JP3974628B2 - 電界検出光学装置、トランシーバ、位置情報取得システム、及び情報入力システム - Google Patents

電界検出光学装置、トランシーバ、位置情報取得システム、及び情報入力システム Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウェアラブルコンピュータ間のデータ通信のために使用されるトランシーバに関し、更に詳しくは、電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の受信が可能なトランシーバに関する。
【0002】
また、本発明は、特に、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させることにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、を備えるトランシーバに関する。
【0003】
また、本発明は、レーザ光の光強度を検出対象の電界に基づいて変調させることで、電界を検出する電界検出光学装置と、そのような電界検出光学装置を備えたトランシーバに関する。
【0004】
また、本発明は、電界伝達媒体により接触された位置に応じて、電界伝達媒体に電界を誘起させる電界誘起手段と、電界伝達媒体に誘起されている電界を受信して電気信号に変換することにより、上記位置の情報を取得するトランシーバと、を備える位置情報取得システムに関する。
【0005】
また、本発明は、位置情報取得システムからの位置情報等に基づいて情報を取得する情報入力システムに関する。
【背景技術】
【0006】
近年、衣服のように人体に着けて、操作及び使用することができるという新しい概念のコンピュータが注目されている。このコンピュータは、ウェアラブルコンピュータ(Wearable Computer)と呼ばれ、携帯端末の小型化及び高性能化により実現が可能となった。
【0007】
また、複数のウェアラブルコンピュータ間のデータ通信を人間の腕、肩、胴体等の人体(生体)を介して行う技術の研究も進んでおり、この技術は既に特許文献等で提案されている(例えば、特開2001−352298号公報(第4−5頁、第1−5図)参照)。図1は、このような人体を介して複数のウェアラブルコンピュータ間通信を行う場合のイメージ図を示している。同図に示すように、ウェアラブルコンピュータ1は、これに当接されたトランシーバ3’とにより一組(セット)を構成しており、他のウェアラブルコンピュータ1とトランシーバ3’の組に対して、人体を介することによりデータ通信を行うことができる。また、ウェアラブルコンピュータ1は、人体に装着しているウェアラブルコンピュータ1以外のPC(パーソナルコンピュータ)5と壁等に設置されているトランシーバ3’aの組や、このPC5と床等に設置されているトランシーバ3’bの組とのデータ通信もそれぞれ可能である。但し、この場合のPC5は、ウェアラブルコンピュータ1とトランシーバ3’のように互いに当接されておらず、ケーブル4を介してトランシーバ3’a,3’bと接続されている。
【0008】
また、人体を介して行うデータ通信に関しては、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用し、送信すべき情報(データ)に基づく電界を人体(電界伝達媒体)に誘起させると共に、この人体に誘起された電界に基づく情報を受信することによって、情報の送受信を行っている。この人体を介したデータ通信の技術については、図2を用いて更に詳しく説明する。
【0009】
図2は、人体(生体100)を介したデータ通信を行うために用いるトランシーバ本体30’の全体構成図である。図2に示すように、トランシーバ本体30’は、送受信電極105’及び絶縁膜107’を介して生体100に接触した状態で使用される。そして、トランシーバ本体30’は、ウェアラブルコンピュータ1から供給されたデータをI/O(入出力)回路101を介して受信し、送信部103に送信する。送信部103では、送受信電極105’から絶縁膜107’を介して電界伝達媒体である生体100に電界を誘起させ、この電界を生体100を介して生体100の他の部位に装着されている別のトランシーバ3’に伝達させる。
【0010】
また、トランシーバ本体30’は、生体100の他の部位に装着された別のトランシーバ3’から生体100に誘起して伝達されてくる電界を絶縁膜107’を介して送受信電極105’で受信する。電界検出光学装置115’を構成する電界検出光学部110’では、この受信した電界を上記電気光学結晶に掛ける(印加する)ことでレーザ光に偏光変化や強度変化を生じさせる。そして、電界検出光学装置115’を構成する受光回路152’では、上記偏光変化や強度変化されたレーザ光を受光して電気信号に変換すると共に、この電気信号の増幅等の信号処理を行う。また、受信回路113を構成する信号処理回路116では、これを構成するバンドパスフィルタにより、様々な周波数の電気信号のうちで、電界検出対象である受信情報に係る周波数成分以外の周波数成分を取り除く(即ち、受信情報に係る周波数成分のみを取り出す)ことで、電気信号の雑音(ノイズ)の除去等の信号処理を行う。そして、受信回路113を構成する波形整形回路117では、上記信号処理回路116を通過した電気信号の波形整形(信号処理)を施し、入出力回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給する。
【0011】
また、図3に示すように、電極を送信用と受信用の2つに分けることもできる。すなわち、送信部103は、送信電極105’aから絶縁膜107’aを介して電界伝達媒体である生体100に電界を誘起させる。一方、受信電極105’bは、生体100の他の部位に装着された別のトランシーバ3’から生体100に誘起して伝達されてくる電界を絶縁膜107’bを介して受信する。尚、他の構成及びその動作は図2と同様である。
【0012】
例えば、図1に示すように、右腕に装着したウェアラブルコンピュータ1は、トランシーバ3’により送信データに係る電気信号を電界として電界伝達媒体である生体100に誘起させ、波線で示すように電界として生体100の他の部位に伝達する。一方、左腕に装着したウェアラブルコンピュータ1では、生体100から伝達されてくる電界をトランシーバ3’により電気信号に戻してから、受信データとして受信することができる。
【0013】
ところで、ウェアラブルコンピュータ1等のコンピュータや携帯電話機等の携帯端末は、図1に示すように生体100に装着したり持ち運びの利便性を考慮して、小型化する要請がある。
【0014】
しかし、コンピュータや携帯端末が小型になるに従い、コンピュータや携帯端末への情報入力が困難になるという問題が生じていた。
【0015】
一方、トランシーバ本体30’における電界検出光学部110’には、偏光変調器のようにレーザ光の偏光変化を強度変化に変換するものや、電界吸収型(EA)光強度変調器、マッハツェンダ型光強度変調器等の光強度変調器ようにレーザ光の強度変化を直接変換するものがある。
【0016】
そこで、図4及び図5を用いて、偏光変調器123を使用した電界検出光学部110’a及び受光回路152’aについて説明し、次に、図6乃至図8を用いて、光強度変調器124を使用した電界検出光学部110’b及び受光回路152’bについて説明する。
【0017】
まず、図4に示すように、偏光変調器123を使用した電界検出光学部110’aは、電流源119、レーザダイオード121、コリメートレンズ133、電気光学素子(電気光学結晶)等の偏光変調器123、第1及び第2波長板135,137、偏向ビームスプリッタ139’、並びに第1及び第2集光レンズ141a,bにより構成されている。
【0018】
また、受光回路152’aは、第1フォトダイオード143a、第1負荷抵抗145a、及び第1定電圧源147a、並びに、第2フォトダイオード143b、第2負荷抵抗145b、及び第2定電圧源147b、並びに、差動アンプ112によって構成されている。
【0019】
このうち、偏光変調器123は、レーザダイオード121から出射されたレーザ光の進行方向に対し、直角方向に結合される電界にのみ感度を有し、この電界強度によって光学特性、すなわち複屈折率が変化し、この複屈折率の変化によりレーザ光の偏光を変化させるように構成されている。偏光変調器123の図上で上下方向に対向する両側面には、第1電極125と第2電極127が設けられている。この第1電極125及び第2電極127は、レーザダイオード121からのレーザ光の偏光変調器123内における進行方向に対して直角に対向し、レーザ光に対して電界を直角に結合させることができる。
【0020】
また、電界検出光学部110’aは、第1電極125を介して受信電極105’bに接続されている。第1電極125に対向する第2電極127は、グランド電極131に接続されており、第1電極125に対してグランド電極として機能するように構成されている。そして、受信電極105’bは、生体100に誘起されて伝達されてくる電界を検出すると、この電界を第1電極125に伝達し、第1電極125を介して偏光変調器123に結合することができる。
【0021】
これによって、電流源119の電流制御によりレーザダイオード121から出力されるレーザ光は、コリメートレンズ133を介して平行光にされ、平行光となったレーザ光は第1波長板135で偏光状態を調整されて、偏光変調器123に入射する。偏光変調器123に入射されたレーザ光は、偏光変調器123内で第1、第2電極125,127の間を伝播するが、このレーザ光の伝播中において上述したように受信電極105’bが生体100に誘起されて伝達されてくる電界を検出し、この電界を第1電極125を介して偏光変調器123に結合すると、この電界は第1電極125からグランド電極131に接続されている第2の電極127に向かって形成される。この電界は、レーザダイオード121から偏光変調器123に入射されたレーザ光の進行方向に直角であるため、偏光変調器123の光学特性である複屈折率が変化し、これによりレーザ光の偏光が変化する。
【0022】
次に、偏光変調器123において第1電極125からの電界によって偏光が変化したレーザ光は、第2波長板137で偏光状態を調整されて偏光ビームスプリッタ139’に入射する。偏光ビームスプリッタ139’は、第2波長板137から入射されたレーザ光をP波及びS波に分離して、光の強度変化に変換する。この偏光ビームスプリッタ139’でP波成分及びS波成分に分離されたレーザ光は、それぞれ第1、第2集光レンズ141a,141bで集光されてから、光電気変換手段を構成する第1、第2のフォトダイオード143a,143bで受光され、第1、第2のフォトダイオード143a,143bにおいてP波光信号とS波光信号をそれぞれの電気信号に変換して出力することができる。尚、第1、第2のフォトダイオード143a,143bから出力される電流信号は、それぞれ第1負荷抵抗145a及び第1定電圧源147a、並びに第2負荷抵抗145b及び第2定電圧源147bにより電圧信号に変換されてから、差動アンプ112による差動で受信情報に係る電圧信号(強度変調信号)を取り出すことができる。尚、この取り出された電圧信号は、図2及び図3に示す信号処理回路116に供給される。
【0023】
また、差動アンプ112では、図5に示すように、第1フォトダイオード143aによる電圧信号Saと、第2フォトダイオード143bによる電圧信号Sbは、位相が180°ずれているため、逆相の信号成分は増幅され、同相のレーザ光の雑音が差し引かれて除去されることになる。
【0024】
そして、図2及び図3に示す信号処理回路116で雑音除去の信号処理が施され、波形整形回路117で波形整形の信号処理を施されてから、入出力回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給されることになる。
【0025】
次に、図6乃至図8を用いて、光強度変調器124を使用した電界検出光学部110’b及び受光回路152’bについて説明する。尚、上記偏光変調器123を使用した電界検出光学部110’a及び受光回路152’aの構成と同一構成については、同一符号を付している。
【0026】
まず、図6に示すように、光強度変調器124を使用した電界検出光学部110’bは、電流源119、レーザダイオード121、コリメートレンズ133、電界吸収型(EA)光強度変調器やマッハツェンダ型光強度変調器等の光強度変調器124、並びに集光レンズ141により構成されている。
【0027】
また、受光回路152’bは、フォトダイオード143、負荷抵抗145、定電圧源147、及び(シングル)アンプ118によって構成されている。
【0028】
このうち、光強度変調器124は、結合する電界強度によって通過する光の光強度が変化するように構成されている。光強度変調器124の図上で上下方向に対向する両側面には、第1電極125と第2電極127が設けられている。この第1電極125及び第2電極127は、レーザダイオード121からのレーザ光の光強度変調器124内における進行方向に対して直角に対向し、レーザ光に対して電界を直角に結合させることができる。
【0029】
また、電界検出光学部110’bは、第1電極125を介して受信電極105’bに接続されている。第1電極125に対向する第2電極127は、グランド電極131に接続されており、第1電極125に対してグランド電極として機能するように構成されている。そして、受信電極105’bは、生体100に誘起されて伝達されてくる電界を検出すると、この電界を第1電極125に伝達し、第1電極125を介して光強度変調器124に結合することができる。
【0030】
ここで、図7を用いて、光強度変調器124の一例である電界吸収型(EA)光強度変調器124aを簡単に説明する。
【0031】
図7に示すように、電界吸収型光強度変調器124aは、光強度が一定のレーザ光が入射された場合には、電界に係る検出信号に応じ、入射レーザ光の強度を最大として、光強度を変化させる変調器である。即ち、電界に係る検出信号に基づいて、上記入射されたレーザ光の光強度が減衰する。
【0032】
また、図8を用いて、光強度変調器124の一例であるマッハツェンダ型光強度変調器124bを簡単に説明する。
【0033】
図8に示すように、マッハツェンダ型光強度変調器124bは、基板201に、この基板201と光の屈折率が異なる2つの導波路203a,bを形成して、レンズ205を介して入射されたレーザ光を導波路203a,b内に閉じこめると共に分岐させる。この分岐させた一方のレーザ光に対して、第1電極125及び第2電極127より電界を掛けて結合させ、その後に、レンズ207を介してレーザ光を出射させる構造となっている。レーザ光の一方に電界を掛けることで、電界を掛けないレーザ光に比べて、少し位相を遅らせたり、進ませたりすることができる。
【0034】
図6に戻り、電流源119の電流制御によりレーザダイオード121から出力されるレーザ光は、コリメートレンズ133を介して平行光にされ、平行光となったレーザ光は光強度変調器124に入射する。光強度変調器124に入射されたレーザ光は、光強度変調器124内で第1、第2電極125,127の間を伝播するが、このレーザ光の伝播中において上述したように受信電極105’bが生体100に誘起されて伝達されてくる電界を検出し、この電界を第1電極125を介して光強度変調器124に結合すると、この電界は第1電極125からグランド電極131に接続されている第2の電極127に向かって形成される。この電界の結合により、光強度が変化したレーザ光が出射され、集光レンズ141を介して、受光回路152’bのフォトダイオード143で受光される。これにより、フォトダイオード143でレーザ光の光強度に応じて電流信号に変換され、フォトダイオード143から出力された電流信号は、負荷抵抗145及び定電圧源147により電圧信号に変換されてから出力される。尚、この出力された電圧信号は、アンプ118により増幅されてから、図2及び図3に示す信号処理回路116に供給される。
【0035】
そして、図2及び図3に示す信号処理回路116で雑音除去の信号処理が施され、波形整形回路117で波形整形の信号処理を施されてから、入出力回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給されることになる。
【0036】
しかし、図6に示す光強度変調器124は、図4に示す偏光変調器123のようなレーザ光の偏光変化を強度変化に変換する変調器とは異なり、図5に示すように差動で強度変調信号が取り出せないため、差動検出ができなかった。差動検出をせずに、光強度変調器124の出力をそのままフォトダイオード143で受光すると、レーザ光の雑音が除去できず受信信号のS/Nが悪くなり、通信品質が劣化するという問題が生じていた。
【0037】
ところで、また、図9に示すように、人間の手(生体100)でトランシーバ3’とウェアラブルコンピュータ1との組みを持つ場合もある。図9に示すトランシーバ3’は、絶縁体により構成された絶縁ケース33の内壁面底部にトランシーバ本体30’が取り付けられ、更に、その上面にトランシーバ本体30’を駆動させるバッテリ6が取り付けられた構成となっている。更に、絶縁ケース33の外壁面底部には、送受信電極105’が取り付けられており、この送受信電極105’は絶縁膜107’で覆われている。尚、ウェアラブルコンピュータ1の操作・入力面以外の部分は、絶縁ケース11で覆われている。
【0038】
しかしながら、図9に示すように手でトランシーバ3’を持った場合には、送受信電極105’から人間の手(生体100)に送信用の電界E1が誘起されても、その一部の電界E2’,E3’が手から絶縁ケース33の側面を介してトランシーバ3’に戻って来てしまう。そのため、トランシーバ3’が正常な送信動作を行わないという問題が生じていた。
【発明の開示】
【0039】
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバを駆動させるバッテリと、上記トランシーバ本体を覆う絶縁ケースと、を備えた構成のトランシーバの外壁面のうち、広範な面を電界伝達媒体である生体で接触した場合であっても、トランシーバの送受信動作を正常に行うことができる技術を提供することを目的としたものである。
【0040】
また、本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、電界検出に光強度変調器を用いた電界検出光学装置、及び、この電界検出光学装置を備えたトランシーバであっても、通信品質の劣化を抑制することを目的としたものである。
【0041】
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバとセットで使用するコンピュータや携帯端末への情報入力を容易に行うことができる技術を提供することを目的としたものである。
【0042】
上記目的を達成するため、第1の態様に係る発明は、電界を電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界を受信する送受信用電極と、送信すべき情報に基づいた前記電界を前記送受信用電極に生じさせると共に、前記送受信用電極に生じた前記電界を受信情報に変換することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、前記送受信電極と前記電界伝達媒体との間に介在する第1の構造物と、前記トランシーバ本体と前記電界伝達媒体との間に在する第2の構造物と、前記トランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体と前記バッテリとの間に介在する第3の構造物と、を備えたトランシーバであって、前記第1、第2、及び第3の構造物は、抵抗と容量の並列回路として等価される構造物であるトランシーバを要旨とする。
【0044】
の態様に係る発明は、第の態様に係る発明において、前記第1の構造物は、前記電界伝達媒体に対して前記送受信電極を覆う絶縁膜であることを要旨とする。
【0045】
の態様に係る発明は、第の態様に係る発明において、前記第2の構造物及び第3の構造物は、絶縁性部材であることを要旨とする。
【0048】
の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、前記バッテリと前記トランシーバ本体の間の、空気が含まれる発泡材と、を備えたトランシーバであって、前記送信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように絶縁膜で覆われていることを要旨とする。
【0049】
の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、前記バッテリと前記トランシーバ本体の間の複数の木材支柱と、を備えたトランシーバであって、前記送信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように絶縁膜で覆われていることを要旨とする。
【0050】
の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、前記バッテリと前記トランシーバ本体の間の、所定の気体を閉じこめたクッション材と、を備えたトランシーバであって、前記送信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように絶縁膜で覆われていることを要旨とする。
【0052】
の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、前記トランシーバ本体が駆動する際に必要とする基準電圧を画定するものであって、前記絶縁ケース外の外部装置に取り付けられたグランド電極と、を備えたトランシーバであって、前記送信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように絶縁膜で覆われていることを要旨とする。
【0053】
また、上記目的を達成するため、第の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、を備えたトランシーバであって、前記送信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように第1の絶縁膜で覆われ、前記受信用電極は、前記第1の絶縁膜の外壁面に設けられると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように第2の絶縁膜で覆われているトランシーバを要旨とする。
【0054】
また、上記目的を達成するため、第の態様に係る発明は、送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極から電界伝達媒体に誘起させると共に、前記電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極で受信することにより、前記電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、前記トランシーバ本体が内蔵された絶縁ケースと、を備えたトランシーバであって、前記受信用電極は、前記絶縁ケースの外壁面のうち、前記電界伝達媒体が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように第1の絶縁膜で覆われ、前記送信用電極は、前記第1の絶縁膜の外壁面に設けられると共に、前記電界伝達媒体に直接接触しないように第2の絶縁膜で覆われているトランシーバを要旨とする。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【0074】
[図1]人体を介して複数のウェアラブルコンピュータ間通信を行う場合のイメージ図である。
[図2]従来のトランシーバ本体の全体構成図である。
[図3]従来の他のトランシーバ本体の全体構成図である。
[図4]従来の(偏光変調型)トランシーバ本体の電界検出光学部及び受光回路の詳細構成図である。
[図5]図4に示す差動アンプの入力信号の波形を示した図である。
[図6]従来の(光強度変調型)トランシーバ本体の電界検出光学部及び受光回路の詳細構成図である。
[図7]従来の(光強度変調型)トランシーバ本体の電界検出光学部で使用する光強度変調器が電界吸収型の場合の原理図である。
[図8]従来の(光強度変調型)トランシーバ本体の電界検出光学部で使用する光強度変調器がマッハツェンダ型の場合の原理図である。
[図9]人間の手でトランシーバとウェアラブルコンピュータとの組みを持つ場合のそれらの使用状態を示したイメージ図である。
[図10]本発明の第1の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの使用状態を示した正面のイメージ図である。
[図11]本発明の第1の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの使用状態を示した平面のイメージ図である。
[図12]情報通信、発信器A用、発信器B用の周波数帯域を示した図である。
[図13]第1の実施形態に係るトランシーバ内のトランシーバ本体の全体構成図である。
[図14]第2の実施形態に係るトランシーバ内のトランシーバ本体の全体構成図である。
[図15]第1及び第2の実施形態に係る電界伝達シートの具体例を示した図である。
[図16]第1及び第2の実施形態に係る電界伝達シートの具体例を示した図である。
[図17]第1及び第2の実施形態に係る電界伝達シートの具体例を示した図である。
[図18]本発明の第3〜第7の実施形態に係るトランシーバ本体の全体構成図である。
[図19]第3の実施形態に係るトランシーバ本体の電界検出光学部、受光回路の詳細構成図である。
[図20]第4の実施形態に係るトランシーバ本体の電界検出光学部、受光回路の詳細構成図である。
[図21]第5の実施形態に係るトランシーバ本体の電界検出光学部、受光回路の詳細構成図である。
[図22]第6の実施形態に係るトランシーバ本体の電界検出光学部、受光回路の詳細構成図である。
[図23]第7の実施形態に係るトランシーバ本体の電界検出光学部、受光回路の詳細構成図である。
[図24]本発明の第8の実施形態に係るトランシーバ本体の全体構成図である。
[図25]生体、送受信電極、及びトランシーバ本体間の等価回路を示す図である。
[図26]生体、トランシーバ本体、及びバッテリ間の等価回路を示す図である。
[図27]本発明の第9の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図28]主にトランシーバ本体の機能を示した機能ブロック図である。
[図29]電界検出光学装置の詳細構成図である。
[図30]図27に示すトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの使用状態を示した使用イメージ図である。
[図31]本発明の第10の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図32]本発明の第11の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図33]本発明の第12の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図34]本発明の第13の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図35]本発明の第14の実施形態に係るトランシーバ及びウェアラブルコンピュータの全体構成図である。
[図36]本発明のその他の実施形態を示した図である。
[図37]本発明のその他の実施形態を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。
【0076】
尚、本発明の実施形態に係るトランシーバ3は、送信すべき情報に基づいた電界を電界伝達媒体(生体100等)に誘起させる一方で、電界伝達媒体に誘起されている電界に基づいた情報を受信することにより、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバである。
【0077】
先ず、特に小型化されたウェアラブルコンピュータに対して情報入力を容易に行うことができるトランシーバに係る実施形態について説明する。
【0078】
<第1の実施形態>
以下、図面を用いて、第1の実施形態を説明する。
【0079】
図10は、第1の実施形態に係るトランシーバ3及びウェアラブルコンピュータ1の使用状態を示した正面のイメージ図である。図11は、同じく使用状態を示した平面のイメージ図である。
【0080】
図10に示すように、テーブル300の平面上に絶縁性の絶縁シート301を張り付け、更に、絶縁シート301の平面上に電界を伝達可能な電界伝達シート302を張り付けている。また更に、電界伝達シート302の平面上の別角にそれぞれ発信器A,Bを配置させている。この配置位置は、図11に示すように、電界伝達シート302が長方形の場合には、任意の別角である。
【0081】
また、発信器A,Bは、それぞれ図3に示すような送信部103、送信電極105’a及び絶縁膜107’aと同様の構成を有し、それぞれ図12に示すような発信周波数fa,fbに係る電気信号に基づいた電界を電界伝達シート302に誘起させることが可能である。
【0082】
図13は、本実施形態に係るトランシーバ3内のトランシーバ本体30aの全体構成図である。
【0083】
図13に示すように、トランシーバ本体30aは、I/O(入出力)回路101、送信部103、送信電極105a、絶縁膜107a,107b、受信電極105b、電界検出光学装置115、信号処理回路116、及び波形整形回路117を有している点は、従来のトランシーバ本体30’と同様である。更に、本実施形態のトランシーバ本体30aは、バンドパスフィルタ11a,11b、信号強度測定部13a,13b、位置換算処理部15、及びメモリ17を有している。
【0084】
このうち、I/O回路101は、トランシーバ本体30aがウェアラブルコンピュータ1等の外部機器との情報(データ)の入出力を行う回路である。送信部103は、I/O回路101から出力される情報(データ)に基づき、この情報に係る電界を生体100に誘起させる送信回路によって構成されている。送信電極105aは、送信部103により生体100に対して電界を誘起するために使用する電極であり、送信用アンテナとして使用される。絶縁膜107aは、送信電極105aと生体100との間に配置する絶縁体の膜であり、送信電極105aが直接生体100に接触することを防ぐ役割を果たす。
【0085】
また、受信電極105bは、生体100の他の部分に装着されているウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3’やPC5及びトランシーバ3’a,3’bから生体100に誘起されて伝達されてくる電界を受信するために使用する電極であり、受信用アンテナとして使用される。絶縁膜107bは、上記絶縁膜107aと同様に、受信電極105bと生体100との間に配置された絶縁体の膜である。
【0086】
更に、電界検出光学装置115は、受信電極105bで受信した電界を検出し、この電界を受信情報として電気信号に変換する機能を有している。また、信号処理回路116は、更に電界検出光学装置115から送信されてきた電気信号の増幅を行う増幅部114、及び、バンドパスフィルタ151によって構成されている。このバンドパスフィルタ151は、増幅部114から出力される電気信号の帯域を制限して不要な雑音や不要な信号成分を除去することで、増幅部114から出力される電気信号のうち、図12に示すような情報通信用の一定幅の周波数帯域(f1〜f2)のみの信号成分を通過させる特性を有するフィルタ回路である。
【0087】
また、波形整形回路117は、信号処理回路116から送信されてきた電気信号に波形整形(信号処理)を施し、I/O回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給する回路である。
【0088】
更に、バンドパスフィルタ11aは、増幅部114から出力される電気信号の帯域を制限して不要な雑音や不要な信号成分を除去することで、増幅部114から出力される電気信号のうち、図12に示すような発信器A用の周波数帯域(fa)のみの信号成分を通過させる特性を有するフィルタ回路である。信号強度測定部13aは、バンドパスフィルタ11aによって通過した信号成分に係る電気信号の信号強度を測定する回路である。
【0089】
一方、バンドパスフィルタ11bは、増幅部114から出力される電気信号の帯域を制限して不要な雑音や不要な信号成分を除去することで、増幅部114から出力される電気信号のうち、図12に示すような発信器B用の周波数帯域(fb)のみの信号成分を通過させる特性を有するフィルタ回路である。信号強度測定部13bは、バンドパスフィルタ11bによって通過した信号成分に係る電気信号の信号強度を測定する回路である。
【0090】
メモリ17は、2つの電気信号の強度差と二次元空間における特定位置とを関連付けて記憶しておく記憶手段である。本実施形態では、図10及び図11に示す電界伝達シート302上における任意位置と強度差を予め関連付けておく。また、このメモリ17に記憶されている強度差と特定位置の関連付けは、ウェアラブルコンピュータ1等の外部装置からI/O回路101を介して書き換えが可能である。
【0091】
また、位置換算処理部15は、信号強度測定部13aで測定した信号強度と信号強度測定部13bで測定した信号強度の強度差を計算すると共に、この強度差とメモリ17に記憶している強度差とを照合することで、上記計算した強度差を二次元空間における特定位置に換算する処理を行うCPU(Central Processing Unit)等の処理装置である。
【0092】
続いて、本実施形態に係るトランシーバ本体30a及び発信器A,Bを使用した位置特定方法について説明する。
【0093】
図10及び図11に示すように、発信器A,Bを電界伝達シート302上に設置して駆動させた状態で、ウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3を装着した人間が電界伝達シート302上の特定位置αに触れる。これにより、受信電極105bでは、指(生体100)及び絶縁膜107bを介して発信器A,Bからの電界を受信する。電界検出光学装置115では、この受信した電界を電界検出光学装置115における不図示の電気光学結晶に結合(印加)して電気信号に変換してから信号処理回路116に送信する。信号処理回路116の増幅部114では、電気信号の増幅を行い、バンドパスフィルタ151に送信する。しかし、発信器A,Bからの電界に係る電気信号は、このバンドパスフィルタ116を通過しない。
【0094】
また、増幅部114から送信された電気信号は、バンドパスフィルタ11a,11bにも送信される。
【0095】
そして、バンドパスフィルタ11aでは、発信器A,Bからの電界に係る電気信号のうち、発信器A用の帯域(fa)のみの信号成分を通過させて信号強度測定部13aに送信する。信号強度測定部13aでは、バンドパスフィルタ11aによって通過した信号成分に係る電気信号の信号強度を測定する。
【0096】
一方、バンドパスフィルタ11bでは、発信器A,Bからの電界に係る電気信号のうち、発信器B用の帯域(fb)のみの信号成分を通過させて信号強度測定部13bに送信する。信号強度測定部13bでは、バンドパスフィルタ11bによって通過した信号成分に係る電気信号の信号強度を測定する。
【0097】
次に、位置換算処理部15では、信号強度測定部13aで測定した信号強度と信号強度測定部13bで測定した信号強度の強度差を計算すると共に、この強度差とメモリ17に記憶している強度差とを照合することで、上記計算した強度差を電界伝達シート202上の二次元空間における特定位置αに換算する処理を行う。
【0098】
そして最後に、位置換算処理部15で求めた特定位置αの位置情報(データ)は、位置換算処理部15からI/O回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に送信される。
【0099】
以上説明したように本実施形態によれば、信号強度測定部13aで測定した信号強度と信号強度測定部13bで測定した信号強度の強度差を計算すると共に、この強度差とメモリ17に記憶している強度差とを照合することで、上記計算した強度差を二次元空間における特定位置に換算することにより、電界伝達シート302のうちで、指(生体100)が触れた特定位置αの位置情報をウェアラブルコンピュータ1等に入力することができるため、ウェアラブルコンピュータ1等への情報入力を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0100】
尚、上記実施形態では、位置換算処理部15によって、信号強度測定部13aで測定した信号強度と信号強度測定部13bで測定した信号強度の強度差を計算したが、これに限るものではなく、信号強度測定部13aで測定した信号強度と信号強度測定部13bで測定した信号強度の強度比を計算してもよい。但し、この場合には、メモリ17に、2つの電気信号の強度比と二次元空間における特定位置とを関連付けて記憶させておく必要がある。
【0101】
<第2の実施形態>
続いて、図面を用いて、第2の実施形態を説明する。
【0102】
図14は、第2の実施形態に係るトランシーバ内のトランシーバ本体30bの全体構成図である。尚、上記第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0103】
図14に示す位相検波器23aは、バンドパスフィルタ11aによって通過した信号成分に係る電気信号の位相を検波する回路である。また、位相検波器23bは、バンドパスフィルタ11bによって通過した信号成分に係る電気信号の位相を検波する回路である。
【0104】
メモリ27は、2つの電気信号の位相差と二次元空間における特定位置とを関連付けて記憶しておく記憶手段である。ここでは、図10及び図11に示す電界伝達シート302上における任意位置と位相差を予め関連付けておく。また、このメモリ27に記憶されている位相差と特定位置の関連付けは、ウェアラブルコンピュータ1等の外部装置からI/O回路101を介して書き換えが可能である。
【0105】
また、位置換算処理部25は、位相検波器23aで測定した位相と位相検波器23bで測定した位相の差を計算すると共に、この位相差とメモリ27に記憶している位相差とを照合することで、上記計算した位相差を二次元空間における特定位置に換算する処理を行うCPU等の処理装置である。
【0106】
続いて、本実施形態に係るトランシーバ30b及び発信器A,Bを使用した位置特定方法について説明する。
【0107】
図10及び図11に示すように、発信器A,Bを電界伝達シート302上に設置して駆動させた状態で、ウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3を装着した人間が電界伝達シート302上の特定位置αに触れる。これにより、受信電極105bでは、指(生体100)及び絶縁膜107bを介して発信器A,Bからの電界を受信する。電界検出光学装置115では、この受信した電界を電界検出光学装置115における不図示の電気光学結晶に結合(印加)して電気信号に変換してから信号処理回路116に送信する。信号処理回路116の増幅部114では、電気信号の増幅を行い、バンドパスフィルタ151に送信する。しかし、発信器A,Bからの電界に係る電気信号は、このバンドパスフィルタ151を通過しない。
【0108】
また、増幅部114から送信された電気信号は、バンドパスフィルタ11a,11bにも送信される。
【0109】
そして、バンドパスフィルタ11aでは、発信器A,Bからの電界に係る電気信号のうち、発信器A用の帯域(fa)のみの信号成分を通過させて位相検波器23aに送信する。位相検波器23aでは、バンドパスフィルタ11aによって通過した信号成分に係る電気信号の位相を検波する。
【0110】
一方、バンドパスフィルタ11bでは、発信器A,Bからの電界に係る電気信号のうち、発信器B用の帯域(fb)のみの信号成分を通過させて位相検波器23bに送信する。位相検波器23bでは、バンドパスフィルタ11bによって通過した信号成分に係る電気信号の位相を検波する。
【0111】
次に、位置換算処理部25では、位相検波器23aで測定した位相と位相検波器23bで測定した位相の差を計算すると共に、この位相差とメモリ27に記憶している位相差とを照合することで、上記計算した位相差を電界伝達シート302上の二次元空間における特定位置αに換算する処理を行う。
【0112】
そして最後に、位置換算処理部25で求めた特定位置αの位置情報(データ)は、位置換算処理部25からI/O回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に送信される。
【0113】
以上説明したように本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0114】
以下、図15乃至図17を用いて、上記第1及び第2の実施形態の具体例を説明する。
【0115】
<第1の具体例>
図15及び図16では、上記各実施形態を電界伝達シート302a、パソコン用のキーボードに用いた例を示している。図15に示すように、電界伝達シート302a上にキーボードの絵を印字することで、例えば、人間が特定位置α1に触れると、発信器A,Bからのそれぞれの距離x1,y1から、触れたキーを特定することができる。
【0116】
尚、前述のように、トランシーバ3からウェアラブルコンピュータ1からは位置情報、この場合には発信器A,Bからのそれぞれの距離x1,y1、が送られるが、ウェアラブルコンピュータ1内には、電界伝達シート302a上の位置とその位置の印字情報との関係と同じ、位置情報対入力情報の対応表が備えられており、これにより、ウェアラブルコンピュータ1は人間が意図した情報を把握することができる。
【0117】
<第2の具体例>
図17では、上記各実施形態を、タッチパネル、タッチスクリーン、又はショーケース等の電界伝達シート302bに用いた例を示している。この場合も同様に、例えば、人間が特定位置α2に触れると、発信器A,Bからのそれぞれの距離x2,y2から、触れた位置を特定することができる。
【0118】
尚、上述の実施形態にあっては、「2つ発信器」と「電界伝達シート」を用い、電界伝達シートに手(指)で触れることにより、2つの発信器からの電気信号を手(生体100)を介してトランシーバに送り、トランシーバは、その2つの電気信号を分離し、その2つの電気信号に基づいて、その触れた位置の、2つの発信器からの隔たりの情報を取得しているが、本発明の趣旨はこれに限られることはない。
【0119】
例えば、二次元平面のみならず、三次元空間にも応用できる。即ち、「3つの発信器」と三次元的な「電界伝達媒体」なるものを用いれば、3つの発信器から三次元上のある点を指し示した指まで、その電界伝達媒体を介して信号を伝達させることができ、そのときトランシーバは、3つの信号を分離することとなる。これにより、人間が意図した三次元空間内の点の位置情報をトランシーバが取得できることになる。更に、これを、ウェアラブルコンピュータ等の情報機器に送ってやれば、人間が三次元空間内のある点を指示することにより意図した情報を情報機器に入力させることができる。
【0120】
また、トランシーバの処理速度が十分であれば、トランシーバは、指等の位置の情報を、指等の動きの情報としても把握できることになる。つまり、例えば、電界伝達シートを指でなぞることにより、トランシーバは、指の動きをリアルタイムで把握することができ、またその情報をウェアラブルコンピュータ等の情報機器に送ってやれば、その動き情報自体や、その動き情報に関連した、人間が意図した情報を、情報機器に入力させることができる。
【0121】
更に、生体を介してトランシーバに送る情報は位置(速度)を取得できる信号だけとは限らない。例えば、電界伝達シートに圧力を検知する機能を持たせれば、その圧力信号も電界に変換して指等を介して、トランシーバに送ることもできることとなる。つまり、この場合、人間が意図した押し付ける力の情報をトランシーバは取得することができ、更にこの情報をウェアラブルコンピュータ等の情報機器に送ってやれば、その情報機器がその押し付ける力に対応した情報を取得することができることとなる。
【0122】
尚、以上の説明では、ウェアラブルコンピュータ等の情報機器が、人間が意図した位置の情報や圧力の情報に対応する情報を有しているように説明したが、トランシーバ自体がこの情報を持っていてもよく、そうすればトランシーバ自体が人間が意図した情報を取得することができる。また、ウェアラブルコンピュータ等の情報機器及びトランシーバ以外の第3の機器がその情報を所持していて、情報機器及びトランシーバがその第3の機器からその情報を取得するようにしてもよい。
【0123】
次に、電界検出光学部において光強度変調器を採用した場合のトランシーバに係る実施形態について説明する。
【0124】
<第3の実施形態>
以下、図18及び図19を用いて、本発明の第3の実施形態に係る電界検出光学装置115a及び、この電界検出光学装置115aを備えた光強度変調型トランシーバ(以下、単に「トランシーバ」という)3について説明する。
【0125】
図18は、人体(生体100)を介したデータ通信を行うために用いるトランシーバ本体30cの全体構成図である。尚、図18は、第3〜第7の実施形態に共通の全体構成図である。
【0126】
図18に示すように、トランシーバ本体30cは、I/O(入出力)回路101、送信部103、送信電極105a、受信電極105b、絶縁膜107a,107b、電界検出光学装置115(電界検出光学部110、受光回路152)、信号処理回路116、及び波形整形回路117を有している。
【0127】
I/O回路101は、トランシーバ本体3cがウェアラブルコンピュータ1等の外部装置との情報(データ)の入出力を行う回路である。送信部103は、I/O回路101から出力される情報(データ)に基づき、この情報に係る電界を生体100に誘起させる送信回路によって構成されている。送信電極105aは、送信部103により生体100に対して電界を誘起するために使用する電極であり、送信用アンテナとして使用される。また、受信電極105bは、生体100の他の部分に装着されているウェアラブルコンピュータ1及びトランシーバ3’やPC5及びトランシーバ3’a,3’bから生体100に誘起されて伝達されてくる電界を受信するために使用する電極であり、受信用アンテナとしても使用される。
【0128】
また、絶縁膜107aは、送信電極105aと生体100との間に配置する絶縁体の膜であり、送信電極105aが直接生体100に接触することを防ぐ役割を果たす。絶縁膜107bは、受信電極105bと生体100との間に配置する絶縁体の膜であり、受信電極105bが直接生体100に接触することを防ぐ役割を果たす。
【0129】
更に、電界検出光学装置115を構成する電界検出光学部110は、受信電極105bで受信した電界をレーザ光に掛ける(印加する)ことでレーザ光に光強度変化を生じさせる機能を有している。
【0130】
また、電界検出光学装置115を構成する受光回路152は、上記光強度変化されたレーザ光を受光して電気信号に変換すると共に、この電気信号の増幅等の信号処理を行う回路である。また、信号処理回路116は、少なくともバンドパスフィルタによって構成されており、このバンドパスフィルタにより、様々な周波数の電気信号のうちで、電界検出対象である受信情報に係る周波数成分以外の周波数成分を取り除く(即ち、受信情報に係る周波数成分のみを取り出す)ことで、電気信号の雑音(ノイズ)の除去等の信号処理を行う。
【0131】
また、波形整形回路117は、信号処理回路116から送信されてきた電気信号に波形整形(信号処理)を施し、I/O回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給する回路である。
【0132】
次に、図19を用いて、電界検出光学装置115の一例であり、第3の実施形態に係る電界検出光学装置115aについて、更に詳細に説明する。尚、本実施形態に係る電界検出光学装置115aには、電界検出光学部110の一例である電界検出光学部110a、及び受光回路152の一例である受光回路152aが備えられている。また、電界検出光学装置115aは、トランシーバ本体30の一例であるトランシーバ本体30cに設置されている。
【0133】
本実施形態に係る電界検出光学部110aは、電流源119、レーザダイオード121、コリメートレンズ133、ビームスプリッタ139、光強度変調器124、並びに第1及び第2集光レンズ141a,bにより構成されている。
【0134】
このうち、光強度変調器124は、結合する電界強度によって通過する光の光強度が変化するように構成されている。光強度変調器124の図上で上下方向に対向する両側面には、第1電極125と第2電極127が設けられている。この第1電極125及び第2電極127は、レーザダイオード121からのレーザ光の光強度変調器124内における進行方向を両側から挟み、レーザ光に対して電界を直角に結合させることができる。
【0135】
また、電界検出光学部110aは、第1電極125を介して受信電極105bに接続されている。第1電極125に対向する第2電極127は、グランド電極131に接続されており、第1電極125に対してグランド電極として機能するように構成されている。そして、受信電極105bは、生体100に誘起されて伝達されてくる電界を検出すると、この電界を第1電極125に伝達し、第1電極125を介して光強度変調器124に結合することができる。
【0136】
電流源119の電流制御によりレーザダイオード121から出力されるレーザ光は、コリメートレンズ133を介して平行光にされ、平行光となったレーザ光はビームスプリッタ139に入射する。このビームスプリッタ139は、入射されたレーザ光を2つに分岐して出射する光学系である。このビームスプリッタ139で分岐されたレーザ光のうちの第1のレーザ光は、光強度変調器124を介して第1集光レンズ141aに入射される。また、ビームスプリッタ139で分岐されたうちの第2のレーザ光は、光強度変調器124を介さずに第2集光レンズ141bに入射される。
【0137】
一方、受光回路152aは、光強度変調器124によって光強度変調した第1のレーザ光の光強度に応じて電流信号に変換する第1フォトダイオード143a、この第1フォトダイオード143aに対して、逆バイアス電圧を与える第1定電圧源147a、及び第1フォトダイオード143aによって変換された電流信号を電圧信号に変換する第1負荷抵抗145aから成る第1の組みと、第2集光レンズ141bを介して受光した第2のレーザ光の光強度に応じて電流信号に変換する第2フォトダイオード143b、この第2フォトダイオード143bに対して、逆バイアス電圧を与える第2定電圧源147b、及び第2フォトダイオード143bによって変換された電流信号を電圧信号に変換する第2負荷抵抗145bから成る第2の組みとを備えている。
【0138】
これにより、電界検出光学部110aの光強度変調器124及び第1集光レンズ141aを通って来た第1のレーザ光は、第1フォトダイオード143aで受光されて、上記第1の組みにより結果的に電圧信号(信号成分あり)を出力する。また、電界検出光学部110aの第2集光レンズ141bを通って来た第2のレーザ光は、第2フォトダイオード143bで受光されて、上記第2の組みにより結果的にレーザ光の雑音(ノイズ)を含んだ電圧信号(信号成分無し)を出力する。
【0139】
そして、受光回路152aは、第1負荷抵抗145aによって変換された電圧信号と第2負荷抵抗145bによって変換された電圧信号とを差動増幅する差動アンプ112も備えており、差動アンプ112によって差動増幅行い、この出力が図18に示す信号処理回路116に供給される。
【0140】
以上説明したように本実施形態によれば、光強度変調器124にレーザ光が入射する直前でレーザ光を分岐し、一方を光強度変調器124に入力して電界を検出するレーザ光(信号成分あり)として用い、他方は光強度変調器124に入力せずにレーザ光の雑音を除去するためのレーザ光(信号成分無し)としてのみ用いている。このため、偏光変調器123のようなレーザ光の偏光変化を強度変化に変換する変調器のように差動で強度変調信号が取り出せない光強度変調器124を用いた場合でも、レーザ光の雑音を除去することができる。
【0141】
<第4の実施形態>
以下、図20を用いて、本発明の第4の実施形態に係る電界検出光学装置115b及び、この電界検出光学装置115bを備えた光強度変調型トランシーバ3について説明する。
【0142】
本実施形態に係る電界検出光学装置115bは、上記第3の実施形態に係る電界検出光学装置115aにおける電界検出光学部110aに代えて、以下に示す電界検出光学部110bを備えたものである。尚、電界検出光学部110bの構成のうち、上記電界検出光学部110aの構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態の受光回路152aは、上記第1の実施形態に係る受光回路152aと同一構成であるため、その説明を省略する。
【0143】
図20に示すように、本実施形態の電界検出光学部110bでは、ビームスプリッタ139と光強度変調器124の間に第1光可変アッテネータ134Aを挿入設置し、ビームスプリッタ139と第2集光レンズ141bの間に第2光可変アッテネータ134Bを挿入設置している。この第1、第2の光可変アッテネータ134A,Bは、レーザ光の光強度を所定割合減衰させるものである。
【0144】
但し、ビームスプリッタ139で2つに分岐されたうちの第1のレーザ光は光強度変調器124を通過するが、第2のレーザ光は光強度変調器124を通過しないため、第1のレーザ光の伝達効率よりも第2のレーザ光の伝達効率が高いことから、両方のバランスを図る必要がある。そのため、本実施形態では、第1のレーザ光が通過する第1光可変アッテネータ134Aの減衰量よりも、第2のレーザ光が通過する第2光可変アッテネータ134Bの減衰量を大きく設定している。
【0145】
これによって、第1光可変アッテネータ134Aにより、ビームスプリッタ139によって分岐した第1のレーザ光の光強度を減衰させてから第1フォトダイオード143aで電流信号に変換させることができると共に、第2光可変アッテネータ134Bにより、ビームスプリッタ139によって分岐した第2のレーザ光の光強度を減衰させてから第2フォトダイオード143bで電流信号に変換させることができる。しかも、減衰量の割合は、第1光可変アッテネータ134Aを通過するレーザ光よりも、第2光可変アッテネータ134Bを通過するレーザ光の方が大きい。
【0146】
以上説明したように本実施形態によれば、第1,第2光可変アッテネータ134A,Bを挿入設置することで、レーザ光の雑音を除去するために、レーザ光を分岐させた場合でも、差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができる。
【0147】
尚、第2光可変アッテネータ134Bのみで差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができれば、第1光可変アッテネータ134Aを取り付けずに省略してもよい。
【0148】
<第5の実施形態>
以下、図21を用いて、本発明の第5の実施形態に係る電界検出光学装置115c及び、この電界検出光学装置115cを備えた光強度変調型トランシーバ3について説明する。
【0149】
本実施形態に係る電界検出光学装置115cは、上記第3の実施形態に係る電界検出光学装置115aにおける受光回路152aに代えて、以下に示す受光回路152bを備えたものである。尚、受光回路152bの構成のうち、上記受光回路152aの構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態の電界検出光学部110aは、上記第1の実施形態に係る電界検出光学部110aと同一構成であるため、その説明を省略する。
【0150】
図21に示すように、第3の実施形態の第1,第2負荷抵抗145a,bに代えて、本実施形態の受光回路152bでは、それぞれ第1,第2可変負荷抵抗145A,Bを設けた点が特徴である。これら第1,第2可変負荷抵抗145A,Bは、負荷抵抗値が可変であり、第1可変負荷抵抗145Aの抵抗値よりも、第2可変負荷抵抗145Bの抵抗値の方が大きくなるように設定されている。
【0151】
これによって、第1フォトダイオード143a及び第2フォトダイオード143bからの出力電圧信号の信号強度を同じにすることができる。
【0152】
以上説明したように本実施形態によれば、第1の実施形態の第1,第2負荷抵抗145a,bに代えて、本実施形態の受光回路152bでは、第1,第2可変負荷抵抗145A,Bを設けることで、レーザ光の雑音を除去するために、レーザ光を分岐させた場合でも、差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができる。
【0153】
尚、第1,第2可変負荷抵抗145A,Bのうちの一方のみで差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができれば、いずれか一方を取り付けずに省略してもよい。
【0154】
<第6の実施形態>
以下、図22を用いて、本発明の第6の実施形態に係る電界検出光学装置115d及び、この電界検出光学装置115dを備えた光強度変調型トランシーバ3について説明する。
【0155】
本実施形態に係る電界検出光学装置115dは、上記第3の実施形態に係る電界検出光学装置115aにおける受光回路152aに代えて、以下に示す受光回路152cを備えたものである。尚、受光回路152cの構成のうち、上記受光回路152aの構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態の電界検出光学部110aは、上記第1の実施形態に係る電界検出光学部110aと同一構成であるため、その説明を省略する。
【0156】
図22に示すように、第3の実施形態の第1,第2定電圧源147a,bに代えて、本実施形態の受光回路152cでは、それぞれ第1,第2可変電圧源147A,Bを設けた点が特徴である。これら第1,第2可変電圧源147A,Bは、電圧値が可変であり、第1可変電圧源147Aの電圧値よりも、第2可変電圧源145Bの電圧値の方が小さくなるように設定されている。
【0157】
これによって、第1フォトダイオード143a及び第2フォトダイオード143bからの出力電圧信号の信号強度を同じにすることができる。
【0158】
以上説明したように本実施形態によれば、第3の実施形態の第1,第2定電圧源147a,bに代えて、本実施形態の受光回路152cでは、それぞれ第1,第2可変電圧源147A,Bを設けることで、レーザ光の雑音を除去するために、レーザ光を分岐させた場合でも、差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができる。
【0159】
尚、第1,第2可変電圧源147A,Bのうちの一方のみで差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができれば、いずれか一方を取り付けずに省略してもよい。
【0160】
<第7の実施形態>
以下、図23を用いて、本発明の第7の実施形態に係る電界検出光学装置115e及び、この電界検出光学装置115eを備えた光強度変調型トランシーバ3について説明する。
【0161】
本実施形態に係る電界検出光学装置115eは、上記第3の実施形態に係る電界検出光学装置115aにおける受光回路152aに代えて、以下に示す受光回路152dを備えたものである。尚、受光回路152dの構成のうち、上記受光回路152aの構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本実施形態の電界検出光学部110aは、上記第1の実施形態に係る電界検出光学部110aと同一構成であるため、その説明を省略する。
【0162】
図23に示すように、第1,第2のフォトダイオード143a,bからの出力電圧信号が差動アンプ112に入力される前に、それぞれの電圧信号を増幅するための第1,第2可変ゲインアンプ149A,Bを設けた点が特徴である。これら第1,第2可変ゲインアンプ149A,Bは、電圧ゲインが可変であり、第1可変ゲインアンプ149Aの電圧ゲインよりも、第2可変ゲインアンプ149Bの電圧ゲインの方が小さくなるように設定されている。
【0163】
これによって、第1フォトダイオード143a及び第2フォトダイオード143bからの出力電圧信号の信号強度が異なっていても、同じにすることができる。
【0164】
以上説明したように本実施形態によれば、第1,第2のフォトダイオード143a,bからの出力電圧信号が差動アンプ112に入力される前に、それぞれの電圧信号を増幅するための第1,第2可変ゲインアンプ149A,Bを設けることで、レーザ光の雑音を除去するために、レーザ光を分岐させた場合でも、差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができる。
【0165】
尚、第1,第2可変ゲインアンプ149A,Bのうちの一方のみで差動アンプ112への入力信号のバランスを図ることができれば、いずれか一方を取り付けずに省略してもよい。
【0166】
尚、上述した第3乃至第7の実施形態における光強度変調器としては、従来と同様、電界吸収型(EA)光強度変調器やマッハツェンダ型光強度変調器等が採用できる。
【0167】
<第8の実施形態>
以下、図24を用いて、本発明の第8の実施形態に係るトランシーバのトランシーバ本体30dについて説明する。
【0168】
本実施形態に係るトランシーバ本体30dは、図24に示したような全体構成を有する。この全体構成のうち、電界検出光学装置215、ノイズ検出部218、制御信号発生部219を除く各構成は、上記第3の実施形態に係るトランシーバ本体30cと同一であるため同一符号を付して、その説明を省略する。
【0169】
本実施形態のトランシーバ本体30dでは、電界検出光学装置215として、上記第4乃至第7の実施形態で説明した電界検出光学装置115b〜115eのいずれかを用い、信号処理回路116から出力された電圧信号の雑音(ノイズ)成分の大きさを検出するノイズ検出部218と、このノイズ検出部218から出力された検出データに基づいて、電界検出光学装置215を構成する電界検出光学部110や受光回路152における可変な値を可変制御するための制御信号を発生させる制御信号発生器219を設けた点が特徴である。尚、ノイズ検出部218は、信号処理回路116から出力された電気信号中にどの程度の雑音が残っているか、即ち、電界検出対象である受信情報に係る周波数帯域中に存在する雑音がどの程度あるのかを検出する。
【0170】
ここで、上記「可変な値」とは、第4の実施形態では(図20)、第1,第2の光可変アッテネータ134A,Bの光強度の減衰量を示す。また、第5の実施形態では(図21)、第1,第2の可変負荷抵抗145A,Bの抵抗値を示す。また、第6の実施形態では(図22)、第1,第2の可変電圧源147A,Bの電圧値を示す。第7の実施形態では(図23)、第1,第2の可変ゲインアンプ113A,Bの電圧ゲインを示す。
【0171】
以上説明したように本実施形態によれば、トランシーバ本体30dの製造後であっても、可変な値を自動的に変更して調整することができるという効果を奏する。
【0172】
次に、電界伝達媒体を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体と、このトランシーバ本体を駆動させるバッテリと、上記トランシーバ本体を覆う絶縁ケースと、を備えた構成のトランシーバであって、外壁面のうち、広範な面を電界伝達媒体である生体(手)で接触するタイプのトランシーバに係る実施形態について説明する。
【0173】
先ず、かかるトランシーバの実施形態の着眼点について説明する。そこで、図9に示したトランシーバ及びウェアラブルコンピュータに関し、生体(手)、送受信電極、トランシーバ本体、及びバッテリ間の等価回路を考えてみる。
【0174】
図25は、生体、送受信電極、及びトランシーバ本体間の等価回路を示す図である。
【0175】
図9において、生体100と送受信電極105’とは絶縁膜107’で隔てられているため、生体100と送受信電極105間のインピーダンスは図25のような等価回路で表現できる。
【0176】
ところで、生体100を介しての信頼性の高い通信を実現するためには、生体100への誘起交流電界(周波数f)を大きくする必要がある。この誘起交流電界(周波数f)を大きくするためには、生体100と送受信電極105間のインピーダンスを小さくする必要がある。ここで、図25に示すように生体100と送受信回路105間のインピーダンスの抵抗成分は非常に大きいと考えられるので、当該インピーダンスを小さくするためには、その容量成分を大きくする必要がある。
【0177】
そこで、容量成分を大きくするためには、絶縁膜107の材料として誘電率の大きな材料を使用したり、その厚さを薄くしたりすることが有効である。また、間接的に相対する生体と広範に相対するように送受信電極105の面積を大きくすることが有効である。
【0178】
しかしながら、絶縁膜107の厚さを薄くしすぎると、送受信電極105に直接生体100が触れる可能性が大きくなり、生体100に大きな電流が流れる危険性が高まる。従って、送受信電極105の面積を大きくする策の方が、安全性を確保しながら容量を大きくできるので、得策である。また、送受信電極105を大きくすることでシールドの効果も期待できる。
【0179】
図26は、生体、トランシーバ本体、及びバッテリ間の等価回路を示す図である。
【0180】
生体100を介しての信頼性の高い通信を実現するためには、生体100、トランシーバ本体30、及びバッテリ6間相互に不要交流電界(周波数f)が誘起されないようにする必要がある。そのためにはそれぞれの間のインピーダンスを大きくして、相互の結合容量を小さくする必要がある。
【0181】
従って、相互間に絶縁体を介在させることとして、更に、その効果を大きくするためには、誘電率の小さな絶縁体を使用したり、絶縁体と、生体100、トランシーバ本体30、及びバッテリ6のそれぞれとの接触面積を小さくしたり、また、絶縁体を厚くすることが必要である。
【0182】
以上の観点から、図9に示したタイプのトランシーバにおいて、確実で信頼性の高い、生体を介した通信を行うための実施形態として以下のものが考えられる。
【0183】
<第9の実施形態>
以下、図27乃至図30を用いて、第9の実施形態を説明する。
【0184】
図27は、第9の実施形態に係るトランシーバ3a及びウェアラブルコンピュータ1の全体構成図である。図28は、主にトランシーバ本体30の機能を示した機能ブロック図である。図29は、電界検出光学装置115’の詳細構成図である。図30は、図27に示すトランシーバ3a及びウェアラブルコンピュータ1の使用状態を示した使用イメージ図である。
【0185】
図27に示すように、トランシーバ3aは、絶縁体で形成された絶縁ケース33と、この絶縁ケース33に内蔵された以下に示す装置等と、この絶縁ケース33の外部に取り付けられた以下に示す部材等により構成されている。
【0186】
絶縁ケース33の内壁面底部には、絶縁ケース33とトランシーバ本体30との電気的な結合を弱めるための絶縁性発泡材7aが取り付けられている。またその上面に、ウェアラブルコンピュータ1に対してデータ(情報)の送受信を行うトランシーバ本体30が取り付けられている。またその上面に、トランシーバ本体30とバッテリ6との電気的な結合を弱めるための絶縁性発泡材7bが取り付けられている。更にその上面に、トランシーバ30を駆動させるバッテリ6が取り付けられている。即ち、絶縁ケース33とトランシーバ本体30の間に絶縁性発泡材7aが挟持(挟んだ状態に支持)され、更に、トランシーバ本体30とバッテリ6の間に絶縁性発泡材7bが挟持されている。また、絶縁性発泡材7a,7bには、無数の空気を含んだ穴が空いている。このため、絶縁性発泡材7aによって、絶縁ケース33とトランシーバ本体30との間の雑音の伝達を抑制することができる。また、絶縁性発泡材7bによって、トランシーバ本体30とバッテリ6との間の雑音の伝達を抑制することができる。
【0187】
更に、トランシーバ本体30からは、後述の第1グランド(Ground)電極131が延出され、他の装置(バッテリ6、ウェアラブルコンピュータ1等)に接触しない状態で、しかも、送受信電極105から離れた絶縁ケース33の内壁面の上部に取り付けられている。また、トランシーバ本体30からは、後述の第2グランド電極161及び第3グランド電極163が延出され、他の装置(バッテリ6、ウェアラブルコンピュータ1等)及び第1グランド電極131に接触しない状態で、しかも、送受信電極105から離れた絶縁ケース33の内壁面の上部に取り付けられている。
【0188】
また、絶縁ケース33の外壁面底部及び外壁面側部には、送受信電極105が取り付けられており、この送受信電極105の全体が絶縁膜107で覆われている。尚、ウェアラブルコンピュータ1の操作・入力面以外の部分は、絶縁ケース11で覆われている。
【0189】
更に、トランシーバ本体30は、I/O(入出力)回路101、送信部103、送受信電極105、絶縁膜107、電界検出光学装置115’、受信回路113(信号処理回路116、波形整形回路117)を有している点は、従来のトランシーバ本体30’と同様であるが、これらの構成につき、改めて説明する。
【0190】
I/O回路101は、トランシーバ本体30がウェアラブルコンピュータ1等の外部機器との情報(データ)の入出力を行う回路である。送信部103は、I/O回路101から出力される情報(データ)に基づき、この情報に係る電界を生体100に誘起させる送信回路によって構成されている。送受信電極105は、送信部103により生体100に対して電界を誘起するために使用する電極であり、送信用アンテナとして使用される。また、送受信電極105は、生体100に誘起されて伝達されてくる電界を受信するために使用する電極であり、受信用アンテナとしても使用される。絶縁膜107は、送受信電極105と生体100との間に配置する絶縁体の膜であり、送受信電極105が直接生体100に接触することを防ぐ役割を果たす。
【0191】
更に、電界検出光学装置115’は、送受信電極105で受信した電界を検出し、この電界を受信情報として電気信号に変換する機能を有している。
【0192】
また、受信回路113の信号処理回路116は、更に電界検出光学部115’から送信されてきた電気信号の増幅を行うと共に、電気信号の帯域を制限して不要な雑音や不要な信号成分を除去する処理を行う回路である。
【0193】
また、波形整形回路117は、信号処理回路116から送信されてきた電気信号に波形整形(信号処理)を施し、I/O回路101を介してウェアラブルコンピュータ1に供給する回路である。尚、送信部103、受信回路113、及びI/O回路101は、バッテリ6によって駆動することができる。
【0194】
ここで、図29を用い、電界検出光学部115’について詳細に説明する。図4を参照して概要は説明済みであるが、再度説明する。
【0195】
この電界検出光学部115’は、トランシーバ本体30により受信した電界を電気信号に戻す処理を行う。この処理は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法により電界を検出することによって行う。
【0196】
電界検出光学部115’は、図29に示すように、電流源119、レーザダイオード121、電気光学素子(電気光学結晶)123、第1及び第2波長板135,137、偏光ビームスプリッタ139、複数のレンズ133,141a,b、フォトダイオード143a,b、並びに、第1グランド電極131により構成されている。
【0197】
このうち、電気光学素子123は、レーザダイオード121からのレーザ光の進行方向に対して直角方向に結合される電界にのみ感度を有し、この電界強度によって光学特性、すなわち複屈折率が変化し、この複屈折率の変化によりレーザ光の偏光を変化させるように構成されている。電気光学素子123の図29上で上下方向に対向する両側面には、第1電極125と第2電極127が設けられている。この第1電極125及び第2電極127は、レーザダイオード121からのレーザ光の電気光学素子123内における進行方向を両側から挟み、レーザ光に対して電界を直角に結合させることができる。
【0198】
また、電界検出光学部115’は、第1電極125を介して送受信電極105に接続されている。第1電極125に対向する第2電極127は、第1グランド電極131に接続されており、第1電極125に対してグランド電極として機能するように構成されている。そして、送受信電極105は、生体100に誘起して伝達されてくる電界を受信し、この電界を第1電極125に伝達し、第1電極125を介して電気光学素子123に結合することができる。
【0199】
一方、電流源119の電流制御によりレーザダイオード121から出力されるレーザ光は、コリメートレンズ133を介して平行光にされ、平行光となったレーザ光は第1波長板135で偏光状態を調整されて、電気光学素子123に入射する。電気光学素子123に入射されたレーザ光は、電気光学素子123内で第1、第2電極125,127の間を伝播するが、このレーザ光の伝播中において上述したように送受信電極105が生体100に誘起されて伝達されてくる電界を受信し、この電界を第1電極125を介して電気光学素子123に結合させると、この電界は第1電極125からグランド電極131に接続されている第2の電極127に向かって形成される。この電界は、レーザダイオード121から電気光学素子123に入射したレーザ光の進行方向に直角であるため、電気光学素子123の光学特性である複屈折率が変化し、これによりレーザ光の偏光が変化する。
【0200】
次に、電気光学素子123において第1電極125からの電界によって偏光が変化したレーザ光は、第2波長板137で偏光状態を調整されて偏光ビームスプリッタ139に入射する。偏光ビームスプリッタ139は、第2波長板137から入射されたレーザ光をP波及びS波に分離して、光の強度変化に変換する。
【0201】
この偏光ビームスプリッタ139でP波成分及びS波成分に分離されたレーザ光は、それぞれ第1、第2の集光レンズ141a,141bで集光されてから、第1、第2のフォトダイオード143a,143bで受光され、第1、第2のフォトダイオード143a,143bにおいてP波光信号とS波光信号をそれぞれの電流信号に変換して出力することができる。尚、上述したように第1、第2のフォトダイオード143a,143bから出力される電流信号は、抵抗を用いて電圧信号に変換されてから、図28に示す信号処理回路116で増幅及び雑音除去の信号処理を施される。
【0202】
更に、本実施形態のトランシーバ本体30においては、電界検出光学部115’用の電圧の基準点となる第1グランド電極131が、図27に示すようにトランシーバ本体30の外部に延出されている。また、信号処理回路116用の電圧の基準点となる第2のグランド電極161、及び、送信部103用の電圧の基準点となる第3のグランド電極163が共通して外部に延出されている。
【0203】
次に、図30を用いて、本実施形態に係るトランシーバ3a及びウェアラブルコンピュータ1の使用状態を説明する。
【0204】
図30に示すように、人間の手(生体100)でトランシーバ3aを持つ場合には、絶縁ケース33の外壁面底部及び外壁面側部を持つことになる。このような場合であっても、送受信電極105及び絶縁膜107が、絶縁ケース33の外壁面底部だけでなく外壁面側部まで覆っているため、絶縁ケース33の全体から送信用の電界E1,E2,E3が誘起されるが、その一部の電界が手から絶縁ケース33の側面を介してトランシーバ3に戻ることを抑制する。
【0205】
以上説明したように本実施形態によれば、絶縁ケース33の外壁面のうち、底面(底部)だけでなく、側面(側部)等を含めた広範な面に送信用電極(ここでは、送受信電極105)を取り付けて絶縁膜107で覆ったので、人間の手でトランシーバ3aを持った場合であっても、送信用電界の一部が手から再びトランシーバ3aへ戻ることを防止することができる。
【0206】
また、第1グランド電極131、第2グランド電極161、及び第3グランド電極163を絶縁ケース33の内壁面の上部であって、送受信電極105から離れた位置に取り付けたことにより、送受信電極105からトランシーバ本体30への不要信号の回り込みを防止することができると共に、グランドの強化を行うことができる。
【0207】
更に、絶縁ケース33とトランシーバ本体30の間に絶縁性発泡材7aが挟持され、更に、トランシーバ本体30とバッテリ6の間に絶縁性発泡材7bが挟持されているため、バッテリ6や絶縁ケース33からトランシーバ本体30に侵入してくる雑音を抑制することができる。
【0208】
<第10の実施形態>
以下、図31を用いて、第10の実施形態を説明する。
【0209】
図31は、第10の実施形態に係るトランシーバ32及びウェアラブルコンピュータ1の全体構成図である。尚、上記第9の実施形態と同一の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0210】
本実施形態では、図31に示すように、第9の実施形態の絶縁性発泡剤7a,7bの変わりに絶縁性支柱99a,99bを採用している。
【0211】
このように、本実施形態によれば、絶縁体と、生体100、トランシーバ本体30、及びバッテリ6のそれぞれとの接触面積を小さくしているので、不要交流電界が誘起されない効果は更に大きい。
【0212】
絶縁性支柱99a,99bの材質としては、発泡剤の他に木材であってもよい。但し、桐材のように軽くて丈夫なものが好ましい。
【0213】
また、本実施形態では支柱を採用したが、ブロック構造を有するようにしてもよい。
【0214】
<第11の実施形態>
以下、図32を用いて、第11の実施形態を説明する。
【0215】
図32は、第11の実施形態に係るトランシーバ3c及びウェアラブルコンピュータ1の全体構成図である。尚、上記第9の実施形態と同一の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0216】
本実施形態では、図32に示すように、第2,第3グランド電極161,163が、トランシーバ3cの絶縁ケース33から延出されて、ウェアラブルコンピュータ1の絶縁ケース11の側面(側部)に取り付けられている。
【0217】
このように本実施形態によれば、上記第9の実施形態の効果に加え、更に、第2,第3グランド電極161,163が、上記第9の実施形態に比べて更に送受信電極105から離れているため、送受信電極105からトランシーバ本体30への不要信号の回り込みを、より強固に防止することができると共に、グランドの更なる強化を行うことができる。
【0218】
<第12の実施形態>
以下、図33を用いて、第12の実施形態を説明する。
【0219】
図33は、第12の実施形態に係るトランシーバ3d及びウェアラブルコンピュータ1の全体構成図である。尚、上記第9の実施形態と同一の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0220】
本実施形態では、図33に示すように、第1グランド電極131が、トランシーバ3dの絶縁ケース33から延出されて、ウェアラブルコンピュータ1の絶縁ケース11の側面(側部)に取り付けられている。
【0221】
このように本実施形態によれば、上記第9の実施形態の効果に加え、更に、第1グランド電極131が、上記第9の実施形態に比べて更に送受信電極105から離れているため、送受信電極105からトランシーバ本体30への不要信号の回り込みを、より強固に防止することができると共に、グランドの更なる強化を行うことができる。
【0222】
<第13の実施形態>
以下、図34を用いて、第13の実施形態を説明する。
【0223】
図34は、第13の実施形態に係るトランシーバ3e及びウェアラブルコンピュータ1の全体構成図である。尚、上記第9の実施形態と同一の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0224】
本実施形態では、図34に示すように、送受信電極105が、送信専用の送信電極105aと受信専用の受信電極105bに分かれ、図31に示す送受信電極105の部分に送信電極105aが配置され、図34に示すように、絶縁膜107aの外側底面に受信電極105bが配置されている。そして、受信電極105bについても、人体が直接触れないようにするために絶縁膜107bで覆っている。尚、図31に示す絶縁膜107について、本実施形態では、絶縁膜107aとして表している。
【0225】
このように本実施形態によれば、上記第9の実施形態の効果に加え、更に、送信電極105aが比較的大きくて、絶縁ケース33のほぼ全体を覆っており、受信電極105bが小さくなっているため、送信用の電界の一部が手から戻ってくる割合が少なくなるという効果も奏する。
【0226】
尚、図35に示すトランシーバ3fのように、送信電極105aと受信電極105bの配置位置を入れ替えて設けてもよい(第14の実施形態)。
【0227】
<その他の実施形態>
上記第11及び第12の実施形態では、片方のグランド電極をウェアラブルコンピュータ1の絶縁ケース11の側面に取り付けたが、これに限るものではなく、第1グランド電極131、及び第2,第3グランド電極161,163の両方を接触させずに、それぞれウェアラブルコンピュータ1の絶縁ケース11の側面に取り付けてもよい。
【0228】
また、上記第9及び第11乃至第13実施形態では、絶縁ケース33とトランシーバ本体30の間に絶縁性発泡材7aを挟持させ、トランシーバ本体30とバッテリ6の間に絶縁性発泡材7bを挟持させたが、これに限るものではなく、図36に示すように、バッテリ6とトランシーバ本体30とを接触させないで覆う一体型の絶縁性発泡材8を使用してもよい。更に、図37に示すように、発泡材ではなく、空気等の気体が閉じこめられたクッション状絶縁材9を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0229】
以上説明したように本発明によれば、生体等の電界伝達媒体が二次元空間における位置を触れて特定することにより、ウェアラブルコンピュータ1等への情報入力も電界伝達媒体を介して容易に行うことができるという効果を奏する。
【0230】
また、本発明によれば、光強度変調手段にレーザ光が入射する手前でレーザ光を分岐(分離)し、一方を光強度変調手段に入力して電界を検出するレーザ光として用い、他方は光強度変調手段に入力せずにレーザ光の雑音を除去するためのレーザ光としてのみ用いているため、レーザ光の偏光変化を強度変化に変換する変調器のように差動で強度変調信号が取り出せない光強度変調手段を用いた場合でも、レーザ光の雑音を除去することができるという効果を奏する。
【0231】
更に、本発明によれば、絶縁ケースの外壁面のうち、底面(底部)だけでなく、側面(側部)等を含む広範な面に、送信用電極が取り付けられているため、人間の手でトランシーバを持った場合であっても、送信用電界の一部が手から再びトランシーバへ戻ることを防止することができる。

Claims (9)

  1. 電界を電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界を受信する送受信用電極(105)と、
    送信すべき情報に基づいた前記電界を前記送受信用電極(105)に生じさせると共に、前記送受信用電極(105)に生じた前記電界を受信情報に変換することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    前記送受信電極(105)と前記電界伝達媒体(100)との間に介在する第1の構造物(107)と、
    前記トランシーバ本体(30)と前記電界伝達媒体(100)との間に存在する第2の構造物(7a,99a)と、
    前記トランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)と前記バッテリ(6)との間に介在する第3の構造物(7b,99b)と、
    を備えたトランシーバ(3a,3b,3c,3d,3e)であって、
    前記第1、第2、及び第3の構造物は、抵抗と容量の並列回路として等価される構造物であることを特徴とするトランシーバ(3a,3b,3c,3d,3e)。
  2. 前記第1の構造物(107)は、前記電界伝達媒体(100)に対して前記送受信電極(105)を覆う絶縁膜であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のトランシーバ(3a,3b,3c,3d,3e)。
  3. 前記第2の構造物(7a,99a)及び第3の構造物(7b,99b)は、絶縁性部材であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のトランシーバ(3a,3b,3c,3d,3e)。
  4. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105,105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極(105,105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    前記バッテリ(6)と前記トランシーバ本体(30)の間の、空気が含まれる発泡材(7b)と、
    を備えたトランシーバ(3a,3c,3d,3e)であって、
    前記送信用電極(105,105a)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように絶縁膜(107,107a)で覆われていることを特徴とするトランシーバ(3a,3c,3d,3e)。
  5. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105,105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極(105,105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    前記バッテリ(6)と前記トランシーバ本体(30)の間の複数の木材支柱(99b)と、
    を備えたトランシーバ(3b)であって、
    前記送信用電極(105,105a)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように絶縁膜(107,107a)で覆われていることを特徴とするトランシーバ(3b)。
  6. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105,105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている 電界に基づいた情報を受信用電極(105,105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    前記バッテリ(6)と前記トランシーバ本体(30)の間の、所定の気体を閉じこめたクッション材と、
    を備えたトランシーバであって、
    前記送信用電極(105,105a)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように絶縁膜(107,107a)で覆われていることを特徴とするトランシーバ。
  7. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105,105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極(105,105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    前記トランシーバ本体(30)が駆動する際に必要とする基準電圧を画定するものであって、前記絶縁ケース(33)外の外部装置に取り付けられたグランド電極(131,161,163)と、
    を備えたトランシーバ(3c,3d)であって、
    前記送信用電極(105,105a)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように絶縁膜(107,107a)で覆われていることを特徴とするトランシーバ(3c,3d)。
  8. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極(105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    を備えたトランシーバ(3e)であって、
    前記送信用電極(105a)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように第1の絶縁膜(107a)で覆われ、
    前記受信用電極(105b)は、前記第1の絶縁膜(107a)の外壁面に設けられると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように第2の絶縁膜(107b)で覆われていることを特徴とするトランシーバ(3e)。
  9. 送信すべき情報に基づいた電界を送信用電極(105a)から電界伝達媒体(100)に誘起させると共に、前記電界伝達媒体(100)に誘起されている電界に基づいた情報を受信用電極(105b)で受信することにより、前記電界伝達媒体(100)を介した情報の送受信が可能なトランシーバ本体(30)と、
    このトランシーバ本体(30)を駆動させるバッテリ(6)と、
    前記トランシーバ本体(30)が内蔵された絶縁ケース(33)と、
    を備えたトランシーバ(3f)であって、
    前記受信用電極(105b)は、前記絶縁ケース(33)の外壁面のうち、前記電界伝達媒体(100)が近接すべき部分の全面に渡って設けられていると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように第1の絶縁膜(107a)で覆われ、
    前記送信用電極(105a)は、前記第1の絶縁膜(107a)の外壁面に設けられると共に、前記電界伝達媒体(100)に直接接触しないように第2の絶縁膜(107b)で覆われていることを特徴とするトランシーバ(3f)。
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