JP3810682B2 - 魚釣用電動リール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻き取り駆動するスプール駆動用モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚釣用リールは、リール本体と、釣糸が巻回されるスプールとを備えて成る。そして、リール本体の内部には、スプールに釣糸を巻き取る巻取駆動機構、スプールに釣糸を平行に巻回するための平行巻駆動機構、スプールに制動力を付与する制動機構などが収容されている。
【0003】
このような魚釣用リールは、他の技術分野の製品と異なり、水(海水や淡水)や異物が付着し易い過酷な環境下で使用されるため、実釣時にリール本体内の駆動部に水や異物等が侵入しないようにしなければならない。とりわけ、電装部品が装備された電動リールにあっては、防水の面での配慮が厳しく要求される。
【0004】
そのため、スプールの糸巻き胴部内にスプール駆動用モータを収納するスプールインタイプの電動リールにおいては、スプール内に直接にモータを収納するのではなく、モータを筒状の収容体に収容し、この収容体をモータとともにスプール内に収納するようにしている。例えば、実用新案登録第2530816号では、モータをスプールの糸巻き胴部内に水密に収納するため、前記収容体をリール本体と一体的に形成する(リール本体の一側部によって前記収容体を形成する)とともに、リール本体の前記一側部と反対側に位置する前記収容体の端部から、収容体の径方向内側に向かう鍔状部を延設し、この鍔状部にモータの一端を接触させてビスにより固定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実用新案登録第2530816号に開示された構造にあっては、収容体の鍔状部にモータの一端をビスにより固定するため、モータ駆動軸の軸心の心出し精度が鍔状部によって規定されてしまう。すなわち、鍔状部に対するモータの固定位置に狂いが生じている場合には、モータ駆動軸の軸心とスプールを含む回転駆動系の軸心とを高精度に一致させること(同心度を高精度に得ること)が難しい。また、モータを収容体に組み付ける際に、モータ駆動軸の同心度を調整することも難しい。そのため、モータ駆動軸の軸心のズレによって、モータ駆動時に異音や振動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されるといった問題が生じる。
【0006】
また、実用新案登録第2530816号に開示された構造にあっては、前述したように、モータを収容する前記収容体がリール本体(リール本体の一側部)と一体的に形成されており、しかも、このリール本体の一側部と反対側に位置する前記収容体の鍔状部にモータが固定されているため、モータのメンテナンス作業(清掃や部品交換等)を行なう場合には、リール本体の一側部と反対側にあるリール本体の他側部側からアクセスしてモータの固定状態を解除しなければならない。この場合、リール本体の他側部側には、巻取駆動機構および減速機構が設けられているため、メンテネンス作業が非常に面倒である(メンテナンス性が劣る)。
【0007】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、スプール駆動用モータをスプール内に水密状態で収納できるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の同心度を高精度且つ容易に得ることができるメンテネンス性に優れた魚釣用電動リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の1つの形態は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、前記一側枠と反対側に位置するその端部に、収容体の径方向内側に突出する環状の保持部を有し、この保持部と前記一側枠との間で前記スプール駆動用モータを回転不能に挟着保持することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の形態は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるととも、前記一側枠と反対側に位置するその一端部内面に環状の凸部を有し、この凸部は、前記スプール駆動用モータの端部外周面に当接してこれを保持することにより、前記スプール駆動用モータの駆動軸の軸心位置を規定し、また、前記収容体の前記一端部の開口は、収容体内を水密に維持するシール材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右両側に側板4a,4a’が着脱自在に取り付けられたリール本体4を有している。リール本体4には、図中向かって右側に、後述する手動巻取り駆動部150を構成する手動ハンドルHが取り付けられている。また、リール本体4の上側には操作パネル93が設けられている。また、左側板4aと右側板4a’との間には、釣糸が巻回されるスプール8が回転自在に支持されている。
【0011】
スプール8の内部には、スプール8を回転駆動させるためのスプール駆動用モータ10が収容されている。このモータ10には、図示しないバッテリから電力が供給されるようになっている。具体的には、モータ10の電気接点72に接続された電気ライン71がリール本体4の図示しないコネクタに電気的に接続されており、給電コード74を介して前記コネクタを図示しないバッテリに接続することにより、モータ10への給電が行なわれるようになっている。
【0012】
スプール駆動用モータ10は、スプール8と同軸に配置されている。スプール駆動用モータ10の左駆動軸10aには、スプール駆動用モータ10の逆回転を防止するための一方向クラッチ90が連結されており、また、右駆動軸10bには減速機構(遊星歯車伝達機構)40が連結されている。
【0013】
一方向クラッチ90は、スプール駆動用モータ10が右側板4a’側から見て時計回りに回転(正転駆動)した時に、フリー回転状態(駆動軸10a,10bを自由に回転させる状態)となってスプール8の巻き取り駆動を可能とし、手動ハンドルHで巻き取り操作された時に、駆動軸10a,10bの回転が阻止されて手動ハンドルHの動力がスプール8に伝達されるように設定構成されている。なお、以下において、時計回り、反時計回りとは、全て右側板4a’側から見たものとする。
【0014】
スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと右側板4a’との間には、手動巻取り駆動部150の動力を減速機構40に伝達する回転駆動軸45が、スプール駆動用モータ10の左右駆動軸10a,10bと同軸に設けられている。この回転駆動軸45は、軸受100,101によって回転可能に支持されている。なお、軸受101は、後述するように、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0015】
減速機構40は、第1ないし第3の遊星ギヤ機構40A,40B,40Cから成り、スプール駆動用モータ10の正転駆動時に右駆動軸10bの回転運動を第1の遊星ギヤ機構40Aで減速させた後、更に、第2および第3の遊星ギヤ機構40B,40Cで減速させてスプール8に伝達するように構成されている。
【0016】
具体的には、第1の遊星ギヤ機構40Aは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと一体回転する第1の太陽歯車50と、この第1の太陽歯車50に噛合した複数の第1の遊星歯車51と、これら第1の遊星歯車51が常時噛合するようにスプール8の端面に刻設された内歯歯車52とを備えている。
【0017】
また、第2の遊星ギヤ機構40Bは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第2の太陽歯車55と、この第2の太陽歯車55に噛合した複数の第2の遊星歯車57とを備えており、複数の第2の遊星歯車57は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0018】
更に、第3の遊星ギヤ機構40Cは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第3の太陽歯車58と、この第3の太陽歯車58に噛合した複数の第3の遊星歯車59とを備えており、複数の第3の遊星歯車59は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0019】
また、複数の第1の遊星歯車51はそれぞれ第1のキャリア60に支持されており、この第1のキャリア60は第2の太陽歯車55と一体回転するよう連結されている。また、複数の第2の遊星歯車57はそれぞれ第2のキャリア61に支持されており、この第2のキャリア61は第3の太陽歯車58と一体回転するよう連結されている。更に、複数の第3の遊星歯車59はそれぞれ第3のキャリア62に支持されており、この第3のキャリア(支持体)62は、係止ピン103を介して回転駆動軸45に連結され、回転駆動軸45と一体で回転するようになっている。
【0020】
また、本実施形態の魚釣用リール1は、釣糸の繰り出しで回転するスプール3に制動力を付与しながらスプール3の釣糸繰り出し方向への回転を許容する制動作用を与えるとともに、この制動作用を利用してスプール8をフリー回転状態と釣糸巻取り状態とに切換えるクラッチ作用を与えるドラグ機構160を備えている。
【0021】
具体的には、ドラグ機構160は、回転駆動軸45に回転可能に嵌合支持された収容体20と、この収容体20と噛み合ってこれと一体回転する複数の第1の制動板(ワッシャ)21A,21Bと、回転駆動軸45に回り止め支持(嵌合)されて回転駆動軸45と一体に回転する第2の制動板(ワッシャ)22と、リール本体4の右側板4a’に対して前後方向(図面の表裏方向)に回動可能に取り付けられたドラグ操作部材(ドラグ力調節部材)27と、ドラグ操作部材27の回転によって制動板21A,21B,22を押圧するように移動される押圧機構と、制動板21A,21B,22の摩擦面(制動面)間に介在して設けられたライニング材23とを備えている。この場合、各制動板21A,21B,22およびライニング材23は、一括して収容体20の凹状の収容部内に収容されるとともに、回転駆動軸45の軸方向に移動自在となっている。
【0022】
また、前記押圧機構は、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合された第1のカム部材29と、第1のカム部材29と係合し且つドラグ操作部材27の回動操作に伴う第1のカム部材29の回転によって回転駆動軸45の軸方向に移動する第2のカム部材30と、第2のカム部材30に保持され且つ第2のカム部材30とともに軸方向に移動する押圧部材31と、回転駆動軸45および前記軸受101に回転可能に嵌合支持されて制動板21Bを押圧する押圧体24と、押圧部材31と押圧体24との間に介挿され且つ押圧部材31によって押圧移動される板ばね25および軸受28とから成る。
【0023】
この場合、第1および第2のカム部材29,30は、リール本体4の右側板4a’に固定された支持部材32内に収容され、この支持部材32によって軸方向に移動可能に支持されている。また、第2のカム部材30は、支持部材32の内面に軸方向に沿って形成された回り止め溝33と係合することにより、その回転が規制されている。また、軸受28は、回転駆動軸45の端部を回転可能に支持するとともに、回転駆動軸45に対して軸方向に移動できる。また、板バネ25は、回転駆動軸45の外周に嵌合され、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0024】
なお、押圧部材31と回転駆動軸45の端部との間には、押圧部材31の軸方向の移動を許容する所定の空間Sが形成されるようになっている。また、収容体20と第2の制動板22との間および第2の制動板22と軸受101(押圧体24)との間には、圧縮コイルバネ26が介挿されている。これらの圧縮コイルバネ26は、回転駆動軸45の外周に巻装されており、制動板22と収容体20と軸受101(押圧体24)とを互いに軸方向に離間させる方向(押圧力を解除する方向)で付勢している。また、収容体20の収容部20aの一端開口には、収容体20内を水密に維持するためのシール部材80が設けられている。
【0025】
また、リール本体4の右側板4a’には、右側板4a’からのドラグ操作部材27の抜けを防止する抜け止めプレート34が、止め輪35を介して、右側板4a’に対して螺着されている。また、押圧部材31には微調整用ノブ36が係合しており、この微調整用ノブ36を回転させることによって押圧部材31を軸方向に移動できるようになっている。なお、微調整用ノブ36の軸方向への移動量は抜け止めプレート34によって制限されている。
【0026】
また、押圧体24の外周面には、係止ピン37を介して、ピニオンギヤ38が嵌合されている。すなわち、ピニオンギヤ38は、押圧体24と一体的に回転できるようになっている。また、ピニオンギヤ38には、手動巻取り駆動部150のドライブギヤ66が噛合している。
【0027】
手動巻取り駆動部150は、ハンドルHと、ハンドルHと一体で回転するハンドル軸65と、ハンドル軸65に回り止め嵌合されたドライブギヤ66とを備えて成る。
【0028】
また、ハンドル軸65の基端部には、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた際に、これに連動してハンドル軸65が回転しないように、逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、外周面にラチェット爪67aが所定ピッチで形成されたラチェットギヤ67と、ラチェット爪67aに対して一定の付勢力で常時係合している図示しないストッパとを備えており、ラチェットギヤ67は、ハンドル軸65に回り止め嵌合されている。このような逆転防止機構によれば、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに前記ストッパが係止方向で噛み合うため、ラチェットギヤ67の回転が阻止され、スプール駆動用モータ10の回転に連動してハンドル軸65が回転することが防止される。したがって、スプール駆動用モータ10の動力は減速機構40を介してスプール8のみに伝達される。これに対し、手動ハンドルHの回転操作によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに係合する前記ストッパはラチェットギヤ67の回転を許容するため、手動ハンドルHの回転操作に連動してハンドル軸54を回転させることができる。
【0029】
なお、スプール8の前方には、スプール8の回転に連動して動作するレベルワインド機構95が設けられている。このレベルワインド機構95は、外周面にトラバース溝が形成され且つ端部にギア121が取り付けられたウォームシャフトと、このウォームシャフトを収容する筒体120と、前記トラバース溝と係合して前記ウォームシャフトの回転により筒体120に沿って左右に摺動する係合子128とを有しており、係合子128に形成された孔128aを介してスプール8に巻回された釣糸を案内する。したがって、ハンドルHを回転操作すれば、スプール8の回転および係合子128の左右の摺動により、スプール8には釣糸が均等に巻回される。
【0030】
このような構成の魚釣用電動リール1においては、まず、ドラグ操作部材27を一方向に回転操作すると、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合する第1のカム部材29が回転し、それに伴って、第2のカム部材30が回転駆動軸45の軸方向に移動する。その結果、軸受28、板ばね25、押圧体24が圧縮コイルバネ26の付勢力に抗して軸方向に移動され、押圧体24によって制動板21A,21B,22が押圧される。これにより、制動板21A,21B,22が回転駆動軸45の軸方向に沿ってスライドされ、制動板21A,21B,22の摩擦面同士がライニング材23を介して圧接されるとともに、制動板21Aが収容体20に所定の押圧力で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力が制動板22を介して回転駆動軸45に作用することにより、押圧体24を含む押圧機構の構成要素が回転駆動軸45に対して摩擦結合され、スプール8に所定のドラグ力が発生する。
【0031】
このように所定のドラグ力が形成された状態で、手動ハンドルHを時計回りに回転操作すると、ドライブギヤ66およびドライブギヤ66と噛み合うピニオンギヤ38が回転され、ピニオンギヤ38と一体の押圧体24が回転する。そして、この押圧体24の回転力は、押圧機構による前記摩擦結合力に応じて、回転駆動軸45に伝達され、回転駆動軸45に連結された第3のキャリア62を反時計回りに回転させる。この時、遊星歯車59は、反時計回りに自転すると共に公転し、内歯歯車52を反時計回りに増速した状態で回転駆動する。これにより、スプール8は、釣糸巻取り方向に回転駆動される。なお、内歯歯車52の反時計回りの回転駆動により、第1の太陽歯車50は時計回りに回転しようとするが、その回転駆動は、モータ10に対して反対側に位置する一方向クラッチ90によって規制される。
【0032】
また、手動ハンドルHによらず、スプール駆動用モータ10を正転駆動(時計回り)させると、第1の太陽歯車50は時計回りに回転駆動される。この回転駆動により、遊星歯車51は、反時計回りに回転すると共に時計回りに公転し、第3の太陽歯車58が時計回りに回転する。この回転方向では、前述した逆転防止機構によってハンドル軸65の回転が規制されているため、ハンドル軸65にドライブギヤ66を介して連結したピニオンギヤ38(押圧体24)の回転(時計回りの回転)が規制される。その結果、ピニオンギヤ38と摩擦結合した回転駆動軸45および第3のキャリア62は、回転することなく一定位置に静止した状態に維持される。したがって、第3の太陽歯車58が時計回りに回転した際、第3のキャリア62に回転可能に支持された複数の遊星歯車59は、第3の太陽歯車58の回りを公転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0033】
この状態において、複数の遊星歯車59の反時計回りの回転運動は、スプール8の端面に刻設された内歯歯車52に減速されて伝達され、この内歯歯車52を反時計回りに回転させる。そして、これに伴ってスプール8は、釣糸巻取方向(反時計回り)に回転する。この結果、釣糸は、図示しない釣糸案内機構を介してスプール8に均一に巻き取られる。なお、このような電動巻取時には、前記逆転防止機構が機能しているため、手動ハンドルHが連動して高速で回転することはない。
【0034】
一方、ドラグ操作部材27を他方向に回転操作していくと、圧縮コイルバネ26の付勢力によって押圧体24が押し戻され、制動板21A,21B,22同士が互いに離間する。したがって、押圧体24を含む押圧機構の構成要素と回転駆動軸45との摩擦結合力すなわちドラグ力が弱まる。そして、ドラグ操作部材27を他方向に十分回転操作すると、最終的に、スプール8はフリー回転可能状態に維持される。この状態では、釣糸を仕掛けの自由落下によってスプール8から繰り出すことができる。
【0035】
次に、スプール8内にスプール駆動用モータ10を収納するための構造について説明する。
【0036】
スプール駆動用モータ10は、リール本体4とは別体の筒状の収容体220内に収容され、この収容体220とともにスプール8内に収納されている。具体的には、図2に拡大して示されるように、収容体220は、スプール8内に収納可能な筒状体として形成されている。収容体220の一端には、収容体220の径方向外側に突出する環状のフランジ部220bが形成され、このフランジ部220bは、左側板4aに隣接するリール本体4の側枠4bに対して止めネジ230により固定されている。この場合、フランジ部220bと側枠4bとの間には、弾性材料によって形成されたシール材239が介挿されている。また、モータ10の端面と側枠4bとの間にも弾性材料によって形成されたシール材237が介挿されている。なお、モータ10の電気接点72に接続された前述の電気ライン71は、側枠4bを貫通して延びており、この電気ライン71と側枠4bとの間にも、弾性材料によって形成されたシール材273が介挿されている。
【0037】
また、収容体220の他端には、収容体220の径方向内側に突出する環状の保持部220aが形成されており、この環状の保持部220aの開口220dを通じてモータ10の駆動軸10bが収容体220から導出されている。また、環状の保持部220aの内周縁からは、軸方向外側に突出する筒状のボス部220eが延びている。このボス部220eは、収容体220と減速機構40との間を仕切る環状の仕切板277の開口277aに所定の間隙をもって挿入されている。
【0038】
収容体220の環状の保持部220aの内面には、収容体220の軸方向に突出する少なくとも1つ(本実施形態では、収容体220の軸心に対して対称に2つ)の凸部220cが形成されている。また、保持部220aの内面と対向するモータ10の端面には、凸部220cと対向する部位に、凸部220cが挿入可能な凹部10cが形成されている。これらの凸部220cおよび凹部10cは、互いに係合することによって、モータ10の回転を防止する回り止め機構250を構成する。なお、凹部10cは、後述するようにモータ10の駆動軸10a,10bの同心度を調整(モータ10の駆動軸10a,10bの軸心とスプール8および回転駆動軸45の軸心とを一致させる調整)し得る所定のクリアランスを凸部220cとの間に形成するような大きさで設けられていることが望ましい。
【0039】
また、収容体220の環状の保持部220aとモータ10との間には、弾性材料からなる略筒状のシール材225が介挿されている。このシール材225は、保持部220の内面とモータ10の端面との間に介挿される外端フランジ部225aと、モータ10の駆動軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部225bとを有している。
【0040】
以上のような構造を用いてスプール駆動用モータ10をスプール8内に収納する場合には、まず、シール材225およびシール材237が装着されたモータ10を、シール材239が装着された収容体220内に嵌挿するとともに、モータ10の凹部10cと環状保持部220aの凸部220cとを係合させることによって、モータ10を収容体220内にある程度位置決めした状態で収容する。この時、シール材225の外端フランジ部225aがモータ10の端面と保持部220aの内面との間に挟まれ、また、保持部220aの開口220dからモータ10の駆動軸10bが所定の同心度をもって導出される。
【0041】
続いて、このようにしてモータ10が収容された収容体220をスプール8内に挿入する。この時、保持部220aのボス部220eを仕切板277の開口277aに挿入するようにして、収容体220をスプール8内である程度大まかに位置決めする。そして、最終的に、収容体220のフランジ部220bをリール本体4の側枠4bに対して当て付けて、止めネジ230を捩じ込んでいくと、保持部220が側板4b側に引き寄せられる。これにより、モータ10は、保持部220aからの押圧作用により側板4bに対して押し付けられ、シール材225,237,239を介して保持部220aと側枠4bとの間でガタ付くこと無く挟持される。また、この止めネジ230を捩じ込んでいく過程で、モータ10は、シール材225,237,239の弾性作用により、その駆動軸10a,10bの軸心がスプール8および回転駆動軸45の軸心と一致するように微調整される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、スプール駆動用モータ10をスプール8内に収納するための収容体220を備え、この収容体220は、リール本体4の側枠4bからスプール8の軸方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、側枠4bと反対側に位置するその端部に、収容体220の径方向内側に突出する環状の保持部220aを有し、この保持部220aと側枠4bとの間で弾性材225,237,239を介してスプール駆動用モータ10を回転不能に挟着保持する。すなわち、収容体220の保持部220aと側枠4bとの間で直接にモータ10が挟持固定されるのではなく、弾性材225,237,239を介してモータ10が収容体220の保持部220aと側枠4bとの間で弾性的に挟持される。そのため、モータ10は、シール材225,237,239の弾性作用により、その駆動軸10a,10bの軸心がスプール8および回転駆動軸45の軸心と一致するように調整される。したがって、スプール8へのモータ10の収納時に、モータ10の駆動軸10a,10bの同心度を高精度且つ容易に得ることができ、モータ10の駆動時に異音や振動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されるといった不都合を回避することができる。
【0043】
また、本実施形態において、軸心調整用の弾性体225,237,239は、スプール駆動用モータ10が収容される収容体220内の防水を図るシール材を兼ねているため、少ない部品点数で、防水および軸心調整の両方を行なうことができる。
【0044】
また、本実施形態において、収容体220は、リール本体4と別体で形成され、リール本体4の側枠4bに固定されている。したがって、収容体220の製作が容易になるとともに、放熱性や強度等を考慮した材料選択が可能になり、設計の自由度の拡大やコスト低減が可能となる。
【0045】
図3および図4は本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施形態の魚釣用電動リール1Aの収容体220Aは、側枠4bと反対側に位置するその他端の内面に、収容体220Aの径方向内側に突出する環状の凸部220hを有している。この凸部220hは、減速機構40および回転駆動軸45に結合される駆動軸10bに近いモータ10の端部外周面に当接してこれを保持し、減速機構40および回転駆動軸45等に対する駆動軸10bの同心度を正確に確保する。
【0047】
また、凸部220hが形成された収容体220Aの他端は、第1の実施形態のように径方向内側に延びる環状の保持部220aを形成することなく、そのまま開口しており、その開口220fには、これを閉じるように弾性材料からな成るシール材280が装着されている。
【0048】
シール材280は、収容体220Aの他端外周に取り付けられる外端部280aと、モータ10の駆動軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部280bと、収容体220Aの開口220fを閉塞する本体部280cとを有している。シール材280の外端部280aは、収容体220Aの他端外周面に形成された凹部220g内に嵌入されるとともに、その上側から断面がC字型の弾性リング283を弾性的に広げて凹部220gに嵌着することにより収容体220Aに抜け止め固定される。
【0049】
また、本実施形態の魚釣用電動リール1Aにも、モータ10の回転を防止する回り止め機構250Aが設けられている。この回り止め機構250Aは、側枠4bから軸方向に延びる支持体283と、この支持体283と係合し得るようにモータ10の端面に形成された凹部10dとから成る。無論、この回り止め機構250Aは、側枠4bと反対側に位置する収容体220Aの他端側に設けられていても良い。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
【0050】
以上のように、本実施形態の魚釣用電動リール1Aの収容体220Aは、リール本体4の側枠4bと反対側に位置するその他端部内面に環状の凸部220hを有し、この凸部220hは、モータ10の端部外周面に当接してこれを保持することにより、モータ10の駆動軸10a,10bの軸心位置を規定し、減速機構40および回転駆動軸45等に対する駆動軸10a,10bの同心度を正確に確保する。このように、減速機構40および回転駆動軸45に結合される駆動軸10bに近いモータ10の端部を凸部220hによって径方向から保持すれば、駆動軸10bの同心度を高精度に確保し易い。すなわち、本実施形態は、駆動軸10bの同心度を得易い収容体220Aの他端部内面(凸部220h)でモータ10を支持する方式を採用することにより、モータ10の偏心に伴うモータ駆動時の異音発生や振動を効果的に防止している。
【0051】
また、本実施形態では、収容体220Aの他端部開口がシール材によって閉塞されているため、収容体220Aの内部の防水を図ることができる。
【0052】
更に、本実施形態の収容体220Aには、第1の実施形態のように径方向内側に延びる環状の保持部220aが形成されていないため、保持部220aの肉厚分だけリール全体の軸方向寸法を小さくすることができる。言い換えると、スプール8内の軸方向に保持部220aのためのスペースを確保する必要がないため、スプール8内に収容される減速機構40の配置スペースが制約されないで済む。
【0053】
図5には、第2の実施形態の変形例が示されている。この変形例では、側枠4bがネジ300を介してリール本体4に着脱自在に取り付けられている。なお、それ以外の構成は第2の実施形態と同一であるため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
したがって、このような構成では、左側板4aをリール本体4から取り外すとともに、ネジ300を外して一体化されている側枠4bをリール本体から取り外せば、止めネジ230を介して側枠4bと一体になっている収容体220Aをスプール8内から抜き出すことができるため、モータ10およびその駆動部のメンテナンス(清掃や部品交換等)を容易に行なうことができる。すなわち、モータ10を取り出すために、巻取駆動機構および減速機構が設けられている右側板4a’側からモータ10にアクセスしなくて済むため、メンテネンス性が良好である。このように、本変形例によれば、モータの防水を図りながら、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スプール駆動用モータをスプール内に水密状態で収納できるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の同心度を高精度且つ容易に得ることができるメンテネンス性に優れた魚釣用電動リールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【図2】図1の魚釣用電動リールの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【図4】図3の魚釣用電動リールの要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【符号の説明】
1…魚釣用電動リール
4…リール本体
4a,4a’…側板
4b・・・側枠
8…スプール
10…スプール駆動用モータ
220…収容体
220a…保持部
220h…凸部
225,237,239…シール材(弾性体)
280…シール材
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻き取り駆動するスプール駆動用モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、魚釣用リールは、リール本体と、釣糸が巻回されるスプールとを備えて成る。そして、リール本体の内部には、スプールに釣糸を巻き取る巻取駆動機構、スプールに釣糸を平行に巻回するための平行巻駆動機構、スプールに制動力を付与する制動機構などが収容されている。
【0003】
このような魚釣用リールは、他の技術分野の製品と異なり、水(海水や淡水)や異物が付着し易い過酷な環境下で使用されるため、実釣時にリール本体内の駆動部に水や異物等が侵入しないようにしなければならない。とりわけ、電装部品が装備された電動リールにあっては、防水の面での配慮が厳しく要求される。
【0004】
そのため、スプールの糸巻き胴部内にスプール駆動用モータを収納するスプールインタイプの電動リールにおいては、スプール内に直接にモータを収納するのではなく、モータを筒状の収容体に収容し、この収容体をモータとともにスプール内に収納するようにしている。例えば、実用新案登録第2530816号では、モータをスプールの糸巻き胴部内に水密に収納するため、前記収容体をリール本体と一体的に形成する(リール本体の一側部によって前記収容体を形成する)とともに、リール本体の前記一側部と反対側に位置する前記収容体の端部から、収容体の径方向内側に向かう鍔状部を延設し、この鍔状部にモータの一端を接触させてビスにより固定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実用新案登録第2530816号に開示された構造にあっては、収容体の鍔状部にモータの一端をビスにより固定するため、モータ駆動軸の軸心の心出し精度が鍔状部によって規定されてしまう。すなわち、鍔状部に対するモータの固定位置に狂いが生じている場合には、モータ駆動軸の軸心とスプールを含む回転駆動系の軸心とを高精度に一致させること(同心度を高精度に得ること)が難しい。また、モータを収容体に組み付ける際に、モータ駆動軸の同心度を調整することも難しい。そのため、モータ駆動軸の軸心のズレによって、モータ駆動時に異音や振動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されるといった問題が生じる。
【0006】
また、実用新案登録第2530816号に開示された構造にあっては、前述したように、モータを収容する前記収容体がリール本体(リール本体の一側部)と一体的に形成されており、しかも、このリール本体の一側部と反対側に位置する前記収容体の鍔状部にモータが固定されているため、モータのメンテナンス作業(清掃や部品交換等)を行なう場合には、リール本体の一側部と反対側にあるリール本体の他側部側からアクセスしてモータの固定状態を解除しなければならない。この場合、リール本体の他側部側には、巻取駆動機構および減速機構が設けられているため、メンテネンス作業が非常に面倒である(メンテナンス性が劣る)。
【0007】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、スプール駆動用モータをスプール内に水密状態で収納できるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の同心度を高精度且つ容易に得ることができるメンテネンス性に優れた魚釣用電動リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の1つの形態は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、前記一側枠と反対側に位置するその端部に、収容体の径方向内側に突出する環状の保持部を有し、この保持部と前記一側枠との間で前記スプール駆動用モータを回転不能に挟着保持することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の形態は、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるととも、前記一側枠と反対側に位置するその一端部内面に環状の凸部を有し、この凸部は、前記スプール駆動用モータの端部外周面に当接してこれを保持することにより、前記スプール駆動用モータの駆動軸の軸心位置を規定し、また、前記収容体の前記一端部の開口は、収容体内を水密に維持するシール材によって閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る魚釣用電動リール1は、左右両側に側板4a,4a’が着脱自在に取り付けられたリール本体4を有している。リール本体4には、図中向かって右側に、後述する手動巻取り駆動部150を構成する手動ハンドルHが取り付けられている。また、リール本体4の上側には操作パネル93が設けられている。また、左側板4aと右側板4a’との間には、釣糸が巻回されるスプール8が回転自在に支持されている。
【0011】
スプール8の内部には、スプール8を回転駆動させるためのスプール駆動用モータ10が収容されている。このモータ10には、図示しないバッテリから電力が供給されるようになっている。具体的には、モータ10の電気接点72に接続された電気ライン71がリール本体4の図示しないコネクタに電気的に接続されており、給電コード74を介して前記コネクタを図示しないバッテリに接続することにより、モータ10への給電が行なわれるようになっている。
【0012】
スプール駆動用モータ10は、スプール8と同軸に配置されている。スプール駆動用モータ10の左駆動軸10aには、スプール駆動用モータ10の逆回転を防止するための一方向クラッチ90が連結されており、また、右駆動軸10bには減速機構(遊星歯車伝達機構)40が連結されている。
【0013】
一方向クラッチ90は、スプール駆動用モータ10が右側板4a’側から見て時計回りに回転(正転駆動)した時に、フリー回転状態(駆動軸10a,10bを自由に回転させる状態)となってスプール8の巻き取り駆動を可能とし、手動ハンドルHで巻き取り操作された時に、駆動軸10a,10bの回転が阻止されて手動ハンドルHの動力がスプール8に伝達されるように設定構成されている。なお、以下において、時計回り、反時計回りとは、全て右側板4a’側から見たものとする。
【0014】
スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと右側板4a’との間には、手動巻取り駆動部150の動力を減速機構40に伝達する回転駆動軸45が、スプール駆動用モータ10の左右駆動軸10a,10bと同軸に設けられている。この回転駆動軸45は、軸受100,101によって回転可能に支持されている。なお、軸受101は、後述するように、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0015】
減速機構40は、第1ないし第3の遊星ギヤ機構40A,40B,40Cから成り、スプール駆動用モータ10の正転駆動時に右駆動軸10bの回転運動を第1の遊星ギヤ機構40Aで減速させた後、更に、第2および第3の遊星ギヤ機構40B,40Cで減速させてスプール8に伝達するように構成されている。
【0016】
具体的には、第1の遊星ギヤ機構40Aは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bと一体回転する第1の太陽歯車50と、この第1の太陽歯車50に噛合した複数の第1の遊星歯車51と、これら第1の遊星歯車51が常時噛合するようにスプール8の端面に刻設された内歯歯車52とを備えている。
【0017】
また、第2の遊星ギヤ機構40Bは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第2の太陽歯車55と、この第2の太陽歯車55に噛合した複数の第2の遊星歯車57とを備えており、複数の第2の遊星歯車57は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0018】
更に、第3の遊星ギヤ機構40Cは、スプール駆動用モータ10の右駆動軸10bに回転可能に支持された第3の太陽歯車58と、この第3の太陽歯車58に噛合した複数の第3の遊星歯車59とを備えており、複数の第3の遊星歯車59は内歯歯車52に常時噛合するようになっている。
【0019】
また、複数の第1の遊星歯車51はそれぞれ第1のキャリア60に支持されており、この第1のキャリア60は第2の太陽歯車55と一体回転するよう連結されている。また、複数の第2の遊星歯車57はそれぞれ第2のキャリア61に支持されており、この第2のキャリア61は第3の太陽歯車58と一体回転するよう連結されている。更に、複数の第3の遊星歯車59はそれぞれ第3のキャリア62に支持されており、この第3のキャリア(支持体)62は、係止ピン103を介して回転駆動軸45に連結され、回転駆動軸45と一体で回転するようになっている。
【0020】
また、本実施形態の魚釣用リール1は、釣糸の繰り出しで回転するスプール3に制動力を付与しながらスプール3の釣糸繰り出し方向への回転を許容する制動作用を与えるとともに、この制動作用を利用してスプール8をフリー回転状態と釣糸巻取り状態とに切換えるクラッチ作用を与えるドラグ機構160を備えている。
【0021】
具体的には、ドラグ機構160は、回転駆動軸45に回転可能に嵌合支持された収容体20と、この収容体20と噛み合ってこれと一体回転する複数の第1の制動板(ワッシャ)21A,21Bと、回転駆動軸45に回り止め支持(嵌合)されて回転駆動軸45と一体に回転する第2の制動板(ワッシャ)22と、リール本体4の右側板4a’に対して前後方向(図面の表裏方向)に回動可能に取り付けられたドラグ操作部材(ドラグ力調節部材)27と、ドラグ操作部材27の回転によって制動板21A,21B,22を押圧するように移動される押圧機構と、制動板21A,21B,22の摩擦面(制動面)間に介在して設けられたライニング材23とを備えている。この場合、各制動板21A,21B,22およびライニング材23は、一括して収容体20の凹状の収容部内に収容されるとともに、回転駆動軸45の軸方向に移動自在となっている。
【0022】
また、前記押圧機構は、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合された第1のカム部材29と、第1のカム部材29と係合し且つドラグ操作部材27の回動操作に伴う第1のカム部材29の回転によって回転駆動軸45の軸方向に移動する第2のカム部材30と、第2のカム部材30に保持され且つ第2のカム部材30とともに軸方向に移動する押圧部材31と、回転駆動軸45および前記軸受101に回転可能に嵌合支持されて制動板21Bを押圧する押圧体24と、押圧部材31と押圧体24との間に介挿され且つ押圧部材31によって押圧移動される板ばね25および軸受28とから成る。
【0023】
この場合、第1および第2のカム部材29,30は、リール本体4の右側板4a’に固定された支持部材32内に収容され、この支持部材32によって軸方向に移動可能に支持されている。また、第2のカム部材30は、支持部材32の内面に軸方向に沿って形成された回り止め溝33と係合することにより、その回転が規制されている。また、軸受28は、回転駆動軸45の端部を回転可能に支持するとともに、回転駆動軸45に対して軸方向に移動できる。また、板バネ25は、回転駆動軸45の外周に嵌合され、回転駆動軸45の軸方向に移動できる。
【0024】
なお、押圧部材31と回転駆動軸45の端部との間には、押圧部材31の軸方向の移動を許容する所定の空間Sが形成されるようになっている。また、収容体20と第2の制動板22との間および第2の制動板22と軸受101(押圧体24)との間には、圧縮コイルバネ26が介挿されている。これらの圧縮コイルバネ26は、回転駆動軸45の外周に巻装されており、制動板22と収容体20と軸受101(押圧体24)とを互いに軸方向に離間させる方向(押圧力を解除する方向)で付勢している。また、収容体20の収容部20aの一端開口には、収容体20内を水密に維持するためのシール部材80が設けられている。
【0025】
また、リール本体4の右側板4a’には、右側板4a’からのドラグ操作部材27の抜けを防止する抜け止めプレート34が、止め輪35を介して、右側板4a’に対して螺着されている。また、押圧部材31には微調整用ノブ36が係合しており、この微調整用ノブ36を回転させることによって押圧部材31を軸方向に移動できるようになっている。なお、微調整用ノブ36の軸方向への移動量は抜け止めプレート34によって制限されている。
【0026】
また、押圧体24の外周面には、係止ピン37を介して、ピニオンギヤ38が嵌合されている。すなわち、ピニオンギヤ38は、押圧体24と一体的に回転できるようになっている。また、ピニオンギヤ38には、手動巻取り駆動部150のドライブギヤ66が噛合している。
【0027】
手動巻取り駆動部150は、ハンドルHと、ハンドルHと一体で回転するハンドル軸65と、ハンドル軸65に回り止め嵌合されたドライブギヤ66とを備えて成る。
【0028】
また、ハンドル軸65の基端部には、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた際に、これに連動してハンドル軸65が回転しないように、逆転防止機構が設けられている。この逆転防止機構は、外周面にラチェット爪67aが所定ピッチで形成されたラチェットギヤ67と、ラチェット爪67aに対して一定の付勢力で常時係合している図示しないストッパとを備えており、ラチェットギヤ67は、ハンドル軸65に回り止め嵌合されている。このような逆転防止機構によれば、スプール駆動用モータ10によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに前記ストッパが係止方向で噛み合うため、ラチェットギヤ67の回転が阻止され、スプール駆動用モータ10の回転に連動してハンドル軸65が回転することが防止される。したがって、スプール駆動用モータ10の動力は減速機構40を介してスプール8のみに伝達される。これに対し、手動ハンドルHの回転操作によってスプール8を釣糸巻取方向に回転させた場合、その回転方向では、ラチェット爪67aに係合する前記ストッパはラチェットギヤ67の回転を許容するため、手動ハンドルHの回転操作に連動してハンドル軸54を回転させることができる。
【0029】
なお、スプール8の前方には、スプール8の回転に連動して動作するレベルワインド機構95が設けられている。このレベルワインド機構95は、外周面にトラバース溝が形成され且つ端部にギア121が取り付けられたウォームシャフトと、このウォームシャフトを収容する筒体120と、前記トラバース溝と係合して前記ウォームシャフトの回転により筒体120に沿って左右に摺動する係合子128とを有しており、係合子128に形成された孔128aを介してスプール8に巻回された釣糸を案内する。したがって、ハンドルHを回転操作すれば、スプール8の回転および係合子128の左右の摺動により、スプール8には釣糸が均等に巻回される。
【0030】
このような構成の魚釣用電動リール1においては、まず、ドラグ操作部材27を一方向に回転操作すると、ドラグ操作部材27に回り止め嵌合する第1のカム部材29が回転し、それに伴って、第2のカム部材30が回転駆動軸45の軸方向に移動する。その結果、軸受28、板ばね25、押圧体24が圧縮コイルバネ26の付勢力に抗して軸方向に移動され、押圧体24によって制動板21A,21B,22が押圧される。これにより、制動板21A,21B,22が回転駆動軸45の軸方向に沿ってスライドされ、制動板21A,21B,22の摩擦面同士がライニング材23を介して圧接されるとともに、制動板21Aが収容体20に所定の押圧力で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力が制動板22を介して回転駆動軸45に作用することにより、押圧体24を含む押圧機構の構成要素が回転駆動軸45に対して摩擦結合され、スプール8に所定のドラグ力が発生する。
【0031】
このように所定のドラグ力が形成された状態で、手動ハンドルHを時計回りに回転操作すると、ドライブギヤ66およびドライブギヤ66と噛み合うピニオンギヤ38が回転され、ピニオンギヤ38と一体の押圧体24が回転する。そして、この押圧体24の回転力は、押圧機構による前記摩擦結合力に応じて、回転駆動軸45に伝達され、回転駆動軸45に連結された第3のキャリア62を反時計回りに回転させる。この時、遊星歯車59は、反時計回りに自転すると共に公転し、内歯歯車52を反時計回りに増速した状態で回転駆動する。これにより、スプール8は、釣糸巻取り方向に回転駆動される。なお、内歯歯車52の反時計回りの回転駆動により、第1の太陽歯車50は時計回りに回転しようとするが、その回転駆動は、モータ10に対して反対側に位置する一方向クラッチ90によって規制される。
【0032】
また、手動ハンドルHによらず、スプール駆動用モータ10を正転駆動(時計回り)させると、第1の太陽歯車50は時計回りに回転駆動される。この回転駆動により、遊星歯車51は、反時計回りに回転すると共に時計回りに公転し、第3の太陽歯車58が時計回りに回転する。この回転方向では、前述した逆転防止機構によってハンドル軸65の回転が規制されているため、ハンドル軸65にドライブギヤ66を介して連結したピニオンギヤ38(押圧体24)の回転(時計回りの回転)が規制される。その結果、ピニオンギヤ38と摩擦結合した回転駆動軸45および第3のキャリア62は、回転することなく一定位置に静止した状態に維持される。したがって、第3の太陽歯車58が時計回りに回転した際、第3のキャリア62に回転可能に支持された複数の遊星歯車59は、第3の太陽歯車58の回りを公転することなく一定位置で反時計回りに自転する。
【0033】
この状態において、複数の遊星歯車59の反時計回りの回転運動は、スプール8の端面に刻設された内歯歯車52に減速されて伝達され、この内歯歯車52を反時計回りに回転させる。そして、これに伴ってスプール8は、釣糸巻取方向(反時計回り)に回転する。この結果、釣糸は、図示しない釣糸案内機構を介してスプール8に均一に巻き取られる。なお、このような電動巻取時には、前記逆転防止機構が機能しているため、手動ハンドルHが連動して高速で回転することはない。
【0034】
一方、ドラグ操作部材27を他方向に回転操作していくと、圧縮コイルバネ26の付勢力によって押圧体24が押し戻され、制動板21A,21B,22同士が互いに離間する。したがって、押圧体24を含む押圧機構の構成要素と回転駆動軸45との摩擦結合力すなわちドラグ力が弱まる。そして、ドラグ操作部材27を他方向に十分回転操作すると、最終的に、スプール8はフリー回転可能状態に維持される。この状態では、釣糸を仕掛けの自由落下によってスプール8から繰り出すことができる。
【0035】
次に、スプール8内にスプール駆動用モータ10を収納するための構造について説明する。
【0036】
スプール駆動用モータ10は、リール本体4とは別体の筒状の収容体220内に収容され、この収容体220とともにスプール8内に収納されている。具体的には、図2に拡大して示されるように、収容体220は、スプール8内に収納可能な筒状体として形成されている。収容体220の一端には、収容体220の径方向外側に突出する環状のフランジ部220bが形成され、このフランジ部220bは、左側板4aに隣接するリール本体4の側枠4bに対して止めネジ230により固定されている。この場合、フランジ部220bと側枠4bとの間には、弾性材料によって形成されたシール材239が介挿されている。また、モータ10の端面と側枠4bとの間にも弾性材料によって形成されたシール材237が介挿されている。なお、モータ10の電気接点72に接続された前述の電気ライン71は、側枠4bを貫通して延びており、この電気ライン71と側枠4bとの間にも、弾性材料によって形成されたシール材273が介挿されている。
【0037】
また、収容体220の他端には、収容体220の径方向内側に突出する環状の保持部220aが形成されており、この環状の保持部220aの開口220dを通じてモータ10の駆動軸10bが収容体220から導出されている。また、環状の保持部220aの内周縁からは、軸方向外側に突出する筒状のボス部220eが延びている。このボス部220eは、収容体220と減速機構40との間を仕切る環状の仕切板277の開口277aに所定の間隙をもって挿入されている。
【0038】
収容体220の環状の保持部220aの内面には、収容体220の軸方向に突出する少なくとも1つ(本実施形態では、収容体220の軸心に対して対称に2つ)の凸部220cが形成されている。また、保持部220aの内面と対向するモータ10の端面には、凸部220cと対向する部位に、凸部220cが挿入可能な凹部10cが形成されている。これらの凸部220cおよび凹部10cは、互いに係合することによって、モータ10の回転を防止する回り止め機構250を構成する。なお、凹部10cは、後述するようにモータ10の駆動軸10a,10bの同心度を調整(モータ10の駆動軸10a,10bの軸心とスプール8および回転駆動軸45の軸心とを一致させる調整)し得る所定のクリアランスを凸部220cとの間に形成するような大きさで設けられていることが望ましい。
【0039】
また、収容体220の環状の保持部220aとモータ10との間には、弾性材料からなる略筒状のシール材225が介挿されている。このシール材225は、保持部220の内面とモータ10の端面との間に介挿される外端フランジ部225aと、モータ10の駆動軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部225bとを有している。
【0040】
以上のような構造を用いてスプール駆動用モータ10をスプール8内に収納する場合には、まず、シール材225およびシール材237が装着されたモータ10を、シール材239が装着された収容体220内に嵌挿するとともに、モータ10の凹部10cと環状保持部220aの凸部220cとを係合させることによって、モータ10を収容体220内にある程度位置決めした状態で収容する。この時、シール材225の外端フランジ部225aがモータ10の端面と保持部220aの内面との間に挟まれ、また、保持部220aの開口220dからモータ10の駆動軸10bが所定の同心度をもって導出される。
【0041】
続いて、このようにしてモータ10が収容された収容体220をスプール8内に挿入する。この時、保持部220aのボス部220eを仕切板277の開口277aに挿入するようにして、収容体220をスプール8内である程度大まかに位置決めする。そして、最終的に、収容体220のフランジ部220bをリール本体4の側枠4bに対して当て付けて、止めネジ230を捩じ込んでいくと、保持部220が側板4b側に引き寄せられる。これにより、モータ10は、保持部220aからの押圧作用により側板4bに対して押し付けられ、シール材225,237,239を介して保持部220aと側枠4bとの間でガタ付くこと無く挟持される。また、この止めネジ230を捩じ込んでいく過程で、モータ10は、シール材225,237,239の弾性作用により、その駆動軸10a,10bの軸心がスプール8および回転駆動軸45の軸心と一致するように微調整される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、スプール駆動用モータ10をスプール8内に収納するための収容体220を備え、この収容体220は、リール本体4の側枠4bからスプール8の軸方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、側枠4bと反対側に位置するその端部に、収容体220の径方向内側に突出する環状の保持部220aを有し、この保持部220aと側枠4bとの間で弾性材225,237,239を介してスプール駆動用モータ10を回転不能に挟着保持する。すなわち、収容体220の保持部220aと側枠4bとの間で直接にモータ10が挟持固定されるのではなく、弾性材225,237,239を介してモータ10が収容体220の保持部220aと側枠4bとの間で弾性的に挟持される。そのため、モータ10は、シール材225,237,239の弾性作用により、その駆動軸10a,10bの軸心がスプール8および回転駆動軸45の軸心と一致するように調整される。したがって、スプール8へのモータ10の収納時に、モータ10の駆動軸10a,10bの同心度を高精度且つ容易に得ることができ、モータ10の駆動時に異音や振動が発生したり、軸受や駆動部の摩耗が促進されるといった不都合を回避することができる。
【0043】
また、本実施形態において、軸心調整用の弾性体225,237,239は、スプール駆動用モータ10が収容される収容体220内の防水を図るシール材を兼ねているため、少ない部品点数で、防水および軸心調整の両方を行なうことができる。
【0044】
また、本実施形態において、収容体220は、リール本体4と別体で形成され、リール本体4の側枠4bに固定されている。したがって、収容体220の製作が容易になるとともに、放熱性や強度等を考慮した材料選択が可能になり、設計の自由度の拡大やコスト低減が可能となる。
【0045】
図3および図4は本発明の第2の実施形態を示している。なお、本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成部分については、以下、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施形態の魚釣用電動リール1Aの収容体220Aは、側枠4bと反対側に位置するその他端の内面に、収容体220Aの径方向内側に突出する環状の凸部220hを有している。この凸部220hは、減速機構40および回転駆動軸45に結合される駆動軸10bに近いモータ10の端部外周面に当接してこれを保持し、減速機構40および回転駆動軸45等に対する駆動軸10bの同心度を正確に確保する。
【0047】
また、凸部220hが形成された収容体220Aの他端は、第1の実施形態のように径方向内側に延びる環状の保持部220aを形成することなく、そのまま開口しており、その開口220fには、これを閉じるように弾性材料からな成るシール材280が装着されている。
【0048】
シール材280は、収容体220Aの他端外周に取り付けられる外端部280aと、モータ10の駆動軸10bの外周面にシール状態で密着する内周縁部280bと、収容体220Aの開口220fを閉塞する本体部280cとを有している。シール材280の外端部280aは、収容体220Aの他端外周面に形成された凹部220g内に嵌入されるとともに、その上側から断面がC字型の弾性リング283を弾性的に広げて凹部220gに嵌着することにより収容体220Aに抜け止め固定される。
【0049】
また、本実施形態の魚釣用電動リール1Aにも、モータ10の回転を防止する回り止め機構250Aが設けられている。この回り止め機構250Aは、側枠4bから軸方向に延びる支持体283と、この支持体283と係合し得るようにモータ10の端面に形成された凹部10dとから成る。無論、この回り止め機構250Aは、側枠4bと反対側に位置する収容体220Aの他端側に設けられていても良い。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
【0050】
以上のように、本実施形態の魚釣用電動リール1Aの収容体220Aは、リール本体4の側枠4bと反対側に位置するその他端部内面に環状の凸部220hを有し、この凸部220hは、モータ10の端部外周面に当接してこれを保持することにより、モータ10の駆動軸10a,10bの軸心位置を規定し、減速機構40および回転駆動軸45等に対する駆動軸10a,10bの同心度を正確に確保する。このように、減速機構40および回転駆動軸45に結合される駆動軸10bに近いモータ10の端部を凸部220hによって径方向から保持すれば、駆動軸10bの同心度を高精度に確保し易い。すなわち、本実施形態は、駆動軸10bの同心度を得易い収容体220Aの他端部内面(凸部220h)でモータ10を支持する方式を採用することにより、モータ10の偏心に伴うモータ駆動時の異音発生や振動を効果的に防止している。
【0051】
また、本実施形態では、収容体220Aの他端部開口がシール材によって閉塞されているため、収容体220Aの内部の防水を図ることができる。
【0052】
更に、本実施形態の収容体220Aには、第1の実施形態のように径方向内側に延びる環状の保持部220aが形成されていないため、保持部220aの肉厚分だけリール全体の軸方向寸法を小さくすることができる。言い換えると、スプール8内の軸方向に保持部220aのためのスペースを確保する必要がないため、スプール8内に収容される減速機構40の配置スペースが制約されないで済む。
【0053】
図5には、第2の実施形態の変形例が示されている。この変形例では、側枠4bがネジ300を介してリール本体4に着脱自在に取り付けられている。なお、それ以外の構成は第2の実施形態と同一であるため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
したがって、このような構成では、左側板4aをリール本体4から取り外すとともに、ネジ300を外して一体化されている側枠4bをリール本体から取り外せば、止めネジ230を介して側枠4bと一体になっている収容体220Aをスプール8内から抜き出すことができるため、モータ10およびその駆動部のメンテナンス(清掃や部品交換等)を容易に行なうことができる。すなわち、モータ10を取り出すために、巻取駆動機構および減速機構が設けられている右側板4a’側からモータ10にアクセスしなくて済むため、メンテネンス性が良好である。このように、本変形例によれば、モータの防水を図りながら、良好なメンテナンス性を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スプール駆動用モータをスプール内に水密状態で収納できるとともに、モータ収納時にモータ駆動軸の同心度を高精度且つ容易に得ることができるメンテネンス性に優れた魚釣用電動リールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【図2】図1の魚釣用電動リールの要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【図4】図3の魚釣用電動リールの要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例に係る魚釣用電動リールの断面図である。
【符号の説明】
1…魚釣用電動リール
4…リール本体
4a,4a’…側板
4b・・・側枠
8…スプール
10…スプール駆動用モータ
220…収容体
220a…保持部
220h…凸部
225,237,239…シール材(弾性体)
280…シール材
Claims (5)
- リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、
前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるとともに、前記一側枠と反対側に位置するその端部に、収容体の径方向内側に突出する環状の保持部を有し、この保持部と前記一側枠との間で前記スプール駆動用モータを回転不能に挟着保持することを特徴とする魚釣用電動リール。 - 前記スプール駆動用モータは、前記保持部と前記一側枠との間で弾性材を介して回転不能に挟着保持されており、前記弾性材は、前記収容体内を水密に維持するシール材を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
- リール本体に回転自在に支持されたスプールと、前記スプールを回転駆動させるスプール駆動用モータとを備え、前記スプール駆動用モータを収容体内に収容するとともに、この収容体を介して前記スプール駆動用モータを前記スプールに内蔵して成る魚釣用電動リールにおいて、
前記収容体は、リール本体の一側枠からスプールの軸方向に延びる円筒部材として形成されるととも、前記一側枠と反対側に位置するその一端部内面に環状の凸部を有し、この凸部は、前記スプール駆動用モータの端部外周面に当接してこれを保持することにより、前記スプール駆動用モータの駆動軸の軸心位置を規定し、また、前記収容体の前記一端部の開口は、収容体内を水密に維持するシール材によって閉塞されていることを特徴とする魚釣用電動リール。 - 前記収容体は、リール本体と別体で形成され、リール本体の前記一側枠に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
- 前記収容体は、リール本体に着脱自在に取り付けられる前記一側枠と一体になっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
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