JP3973814B2 - エアバッグインフレーター用フィルター、およびその製造方法 - Google Patents

エアバッグインフレーター用フィルター、およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグインフレーター用フィルターの製造方法に関する。さらに詳しくは、車両衝突時に作動するエアバッグを構成する部品の一つであるインフレーターに装備されるフィルターであって、エアバッグ作動時にインフレーター内部で発生するガスを濾過して固体残渣を除去することができるフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、乗用車やトラックなどの車両の衝突時に、乗員を二次衝突から保護するエアバッグが実用化されている。このエアバッグは、車両の衝突を素早く検知し、衝突の程度を判断して作動信号を送るセンサーと、このセンサーからの作動信号によりガスを発生させるインフレーターと、このインフレーターから流入するガスによって膨脹せしめられ、乗員を保護するバッグとから構成されている。
【0003】
上記のエアバッグを構成する部品の一つであるインフレーターは、ガスの発生方法により、高圧気体式インフレーター、固体推薬式インフレーター、ハイブリッド式インフレーターの3種類に大別される。この中でも、主に運転席用のエアバッグに使用される固体推薬式インフレーターは、前記センサーからの作動信号によって点火するイグナイター、このイグナイターによって爆発的に燃焼してガスを発生するガス発生剤とその収納部、このガス発生剤の爆発的な燃焼により発生した高温で固体残渣を有するガスを濾過するフィルター、このフィルターを通過したガスを前記バッグ内に流入させるディフューザー、などを装備するのが一般的である。
【0004】
上記の固体推薬式インフレーターに装備される従来のフィルターとしては、(1)回転巻取治具に帯状の金網の一端を係止させ、この回転巻取治具を一定の速度で回転させて円筒体を形成し、その後この回転巻取治具をこの円筒体から抜き取って中空円筒型に調製したもの、(2)所定の孔が穿設された中空円筒型のケースに帯状の金網を巻き付けて調製したもの、などを挙げることができる。
【0005】
従来の上記(1)のフィルターは、金網を巻き付けて中空円筒体とした構造のために剛性が低く、ガス発生剤が爆発的に燃焼してガスが発生する際の衝撃によって、形状が崩れ易いという欠点があった。また、上記(2)のフィルターの製造に際しては、金網の他に中空円筒型のケースを別途調製する必要があり、製造工程が煩雑であるばかりでなく製造コストが嵩み、さらに、製造されたフィルターの構造も複雑となるという欠点があった。
【0006】
また、エアバッグは、その展開(膨脹)速度が速すぎると乗員に損傷を与え、遅すぎると展開が間に合わず乗員を保護しきれないため、装備される車両の大きさ、構造などに応じてこのエアバッグを適正な速度で展開させることが要求される。この展開速度は、ガス発生剤の種類、量やフィルターの特性によって調節することができるが、上記(1)および(2)の従来のフィルターの製造方法では、各種車両の特性に応じた種々のフィルターを容易に製造することが困難であるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記した状況に鑑み、従来のエアバッグインフレーター用フィルターの剛性の低さ、構造の複雑さという欠点を解決し、爆発的に発生した燃焼ガスの衝撃に耐える強度を有し、固体残渣を除去して燃焼ガスを容易に通過させ、かつ、このフィルターを製造する際の製造工程の煩雑さ、製造コストが嵩むなどの欠点を解決し、さらに、種々の異なる特性のエアバッグインフレーター用フィルターを容易に製造する方法を提供すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明の目的は次の通りである。
1.構造が簡単であるが燃焼ガスの衝撃に耐える高い剛性を有し、固体残渣を除去して燃焼ガスを容易に通過させるエアバッグインフレーター用フィルターを製造する方法を提供すること。
2.製造工程が煩雑でなく、製造コストも嵩まないエアバッグインフレーター用フィルターの製造方法を提供すること。
3.種々の異なる特性のエアバッグインフレーター用フィルターを、能率的に製造する方法を提供すること。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第一発明では、エアバッグインフレーター用フィルターを製造するにあたり、厚さが0.20〜0.40mm、幅が0.50〜1.0mmの断面長方形の一本の金属線を、先ず金属線の一端を治具の適所に係止させ、ついで治具に2〜5Kgfの張力で300〜5000回巻き付け編み上げて円筒体とし、続いて金属線の他端を円筒体の適所に接合し、この円筒体から前記治具を抜き取り、この中空円筒体を、窒素ガス雰囲気下、1000〜1500℃の温度範囲で焼結することを特徴とする、エアバッグインフレーター用フィルターの製造方法を提供する。また、第二発明では、エアバッグインフレーターにおいて、厚さが0.20〜0.40mm、幅が0.50〜1.0mmの断面長方形の一本の金属線を、先ず金属線の一端を治具の適所に係止させ、ついで治具に2〜5kgfの張力で300〜5000回巻き付け編み上げて円筒体とし、続いて金属線の他端を円筒体の適所に接合し、この円筒体から前記治具を抜き取り、この中空円筒体を、窒素ガス雰囲気下、1000〜1500℃の温度範囲で焼結して製造されたことを特徴とするエアバッグインフレーター用フィルター
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る製造方法によって製造されるエアバッグインフレーター用フィルターは、センサーからイグナイターを経由した信号によってガス発生剤に点火し、ガス発生剤の爆発的な燃焼によって発生した高温で固体残渣を有するガスを濾過し、場合によっては同時に冷却するという機能を果たす。このフィルターの外観形状は中空円筒体を呈し、運転席のステアリングホイールに装備されるフロントエアバッグや、運転席または助手席のドアに装備されるサイドエアバッグに組込み可能なインフレーターに装備される。
【0011】
この中空円筒体状のフィルターの大きさは、装備されるインフレーターの構造や大きさに応じて適宜決めることができる。例えば、上記フロントエアバッグに組込み可能な円板型インフレーターに装備されるものであれば、内径40〜50mm、外径60〜70mm、長さ30〜50mmとすることができ、サイドエアバッグに組み込み可能なインフレーターに装備されるものであれば、内径20〜30mm、外形40〜50mm、長さ150〜180mmとすることができる。また、このフィルターの材料となる金属の種類としては、鉄、鋳鉄、軟鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅合金などを挙げることができ、中でもオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)が好適である。
【0012】
上記エアバッグインフレーター用フィルター製造用の金属線は、厚さが0.20〜0.40mm、幅が0.50〜1.0mmの断面長方形状とし、この中でも、厚さが0.25〜0.35mm、幅が0.60〜0.80mmのものが好ましい。この金属線は、断面真円形状の金属線を圧延することにより得ることができ、例えば、断面が直径0.5mmの真円形状の金属線を圧延して、厚さ0.30mmで幅0.65mmの断面長方形状の金属線とすることができる。圧延は、例えば、特定の形状の溝を付けた上下の円柱状のロールを回転させ、これらのロールの間に上記断面真円形状の金属線を通し、その断面を長方形状にするという方法により行うことができる。
【0013】
エアバッグインフレーター用フィルターを製造するには、上記金属線を少なくとも1本用意し、この金属線の一端を治具の適所に係止させ、長さ方向に直角に切断した断面が円形の治具に2〜5kgfの張力で300〜5000回巻き付けて編み上げ、金属線の端部を溶接などによって適所に接合して円筒体とする。巻き付ける回数は、フィルターを通過するガスに著しい圧力損失を生じさせない範囲で決めるのが好ましい。治具に巻き付ける際の特に好ましい張力は2.5〜3.5kgfであり、巻き付ける際の特に好ましい回数は400〜500回である。上記治具は、断面となる円形の直径を変えることができる構造とすると、この治具の表面に上記金属線の巻き付けが完了した後に、その直径を小さくして金属線から抜き取り可能となるので、好ましい。この治具の材料は、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金などの金属とするのが一般的である。
【0014】
金属線を上記治具に巻き付け、編み上げる際には、金属線の太さ、編み上げパターン、巻き付け回数などを種々変えることにより、ガス発生剤の爆発的な燃焼によってフィルター内部で発生したガスの圧力損失を適切な値に制御することができる。この編み上げ方法の例としては、一本の金属線を用意し、この金属線を案内具によって案内させて、製造するフィルターの長さの範囲内でこの案内具を往復運動させながら治具を回転させ、金属線を治具の表面の所定の位置に巻き付け、編み上げるという方法を挙げることができる。上記案内具の往復運動により、金属線を、治具の中心軸に対して一定の角度(以下、「巻き付け角度」という)で治具に巻き付けることができる。
【0015】
上記巻き付け角度と、巻き付けられた際に相互に隣接する金属線の幅方向端部同士の間隔(以下、「ピッチ」という)とを種々変えることによって、金属線の編み上げパターン、巻き付け密度などを多様なものとすることができる。これら巻き付け角度およびピッチは、金属線の幅などに応じて、案内具の往復の際の移動速度と治具の回転速度との比を適宜調節することにより、種々変えることができる。
【0016】
上記の巻き付け、編み上げを完了したら、前記のとおり金属線の端部を接合し、得られた円筒体から治具を抜き取り、中空円筒体状のエアバッグインフレーター用フィルターとする。円筒体から治具を抜き取った後には、そのままフィルターとして使用することができるが、高温で焼結するのが好ましい。焼結する際の温度は、金属線の種類、太さ、巻き付けの回数、ピッチ、巻き付け角度などにより異なるが、500〜1500℃の範囲で行うものとする。この中でも1100〜1200℃の範囲が好適である。
【0017】
上記焼結は、圧延の際に生じた金属線の内部歪を緩和し、かつ、金属線の重なり合う部分を接合することを目的として行う。焼結は所定温度に設定された電気炉に入れて行うのが好ましく、焼結時間は、金属線の種類、太さ、巻き付け回数、巻き付け密度、ピッチ、焼結温度などにより変わるが、30〜80分の範囲で選ぶのが好ましい。焼結は空気中で行うこともできるが、真空中や、金属線を脆化させたり化学反応を生起するおそれのない不活性ガス中で行うのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンなどを挙げることができ、中でも窒素ガスが好適である。
【0018】
上記フィルターが装備される固体推薬式インフレーターとしては、例えば、センサーからの作動信号によって点火するイグナイターと、このイグナイターによって点火されて燃焼するガス発生剤およびこのガス発生剤収納部と、ガス発生剤の燃焼により発生したガスを濾過する上記フィルターなどが、それぞれ所定のケース内に装備された構造を挙げることができる。ケースの適所には、上記フィルターを通過したガスの流出口となるディフューザーが複数個設けられる。
【0019】
上記ガス発生剤の種類としては特に制限はないが、アジ化ナトリウムと酸化剤との混合物が代表的である。ガス発生剤の爆発的な燃焼によって高温の窒素ガスが発生するので、上記インフレーターに、フィルターとこのフィルターとは別にクーラントを装備することにより、固形残渣を濾過し、高温の窒素ガスを急冷することができる。エアバッグは、少なくとも上記インフレーターとセンサーとバッグとを装備する。
【0020】
上記エアバッグは、衝突により車両が一定以上の衝撃を受けた場合に、(1)その衝撃を感知したセンサーが上記インフレーターに作動信号を送り、(2)この作動信号によって上記インフレーターのイグナイターが点火し、ガス発生剤が爆発的に燃焼してガスが発生し、(3)このガスが、本発明に係るフィルターを通過して固形残渣が除去されたあと、バッグに流入してこのバッグを素早く膨脹させる、という順序で作動し、この膨脹したバッグによって乗員が保護されることとなる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を図面および試験例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明に係る製造方法によって製造されたエアバッグインフレーター用フィルターの一例の斜視図であり、図2は、図1のフィルターをガスが通過している状態の部分拡大斜視図であり、図3は、図1のフィルターを装備したインフレーターの一例の断面斜視図である。図4は、後記する試験例1ないし試験例3の空気流量と圧力損失との関係の測定結果を示すグラフである。
【0023】
図1は、本発明に係る製造方法によって製造されたエアバッグインフレーター用フィルター10を示している。このフィルター10は、所定の幅、厚さの金属線20を所定回巻き付け編み上げて、中空円筒状に形成されている。図2は、金属線を巻き付け編み上げた図1のフィルター10の隙間を、矢印の方向にガスが通過する状態を示している。
【0024】
図3は、図1のフィルター10を装備したインフレーター30を示している。外部の円板型ケース31には、ディフューザー32が設けられている。円板型ケース31の内部には、イグナイター33、ガス発生剤34、その収納部35およびフィルター10が装備されている。イグナイター33は、図示されていないセンサーに接続されている。ガス発生剤34は、イグナイター33により点火されて爆発的に燃焼してガスを発生させ、このガスはガス発生剤収納部35に穿設された貫通孔36を通って、フィルター10に流入する。フィルター10に流入したガスは、濾過されて固形残渣が除去された上でディフューザー32から流出し、図示されていないバッグに流入してこのバッグを膨脹させる。
【0025】
[試験例]
<試験例1〜試験例3>
[フィルターの調製] 試験例1〜試験例3に用いるフィルターを以下の手順に従って調製した。まず、直径0.5mmの断面円形のステンレス線を圧延して、厚さ0.31mmで幅0.63mm(試験例1)、厚さ0.30mmで幅0.65mm(試験例2)、厚さ0.28mmで幅0.70mm(試験例3)の3種類の断面長方形のステンレス線とした。これらステンレス線の一端を円筒状治具の適所に係止し、3.0kgfの張力を負荷しながら400回巻き付けて編み上げ、ステンレス線の他端を円筒体の適所に接合し、次いでこの治具を抜き取って、内径47mm、外径64、長さ30mmの中空円筒体を形成した。次いで、これらステンレス線からなる中空円筒体を窒素雰囲気下1150℃で60分電気炉で焼結を行い、ピッチの異なる3種類のフィルターを調製した。なお、ピッチはステンレス線の幅が狭いほど大きくなり、ピッチの大きい順から並べると、試験例1、試験例2、試験例3となる。
【0026】
[フィルターの評価]
上記工程により調製した3種類のフィルターの上下を閉じて、フィルターの中空部に、流量が0.5〜1.0m3/minの範囲の圧縮空気を送って圧力損失状況を観察し、その結果を図4に示した。図4において縦軸は圧力損失(Pa)であり、横軸は空気流量(m3/min)である。41は試験例1のフィルター、42は試験例2のフィルター、43は試験例3のフィルターについての測定結果である。
【0027】
図4より次のことが明らかとなる。
(1)ピッチの異なる3種類のフィルターにおいて、同一空気流量に対する圧力損失は全て異なった。具体的には、フィルターのピッチが大きいほど同一空気流量に対する圧力損失は小さくなった(試験例1〜試験例3、曲線41〜曲線43参照)。
(2)フィルターのピッチを変えることができ、同一空気流量に対する圧力損失を種々の値に制御することができる。
【0028】
[フィルターの調製]試験例4(比較例)、試験例5(比較例)、試験例6(実施例)に用いるフィルターを以下の手順に従って調製した。先ず、厚さ0.30mmで幅0.65mmの断面長方形状のステンレス線を、試験例1で使用したのと同種の治具に一端を係止し、3.0kgfの張力を負荷しながら400回巻き付けて編み上げ、ステンレス線の他端を円筒体の適所に接合し、次いでこの治具を抜き取って、内径47mm、外径64、長さ30mmの中空円筒体を形成した。次いで、これらステンレス線からなる中空円筒体を窒素雰囲気下1150℃で60分電気炉で焼結を行い、3種類のフィルターを調製した。
【0029】
[フィルターの評価]
上記工程により調製した3種類のフィルターの内側にパンチングチューブを挿入し、これらのフィルターの一方の長さ方向端部を下にして所定の箇所に載置して固定し、他方の長さ方向端部の上方から荷重を加えてこれらのフィルターを2mm圧縮させた。次いで、上記荷重を取り除き、復元したフィルターの長さを測定し、圧縮時のフィルターの長さとの差(以下、「復元量」という)を算出した。さらに、圧縮時のフィルターの変化量(2mm)と復元量との比(以下、「復元率」という)を算出した。これらの値を表−1に示した。なお、この圧縮試験において復元率が大きいほど、特に50%を超えると、製品としては好適であるということができる。
【0030】
【表1】
Figure 0003973814
【0031】
表−1より次のことが明らかとなる。
(1)焼結を行わなかったフィルターと、700℃で焼結を行ったフィルターは、復元率が50%に満たなかった試験例4(比較例)、試験例5(比較例)参照
(2)1150℃で焼結を行ったフィルターは、復元率が50%以上となり{試験例6(実施例)参照}、焼結温度は1000℃以上で行うのが好ましいことが分かる。
【0032】
<試験例7、試験例8>
[フィルターの調製]試験例7(比較例)、試験例8(実施例)に用いるフィルターを以下の手順に従って調製した。まず、厚さ0.03mmで幅0.65mmの断面長方形のステンレス線を、試験例1で使用したのと同種の治具に3.0kgfの張力を負荷しながら400回巻き付けて編み上げ、次いでこの治具を抜き取って、内径47mm、外径64mm、長さ30mmの2つの中空円筒体を成形した。次いで、この中空円筒体を、水素ガス雰囲気下試験例7(比較例)}または窒素ガス雰囲気下試験例8(実施例)}1150℃で60分電気炉で焼結を行い、2種類のフィルターを調製した。
【0033】
[フィルターの評価]
上記工程により調製した2種類のフィルターの内側に、試験例4で使用したのと同種のパンチングチューブを挿入し、これらのフィルターの一方の長さ方向端部を下にして所定の箇所に載置して固定し、他方の長さ方向端部の上方から荷重を加えてこれらのフィルターを2mm圧縮させた。次いで、その荷重を取り除き、復元したフィルターの長さを測定し、復元量および復元率を算出した。これらの値を表−2に示した。
【0034】
【表2】
Figure 0003973814
【0035】
表−2より次のことが明らかとなる。
(1)水素ガス雰囲気下で焼結を行ったフィルターは、復元率が50%に満たなかった(試験例7参照)。
(2)窒素ガス雰囲気下で焼結を行ったフィルターは、復元率が50%以上となり(試験例8参照)、焼結は窒素ガス雰囲気下で行うのが好ましいことがわかる。
【0036】
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る製造方法によれば、特定の厚さを有する金属線を特定の方法で巻き付けて編み上げ、特定の条件で焼結を行ってフィルターを製造するので、剛性を有し、構造が簡単であるが高い剛性を有し、固体残渣を除去して燃焼ガスを通過させるエアバッグインフレーター用フィルターを得ることができる。
2.本発明に係る製造方法によれば、特定の厚さを有する金属線を特定の方法で巻き付けて編み上げ、特定の条件で焼結を行ってフィルターを製造するので、製造コストも嵩むことがない。
3.特定の厚さを有する金属線を特定の方法で巻き付けて編み上げ、特定の条件で焼結を行ってフィルターを製造するので、上記金属線の種類、巻き付け回数、巻き付け角度、ピッチ、焼結の条件を種々変えることによって、種々の異なる特性の特定のエアバッグインフレーター用フィルターを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造方法によって製造されたエアバッグインフレーター用フィルターの一例の斜視図である。
【図2】 図1のフィルターをガスが通過している状態の部分拡大斜視図である。
【図3】 図1のフィルターを装備したインフレーターの一例の断面斜視図である。
【図4】 試験例1ないし試験例3の空気流量と圧力損失との関係の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10:フィルター
20:金属線
30:インフレーター
31:円板型ケース
32:ディフューザー
33:イグナイター
34:ガス発生剤
35:ガス発生剤収納部
36:貫通孔
41:試験例1の空気流量−圧力損失曲線
42:試験例2の空気流量−圧力損失曲線
43:試験例3の空気流量−圧力損失曲線

Claims (2)

  1. エアバッグインフレーター用フィルターを製造するにあたり、厚さが0.20〜0.40mm、幅が0.50〜1.0mmの断面長方形の一本の金属線を、先ず金属線の一端を治具の適所に係止させ、ついで治具に2〜5Kgfの張力で300〜5000回巻き付け編み上げて円筒体とし、続いて金属線の他端を円筒体の適所に接合し、この円筒体から前記治具を抜き取り、この中空円筒体を、窒素ガス雰囲気下、1000〜1500℃の温度範囲で焼結することを特徴とする、エアバッグインフレーター用フィルターの製造方法。
  2. エアバッグインフレーターにおいて、厚さが0.20〜0.40mm、幅が0.50〜1.0mmの断面長方形の一本の金属線を、先ず金属線の一端を治具の適所に係止させ、ついで治具に2〜5Kgfの張力で300〜5000回巻き付け編み上げて円筒体とし、続いて金属線の他端を円筒体の適所に接合し、この円筒体から前記治具を抜き取り、この中空円筒体を、窒素ガス雰囲気下、1000〜1500℃の温度範囲で焼結して製造されたことを特徴とするエアバッグインフレーター用フィルター
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