断させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、斯様にスプールの高速回転時に遊星減速機構の太陽歯車の回転を阻止して、ドラグ装置に伝達させる前でモータ巻取り駆動力を遮断させてしまうと、高速での巻取り操作中にドラグ装置が機能しないため、魚とのファイト中に糸切れや口切れが生じて、ヒットした魚を支障なく巻き上げることができないといった課題が指摘されている。
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、切換え部材の操作でスプール回転を高速と低速とに変速させるこの種の変速機構を備えた電動リールに改良を加え、魚とのファイト中に糸切れや口切れ等が発生することなく、状況に応じた巻上げ対応が可能な電動リールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転可能に支持されたスプールの胴部内に、スプールモータと複数の遊星歯車支持体に遊星歯車を支持した複数の遊星歯車機構からなる遊星減速機構を装着し、スプールモータのモータ軸と同軸上に、手動巻取り駆動機構からの巻取り動力を遊星減速機構に伝達させる回転駆動軸をリール本体内に回転可能に配置し、当該回転駆動軸上にドラグ装置を設けた魚釣用電動リールであって、上記回転駆動軸を、上記遊星減速機構の少なくとも最減速遊星歯車機構を含む2段以上の遊星歯車機構の遊星歯車支持体に係合可能にその軸方向へ移動可能とし、上記リール本体に、回転駆動軸をその軸方向へ移動させる切換え部材を装着し、上記切換え部材の操作で回転駆動軸と遊星歯車支持体との係合状態を切り換えて、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り速度を複数段に変速可能とすると共に、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り操作時に、上記ドラグ装置を常時作動可能としたことを特徴とする。
【0008】
(作用)
請求項1に係る発明によれば、切換え部材の操作で回転駆動軸と遊星歯車支持体との係合状態が切り換わって、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り速度が複数段に変速する。
そして、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り操作時に急激なスプール逆転力が発生しても、ドラグ装置が機能して糸切れや口切れ等を防止する。
また、スプールモータと遊星減速機構をスプールに内蔵し、スプールモータのモータ軸と同軸上に回転駆動軸を配置して、当該回転駆動軸上にドラグ装置を設けることで、リール本体に減速機構,変速機構,ドラグ機構等が集約される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は請求項1に係る電動リールの一実施形態を示し、図に於て、1はフレーム3の左右両側に側板5,7が装着されたリール本体、9はスプールで、側板7の下方に、後述する手動巻取り駆動機構11のハンドル13がリール本体1の前後方向へ回転可能に装着されている。
スプール9は、その一端側が、当該スプール9内にこれと軸線を同じくして側板5にビス止めされた筒状のモータケース15の外周に軸受17を介して回転可能に支持されており、他端側は、スプール9に固定したブラケット19とフレーム3との間に装着された軸受21によって、リール本体1に回転自在に支持されている。
【0012】
そして、スプール9(モータケース15)内に、これと軸線を一致させてスプールモータ23が組み込まれており、その左モータ軸25は、フレーム3に突設した筒状の軸受装着部29内に一方向クラッチ31を介して支持され、また、モータケース15からスプール9内に突出する右モータ軸33に、3つの遊星歯車機構35a,35b,35cからなる遊星減速機構35が連結されている。
【0013】
而して、一方向クラッチ31は、スプールモータ23の正転時にフリー回転状態となってスプール9の巻取り駆動を可能とすると共に、ハンドル操作による釣糸の巻取り駆動時に、左右のモータ軸25,33の回転を阻止してハンドル13の巻取り動力がスプール9に伝達できるようになっている。
そして、右モータ軸33と側板7との間に、手動巻取り駆動機構11からの巻取り動力を遊星減速機構35に伝達させる回転駆動軸37が右モータ軸33と同軸上に取り付けられており、当該回転駆動軸37は2つの軸受39,40を介して、フレーム3の開口部を閉塞する支持ブラケット41に固着された筒状ブラケット42と側板7とに、回転可能且つその軸方向(図中、矢印A,B方向)へ移動可能に取り付けられている。そして、図2に示すように回転駆動軸37の先端に、遊星減速機構35の第3の遊星歯車支持体(以下、「キャリア」という)43が常時係合しており、回転駆動軸37は、更にリール本体3に装着した切換えレバー(切換え部材)45の操作で、遊星減速機構35の第2のキャリア47に連結された太陽歯車59に係脱可能となっている。
【0014】
即ち、図2乃至図5に示すように回転駆動軸37の先端側外周に係止溝49が形成され、当該係止溝49に作動プレート51が係止している。
作動プレート51は回転駆動軸37と太陽歯車59とを係脱させて、ハンドル13やスプールモータ23によるスプール9の巻上げ速度を高速と低速とに切り換えるもので、図6に示すようにその左右方向に延設したアーム部51a,51bを支持する支持ステー55にコイルスプリング(図示せず)が環装されており、作動プレート51は、当該コイルスプリングによって遊星減速機構35方向へ付勢されている。
【0015】
そして、上記作動プレート51に隣接して回転駆動軸37の外周に、作動プレート51をスライド操作する切換えレバー45が装着されている。
図6に示すように切換えレバー45は、回転駆動軸37に環装されてその周方向へ回転可能なリング状の基部45aと、回転駆動軸37を挟んで当該基部45aに形成された一対のカム57と、基部45aから側板7の外方へ突設されたレバー部45bと、その先端に固着されたツマミ45cとからなり、切換えレバー45を図6の位置から図7の位置に操作すると、図3に示すようにコイルスプリングのばね力に抗してカム57が作動プレート51を矢印B方向へ移動させて回転駆動軸37が同方向に移動し、そして、切換えレバー45を図7の位置から図6の位置に復帰操作すると、コイルスプリングの復元力で作動プレート51が回転駆動軸37を矢印A方向へ移動させるようになっている。
【0016】
尚、図2に示すように既述した筒状ブラケット42は、回転駆動軸37を中心に側板7内に突出している。そして、図6に示すように作動プレート51や切換えレバー45のレバー部45bが、当該筒状ブラケット42を挿通している。
そして、既述したように回転駆動軸37の先端に、遊星減速機構35の第3のキャリア43が常時係合している。
【0017】
図4に示すようにキャリア43のボス43aには、回転駆動軸37の先端に刻設した断面略小判形状の係合部37aを回止め嵌合する一対の係合片43bと、上記係合部37aからその軸方向に突設した回転駆動軸37側の係合突起37bが挿入可能な平面視円形状の挿入孔43cが、両係合片43b間の中央に設けられている。
【0018】
そして、上記挿入孔43cに挿入された係合突起37bを回止め嵌合する一対の係合片47aが、同じく挿入孔43c内に挿入可能にキャリア47側の太陽歯車59に突設されており、既述したように切換えレバー45を図6の位置から図7の位置に操作して回転駆動軸37が矢印B方向へ移動すると、図3及び図5に示すように係合部37aのみが係合片43b間に回止め嵌合され、そして、切換えレバー45を図7の位置から図6の位置に復帰操作して回転駆動軸37が矢印A方向へ移動すると、図2,図8及び図9に示すように係合突起37bが挿入孔43cに挿入されて、当該挿入孔43c内に位置する係合片47aに回止め嵌合されるようになっている。
【0019】
このように、本実施形態は、回転駆動軸37に遊星減速機構35の第3のキャリア43が常時係合すると共に、切換えレバー45の操作で第2のキャリア47(太陽歯車59)が回転駆動軸37に係脱可能となっている。
既述したように遊星減速機構35は、3つの遊星歯車機構35a,35b,35cによって構成されており、スプールモータ23の正転時にその巻取り駆動力を第1の遊星歯車機構35aで減速させた後、更に第2,第3の遊星歯車機構35b,35cで減速させてスプール9に伝達するもので、図2に示すように第1の遊星歯車機構35aは、右モータ軸33と一体回転する第1の太陽歯車61と、当該太陽歯車61に噛合する複数の遊星歯車63と、各遊星歯車63が常時噛合するようにスプール9の端面に刻設された内歯歯車65を備えている。
【0020】
また、第2の遊星歯車機構35bは、右モータ軸33に回転可能に支持された第2の太陽歯車67と、当該太陽歯車67に噛合する複数の遊星歯車69とからなり、各遊星歯車69は前記内歯歯車65に常時噛合するように構成されている。
同様に、第3の遊星歯車機構35cは、右モータ軸33に回転可能に支持された第3の太陽歯車59と、当該太陽歯車59に噛合する複数の遊星歯車71とからなり、各遊星歯車71も内歯歯車65に常時噛合した構造となっている。
【0021】
そして、複数の遊星歯車63は第1のキャリア73に支持されており、当該キャリア73は、前記太陽歯車67と一体回転可能に連結されている。
また、複数の遊星歯車69は既述した第2のキャリア47に支持されており、当該キャリア47は前記太陽歯車59と一体回転可能に連結されている。
【0022】
更にまた、複数の遊星歯車71は第3のキャリア43に支持されており、既述したように当該キャリア43は、一対の係合片43bを介して回転駆動軸37の係合部37aに常時係合し、そして、キャリア43の挿入孔43c内に、太陽歯車59の係合片47aが常時挿入,配置されている。
そして、図1に示すように回転駆動軸37上には、更に、釣糸の繰り出しで回転するスプール9に制動力を付与し乍ら、スプール9の釣糸繰出し方向への回転を許容する制動作用を与えると共に、この制動作用を利用してスプール9をスプールフリー状態と釣糸巻取り状態とに切り換えるクラッチ作用を奏するドラグ装置75が装着され、回転駆動軸37上の側板7に当該ドラグ装置75のドラグ力を調節するドラグレバー77が取り付けられている。
【0023】
図2及び図3に示すようにドラグ装置75は、回転駆動軸37に回転可能に嵌合支持された収容体79と、当該収容体79に噛合してこれと一体回転する2枚のワッシャ81,83と、回転駆動軸37に回止め嵌合された1枚のワッシャ85と、リール本体1の側板7に対して前後方向へ回転可能に装着されたドラグレバー77と、当該ドラグレバー77の方向への操作でワッシャ81,83を押圧移動させる押圧機構と、ワッシャ81,83,85の制動面間に介装されたライニング材87とを備え、ワッシャ81,83,85及びライニング材87は収容体79の凹状の収容部89内に収容されて、回転駆動軸37の軸方向に移動自在とされている。
【0024】
そして、上記押圧機構は、ドラグレバー77に回止め嵌合された第1のカム部材91と、当該カム部材91と係合し且つドラグレバー77の操作に伴うカム部材91の回転によって回転駆動軸37の軸方向に移動する第2のカム部材93と、当該カム部材93に保持され且つ当該カム部材93と共に軸方向に移動する押圧部材95と、回転駆動軸37に回転可能に嵌合支持されてワッシャ87を押圧する押圧体97と、押圧部材95と押圧体97との間に介装され且つ押圧部材95によって押圧移動される板ばね99と軸受40とで構成されている。そして、前記カム部材91,93は、リール本体1の側板7に形成された平面視筒状の支持部101内に収容され、この支持部101によって回転駆動軸37の軸方向に移動可能に支持されている。
【0025】
また、カム部材93は、上記支持部101の内面に軸方向に沿って形成された回止め溝103と係合することによりその回転が規制され、更にまた、軸受40は、既述したように回転駆動軸37の端部を回転可能に支持すると共に、回転駆動軸37に対して軸方向に移動でき、そして、板ばね99は回転駆動軸37の外周に嵌合されて、回転駆動軸37の軸方向に移動できるようになっている。
【0026】
尚、図示するように押圧部材95と回転駆動軸37の端部との間は、押圧部材95の軸方向の移動を許容する所定の間隙105が形成されている。また、収容体79とワッシャ85との間には圧縮コイルばね107が回転駆動軸37の外周に巻装されており、当該圧縮コイルばね107によって収容体79とワッシャ85とが、互いに軸方向に離間する方向に付勢されている。
【0027】
また、リール本体1の側板7には、ドラグレバー77の脱落防止を図る抜止めプレート109が止め輪111を介して螺着されている。そして、既述した押圧部材95には、微調整用ノブ113が係合しており、当該微調整用ノブ113の回転操作で、押圧部材95が軸方向に移動するようになっている。
そして、前記収容体79の小径部の外周にピニオンギヤ115が一体回転可能に嵌合し、当該ピニオンギヤ115に、手動巻取り駆動機構11のドライブギヤ117が噛合している。
【0028】
図1に示すように手動巻取り駆動機構11は、ハンドル13と、当該ハンドル13が取り付くハンドル軸119と、これに回止め嵌合されたドライブギヤ117とで構成されている。そして、ハンドル軸119の挿入先端側には、スプール9をスプールモータ23で巻取り駆動した際に、これに連動してハンドル軸119が回転しないように逆転防止装置121が設けられている。
【0029】
この逆転防止装置121は、ハンドル軸119に回止め嵌合されたラチェット123と、当該ラチェット123に対し一定の付勢力で常時係止する係止爪(図示せず)とからなり、スプールモータ23でスプール9を巻取り駆動した際に、その回転方向ではラチェット123に係止爪が係止方向で噛み合ってラチェット123の回転、即ち、ハンドル軸119の回転が阻止されるようになっている。
【0030】
従って、スプールモータ23の駆動力は、遊星減速機構35を介してスプール9のみに伝達されることとなる。
また、これに対し、ハンドル操作でスプール9を釣糸巻取り方向に回転させた場合、その回転方向では係止爪がラチェット123の回転を許容するため、ハンドル13の回転操作に連動してハンドル軸119を回転させることが可能となる。
【0031】
その他、図1中、125は電動リール127のコネクタ129に接続した給電コードである。
本実施形態はこのように構成されているから、給電コード125を介して電動リール127を外部電源に接続すれば、スプールモータ23が駆動可能となる。そして、ドラグレバー77を作動方向に操作すると、当該ドラグレバー77に回止め嵌合するカム部材91が回転し、カム部材93が回転駆動軸37の軸方向に移動する。この結果、軸受40,板ばね99,押圧体97が圧縮コイルばね107のバネ力に抗して軸方向に移動し、押圧体97によってワッシャ81,83,85が押圧され、これにより各ワッシャ81,83,85が回転駆動軸37の軸方向へスライドして各制動面同士がライニング材87を介して圧接されると共に、ワッシャ81が収容体79に所定の押圧力で圧接される。そして、この時の押圧力が当該ワッシャ81から回転駆動軸37に作用することにより、押圧体97を含む押圧機構の構成要素が回転駆動軸37に摩擦結合されて、スプール9に所定のドラグ力が発生する。
【0032】
而して、このドラグ力の強弱の調節は、ドラグレバー77の操作量に応じて変化する。
そして、このように所定のドラグ力が発生した状態でスプールモータ23を駆動させると、遊星減速機構35を介して巻取り駆動力がスプール9に伝達されるが、図7の如き切換えレバー45の操作で、図3に示すように回転駆動軸37の係合突起37bと太陽歯車59の係合片47aとの係合を解除させておくと、先ず、第1の太陽歯車61は時計回りに回転駆動する。
【0033】
これにより、遊星歯車63が反時計回りに回転駆動すると共に時計回りに公転し、第2の太陽歯車67が時計回りに回転するが、この回転方向では、逆転防止装置121によってハンドル軸119の回転が阻止されているため、ハンドル軸119にドライブギヤ117を介して連結したピニオンギヤ115の回転が規制される。そして、ドラグ力の作用した回転駆動軸37に連結されたキャリア43は回転しないため、太陽歯車59が時計回りに回転することで、当該キャリア43に支持された遊星歯車71は、太陽歯車59の周りを公転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0034】
而して、この状態で遊星歯車71の反時計回りの回転運動は内歯歯車65に減速されて伝達され、この結果、スプールモータ23の巻取り駆動力が第1,第2,第3の遊星歯車機構35a,35b,33cで大きく減速されてスプール9に伝達され、スプール9が釣糸巻取り方向に回転して釣糸が低速巻取り状態で巻き取られることとなる。
【0035】
そして、この巻取り操作時に、逆転防止装置121の作用でハンドル13が連動回転することがなく、釣糸巻取り時に急激なスプール逆転力が発生すると、回転駆動軸37上のドラグ装置75が機能することとなる。
一方、スプールモータ23の駆動時に、図6の如き切換えレバー45の操作で、図2に示すように回転駆動軸37の係合突起37bを太陽歯車59の係合片47aに係合させておくと、キャリア47は回転せず、太陽歯車67が時計回りに回転することで、当該キャリア47に支持された遊星歯車69は太陽歯車67の周りを公転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0036】
而して、この状態で遊星歯車69の反時計回りの回転運動は内歯歯車65に減速されて伝達され、この結果、スプールモータ23の巻取り駆動力が第1,第2の遊星歯車機構35a,35bで減速されてスプール9に伝達されるが、この場合、図3の状態に比し減速比が小さくなるため、スプール9が高速巻取り状態で回転することとなる。
【0037】
そして、この場合に於ても、急激なスプール逆転力が発生すると、回転駆動軸37上のドラグ装置75が機能する。
一方、図7の如き切換えレバー45の操作状態でハンドル13を巻取り方向に操作すると、これに連動するドライブギヤ117によってピニオンギヤ115が回転するため、当該ピニオンギヤ115と一体の収容体79が回転するが、この収容体79の回転が押圧機構の摩擦結合力に応じて回転駆動軸37に伝達され、回転駆動軸37に係合するキャリア43を反時計回りに回転させる。
【0038】
そして、キャリア43の回転は徐々に増速し乍らキャリア47,73へ伝達されるが、この時、太陽歯車61はスプールモータ23の反対側の左モータ軸25上に装着された一方向クラッチ31によって回転が規制されているため、遊星歯車63から内歯歯車65へ増速出力されてスプール9が駆動回転される。
また、図6の如き切換えレバー45の操作状態でハンドル13を巻取り回転方向に操作すると、これに連動するドライブギヤ117によってピニオンギヤ115が回転するため、当該ピニオンギヤ115と一体の収容体79が回転するが、この収容体79の回転が押圧機構の摩擦結合力に応じて回転駆動軸37に伝達され、回転駆動軸37に係合するキャリア47を反時計回りに回転させる。
【0039】
そして、キャリア47の回転は増速してキャリア73へ伝達されるが、この時、同様に太陽歯車61は一方向クラッチ31によって回転が規制されているため、遊星歯車63から内歯歯車65へ増速出力されてスプール9が駆動回転される。そして、この場合、図7の状態よりは若干遅くなるが、速度差は少ない。
【0040】
尚、内歯歯車65の反時計回りの回転駆動により、太陽歯車61は時計回りに回転しようとするが、その回転駆動は一方向クラッチ31によって阻止される。
そして、このハンドル13の巻取り操作時に、回転駆動軸37上の側板7に取り付けたドラグレバー77はハンドル操作に連動回転せず、ドラグレバー77を非作動方向に回転操作していけばドラグ力が順次弱まり、そして、ドラグレバー77を同方向へ十分に回転操作すると、スプール9は恰もクラッチOFFの如きスプールフリー状態となって、仕掛けの自由落下により釣糸をスプール9から繰り出すことができることとなる。
【0041】
以上述べたように本実施形態は、図7の如く切換えレバー45を操作して、図3に示すように回転駆動軸37の係合突起37bと太陽歯車59の係合片47aとの係合を解除させると、スプールモータ23の巻取り駆動力が第1,第2,第3の遊星歯車機構35a,35b,33cで大きく減速されてスプール9に伝達され、また、図6の如く切換えレバー45を操作して、図2に示すように係合突起37bを係合片47aに係合させると、スプールモータ23の巻取り駆動力が第1,第2の遊星歯車機構35a,35bで小さく減速されてスプール9に伝達され、そして、いずれの状態に於ても、釣糸巻取り時に急激なスプール逆転力が発生すると、回転駆動軸37上のドラグ装置75が機能するように巻取り駆動系に構成したことを特徴とする。
【0042】
従って、本実施形態によれば、スプールモータ23の駆動によるスプール9の高速,低速での巻取り操作時にドラグ装置75を作動させることができるため、魚とのファイト中に、釣糸に加わる急激な負荷に対し適度にドラグスリップして衝撃がドラグ装置75により吸収緩和され、この結果、従来に比し糸切れや口切れ等が発生することがなくなり、状況に応じた巻上げ対応が可能となった。
【0043】
また、本実施形態は、スプールモータ23と遊星減速機構35をスプール9に内蔵し、当該スプールモータ23の右モータ軸33と同軸上に回転駆動軸37を配置して、当該回転駆動軸37上にドラグ装置75を設けたため、減速機構,変速機構,ドラグ機構等が集約されてリール全体のコンパクト化が図れる利点を有する。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係る発明によれば、切換え部材を操作することで、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り速度を複数段に変速させることができる。
そして、このスプールモータによるスプールの巻取り操作時に急激なスプール逆転力が発生しても、ドラグ装置を作動させることができるため、魚とのファイト中に糸切れや口切れ等が発生することがなくなり、状況に応じた巻上げ対応が可能となった。
また、スプールモータと遊星減速機構をスプールに内蔵し、スプールモータのモータ軸と同軸上に回転駆動軸を配置して、当該回転駆動軸上にドラグ装置を設けることで、リール本体に減速機構,変速機構,ドラグ機構等が集約でき、リール全体のコンパクト化が図れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の一実施形態に係る電動リールの断面図である。
【図2】図1に示す電動リールの要部拡大断面図である。
【図3】図1に示す電動リールの要部拡大断面図である。
【図4】遊星減速機構の要部分解斜視図である。
【図5】遊星減速機構の要部切欠き斜視図である。
【図6】切換えレバーと作動プレートの構造説明図である。
【図7】切換えレバーと作動プレートの構造説明図である。
【図8】図2のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図2のIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
1 リール本体
9 スプール
11 手動巻取り駆動機構
23 スプールモータ
35 遊星減速機構
37 回転駆動軸
45 切換えレバー
51 作動プレート
57 カム
75 ドラグ装置
77 ドラグレバー
127 電動リール
Claims (1)
- リール本体に回転可能に支持されたスプールの胴部内に、スプールモータと複数の遊星歯車支持体に遊星歯車を支持した複数の遊星歯車機構からなる遊星減速機構を装着し、
スプールモータのモータ軸と同軸上に、手動巻取り駆動機構からの巻取り動力を遊星減速機構に伝達させる回転駆動軸をリール本体内に回転可能に配置し、当該回転駆動軸上にドラグ装置を設けた魚釣用電動リールであって、
上記回転駆動軸を、上記遊星減速機構の少なくとも最減速遊星歯車機構を含む2段以上の遊星歯車機構の遊星歯車支持体に係合可能にその軸方向へ移動可能とし、
上記リール本体に、回転駆動軸をその軸方向へ移動させる切換え部材を装着し、
上記切換え部材の操作で回転駆動軸と遊星歯車支持体との係合状態を切り換えて、スプールモータの駆動によるスプールの巻取り速度を複数段に変速可能とすると共に、
スプールモータの駆動によるスプールの巻取り操作時に、上記ドラグ装置を常時作動可能としたことを特徴とする魚釣用電動リール。
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