JP6297814B2 - 金属製多孔体 - Google Patents

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Description

本発明は、金属製多孔体に関し、さらに詳しくは、金属製の線材を軸の周りに巻き付けて管状等に形成された金属製多孔体に関する。
金属製の線材を軸の周りに巻き付けて形成された金属製多孔体が、従来から知られている。
特許文献1に記載された金属製多孔体は、フィルターとして用いられるものであり、金属製の線材を軸の周りに巻き付けて円筒状に形成し、巻き付けられた線材が焼結されたものである。用いられている線材は、圧延されて表面積が1.1倍〜1.5倍にされている。
本出願人は、金属製の線材を軸の周りに巻き付けて形成された金属製多孔体の研究を従来から進めており、研究の成果の1つである金属製多孔体を特許文献1で提案している。この金属製多孔体は、内燃機関の燃料から不要な物質等を除去するフィルターであり、ステンレス鋼線等の金属製の線材を1000層〜3000層程度巻いてテーパー状の円筒体に形成されたものである。金属製多孔体は、金属製の線材を巻いて形成した層が重ね合わされて網状に構成されている。金属製の線材同士は、焼結されて接合されている。
本出願人は、特許文献1に記載の金属製多孔体とは別構造の金属製多孔体を特許文献2で提案している。この金属製多孔体は、エアバッグインフレーター用フィルターである。この金属製多孔体は、厚さが0.20mm〜0.40mm、幅が0.50mm〜1.0mmの断面形状が長方形に形成された一本の金属製の線材が使用されている。金属製多孔体は、まず、金属製の線材の一端をジグの適所に係止させ、このジグに金属製の線材を巻き付けて円筒体とし、次いで、金属製の線材の他端を円筒体の適所に接合し、この円筒体からジグを抜き取って、中空円筒体を形成することによって形成されている。形成された中空円筒体は、窒素ガス雰囲気の下で、1000℃〜1500℃の温度範囲で焼結されている。
特開2011−178212号公報 特開2000−37606号公報 特表2009−533221号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された金属製多孔体は、自動車産業の分野で、フィルターとして用いられるものであり、所定の形状に形成された後は、変形させて使用することが予定されていない。
近時、金属製の線材を軸の周りに巻き付けて形成された金属製多孔体は、自動車産業以外の技術分野でも使用したいという要求がある。その中には、管状に形成された金属製多孔体の軸方向を湾曲させる等して、自在に変形させて使用したいという要求がある。本出願人は、こうした要求に応えるために、鋭意研究を進めてきた。
本出願人が研究を進めてきたところ、金属製の線材を軸の周りに巻き付けて変形可能な金属製多孔体を形成した場合、金属製多孔体を変形させたときに、キンクしてしまう金属製多孔体と、キンクしない金属製多孔体とがあることが分かった。金属製の線材を軸の周りに巻き付けて変形可能な金属製多孔体を実用化するためには、特殊なジグを使用せず、人の手で変形させてもキンクすることがない金属製多孔体を完成さることが必要である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、人の手で変形させてもキンクすることがない金属製多孔体を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る金属製多孔体は、金属製の線材を一方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層と、前記線材を前記一方向とは逆向きの方向に傾斜させ、前記軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層とが、順次に積層されると共に、前記線材同士が接合され、空隙率が32%以上62%以下であり、前記線材の圧延率が39%以上63%以下であり、接合された前記線材同士の剥離強度が0.95N以上1.4N以下であることを特徴とする。なお、前記線材としてステンレス鋼の線材を用いた場合、嵩密度が3.35g/cm以上5.2g/cm以下になるように構成するとよい。
この発明によれば、空隙率が32%以上62%以下であり、線材の圧延率が39%以上63%以下であり、接合された線材同士の剥離強度が0.95N以上1.4N以下である場合に、金属製多孔体に外力を加え、金属製多孔体の軸方向を折り曲げるようにして変形させても、金属製多孔体はキンクさせることなく変形させることができる。そのため、特殊なジグを用いなくても人の手で金属製多孔体を自在に変形させることができる。
本発明に係る金属製多孔体において、外径が1mm以上15mm以下で且つ、内径が0.5mm以上14mm以下の管状に形成されている。
この発明によれば、金属製多孔体は外径が1mm以上15mm以下で且つ、内径が0.5mm以上14mm以下の管状に形成されているので、キンクが発生しない最適な寸法の管状の金属製多孔体を形成することができる。
本発明に係る金属製多孔体において、金属の薄層を有し、該金属の薄層が前記金属製多孔体の内周面、外周面及び該内周面と該外周面との間に位置する中間部分から選ばれた少なくとも1つの部位に設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、金属の薄層が、金属製多孔体の内周面、外周面及び内周面と外周面との間に位置する中間部分から選ばれた少なくとも1つの部位に設けられているので、金属の薄層によって、金属製多孔体の内周面よりも内側に形成されている空間部と金属製多孔体よりも外側の外界とを遮断することができる。その結果、金属製多孔体の内周面よりも内側に形成された空間部を移動する流体等の物を金属製多孔体の外に漏らすことを防止できる。また、金属の薄層を金属製多孔体の内周面に設けた場合、金属の薄層は、金属製多孔体の内周面よりも内側に形成された空間部を通過する流体等の物との間に発生する摩擦を低下させ、金属製多孔体の内周面よりも内側に形成された空間部で流体等の物を円滑に移動させることができる。
本発明に係る金属製多孔体によれば、特殊なジグを使用しなくても、人の手で自由に変形させることができ、かつ、変形に伴ってキンクすることがない。
本発明の一実施形態に係る管状の金属製多孔体(金属製多孔チューブ)の斜視図である。 図1に示す金属製多孔体を形成する線材からなる層を2層分だけ示した拡大図である。 図1に示す金属製多孔体(金属製多孔チューブ)とは別形態の金属製多孔体(金属製多孔チューブ)の斜視図である。 円環状の金属製多孔体の斜視図である。 円錐状の金属製多孔体の斜視図である。 金属製多孔体を構成する金属製の線材の圧延状態を示す説明図である。 金属製多孔体を構成する金属製の線材がなす巻き角度を示す説明図である。 金属の薄層を設けた金属製多孔体の一例を示す縦断面図である。 金属の薄層を設けた金属製多孔体が装着される吸引器具の概要を示す平面図である。 吸引器具を構成する管の先端に、金属の薄層を設けた金属製多孔体を装着した状態を示す説明図であり、(A)は管の内部に金属製多孔体の端部を挿入して装着した状態を示す図であり、(B)は管の外周面に金属製多孔体の端部を被せて装着した状態を示す図である。 第1の曲げ試験の説明図である。 第2の曲げ試験の説明図である。 剥離試験の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。
[基本構成]
図1は、本発明に係る金属製多孔体1の一例であり、管状の金属製多孔体1を示している。本発明に係る金属製多孔体1は、図2に示すように、金属製の線材2を一方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層3と、線材2を前記一方向とは逆向きの方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層4とが、順次に積層されると共に、線材2同士が接合されている。なお、図2は、金属製多孔体1を構成する線材によって形成された層を2層分だけ示している。
こうした金属製多孔体1の代表的な形態として、図1に示した管状の金属製多孔チューブ1Aを挙げることができる。この金属製多孔チューブ1Aは、長手方向の両端が開放された形態である。管状の金属製多孔体1は、図1に示した形態の他に、図3に示すように、長手方向の一端が開放され、他端が閉じた形態の金属製多孔チューブ1Bがある。金属製多孔体1は、その他に、例えば、図4に示す円還状の金属製多孔体1C及び図5に示す円錐状の金属製多孔体1Dがある。
本発明に係る金属製多孔体1によれば、人の手で変形させてもキンクすることがないという特有の効果を奏することができる。ここでいう「キンク」とは、金属製多孔体1に外力を加えたときに、金属製多孔体1がつぶれてしまい、金属製多孔体1から外力を除去してもつぶれてしまった金属製多孔体1が元の状態に復元しない現象をいう。
以下、金属製多孔体1の構成について、図1に示した管状に形成された金属製多孔チューブ1Aを例に詳細に説明する。
[金属製の線材]
金属製多孔チューブ1Aは、線径が0.05mm以上、0.2mm以下の金属製の線材2(以下、単に「線材2」という。)によって構成されている。この線材2は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料が用いられている。ステンレス鋼としては、オーステナイト系ステンレス鋼、例えば、JIS規格のSUS304やSUS316L等を挙げることができる。また、線材2は、ステンレス鋼の他に、チタン又はその合金、ニッケル又はその合金を用いてもよい。ニッケル合金としては、種々のものを用いることができる。一例として、ニッケル基にモリブデンやクロムを加えた合金(例えば、ハステロイ(ハステロイは登録商標)等)を用いることができる。また、ニッケルをベースとし、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン等を加えた合金(例えば、インコネル(インコネルは登録商標)等)を用いることもできる。こうした金属材料により形成された線材2は、耐熱性、耐薬品性及び耐食性を有している。
線材2は、圧延加工されている。線材2は、圧延加工されることによって、図6に示すX方向に伸張され、X方向に直交するY方向に圧縮されている。線材2の圧延率は、39%以上、63%以下である。なお、「圧延率」とは、図6に示すように、圧延加工する前の線材2の直径をd1とし、圧延加工されて圧縮された後の線材2のY方向の寸法をd2としたとき、次の(1)式で表される数値をいう。
(圧延率)=[(d1−d2)/d1]×100・・・(1)
[金属製多孔チューブの具体的な構造]
金属製多孔チューブ1Aは、図2に示すように、上記の線材2を金属製の線材2を一方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層3と、線材2を前記一方向とは逆向きの方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層4とが、順次に積層されて構成されている。なお、積層の数は、金属製多孔チューブ1Aの肉厚に応じて500層〜3000層に設定される。例えば、後述の実施例及び比較例の場合は、1000層〜1500層に設定されている。こうした金属製多孔チューブ1Aは、焼結されることによって、線材2同士が接合されている。
線材2の巻き角度は、5°以上、90°未満の範囲で金属製多孔チューブ1Aを形成することができる角度である。より具体的には、巻き角度は40°以上、80°以下である。なお、「巻き角度」とは、図7のθで表されている角度であり、一方向に傾斜された線材2と、この一方向とは逆向きの方向に傾斜された線材2とがなす角度を意味する。
この金属製多孔チューブ1Aは、空隙率が32%以上、62%以下であり、密度が7.75g/cm以上、8.06g/cm以下のステンレス鋼を用いた場合、嵩密度が3.35g/cm以上、5.2g/cm以下である。また、接合された線材2同士の剥離強度は、0.95N以上、1.4N以下である。こうした金属製多孔チューブ1Aは、外径が1mm以上、15mm以下に形成され、内径が0.5mm以上、14mm以下に形成されている。なお、「嵩密度」とは、単位体積の質量=製品重量/製品体積によって表すことができる、製品の重量を製品の体積で除した単位体積あたりの質量のことであり、「空隙率」とは、[(材料比重-製品密度)/材料比重]×100によって表すことができる製品の全容積に対する隙間の容積の割合のことであり、「剥離強度」とは、金属製多孔チューブ1Aから線材2を1本引き出し、引き出された1本の線材2を金属製多孔チューブ1Aから引っ張って、1本の線材2が接合された部分で金属製多孔チューブ1Aから剥離されるのに必要な力のことをいう。
以上の金属製多孔チューブ1Aは、特殊なジグを使用しなくても、人の手で金属製多孔チューブ1Aに外力を加えて、金属製多孔チューブ1Aがのびる軸方向を湾曲させて所望の形状に変形させることができる。金属製多孔チューブ1Aに外力を加えたとき、金属製多孔チューブ1Aはキンクしないで変形する。
こうした金属製多孔チューブ1Aは、フィルター、センサーカバー、カテーテル、消音材、発泡、拡散材、ガイド等の用途に用いることができる。なお、金属製多孔チューブをフィルターとして使用する場合、図3に示した金属製多孔チューブ1Bは、長手方向の一端が開放され、他端が閉じているので、金属製多孔チューブ1Bの周面だけでなく、閉じた他端もフィルターとして機能する。
図4に示した円環状の金属製多孔体1Cは、フィルター、消音材、発泡、拡散材、流動材等の用途に用いることができ、図5に示した円錐状の金属製多孔体1は、フィルター、センサーカバー、消音材、発泡、拡散材等の用途に用いることができる。
[金属製多孔チューブの製造方法]
次に、金属製多孔チューブ1Aの製造方法について説明する。
金属製多孔チューブ1Aの製造方法は、圧延された線材2を芯材(不図示)に巻き付けるワインド工程と、芯材に巻き付けられた線材2を焼結する焼結工程と、焼結された線材2を、芯材に巻き付けられた状態でスウェージングするスウェージング工程と、スウェージング工程が終了した後に、線材2が巻き付けられている芯材を抜き取る芯材抜き取り工程とを備えている。
ワインド工程は、芯材に線材2を巻き付けて管状の部材を形成する工程である。ワインド工程は、線材2を芯材に巻き付ける際に一般的に使用されているワインダー(巻き付け装置)を用いて行われる。線材2は、圧延機で事前に圧延加工されたものを使用してワインダーで芯材の外周面に巻き付けられたり、ワインダーの内部で圧延しつつ芯材の外周面に巻き付けられたりする。
線材2を芯材に巻き付けるとき、線材2は、芯材の軸に対して一方向に傾斜されて、芯材の軸方向に所定のピッチで芯材の一端側から他端側に向けて順次巻き付けられる。このように芯材に巻き付けられた線材2は、芯材の外周面で1つの層3を形成する。線材2は、こうして形成された1つの層3の外周にさらに巻き付けられて、別の層4が形成される。この際、線材2は、芯材の軸に対して上記した一方向とは逆方向に傾斜されて、芯材の軸方向に所定のピッチで芯材の他端側から一端側に向けて巻き付けられる。
ワインド工程は、こうした、一方向に傾斜させて芯材の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層3と、一方向とは逆向きの方向に傾斜させて芯材の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層4とを順次に形成して線材2の層を積層して管状の部材を形成する工程である。
焼結工程は、線材2からなる管状の部材を芯材ごと炉に入れて焼結し、線材2同士を接合する工程である。炉は、真空炉であってもよいし、酸化を防ぐための還元ガスを含む炉であってもよい。焼結は、800℃以上、1300℃以下の温度で180分程度行われる。こうした焼結工程によって線材2同士は、拡散接合される。なお、この焼結工程は、次のスウェージング工程の前後の2回に分けて行ってもよい。
スウェージング工程は、線材2からなる管状の部材の外径を所望の寸法に整える冷間鍛造加工工程である。スウェージング工程は、例えば、分割された金型を回転させて、叩きながら管状の部材の外径を絞っていくことによって行われる。
芯材抜き取り工程は、線材2からなる管状の部材から芯材を抜き出して、所望の内径と外径とを有する金属製多孔チューブ1Aを形成させる工程である。芯材が抜き出された管状の部材は、芯材の外径と一致する内径を有すると共に、積層された線材2の層の数に応じた外径を有する金属製多孔チューブ1Aとなる。
以上に説明した工程を経た後、金属製多孔チューブ1Aは洗浄され、必要な検査を経て完成される。
[金属の薄層を設けた金属製多孔チューブ]
次に、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1E,1F,1Gについて図8〜図10を参照して説明する。この金属製多孔チューブ1E,1F,1Gは、金属の薄層110を備えている。金属の薄層110は、金属製多孔体である金属製多孔チューブ1E,1F,1Gの内周面、外周面及び内周面と外周面との間に位置する中間部分の少なくとも1つの部位に設けられることによって構成されている。なお、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1E,1F,1Gは、金属の薄層110を設けたこと以外は、金属製多孔チューブ1Aと構成が同じである。
内周面と外周面との間に位置する中間部分に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eは、図8(A)に示すように、管状に形成されている線材2の層101,102と、金属製多孔チューブ1Eの内周面と外周面との間に位置する中間部分に設けられた金属の薄層110とから構成されている。線材2の層101,102の基本構成は、図1及び図2に示した金属製多孔チューブ1Aと同じであり、その説明はここでは省略する。また、線材2も上述したものと同じなので、ここではその説明を省略する。金属の薄層110は、薄い金属材料によって構成されている。
なお、金属の薄層110は、図8(B)に示すように、金属製多孔チューブFの内周面に設けてもよい。内周面に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Fは、図8(B)に示すように、管状に形成されている線材2の層103と、線材2の層103の内周面に設けられた金属の薄層110とから構成されている。なお、この金属製多孔チューブ1Fの構成は、金属の薄層110を金属製多孔チューブ1Fの内周面に設けたこと以外は、構成が金属製多孔チューブ1Eと同じである。
また、金属の薄層110は、図8(C)に示すように、金属製多孔チューブGの外周面に設けてもよい。外周面に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Gは、図8(C)に示すように、管状に形成されている線材2の層104と、線材2の層104の外周面に設けられた金属の薄層110とから構成されている。なお、この金属製多孔チューブ1Gの構成は、金属の薄層110を金属製多孔チューブ1Fの外周面に設けたこと以外は、構成が金属製多孔チューブ1Eと同じである。
なお、金属の薄層110は、内周面、外周面及び内周面と外周面との間に位置する中間部分のすべてに設けたり、内周面及び外周面に設けたり、内周面及び中間部分に設けたり、外周面と中間部分に設けたりしてもよい。
金属の薄層110は、薄い金属製の材料によって構成されている。金属製の材料の厚さは、2μm〜20μmの範囲内である。こうした金属製の薄層110は、線材2に焼結させることができるように、線材2と同じ材質の金属が使用される。すなわち、金属の薄層110としては、ステンレス鋼等の金属製の薄い材料を用いることが好ましい。ステンレス鋼としては、オーステナイト系ステンレス鋼、例えば、JIS規格のSUS304やSUS316L等を挙げることができる。また、金属の薄層110は、ステンレス鋼の他に、銅、ニッケル、チタンを用いることもできる。
こうした金属製多孔チューブ1E,1F,1Gは、その外径D、内径d及び長さLを用途に応じて形成することができる。
こうした金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1E,1F,1Gは、金属の薄層110によって、金属製多孔チューブ1E,1F,1Gの内周面よりも内側に形成された空間部と金属製多孔チューブ1E,1F,1Gよりも外側の外界とが遮断される。そのため、金属の薄層110は、金属製多孔チューブ1E,1F,1Gの内周面よりも内側に形成された空間部を移動する流体等の物が金属製多孔チューブ1Eの外に漏れることを防止することができる。また、金属の薄層110を金属製多孔チューブ1Fの内周面に設けた場合(図8(B)参照)、金属の薄層110は、金属製多孔チューブ1Eの内部を金属製多孔チューブ1Fの内周面よりも内側に形成された空間部を移動する流体等の物との間に発生する摩擦を低下させ、流体等の物を円滑に移動させることができる。例えば、金属製多孔チューブ1Eを利用して、流体が金属製多孔チューブ1Eの長手方向の一端側から他端側に移動するように流体を吸引した場合、流体が金属製多孔チューブ1Eの内部を金属製多孔チューブ1Fの内周面よりも内側に形成された空間部を円滑に移動させることができる。
[金属の薄層を設けた金属製多孔チューブの製造方法]
次に、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eの製造方法を説明する。なお、ここでは、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブの製造にとって特徴的なことだけを説明し、既に説明した金属製多孔チューブ1Aを製造する場合と同じ内容のことは、その説明を省略する。
内周面に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1F(図8(B)参照)を製造する場合、金属製多孔チューブ1Fは以下の工程を経て製造される。この金属製多孔チューブ1Fは、芯材に薄い金属材料を巻き付ける金属材料巻付工程と、芯材に巻かれた薄い金属材料に線材2を巻き付けるワインド工程と、芯材に巻き付けられた薄い金属材料及び線材2を焼結する焼結工程と、焼結された線材2を、芯材に巻き付けられた状態でスウェージングするスウェージング工程と、スウェージング工程が終了した後に、薄い金属材料及び線材2が巻き付けられている芯材を抜き取る芯材抜き取り工程とを備えている。
金属材料巻付工程は、完成される金属製多孔チューブ1Eの長さに相当する寸法になるように芯材の長手方向に薄い金属材料を芯材に巻き付けている。巻き付ける金属材料は、厚さが2μm〜20μmである。ワインド工程は、芯材に巻かれた薄い金属材料の外周に線材2を巻き付けている。線材2は、芯材に巻かれた薄い金属材料と芯材の長手方向の寸法が同じになるようにして芯材に巻かれる。焼結工程は、薄い金属材料と線材2とを焼結すると共に、線材2同士を焼結している。
内周面と外周面との間に位置する中間部分に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1E(図8(A)参照)を製造する場合、金属製多孔チューブ1Eは以下の工程を経て製造される。最初に芯材に線材2を巻き付ける第1のワインド工程が行われる。第1のワインド工程は、図8(A)に示す金属製多孔チューブ1Eの線材2の層101を形成する工程である。次いで、芯材に巻かれた線材2の外周面に薄い金属材料を巻き付ける金属材料巻付工程が行われる。巻き付ける金属材料は、厚さが2μm〜20μmの範囲内である。薄い金属材料は、芯材に巻かれた線材2の芯材が延びる方向の寸法と同じ寸法だけ巻かれる。その後、薄い金属材料の外周に線材2を巻き付ける第2のワインド工程が行われる。この第2のワインド工程は、図8(A)に示す金属製多孔チューブ1Eの線材2の層102を形成する工程である。第2のワインド工程が終了した後、芯材に巻き付けられた薄い金属材料及び線材2を焼結する焼結工程が行われる。この焼結工程では、薄い金属材料と線材2とが焼結されると共に、線材2同士が焼結される。焼結工程が終了した後、スウェージング工程と芯材抜き取り工程と行われる。
外周面に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1G(図8(C)参照)を製造する場合、金属製多孔チューブ1Gは以下の工程を経て製造される。最初に芯材に線材2を巻き付けるワインド工程が行われる。次いで、芯材に巻かれた線材2の外周に薄い金属材料を巻き付ける金属材料巻付工程が行われる。巻き付ける金属材料は、厚さが2μm〜20μmの範囲内である。薄い金属材料、芯材に巻かれた線材2の芯材が延びる方向の寸法と同じ寸法だけ巻かれる。金属材料巻付工程の後、芯材に巻き付けられた薄い金属材料及び線材2を焼結する焼結工程が行われる。この焼結工程では、薄い金属材料と線材2とが焼結されると共に、線材2同士が焼結される。焼結工程が終了した後、スウェージング工程と芯材抜き取り工程と行われる。焼結工程が終了した後、スウェージング工程と芯材抜き取り工程と行われる。
こうした製造方法は適宜に組み合わせることによって、金属多孔チューブの内周面、外周面及び中間部分の中から選択した1つの部位、2つの部位又はすべての部位に金属の薄層110を設けた金属多孔チューブ1Eを製造することができる。
次に、図9及び図10を参照して、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eを吸引器具60に装着した場合について説明する。吸引器具60は、手術をする際に、切開した部分から先端を挿入し、患部の視界を妨げる体液等を吸引するときに等に用いられる。
吸引器具60は、図9に示すように、本体61と、本体61の後側に設けられた接続部62とから構成されている。なお、図9に示した吸引器具61の例では、本体61は先端61a側の直径が小さくなるように形成されている。また、接続部62は、蛇腹状に形成されている。この接続部62は、ゴム管やビニール管等を接続するための部位である。こうした本体61の内部及び接続部62の内部は、本体61の先端61aと接続部62の後端62bとを連絡する図示しない通路を備えている。吸引器具60は、接続部62にゴム管やビニール管等の一端を接続すると共に、ゴム管やビニール管等の他端を図示しないバキューム装置に接続して使用される。吸引器具60は、ゴム管やビニール管等を介して図示しないバキューム装置に接続されることにより、先端61aから物を吸い取る吸引力が与えられる。
金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eは、こうした吸引器具60の本体61の先端61aに装着して使用される。図10(A)及び図10(B)は、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eが本体61の先端61aに装着された態様をそれぞれ示している。図10(A)は、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eの端部を本体61の内部に挿入することによって金属製多孔チューブ1Eを本体61に装着した態様を示しており、図10(B)は、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eの端部を本体61の外周面に被せることによって金属製多孔チューブ1Eを本体61に装着した態様を示している。
こうした吸引器具60は、本体61の先端に金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eが取り付けられているので、金属製多孔チューブ1Eを所望の方向に湾曲させることによって、金属製多孔チューブ1Eの先端を所望の位置向けることができる。
こうした金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eは、吸引器具60を介してバキューム装置が吸引した体液等を金属製多孔チューブ1Eの外に漏らすことなく金属製多孔チューブ1Eの内部を通過させることができる。また、金属の薄層110を金属製多孔チューブ1Eの内周面に設けた場合、金属の薄層110は、金属製多孔チューブ1Eの内部を通過する体液等を円滑に通過させることができる。
なお、金属の薄層110を設けた金属製多孔チューブ1Eの用途は、吸引器具60の先端に装着して利用することだけに限定されない。金属製多孔チューブ1Eは、保護管、ホース等にも用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
[実施例1]
材質がJIS規格のSUS304(密度は7.93g/cmである。)、線径が0.13mmの丸線材を圧延加工して圧延率63%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.5mm、全長が34.9mm、重量が0.27gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が2.61g/cm、空隙率が67.2%である。また、線材2の巻き角度は、47.4°である。実施例1の金属製多孔チューブ1Aの作製は、以下の工程を経て行った。
最初にワインダーの内部で丸線材を圧延加工し、圧延率が63%の線材2を形成した。次に、圧延加工された線材2をセラミックス製の芯材(不図示)に巻き付けて芯材の外周面に管状の部材を形成した。具体的には、まず、線材2を芯材の軸に対して一方向に傾斜させ、芯材の周りに一定のピッチで芯材の軸方向の一方向に順次巻き付けて1つの層3を形成した。次に、この1つの層3の外周から線材2を芯材の軸に対して逆向きの方向に傾斜させ、芯材の周りに一定のピッチで芯材の軸方向の逆方向に巻き付けてさらに層4を形成した。こうした手順を300回繰り返して行い、線材2からなる複数の層を芯材の外周面に形成して管状の部材を芯材の外周面に作製した。
次いで、熱処理を行った。熱処理は、管状の部材を芯材ごと真空炉に入れて、温度を1180℃にして180分行った。こうした熱処理を行うことによって、線材2同士を焼結した。
その後、管状の部材の外径が所定の寸法に形成されるように、芯材の外周面に巻かれた管状の部材をスウェージングした。スウェージングを行った後、管状の部材を芯材ごと真空炉に入れてもう一度熱処理を行った。熱処理は、温度を1180℃にして180分行った。2回目の熱処理後、芯材を取り外して実施例1の金属製多孔チューブ1Aを得た。
[実施例2]
材質がJIS規格のSUS304(密度は7.93g/cmである。)、線径が0.08mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が34.6mm、重量が0.2gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.02g/cm、空隙率が62.2%である。また、線材2の巻き角度は、45.9°である。なお、実施例2の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例3]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.070mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35.1mm、重量が0.24gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.58g/cm、空隙率が55.1%である。また、線材2の巻き角度は、47.5°である。なお、実施例3の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例4]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.06mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35.1mm、重量が0.23gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.35g/cm、空隙率が58.0%である。また、線材2の巻き角度は、46.8°である。なお、実施例4の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例5]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.07mmの丸線材を圧延加工して圧延率39%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.1mm、外径が1.8mm、全長が35.6mm、重量が0.22gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が4.17g/cm、空隙率が47.7%である。また、線材2の巻き角度は、56.4°である。なお、実施例5の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例6]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.059mmの丸線材を圧延加工して圧延率39%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.3mm、外径が1.8mm、全長が10mm、重量が0.06gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が5.11g/cm、空隙率が35.9%である。また、線材2の巻き角度は、56.4°である。なお、実施例6の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
実施例7
材質がJIS規格のSUS304(密度は7.93g/cmである。)、線径が0.09mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.3mm、外径が1.8mm、全長が10.8mm、重量が0.05gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.98g/cm、空隙率が50.2%である。また、線材2の巻き角度は、75.3°である。なお、実施例7の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例8]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.070mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35mm、重量が0.24gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.49g/cm、空隙率が56.0%である。なお、実施例8の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
[実施例9]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.070mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35mm、重量が0.24gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.49g/cm、空隙率が56.0%である。なお、実施例9の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。ただし、熱処理は、980℃の温度で180分行った。
[比較例1]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.065mmの丸線材を圧延加工して圧延率38%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.1mm、全長が32.5mm、重量が0.1gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が2.18g/cm、空隙率が72.6%である。また、線材2の巻き角度は、77°である。なお、比較例1の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
この比較例1は、線材2の圧延率が38%であり、本発明の線材2の圧延率の下限値である39%よりも小さな値であり、下限を外れている。また、嵩密度が2.18g/cmであり、本発明の嵩密度の下限値である嵩密度が3.35g/cmよりも小さな値であり、下限を外れている。また、空隙率が72.6%であり、本発明の空隙率の上限値である62%よりも大きな値であり、上限を外れている。
[比較例2]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.065mmの丸線材を圧延加工して圧延率38%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.3mm、外径が2.1mm、全長が34.4mm、重量が0.19gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が2.55g/cm、空隙率が68.1%である。また、線材2の巻き角度は、45.6°である。なお、比較例2の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
この比較例2は、線材2の圧延率が38%であり、本発明の線材2の圧延率の下限値である39%よりも小さな値であり、下限を外れている。また、嵩密度が2.55g/cmであり、本発明の嵩密度の下限値である嵩密度が3.35g/cmよりも小さな値であり、下限を外れている。また、空隙率が68.1%であり、本発明の空隙率の上限値である62%よりも大きな値であり、上限を外れている。
[比較例3]
材質がJIS規格のSUS304(密度は7.93g/cmである。)、線径が0.08mmの丸線材を圧延加工して圧延率66%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2mm、全長が33.8mm、重量が0.13gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.31g/cm、空隙率が58.5%である。また、線材2の巻き角度は、53.2°である。なお、比較例3の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
この比較例3は、線材2の圧延率が66%であり、本発明の線材2の圧延率の上限値である63%よりも大きな値であり、上限を外れている。また、嵩密度が3.31g/cmであり、本発明の嵩密度の下限値である嵩密度が3.35g/cmよりも小さな値であり、下限を外れている。
[比較例4]
材質がJIS規格のSUS304(密度は7.93g/cmである。)、線径が0.09mmの丸線材を圧延加工して圧延率67%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.1mm、全長が33.8mm、重量が0.14gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.06g/cm、空隙率が61.7%である。また、線材2の巻き角度は、52.6°である。なお、比較例4の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
この比較例4は、線材2の圧延率が67%であり、本発明の線材2の圧延率の上限値である63%よりも大きな値であり、上限を外れている。また、嵩密度が3.06g/cmであり、本発明の嵩密度の下限値である嵩密度が3.35g/cmよりも小さな値であり、下限を外れている。
[比較例5]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.07mmの丸線材を圧延加工して圧延率40%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35mm、重量が0.24gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が3.49g/cm、空隙率が56%である。なお、比較例5の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。ただし、熱処理は780℃の温度で180分行った。
この比較例5は、熱処理の温度が780℃と低く、線材2が焼結されなかった。
[比較例6]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.07mmの丸線材を圧延加工して圧延率30%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35.0mm、重量が0.13gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が1.86g/cm、空隙率が77%である。熱処理は、1180℃の温度で180分行った。なお、比較例6の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
この比較例6は、線材2の圧延率が30%であり、本発明の線材2の圧延率の下限値である39%よりも小さな値であり、下限を外れている。また、嵩密度が1.86g/cmであり、本発明の嵩密度の下限値である嵩密度が3.35g/cmよりも小さな値であり、下限を外れている。また、空隙率が77%であり、本発明の空隙率の上限値である62%よりも大きな値であり、上限を外れている。
[比較例7]
材質がJIS規格のSUS316L(密度は7.98g/cmである。)、線径が0.070mmの丸線材を圧延加工して圧延率50%に形成された線材2を用いて金属製多孔チューブ1Aを作製した。作製した金属製多孔チューブ1Aは、内径が1.6mm、外径が2.3mm、全長が35.0mm、重量が0.29gである。また、金属製多孔チューブ1Aは、嵩密度が4.22g/cm、空隙率が47.0%である。熱処理は、1180℃の温度で180分行った。なお、比較例7の金属製多孔チューブ1Aは、実施例1の金属製多孔チューブ1Aと同様の工程を経て作製した。
比較例7は、線材2の圧延率、嵩密度及び空隙率がいずれもが本発明の線材2の圧延率、嵩密度及び空隙率のそれぞれの範囲内に含まれる値である。
なお、実施例1〜9及び比較例1〜7の「嵩密度」は、上述した単位体積の質量=製品重量/製品体積によって表すことができる、製品の重量を製品の体積で除した単位体積あたりの質量のことであり、「空隙率」は、上述した[(材料比重-製品密度)/材料比重]×100によって表すことができる製品の全容積に対する隙間の容積の割合のことであり、「圧延率」は、上記の(1)式によって求められた数値をそれぞれ意味する。
[第1の強度試験]
第1の強度試験は、図11に示すように、引っ張り試験機(ORIENTEC社製、RT−1250A型)と自作した試験用のジグとからなる曲げ試験機10を使用して試験片50を曲げ変形させ、試験片50がキンクするか否かを確認する試験である。曲げ試験機10は、試験片50を支持する1対の支持部11と、この支持部11によって支持された試験片50を押圧するためのアーム12とを備えている。アーム12は、その下部に、接続棒13と接続棒13の下端に取り付けられた押圧体14とを備えている。押圧体14は、直径が5mmに形成された円柱状の部材であり、押圧体14の外周面が試験片50に押し当てられるように構成されている。第1の強度試験は、上記実施例1〜4の金属製多孔チューブ1A、及び比較例1〜4の金属製多孔チューブ1Aを試験片50として行った。その際、1対の支持部11同士の間隔である支点間距離L1を18mmに設定し、試験片50の上からアーム12を下降させ、押圧体13を支持部11同士の間の中央部で試験片50に押し当てて、試験片50に曲げ変形を発生させることによって行った。また、各試験片50の変形によって生じる変位D1は、4.5mmに設定した。なお、表1は、実施例1〜4の試験片50及び比較例1〜4の試験片50の上述した物性値をまとめたものである。
Figure 0006297814
[試験結果]
表2は、実施例1〜4の試験片50及び比較例1〜4の試験片50の第1の強度試験の結果をまとめたものである。試験結果の評価は、「キンクしない」、「キンクしにくい」及び「キンクした」という3段階で行った。表2の結果の欄記載した符号は、「1」が「キンクしない」こと、「2」が「キンクしにくい」こと、「3」が「キンクした」ことをそれぞれ表している。
試験の結果、実施例1及び実施例2の試験片50は、「キンクしにくい」という結果を得ることができ、実施例3及び実施例4の試験片50は、「キンクしない」という結果を得ることができた。これに対して、比較例1及び比較例2の試験片50は、「キンクした」という結果を得た。なお、各実施例の試験片50を変形させたときに生じた最大荷重は、表2に示すように、実施例1が8.75N、実施例2が4.08N、実施例3が6.93N、実施例4が6.64Nであった。また、各比較例の試験片50を変形させたときに生じた最大荷重は、比較例1が1.91N、比較例2が4.20N、比較例3が5.35N、比較例4が6.06Nであった。
Figure 0006297814
[第2の強度試験]
第2の強度試験は、図12に示すように、引っ張り試験機(ORIENTEC社製、RT−1250A型)と自作した試験用のジグとからなる曲げ試験機20を使用して試験片50を曲げ変形させ、試験片50がキンクするか否かを確認する試験である。この曲げ試験機20は、上下方向に延びる円柱状の支持棒21と、この支持棒21の上端部に試験片50を支持する支持部22と、支持部22に支持された試験片50を押圧する円柱状のアーム23とを備えている。支持部22は、板状の部材が支持棒21の上端から上方に向けて突出するようにして設けられた部材であり、その板厚は3mmである。支持部22は、その中央部分に穴22aを備えており、試験片50を穴22aに通して試験片50を支持するように構成されている。アーム23は、その下端部に試験片50を押圧するための1対の押圧板24を備えている。1対の押圧板24は、所定の距離だけ間隔を空けてアームの下端部に設けられている。1対の押圧板24は、その間に支持部22を位置させて支持部22の両側から試験片50を押圧するように構成されている。
第2の強度試験は、上記実施例5〜7の金属製多孔体を試験片50として行った。その際、押圧板24同士の間隔である支点間距離L2を8mmに設定し、押圧板24を支持部22の両側から試験片50に押し当てて、試験片50に曲げ変形を発生させることによって行った。また、各試験片50の変形によって生じる変位D2は、2.36mmに設定した。なお、表3は、各実施例の試験片50の上述した物性値をまとめたものである。
Figure 0006297814
[試験結果]
表4は、各実施例の試験片50の第2の強度試験の結果をまとめたものである。試験結果の評価は、「キンクしない」、「キンクしにくい」及び「キンクした」という3段階で行った。表4の結果の欄に記載した符号は、「1」が「キンクしない」こと、「2」が「キンクしにくい」ことをそれぞれ表している。
試験の結果、実施例5及び実施例6の試験片50は、「キンクしない」という結果を得ることができ、実施例7の試験片50は、「キンクしにくい」という結果を得ることができた。なお、各実施例の試験片50を変形させたときに生じた最大荷重は、表4に示すように、実施例5が18.7N、実施例6が29.9N、実施例7が11.8Nであった。
Figure 0006297814
[考察]
金属製多孔チューブ1Aが備える物性値とキンクとの関係を考察するために、上記の実施例1〜7の試験片50、及び比較例1〜4の試験片50を1つの表にまとめ、線材2の圧延率、試験片50の嵩密度、試験片50の空隙率及び線材2同士がなす巻き角度ごとに試験結果をソートし直して改めて表示する。
表5は、線材2の圧延率ごとに試験結果をソートし直したものである。
Figure 0006297814
表5に示すように、圧延率が39%以上63%以下の場合、試験片50は「キンクした」とはいえないことが分かる。一方、圧延率が38%以下である場合又は圧延率が66%以上である場合、試験片50は「キンクした」ことが分かる。このことから、キンクするか否かということと圧延率との間には一定の相関関係が存在し、39%以上63%以下であることは、試験片50がキンクしないための1つの条件であると考えられる。
しかし、圧延率が39%以上63%以下の範囲に含まれる40%であっても、実施例3,4,5,6の試験片50は「キンクしない」という結果を得られたが、実施例1,2の試験片50は「キンクしにくい」という結果しか得られなかった。このことから、圧延率が39%以上63%以下であることは、必要条件ではあるが、十分条件とまではいえないということができる。
表6は、試験片50の嵩密度ごとに試験結果をソートし直したものである。
Figure 0006297814
表6に示すように、試験片50の嵩密度が3.35g/cm以上5.11g/cm以下である場合、試験片50は「キンクした」とはいえないことが分かる。一方、試験片50の嵩密度が、3.31g/cm以下の場合、2.61g/cm及び3.02g/cmで「キンクしにくい」という結果を得ることができたが、その他の範囲に属する試験片50は「キンクした」という結果しか得られないことが分かる。このことから、キンクするか否かということと試験片50の嵩密度との間には一定の相関関係が存在し、嵩密度が3.35g/cm以上5.11g/cm以下であることは、試験片50がキンクしないための1つの条件であると考えられる。
しかし、試験片50の嵩密度が3.35g/cm以上5.11g/cm以下の範囲に含まれる3.98g/cmである実施例7の試験片50は「キンクしにくい」という結果しか得られなかった。このことから、試験片50の嵩密度が3.35g/cm以上5.11g/cm以下であることは、必要条件ではあるが、十分条件とまではいえないということができる。
表7は、試験片50の空隙率ごとに試験結果をソートし直したものである。
Figure 0006297814
表7に示すように、試験片50の空隙率が35.9%以上58%以下である場合、試験片50は「キンクした」とはいえないことが分かる。一方、試験片50の空隙率が58.5%以上の場合、62.2%及び67.2%で「キンクしにくい」という結果を得ることができたが、その他の範囲に属する試験片50は「キンクした」という結果しか得られないことが分かる。このことから、キンクするか否かということと試験片50の空隙率との間には一定の相関関係が存在し、空隙率が35.9%以上58.0%以下であることは、試験片50がキンクしないための1つの条件であると考えられる。
しかし、試験片50の空隙率が35.9%以上58%以下の範囲に含まれる50.2%である実施例7の試験片50は「キンクしにくい」という結果しか得られなかった。このことから、試験片50の空隙率が35.9%以上58%以下であることは、必要条件ではあるが、十分条件とまではいえないということができる。
表8は、巻き角度ごとに試験結果をソートし直したものである。
Figure 0006297814
表8に示すように、巻き角度が45.6°〜77°の範囲において、巻き角度が45.6°、52.6°、53.7°及び77°では、試験片50は、キンクしている。しかし、45.9°〜47.5°の範囲の巻き角度、及び56.4°〜75.3°の範囲の巻き角度では、試験片50はキンクしないか又はキンクしにくいという結果を出している。このことから、キンクするか否かということと巻き角度との間に相関関係が存在するか否かは、今回の試験結果だけでは判断することができなかった。
以上、表5〜表8に基づく考察から、キンクしない金属製多孔チューブ1Aは、金属製多孔チューブ1Aの空隙率が32%以上62%以下であること、金属製多孔チューブ1Aの嵩密度が3.35g/cm以上5.20g/cm以下であること、及び線材の圧延率が39%以上63%以下であることという条件を少なくとも満足した場合に得られると考えられる。ただし、金属製多孔チューブ1Aの嵩密度は使用される線材2によって変化するので、嵩密度は2次的な条件であると考えられる。
[剥離強度試験]
剥離強度試験は、図13に示すように、引っ張り試験機(ORIENTEC社製、RT−1250A型)に自作した試験用のジグを装着した引っ張り試験機30を使用して、焼結によって接合された線材2が剥離する際の荷重を測定する試験である。使用した引っ張り試験機30は、ベース31と、一定の間隔を空けてベース31に取り付けられた1対の保持部32と、ベース31に対して上下に移動するチャック部33とを備えている。
剥離強度試験は、上記実施例8の金属製多孔チューブ1Aと、比較例5,6の金属属製多孔チューブ1Aとを試験片50として行った。その際、試験片50を1対の保持部32に保持させ、線材2を試験片50の外周面から1本引き出し、引き出された1本の線材2をチャック部33で保持し、チャック部33を試験片50から引き離して引き出された1本の線材2を試験片50から引っ張ることによって行った。チャック部33を試験片50から引き離す際、焼結によって接合された線材2が剥離するときの荷重を複数測定することができる。評価の対象となる試験結果は、複数の剥離強度の平均値である。
こうした剥離強度試験を行って実施例8の試験片50と、比較例5,6の試験片50の剥離強度を測定した。剥離強度試験の後、各試験片50を折り曲げてキンクしたかどうかを確認するキンク確認試験を行った。その際、試験片50の内側の部分がなす角度が、約110°になるように折り曲げた。なお、表9は、各実施例の試験片50の上述した物性値をまとめたものである。
Figure 0006297814
[試験結果]
表10は、実施例8の試験片50及び比較例5,6の試験片50の剥離強度試験の結果及びキンク確認試験の結果をまとめたものである。試験結果の評価は、「キンクしない」、「キンクしにくい」及び「キンクした」という3段階で行った。表10の評価の欄記載した記号は、「1」が「キンクしない」こと、「3」が「キンクした」ことをそれぞれ表している。
試験の結果、実施例8の試験片50は、「キンクしない」という結果を得ることができた。この実施例8の試験片50の剥離強度は、1.08Nであった。なお、実施例8の試験結果の値は、複数回の測定結果の平均値であり、その測定結果は、0.96N以上、1.17N以下の範囲の広がりがあった。
これに対し比較例5の試験片50は、熱処理の温度が低かったため線材2が焼結されなかった。そのため、剥離強度を測定することができなかった。また、比較例5の試験片50は、キンク確認試験によってキンクの有無を確認することもできなかった。比較例6の試験片50は、「キンクした」という結果を得た。比較例6の試験片50の剥離強度は、0.93Nであった。
Figure 0006297814
[考察]
実施例8の試験片50の試験結果と、比較例6の試験片50の試験結果とを比較する。実施例8の試験片50の剥離強度は1.08Nであり、比較例6の試験片50の剥離強度は0.93Nである。このように、実施例8の試験片50の剥離強度と比較例6の試験片50の剥離強度とは、共に1N付近である。両者の剥離強度は共に1N付近であるにもかかわらず、実施例8の試験片50は「キンクしない」という結果を得た一方で、実施例9の試験片50は「キンクした」という結果を得た。そこで、剥離強度以外の物性値についても両者を比較する。
表3に示すように、実施例8の試験片50及び比較例6の試験片50の線材2の材質、線材2の線径、試験片50の内径、試験片50の外径及び試験片50の全長は同じである。しかし、線材2の圧延率、試験片50の嵩密度及び試験片50の空隙率は、次のように相違する。
実施例8の試験片50を構成する線材2の圧延率は40%であり、39%以上63%以下の範囲に含まれている。一方、比較例6の試験片50を構成する線材の圧延率は30%であり、39%以上63%以下の範囲には含まれていない。実施例8の試験片50の嵩密度は3.49g/cmであり、3.35g/cm以上5.2g/cm以下の範囲に含まれている。一方、比較例6の試験片50の嵩密度は1.86g/cmであり、3.35g/cm以上5.2g/cm以下の範囲には含まれていない。実施例8の試験片50の空隙率は56%であり、39%以上63%以下の範囲に含まれている。一方、比較例6の試験片50の空隙率は77%であり、39%以上63%以下の範囲には含まれていない。
実施例8の試験片50の試験結果と比較例6の試験片50の試験結果との比較から分かることは、金属製多孔チューブ1Aを構成する線材2の剥離強度が1N付近である場合でも、金属製多孔チューブ1Aの空隙率が32%以上62%以下の範囲、嵩密度が3.35g/cm以上5.2g/cm以下の範囲、線材の圧延率が39%以上63%以下の範囲を外れた場合には、金属製多孔チューブがキンクすることである。
以上の試験結果から、線材2の圧延率が39%以上63%以下であること、金属製多孔チューブ1Aの空隙率が32%以上62%以下であること、金属製多孔チューブ1Aの嵩密度が3.35g/cm以上5.20g/cm以下であること、接合された線材同士の剥離強度が0.95N以上1.17N以下であることが、キンクを起こさないで人の手で自在に変形させることができる金属製多孔チューブ1Aを得るために必要な条件であると考えられる。ただし、金属製多孔チューブ1Aの嵩密度は使用される線材2によって変化するので、嵩密度は2次的な条件であると考えられる。
[実施例10]
厚さが約5μm、幅が6mmのSUS304の薄い金属材料を図示しないセラミックス製の芯材に巻き付け、その後に、線材2をSUS304の薄い金属材料の外から巻き付ける工程を経て、図8(B)に示す内周面に金属の薄層を備えた金属製多孔チューブ1Fを製作した。製作した金属製多孔チューブ1Fは、外径Dが2mmであり、内径dが1.3mmであり、長さLが20mmであり、金属の薄層の厚さが5μmであった。
実施例10の金属製多孔チューブ1Fを用いて流体を吸引したところ、金属製多孔チューブ1Fは、内周面よりも内側に形成された空間部をする流体を外部に漏らさないで金属製多孔チューブ1Fの長手方向の一端側から他端側に移動させることができた。
1 金属製多孔体
1A 金属製多孔チューブ(金属製多孔体)
1B 金属製多孔チューブ(金属製多孔体)
1C 金属製多孔体
1D 金属製多孔体
1E 金属製多孔チューブ(金属製多孔体)
1F 金属製多孔チューブ(金属製多孔体)
1G 金属製多孔チューブ(金属製多孔体)
2 線材
3 線材を一方向に傾斜させて中心軸の周りに巻いて形成された層
4 線材を逆方向に傾斜させて中心軸の周りに巻いて形成された層
10 第1の強度試験に使用した曲げ試験機
11 支持部
12 アーム
13 接続棒
14 押圧体
20 第2の強度試験機に使用した曲げ試験機
21 支持棒
22 支持部
23 アーム
24 押圧板
30 引っ張り試験機
31 ベース
32 保持部
33 チャック部
60 吸引器具
61 吸引管
62 圧力調節部
63 調節穴
64 接続部
101,102,103,104 線材の層
110 金属の薄層

Claims (4)

  1. 金属製の丸線材が圧延加工され、圧延加工された線材を一方向に傾斜させ、軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層と、前記線材を前記一方向とは逆向きの方向に傾斜させ、前記軸の周りに所定のピッチで巻き付けて形成された層とが、順次に積層されると共に、前記線材同士が接合され、
    空隙率が32%以上62%以下であり、前記線材の圧延率が39%以上63%以下であり、接合された前記線材同士の剥離強度が0.95N以上1.4N以下であることを特徴とする金属製多孔体。
  2. 前記線材としてステンレス鋼の線材を用いた場合、嵩密度が3.35g/cm以上5.2g/cm以下である、請求項1に記載の金属製多孔体。
  3. 外径が1mm以上15mm以下で且つ、内径が0.5mm以上14mm以下の管状に形成されている、請求項1又は2に記載の金属製多孔体。
  4. 金属の薄層を有し、該金属の薄層が前記金属製多孔体の内周面、外周面及び該内周面と該外周面との間に位置する中間部分から選ばれた少なくとも1つの部位に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属製多孔体。
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