JP3976103B2 - ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ - Google Patents

ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ Download PDF

Info

Publication number
JP3976103B2
JP3976103B2 JP10961198A JP10961198A JP3976103B2 JP 3976103 B2 JP3976103 B2 JP 3976103B2 JP 10961198 A JP10961198 A JP 10961198A JP 10961198 A JP10961198 A JP 10961198A JP 3976103 B2 JP3976103 B2 JP 3976103B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diameter piston
control
braking
cylinder
shoe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10961198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11303903A (ja
Inventor
利史 前原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akebono Brake Industry Co Ltd
Original Assignee
Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akebono Brake Industry Co Ltd filed Critical Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority to JP10961198A priority Critical patent/JP3976103B2/ja
Publication of JPH11303903A publication Critical patent/JPH11303903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3976103B2 publication Critical patent/JP3976103B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載されるデュオサーボ式ドラムブレーキ装置に適用することによって、ブレーキの効きの安定化を実現すると同時に、ブレーキ装置を構成する部品点数の削減を図ることができるドラムブレーキ装置のホイールシリンダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の走行を制動するために種々の形式のドラムブレーキ装置が用いられているが、これらのドラムブレーキ装置は、略円筒状のドラムの内周面に押圧されるブレーキシューの配置によって、リーディングトレーリング式やツーリーディング式及びデュオサーボ式等に分類される。
【0003】
デュオサーボ式のドラムブレーキ装置は、円筒状のドラム内空間に互いに対向配置されたプライマリ・シューとセカンダリ・シューの一対のブレーキシューを備える。
プライマリ・シューは、ドラムの前進回転方向入口側が入力部とされると共に、ドラムの前進回転方向出口側は例えばアジャスタを介してセカンダリ・シューの入口側に連結される。一方、セカンダリ・シューの出口側はバッキングプレート上に装備されたアンカー部に当接させられ、プライマリ・シュー及びセカンダリ・シューに作用するアンカー反力を前記アンカー部で受け止めるようになっている。
【0004】
これにより、プライマリ・シュー及びセカンダリ・シューを拡開させてドラムの内周面に押し付けると、プライマリ・シューに作用するアンカー反力がセカンダリ・シューの入口側に入力してセカンダリ・シューをドラム内周面に押し付けるように作用するため、プライマリ・シューとセカンダリ・シューの双方がリーディング・シューとして動作し、非常にゲインの高い制動力を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したデュオサーボ式ドラムブレーキ装置は、リーディングトレーリング式やツーリーディング式のドラムブレーキ装置と比較して、極めて高い制動力を得ることができるばかりでなく、小型化し易く、かつ駐車ブレーキの組み込みも容易である等の多くの長所を有している。
ところが、このようなデュオサーボ式ドラムブレーキ装置は、ブレーキシューのライニングの摩擦係数の変化に敏感であるため、制動力を安定させにくい傾向にあり、制動力を安定化させる工夫が要求されている。
【0006】
また、デュオサーボ式ドラムブレーキ装置は、ドラムが前進回転した場合及び後進回転した場合のいずれの場合であっても同等のサーボ効果が得られるので、ドラムの回転方向に拘わらず同等の制動力を有するように、配慮することが重要な課題となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、例えばデュオサーボ式ドラムブレーキ装置に適用した場合に、前進制動時には安定した効きとなり、後進制動時には効きレベルが前進制動時と同等となるブレーキを実現することができ、しかも、ブレーキ装置を構成する部品点数の削減を図ることができるドラムブレーキ装置のホイールシリンダを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置のホイールシリンダは、ドラム内空間に対向配置される一対のプライマリ・シュー及びセカンダリ・シューの一方の対向端間に配置され、これらのブレーキシューを拡開操作するドラムブレーキ装置のホイールシリンダにおいて、基端側が圧力室となるようにシリンダボディに形成された駆動用シリンダ部と、基端側がマスタシリンダからの液圧を受ける制御室となるように前記シリンダボディに形成された制御シリンダ部と、前記圧力室と前記制御室とを連通する連通路と、前記駆動用シリンダ部に摺動可能に保持され前進制動時には前記圧力室に供給される液圧により前記プライマリ・シューを押圧駆動する駆動ピストンと、前記制御シリンダ部と前記セカンダリ・シューとの間に配置され前進制動時に前記セカンダリ・シューから作用するアンカー反力を所定の比率でアンカーピンと前記制御シリンダ部とに分配する制御レバーと、前記制御シリンダ部に摺動可能に保持され基端部が前記制御室からの液圧を受けると共に先端部が前記セカンダリ・シューと前記制御レバーを介して当接し、後進制動時には前記制御室に供給される液圧により前記セカンダリ・シューを押圧駆動し、前進制動時には前記アンカー反力が一定倍率以上になると前記制御室内に変位して前記連通路を閉じる小径ピストンと、前記制御シリンダ部に摺動可能に嵌合保持されると共に摺動範囲が制御シリンダ部内の所定範囲に制限される大径ピストンと、を備え、前記小径ピストンが前記セカンダリ・シューからの前記アンカー反力によって前記制御室内へ変位して前記連通路を閉じる際、前記小径ピストンと前記大径ピストンとが当接し途中から一体となって変位することを特徴とする。
【0009】
そして、上記構成によれば、セカンダリ・シューから小径ピストンにアンカー反力が作用する前進制動時には、小径ピストンの先端部に作用するアンカー反力が一定倍率に達して小径ピストンの基端部に作用する液圧よりも大きくなると、小径ピストンが制御室側に変位し、途中から大径ピストンと一体となって制御室内に変位して圧力室への液圧供給を制御することで、アンカー反力をマスタシリンダからの液圧に対して一定倍率に保って、制動力の効きを安定させる。
【0010】
また、後進制動時には、制御室に供給されるマスタシリンダからの液圧を受けた小径ピストンがセカンダリ・シュー側に進出して、セカンダリ・シューを拡開する駆動ピストンとして機能する。即ち、前進制動時にアンカー反力の安定化を実現する小径ピストンが、後進制動時には、セカンダリ・シューを押圧駆動する駆動ピストンとしても作動する。
即ち、見掛け上は、プライマリ・シューを押圧駆動する単一の駆動ピストンを装備した単動型のホイールシリンダであるが、実質的には、各ブレーキシューの押圧駆動用に個別に駆動ピストンを装備した複動型ホイールシリンダとしての動作を得ることができる。
【0011】
言い換えれば、単動型のホイールシリンダでは、通常、一対のブレーキシュー間に掛け渡したストラッドに変位量を伝達する入力レバーをプライマリ・シューと駆動ピストンとの間に装備して、後進制動時には入力レバー及びストラッドを介してセカンダリ・シューを拡開するようにしている。このため、入力レバーの装備のために、ブレーキ装置の部品点数の増大等の問題が生じていた。しかし、上記したように、制御シリンダ部の小径ピストンが後進制動時に直接セカンダリ・シューを押圧駆動する駆動ピストンとして作動すれば、前述の入力レバーが省略可能で、ブレーキ装置における部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
また、小径ピストンが駆動ピストンとして作動する後進制動時には、アンカー反力の制御が得られないが、プライマリ・シュー用の駆動ピストンと比較して、小径ピストンの有効径を適宜に小径化して小径ピストンがセカンダリ・シューに伝達する押圧駆動力自体を制限しておくことで、制動力が過大になることを回避し、前進制動時と同等のレベルに制動力の効きを安定させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラムブレーキ装置のホイールシリンダの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るホイールシリンダを使用したデュオサーボ式ドラムブレーキ装置の一実施形態の概略構成を示す要部正面図、図2は図1に示したホイールシリンダの拡大断面図である。
【0014】
ドラムブレーキ装置1は、略円筒形の図示せぬドラム内の空間に対向配備されるプライマリ・シュー3とセカンダリ・シュー4との一対のブレーキシュー3、4と、これらのブレーキシュー3、4の一方の対向端間に配設されて各ブレーキシュー3、4を拡開するホイールシリンダ2と、これらのブレーキシュー3、4の他方の対向端間に配設されてプライマリ・シュー3の出力をセカンダリ・シュー4に入力するリンクとしての機能を兼ねるアジャスタ6と、これらの構成部材を支持するバッキングプレート7と、ホイールシリンダ2のシリンダボディの両端部に固定装備されたアンカーピン9、10とを備えている。
【0015】
ブレーキシュー3、4は、ドラム内周面に沿う円弧板状のリム3a、4aと、これらのリム3a、4aから内径側に張り出したウェブ3b、4bと、リム3a、4aの外周に貼着されたライニング3c、4cとからなる。そして、それぞれのブレーキシュー3、4は、ドラム内周面に向かって進退自在に、ウェブ3b、4bを貫通する支持部材12によってバッキングプレート7に取り付けられている。
また、バッキングプレート7上のブレーキシュー3、4の互いに対向した各端部同士は、リターンスプリング14、15によって、互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されている。
【0016】
バッキングプレート7上には、駐車ブレーキを構成するパーキングストラット71や、図示せねパーキングレバーも組込まれている。パーキングレバーは図示せぬパーキングレバーピンによりバッキングプレート7に回動可能に連結されていて、各ブレーキシュー3、4はパーキングレバーの回動操作によってもドラムに押圧可能にされている。
【0017】
アジャスタ6は、本来は、各ブレーキシュー3、4のライニング3c、4cの摩耗の進行に応じて、これらのブレーキシュー3、4の端部間の間隔を調整するものである。つまり、アジャスタスプリング16の付勢力によって先端がアジャスタ6上の調整用歯車6aに当接されたアジャスタレバーの動作で、ブレーキシュー3、4の端部間の間隔を自動調整するように構成されている。
なお、図示せぬドラムは、バッキングプレート7と同心で、車両の前進時には図1の矢印R方向に回転する。
【0018】
ホイールシリンダ2は、基端側が圧力室20aとなるようにシリンダボディ21に形成された駆動用シリンダ部20と、基端側が図示せぬマスタシリンダからの液圧を受ける制御室23aとなるようにシリンダボディ21に形成された制御シリンダ部23と、圧力室20aと制御室23aとを連通させる連通路25と、駆動用シリンダ部20に摺動可能に保持された駆動ピストン26と、制御シリンダ部23に摺動可能に保持された大径ピストン37及びこの大径ピストン37のスリーブ33に摺動可能に内嵌した小径ピストン38とを備えている。
【0019】
ここに、シリンダボディ21は、支持軸27によってバッキングプレート7に連結されており、その両端部にアンカーピン9、10が嵌着されている。
また、駆動ピストン26は、圧力室20aとの間に介装されたばね29によりプライマリ・シュー3側に付勢されて、プライマリロッド30を介してプライマリ・シュー3に当接されており、前進制動時には圧力室20aに供給される液圧によりプライマリ・シュー3を押圧駆動する。
【0020】
後進制動時には、プライマリ・シュー3からのアンカー反力は、プライマリ・シュー3にプライマリロッド30を介して当接している駆動ピストン26と、アンカーピン9とに分配される。
プライマリロッド30には、駆動ピストン26側への異物の侵入を防止するブーツ31が装備されている。また、駆動ピストン26と駆動用シリンダ部20との間は、駆動ピストン26の外周に嵌合したシール部材28によってシールされている。
【0021】
小径ピストン38は、前進制動時に、制御シリンダ部23内に位置した基端部にマスタシリンダからの液圧を受けると共に、制御シリンダ部23外に露出した先端部にセカンダリ・シュー4が制御レバー35を介して当接し、セカンダリ・シュー4からのアンカー反力を受ける。そして、セカンダリ・シュー4から受けるアンカー反力が一定倍率以上になると、制御室23a内に変位して制御室23aと圧力室20aとの連通路25を閉じる。
【0022】
更に詳述すると、小径ピストン38は、前進制動時に、セカンダリ・シュー4からのアンカー反力を受けた際に、プライマリ・シュー用の駆動ピストン26と略同径に設けられて制御シリンダ部23に摺動可能に嵌合保持された、後述する大径ピストン37のスリーブ33内に基端部を嵌合させ、途中からこの大径ピストン37と一体となって制御室23a内に変位する。
【0023】
大径ピストン37は、シリンダボディ21に形成した連通路25とピストン内部とを連通させる連絡孔37aが、スリーブ33に貫通形成されている。また、大径ピストン37は、制御シリンダ部23内に介在するばね41によって制御シリンダ部23の先端側(開放端側)に付勢されている。ばね41の一端はスプリングシート(ばね座)41aを介して制御シリンダ部23内の段差部に当接し、他端はスプリングシート41bを介して大径ピストン37の端面に当接している。また、大径ピストン37は、制御シリンダ部23の先端側に嵌合・係止された円筒状のプラグ39にスリーブ33先端部を当接させることによって先端側への移動が規制される。即ち、大径ピストン37の摺動範囲は、スリーブ33先端部がプラグ39に当接する組み付け位置より制御シリンダ部23内方の所定範囲に制限される。
【0024】
プラグ39は、制御シリンダ部23の内周面に嵌合したリング状のクリップ40によって抜け防止されている。
大径ピストン37の外周には、制御シリンダ部23の内周面に接触するカップシール43が装備されている。このカップシール43は、開口を制御室23a側に向けた状態でセットされている。
【0025】
制御シリンダ部23の開放端側に突出する小径ピストン38の先端部は、この先端部に球面接触するセカンダリロッド44及び制御レバー35を介して、セカンダリ・シュー4の端部に当接されている。従って、小径ピストン38は、基端側に制御室23a内の液圧(即ち、マスタシリンダからの液圧)を受けると共に、先端側にはセカンダリ・シュー4からのアンカー反力を受け、これらの液圧とアンカー反力とのバランスで制御シリンダ部23内を摺動する。
【0026】
制御レバー35は、シリンダボディ21上のアンカーピン10に回動可能に接触するアンカー係合部35aと、セカンダリロッド44に回動可能に接触するロッド係合部35bとを両端に有すると共に、中間部にはセカンダリ・シュー4の端部に回動可能に接触するシュー係合部35cを有したもので、前進制動時にはセカンダリ・シュー4のアンカー反力をアンカーピン10とセカンダリロッド44に所定の比率で分配し、また、後進制動時には、小径ピストン38からセカンダリロッド44を介して伝えられる押圧力をセカンダリ・シュー4に伝達する。
【0027】
セカンダリロッド44には、制御シリンダ部23内に異物の侵入を防止するブーツ46が設けられている。
また、小径ピストン38の外周部には、制御シリンダ部23との間をシールするリング状のシール部材47が、プラグ39と大径ピストン37のスリーブ33先端部との間に嵌合装備されている。
小径ピストン38は、アンカー反力によって制御室23a内へ一定以上変位すると、制御室23a内に装備されているバルブシート49を制御室23a内に押し下げて、バルブシート49に弁体50が着座した状態とすることで、制御室23aと圧力室20aとの間の連通路25を閉じた状態にする。
【0028】
即ち、連通路25は、スリーブ33に貫通形成された連絡孔37aと、バルブシート49に貫通形成された連絡孔49aとを経て、制御室23aと圧力室20aとを連通させるもので、小径ピストン38の変位によってバルブシート49の連絡孔49aが弁体50によって閉じられると、圧力室20aと制御室23aとが非連通状態となり、制御室23aから圧力室20aへの液圧供給が停止される。
バルブシート49は、大径ピストン37に摺動自在に嵌合していて、バルブシート49の外周部に装備されたシールリング56によって、摺動面のシールがなされている。
【0029】
大径ピストン37には、小径ピストン38がアンカー反力によって制御室23a側に変位した時に小径ピストン38の端面が当接する段差部37bが設けられ、小径ピストン38がセカンダリ・シュー4からのアンカー反力によって制御室23a内へ変位して制御室23aと圧力室20aとの連通路25を閉じる際には、途中から小径ピストン38と大径ピストン37とが一体となって変位する。
【0030】
弁体50は、スプリングシート41bを介して制御室23a内に保持された籠形のバルブケース52によって制御シリンダ部23の軸線方向に移動自在に収容保持され、かつ、バルブケース52の内底側に装備したバルブスプリング53によってバルブシート49側に付勢されている。また、弁体50は、ゴム材等の適宜弾性材料で形成されたもので、先端にはバルブシート49の連絡孔49aを塞ぐための球状部50aが突出形成されている。また、連絡孔49aの閉塞時に、弁体50の過度の変形を防止するために、弁体50の先端面には、バルブシート49の端面に当接するバルブプレート50bが装着されている。
また、弁体50は、小径ピストン38の制御室23a側への変位量が一定以上になるまでは、バルブシート49に着座しないように、バルブシート49側への移動位置が規制されている。
【0031】
バルブシート49と小径ピストン38との間には、小径ピストン38が制御室23a側に変位してバルブシート49に当たる時の衝撃を緩和するダンパスプリング55が装備されている。
【0032】
以上構成のホイールシリンダ2では、ドラムが図1の矢印R方向に回転する前進制動時には、マスタシリンダから制御室23aを経て圧力室20aに供給される液圧で駆動ピストン26がプライマリ・シュー3を拡開させ、プライマリ・シュー3をドラム内周面に押し付ける。また、この時にプライマリ・シュー3に作用するアンカー反力がセカンダリ・シュー4に入力してセカンダリ・シュー4をドラム内周面に押し付けるように作用するため、プライマリ・シュー3とセカンダリ・シュー4との双方がリーディング・シューとして動作し、非常にゲインの高い制動力を得ることができる。
そして、セカンダリ・シュー4のアンカー反力が、制御レバー35及びセカンダリロッド44を介して小径ピストン38の先端部に作用し、このアンカー反力が一定倍率に達して小径ピストン38の基端部に作用する液圧よりも大きくなると、小径ピストン38が制御室23a側に変位して、途中から大径ピストン37と一体に制御室23a内に変位して、弁体50をバルブシート49に着座した状態にする。この状態で、制御室23aと圧力室20aとの間を連通している連通路25が閉じた状態になり、圧力室20aへの液圧供給が停止されるため、駆動ピストン26の付勢力が一定に保持される。従って、アンカー反力をマスタシリンダからの液圧に対して一定倍率に保って、制動力の効きを安定させることができる。
【0033】
なお、弁体50がバルブシート49に着座した状態から、更にブレーキペダルが押下されてマスタシリンダから更に液圧が供給されることにより制御室23a内の液圧が上昇し、液圧による大径ピストン37への付勢力がセカンダリ・シュー4からのアンカー反力よりも大きくなると、大径ピストン37は組み付け位置まで復帰すると共に、小径ピストン38はセカンダリ・シュー4側に押し戻されて、弁体50からバルブシート49が離脱するため、連通路25が再び連通状態となり、圧力室20a内の液圧供給により更に大きな制動力が発生するようになる。
【0034】
また、後進制動時には、マスタシリンダからの液圧を受ける小径ピストン38がセカンダリ・シュー4側に進出して、セカンダリ・シュー4を拡開する駆動ピストンとして機能する。即ち、前進制動時にアンカー反力の安定化を実現する小径ピストン38が、後進制動時には、セカンダリ・シュー4を押圧駆動する駆動ピストンとしても作動する。
【0035】
図3は本発明に係るホイールシリンダの他の実施の形態を示す。なお、ホイールシリンダを除く他のブレーキ部分は先の実施形態と同様に構成してあるので、説明及び図示は省略すると共に、ホイールシリンダの同一箇所には符号に100を加えて図示してある。
この実施形態では、ホイールシリンダ2Aは、駆動用シリンダ部120と制御シリンダ部123とを略直線的に配列して構成されている。つまり、駆動用シリンダ部120の基端側の圧力室120aと、制御シリンダ部123の基端側の制御室123aとがシリンダホディ121内で互いに対峙するように配置形成されている。そして、圧力室120aと制御室123aとを連通させる連通路125と、駆動用シリンダ部120に摺動可能に保持された駆動ピストン126と、制御シリンダ部123に摺動可能に保持された大径ピストン137及び小径ピストン138とを備えている。
【0036】
ここに、駆動ピストン126は、圧力室120aとの間に介装されたばね129によりプライマリ・シュー103側に付勢されて、プライマリロッド130を介してプライマリ・シュー103に当接されており、前進制動時には圧力室120aに供給される液圧によりプライマリ・シュー103を押圧駆動する。
【0037】
小径ピストン138は、前進制動時に、制御シリンダ部123内に位置した基端部にマスタシリンダからの液圧を受けると共に、制御シリンダ部123外に露出した先端部にセカンダリ・シュー104が制御レバー135を介して当接し、セカンダリ・シュー104からのアンカー反力を受ける。そして、セカンダリ・シュー104から受けるアンカー反力が一定倍率以上になると、制御室23a内に変位して制御室123aと圧力室120aとの連通路125を閉じる。
【0038】
更に詳述すると、小径ピストン138は、前進制動時に、セカンダリ・シュー104からのアンカー反力を受けた際に、プライマリ・シュー用の駆動ピストン126と略同径に設けられて制御シリンダ部123に摺動可能に嵌合保持された大径ピストン137の先端部に基端部を当接させ、途中から大径ピストン137と一体的に動いて制御室123aに変位する。
【0039】
大径ピストン137は、シリンダボディ121に形成した連通路125とピストン内部とを連通させる連絡孔137aが、周壁に貫通形成されている。また、大径ピストン137は、制御シリンダ部123内に介在するばね141によって制御シリンダ部123の先端側(開放端側)に付勢されている。ばね141の一端はスプリングシート(ばね座)141aを介して制御シリンダ部123の内底部に当接し、他端はスプリングシート141bを介して大径ピストン137の内端面に当接している。また、大径ピストン137は、制御シリンダ部123の先端側に嵌合・係止された円筒状のプラグ139によって先端側への移動が規制される。即ち、大径ピストン137の摺動範囲は、プラグ139に当接する組み付け位置より制御シリンダ部123内方の所定範囲に制限される。
【0040】
制御シリンダ部123の開放端側に突出する小径ピストン138の先端部は、この先端部に球面接触するセカンダリロッド144及び制御レバー135を介して、セカンダリ・シュー104の端部に当接されている。従って、小径ピストン138は、基端側に制御室123a内の液圧(即ち、マスタシリンダからの液圧)を受けると共に、先端側にはセカンダリ・シュー104からのアンカー反力を受け、これらの液圧とアンカー反力とのバランスで制御シリンダ部123に嵌合したプラグ139内を摺動自在に嵌合する。
【0041】
セカンダリロッド44には、制御シリンダ部23内に異物の侵入を防止するブーツ46が設けられている。
また、小径ピストン38の外周部には、プラグ139との間をシールするリング状のシール部材147aが、プラグ139の外周部には、制御シリンダ部123との間をシールするリング状のシール部材147bが嵌合装備されている。
小径ピストン138は、アンカー反力によって制御室123a内へ一定以上変位すると、制御室123a内に装備されているバルブシート149を制御室123a内に押し下げて、バルブシート149に弁体150が着座した状態とすることで、制御室123aと圧力室120aとの間の連通路125を閉じた状態にする。
【0042】
即ち、連通路125は、大径ピストン137に貫通形成された連絡孔137aと、バルブシート149に貫通形成された連絡孔149aとを経て、制御室123aと圧力室120aとを連通させるもので、小径ピストン138の変位によってバルブシート149の連絡孔149aが弁体150によって閉じられると、圧力室120aと1制御室23aとが非連通状態となり、制御室123aから圧力室120aへの液圧供給が停止される。
バルブシート149は、大径ピストン37に摺動自在に嵌合していて、バルブシート149の外周部に装備されたシールリング156によって、摺動面のシールがなされている。
【0043】
大径ピストン137は、小径ピストン138がアンカー反力によって制御室123a側に変位した時に小径ピストン138の端面が当接され、小径ピストン138がセカンダリ・シュー104からのアンカー反力によって制御室123a内へ変位して制御室123aと圧力室120aとの連通路125を閉じる際には、途中から小径ピストン138と大径ピストン137とが一体となって変位する。
【0044】
バルブシート149と小径ピストン138との間には、小径ピストン138が制御室123a側に変位してバルブシート149に当たる時の衝撃を緩和するダンパスプリング155が、バルブシート149に形成した凹部149b及び小径ピストン138に形成した凹部138aに収容装備されている。
【0045】
上記の実施の形態により、ホイールシリンダ2Aを小型化でき、駐車ブレーキの組み込みが有利に作用する。
【0046】
【発明の効果】
本発明のドラムブレーキ装置のホイールシリンダによれば、セカンダリ・シューから制御シリンダ部の小径ピストンにアンカー反力が作用する前進制動時には、小径ピストンの先端部に作用するアンカー反力が一定倍率に達して小径ピストンの基端部に作用する液圧よりも大きくなると、小径ピストンが制御室側に変位し、途中から大径ピストンと一体となって制御室内に変位して圧力室への液圧供給を制御することで、アンカー反力をマスタシリンダからの液圧に対して一定倍率に保って、制動力の効きを安定させる。
【0047】
また、後進制動時には、制御室に供給されるマスタシリンダからの液圧を受けた小径ピストンがセカンダリ・シュー側に進出して、セカンダリ・シューを拡開する駆動ピストンとして機能し、見掛け上は、プライマリ・シューを押圧駆動する単一の駆動ピストンを装備した単動型のホイールシリンダであるが、実質的には、各ブレーキシューの押圧駆動用に個別に駆動ピストンを装備した複動型ホイールシリンダとしての動作を得ることができる。
従って、従来技術における、一対のブレーキシュー間に掛け渡したストラットに変位量を伝達する入力レバーをプライマリ・シューと駆動ピストンとの間に装備して、後進制動時には入力レバー及びストラットを介してセカンダリ・シューを拡開するような面倒な機構が不要になり、前述した入力レバーの省略等により、ブレーキ装置における部品点数の削減を図ることができる。
【0048】
また、小径ピストンが駆動ピストンとして作動する後進制動時には、アンカー反力の制御が得られないが、プライマリ・シュー用の駆動ピストンと比較して、小径ピストンの有効径を適宜に小径化して小径ピストンがセカンダリ・シューに伝達する押圧駆動力自体を制限しておくことで、制動力が過大になることを回避し、前進制動時と同等のレベルに制動力の効きを安定させることができる。
従って、以上のホイールシリンダは、例えばデュオサーボ式ドラムブレーキ装置に使用した場合に、前進制動時及び後進制動時の双方でブレーキの効きの安定化を実現することができ、しかも、入力レバーの省略等によりブレーキ装置を構成する部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るホイールシリンダを適用したデュオサーボ式ドラムブレーキ装置の一実施形態の概略構成を示す要部正面図である。
【図2】図1に示したホイールシリンダの拡大断面図である。
【図3】本発明に係るホイールシリンダの他の実施形態による拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
2、2A ホイールシリンダ
3 プライマリ・シュー(ブレーキシュー)
4 セカンダリ・シュー(ブレーキシュー)
5 ホイールシリンダ
6 アジャスタ
7 バッキングプレート
9、10 アンカーピン
20 駆動用シリンダ部
20a 圧力室
21 シリンダボディ
23 制御シリンダ部
23a 制御室
25 連通路
26 駆動ピストン
30 プライマリロッド
33 スリーブ
35 制御レバー
37 大径ピストン
38 小径ピストン
44 セカンダリロッド
49 バルブシート
50 弁体
71 パーキングストラット

Claims (1)

  1. ドラム内空間に対向配置される一対のプライマリ・シュー及びセカンダリ・シューの一方の対向端間に配置され、これらのブレーキシューを拡開操作するドラムブレーキ装置のホイールシリンダにおいて、
    基端側が圧力室となるようにシリンダボディに形成された駆動用シリンダ部と、基端側がマスタシリンダからの液圧を受ける制御室となるように前記シリンダボディに形成された制御シリンダ部と、前記圧力室と前記制御室とを連通する連通路と、前記駆動用シリンダ部に摺動可能に保持され前進制動時には前記圧力室に供給される液圧により前記プライマリ・シューを押圧駆動する駆動ピストンと、前記制御シリンダ部と前記セカンダリ・シューとの間に配置され前進制動時に前記セカンダリ・シューから作用するアンカー反力を所定の比率でアンカーピンと前記制御シリンダ部とに分配する制御レバーと、前記制御シリンダ部に摺動可能に保持され基端部が前記制御室からの液圧を受けると共に先端部が前記セカンダリ・シューと前記制御レバーを介して当接し、後進制動時には前記制御室に供給される液圧により前記セカンダリ・シューを押圧駆動し、前進制動時には前記アンカー反力が一定倍率以上になると前記制御室内に変位して前記連通路を閉じる小径ピストンと、前記制御シリンダ部に摺動可能に嵌合保持されると共に摺動範囲が制御シリンダ部内の所定範囲に制限される大径ピストンと、を備え、
    前記小径ピストンが前記セカンダリ・シューからの前記アンカー反力によって前記制御室内へ変位して前記連通路を閉じる際、前記小径ピストンと前記大径ピストンとが当接し途中から一体となって変位することを特徴とするドラムブレーキ装置のホイールシリンダ。
JP10961198A 1998-04-20 1998-04-20 ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ Expired - Fee Related JP3976103B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10961198A JP3976103B2 (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10961198A JP3976103B2 (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11303903A JPH11303903A (ja) 1999-11-02
JP3976103B2 true JP3976103B2 (ja) 2007-09-12

Family

ID=14514691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10961198A Expired - Fee Related JP3976103B2 (ja) 1998-04-20 1998-04-20 ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3976103B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4908371B2 (ja) * 2007-06-11 2012-04-04 曙ブレーキ工業株式会社 ドラムブレーキ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11303903A (ja) 1999-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0887570B1 (en) Drum brake
JP5076187B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP3976103B2 (ja) ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ
JPH0536653B2 (ja)
US5964324A (en) Drum brake
JP3976104B2 (ja) ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ
JP3812996B2 (ja) ドラムブレーキ装置
AU728696B2 (en) Drum brake
JP4067647B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP3860884B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP3739878B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP3817027B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP2000205308A (ja) 開閉弁機構
JP3812990B2 (ja) デュオサーボ式ドラムブレーキ
JP2000329176A (ja) ドラムブレーキ装置のホイールシリンダ
JP7365911B2 (ja) 車両用ドラムブレーキ
JP3745084B2 (ja) ディスクブレーキ装置
JP3774036B2 (ja) デュオサーボ式ドラムブレーキ
JPH10246254A (ja) ドラムブレーキ装置
JP3909118B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JP2010133465A (ja) ドラムブレーキ装置
JPH0712146A (ja) セルフサーボディスクブレーキ装置
JPS643697B2 (ja)
JP4021538B2 (ja) ドラムブレーキ装置
JPH112260A (ja) ドラムブレーキ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050325

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070322

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070613

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees