JP6266813B2 - 光変調素子および電界センサ - Google Patents

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Description

本発明は、電気光学効果を生じる化合物半導体単結晶を用いた光変調素子、およびこの光変調素子を用いた電界センサに関する。
化合物半導体単結晶の中には、例えばテルル化亜鉛(ZnTe)やヒ化ガリウム(GaAs)等のように、電界が作用すると屈折率が変化する、いわゆる電気光学(EO)効果を生じるものがある。このような化合物半導体単結晶(以下電気光学結晶)は、光変調素子等の各種光学デバイスとして利用されてきた。
これまで、こうした光学デバイスは、主に、1THzを超えるような高周波の電磁波に対応するものが殆どであったが、近年では、100kHz以下の低周波の電磁波に対応するものについても研究がなされている(非特許文献1参照)。
A. Sasaki, A. Furuya, and M. Shinagawa, "Study of semiconductor electro-optic modulators for sensing extremely-low-frequency electrical signals", Sensors and Actuators A: Physical, Vol. 151, No. 1, pp. 1-8, 2009.
研究の結果、上述したような電気光学結晶は、特に10kHzを下回る低周波の電磁波に対しては、十分なEO効果を発揮できない、すなわち、この電気光学結晶を用いて構成したセンサでは、低周波の電磁波を正確に検出することができない、ということが明らかになってきた。この原因としては、電気光学結晶内に存在する電子や正孔(以下キャリア)が電気光学結晶に結合した電界を打ち消すように移動することが原因であると考えられている。特に、電界変化にキャリアの移動が追従できる低周波数帯域では、電気光学効果がなくなり電界を検出できなくなってしまう。
これを防ぐ方法としては、例えば、電気光学結晶にドナー不純物(ZnTeの場合は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)等)を添加することにより、電気光学結晶中のキャリア濃度を減少させる(結晶を高抵抗化する)手法が考えられる。このような手法を用いれば、電気光学結晶が低周波の電磁波に対しても高いEO効果を発揮することができる。
しかしながら、使用環境によっては、照明光などの外光が電気光学結晶に入射し、その外光によって電気光学結晶内にキャリアが発生し、そのキャリアが電気光学結晶に結合した電界を打ち消すように移動してしまい、依然として十分な効果が得られない場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、電気光学効果を生じる化合物半導体単結晶を用いた光変調素子において、化合物半導体単結晶に入射する外光を低減することを目的とする。
上記課題を解決するため、本出願に係る一の発明は、電気光学効果を生じる性質を持つ化合物半導体単結晶により入射したレーザー光を変調することが可能な光変調素子であって、前記化合物半導体単結晶における、前記レーザー光が入射可能な入射面またはその近傍に設けられ、前記レーザー光以外の光が入射面に入射するのを制限する入射制限手段と、遮光性を有するとともに誘電率が低い材料で形成され、前記化合物半導体単結晶における、該化合物半導体単結晶に入射した前記レーザー光の進行方向に沿って延設された面を覆う遮蔽材と、を備えることを特徴とする。
なお、上記発明において、前記入射制限手段は、前記レーザー光の波長と同じ波長の光のみ通すように構成され、前記入射面に貼り付けられたダイクロイックミラーであるものとしてもよい。
また、上記発明において、前記入射制限手段は、厚さ方向に貫通するするとともに、前記レーザー光の幅と略等しい径のピンホールが形成され、前記入射面に貼り付けられた遮蔽板であるものとしてもよい。
また、上記発明において、前記入射制限手段は、前記遮蔽材を、前記入射面を超えて前記レーザー光が入射してくる方向に向かうように延長したものとしてもよい。
また、上記発明において、前記入射面と前記入射制限手段との間に、前記レーザー光が前記入射面において反射するのを防ぐ反射防止膜が形成されているものとしてもよい。
また、本出願に係る他の発明は、上記発明に係る光変調素子と、前記入射面にレーザー光を入射させる光源と、前記入射面にレーザー光を入射させる光源と、前記光変調素子を通り抜けてきたレーザー光の偏光の変化を電気信号に変換する変換手段と、を備えることを特徴とする電界センサである。
本発明によれば、電気光学効果を生じる化合物半導体単結晶を用いた光変調素子において、化合物半導体単結晶に入射する外光を低減することができる。
その結果、化合物半導体単結晶内でのキャリアの発生が抑えられ、低周波数帯域における電界検出感度の低下を防ぐことができる。
本発明の第一〜第三実施形態に係る電界センサの概略構成を示すブロック図である。 第一実施形態に係る光変調素子の断面図である。 第二実施形態に係る光変調素子の断面図である。 第三実施形態に係る光変調素子の断面図である。 同実施形態の変形例に係る光変調素子の断面図である。 本発明の第四〜第六実施形態に係る電界センサの概略構成を示すブロック図である。 第四実施形態に係る光変調素子の断面図である。 第五実施形態に係る光変調素子の断面図である。 第六実施形態に係る光変調素子の断面図である。 同実施形態の変形例に係る光変調素子の断面図である。
<第一実施形態>
以下、図1,2を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
(電界センサ・光変調素子の構成)
まず、本実施形態に係る電界センサの概略構成、およびこの電界センサが備える光変調素子の具体的構成について説明する。図1は本実施形態に係る電界センサ1の概略構成を示すブロック図、図2は本実施形態に係る光変調素子23をその端面(後述する端面遮蔽材25の表面)と直交する面)で切断したときの断面図である。
本実施形態の電界センサ1は、反射型となっており、図1に示したように、レーザー装置10と、プローブ20と、光ファイバー30と、で構成されている。
レーザー装置10は、光源11と、方向性結合器12と、偏波コントローラ13と、偏光検出光学部14と、光電気変換部15と、信号処理部16と、図示しない出入力端子と、で構成されている。
光源11は、所定波長のレーザー光L(例えば、後述する電気光学結晶24としてZnTeやCdTeを用いる場合には、これらの基礎吸収端(エネルギーギャップ)に相当する波長よりも長い波長(780nm、850nm、1310nm、1550nm等)の赤外線レーザー)を生成・出射することが可能に構成されている。
方向性結合器12は、光源11から入射したレーザー光Lを偏波コントローラ13に出射するとともに、偏波コントローラ13から入射したレーザー光Lを偏光検出光学部14に出射するように構成されている。
偏波コントローラ13は、方向性結合器12から入射したレーザー光Lの偏光を、最大の信号雑音(SN)比が得られるように調節し、出入力端子(光ファイバー30)に出射するとともに、出入力端子(光ファイバー30)から入射したレーザー光Lを方向性結合器12に出射するように構成されている。
偏光検出光学部14は、方向性結合器12から入射したレーザー光Lの偏光状態が、光源11で生成されたレーザー光Lの偏光状態と異なっている場合に、その偏光の変化を光強度の変化に変換し、光電気変換部15に出力するよう構成されている。
光電気変換部15は、偏光検出光学部14から入力された光強度変化を電気信号に変換し、信号処理部16に出力するように構成されている。
つまり、偏光検出光学部14および光電気変換部15は、光変調素子を通り抜けてきたレーザー光の偏光の変化を電気信号に変換する変換手段として機能するものである。
信号処理部16は、増幅器、フィルタ等で構成され、光電気変換部15から入力された電気信号の中から所望の信号だけを抽出・増幅するように構成されている。
プローブ20は、レンズ21と、波長板22と、光変調素子23と、これらが収納される図示しないケースと、で構成されている。
ケースの一端部には接続口が形成されている。
レンズ21は、ケースの接続口の近傍に、その光軸が接続口を通るように配置されている。そして、当該接続口(光ファイバー30)から入射したレーザー光Lを、平行光(コリメート光)の状態で進むように屈折させるようになっている。
波長板22は、レンズ21よりもケースの奥に、その入射面がレンズ21の光軸と直交するように配置されている。そして、レンズ21から入射したレーザー光Lの偏光を、最大のSN比が得られるように調節するようになっている。
光変調素子23は、波長板22よりもケースの奥に、その端面がレンズ21の光軸と直交するように配置されている。
この光変調素子23は、図2に示したように、電気光学結晶24と、端面遮蔽材25と、側面遮蔽材26と、ミラー27と、を備えている。
電気光学結晶24は、テルル化亜鉛(ZnTe)やテルル化カドミウム(CdTe)等、比較的大きなEO効果(ポッケルス効果)を生じる化合物半導体単結晶で円柱状または角柱状に形成されている。電気光学結晶24の両端面24a,24bは、当該電気光学結晶24の主軸の延長線上に位置し、当該主軸に対し直交する平面となっている。また、電気光学結晶の側面24cは、主軸と平行に延設されている。
端面遮蔽材25は、電気光学結晶24の一方の端面24a(入射面)に、当該端面24a全体を均等な厚さで覆うように形成され、当該端面24aへと向かう光のうち特定の波長の光、より具体的には、レーザー装置10が生成したレーザー光Lと同じ波長の光だけを透過させるようになっている。すなわち、端面遮蔽材25は、レーザー光L以外の光が電気光学結晶24の入射面に入射するのを制限する入射制限手段として機能するものである。
端面遮蔽材25の具体的な構成の仕方としては、例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体であって、誘電率が低く、透明性の高い非晶質の合成樹脂に着色を施したアクリル板、またはダイクロイックミラーを、端面24aの形状に切り取って当該端面24aに貼り付ける方法や、SiO2やAl2O3からなる低屈折率膜と、TiO2やZrO2、HfO2、Ta2O5からなる高屈折率膜と、を端面24aに積層することにより、波長選択性を有する誘電体多層膜を構成する方法等がある。膜の形成は、蒸着、スパッタリング、液状にした材料を塗布する等、何でもよい。
上述したように、電気光学結晶24の一方の端面24aは主軸と直交しており、端面遮蔽材25の厚さは全体的に均等なので、端面遮蔽材25の表面と直交するように入射した光は、端面遮蔽材25および電気光学結晶24内を、主軸と平行に進むことになる。
側面遮蔽材26は、電気光学結晶24の側面24c全体を覆うように形成されている。上述したように、側面24cは主軸と平行なので、側面遮蔽材26も主軸と平行に延設されていることになる。側面遮蔽材26には、高い遮光性を有するとともに誘電率の低い材料を用いることが好ましいが、外光はさまざまな波長の成分からなり、レーザー光Lと同じ波長の成分はごくわずかであるため、一部の光を通す、すなわち、端面遮蔽材25で用いた着色したアクリル板、ダイクロイックミラー、誘電体多層膜で形成しても差し支えない。特に、着色されたアクリル板は安価であるため、装置の設計コストを下げる点で有利である。一方、誘電体多層膜は、端面遮蔽材25と同時に一体的に製膜することができるので、製造工程を簡略化できるという利点がある。
ミラー27は、レーザー光Lを反射するためのもので、例えば、銀、銀合金等の金属や、反射率が高く誘電率が比較的低い誘電体等によって、電気光学結晶24の他方の端面24bに、当該端面24b全体を覆うように形成されている。ミラー27の具体的な形成の仕方としては、端面24bに、金属を蒸着、めっき或いはスパッタする方法や、金属や誘電体を端面24bと同形の板状に形成して端面24bに貼り付ける方法等がある。
電気光学結晶24の他方の端面24bは主軸と直交しているので、電気光学結晶24内を主軸と平行に進んできた光は、ミラー27によって180°逆の方向へと反射されることになる。
光ファイバー30は、一方の端子がレーザー装置10の出入力端子に接続され、他方の端子がプローブ20のケースの接続口に接続されている。そして、レーザー装置10から入射したレーザー光Lを、プローブ20へ出射するとともに、プローブ20から入射したレーザー光Lを、レーザー装置10へと出射するようになっている。
(電界センサの動作)
このように構成された電界センサ1において、レーザー装置10の電源スイッチをオンにすると、所定波長のレーザー光Lが生成され、光ファイバー30を介してプローブ20へと入射する。プローブ20内に入射したレーザー光Lは、端面遮蔽材25を通過し、電気光学結晶24内を主軸と平行に他端に向かって直進し、ミラー27で反射される。反射されたレーザー光Lは、主軸と平行に直進し、端面遮蔽材25を通過し、プローブ20から出射される。出射されたレーザー光Lは、光ファイバー30を介してレーザー装置10へと入射し、方向性結合器12で方向を変えられ、偏光検出光学部14へと入射する。こうして、電界センサ1は電界を検出可能な状態となる。
この状態となったプローブ20にまだ電界が作用していなければ、レーザー装置10から出力されるレーザー光Lの偏光状態と、レーザー装置10に入力されるレーザー光Lの偏光状態とは等しいため、偏光検出光学部14は作動せず、光電気変換部15は電気信号を出力しない。
一方、この状態となったプローブ20を、例えば、通電中の電気回路等に近づけると、電気光学結晶24が、回路から生じている電界により屈折率を変化させる。この屈折率が変化した電気光学結晶24内をレーザー光Lが通過するとレーザー光Lの偏光が変化する。この偏光変化が偏光検出光学部14で光の強度変化に変換され、更にその光強度変化が光電気変換部15で電気信号に変換される。この段階では電気信号に雑音が含まれる上に、電気信号自体が非常に小さいが、信号処理部16で所望の電気信号が抽出され、更にそれが増幅される。こうして、電気光学結晶24に結合した電界が検出される。
プローブ20のケースは、光ファイバー30の接続口の存在等、その構造上外光の侵入を完全に防ぐことが困難である。しかし、本実施形態の光変調素子23は、電気光学結晶24の側面24c全体が側面遮蔽材26で覆われるとともに、他方の端面24b全体がミラー27で覆われており、一方の端面24aは、端面遮蔽材25によってレーザー光Lと同じ波長の光しか入射できないようになっている。このため、従来の光変調素子に比べ、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
<第二実施形態>
次に、図1,3を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。なお、ここでは、第一実施形態と相違する点のみ説明する。
図3は本実施形態に係る光変調素子23Aを主軸延長方向に沿って切断したときの断面図である。本実施形態の電界センサ1Aは、光変調素子23Aにおける主軸の延長方向一端部の構造が第一実施形態と異なっている。
具体的には、第一実施形態の光変調素子23は、電気光学結晶24の一方の端面24aにダイクロイックミラーである端面遮蔽材25を備えていたが、本実施形態の光変調素子23Aは、図3に示したようにこれを有しておらず、当該端面24aに反射防止(AR)コーティング28が施され、その上から更に、端面24aと略等しい輪郭をなし、中心部に、レンズ21および波長板22を通過してきたレーザー光Lの幅と略同じ径のピンホール29aが厚さ方向に貫通するように形成された遮蔽板29によって覆われている。なお、この遮蔽板29は、誘電率が低く、高い遮光性を有する材料で形成されていることが好ましいが、一部の光を通す、すなわち、端面遮蔽材25や側面遮蔽材26で用いた着色されたアクリル板や、ダイクロイックミラー、誘電体多層膜等で形成してもよい。
本実施形態の光変調素子23Aは、このように構成されているため、ケースから入ってきた外光のうち、ピンホール29aに向かわないものを遮断することができる。つまり、本実施形態においては、遮蔽板29が入射制限手段ということになる。このため、従来の光変調素子に比べ、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
<第三実施形態>
次に、図1,4を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。なお、ここでは、第一実施形態と相違する点のみ説明する。
図4は本実施形態に係る光変調素子23Bを主軸延長方向に沿って切断したときの断面図である。本実施形態の電界センサ1Bは、光変調素子23Bにおける主軸の延長方向一端部の構造が第一実施形態と異なっている。
具体的には、第一実施形態の光変調素子23は、電気光学結晶24の一方の端面24aに端面遮蔽材25を備えていたが、本実施形態の光変調素子23Bは、図4に示したようにこれを有しておらず、当該端面24aにARコーティング28が施されるとともに、側面遮蔽材26Bの一端部が、一方の端面24aを超えて主軸の延長方向(レーザー光Lが入射してくる方向)に向かうように延長されている。
本実施形態の光変調素子23Bは、このように構成されているため、側面遮蔽材26Bの一端部の延長方向に対し角度を成して入ってくる外光を遮断することができる。つまり、本実施形態においては、側面遮蔽材26Bの一端部(電気光学結晶24の側面24cと接していない部位)が入射制限手段ということになる。このため、従来の光変調素子に比べ、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
なお、図5に示すように、上述した本実施形態の光変調素子23BのARコーティング28の表面に、第二実施形態で用いた遮蔽板29を貼り付けた光変調素子23Cとしてもよい。
このようにすれば、電気光学結晶24に入射する外光を上述した光変調素子23A,23Bよりも低減することができる。
<第四実施形態>
次に、図6,7を参照して、本発明の第四実施形態について説明する。なお、ここでは、第一実施形態と相違する点のみ説明する。
(電界センサ・光変調素子の構成)
まず、本実施形態に係る電界センサの概略構成、およびこの電界センサが備える光変調素子の具体的構成について説明する。図6は本実施形態に係る電界センサ1Dの概略構成を示すブロック図、図7は本実施形態に係る光変調素子23Dを主軸延長方向に沿って切断したときの断面図である。
本実施形態の電界センサ1Dは、透過型となっており、図6に示したように、レーザー装置10Dと、プローブ20Dと、2本の光ファイバー30,30Dと、で構成されている。
本実施形態のレーザー装置10Dは、第一実施形態の方向性結合器に相当する構成を有していない。また、本実施形態のレーザー装置10Dは、出力端子と入力端子が分かれている。
また、本実施形態の偏波コントローラ13は、光源11に直接接続され、光源11から入射したレーザー光Lの偏光を調節し、出力端子へ出射するように構成されている。
また、本実施形態の偏光検出光学部14は、入力端子に接続されている。
本実施形態のプローブ20Dは、二つのレンズ21,21Dと、波長板22と、光変調素子23Dと、これらが収納される図示しないケースと、で構成されている。
ケースの両端部には接続口がそれぞれ形成されている。
二つのレンズ21のうち一方のレンズ21は、ケースの一方の接続口の近傍に、第一実施形態と同様に配置されている。そして、当該一方の接続口(光ファイバー30)から入射したレーザー光Lを、平行光の状態で進むように屈折させるようになっている。
また、二つのレンズ21のうち他方のレンズ21Dは、ケースの他方の接続口の近傍に、その光軸が他方の接続口を通るように配置されている。そして、光変調素子23Dの他端から出射したレーザー光Lを他方の接続口に収束するように屈折させるようになっている。
第一実施形態の光変調素子23は、電気光学結晶24の他方の端面24bにミラー27を備えていたが、本実施形態の光変調素子23Dは、図7に示したようにこれを有しておらず、一方の端面24a側と同様の構成となっている。すなわち、本実施形態の光変調素子23Dは、他方の端面24bに、一方の端面24a側と同様の端面遮蔽材25Dを備えている。
二本の光ファイバー30のうちの一方の光ファイバー30は、一方の端子がレーザー装置10Dの出力端子に接続され、他方の端子がプローブ20Dのケースの一方の接続口に接続されている。そして、レーザー装置10Dから出射されたレーザー光Lを、プローブ20へ出射するようになっている。
また、他方の光ファイバー30Dは、一方の端子がプローブ20Dのケースの他方の接続口に接続され、他方の端子がレーザー装置10Dの入力端子に接続されている。そして、プローブ20から出射されたレーザー光Lを、レーザー装置10Dに入射させるようになっている。
(電界センサの動作)
このように構成された電界センサ1Dにおいて、レーザー装置10Dの電源スイッチをオンにすると、所定波長のレーザー光Lが生成され、光ファイバー30を介してプローブ20へと入射する。プローブ20内に入射したレーザー光Lは、一端側の端面遮蔽材25を通過し、電気光学結晶24内を主軸と平行に他端に向かって直進する。そして、他端側の端面遮蔽材25Dを通過し、プローブ20Dから出射される。出射されたレーザー光Lは、光ファイバー30Dを介してレーザー装置10Dへと入射する。こうして、電界センサ1Dは電界を検出可能な状態となる。電界を検出する原理は、第一実施形態と同様である。
プローブ20Dのケースは、第一実施形態よりも接続口が増える分、外光の侵入を防ぐことがより困難になる。しかし、本実施形態の光変調素子23Dは、電気光学結晶24の側面24c全体が側面遮蔽材26で覆われるとともに、両端面24a,24b全体が、端面遮蔽材25,25Dによってレーザー光Lと同じ波長の光しか入射できないようになっている。このため、第一実施形態の光変調素子23と同様に、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
<第五実施形態>
次に、図6,8を参照して、本発明の第五実施形態について説明する。なお、ここでは、第四実施形態と相違する点のみ説明する。
図8は本実施形態に係る光変調素子23Eを主軸延長方向に沿って切断したときの断面図である。本実施形態の電界センサ1Eは、光変調素子23Eの主軸の延長方向両端部の構造が第四実施形態と異なっている。
具体的には、第四実施形態の光変調素子23Dは、電気光学結晶24の両端面24a,24bに端面遮蔽材25,25Dをそれぞれ備えていたが、本実施形態の光変調素子23Eは、図8に示したようにこれらを有しておらず、両端面24a,24bにそれぞれARコーティング28が施され、それらの上から更に、端面24a,24bと略等しい輪郭をなし、中心部にレーザー光Lの幅と略同じ径のピンホール29aが厚さ方向に貫通するように形成された遮蔽板29によって覆われている。
本実施形態の光変調素子は、このように構成されているため、ケースから入ってきた外光のうち、ピンホール29aに向かわないものを遮断することができる。このため、従来の光変調素子に比べ、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
<第六実施形態>
次に、図6,9を参照して、本発明の第六実施形態について説明する。なお、ここでは、第四実施形態と相違する点のみ説明する。
図9は本実施形態に係る光変調素子23Fを主軸延長方向に沿って切断したときの断面図である。本実施形態の電界センサ1Fは、光変調素子23Fの主軸の延長方向両端部の構造が第四実施形態と異なっている。
具体的には、第四実施形態の光変調素子23Dは、電気光学結晶24の両端面24a,24bに端面遮蔽材25をそれぞれ備えていたが、本実施形態の光変調素子23Fは、図9に示したようにこれらを有しておらず、両端面24a,24bにそれぞれARコーティング28が施されるとともに、側面24cの側面遮蔽材26Fの両端部が、両端面24a,24bを超えて主軸の延長方向に向かうようにそれぞれ延長されている。
本実施形態の光変調素子23Fは、このように構成されているため、側面遮蔽材26Fの両端部の延長方向に対し角度を成して入ってくる外光を遮断することができる。このため、従来の光変調素子に比べ、電気光学結晶24に入射する外光を大幅に低減することができる。その結果、電気光学結晶24内に余計なキャリアが生成しないので、低周波の電界を確実に検出することができる。
なお、図10に示すように、上述した本実施形態の光変調素子23Fの各ARコーティング28の表面に、第五実施形態で用いた遮蔽板29をそれぞれ貼り付けた光変調素子23Gとしてもよい。
このようにすれば、電気光学結晶24に入射する外光を上述した光変調素子23E,23Fよりも低減することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、光変調素子を、電界センサに用いた場合を例にしたが、本発明は、EO効果を利用する光学デバイス全般に適用することができる。
また、第一,四実施形態において、第三,六実施形態のような端部が延長された側面遮蔽材26B,26Fを併用してもよい。
1,1A〜1F 電界センサ
10,10D レーザー装置
11 光源
12 方向性結合器
13 偏波コントローラ
14 偏光検出光学部
15 光電気変換部
16 信号処理部
20,20D プローブ
21,21D レンズ
22 波長板
23,23A〜23G 光変調素子
24 電気光学結晶(化合物半導体単結晶)
24a 一方の端面(入射面)
24b 他方の端面
24c 側面
25,25D 端面遮蔽材(入射制限手段)
26 側面遮蔽材(遮蔽材)
26B,26F 側面遮蔽材(入射制限手段)
27 ミラー
28 ARコーティング
29 遮蔽板(入射制限手段)
29a ピンホール
30,30D 光ファイバー
L レーザー光

Claims (6)

  1. 電気光学効果を生じる性質を持つ化合物半導体単結晶により入射したレーザー光を変調することが可能な光変調素子であって、
    前記化合物半導体単結晶における、前記レーザー光が入射可能な入射面またはその近傍に設けられ、前記レーザー光以外の光が入射面に入射するのを制限する入射制限手段と、
    遮光性を有するとともに誘電率が低い材料で形成され、前記化合物半導体単結晶における、該化合物半導体単結晶に入射した前記レーザー光の進行方向に沿って延設された面を覆う遮蔽材と、を備えることを特徴とする光変調素子。
  2. 前記入射制限手段は、前記レーザー光の波長と同じ波長の光のみを通すように構成され、前記入射面に貼り付けられたダイクロイックミラーであることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子。
  3. 前記入射制限手段は、厚さ方向に貫通するするとともに、前記レーザー光の幅と略等しい径のピンホールが形成され、前記入射面に貼り付けられた遮蔽板であることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子。
  4. 前記入射制限手段は、前記遮蔽材を、前記入射面を超えて前記レーザー光が入射してくる方向に向かうように延長したものであることを特徴とする請求項1に記載の光変調素子。
  5. 前記入射面と前記入射制限手段との間に、前記レーザー光が前記入射面において反射するのを防ぐ反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の光変調素子。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の光変調素子と、
    前記入射面にレーザー光を入射させる光源と、
    前記光変調素子を通り抜けてきたレーザー光の偏光の変化を電気信号に変換する変換手段と、を備えることを特徴とする電界センサ。
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