JP3860884B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載されるドラムブレーキ装置に関し、詳しくは、ブレーキシューを拡開操作するホイールシリンダの構造の単純化やコンパクト化によってコストの低減及び装置の軽量化を図ることのできるドラムブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両等に使用されるドラムブレーキ装置は、一般に、入力部(ホイールシリンダ)と、該入力部からの力によりドラム内で拡張してブレーキ力を発生するブレーキシューと、ブレーキシューを支持してアンカー反力を受けるアンカー部とを具備した構成からなる。そして、ドラムの前進方向に対して入力部が入口側、アンカー部が出口側にあるものをリーディング・シュー、アンカー部が入口側、入力部が出口側にあるものをトレーリング・シューと呼ぶ。
【0003】
従来のドラムブレーキ装置としては、リーディングトレーリング式、ツーリーディング式及びデュオサーボ式等の種類のものが使用されている。
リーディングトレーリング式は、対向する一対のシューの一方の対向端間にシューを拡開するホイールシリンダを配すると共に、他方の各シュー端にアンカー部を配し、リーディング・シューとトレーリング・シューとを組み込んだもので、安定性に優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易である。
これに対し、ツーリーディング式は、リーディング・シューを2個組み込んだ構成のものであり、そのうち単動型(TP1W)のものは、前進時にはゲインが高く、後進時にはツートレーリング式となって相対的に前進時よりゲインが低下する。ツーリーディング式の複動型(TP2W)のものは、前後進とも同じ効きで高いゲインを有する。
また、デュオサーボ式は、2個のシューをリンク結合し、プライマリ・シューに生じるブレーキ力をセカンダリ・シューの入力として働かせるもので、前後進とも同じ効きを示すゲインの高いブレーキである。
【0004】
しかしながら、上記ツーリーディング式は、ホイールシリンダが2個必要なため高価になり、また、駐車ブレーキの機構が複雑になるという問題があった。
また、上記デュオサーボ式は、リーディングトレーリング式やツーリーディング式のものと比較して、極めて高いブレーキ効力が得られ、小型化し易く、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であるという多くの長所を持つが、その反面、例えば、ブレーキシューのライニング摩擦係数及び回転ドラムの接触状況の変化に敏感でブレーキの効きの変動が大きく、安定した制動特性が得られないという重大な難点があった。
また、上記リーディングトレーリング式の場合は、前の2者と比較して、安定性に優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であるが、ブレーキの効きが低く、それを補うために、マスタシリンダの倍力装置を大型化したり、ドラム径を大きくしなければならず、ドラムブレーキ装置の小型化を困難にしていた。
【0005】
即ち、ドラムブレーキ装置は、各形式によって一長一短があるため、搭載する車両の走行性能や用途や生産規模等に応じて、形式を選定するなどの対応が試みられてきた。
しかし、近年の車両の走行性能の向上に伴い、ブレーキ装置は、ブレーキ効力の向上が重要な課題とされている。
そこで、最近では、デュオサーボ式のドラムブレーキ装置において、ブレーキの効きの安定性が低いという難点を解消ための工夫が、注目されている。
【0006】
そして、デュオサーボ式のドラムブレーキ装置において、ブレーキの効きの安定性を高める工夫としては、ブレーキシューを拡開操作するホイールシリンダの動作を、ブレーキシューからのアンカー反力によって制御可能にすること等が注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ホイールシリンダの動作をブレーキシューからのアンカー反力によって制御可能にするために、ホイールシリンダの構造が煩雑化するようでは、ホイールシリンダが大型化して、ブレーキ装置の大型化や重量化という問題を招き、また、ホイールシリンダが高価になるために、ブレーキ装置のコストアップを招く虞がある。
また、ホイールシリンダの動作をブレーキシューからのアンカー反力によって制御可能にするために、例えばホイールシリンダのシリンダボディにアンカー反力が作用する構成とすると、シリンダボディ自体を高強度の高価な材料で頑丈に製作しなければならず、この場合も、ホイールシリンダの高額化や大型化という問題を招く虞があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホイールシリンダの動作がブレーキシューからのアンカー反力によって制御可能で、しかもホイールシリンダの構造を単純化して、ホイールシリンダの小型・軽量化を図ることができ、例えば、デュオサーボ式のブレーキ装置に適用することによって、ブレーキ効力が高く、しかも、ブレーキの効きの安定性にも優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易にできて、ブレーキシステムの小型化やコスト低減を図ることができるドラムブレーキ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置は、ドラム内空間に対向配備された一対のブレーキシューと、これらのブレーキシューの一方の対向端間に配設されると共に圧力室に供給される液圧によって前記ブレーキシューをドラムに押圧する駆動ピストン及びアンカー反力に応じて前記圧力室への液圧供給を制御する制御ピストンを備えたホイールシリンダとを備えるドラムブレーキ装置であって、前記ブレーキシューからのアンカー反力を受けるためのアンカー部と、前記アンカー部と一方のブレーキシューの端部との間に挟持されて、前記アンカー部と当接する接触部と、前記一方のブレーキシューの端部に当接する接触部と、一端部を前記制御ピストンに当接させる接触部とを備え、且つ前記アンカー部との接触部を支点として回動可能に形成された制御用てこ部材とを有し、前記制御用てこ部材は、前記ブレーキシューとの接触部に作用する前記アンカー反力が一定倍率に達すると回動して、該アンカー反力をてこ比に応じて前記アンカー部と前記制御ピストンとに分配し、前記アンカー部を、前記ホイールシリンダとは別体品とし、且つ前記ブレーキシューを支持するバッキングプレート上に装備すると共に、前記ホイールシリンダは、基端を前記圧力室に臨ませると共に先端を一方のブレーキシューの端部に対向させて前記圧力室に供給される液圧によって該ブレーキシューに向けて進退駆動される前記駆動ピストンと、シリンダ壁によって前記圧力室の背部に画成されマスタシリンダからの液圧を受ける制御室と、前記駆動ピストンに対して略同一軸線上を他方のブレーキシューに向かって進退可能なように基端を前記制御室に臨ませると共に先端を他方のブレーキシューの端部に対向させてアンカー反力によって制御室側に変位すると前記圧力室への液圧供給を停止させる前記制御ピストンとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
そして、上記構成によれば、ブレーキ操作がなされるとマスタシリンダからの液圧がホイールシリンダの制御室を介して圧力室に供給されて、駆動ピストンが圧力室から押し出され、一方のブレーキシュー(プライマリ・シュー)の端部をドラム側に押圧する。この駆動ピストンによる押圧力によって各ブレーキシューが拡開してドラムに押し付けられて、制動力が発生する。
この制動時には、セカンダリ・シューから、ブレーキ効力に応じた大きさのアンカー反力が、制御用てこ部材を介して、ホイールシリンダとは別体のアンカー部と、ホイールシリンダの制御ピストンに、所定の比率に分配されて負荷される。
【0011】
また、ホイールシリンダ自体は、単一の駆動ピストンと制御ピストンとが、同一軸線上を変位するように、直列的に配置されているため、両ピストン、が並列に配置されるような構造と比較すると、シリンダボディのピストン径方向の寸法を最小限にコンパクトにまとめることができ、また、圧力室と制御室とを連通させる液通路の形成も容易になる。
【0012】
そして、前述した制動状態において、セカンダリ・シューからのアンカー反力が一定倍率に達すると(即ち、ブレーキ効力が所定の倍率に達すると)、前記制御用てこ部材を介して制御ピストンに作用しているアンカー反力によって、制御ピストンが制御室側に変位して、圧力室への液圧供給を停止させる。この制御ピストンの動きによって、駆動ピストンに作用している圧力室の液圧が一定に保たれる。
また、制御ピストンが圧力室への液圧供給を停止させている状態での制動状況下で、ブレーキ効力が低下すると、制御用てこ部材を介して制御ピストンに作用していたアンカー反力が弱まり、マスタシリンダからの液圧によって制御ピストンが再び進出方向(制御用てこ部材側)に押し出されるため、制御室から圧力室への液圧供給が再開される。
以上のように、制御ピストンがアンカー反力に応じて圧力室への液圧供給を制御して、アンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して一定倍率になるようにブレーキ効力を安定させ、ブレーキの効きの変動を抑える。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラムブレーキ装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図3は本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態を示したもので、図1はドラムブレーキ装置の正面図、図2は図1中のホイールシリンダの拡大縦断面図、図3は図1のホイールシリンダ及びその周辺の拡大図である。
【0014】
このドラムブレーキ装置1は、所謂デュオサーボ式と呼ばれるもので、円筒形のドラム内の空間に対向配備されるプライマリ・シュー3とセカンダリ・シュー4との一対のブレーキシュー3、4と、これらのブレーキシュー3、4の一方の対向端間に配設されて各ブレーキシュー3、4を拡開するホイールシリンダ5と、これらのブレーキシュー3、4の他方の対向端間に配設されてプライマリ・シュー3の出力をセカンダリ・シュー4に入力するアジャスタ(リンク機構)6と、これらの構成部材を支持するバッキングプレート7と、前記ブレーキシュー3、4の一方の対向端間に配設されると共に各ブレーキシュー3、4の端部が当接するピン部91を備えて前記ブレーキシュー3、4からのアンカー反力を受けるアンカー部9とを備えている。
【0015】
前記ブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に沿う円弧板状のリム3a、4aと、これらのリム3a、4aから内径側に張り出したウェブ3b、4bと、前記リム3a、4aの外周に貼着されたライニング3c、4cとからなる。そして、それぞれのブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に向かって進退自在に、バッキングプレート7に取り付けられている。
また、バッキングプレート7上のブレーキシュー3、4の互いに対向した各端部同士は、図示せぬリターンスプリングによって、互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されている。
【0016】
前記バッキングプレート7上には、駐車ブレーキを構成するストラット71や、パーキングレバー72も組込まれている。前記パーキングレバー72は、パーキングレバーピン73回りに回動操作可能で、前記一対のブレーキシュー3、4は前記パーキングレバー72の回動操作によってもドラムに押圧可能にされている。
【0017】
前記アジャスタ6は、各ブレーキシュー3、4のライニング3c、4cの摩耗の進行に応じて、これらのブレーキシュー3、4の端部間の間隔を調整するものである。つまり、不図示のアジャスタスプリングにより先端がアジャスタ上の調整用歯車6aに当接された図示せぬアジャスタレバーの動作で、ブレーキシュー3、4の端部間の間隔を自動調整するように構成されている。
【0018】
前記アンカー部9は、前記ホイールシリンダ5とは別体品で、ホイールシリンダ5から離間して、前記バッキングプレート7上に取り付けられている。
このアンカー部9は、中心軸線をドラムの軸線方向に向けた円柱状のピン部91を有し、該ピン部91の外周面がアンカー反力を受けるための接触面となる。
前記ピン部91は単一であり、該ピン部91の外周面の一側にはプライマリ・シュー3の端部が当接され、他側には制御用てこ部材25を介して、セカンダリ・シュー4の端部が当接されている。
【0019】
前記ドラムブレーキ装置1において、前進走行時におけるドラムの回転方向は、図中の矢印(イ)方向である。従って、前記ピン部91は、前進走行中の制動時には、セカンダリ・シュー4から制御用てこ部材25を介してアンカー反力を受け、後進走行中の制動時にはプライマリ・シュー3からアンカー反力を直接受ける。
【0020】
前記プライマリ・シュー3の端部の前記ピン部91との接触面は、前記ピン部91の外周面よりも僅かに径の大きな凹円弧面とされている。また、前記制御用てこ部材25のピン部91に対する接触面は、前記ピン部91の外周面よりも僅かに径の大きな凹円弧面とされている。更に、セカンダリ・シュー4の端部に対する前記制御用てこ部材25の接触面25aは凸状の円弧面に形成され、この接触面25aに対するセカンダリ・シュー4の端部の接触面は、前記接触面25aよりも僅かに径の大きな凹円弧面とされている。
【0021】
前記ホイールシリンダ5は、ブレーキの効きの安定性が低いという従来のデュオサーボ式のドラムブレーキ装置の難点を解消するために、工夫を凝らしたものである。
具体的には、前記ホイールシリンダ5は、図2に示すように、基端を圧力室10に臨ませると共に先端を一方のブレーキシュー3の端部に対向させて前記圧力室10に供給される液圧によって該ブレーキシュー3に向けて進退駆動される駆動ピストン12と、後述のシリンダボディ29のシリンダ壁30によって前記圧力室10の背部に画成され、ブレーキ操作に応じた液圧を発生するマスタシリンダ(M/C)からの液圧を受ける制御室16と、前記駆動ピストン12に対して略同一軸線上を他方のブレーキシュー4に向かって進退可能なように基端を前記制御室16に臨ませると共に先端を他方のブレーキシュー4の端部に対向させた制御ピストン17と、前記制御ピストン17に穿設された液通路19と前記シリンダ壁30に穿設された液通路22とを順に経て前記圧力室10と制御室16とを連通させる連絡流路24と、前記制御室16内に装備されて前記制御ピストン17の液通路19を開閉する弁体27と、前述の各ピストン12、17を摺動可能に支持すると共に前述の圧力室10及び制御室16を提供している前記シリンダボディ29とを備えた構成からなる。
【0022】
前記駆動ピストン12は、その外周部のシール溝に装備された環状のシール部材31を介して、前記シリンダボディ29に液密に摺動可能に保持されている。また、駆動ピストン12は、前記圧力室10に圧装されたスプリング(圧縮コイルばね)50によって、ブレーキシュー3側に付勢されている。前記駆動ピストン12の先端側は、ピストンロッド32と、入力レバー33とを介して、前記ブレーキシュー3の端部に当接されている。前記ピストンロッド32は、前記駆動ピストン12に接触する端部が凸球面32aに形成されている。そして、前記駆動ピストン12の先端には、前記凸球面32aが回転可能に接触する凹球面12aが形成されている。このように、駆動ピストン12とピストンロッド32とを球面接触にすることで、制動動作時に、駆動ピストン12に不都合な捩れ力が作用することを抑制できる。
【0023】
前記制御ピストン17は、先端側がプラグ34に摺動可能に嵌合している。このプラグ34は、シリンダボディ29に嵌合している。プラグ34とシリンダボディ29との間は、プラグ34の外周部のシール溝に装備された環状のシール部材36によって液密に保持されている。また、プラグ34は、前記シリンダボディ29に嵌合している係止リング37によって、ブレーキシュー4側への移動が規制される。また、前記制御ピストン17は、前記プラグ34の先端部の縮径部34aに当接することによって、ブレーキシュー4側への移動が制限される。
前記制御ピストン17の先端側外周には、環状のシール部材39が嵌合装備され、該シール部材39によって、制御ピストン17とプラグ34との間の液密が保持される。
【0024】
前記制御ピストン17の基端側外周には、環状のシール部材40が嵌合装備され、該シール部材40によって、前記制御室16を画成しているシリンダ壁30と制御ピストン17との間の液密が保持される。
前記シール部材40は、前記制御室16が前記制御ピストン17の周囲のクリアランスにより前記連絡流路24と連通状態になることを防止する。但し、このシール部材40は、開口部を制御室16側に向けたカップシールで、圧力室10側の液圧が所定以上になると、その液圧によってリップ部が弾性変形を起こすことにより前記制御ピストン17の周囲の封止を解いて、圧力室10から制御室16への作動液の戻りを許容する逆止弁としても機能する。
【0025】
前記制御ピストン17は、制御室16内に圧装されたセットプリング106によって、ブレーキシュー4側に付勢されている。そして、この制御ピストン17の先端には、ピストンロッド42が嵌合装備されている。
このピストンロッド42には、前記ピン部91とブレーキシュー4の端部との間に挟持された制御用てこ部材25の一端部が当接されていて、前記ブレーキシュー4からのアンカー反力の一部が前記制御用てこ部材25を介して作用する。
【0026】
即ち、前記制御用てこ部材25は、前記ピン部91への接触部25bと、セカンダリ・シュー4の端部への接触部25cと、ピストンロッド42の平坦な先端面に当接する凸円弧面状の接触部25dとを具備した構成からなり、図3に示すように、前記ブレーキシュー4との接触点P2に作用するアンカー反力によって、前記ピン部91との接触点P1を支点として回動し、前記ピストンロッド42との接触点P3にアンカー反力を伝達する。その際、各接触点P1、P2、P3によって設定されるてこ比に応じて、セカンダリ・シュー4からのアンカー反力を分配して、ピストンロッド42に伝達するアンカー反力を低減させる。
【0027】
前述のピストンロッド32、42とシリンダボディ29との間には、シリンダボディ29内への異物の侵入を防止するためのブーツ44、45が組み付けられている。
【0028】
前記弁体27は、前記制御用てこ部材25、ピストンロッド42を介して制御ピストン17に伝達されるアンカー反力が、制御ピストン17に作用する制御室16内の液圧(即ち、マスタシリンダからの液圧)よりも大きくなって、アンカー反力によって制御ピストン17が弁体27側に変位すると、前記制御ピストン17に穿設されている液通路19を閉塞するもので、ゴム材料により一体成形された弁本体48と、該弁本体48に嵌着された金属製のホルダー49とから構成されている。
【0029】
そして、前記弁本体48は、前記液通路19の開口端に形成されたすり鉢形の弁座部50に着座して液通路19を塞ぐ略半球形の弁頭部51と、該弁頭部51の基端側に連なると共に外径が前記弁頭部51よりも大きな柱状を成した把持部52とを具備した構成からなっている。
さらに、前記把持部52の途中には、前記液通路19側に向けた付勢力を受ける鍔部54が装備されている。
【0030】
前記ホルダー49は、中央には前記弁頭部51を挿通させる開口が形成された円盤状をなして前記弁頭部51と把持部52との境界部の段差部に面接触する端面被覆部57と、該端面被覆部57の周縁部から延出して前記把持部52の外周に嵌合する筒状部58と、該筒状部58の周端部から径方向に張り出して前記鍔部54に当接する鍔部当接部60とを具備した構成からなる。
【0031】
以上の弁体27は、前記制御ピストン17を付勢しているセットプリング106によって前記制御室16の内底部に押圧固定されたガイド筒62によって、前記液通路19側に摺動可能に保持され、且つ、前記ガイド筒62内に装備されたバルブスプリング(圧縮コイルばね)105により、前記液通路19側に付勢されている。
前記ガイド筒62は、液通路19側の端面に、前記ホルダー49の鍔部当接部60が当接することによって前記弁体27の最大突出位置を規制する係止部64を有している。
【0032】
以上構成からなるドラムブレーキ装置1では、非制動時にはホイールシリンダ5の圧力室10と制御室16とが連通した状態にある。
そして、ブレーキ操作がなされるとマスタシリンダ(M/C)からの液圧が前記制御室16を介して圧力室10に供給されて、駆動ピストン12が圧力室10から押し出され、一方のブレーキシュー(プライマリ・シュー)3の端部をドラム側に押圧する。この駆動ピストン12による押圧力によって各ブレーキシュー3、4が拡開してドラムに押し付けられて、制動力が発生する。
この制動時には、セカンダリ・シュー4から、ブレーキ効力に応じた大きさのアンカー反力が、制御用てこ部材25を介して、ホイールシリンダ5とは別体のアンカー部9と、ホイールシリンダ5の制御ピストン17に、所定の比率に分配されて負荷される。
【0033】
また、ホイールシリンダ5自体は、単一の駆動ピストン12と制御ピストン17とが、同一軸線上を変位するように、直列的に配置されているため、両ピストン12、17が並列に配置されるような構造と比較すると、シリンダボディのピストン径方向の寸法を最小限にコンパクトにまとめることができる。また、圧力室10と制御室16とを連通させる液通路22の形成も容易になる。
【0034】
そして、前述した制動状態において、セカンダリ・シュー4からのアンカー反力が一定倍率に達すると(即ち、ブレーキ効力が所定の倍率に達すると)、前記制御用てこ部材25を介して制御ピストン17に作用しているアンカー反力によって、制御ピストン17が制御室16側に変位する。この制御ピストン17の変位によって、制御ピストン17に穿設した液通路19が前記弁体27によって閉じられ、制御室16から圧力室10への液圧供給が停止されることで、圧力室10内の液圧が一定に保たれる。
【0035】
また、制御ピストン17が圧力室10への液圧供給を停止させている状態での制動状況下で、ブレーキ効力が低下すると、制御用てこ部材25を介して制御ピストン17に作用していたアンカー反力が弱まり、マスタシリンダからの液圧によって制御ピストン17が再び進出方向(制御用てこ部材25側)に押し出されるため、弁体27が液通路19の弁座部50から離れて、制御室16から圧力室10への液圧供給が再開される。
【0036】
以上のように、制御ピストン17がアンカー反力に応じて圧力室10への液圧供給を制御して、アンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して一定倍率になるようにブレーキ効力を安定させるため、ブレーキの効きの変動を抑えることができる。
なお、本発明は、デュオサーボ式以外のドラムブレーキ装置にも応用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明のドラムブレーキ装置によれば、制動時には、セカンダリ・シューから、ブレーキ効力に応じた大きさのアンカー反力が、制御用てこ部材を介して、ホイールシリンダとは別体のアンカー部と、ホイールシリンダの制御ピストンに、所定の比率に分配されて負荷される。
そのため、例えばホイールシリンダのシリンダボディにアンカー部が一体的に装備されてアンカー反力の全量がホイールシリンダに作用する場合と比較すると、ホイールシリンダの耐荷重を、実際にセカンダリ・シューが発生するアンカー反力よりも小さく設定することができ、ホイールシリンダのシリンダボディを、強度がそれほど高くない安価な材料で形成したり、シリンダボディの肉厚を薄くして、ホイールシリンダの製造コストを低減させたり、小型・軽量化を図ることができる。
【0038】
また、ホイールシリンダ自体は、単一の駆動ピストンと制御ピストンとが、同一軸線上を変位するように、直列的に配置されているため、両ピストンが並列に配置されるような構造と比較すると、シリンダボディのピストン径方向の寸法を最小限にコンパクトにまとめることができる。
また、圧力室と制御室とを連通させる液通路の形成も容易になり、ホイールシリンダの構造の単純化を図ることができる。
【0039】
そして、本発明のドラムブレーキ装置では、制動時にセカンダリ・シューからのアンカー反力が一定倍率に達すると、前記制御用てこ部材を介して制御ピストンに作用しているアンカー反力によって、制御ピストンが制御室側に変位して、圧力室への液圧供給を停止させる。この制御ピストンの挙動によって、駆動ピストンに作用している圧力室の液圧が一定に保たれる。
さらに、制御ピストンが圧力室への液圧供給を停止させている状態での制動状況下で、ブレーキ効力が低下すると、制御用てこ部材を介して制御ピストンに作用していたアンカー反力が弱まり、マスタシリンダからの液圧によって制御ピストンが再び進出方向(制御用てこ部材側)に押し出されるため、制御室から圧力室への液圧供給が再開される。
以上のように、制御ピストンがアンカー反力に応じて圧力室への液圧供給を制御して、アンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して一定倍率になるようにブレーキ効力を安定させ、ブレーキの効きの変動を抑えることができる。
【0040】
従って、以上の構成によれば、ホイールシリンダの動作をブレーキシューからのアンカー反力によって制御が可能で、しかもホイールシリンダの構造を単純化して、ホイールシリンダの小型・軽量化を図ることができる。そして、例えば、デュオサーボ式のブレーキ装置に適用することによって、ブレーキ効力が高く、しかも、ブレーキの効きの安定性にも優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易にできて、ブレーキシステムの小型化やコスト低減を図ることができるドラムブレーキ装置を提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態の正面図である。
【図2】図1のドラムブレーキ装置に使用されているホイールシリンダの拡大縦断面図である。
【図3】図1のドラムブレーキ装置に使用されているホイールシリンダ及びその周辺の拡大図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
3 プライマリ・シュー(ブレーキシュー)
4 セカンダリ・シュー(ブレーキシュー)
5 ホイールシリンダ
6 アジャスタ
7 バッキングプレート
9 アンカー部
10 圧力室
12 駆動ピストン
16 制御室
17 制御ピストン
19、22 液通路
24 連絡流路
25 制御用てこ部材
27 弁体
29 シリンダボディ
30 シリンダ壁
31 シール部材
32、42 ピストンロッド
33 入力レバー
34 プラグ
36、39、40 シール部材
37 係止リング

Claims (1)

  1. 上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置は、ドラム内空間に対向配備された一対のブレーキシューと、これらのブレーキシューの一方の対向端間に配設されると共に圧力室に供給される液圧によって前記ブレーキシューをドラムに押圧する駆動ピストン及びアンカー反力に応じて前記圧力室への液圧供給を制御する制御ピストンを備えたホイールシリンダとを備えるドラムブレーキ装置であって、
    前記ブレーキシューからのアンカー反力を受けるためのアンカー部と、前記アンカー部と一方のブレーキシューの端部との間に挟持されて、前記アンカー部と当接する接触部と、前記一方のブレーキシューの端部に当接する接触部と、一端部を前記制御ピストンに当接させる接触部とを備え、且つ前記アンカー部との接触部を支点として回動可能に形成された制御用てこ部材とを有し、
    前記制御用てこ部材は、前記ブレーキシューとの接触部に作用する前記アンカー反力が一定倍率に達すると回動して、該アンカー反力をてこ比に応じて前記アンカー部と前記制御ピストンとに分配し、
    記アンカー部を、前記ホイールシリンダとは別体品とし、且つ前記ブレーキシューを支持するバッキングプレート上に装備すると共に、
    前記ホイールシリンダは、基端を前記圧力室に臨ませると共に先端を一方のブレーキシューの端部に対向させて前記圧力室に供給される液圧によって該ブレーキシューに向けて進退駆動される前記駆動ピストンと、シリンダ壁によって前記圧力室の背部に画成されマスタシリンダからの液圧を受ける制御室と、前記駆動ピストンに対して略同一軸線上を他方のブレーキシューに向かって進退可能なように基端を前記制御室に臨ませると共に先端を他方のブレーキシューの端部に対向させてアンカー反力によって制御室側に変位すると前記圧力室への液圧供給を停止させる前記制御ピストンとを備えたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
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