JP3739878B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載されるドラムブレーキ装置に関し、更に詳述すれば、デュオサーボ式のドラムブレーキ装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両等に使用されるドラムブレーキ装置は、一般に、入力部(ホイールシリンダ)と、該入力部からの力によりドラム内で拡張してブレーキ力を発生するブレーキシューと、ブレーキシューを支持するアンカ部とを具備した構成からなる。そして、ドラムの前進方向に対して入力部が入口側、アンカ部が出口側にあるものをリーディング・シュー、アンカ部が入口側、入力部が出口側にあるものをトレーリング・シューと呼ぶ。
【0003】
従来のドラムブレーキ装置としては、リーディングトレーリング式、ツーリーディング式及びデュオサーボ式等の種類のものが使用されている。
リーディングトレーリング式は、対向する一対のシューの一方の対向端間にシューを拡開するホイールシリンダを配すると共に、他方の各シュー端にアンカ部を配し、リーディング・シューとトレーリング・シューとを組み込んだものである。
【0004】
ツーリーディング式は、リーディング・シューを2個組み込んだ構成のものであり、そのうち単動型(TP1W)のものは、前進時にはゲインが高く、後進時にはツートレーリング式となって相対的に前進時よりゲインが低下する。ツーリーディング式の複動型(TP2W)のものは、前後進とも同じ効きで高いゲインを有する。
デュオサーボ式は、2個のシューをリンク結合し、プライマリ・シューに生ずるブレーキ力をセカンダリ・シューの入力として働かせるもので、前後進とも同じ効きを示すゲインの高いブレーキである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ツーリーディング式は、ホイールシリンダが2個必要なため高価になり、また、駐車ブレーキの機構が複雑になるという問題があった。
一方、上記デュオサーボ式は、リーディングトレーリング式やツーリーディング式のものと比較して、極めて高いブレーキ効力が得られ、小型化し易く、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であるという多くの長所を持つが、その反面、例えば、ブレーキシューのライニング摩擦係数及び回転ドラムとの接触状況の変化に敏感でブレーキの効きの変動が大きく、安定した制動特性が得られないという重大な難点があった。
【0006】
これに対し、上記リーディングトレーリング式は、前の2者と比較して、安定性が優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易である。そのため、最近では、ドラムブレーキ装置の主流になっている。
しかし、リーディングトレーリング式は、ブレーキの効きが低く、それを補うために、マスタシリンダの倍力装置を大型化したり、ドラム径を大きくしなければならず、ドラムブレーキ装置の小型化を困難にしていた。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ効力が高く、しかも、ブレーキの効きの安定性にも優れ、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であるドラムブレーキ装置を提供し、マスタシリンダの倍力装置等の小型化を実現してブレーキシステムの小型化やコスト低減を図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置は、円筒形のドラム内空間に対向配備されるプライマリ・シューとセカンダリ・シューとの一対のブレーキシューと、これらの一対のブレーキシューの一方の対向端間に配設されてこれら各ブレーキシューを拡開するホイールシリンダと、これらの一対のブレーキシューの他方の対向端間に配設されて前記プライマリ・シューの出力を前記セカンダリ・シューに入力するリンク機構とを備えたデュオサーボ式のドラムブレーキ装置であって、前記ホイールシリンダは、シュー駆動用圧力室に臨んで対向配置されて該シュー駆動用圧力室に供給される液圧によって各ブレーキシューの端部に向けて進退駆動される一対のホイールシリンダピストンと、軸線をドラム軸方向に向けた円柱状を成すと共に、各ホイールシリンダピストンの先端の平坦面と該平坦面に対向している各ブレーキシューの端部に形成された円弧面とで挟持されて、前記ホイールシリンダピストンと前記ブレーキシューの端部との間での押圧力伝達手段として機能するアンカーピンと、前記シュー駆動用圧力室よりもドラムの中心側に寄った位置に装備されてマスタシリンダからの液圧を受ける制御用圧力室と、該制御用圧力室内に装備されて前記シュー駆動用圧力室及び該制御用圧力室相互を連通している流路を開閉する常開型の入力制御弁と、前記一対のホイールシリンダピストンと並列配置となるよう基端側を前記制御用圧力室に臨んで対向配置され、先端側に作用する押圧力が基端側に作用する液圧に対して所定の倍率に達すると制御用圧力室側に変位して前記入力制御弁を閉じる一対の制御用ピストンと、前記ホイールシリンダピストンの先端部側に位置する一端部には、アンカー反力によってホイールシリンダピストン側に押圧変位した前記アンカーピンの外周面が接触する円弧面状の反力受け部と、前記反力受け部よりもドラムの径方向外側となる位置でシリンダボディに回転自在に接触して揺動支点となる凸曲面部とが装備され、また、前記制御用ピストンの先端部側に位置する他端部には、前記制御用ピストンの先端面に当接する反力出力部が装備されて、前記セカンダリ・シューから前記ホイールシリンダピストンに伝達されるアンカー反力を所定の比率で低減させて前記制御用ピストンの先端部に作用させるてこ部材とを具備して構成されたことを特徴とするものである。
【0009】
以上の構成によれば、ドラムブレーキ装置は、非作動時には、入力制御弁がシュー駆動用及び制御用の圧力室相互を連通している流路を開いていて、ブレーキ操作によってマスタシリンダから液圧が供給されれば、即座にその液圧がシュー駆動用圧力室に供給される状態になっている。
そして、ブレーキ操作によってマスタシリンダからの液圧が制御用圧力室を経由してシュー駆動用圧力室に供給されると、一対のホイールシリンダピストンがシュー駆動用圧力室から押し出され、プライマリ・シュー及びセカンダリ・シューの端部をアンカーピンを介して押圧する。
【0010】
ホイールシリンダピストンによって端部を押圧された各ブレーキシューは、拡開してドラムに押し付けられて、制動力を発生させる。この制動時には、セカンダリ・シューから、ブレーキ効力に応じた大きさのアンカー反力が、アンカーピンを介して、ホイールシリンダピストンに伝えられる。そして、ブレーキ効力が大きくなって、アンカー反力によってアンカーピンが一定以上押し戻されると、アンカーピンはホイールシリンダピストンだけでなく、てこ部材の一端も押圧するようになる。
【0011】
そして、てこ部材に伝えられたアンカー反力は、マスタシリンダの液圧によって進出状態にある制御用ピストンを押し戻す向きの力となって、制御用ピストンに作用する。従って、アンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して所定の倍率に達すると、てこ部材を介して制御用ピストンに作用するアンカー反力によって制御用ピストンが押し戻される。
【0012】
アンカー反力によって押し戻された制御用ピストンは、常開型の入力制御弁を閉じて、シュー駆動用圧力室を密閉状態にして、ホイールシリンダピストンに作用しているシュー駆動用圧力室の液圧を一定に保つ。
このようにシュー駆動用圧力室が密閉された状態での制動状況下で、ブレーキ効力が低下すると、てこ部材を介して制御用ピストンに作用していたアンカー反力が弱まり、マスタシリンダからの液圧によって制御用ピストンが再び進出方向に押し出されるため、常開型の入力制御弁は再開してシュー駆動用圧力室への液圧供給が再開される。
以上のように、制御用ピストンがアンカー反力に応じてシュー駆動用圧力室への液圧供給を制御するため、ホイールシリンダは、マスタシリンダからの入力に対して一定倍率のアンカー反力を安定して受けることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラムブレーキ装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図4は本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態を示したもので、図1はドラムブレーキ装置の非作動時の状態を示す要部断面図、図2はドラムブレーキ装置の作動初期の状態を示す要部断面図、図3はドラムブレーキ装置においてアンカー反力が所定の倍率を超えたときの動作を示す要部断面図、図4はドラムブレーキ装置に装備したてこ部材によるてこ動作の説明図である。
【0014】
このドラムブレーキ装置1は、所謂デュオサーボ式と呼ばれるもので、円筒形のドラム内の空間に対向配備されるプライマリ・シュー3とセカンダリ・シュー4との一対のブレーキシュー3、4と、対向するこれらの一対のブレーキシュー3、4の一方の対向端間に配設されてこれら各ブレーキシュー3、4を拡開するホイールシリンダ5と、これらの一対のブレーキシュー3、4の他方の対向端間に配設されてプライマリ・シュー3の出力をセカンダリ・シュー4に入力する図示略のリンク機構と、これらの構成部材を支持するバッキングプレート7とを備えている。
【0015】
一対のブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に沿う円弧板状のリム3a、4aと、これらのリム3a、4aから内径側に張り出したウェブ3b、4bと、前記リム3a、4aの外周に貼着されたライニング3c、4cとからなる。そして、それぞれのブレーキシュー3、4は、ドラムの内周面に向かって進退可能に、バッキングプレート7に取り付けられている。
また、バッキングプレート7上の一対のブレーキシュー3、4の互いに対向した各端部同士は、図示略のリターンスプリングによって、互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されている。
【0016】
前記バッキングプレート7上には、図示略の駐車ブレーキを構成するパーキングストラットや、パーキングレバーも組込まれ、前記一対のブレーキシュー3、4は前記パーキングレバーの操作によってもドラムに押圧可能にされている。
【0017】
前記リンク機構は長さが可変のアジャスタを構成しており、各ブレーキシュー3、4のライニング3c、4cの摩耗の進行に応じて、これらのブレーキシュー3、4の端部間の間隔を調整するものである。図示略のリンク機構スプリングにより先端がリンク機構上の調整用歯車に当接されたリンク機構レバーの動作で、ブレーキシュー3、4の端部間の間隔を自動調整される。
【0018】
前記ホイールシリンダ5は、ブレーキの効きの安定性が低いという従来のデュオサーボ式のドラムブレーキ装置の難点を解消するため、本発明による特長的な工夫を凝らしたものである。
【0019】
具体的には、前記ホイールシリンダ5は、シュー駆動用圧力室10に臨んで対向配置されて該シュー駆動用圧力室10に供給される液圧によって各ブレーキシュー3、4の端部に向けて進退駆動される一対のホイールシリンダピストン12、13と、これらの各ホイールシリンダピストン12、13の先端の平坦面12a、13aに対向するブレーキシュー3、4の端部と前記平坦面12a、13aとに挟持されて前記ホイールシリンダピストン12、13とブレーキシュー3、4の端部との間での押圧力伝達手段として機能するアンカーピン15と、前記シュー駆動用圧力室10よりもドラムの中心側に寄った位置に装備されてブレーキ操作に応じた液圧を発生するマスタシリンダ(図示略)からの液圧を供給口16aより受ける制御用圧力室16と、該制御用圧力室16内に装備されて前記シュー駆動用及び制御用圧力室10、16相互を連通している流路18を開閉する常開型の入力制御弁20と、前記一対のホイールシリンダピストン12、13よりもドラムの中心側でこれらのホイールシリンダピストン12、13と並列配置になるように基端側を前記制御用圧力室16に臨ませて対向配置された一対の制御用ピストン22、23と、この一対の制御用ピストン22、23や一対のホイールシリンダピストン12、13を摺動可能に支持すると共に前述の各圧力室10、16を提供しているシリンダボディ24と、一端が前記ホイールシリンダピストン12、13の先端部側に位置すると共に他端が前記制御用ピストン22、23の先端側に位置してブレーキシューからホイールシリンダピストン12、13に作用するアンカー反力を制御用ピストン22、23に伝達するてこ部材25とを備えた構成とされている。
【0020】
各ホイールシリンダピストン12、13は、前記シリンダボディ24のシール溝に装備された環状のシール部材27により、液密に摺動可能にされている。また、シリンダボディ24から突出している各ホイールシリンダピストン12、13の先端面は平坦に仕上げられている。
また、各ホイールシリンダピストン12、13の先端部がアンカーピン15を介して各ブレーキシュー3、4に当接した状態が維持されるように、これらのホイールシリンダピストン12、13の基端部が対向するシュー駆動用圧力室10内には、各ホイールシリンダピストン12、13相互を互いに離間する方向に付勢するスプリング(圧縮コイルばね)29が装備されている。
なお、シュー駆動用圧力室10には、エアー抜き用のブリーダ10aが装備されている。
【0021】
前記アンカーピン15は、軸線をドラム軸方向に向けた円柱状を成していて、外周の一側がホイールシリンダピストン12、13の先端の平坦面12a、13aに当接し、外周の他側が前記平坦面12a、13aに対向している各ブレーキシュー3、4の端部に形成された円弧面3d、4dに嵌合している。
即ち、アンカーピン15は、ホイールシリンダピストン12、13の先端の平坦面12a、13aと、各ブレーキシュー3、4の端部の凹円弧面3d、4dとで挟持されている。
【0022】
各制御用ピストン22、23は、前記シリンダボディ24のシール溝に装備された環状のシール部材31により、液密に摺動可能にされている。これらの制御用ピストン22、23の基端部相互は、前記制御用圧力室16内に装備されたスプリング(圧縮コイルばね)32によって互いに離間する方向に付勢されており、シリンダボディ24に係合装備されているスナップリング34に当接することで、突出量が規制されている。
以上の各制御用ピストン22、23は、前述のてこ部材25を介して先端側に作用する押圧力が基端側に作用する液圧よりも大きくなると、制御用圧力室16側に押し戻されて前記入力制御弁20を閉じる。
【0023】
前記てこ部材25の一端部は、前記ホイールシリンダピストン12、13の先端部の両側に延びる二股状になっている。そして、このてこ部材25の二股状の一端部の一側には、アンカー反力によってホイールシリンダピストン12、13側に押圧変位した前記アンカーピン15の外周面が接触する凹円弧面状(本実施形態の場合は、ドラムの軸方向に軸線を持つ円筒面状)の反力受け部36が形成されている。さらに、このてこ部材25の二股状の一端部の他側には、前記反力受け部36よりもドラムの径方向外側となる位置でアンカープレート40を介してシリンダボディ24に回転自在に接触して揺動支点となる凸曲面部(本実施形態の場合は、ドラムの軸方向に軸線を持つ円筒面)37とが装備されている。
【0024】
前記アンカープレート40は、シリンダボディ24よりも耐摩耗性が高い金属材料で形成したもので、凸曲面部37との摩擦抵抗が小さくなるように、表面は滑らかに仕上げられている。このアンカープレート40は、前記てこ部材25の端部との接触摩擦で、シリンダボディ24が摩耗することを防止するためのもので、シリンダボディ24が耐摩耗性に優れた材料で形成されている場合には、省略することができる。
【0025】
また、てこ部材25の他端部には、前記制御用ピストン22、23の先端面に当接する凸曲面状(本実施形態の場合は、ドラムの軸方向に軸線を持つ円筒面)の反力出力部38が装備されている。
以上の構成により、各てこ部材25は、図3及び図4に示すように、前記凸曲面部37とアンカープレート40との接点を揺動支点Pとして、アンカーピン15との接点Cに作用するアンカー反力F1 によって揺動動作する。該てこ部材25は、接点Cに作用するアンカー反力F1 を所定の比率に減じて、制御用ピストン22、23と反力出力部38との接点Oに出力する。
接点Cに作用するアンカー反力F1 を減じる比率は、揺動支点Pから、各作用点C、Oまでの距離L1 、L2 に応じたもので、該てこ部材25から制御用ピストン22、23に作用するアンカー反力F2 は、(L1 /L2 )F1 となる。
【0026】
前記入力制御弁20は、図2に示すように、先端が球状に成形された円柱状の弁本体20aと、該弁本体20aの外周に突設された鍔部20bとを備えた構造で、前記鍔部20bと一方の制御用ピストン22との間に装備されたばね42によって、他方の制御用ピストン23側に付勢されている。また、前記ばね42によって付勢された入力制御弁20は、前記鍔部20bが当接する位置決め片43によって最大突出位置が規制される。この位置決め片43は、制御用圧力室16を提供しているシリンダボディ24に固定支持されている。
制御用圧力室16とシュー駆動用圧力室10とを連通させる流路18は、他方の制御用ピストン23に穿設されている。また、制御用ピストン23の前記入力制御弁20に対向した端面に開口した制御用圧力室16の開口端には、前記入力制御弁20が着座する弁座23aが形成されている。
【0027】
なお、車両の前進時には、ドラムが図中の矢印(イ)方向に回転駆動されるとして、セカンダリ・シューとして機能するブレーキシュー4側のてこ部材25が、アンカー反力を制御用ピストン23に伝達する。後進時には、ブレーキシュー3がセカンダリ・シューとして機能して、該ブレーキシュー3側のてこ部材25がアンカー反力を制御用ピストン22に伝達することになる。
【0028】
以上の構成によれば、非作動時には、図1に示すように、入力制御弁20がシュー駆動用及び制御用の圧力室10、16相互を連通している流路18を開いていて、ブレーキ操作によってマスタシリンダから制御用圧力室16に液圧が供給されれば、即座にその液圧がシュー駆動用圧力室10に供給される状態になっている。
【0029】
そして、ブレーキ操作によってマスタシリンダからの液圧が制御用圧力室16を経由してシュー駆動用圧力室10に供給されると、図2に示すように、一対のホイールシリンダピストン12、13がシュー駆動用圧力室10から押し出され、プライマリ・シュー及びセカンダリ・シューの端部をアンカーピン15を介して押圧する。
ホイールシリンダピストン12、13によって端部を押圧された各ブレーキシュー3、4は、拡開してドラムに押し付けられて、制動力を発生させる。この制動時には、セカンダリ・シューから、ブレーキ効力に応じた大きさのアンカー反力が、アンカーピン15を介して、ホイールシリンダピストン13に伝えられる。
【0030】
そして、ブレーキ効力が大きくなって、アンカー反力によってアンカーピン15が一定以上押し戻されると、図3に示すように、アンカーピン15はホイールシリンダピストン13だけでなく、てこ部材25の一端も押圧するようになる。そして、てこ部材25に伝えられたアンカー反力は、マスタシリンダの液圧によって進出状態にある制御用ピストンを押し戻す向きの力となって、制御用ピストン23に作用する。
従って、アンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して所定の倍率に達すると、てこ部材25を介して制御用ピストン23に作用するアンカー反力F2 によって制御用ピストン23が押し戻される。
【0031】
アンカー反力によって押し戻された制御用ピストン23は、常開型の入力制御弁20により流路18が閉じられ、シュー駆動用圧力室10を密閉状態にして、ホイールシリンダピストン12、13に作用しているシュー駆動用圧力室10の液圧を一定に保つ。
このようにシュー駆動用圧力室10が密閉された状態での制動状況下で、ブレーキ効力が低下すると、てこ部材25を介して制御用ピストン23に作用していたアンカー反力が弱まり、マスタシリンダからの液圧によって制御用ピストン23が再び進出方向に押し出されるため、常開型の入力制御弁20は流路18を再開してシュー駆動用圧力室10への液圧供給が再開される。
【0032】
以上のように、制御用ピストン22、23がアンカー反力に応じてシュー駆動用圧力室10への液圧供給を制御するため、ホイールシリンダは、マスタシリンダからの入力に対して一定倍率のアンカー反力を安定して受けることが可能になる。
【0033】
即ち、以上の実施形態のドラムブレーキ装置1は、基本的には、デュオサーボ式のドラムブレーキ装置であることから、デュオサーボ式が特徴であるブレーキ効力が高く、駐車ブレーキの組み込みが容易であるという長所は、そのまま保有する。
【0034】
また、ホイールシリンダ5に工夫が凝らされており、セカンダリ・シュー4のアンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して所定の倍率に達すると、てこ部材25を介してこのアンカー反力を先端に受けている制御用ピストン23が制御用圧力室16側に変位して、マスタシリンダからシュー駆動用圧力室10への流路18を開閉する入力制御弁20を閉じて、プライマリ・シュー3やセカンダリ・シュー4を押圧している一対のホイールシリンダピストン12、13に作用している液圧を一定に保つ。
そのため、入力に対して一定倍率のアンカー反力を安定して得られるようになり、従来のデュオサーボ式が保有していたブレーキの効きの安定性が低いという重大な問題を解消することができる。
【0035】
従って、ブレーキ効力が高く、しかも、ブレーキの効きの安定性も高く、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であり、マスタシリンダの倍力装置の小型化等によりブレーキシステムの小型化やコスト低減を図ることができる。
【0036】
なお、前述した構成では、入力制御弁20が作動するサーボ比は、制御用圧力室16に臨む制御用ピストン22、23の受圧面積と、これらの制御用ピストン22、23にアンカー反力を伝えるてこ部材25のてこ比の変更により任意値に設定することができ、車種等に応じた制動特性の設計変更にも、簡単に対応することができる。
【0037】
また、てこ部材25は、ブレーキシューから入力するアンカー反力を大幅に低減させて各制御用ピストン22、23に入力させることができ、換言すれば、前記てこ部材25によるてこ比を適宜に設定することで、制御用圧力室16に臨む制御用ピストン22、23の受圧面積は極めて小さくすることが可能で、該制御用ピストン22、23のコンパクト化により、ホイールシリンダ5の小型化やブレーキ装置の小型化をより容易することができる。
【0038】
また、アンカーピン15を介してブレーキシュー2、4の端部を押圧するホイールシリンダピストン12、13の端面は平坦面とされていて、アンカーピン15とホイールシリンダピストン12、13との接触が、円周面と平坦面の組み合わせとなるため、アンカーピン15とホイールシリンダピストン12、13の端面との間にこじり力が発生することがなく、動作信頼性も向上する。
【0039】
【発明の効果】
本発明のドラムブレーキ装置は、基本的には、デュオサーボ式のドラムブレーキ装置であることから、デュオサーボ式が特徴であるブレーキ効力が高く、駐車ブレーキの組み込みが容易であるという長所は、そのまま保有する。
また、制動動作時に一対のブレーキシューの一方の対向端間を拡開するホイールシリンダに工夫が凝らされており、セカンダリ・シューのアンカー反力がマスタシリンダからの入力に対して所定の倍率に達すると、アンカーピン及びてこ部材を介してこのアンカー反力を先端に受けている制御用ピストンが制御用圧力室側に変位して、マスタシリンダからシュー駆動用圧力室への液通路を開閉する入力制御弁を閉じて、プライマリ・シューやセカンダリ・シューを押圧している一対のホイールシリンダピストンに作用している液圧を一定に保つ。
そのため、入力に対して一定倍率のアンカー反力を安定して得られるようになり、従来のデュオサーボ式が保有していたブレーキの効きの安定性が低いという重大な問題を解消することができる。
従って、ブレーキ効力が高く、しかも、ブレーキの効きの安定性も高く、また、駐車ブレーキの組み込みも容易であり、マスタシリンダの倍力装置の小型化等によりブレーキシステムの小型化やコスト低減を図ることができる。
さらに、本発明のドラムブレーキ装置では、入力制御弁が作動するサーボ比は、制御用圧力室に臨む制御用ピストンの受圧面積と、これらの制御用ピストンにアンカー反力を伝えるてこ部材のてこ比の変更により任意値に設定することができ、車種等に応じた制動特性の設計変更にも、簡単に対応することができる。
また、てこ部材の使用により、ブレーキシューから入力するアンカー反力は大幅に低減させて各制御用ピストンに入力させることができ、前記てこ部材によるてこ比を適宜に設定することで、制御用圧力室に臨む制御用ピストンの受圧面積は極めて小さくすることが可能で、該制御用ピストンのコンパクト化により、ホイールシリンダの小型化やブレーキ装置の小型化をより容易することができる。また、アンカーピンを介してブレーキシューの端部を押圧するホイールシリンダピストンの端面は平坦面とされていて、アンカーピンとホイールシリンダピストンとの接触が、円周面と平坦面の組み合わせとなるため、アンカーピンとホイールシリンダピストンの端面との間にこじり力が発生することがなく、動作信頼性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態の非作動時の状態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態の作動初期の状態を示す要部断面図である。
【図3】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態においてアンカー反力が所定の倍率を超えときの動作を示す要部断面図である。
【図4】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施形態に装備したてこ部材によるてこ動作の説明図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
3 プライマリ・シュー(ブレーキシュー)
4 セカンダリ・シュー(ブレーキシュー)
5 ホイールシリンダ
7 バッキングプレート
10 シュー駆動用圧力室
12、13 ホイールシリンダピストン
15 アンカーピン
16 制御用圧力室
16a 供給口
18 流路
20 入力制御弁
22、23 制御用ピストン
24 シリンダボディ
25 てこ部材
29、32 スプリング
34 スナップリング
36 反力受け部
37 凸曲面部
38 反力出力部
40 アンカープレート
42 ばね

Claims (1)

  1. 円筒形のドラム内空間に対向配備されるプライマリ・シューとセカンダリ・シューとの一対のブレーキシューと、これらの一対のブレーキシューの一方の対向端間に配設されてこれら各ブレーキシューを拡開するホイールシリンダと、これらの一対のブレーキシューの他方の対向端間に配設されて前記プライマリ・シューの出力を前記セカンダリ・シューに入力するリンク機構とを備えたデュオサーボ式のドラムブレーキ装置であって、
    前記ホイールシリンダは、
    シュー駆動用圧力室に臨んで対向配置されて該シュー駆動用圧力室に供給される液圧によって各ブレーキシューの端部に向けて進退駆動される一対のホイールシリンダピストンと、
    軸線をドラム軸方向に向けた円柱状を成すと共に、各ホイールシリンダピストンの先端の平坦面と該平坦面に対向している各ブレーキシューの端部に形成された円弧面とで挟持されて、前記ホイールシリンダピストンと前記ブレーキシューの端部との間での押圧力伝達手段として機能するアンカーピンと、
    前記シュー駆動用圧力室よりもドラムの中心側に寄った位置に装備されてマスタシリンダからの液圧を受ける制御用圧力室と、
    該制御用圧力室内に装備されて前記シュー駆動用圧力室及び該制御用圧力室相互を連通している流路を開閉する常開型の入力制御弁と、
    前記一対のホイールシリンダピストンと並列配置となるよう基端側を前記制御用圧力室に臨んで対向配置され、先端側に作用する押圧力が基端側に作用する液圧に対して所定の倍率に達すると制御用圧力室側に変位して前記入力制御弁を閉じる一対の制御用ピストンと、
    前記ホイールシリンダピストンの先端部側に位置する一端部には、アンカー反力によってホイールシリンダピストン側に押圧変位した前記アンカーピンの外周面が接触する円弧面状の反力受け部と、前記反力受け部よりもドラムの径方向外側となる位置でシリンダボディに回転自在に接触して揺動支点となる凸曲面部とが装備され、また、前記制御用ピストンの先端部側に位置する他端部には、前記制御用ピストンの先端面に当接する反力出力部が装備されて、前記セカンダリ・シューから前記ホイールシリンダピストンに伝達されるアンカー反力を所定の比率で低減させて前記制御用ピストンの先端部に作用させるてこ部材と
    を具備して構成されたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
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