JP2014055929A - キャビティリングダウン分光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リングダウンパルスのS/N比を改善し、検出対象の検出精度を向上することが可能なキャビティリングダウン分光装置を提供する。
【解決手段】光パルスを出力する光出力部10と、光パルスの光強度を検出する光強度検出部20と、光出力部10に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路30と、該主光路30中の光分岐点としての光カプラ40から分岐され、光カプラ40を通過する光パルスを所定比率で光強度検出部20に出力する分岐光路50とを有し、光出力部10から主光路30に入力された光パルスが光カプラ40を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部60と、主光路30に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部70と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ型のキャビティリングダウン分光装置に関するものである。
従来から、物質の成分濃度の測定や物質の同定等を行う方法として、空間光学系によるキャビティリングダウン分光法が知られている。このキャビティリングダウン分光法では、高反射率のミラーを2枚対向させて構成したキャビティに測定対象物を導入し、当該キャビティ内で往復することにより減衰する光パルスを計測する。
例えば、特許文献1には、第1の減衰率1/τで減衰するリングダウン波ERDを光ヘテロダイン検出するキャビティリングダウンシステムであって、光線を供給するレーザ光源と、前記光線から、局所振動周波数νLOを有する局所振動波ELOと信号周波数νSIGNALを有する信号波ESIGNALとを生起する一組の光学装置と、前記局所振動波ELOおよび前記信号波ESIGNALを受信するリングダウンキャビティと、該リングダウンキャビティが、前記局所振動波ELOおよび前記リングダウン波ERDを前記信号周波数νSIGNALで発するリングダウン段階を開始するために、前記信号波ESIGNALを中断または変更する切替手段と、前記局所振動周波数νLOと前記信号周波数νSIGNALとの間の周波数差δνに関連するヘテロダイン周波数を有する干渉信号を生起するために、前記局所振動波ELOを前記リングダウン波ERDと重ね合わせる光結合手段と、前記干渉信号を受信して、第2の減衰率1/2τを有するヘテロダイン信号Iを生起する光検出器とを具備するキャビティリングダウンシステム、が開示されている。
一方、キャビティとして光ファイバをループ状に接続して光ファイバループを形成する光ファイバ型のキャビティリングダウン分光法がある。このようなキャビティリングダウン分光法では、一般的に、光ファイバループに光カプラが接続されており、光カプラによって光パルスが入力されると共に、光ファイバループを繰り返し通過する光パルスの一部が光カプラによって分岐して出力される。光ファイバループの途中には、測定対象物を導入可能な光ファイバセルが配置されており、光カプラから出力される光パルス列(リングダウンパルス)は測定対象物に応じたものとなる。
しかしながら、測定対象物による光強度の減衰量が大きい場合、光強度が早期に検出限界未満にまで減少するため、リングダウンパルスの検出数が不十分になり易いという問題があった。
そこで、特許文献2では、所定波長の光を出力する光出力部と、前記光出力部から出力された光を循環させ、光路中に測定対象物を導入可能にされた光循環系と、前記光循環系を循環する前記光の光強度を検出する光強度検出部と、前記光循環系内に設けられ、該光循環系を進行する光を増幅すると共に、該光循環系内で発生したノイズの光強度を低減させる負帰還光増幅器とを有するキャビティリングダウン分光装置、が開示されている。
特開2000−338037号公報 特開2011−163767号公報
ところで、特許文献2のような光ファイバ型のキャビティリングダウン分光法において、検出される光パルス列は、光カプラに入力された後にキャビティ内の光ファイバループを循環せずに光カプラから出力された光パルスを含むものである。従って、このような光パルスは、光ファイバループ内の測定対象物を通過したものではなく、測定に関与しないものであった。
このような測定に関与しない光パルスは、検出される光パルス列のうち光強度が最も大きいため、リングダウンパルスを検出する受光器において飽和現象によるノイズが発生する要因となっており、以降の光パルス列についての検出結果が不安定になるという問題があった。このような飽和現象が発生する場合は光パルスの出力値を減少させる必要が生じるため、検出対象の検出精度が低下する問題があった。
そこで、本発明は、測定に関与しない光パルスを光学的に減衰してリングダウンパルスのS/N比を改善し、検出対象の検出精度を向上することが可能なキャビティリングダウン分光装置を提供することを目的とする。
本発明のキャビティリングダウン分光装置は、光パルスを出力する光出力部と、前記光パルスの光強度を検出する光強度検出部と、前記光出力部に接続された主光路と、該主光路中の光分岐点から分岐され、当該光分岐点を通過する光パルスを所定比率で前記光強度検出部に出力する分岐光路とを有し、前記光出力部から前記主光路に入力された光パルスが前記光分岐点を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部と、前記主光路に導入された前記測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部と、を有する。
上記構成によれば、光強度検出部で検出するリングダウンパルスは、主光路に導入された測定対象物を通過しない光パルスの光強度が減衰されるため、光パルスを光強度検出部において検出する際に、測定に関与しない光パルスを受光することに起因する飽和現象を起こり難くすることができる。この結果、リングダウンパルスのS/N比が改善され、検出対象の検出精度を向上させることができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記キャビティ部は、前記光分岐点が光カプラにより形成されていると共に、前記主光路における前記光カプラを挟んだ両側の端部にそれぞれ光反射部を有する構成であってもよい。
上記構成によれば、光出力部から出力された光パルスが主光路において光カプラの前後で反射される。これにより、光パルスは、繰り返し光カプラを通過し、光カプラを通過するごとに所定比率で前記光強度検出部に出力されることで、光パルス列を形成することができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記光カプラ及び前記光出力部間に配置され、前記光出力部に接続された入力ポートと、前記光カプラに接続された入出力ポートと、前記光強度検出部に接続された出力ポートとを備えた光サーキュレータをさらに有し、前記光カプラは、前記光サーキュレータの前記入出力ポートからの光パルスを、前記主光路と、前記減衰分の光パルスが通過される減衰光路と、に分岐する構成であってもよい。
上記構成によれば、光出力部から出力された光パルスは、光サーキュレータを介して光カプラに入力され、光カプラにおいて主光路と減衰光路とに分岐される。これにより、光パルスは測定に関与しない光パルスを減衰光路に分岐することができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記光反射部の何れか一方が、反射する前記光パルスの光強度を増幅する光増幅器を有している構成であってもよい。
上記構成によれば、光パルスは、光増幅器を有する光反射部において反射されるときに、光強度が増幅される。従って、光強度が光増幅器により増幅されていない場合と比較して、光強度が光強度検出部の検出限界に減衰されるまでの時間の増大、即ち、測定対象物に対する光の通過や透過の繰り返し回数を増大させることができる。この結果、多くのリングダウンパルスを得ることが可能になる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記キャビティ部は、前記光分岐点が光カプラにより形成されていると共に、前記主光路が環状に形成されている構成であってもよい。
上記構成によれば、光出力部から出力された光パルスが光カプラによってキャビティに導入されキャビティ内の環状の主光路を循環されることで、リングダウンパルスが生成される。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記光減衰部は、前記分岐光路中に配置されており、前記光パルスを前記光強度検出器に進行させる直進光と、前記光パルスの前記光強度検出器への進行を阻止する回折光とに切り替え可能な音響光学変調部を有している構成であってもよい。
上記構成によれば、リングダウンパルスとして出力されるパルス列のうち、主光路の測定対象物を通過しない光パルスが音響光学変調部を通過する際に回折光に切り替えることで、測定に関与しない光強度を減衰させることができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記キャビティ部は、前記光分岐点が第1光カプラにより形成されていると共に、前記主光路が環状に形成されており、前記光減衰部は、前記第1光カプラ及び前記光出力部間の前記主光路中に配置され、光パルスの一部を分岐する第2光カプラにより形成されている構成であってもよい。
上記構成によれば、光パルスは、第1光カプラによって主光路と分岐光路とに分岐する前に、第2光カプラによって測定対象物を通過しない光パルスが分岐される。これにより、生成されるリングダウンパルスについて測定に関与しない光パルスの光強度を減衰させることができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記光減衰部は、前記光分岐点と前記光強度検出部との間に配置され所定の偏光角の光パルスを通過させる偏光子と、前記光出力部から出力される光パルスを前記所定の偏光角とは異なる角度に偏光させる第1の偏波コントローラと、前記主光路に入力された光パルスを前記所定の偏光角に偏光させる第2の偏波コントローラと、を有する構成であってもよい。
上記構成によれば、光出力から出力された光パルスは、第1の偏波コントローラにより所定の偏光角とは異なる角度に偏光される。この光パルスは、キャビティ部に導入され光分岐点において主光路と分岐光路とに分岐される。光分岐点において最初に分岐光路へ分岐された光パルスは主光路に入力されず第2の偏波コントローラによって偏光されないため、最初に分岐点から光強度検出部へ向かう光パルスは所定の偏光角とは異なる角度に偏光されたままとなる。そして、所定の偏光角の光パルスを通過させる偏光子において、測定対象物を通過しない最初の光パルスは所定の偏光角を除く成分が減衰されることになる。また、主光路に入力され測定対象物を通過する光パルスは、主光路内の第2の偏波コントローラによって所定の偏光角に偏光されるため、偏光子においては減衰されない。これにより、光強度検出部で検出されるリングダウンパルスにおける測定対象物を通過しない光パルスのみ光強度が減衰されるため、測定に関与しない光パルスを受光することに起因する飽和現象を起こり難くすることができる。この結果、リングダウンパルスのS/N比が改善され、検出対象の検出精度を向上させることができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記キャビティ部は、前記光分岐点としてのファイバブラッググレーティングと、光反射部とを有し、前記ファイバブラッググレーティングと光反射部との間に前記光パルスが往復する前記主光路が形成されていてもよい。
上記構成によれば、光パルスは、ファイバブラッググレーティングと光反射部との間で往復されながら、ファイバブラッググレーティングにおいて所定比率で光強度検出部に出力されることで、光パルス列を形成することができる。
また、本発明のキャビティリングダウン分光装置において、前記光パルスの光路の少なくとも一部が、偏波保持光ファイバで形成されていてもよい。
上記構成によれば、光パルスの光路の少なくとも一部が偏波保持光ファイバで形成されているため、偏光角のずれを防止することができ、検出対象の検出精度をより向上させることができる。
第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置のブロック図である。 第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置に用いる光サーキュレータの模式図である。 第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置に用いる光カプラの模式図である。 第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置に用いる反射型セルの模式図である。 第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置の動作を示す説明図である。 第2実施形態のキャビティリングダウン分光装置のブロック図である。 第2実施形態のキャビティリングダウン分光装置に用いる音響光学変調部の模式図である。 第2実施形態のキャビティリングダウン分光装置に用いる音響光学変調部の動作タイミングを示す説明図である。 第2実施形態のキャビティリングダウン分光装置の動作を示す説明図である。 第3実施形態のキャビティリングダウン分光装置のブロック図である。 第3実施形態のキャビティリングダウン分光装置の動作を示す説明図である。 実施例におけるリングダウンパルスの測定結果を示す図である。 実施例において減衰光路で測定した光パルスの測定結果を示す図である。 第4実施形態のキャビティリングダウン分光装置のブロック図である。 第4実施形態のキャビティリングダウン分光装置の動作を示す説明図である。 第4実施形態のキャビティリングダウン分光装置の動作を示す説明図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るキャビティリングダウン分光装置について、図面を参照しつつ説明する。
(キャビティリングダウン分光装置1の構成)
図1に示すように、本実施形態のキャビティリングダウン分光装置1は、光パルスを出力する光出力部10と、光パルスの光強度を検出する光強度検出部20と、光出力部10に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路30と、該主光路30中の光分岐点としての光カプラ40から分岐され、光カプラ40を通過する光パルスを所定比率で光強度検出部20に出力する分岐光路50とを有し、光出力部10から主光路30に入力された光パルスが光カプラ40を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部60と、主光路30に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部70と、を有する。また、キャビティリングダウン分光装置1には、光出力部10からの光パルスを主光路30へ出力すると共に、光カプラ40からの光パルスを光強度検出部20へ出力する光サーキュレータ11が設けられている。
キャビティリングダウン分光装置1は、光に対して透過率が高い石英ガラスやプラスチック等により形成された光ファイバにより光パルスの光路が形成されている。尚、キャビティリングダウン分光装置1は、光を空間で取り扱うバルク部品が一部に用いられていてもよい。
キャビティリングダウン分光装置1の光路としては、上述の主光路30及び分岐光路50の他、光出力部10及び光サーキュレータ11を接続する入力光路91と、光減衰部70に含まれる減衰光路71とが設けられている。主光路30は、第1主光路31と第2主光路32とを有している。分岐光路50は、入出力光路51と出力光路52とを有している。
ここで、『繰り返して通過』とは、光パルスが主光路を往復移動して光分岐点を通過する循環態様と、環状の主光路を一方向に移動して光分岐点を通過する循環態様とを含む。光パルスが主光路を往復移動する場合、往復移動のうち一方向に光分岐点を通過する際に光強度検出部へ光パルスが出力されることが好ましい。また、光分岐点は光カプラに限定されず、光サーキュレータ等の光分岐結合器であってもよい。
また、『減衰』とは、光出力部から出力された光パルスのうち、キャビティ内の測定対象物を通過しない光パルスのほとんどが、光強度検出部によって検出されないことを示す。本実施形態では、光カプラ40で分岐され、キャビティ部60内の測定対象物を通過しない光パルスが減衰光路71に出力され、キャビティ部60内の測定対象物を通過してキャビティ部60から出力された光パルスを光強度検出部20で検出することによって、光強度検出部20が測定対象物を通過しない光パルスを検出することを回避しているがこれに限定されない。
光パルスの波長は、特に限定されるものではないが、例えば1550nm等の波長を挙げることができる。また、光パルスの波長は、各種の測定対象物に応じて最適な吸収性能を発揮させる波長に設定されていることが好ましい。測定対象物は、液体やガスの全ての種類の物を含むと共に、物質の種別や同じ物質の状態変化を検出する用途に適用される。
(光出力部10)
具体的に、キャビティリングダウン分光装置1の各構成について説明する。
光出力部10は、所定波長を中心波長とする光を出力する半導体レーザー等の光源と、この光源を駆動制御する駆動部とを有しており、パルス状の光を出力可能になっている。尚、光出力部10の光源は、半導体レーザーに限定されるものではなく、その他の光源であってもよい。例えば、光出力部10は、光源をスペクトル範囲の広い広帯域光としていてもよく、広帯域光から所定波長の光を抽出すると共に、光路を間欠的に遮蔽することによりパルス状の光を形成するように構成されていてもよい。
光出力部10は、入力光路91を介して光サーキュレータ11へ光パルスを出力する。
(光強度検出部20)
光強度検出部20は、受光部とオシロスコープとを備えている。光強度検出部20は、受光部で受光した光パルスを電気信号に変換し、オシロスコープで時間経過に対する電気信号の変化が検出できるようになっている。
光強度検出部20には、光サーキュレータ11からの光パルスが入力される。
(光サーキュレータ11)
光サーキュレータ11は、図2に示すように、入力ポート11aと、入出力ポート11bと、出力ポート11cとを備えている。光サーキュレータ11は、入力ポート11aに入力された光パルスを入出力ポート11bへ出力すると共に、入出力ポート11bに戻ってきた光パルスを入力ポート11aには出力せず、出力ポート11cへのみ出力する機能を有している。
入力ポート11aは入力光路91を介して光出力部10に接続され、入出力ポート11bは入出力光路51を介して光カプラ40に接続され、出力ポート11cは出力光路52を介して光強度検出部20に接続されている。これにより、光出力部10からの光パルスは光サーキュレータ11を介して光カプラ40に出力され、光カプラ40からの光パルスは光サーキュレータ11を介して光強度検出部20に出力される。
このように、光サーキュレータ11は、光出力部10及び光カプラ40間に配置されると共に、光カプラ40及び光強度検出部20間に配置される。
(キャビティ部60)
キャビティ部60は、光分岐点としての光カプラ40を有していると共に、主光路30における光カプラ40を挟んだ両側の端部それぞれに光反射部としてファイバブラッググレーティング部61及び反射型セル62を有している。
(キャビティ部60:光カプラ40)
光カプラ40は、2本の光ファイバの一部同士を融着延伸して形成された2入力2出力型の光カプラである。図3に示すように、光カプラ40は、一端に第1ポート40aと第2ポート40bとを備え、多端に第3ポート40cと第4ポート40dとを備えている。
光カプラ40は、何れかのポートに入力された光パルスを反対側の端部にある2つのポートから所定の比率に分岐して出力する機能を有している。例えば、10dBの光カプラを用いる場合、光パルスが入力されたポートに対応する反対側の端部のポートに90%が出力され、他方のポートに10%が出力される。
具体的に、図3に示すように、第1ポート40aに光パルスが入力された場合には、光パルスの90%が第3ポート40cから出力されると共に、光パルスの10%が第4ポート40dから出力される。
同様に、第2ポート40bに光パルスが入力された場合、光パルスの90%が第4ポート40dから出力されると共に、光パルスの10%が第3ポート40cから出力される。また、第3ポート40cに光パルスが入力された場合、光パルスの90%が第1ポート40aから出力されると共に、光パルスの10%が第2ポート40bから出力される。また、第4ポート40dに光パルスが入力された場合、光パルスの90%が第2ポート40bから出力されると共に、光パルスの10%が第1ポート40aから出力される。
尚、光カプラの分岐比率はこれに限定されるものではなく、3dB(対応ポートに50%出力)、6dB(対応ポートに75%出力)、及び、20dB(対応ポートに99%出力)等が挙げられる。
第1ポート40aは、入出力光路51を介して光サーキュレータ11に接続されている。第2ポート40bは、第1主光路31を介してファイバブラッググレーティング部61に接続されている。第3ポート40cは、減衰光路71に接続されている。第4ポート40dは、第2主光路32を介して反射型セル62に接続されている。
即ち、光出力部10からの光パルスは、第1ポート40aからキャビティ部60に導入された後、ファイバブラッググレーティング部61と反射型セル62との間の主光路30を往復移動する循環態様を取る。また、この往復移動において、光パルスが光カプラ40を通過する際には、第1ポート40a、又は、第3ポート40cから光パルスの一部が出力されるようになっている。
(キャビティ部60:ファイバブラッググレーティング部61)
ファイバブラッググレーティング部61は、入力された光パルスを入力方向とは逆方向に反射する機能を有している。即ち、光カプラ40の第2ポート40bから出力された光パルスを反射し、当該光パルスを第2ポート40bに入力する。
ファイバブラッググレーティング部61は、第1主光路31から延長される光ファイバにファイバブラッググレーティングが形成されてなる。ファイバブラッググレーティング部は、中心波長が1550nm、反射率が99.99%(40dB)に設定されることが好ましい。この理由は、製造上作れる限界が99.99%であるからであるが、この反射率以上のファイバグレーティングであれば、さらに好ましい。
(キャビティ部60:反射型セル62)
反射型セル62は、入力された光パルスが通過可能に測定対象物を主光路30に導入可能にされているとともに、入力された光パルスを入力方向とは逆方向に反射する機能を有している。即ち、反射型セル62は、光カプラ40の第4ポート40dから出力された光パルスを測定対象物に通過させると共に、当該光パルスを第4ポート40dへ入力する。
具体的には、図4に示すように、反射型セル62は、主光路30(第2主光路32)である光ファイバからの光パルスが導入されるセル本体62aを有している。セル本体62a内において光ファイバと接続される一端部にはコリメータレンズ62bが配置されており、導入される光パルスを平行ビーム化した状態で反対側の他端部へ直進させるようになっている。また、他端部にはミラー62cが配置されている。即ち、ミラー62cは、コリメータレンズ62bと対向に配置されており、光パルスをコリメータレンズ62bの方向へ反射するようになっている。即ち、反射された平行ビーム化された光パルスは上記コリメータレンズ62bにより集光されて光ファイバに導入される。
また、セル本体62aにはスリット62dが形成されており、このスリット62dに嵌合する容器に封入された測定対象物をセル本体62a内の光パルスの経路上に導入可能にされている。これにより、セル本体62a内を移動する光パルスは、測定対象物を通過することができるようになっている。尚、測定対象物の導入態様は限定されず、例えば、キャビティリングダウン分光装置の少なくとも反射型セルを含む空間にガス等の測定対象物を充満させ、スリット内に測定対象物を存在させるものであってもよい。また、例えば、スリット等のないセル本体62aの内部に測定対象物が封入されるものであってもよい。
尚、このような反射型セルに限定されず、例えば、測定対象物に差し込んで用いる光ファイバプローブであってもよい。また、光パルスを反射させる構成は限定されず、例えば、光ファイバの端面に蒸着やコーティングにより形成されていてもよいし、反射鏡が密接されていてもよい。また、光ファイバにファイバブラッググレーティングを形成して、反射機能を実現してもよい。
このように、測定対象物を主光路中に位置させることによって、光パルスの強度に測定対象物の光吸収性質に応じた減衰が生じる。
このように、本実施形態の光反射部として、ファイバブラッググレーティング部61及び反射型セル62を設けているがこれに限定されない。例えば、光反射部の何れか一つとして、光増幅器を有するものであってもよい。
光増幅器としては、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)等の光増幅素子が挙げられる。半導体光増幅器は、インジウム燐(InP)等の化合物半導体で形成される半導体基板と、半導体基板上に設けられ半導体基板よりも屈折率が高く形成された光導波路とを有している。光導波路は、半導体基板上にエピタキシャル成長されたIII−V族混晶半導体の多層膜であり、例えばホトリソグラフィーを用いて所定幅のテープ状突起となるように形成される。このような光増幅器は、例えば所定波長の光が入射されたときに、その光を増幅して出力すると同時に、その所定波長を中心とする周囲波長を有し、そのレーザー光の強度変調に反比例して強度が増減する自然放出光をも出力する所謂相互利得変調作用を起こす機能を備えている。
光増幅器を有した光反射部は、光増幅器の光導波路における光及び自然放出光の出力側の端面に、アルミや銀等の金属膜の蒸着、及び、誘電体膜等のコーティング等によって光反射部材が密着状態で形成された負帰還半導体光増幅器であってもよい。
負帰還半導体光増幅器は、光増幅器によって出力信号光と周囲光とを含む光が出力された後、反射部材によって光増幅器に反射されることで、周囲光は光増幅器の利得を変調することができるようになっている。この変調された利得の中を入力信号光が進行すると基線の上昇を抑制し、ノイズが低減された状態となる。
従って、主光路において光パルスが負帰還半導体光増幅器に入力された場合、光強度が増幅されると共に、ノイズが低減された光パルスが反射されることになる。
このような、光増幅器を有する光反射部は、図1におけるファイバブラッググレーティング部61の位置に配置されてもよいし、反射型セル62の位置に配置されてもよい。
また、キャビティリングダウン分光装置は、光路的に対向する光反射部として、光増幅器を有する光反射部とファイバブラッググレーティングと有する構成であってもよいし、光増幅器を有する光反射部と反射型セルとを有する構成であってもよい。尚、反射型セルを設けない場合は、測定対象物を導入可能な透過型セルを主光路上に設けてもよい。
(キャビティ部60:主光路30)
主光路30は、主に第1主光路31と第2主光路32とから構成され、光パルスがファイバブラッググレーティング部61と反射型セル62とで反射されることにより往復移動する光伝送路である。
第2主光路32は、光路中に光パルスの光路長を長尺化するための遅延部32aを有している。遅延部32aは、100m程度の光ファイバが巻回されて形成されているため、光パルスのキャビティ内での光路長は1往復で200m程度に長尺化される。これにより、光強度検出部20で検出される光パルス列における光パルス同士が時間軸に対し重畳してしまうことを回避することができる。
(減衰光路71)
減衰光路71は、上述のように光カプラ40の第3ポート40cに接続されている。即ち、光パルスが第1ポート40a、又は、第2ポート40bに入力されたときに、減衰光路71へ光パルスの一部が分岐され、キャビティ部60において主光路30に導入された測定対象物を通過しない光パルスが減衰光路71を通過するようになっている。
尚、減衰光路71を構成する光ファイバは、末端が斜めに加工されている。これにより、末端において反射する光パルスを軽減している。尚、減衰光路71の末端処理はこれに限定されない。
(光減衰部70)
光減衰部70は、主に上記の減衰光路71と光カプラ40と光サーキュレータ11で構成される。光減衰部70は、キャビティ部60により複数回に亘って繰り返して光強度検出部20に入力される光パルスのみを光強度検出部20に導くと共に、キャビティ部60において主光路30に導入された測定対象物を通過しない光パルスを減衰光路71に導くようになっている。
具体的に、光出力部10から出力された光パルスは、光サーキュレータ11を介して、光カプラ40に入力される。光カプラ40に入力された光パルスは、減衰光路71と、主光路30とに分岐される。
従来、光カプラにおいてキャビティを構成したキャビティリングダウン分光装置は、キャビティ内で測定対象物を通過する光パルスと、キャビティ内の主光路に導入されず測定対象物を通過しない光パルスとの両方が検出されていた。本実施形態では、測定対象物を通過しない光パルスを光カプラ40によって主光路30とは別の減衰光路71へ分岐させている。これにより、測定対象物を通過しない光パルスの少なくとも一部は光強度検出部20へ到達しない。この結果、光出力部10から出力された光パルスから測定対象物を通過しない光パルスの分が減衰され、光強度検出部20へ到ることになる。そして、光カプラ40において、主光路30に分岐された光パルスは、キャビティ内の光カプラ40を繰り返し通過し、通過ごとに光サーキュレータ11によって光強度検出部20へ入力される。
このように、キャビティ内の測定対象物を通過せず、測定対象物の吸光の対象とならない光パルスは、光減衰部70へ分岐され、結果的に光強度検出部20が検出する光パルスから減衰されるようになっている。これにより、測定に関与するものではなく、光強度検出部において飽和現象の要因となり得る光パルスを減衰させることができる。また、このように光サーキュレータ11を用いることにより、光出力部10への光パルスが入射されてしまうことを回避することができ、光出力部10の光出力が不安定になるのを防止している。
(動作)
次に、キャビティリングダウン分光装置1の動作について具体的に説明する。尚、光カプラ40が10dB(対応ポートに90%出力)である場合について、説明する。
先ず、光出力部10から光パルスが出力されると、図5(a)に示すように、光サーキュレータ11から入出力光路51を介して光カプラ40の第1ポート40aに入力される。光カプラ40の第1ポート40aに入力された光パルスは、90%が第3ポート40cに分岐されて減衰光路71に導入される。このように主光路30内の測定対象物を通過しない光パルスは、光減衰部70によって光強度検出部20へ到る光路から分岐され、光強度検出部20が検出する光パルスから減衰されることになる。一方、第1ポート40aに入力された光パルス(10%)は、10%が第4ポート40dに分岐され、第2主光路32(主光路30)に導入されることになる。
図5(b)に示すように、第2主光路32に導入された光パルス(10%)は、反射型セル62で測定対象物を通過すると共に反射されて第4ポート40dに入力される。第4ポート40dに入力された光パルス(10%)は、10%が第1ポート40aに分岐され光サーキュレータ11を介して光強度検出部20にリングダウンパルスとして入力される。即ち、この光パルスは、キャビティ部60に入力された光パルスの10%×10%の光強度となる。一方、第4ポート40dに入力された光パルスは、90%が第2ポート40bに分岐され第1主光路31に導入される。
図5(c)に示すように、第1主光路31に導入された光パルス(10%×90%)は、ファイバブラッググレーティング部61で反射されて第2ポート40bに入力される。第2ポート40bに入力された光パルス(10%×90%)は、10%が第3ポート40cに分岐され減衰光路71に導入される。一方、第2ポート40bに入力された光パルス(10%×90%)は、90%が第4ポート40dに分岐される。第4ポート40dに分岐された光パルス(10%×90%×90%)は、第2主光路32(主光路30)に再度導入され、上記のような往復移動を繰り返す。
上記のような動作を繰り返すことにより、光強度検出部20には、10%×10%の光パルス、10%×90%×90%×10%の光パルス、10%×90%×90%×90%×90%×10%の光パルス、・・・が連続的に入力され、次第に減衰する光パルス列(リングダウンパルス)が検出される。リングダウンパルスを構成するこれらの光パルス列は、すべて測定対象物を通過したものとなり、測定対象物による吸光の影響を受けることになる。尚、上記の値は、光カプラ40による分岐比のみ考慮した理論値である。
実際には、光パルスは、主光路30の反射型セル62に封入された測定対象によって光吸収が行われるため、主光路30を往復する毎に測定対象の吸収係数に応じた減衰が行われる。光強度検出部20で検出したリングダウンパルスから、この吸収計数を算出することで測定対象の同定等を行うことができるようになっている。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るキャビティリングダウン分光装置について、図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同様の構成には、同じ名称を用い、その説明を省略することがある。
(キャビティリングダウン分光装置101の構成)
図6に示すように、本実施形態のキャビティリングダウン分光装置101は、光パルスを出力する光出力部110と、光パルスの光強度を検出する光強度検出部120と、光出力部110に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路130と、該主光路130中の光分岐点としての光カプラ140から分岐され、光カプラ140を通過する光パルスを所定比率で光強度検出部120に出力する分岐光路150とを有し、光出力部110から主光路130に入力された光パルスが光カプラ140を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部160と、主光路130に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部としての音響光学変調部170と、を有する。
キャビティリングダウン分光装置1は、光ファイバにより光パルスの光路が形成されている。キャビティリングダウン分光装置1の光路としては、上述の主光路130及び分岐光路150の他、光出力部110と光カプラ140とを接続する入力光路191が設けられている。分岐光路150は、光カプラ140及び音響光学変調部170を接続する第1分岐光路151と、音響光学変調部170及び光強度検出部120を接続する第2分岐光路152とを有している。
(キャビティ部160)
キャビティ部160は、上述のように光分岐点が光カプラ140により形成されていると共に、主光路130が環状に形成されている。また、環状に形成された主光路130には、光路中に測定対象物を導入するための透過型セル163が配置されている。
(キャビティ部160:光カプラ140)
光カプラ140は第1実施形態と同様のものを用いており、第1ポート140aと、第2ポート140bと、第3ポート140cと、第4ポート140dとを有している。
第1ポート140aは、入力光路191を介して光出力部110に接続されている。第2ポート140bは、環状に形成された主光路130に接続されており、主光路130を循環する光パルスが入力される。第3ポート140cは、第1分岐光路151を介して、音響光学変調部170に接続されている。第4ポート140dは、環状に形成された主光路130に接続されており、主光路130へ光パルスが出力される。尚、図示しないが、主光路130は、200m程度の光ファイバが巻回されて形成されている。
(キャビティ部160:透過型セル163)
透過型セル163は、入力された光パルスが通過可能に測定対象物を主光路130に導入可能にされているとともに、入力された光パルスを入力方向と同じ方向へ出射する機能を有している。即ち、透過型セル163は、光カプラ140の第4ポート140dから出力された光パルスを測定対象物に通過させると共に、当該光パルスを第2ポート140bへ入力する。
具体的には、透過型セル163は、光ファイバからの光パルスが導入されるセル本体を有している。セル本体内において光ファイバと接続される両端部には夫々コリメータレンズが配置されており、何れか一端部に導入される光パルスを平行ビーム化した状態で反対側の他端部へ直進させるようになっている。一端部から導入されコリメータレンズにより平行ビーム化された光パルスは、他端部のコリメータレンズにより反対側の光ファイバに導入される。
また、セル本体にはスリットが形成されており、このスリットに嵌合する容器に封入された測定対象物をセル本体内の光パルスの経路上に導入可能にされている。これにより、セル本体内を移動する光パルスは、測定対象物を通過することができるようになっている。尚、測定対象物の導入態様は限定されず、例えばセル本体に測定対象物が直接封入されるものであってもよい。
尚、このような透過型セルに限定されず、例えば、測定対象物に差し込んで用いる光ファイバプローブであってもよい。光ファイバプローブを用いる場合は、第4ポート140dから出力された光パルスを光サーキュレータなどの光分岐デバイスを用いて光ファイバプローブに入力させ、光ファイバプローブから反射された光パルスを光分岐デバイスで第2ポート140bに入力させる。
このように、測定対象物を主光路中に位置させることによって、光パルスの強度に測定対象物の光吸収性質に応じた減衰が生じる。
(音響光学変調部170)
図7に示すように、音響光学変調部170は、音響光学変調素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)171と、制御部172とを有している。
音響光学変調素子171は、超音波駆動によって回折格子が機能する光デバイスである。具体的に、音響光学変調素子171は、音響光学媒質170aと、トランスデューサ170bとを有している。音響光学媒質170aは、二酸化テルル(TeO)やモリブデン酸鉛(PbMoO)などの単結晶及びガラス等からなり、超音波が媒質中に伝搬されることで屈折率の変調が周期的に生じ、格子間隔Λの回折格子を形成するようになっている。また、トランスデューサ170bは、電気信号が入力されることにより超音波が発生する圧電素子であり、伝搬した超音波に応じた屈折率の変調を音響光学媒質170aに生じさせる。
これにより、トランスデューサ170bによって音響光学媒質170aに超音波が伝搬されている間は、角度θで音響光学媒質170aに入射された入射波は、角度θの回折波(1次回折波)として出射される(図7参照)。尚、回折波の振動数は、入射光の振動数νに、伝搬させた超音波に応じた振動数fを加算した値となる。
また、トランスデューサ170bによって音響光学媒質170aに超音波が伝搬されていない間は、角度θで音響光学媒質170aに入射された入射波は、角度θの透過波(0次回折波)として出射される(図7参照)。
このような、音響光学変調部170は、第2分岐光路152に、出射される透過波が導入されるように接続されている。また、音響光学変調部170から出射される回折波は光強度検出部120によって検出されないように光学系外へ除去される。
制御部172は、音響光学変調部170のトランスデューサ170bへの電気信号入力のオン/オフを制御する。具体的に、図8に示すように、音響光学変調部170には、キャビティ部160から第1分岐光路151を介して次第に減衰する光パルス列が入射光として入射される。ここで、入射光の光パルス列のうち時間的に最初の光パルス102は、キャビティ部160内の主光路130を通過したものではないため、透過型セル163の測定対象物の吸光の対象となっていない。
制御部172は、少なくともこのような光パルス102が音響光学媒質170aを通過するタイミングで、トランスデューサ170bをオンに制御する。これにより、入射光の光パルス列のうち光パルス102を分岐光路150から除去することができる。
また、上記タイミングの他は、トランスデューサ170bをオフに制御する。これにより、入射光の光パルス列のうち光パルス102を除く光パルスについて、分岐光路150を通過させて光強度検出部120によって光強度を検出させることができる。
このように、音響光学変調部170は、主光路130の測定対象物を通過しない光パルスを減衰させる光減衰部として機能する。
尚、音響光学変調部170において、光パルス102のすべてを除去することに限定されず、少なくとも一部が減衰されればよい。例えば、音響光学変調素子171は、トランスデューサ170bがオンに制御された時に、70%が回折され、30%が透過されるようなものであってもよい。また、トランスデューサ170bがオンにされるタイミングは、光パルス102が通過するタイミングのうちの少なくとも一部が含まれていればよい。
また、光パルス102が音響光学媒質170aを通過するタイミングでトランスデューサ170bがオフに制御されるものであってもよい。この場合、音響光学変調部170は、第2分岐光路152に、出射される回折波が導入されるように接続される。
(動作)
次に、キャビティリングダウン分光装置101の動作について具体的に説明する。尚、光カプラ140が10dB(対応ポートに90%出力)である場合について、説明する。
先ず、光出力部110から光パルスが出力されると、図9(a)に示すように、入力光路191を介して光カプラ140の第1ポート140aに入力される。光カプラ140の第1ポート140aに入力された光パルスは、90%(光パルス102)が第3ポート140cに分岐され、オンに制御された音響光学変調部170によって回折光として除去される。この除去された光パルスは、従来のキャビティリングダウン分光装置ではリングダウンパルスの一部として検出されていた、測定に関与しない光パルスである。
一方、光カプラ140の第1ポート140aに入力された光パルスは、10%が第4ポート140dに分岐され、主光路130に導入され、透過型セル163を通過する。
そして、図9(b)に示すように、透過型セル163を通過した光パルス(10%)は、光カプラ140の第2ポート140bに入力される。第2ポート140bに入力された光パルス(10%)は、10%が第3ポート140cに分岐され、音響光学変調部170において透過光として第2分岐光路152に導入された後、光強度検出部120ににリングダウンパルスとして入力される。即ち、この光パルスは、キャビティ部160に入力された光パルスの10%×10%の光強度となる。
一方、第2ポート140bに入力された光パルス(10%)は、90%が第4ポート140dに分岐され主光路130に再度導入され、上記のような循環移動を繰り返す。
このような動作を繰り返すことにより、光強度検出部120には、10%×10%の光パルス、10%×90%×10%の光パルス、10%×90%×90%×10%の光パルス、・・・が連続的に入力され、次第に減衰する光パルス列(リングダウンパルス)が検出される。リングダウンパルスを構成するこれらの光パルス列は、すべて測定対象物を通過したものとなり、測定対象物による吸光の影響を受けることになる。尚、上記の値は、光カプラ140による分岐比のみ考慮した理論値である。
実際には、光パルスは、主光路130の透過型セル163に封入された測定対象によって光吸収が行われるため、主光路130を往復する毎に測定対象の吸収係数に応じた減衰が行われる。光強度検出部120で検出したリングダウンパルスから、この吸収計数を算出することで測定対象の同定等を行うことができるようになっている。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るキャビティリングダウン分光装置について、図面を参照しつつ説明する。尚、上記実施形態と同様の構成には、同じ名称を用い、その説明を省略することがある。
(キャビティリングダウン分光装置201の構成)
図10に示すように、本実施形態のキャビティリングダウン分光装置201は、光パルスを出力する光出力部210と、光パルスの光強度を検出する光強度検出部220と、光出力部210に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路230と、該主光路230中の光分岐点としての第1光カプラ240から分岐され、第1光カプラ240を通過する光パルスを所定比率で光強度検出部220に出力する分岐光路250とを有し、光出力部210から主光路230に入力された光パルスが第1光カプラ240を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部260と、主光路230に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部としての第2光カプラ270と、を有する。
キャビティリングダウン分光装置201は、光ファイバにより光パルスの光路が形成されている。キャビティリングダウン分光装置1の光路としては、上述の主光路230及び分岐光路250の他、光出力部210と第1光カプラ240とを接続する入力光路291と、減衰光路271とが設けられている。
(キャビティ部260)
キャビティ部260は、上述のように、光分岐点が第1光カプラ240により形成されていると共に、主光路230が環状に形成されている。光出力部210からの光パルスは、第2光カプラ270を介して主光路230に導入される。また、環状に形成された主光路230には、光路中に測定対象物を導入するための透過型セル263が配置されている。
(キャビティ部260:第1光カプラ240)
第1光カプラ240は第1実施形態の光カプラと同様のものを用いており、第1ポート240aと、第2ポート240bと、第3ポート240cと、第4ポート240dとを有している。
第1ポート240aは、本実施形態では用いない。即ち、第1光カプラ240には、3ポート(1入力、2出力)の光カプラを用いてもよい。第2ポート240bは、環状に形成された主光路230に接続されており、主光路230を循環する光パルスが入力される。第3ポートは、分岐光路250を介して、光強度検出部220に接続されている。第4ポート240dは、環状に形成された主光路230に接続されており、主光路230へ光パルスが出力される。
(キャビティ部260:第2光カプラ270)
第2光カプラ270は第1実施形態の光カプラと同様のものを用いており、第1ポート270aと、第2ポート270bと、第3ポート270cと、第4ポート270dとを有している。
第1ポート270aは、入力光路291を介して光出力部210に接続されている。第2ポート240bは、環状に形成された主光路230に接続されており、主光路230を循環する光パルスが入力される。第3ポートは、減衰光路271に接続されている。第4ポート270dは、環状に形成された主光路230に接続されており、主光路230へ光パルスが出力される。尚、図示しないが、主光路230は、200m程度の光ファイバが巻回されて形成されている。
このように、第2光カプラ270は、光パルスについて光分岐点を繰り返し通過させる機能を有するキャビティ部260の一部を構成すると共に、主光路230に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部としての機能を有している。換言すれば、光減衰部としての第2光カプラは、第1光カプラ240及び光出力部210間の主光路230中に配置され、光パルスの一部(測定に関与しない光パルス)を分岐する。
(キャビティ部260:透過型セル263)
透過型セル263は、入力された光パルスが透過可能に測定対象物を主光路230に導入可能にされているとともに、入力された光パルスを出力する機能を有している。即ち、透過型セル263は、第2光カプラ270の第4ポート270dから出力された光パルスを測定対象物に通過させると共に、当該光パルスを第2ポート240bへ入力する。
具体的には、透過型セル263は、光ファイバからの光パルスが導入されるセル本体を有している。セル本体内において光ファイバと接続される両端部には夫々コリメータレンズが配置されており、何れか一端部に導入される光パルスを平行ビーム化した状態で反対側の他端部へ直進させるようになっている。一端部から導入されコリメータレンズにより平行ビーム化された光パルスは、他端部のコリメータレンズにより反対側の光ファイバに導入される。
また、セル本体にはスリットが形成されており、このスリットに嵌合する容器に封入された測定対象物をセル本体内の光パルスの経路上に導入可能にされている。これにより、セル本体内を移動する光パルスは、測定対象物を通過することができるようになっている。尚、測定対象物の導入態様は限定されず、例えばセル本体に測定対象物が直接封入されるものであってもよい。
尚、このような透過型セルに限定されず、例えば、測定対象物に差し込んで用いる光ファイバプローブであってもよい。光ファイバプローブを用いる場合は、第2光カプラ270の第4ポート270dから出力された光パルスを光サーキュレータなどの光分岐デバイスを用いて光ファイバプローブに入力させ、光ファイバプローブから反射された光パルスを光分岐デバイスで第2ポート240bに入力させる。
このように、測定対象物を主光路中に位置させることによって、光パルスの強度に測定対象物の光吸収性質に応じた減衰が生じる。
(動作)
次に、キャビティリングダウン分光装置201の動作について具体的に説明する。尚、第1光カプラ240及び第2光カプラ270が10dB(対応ポートに90%出力)である場合について、説明する。
先ず、光出力部210から光パルスが出力されると、図11(a)に示すように、入力光路291を介して第2光カプラ270の第1ポート270aに入力される。第2光カプラ270の第1ポート270aに入力された光パルスは、90%(光パルス102)が第3ポート270cに分岐され、減衰光路271に導入される。この除去された光パルスは、従来のキャビティリングダウン分光装置ではリングダウンパルスの一部として検出されていた、測定に関与しない光パルスである。このように、測定対象物の吸光の対象となっていない光パルスを除去することができる。
一方、第2光カプラ270の第1ポート270aに入力された光パルスは、10%が第4ポート270dに分岐され、主光路230に導入され、透過型セル263を通過する。
そして、図11(b)に示すように、透過型セル263を通過した光パルス(10%)は、第1光カプラ240の第2ポート240bに入力される。第2ポート240bに入力された光パルス(10%)は、10%が第3ポート240cに分岐され、分岐光路250を介して光強度検出部220ににリングダウンパルスとして入力される。即ち、この光パルスは、キャビティ部260に入力された光パルスの10%×10%の光強度となる。
一方、第2ポート240bに入力された光パルス(10%)は、90%が第4ポート240dに分岐され主光路230に再度導入される。
そして、図11(c)に示すように、主光路230に再度導入された光パルス(10%×10%)は、第2光カプラ270の第2ポート270bに入力される。第2ポート270bに入力された光パルス(10%×10%)は、10%が第3ポート270cに分岐され、減衰光路271によってキャビティ部260から除去される。
一方、第2ポート270bに入力された光パルス(10%×10%)は、90%が第4ポート270dに分岐され主光路230に再度導入され、上記のような循環移動を繰り返す。
上記のような動作を繰り返すことにより、光強度検出部220には、10%×10%の光パルス、10%×90%×90%×10%の光パルス、10%×90%×90%×90%×90%×10%の光パルス、・・・が連続的に入力され、次第に減衰する光パルス列(リングダウンパルス)が検出される。リングダウンパルスを構成するこれらの光パルス列は、すべて測定対象物を通過したものとなり、測定対象物による吸光の影響を受けることになる。尚、上記の値は、第1光カプラ240及び第2光カプラ270による分岐比のみ考慮した理論値である。
実際には、光パルスは、主光路230の透過型セル263に封入された測定対象によって光吸収が行われるため、主光路230を往復する毎に測定対象の吸収係数に応じた減衰が行われる。光強度検出部220で検出したリングダウンパルスから、この吸収計数を算出することで測定対象の同定等を行うことができるようになっている。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るキャビティリングダウン分光装置について、図面を参照しつつ説明する。尚、上記実施形態と同様の構成には、同じ名称を用い、その説明を省略することがある。
(キャビティリングダウン分光装置301の構成)
図14に示すように、本実施形態のキャビティリングダウン分光装置301は、光パルスを出力する光出力部310と、光パルスの光強度を検出する光強度検出部320と、キャビティ部360と、光減衰部370とを有している。
(キャビティ部360)
キャビティ部360は、光出力部310に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路330と、該主光路330中の光分岐点としてのファイバブラッググレーティング部331から分岐され、当該ファイバブラッググレーティング部331を通過する光パルスを所定比率で光強度検出部320に出力する出力光路352(分岐光路350)とを有している。
また、キャビティ部360は、主光路330の光路長を長尺化するための遅延部330aと、光出力部310からの光パルスをファイバブラッググレーティング部331へ導くと共に、ファイバブラッググレーティング部331からの光パルスを光強度検出部320へ導く光サーキュレータ311と、光サーキュレータ311とファイバブラッググレーティング部331とを接続する入出力光路351と、を有している。
また、キャビティ部360は、光反射部として反射型セル362を有している。ファイバブラッググレーティング部331と反射型セル362とは、主光路330の両端を構成している。これにより、主光路330に導入された光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331と反射型セル362との間を往復する。換言すれば、光分岐点であるファイバブラッググレーティング部331と反射型セル362との間に、光パルスが繰り返し往復する主光路330が形成されている。
従って、主光路330を往復する光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331を通過する毎に、出力光路352へ分岐された光パルスの分だけ光強度が減衰されるようになっている。また、主光路330を往復する光パルスは、反射型セル362を通過する毎に、反射型セル362に配置される測定対象物の光吸収性質に応じた減衰が生じるようになっている。
光減衰部370は、主光路330に導入された測定対象物を非通過の光パルスを減衰させるように構成されている。具体的に、光減衰部370は、ファイバブラッググレーティング部331と光強度検出部320との間に配置され所定の偏光角の光パルスを通過させる偏光子373と、光出力部310から出力される光パルスを所定の偏光角とは異なる角度に偏光させる第1の偏波コントローラ371と、主光路330に入力された光パルスを所定の偏光角に偏光させる第2の偏波コントローラ372と、を有している。
尚、『光パルスを偏光させる』とは、光パルスを、進行方向に対して垂直な特定方向に振動するような直線偏光に制御することを意味する。従って、『所定の偏光角の光パルス』とは、所定の偏光角の方向へ振動しながら進行する光パルスを意味する。
また、『所定の偏光角とは異なる角度に偏光させる』とは、光パルスが偏光子373に到達した際に、偏光子373が通過させる「所定の偏光角」と異なっているように、第1の偏波コントローラ371において光パルスの偏光角(振動方向)が制御されることを意味する。また、「所定の偏光角とは異なる角度」は、「所定の偏光角」と直角をなす角度であることが好ましい。
また、『所定の偏光角に偏光させる』とは、光パルスが偏光子373に到達した際に、偏光子373が通過させる「所定の偏光角」と同じ偏光角の光パルスとなっているように、第2の偏波コントローラ372において光パルスの偏光角が制御されることを意味する。
第1の偏波コントローラ371、及び、第2の偏波コントローラ372に用いるファイバ偏波コントローラや偏光子373に用いる偏光子は特に限定されない。例えば、ファイバ偏波コントローラは、バルク型、パドル型、インライン型等の何れであってもよい。
キャビティリングダウン分光装置301の光路としては、上述の主光路330、出力光路352、及び、入出力光路351の他に、光出力部310及び光サーキュレータ311を接続する入力光路391を有している。これらの光路は、偏波保持光ファイバで形成されることが好ましい。これにより、第1の偏波コントローラ371、及び、第2の偏波コントローラ372によって偏光された光パルスの偏光角がずれることを防止することができる。尚、光路が偏波保持光ファイバによって形成されることに限定されない。例えば、光パルスが通過する上記光路の少なくとも一部が偏波保持光ファイバで形成されていてもよい。
(動作)
次に、キャビティリングダウン分光装置201の動作について具体的に説明する。尚、ファイバブラッググレーティング部331が20dB(99%)の反射率である場合について説明する。また、以下において、括弧内に記載する割合は、光出力部310によって出力された光パルスに対する光強度の割合である。
先ず、光パルスは、光出力部310から入力光路391に出力される。入力光路391において、光パルスは、第1の偏波コントローラ371によって偏光角が制御される。本実施形態では、図15に示すように、第1の偏波コントローラ371によって、光パルスが、偏波保持光ファイバのX軸方向に振動する偏光に制御されるようになっている。この偏光角は、偏光子373が通過を許容する偏光角とは異なる角度(本実施形態では、偏光子373が通過を許容する偏光角と直角)に設定される。
そして、光パルスは、入力光路391から光サーキュレータ311へ入力される。入力光路391から光サーキュレータ311に入力された光パルスは、入出力光路351に出力され、ファイバブラッググレーティング部331に到達する。
ファイバブラッググレーティング部331に到達した光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331によって反射される光パルス(99%)と、ファイバブラッググレーティング部331を透過して主光路330に入力される光パルス(1%)と、に分岐される。
ファイバブラッググレーティング部331によって反射される光パルスは、入出力光路351を通過して光サーキュレータ311へ入力される。入出力光路351から光サーキュレータ311へ入力された光パルスは、出力光路352に出力され、偏光子373に到達する。上述のように、偏光子373は、偏波保持光ファイバのY軸方向成分のみ(所定の偏光角)を通過させる。ファイバブラッググレーティング部331によって反射される光パルスは、第1の偏波コントローラ371によって、偏波保持光ファイバのX軸方向に振動するように制御されたものであるため偏光子373を通過されない。即ち、ファイバブラッググレーティング部331によって最初に反射される光パルスは、光強度検出部320によって検出されないことになる。
一方、ファイバブラッググレーティング部331を透過して主光路330に入力された光パルスは、第2の偏波コントローラ372によって偏光角が制御される。本実施形態では、図16に示すように、第2の偏波コントローラ372によって、光パルスが、偏波保持光ファイバのY軸方向に振動する偏光に制御されるようになっている。この偏光角は、偏光子373が通過を許容する偏光角と同じに設定される。
そして、光パルスは、光強度検出部320において光パルス列を検出するため、遅延部330aを通過し、反射型セル362に到達する。光パルスは、反射型セル362において、測定対象物を通過すると共に反対方向へ反射される。これにより、光パルスに測定対象物に応じた減衰を生じさせることができる。
反射型セル362により反射された光パルスは、遅延部330aを通過し、再度第2の偏波コントローラ372によって所定の偏光角に制御される。このように、第2の偏波コントローラ372を通過するごとに所定の偏光角が制御されるため、主光路330の往復回数によらず、光強度検出部320へ向かう光パルスは所定の偏光角に維持される。
第2の偏波コントローラ372を通過した光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331に到達する。図16に示すように、ファイバブラッググレーティング部331に到達した光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331によって反射される光パルス(1%×99%)と、ファイバブラッググレーティング部331を透過して入出力光路351に入力される光パルス(1%×1%)と、に分岐される。
ファイバブラッググレーティング部331を透過して入出力光路351に入力される光パルスは、ファイバブラッググレーティング部331に入力されて出力光路352へ出力され、偏光子373に到達する。この光パルスは、第2の偏波コントローラ372によってY軸方向に振動するように制御されたものであるため、偏光子373を通過することができる。
この光パルスの光強度は、光出力部310が出力した光パルスの強度の1%である。また、偏光子373によって通過が遮られた光パルスは、光出力部310が出力した光パルスの強度の99%である。このように、測定対象物を通過しない光パルスを減衰させることができるため、測定に関与しない光パルスを受光することに起因する飽和現象を起こり難くすることができる。これにより、パルス列(リングダウンパルス)のS/N比が改善され、検出対象の検出精度を向上させることができる。尚、上記の値は、ファイバブラッググレーティング部331による分岐比のみ考慮した理論値である。
一方、ファイバブラッググレーティング部331によって反射される光パルスは、上記と同様に、ファイバブラッググレーティング部331において一部が透過されながら主光路330を往復する。これにより、次第に減衰する光パルス列(リングダウンパルス)が光強度検出部320において検出されることになる。
このように、光強度検出部320において検出されるこれらの光パルス列は、すべて測定対象物を通過したものとなり、測定対象物による吸光の影響を受けることになる。即ち、主光路330を往復する光パルスは、主光路330の反射型セル362に封入された測定対象物によって光吸収が行われるため、主光路330を往復する毎に測定対象の吸収係数に応じた減衰が行われる。光強度検出部320で検出したリングダウンパルスから、この吸収計数を算出することで測定対象物の同定等を行うことができるようになっている。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
第1実施形態のキャビティリングダウン分光装置1において、リングダウンパルスの光強度を測定した。
(実施例・比較例)
図1に示す構成を、下記の部材を用いて組み上げ、実施例として用いた。
光出力部10として、半導体レーザー(FITEL製、FRL150CWA−A81−19080)を用いた。
光強度検出部20の受光器として、アバランシェ・フォトダイオード(浜松ホトニクス製)を用いた。
光強度検出部20のオシロスコープとしてYOKOGAWA製 DLM2054を用いた。
光サーキュレータ11として、FDK製 YC−1100−ZJ1−155を用いた。
光カプラとして、1550nmの波長で20dBの分岐比を持つ光カプラ(タツタ電線製)を用いた。
ファイバブラッググレーティング部61として、1550nmの波長で20dBの反射率を持つもの(タツタ電線製)を用いた。
そして、半導体レーザーでパルス信号を作り、光強度検出部20で検出されるリングダウンパルスの波形の状態を測定した。この測定結果を図12に示す。
また、図1の構成の減衰光路71の出力先に受光器(アバランシェ・フォトダイオード(浜松ホトニクス製))を接続した構成を、比較例として用いた(図示せず)。比較例においては、減衰光路71へ分岐される光パルスの波形の状態を測定した。即ち、測定対象物を通過していない光パルスも合わせて波形の状態を測定した。この測定結果を図13に示す。
(実施例・比較例の測定結果の検討)
図12に示すように、光強度検出部20で検出されるリングダウンパルスの波形の測定結果によると、測定対象物を通過していない光パルスが検出されているが減衰された状態となっている。これは、減衰光路71に分岐された光パルスが末端にて反射されたものを検出していると思われる。しかしながら、この光パルスは減衰されているため飽和現象が起きておらず、以降の測定対象物を通過したリングダウンパルスのS/N比が改善されている。これにより、検出対象の検出精度を向上させることができることがわかる。
また、図13に示すように、減衰光路71へ分岐される光パルスの波形の測定結果によると、最初に減衰光路71へ分岐された光パルス(測定対象物を通過していない光パルス)によって受光器が飽和現象が発生していることがわかる。即ち、測定対象物を通過しない光パルスが、減衰光路71へ分岐されて減衰されることにより、光強度検出部20における飽和現象を防止していることがわかる。
1・101・201・301 キャビティリングダウン分光装置
10・110・210・310 光出力部
11・311 光サーキュレータ
20・120・220・320 光強度検出部
30・130・230・330 主光路
31 第1主光路
32 第2主光路
32a 遅延部
40・140・240 光カプラ
50・150・250・350 分岐光路
51・351 入出力光路
52・352 出力光路
60・160・260・360 キャビティ部
61 ファイバブラッググレーティング部
62 反射型セル
70 光減衰部
71 減衰光路
91・191・291・391 入力光路
102 光パルス
151 第1分岐光路
152 第2分岐光路
163・263 透過型セル
170 音響光学変調部
240 第1光カプラ
270 第2光カプラ
330a 遅延部
331 ファイバブラッググレーティング部
362 反射型セル
370 光強度減衰部
371 第1の偏波コントローラ
372 第2の偏波コントローラ
373 偏光子

Claims (10)

  1. 光パルスを出力する光出力部と、
    前記光パルスの光強度を検出する光強度検出部と、
    前記光出力部に接続され光路中に測定対象物を導入可能にされた主光路と、該主光路中の光分岐点から分岐され、当該光分岐点を通過する光パルスを所定比率で前記光強度検出部に出力する分岐光路とを有し、前記光出力部から前記主光路に入力された光パルスが前記光分岐点を繰り返して通過するように形成されたキャビティ部と、
    前記主光路に導入された前記測定対象物を非通過の光パルスを減衰させる光減衰部と
    を有することを特徴とするキャビティリングダウン分光装置。
  2. 前記キャビティ部は、前記光分岐点が光カプラにより形成されていると共に、前記主光路における前記光カプラを挟んだ両側の端部にそれぞれ光反射部を有していることを特徴とする請求項1に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  3. 前記光カプラ及び前記光出力部間に配置され、前記光出力部に接続された入力ポートと、前記光カプラに接続された入出力ポートと、前記光強度検出部に接続された出力ポートとを備えた光サーキュレータをさらに有し、
    前記光カプラは、前記光サーキュレータの前記入出力ポートからの光パルスを、前記主光路と、前記減衰分の光パルスが通過される減衰光路と、に分岐することを特徴とする請求項2に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  4. 前記光反射部の何れか一方が、反射する前記光パルスの光強度を増幅する光増幅器を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  5. 前記キャビティ部は、前記光分岐点が光カプラにより形成されていると共に、前記主光路が環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  6. 前記光減衰部は、
    前記分岐光路中に配置されており、前記光パルスを前記光強度検出器に進行させる直進光と、前記光パルスの前記光強度検出器への進行を阻止する回折光とに切り替え可能な音響光学変調部を有していることを特徴とする請求項5に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  7. 前記キャビティ部は、前記光分岐点が第1光カプラにより形成されていると共に、前記主光路が環状に形成されており、
    前記光減衰部は、前記第1光カプラ及び前記光出力部間の前記主光路中に配置され、光パルスの一部を分岐する第2光カプラにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  8. 前記光減衰部は、
    前記光分岐点と前記光強度検出部との間に配置され所定の偏光角の光パルスを通過させる偏光子と、
    前記光出力部から出力される光パルスを前記所定の偏光角とは異なる角度に偏光させる第1の偏波コントローラと、
    前記主光路に入力された光パルスを前記所定の偏光角に偏光させる第2の偏波コントローラと、
    を有していることを特徴とする請求項1に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  9. 前記キャビティ部は、前記光分岐点としてのファイバブラッググレーティングと、光反射部とを有し、前記ファイバブラッググレーティングと光反射部との間に前記光パルスが往復する前記主光路が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のキャビティリングダウン分光装置。
  10. 前記光パルスの光路の少なくとも一部が、偏波保持光ファイバで形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のキャビティリングダウン分光装置。
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