JP4021538B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるドラムブレーキ装置に関し、詳しくは、単動型ホイールシリンダを使用したツーリーディング式のドラムブレーキ装置において、前進時及び後進時のいずれでも、ブレーキ効率が高く、しかも安定した効きを得られるように改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
車両等に使用されるドラムブレーキ装置は、一般に、入力部(ホイールシリンダ)と、入力部からの力によりドラム内で拡張してブレーキ力を発生するブレーキシューと、ブレーキシューを支持してアンカー反力を受けるアンカー部とを具備した構成からなる。そして、ドラムの前進方向に対して入力部が入口側、アンカー部が出口側にあるものをリーディング・シュー、アンカー部が入口側、入力部が出口側にあるものをトレーリング・シューと呼ぶ。
【0003】
従来のドラムブレーキ装置としては、リーディングトレーリング式、ツーリーディング式及びデュオサーボ式等の種類のものが使用されている。
リーディングトレーリング式は、対向する一対のシューの一方の対向端間にシューを拡開するホイールシリンダを配すると共に、他方の各シュー端にアンカー部を配し、リーディング・シューとトレーリング・シューとを組み込んだものである。
これに対し、ツーリーディング式は、一対のシューのそれぞれの対向端間にこれらのシューを拡開するホイールシリンダを配置して、リーディング・シューを2個組み込んだ構成としたもので、単動型(TP1W)のホイールシリンダを使用したものと、複動型(TP2W)のホイールシリンダを使用したものとがある。
また、デュオサーボ式は、一対のシューの一方の対向端間にシューを拡開するホイールシリンダを配すると共に、一対のシューの他方の対向端相互をリンク結合し、プライマリ・シューに生ずるブレーキ力をセカンダリ・シューの入力として働かせるものである。
【0004】
ドラムブレーキ装置は、上記した各形式によって制動特性が異なる。
一般的に、リーディングトレーリング式のものは、他の2者と比較して、前後進でブレーキ効率に差がなく、安定した制動性能を得ることができるが、ブレーキ効率が低い。
これに対して、デュオサーボ式のものや、ツーリーディング式のものは、高いブレーキ効率を得ることが可能である。
近年の車両の走行性能の向上に伴い、ブレーキ装置はブレーキ効率の向上が重要課題となっており、高いブレーキ効率を得ることが可能なこれらのデュオサーボ式やツーリーディング式のドラムブレーキ装置が見直されるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述したデュオサーボ式のドラムブレーキ装置は、前後進のいずれでも、プライマリ・シューに生ずるブレーキ力がセカンダリ・シューの入力として働くため、前後進でブレーキ効率に差がなく、いずれも高いブレーキ効率を得ることができるが、その反面、ブレーキシューのライニング摩擦係数及び回転ドラムの接触状況の変化に敏感でブレーキの効きの変動が大きく、安定した制動特性を得ることが難しいという問題がある。
【0006】
また、ツーリーディング式のものでは、使用するホイールシリンダの型式によって特徴が異なる。単動型(TP1W)のホイールシリンダを使用したものでは、前進時には一対のシューがリーディング・シューとして機能して極めて高いブレーキ効率を得ることができるが、後進時には各シューがトレーリング・シューとして機能するため、前進時よりも大幅にブレーキ効率が低下する。そのため、前進時と後進時とで制動フィーリングに差が生じてしまうという問題があった。
一方、複動型(TP2W)のホイールシリンダを使用したものでは、各シューが前後進共にリーディング・シューとして機能するため、前後進でブレーキ効率に差が生ずることがなく、いずれも高いブレーキ効率を得ることができるが、ホイールシリンダ自体の構成が複雑になるため、駐車ブレーキの装備が困難になったり、あるいはコストアップという問題を招く。
【0007】
従って、これらのデュオサーボ式やツーリーディング式のドラムブレーキ装置を、ブレーキ効率が高く、且つ効きの安定した高性能なブレーキ装置とするには、これらの各形式の持つ長所を損なうことなく短所を改善する工夫が必要で、例えば、ブレーキ効率を安定させる技術の開発、あるいは、前進時と後進時とでのブレーキ効率の差をなくす技術の開発、更には、ホイールシリンダの構成を単純化する技術の開発等が今後の課題とされていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、前進時と後進時とでブレーキ効率に差がなく、前進時及び後進時のいずれでも、高いブレーキ効率で、且つ、安定した効きを得ることができ、更には、使用するホイールシリンダが構成の単純な単動型ですむため、コストの低減にも適したツーリーディング式のドラムブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置は、ドラム内空間でバッキングプレート上に拡開可能に対向配備される一対のブレーキシューと、これらのブレーキシューの各対向端間に配備された単動型ホイールシリンダとを備えるツーリーディング式のドラムブレーキにおいて、前記ホイールシリンダは、マスタシリンダからの液圧を受けて一方のブレーキシューの端部を押圧する駆動ピストンと、他方のブレーキシューからアンカー反力を制御用てこ部材を介して受ける制御ピストンと、アンカー反力が一定以上になって前記制御ピストンが変位したときマスタシリンダから前記駆動ピストンに作用する液圧を制御する制御弁とをシリンダボディ内に備え、前記制御用てこ部材は、一端側に前記シリンダボディとの接触部を有すると共に他端側には前記制御ピストンとの接触部を有し、且つ、中間部にはブレーキシューのアンカー側端部に凹凸嵌合するシュー係合部を有して、ブレーキシューから作用するアンカー反力を前記シリンダボディと制御ピストンとに一定の比率で分配する構成とし、前記ホイールシリンダの駆動ピストン及び制御ピストンが、前記制御用てこ部材を介して一対のブレーキシューの対向端を保持することを特徴とする。
【0010】
そして、上記構成によれば、ブレーキ操作がなされて、マスタシリンダからの液圧がシリンダボディ内の制御弁を経て各ホイールシリンダの駆動ピストンに供給されると、各駆動ピストンがブレーキシューの端部をドラムに押圧して、制動力を発生させる。この制動時に、各ブレーキシューからのアンカー反力は、制御用てこ部材を介して、ホイールシリンダに装備された制御ピストンと、該ホイールシリンダのシリンダボディとが受ける。即ち、各ホイールシリンダの他端部が、各ブレーキシューからのアンカー反力を受けるアンカー部として機能する。そして、各ホイールシリンダの駆動ピストン及び制御ピストンが、前記制御用てこ部材を介して一対のブレーキシューの対向端を保持することにより、各アンカー部がアンカー反力やホイールシリンダの駆動ピストンの出力に応じて微小変位可能なフローティング・アンカー構造となり、使用しているホイールシリンダ自体は所謂単動型の構成でも、複動型のホイールシリンダを使用した場合と同様に、一つのホイールシリンダが対向している各ブレーキシューの端部に押圧力を作用させることができ、前進時及び後進時の何れも、一対のブレーキシューをリーディング・シューとして機能させることができる。
【0011】
また、各ブレーキシューからのアンカー反力が一定以上になると、制御用てこ部材を介してアンカー反力を受けていた制御ピストンがマスタシリンダからの液圧に抗してシリンダボディ内に変位してシリンダボディ内の制御弁を閉じて、マスタシリンダから駆動ピストンへの液圧供給を止める。この制御ピストン及び制御弁の挙動により、駆動ピストンの押圧力は一定に保たれ、マスタシリンダからの入力に対してアンカー反力が一定倍率に制限される。
【0012】
なお、一対のブレーキシューの各対向端間に配置された各ホイールシリンダには、自己のシリンダボディ内の制御弁が他のホイールシリンダの駆動ピストンへの液圧を制御するように、液圧の入出路が設けられた構成とすることが好ましい。
このようにすると、マスタシリンダからの液圧を、制御弁から駆動ピストンへ導く流路を、ホイールシリンダ内に装備する必要がなく、シリンダボディをさらに小型化したり、あるいは構造を単純化することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラムブレーキ装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この一実施形態のドラムブレーキ装置1は、図1及び図2に示すように、図示せぬ略円筒状のドラム内空間でバッキングプレート12上に拡開可能に対向配備されたプライマリ・シュー3及びセカンダリ・シュー4の一対のブレーキシュー3、4と、プライマリ・シュー3の入力側端部とセカンダリ・シュー4のアンカー側端部との間に配設されてこれらの一対のブレーキシュー3、4を拡開する第1ホイールシリンダ6と、プライマリ・シュー3のアンカー側端部とセカンダリ・シュー4の入力側端部との間に配設されてこれらの一対のブレーキシュー3、4を拡開する第2ホイールシリンダ7と、プライマリ・シュー3のアンカー側端部と第2ホイールシリンダ7との間に介在してプライマリ・シュー3からのアンカー反力を第2ホイールシリンダ7に伝える第1制御用てこ部材9と、セカンダリ・シュー4のアンカー側端部と第1ホイールシリンダ6との間に介在してセカンダリ・シュー4からのアンカー反力を第1ホイールシリンダ6に伝える第2制御用てこ部材10とを備えたツーリーディング式のドラムブレーキ装置である。
【0014】
一対のブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に沿う円弧板状のリム3a、4aと、これらのリム3a、4aから内径側に張り出したウェブ3b、4bと、リム3a、4aの外周に貼着されたライニング3c、4cとからなる。そして、それぞれのブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に向かって進退自在に、バッキングプレート12に取り付けられている。
また、バッキングプレート12上の一対のブレーキシュー3、4の互いに対向した各端部同士は、リターンスプリング14、15によって、互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されている。
【0015】
前記した第1及び第2ホイールシリンダ6、7は、所謂単動型で、同一の構造であり、バッキングプレート12の中心に対して点対称に装備されている。
これらの第1及び第2ホイールシリンダ6、7は、具体的には、図3及び図4に示すように、一方のブレーキシュー(図では、プライマリ・シュー3)の入力側に位置する一端側には、図示せぬマスタシリンダからの液圧をシリンダボディ20内の制御弁21を介して受けて一方のブレーキシューの端部を押圧する駆動ピストン23が装備されると共に、他方のブレーキシュー(図では、セカンダリ・シュー4)のアンカー側に位置する他端側には、一端にマスタシリンダからの液圧を受けると共に他端には制御用てこ部材(図では、第2制御用てこ部材10)を介してアンカー反力を受け、アンカー反力が一定以上になるとマスタシリンダからの液圧に抗してシリンダボディ20内に変位して制御弁21を閉じる制御ピストン24が装備された構成からなる。
【0016】
シリンダボディ20は、一端側に、駆動ピストン23を摺動自在に保持すると共に、駆動ピストン23の基端部にマスタシリンダからの液圧を作用させる圧力室26を有している。また、シリンダボディ20は、他端側に、制御ピストン24を摺動自在に保持すると共に、制御ピストン24の基端部にマスタシリンダからの液圧を作用させる制御室27を有している。
また、シリンダボディ20の周壁には、制御室27にマスタシリンダからの液圧を供給する液圧入口28と、制御室27内に供給された液圧を出力する液圧出口29と、液圧出口29から出力されるマスタシリンダの液圧を圧力室26に導くための駆動用液圧入口30とが穿設されている。
【0017】
但し、この一実施形態のドラムブレーキ装置1では、図示はしないが、バッキングプレート12の裏側に敷設される液圧配管によって、第1ホイールシリンダ6の駆動用液圧入口30は第2ホイールシリンダ7の液圧出口29に連通し、また、第2ホイールシリンダの駆動用液圧入口30は第1ホイールシリンダの液圧出口29に連通している。即ち、第1及び第2ホイールシリンダ6、7は、それぞれ、自己のシリンダボディ20内の制御弁21が他のホイールシリンダの駆動ピストン23への液圧供給を制御するように、バッキングプレート12の裏側に敷設される液圧配管によって、各液圧入出口相互を連通させる液圧入出路が提供されている。
【0018】
制御室27に収容された制御ピストン24は、制御室27内に位置する基端側に円筒部24aを有している。また、先端側は、制御室27に嵌合したプラグ32に摺動自在に嵌合している。
プラグ32は、その外周に嵌合したOリング33により制御室27との間の液密を確保し、また、その先端側に係合するリング34によって、ブレーキシュー側への抜けを防止している。
【0019】
制御ピストン24とプラグ32との間は、制御ピストン24の外周に嵌合したシールリング36により液密が確保されている。また、これらの制御ピストン24とプラグ32との間に粉塵や泥水等が侵入しないように、防塵用のブーツ37が装着されている。
また、制御ピストン24の円筒部24aの外周には、制御室27との間の液密を確保するカップシール39が装備されている。
制御ピストン24には、円筒部24aの内底部から外周側に貫通する流路41が穿設されている。この流路41は、制御室27と液圧出口29とを連通させる流路である。
制御ピストン24は、制御室27内に装備されたリターンスプリング42によりてこ部材側に付勢されている。このリターンスプリング42の付勢力により、非制動時には、制御ピストン24がプラグ32の先端側のつば部32aに当接した状態に位置決めされる。
【0020】
制御弁21は、制御ピストン24の先端部に作用するアンカー反力が制御室27内のマスタシリンダの液圧による付勢力に勝って、制御ピストン24が制御室27内に押し込まれると、流路41を塞いで、制御室27からの液圧出力を停止させるものである。
さらに詳述すると、制御弁21は、ゴム材料により一体成形された弁本体48と、この弁本体48に嵌着された金属製のバルブホルダー49とから構成されており、バルブガイド50によって制御ピストン24の進退方向に沿って摺動可能に保持されると共に、バルブガイド50内に装備された弁ばね51により制御ピストン24側に付勢されている。
【0021】
バルブガイド50は、リターンスプリング42の付勢力によって制御室27の内底部に固定されていて、制御ピストン24がアンカー反力によって一定以上制御室27内に押し込まれるまでは、制御弁21が流路41を塞がないように、制御弁21の制御ピストン24側への最大進出位置を規制している。
即ち、制御弁21は、アンカー反力で制御ピストン24が一定以上制御室27内に押し込められた時にのみ流路41を閉じる常開形の開閉弁として機能する。
【0022】
駆動ピストン23は、その基端寄りの外周に装着されたシールリング43によって、シリンダボディ20との間の液密を確保している。また、シリンダボディ20と駆動ピストン23との間に粉塵や泥水等が侵入しないように、駆動ピストン23の先端部とシリンダボディ20端との間には、防塵用のブーツ44が装着されている。
そして、この一実施形態では、シリンダボディ20の一端側に露出する駆動ピストン23の先端部には、駆動ピストン23に回転自在に保持されたアジャスタギヤ46と、アジャスタギヤ46を回転操作することで駆動ピストン23からの突出長が調節されるアジャスタスクリュー47とが装備されている。結局、駆動ピストン23は、アジャスタスクリュー47を介してブレーキシューの入力側端部に当接している。
【0023】
アジャスタギヤ46は、外周に歯46aが形成されている。そして、図1及び図2に示すように、シリンダボディ20の外周にボルト54により固定されたギヤストッパ53が、歯46aに係合させられている。ギヤストッパ53は、略棒状の弾性体で、アジャスタギヤ46が不用意に回転することを防止している。アジャスタギヤ46を所定方向に回転操作するとアジャスタスクリュー47の突出長が増大し、対向している一対のブレーキシュー3、4の端部の間隔を広げる。即ち、以上のアジャスタギヤ46やアジャスタスクリュー47は、各ブレーキシュー3、4のライニング3c、4cの摩耗が進行しても、各ライニング3c、4cとドラムとの間の隙間が一定に保たれるように、これらのブレーキシュー3、4の端部間の間隔を調整するアジャスタ機構を構成するものである。
【0024】
第1及び第2制御用てこ部材9、10は、同じ構造のもので、一端側にシリンダボディ20との接触部56を有すると共に、他端側には制御ピストン24との接触部57を有し、且つ、中間部にはブレーキシューのアンカー側端部に凹凸嵌合するシュー係合部59を有して、ブレーキシューからシュー係合部59も作用するアンカー反力を、シリンダボディ20と制御ピストン24とに一定の比率で分配する。これらの第1及び第2制御用てこ部材9、10がアンカー反力を分配する比率は、シュー係合部59から各接触部56、57までの距離に比に反比例する。
【0025】
なお、本実施形態では、接触部56、57は、相手側の平坦な接触面に摺動自在に接触する滑らかな円弧面とされている。また、シュー係合部59は、半円弧状の凹面であり、シュー係合部59に凹凸嵌合する各ブレーキシューの係合面は、これらの制御用てこ部材9、10が係合部を揺動支点として滑らかに揺動可能なように、シュー係合部59よりも僅かに曲率の小さな半円弧状の凸面とされている。
【0026】
そして、本実施形態では、前述の第1及び第2ホイールシリンダ6、7の駆動ピストン23及び制御ピストン24が、制御用てこ部材9、10を介し各ブレーキシュー3、4の対向端を保持することにより、各ブレーキシュー3、4がフローティング・アンカー機構として支持されている。
ブレーキシューのフローティング・アンカー機構とは、ブレーキシューのアンカー側端(ここでは制御用てこ部材の接触部56、57を介する)をアンカー(前記接触部56、57に対向するシリンダボディ20及び制御ピストン24の平坦な各接触面)の平面に当て、ブレーキシューが制動中のドラムの円筒形にならって落ち着く(センタリング)方式である。
【0027】
以上のドラムブレーキ装置1において、前進走行時におけるドラムの回転方向は、図2の矢印(イ)方向である。従って、前進走行中の制動時には、プライマリ・シュー3のアンカー反力が第2ホイールシリンダ7の端部に作用し、また、セカンダリ・シュー4のアンカー反力が第1ホイールシリンダ6の端部に作用する。
具体的には、ブレーキ操作がなされて、マスタシリンダからの液圧が各ホイールシリンダ6、7のシリンダボディ20内の制御弁21を経て各ホイールシリンダ6、7の駆動ピストン23に供給されると、各駆動ピストン23がブレーキシューの端部をドラムに押圧して、制動力を発生させる。
この制動時に、各ブレーキシューからのアンカー反力は、制御用てこ部材9、10を介して、各ホイールシリンダに装備された制御ピストン24と、各ホイールシリンダのシリンダボディ20とが受ける。即ち、各ホイールシリンダ6、7の他端部が、各ブレーキシューからのアンカー反力を受けるアンカー部として機能する。
【0028】
そして、各ホイールシリンダ6、7の駆動ピストン23及び制御ピストン24が各ブレーキシューの対向端を保持することにより、各アンカー部がアンカー反力やホイールシリンダの駆動ピストン23の出力に応じて微小変位可能なフローティング・アンカー構造となり、使用しているホイールシリンダ自体は所謂単動型の構成でも、複動型のホイールシリンダを使用した場合と同様に、一つのホイールシリンダが対向している各ブレーキシュー3、4の端部に押圧力を作用させることができ、前進時及び後進時の何れも、一対のブレーキシュー3、4をリーディング・シューとして機能させることができる。従って、前進時と後進時とでブレーキ効率に差がなく、前進時及び後進時のいずれでも、高いブレーキ効率を得ることができる。
【0029】
また、各ブレーキシュー3、4からのアンカー反力が一定以上になると、制御用てこ部材9、10を介してアンカー反力を受けていた制御ピストン24がマスタシリンダからの液圧に抗してシリンダボディ20内に変位してシリンダボディ20内の制御弁21を閉じて、マスタシリンダから駆動ピストン23への液圧供給を止める。この制御ピストン24及び制御弁21の挙動により、駆動ピストン23の押圧力は一定に保たれ、マスタシリンダからの入力に対してアンカー反力が一定倍率に制限されるため、ブレーキ効率がばらつくことを防止され、安定した効きを得ることができる。
【0030】
更には、使用するホイールシリンダが構成の単純な単動型で済むため、コストの低減に適し、また、駐車ブレーキの装備も容易になる。
【0031】
なお、一対のブレーキシュー3、4の各対向端間に配置された各ホイールシリンダ6、7は、自己のシリンダボディ20内の制御弁21が他のホイールシリンダの駆動ピストン23への液圧を制御するように、液圧の入出路を形成したため、マスタシリンダからの液圧を制御弁21から駆動ピストン23に導く流路を、ホイールシリンダ内に装備する必要がなく、シリンダボディ20の小型化や構造の単純化を図って、さらに、コストの低減を徹底することができる。
【0032】
なお、以上の一実施形態における各構成部品の形状等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更可能であることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】
本発明のドラムブレーキ装置によれば、ブレーキ操作がなされて、マスタシリンダからの液圧が各ホイールシリンダのシリンダボディ内の制御弁を経て各ホイールシリンダの駆動ピストンに供給されると、各駆動ピストンがブレーキシューの端部をドラムに押圧して、制動力を発生させる。この制動時に、各ブレーキシューからのアンカー反力は、制御用てこ部材を介して、ホイールシリンダに装備された制御ピストンと、ホイールシリンダのシリンダボディとが受ける。即ち、各ホイールシリンダの他端部が、各ブレーキシューからのアンカー反力を受けるアンカー部として機能する。そして、各ホイールシリンダの駆動ピストン及び制御ピストンが、制御用てこ部材を介して各ブレーキシューの対向端を保持することにより、各アンカー部がアンカー反力やホイールシリンダの駆動ピストンの出力に応じて微小変位可能なフローティング・アンカー構造となり、使用しているホイールシリンダ自体は所謂単動型の構成でも、複動型のホイールシリンダを使用した場合と同様に、一つのホイールシリンダが対向している各ブレーキシューの端部に押圧力を作用させることができ、前進時及び後進時の何れも、一対のブレーキシューをリーディング・シューとして機能させることができる。従って、前進時と後進時とでブレーキ効率に差がなく、前進時及び後進時のいずれでも、高いブレーキ効率を得ることができる。
【0034】
また、各ブレーキシューからのアンカー反力が一定以上になると、制御用てこ部材を介してアンカー反力を受けていた制御ピストンがマスタシリンダからの液圧に抗してシリンダボディ内に変位してシリンダボディ内の制御弁を閉じて、マスタシリンダから駆動ピストンへの液圧供給を止める。この制御ピストン及び制御弁の挙動により、駆動ピストンの押圧力は一定に保たれ、マスタシリンダからの入力に対してアンカー反力が一定倍率に制限されるため、ブレーキ効率がばらつくことを防止され、安定した効きを得ることができる。
【0035】
更には、使用するホイールシリンダが構成の単純な単動型で済むため、コストの低減に適し、また、駐車ブレーキの装備も容易になる。
【0036】
また、一対のブレーキシューの各対向端間に配置された各ホイールシリンダには、自己のシリンダボディ内の制御弁が他のホイールシリンダの駆動ピストンへの液圧を制御するように、液圧の入出路が設けられた構成とした場合には、マスタシリンダからの液圧を制御弁から駆動ピストンに導く流路を、ホイールシリンダ内に装備する必要がなく、シリンダボディの小型化や構造の単純化を図って、さらに、コストの低減を徹底することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1のドラムブレーキ装置の正面図である。
【図3】図2に示したホイールシリンダの拡大断面図である。
【図4】図2に示したホイールシリンダの一部を破断した拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
3 ブレーキシュー(プライマリ・シュー)
4 ブレーキシュー(セカンダリ・シュー)
6 第1ホイールシリンダ
7 第2ホイールシリンダ
9 第1制御用てこ部材
10 第2制御用てこ部材
12 バッキングプレート
14、15 リターンスプリング
20 シリンダボディ
21 制御弁
23 駆動ピストン
24 制御ピストン
24a 円筒部
26 圧力室
27 制御室
28 液圧入口
29 液圧出口
30 駆動用液圧入口
32 プラグ
32a つば部
33 Oリング
34 リング
36 シールリング
37 ブーツ
39 カップシール
41 流路
43 シールリング
44 ブーツ
46 アジャスタギヤ
47 アジャスタスクリュー
48 弁本体
49 バルブホルダー
50 バルブガイド
51 弁ばね
53 ギヤストッパ
54 ボルト
56、57 接触部
59 シュー係合部

Claims (2)

  1. ドラム内空間でバッキングプレート上に拡開可能に対向配備される一対のブレーキシューと、これらのブレーキシューの各対向端間に配備された単動型ホイールシリンダとを備えるツーリーディング式のドラムブレーキにおいて、
    前記ホイールシリンダは、マスタシリンダからの液圧を受けて一方のブレーキシューの端部を押圧する駆動ピストンと、他方のブレーキシューからアンカー反力を制御用てこ部材を介して受ける制御ピストンと、アンカー反力が一定以上になって前記制御ピストンが変位したときマスタシリンダから前記駆動ピストンに作用する液圧を制御する制御弁とをシリンダボディ内に備え、
    前記制御用てこ部材は、一端側に前記シリンダボディとの接触部を有すると共に他端側には前記制御ピストンとの接触部を有し、且つ、中間部にはブレーキシューのアンカー側端部に凹凸嵌合するシュー係合部を有して、ブレーキシューから作用するアンカー反力を前記シリンダボディと制御ピストンとに一定の比率で分配する構成とし、
    前記ホイールシリンダの駆動ピストン及び制御ピストンが、前記制御用てこ部材を介して一対のブレーキシューの対向端を保持することを特徴とするツーリーディング式のドラムブレーキ装置。
  2. 一対のブレーキシューの各対向端間に配置された各ホイールシリンダには、自己のシリンダボディ内の制御弁が他のホイールシリンダの駆動ピストンへの液圧を制御するように、液圧の入出路が設けられたことを特徴とする請求項1記載のドラムブレーキ装置。
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