JP2938755B2 - インフレータ用フィルター - Google Patents

インフレータ用フィルター

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JP2938755B2 JP6104849A JP10484994A JP2938755B2 JP 2938755 B2 JP2938755 B2 JP 2938755B2 JP 6104849 A JP6104849 A JP 6104849A JP 10484994 A JP10484994 A JP 10484994A JP 2938755 B2 JP2938755 B2 JP 2938755B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車の衝突事故時に乗
員が受ける衝撃を緩和して乗員の安全を図るエアバッグ
システムのインフレータ(ガス発生器)に用いるフィル
ターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の衝突事故時に、インフレータ内
の推進薬(火薬)に点火してガスを爆発的に発生させ、
このガスによりバッグを開き、バッグのクッション効果
で運転者等乗員が受ける衝撃を緩和し乗員の安全を図る
エアバッグシステムは既に実用化され、その使用が拡大
しつつある。
【0003】インフレータのガス発生室において推進薬
から爆発的に発生したガスは、筒状のフィルターを内側
から外側へ通過し、フィルターの外側のインフレータ筒
壁に設けられたガス通過孔を通ってインフレータからバ
ッグ内へ流入し、バッグを膨張させる。上記フィルター
はガス中に含まれている推進薬の粉塵等の高温の微粒子
がバッグ内に流入しないようにこれを捕捉するものであ
る。このフィルターには高い耐熱性が要求される所か
ら、従来は、金属線(通常ステンレス線)を平織りした
金網を適当なサイズのストリップに切断し、これを筒状
に多重に巻回したものを用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のフィル
ターは縦素線と横素線とが直線のまま直角に交錯する平
織りの金網を多重に重ねたものであるから、フィルター
の空隙構造が単純であり、推進薬の爆発により生じた粉
塵等の微粒子に対するフィルター効果が充分ではない。
上記従来のフィルターにおいてフィルター効果を高めよ
うとすれば、金網を構成する金属線の線径を小さくし、
かつ網目を細かく編んだ金網をより多重に用いる必要が
あるので、フィルターがコスト高になり、またガス透過
の圧力損失も増加する難点がある。
【0005】また、上記した従来のフィルターは保形強
度が小さく、ガス圧を受けたときに拡がり、インフレー
タのガス通過孔に入り込み破損し易い難点がある。フィ
ルター効果が不充分である場合、またフィルターが破損
した場合には、爆発した推進薬の高温の粉塵がバッグ内
に漏れてバッグを損傷させバッグの機能を損なう或は乗
員に火傷を負わせる危険がある。また、従来のフィルタ
ーは保形強度が小さく変形し易いために取扱上不便であ
るだけでなく、円筒形のフィルターの上下の端面に金網
の切断部が露出するため、切断部のばらけた線がひっか
かる、或はこれにより手指を傷め易い等の取扱上の難点
もある。
【0006】本発明は、従来のインフレータ用フィルタ
ーにおける上記の問題を解消するもので、フィルターの
空隙構造を複雑化、微細化し、燃焼推進薬の粉塵等の高
温の微粒子を捕捉するフィルター作用を向上させるとと
もに、フィルターの保形強度を大きくし、フィルターが
ガス圧を受けたときにインフレータのガス通過孔に入り
込み破損するのを防止し、またフィルターの取扱いを容
易にすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のインフレータ用フィルターは、円筒状のメリヤス編
み金網に、その長さ方向の端部の所定長さを該金網の円
筒外周面上に折返す折込みを複数回繰り返し施すことに
より円筒状メリヤス編み金網の全長を折込み成形した円
筒状の多重折込み成形金網を、更にその長さ方向に圧縮
した筒状の圧縮成形金網体からなることを特徴とするも
のである。また、本発明のインフレータ用フィルター
は、上記の筒状の圧縮成形金網体の外周に、筒壁の全体
にわたり多数の貫通小孔を有する筒状の保護外筒を一体
的に積層したものである。
【0008】
【作用】上記の構成を有する本発明のインフレータ用フ
ィルターにおいては、推進薬の点火により爆発的に発生
したガスが筒状の圧縮成形金網体をその内側から外側へ
通過する。このとき、ガス中に含まれている推進薬の粉
塵等の微粒子は成形金網体のフィルター作用により捕捉
される。メリヤス編み金網は、図4に示すように、金属
線の素線11がジグザグに屈曲し、かつ上下段同士が交
絡し合ってループPを形成し、網目構造が複雑である。
本発明においてはかかるメリヤス編み金網を図5に示す
ように、その円筒状の長さ方向の端部13の所定長さL
を金網の円筒外周面12上に折返す折込み作業を多数回
(通常4〜6回)繰り返して円筒状の多重折込み成形金
網を形成し、更にこれを円筒の長さ方向に圧縮して得た
圧縮成形金網体をフィルターとして用いるので、フィル
ター中に形成されている空隙構造が従来の平織り金網を
円筒状に多重に巻回したものに較べて著しく複雑でかつ
細かく、フィルター効果を著しく向上させることができ
る。
【0009】また、上記の圧縮成形金網体は多重に折込
まれかつ圧縮されているので、保形強度が従来のものに
較べて著しく改善される。従って、本発明のフィルター
は、ガス圧を受けた場合においても、インフレータのガ
ス通過口に入り込み損傷を受けるようなことがなく、ま
た取扱いも便利である。本発明のフィルターにおいて、
筒壁に多数の貫通小孔を有する保護外筒が上記の圧縮成
形金網体の外周に積層されているときは、該保護外筒に
よって圧縮成形金網体が補強されるので、保形強度が更
に向上し、また取扱が一層容易かつ便利になる。更に、
メリヤス編み金網の切断部は折込みを複数回繰り返し行
う際に内部に包み込むことができる。
【0010】
【実施例】本発明の詳細を実施例に基づき以下に説明す
る。図1乃至図3はいづれも本発明の実施例を説明する
斜視図である。図において、1が成形金網体で、該成形
金網体は外径が好ましくは0.08mm〜0.3mmの
範囲、更に好ましくは0.15mm〜0.25mmの範
囲のステンレス鋼線、亜鉛メッキ防錆鉄線等の金属線を
素線として、図4に示すループPが1インチ平方あたり
縦、横ともに7〜9個並ぶように素線を交絡させる条件
で、例えば内径90mmの円筒にメリヤス編みしたメリ
ヤス編み金網を、適当な長さ(通常240mm〜280
mm)例えば260mmの長さに切断し、その端部を該
金網の円筒外周面上に、図5に示す折返し長さLを例え
ば65mmにとり、折返して折込み、かかる折込みを3
回繰返して4重に折込んだ(通常4〜6重に折込む)円
筒状の折込み成形金網を型に入れてその長さ方向に圧縮
し、例えば長さ20mmに圧縮して成るものである。
【0011】素線がステンレス鋼線もしくは亜鉛メッキ
鉄線である場合、得られた円筒状の成形金網体の密度ρ
が1.6〜2.4g/cm3 の範囲に、更に好ましくは
2.0〜2.2g/cm3 の範囲になるように上記の成
形条件は選ばれている。上記の密度範囲は、下式で定義
する空隙率Cで表せば、70〜80%の空隙率である。 C=100(ρ0 −ρ)/ρ0 (%) ただし、ρ0 は成形金網体を構成する金属の密度であ
る。成形金網体の密度或は空隙率が1.6g/cm3
満(空隙率80%超)である場合はフィルター効果が劣
りかつ成形金網体の保形強度が不足する。密度或は空隙
率が2.4g/cm3 超(空隙率70%未満)である場
合は通気抵抗が大きく、ガスがフィルターを通過し難く
なる。
【0012】図1に示す第1実施例においては、上記の
円筒状の圧縮成形金網体1の単体によって本発明のイン
フレータ用フィルターを構成している。図2に示す第2
実施例においては、上記の円筒状の圧縮成形金網体1の
外周に筒壁21の全体にわたり多数の小貫通孔22を有
する円筒状の保護外筒2を一体的に積層して本発明のイ
ンフレータ用フィルターを構成している。該保護外筒2
は成形金網体1の外周に例えば厚さが0.5mmで多数
の貫通小孔を有するステンレス鋼板を巻回し、その重ね
合わせ部をスポット溶接することにより形成されてい
る。貫通小孔22の孔径は例えば1.0mm、孔間隔は
例えば2.0mmで、該小孔は例えば千鳥状に配列され
ている。図3に示す第3実施例は上記の第2実施例のフ
ィルターにおいて、更に圧縮成形金網体1の内周にも筒
壁31の全体にわたり多数の貫通小孔32を有する保護
内筒3を一体的に積層した構成である。上記の保護外筒
或は保護内筒が本発明によるフィルターの保形強度を向
上させ、取扱を一層容易かつ便利にすることは既に述べ
た通りである。
【0013】
【発明の効果】本発明のインフレータ用フィルターは、
前記の従来のものに較べてフィルターの空隙構造が微細
かつ複雑であり、フィルター効果が著しく向上し、爆発
した推進薬の粉塵等の微粒子をよく捕捉する。従って、
高温の微粒子がインフレータから漏出することがなく、
エアバッグが高温の微粒子により損傷を受ける危険がな
い。また、本発明によるフィルターは、従来のものに較
べ、保形強度が著しく大であり、ガス圧を受けたときに
拡がりインフレータのガス通過口に入り込み損傷を受け
るようなことがなく、また取扱が容易かつ便利である。
本発明のフィルターにおいては、前述のとおり、金網の
切断部を内部に折込むことができるので、圧縮成形金網
体の上下端面に金網の切断部のばらけた金属線が露出す
ることがない。従って取扱上有利であるだけでなく、フ
ィルターの上下端面からのガスの漏洩が少ない利点もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例を説明する斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例を説明する斜視図である。
【図4】メリヤス編みの説明図である。
【図5】円筒状のメリヤス編み金網の端部を円筒外周面
に折返す折込みの説明図である。
【符号の説明】
1 成形金網体 2 保護外筒 3 保護内筒 22及び32 貫通小孔

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状のメリヤス編み金網に、その長さ
    方向の端部の所定長さを該金網の円筒外周面上に折返す
    折込みを複数回繰り返し施すことにより円筒状メリヤス
    編み金網の全長を折込み成形した円筒状の多重折込み成
    形金網を、更にその長さ方向に圧縮した筒状の圧縮成形
    金網体からなるインフレータ用フィルター。
  2. 【請求項2】 筒状の圧縮成形金網体の外周に、筒壁の
    全体にわたり多数の貫通小孔を有する筒状の保護外筒を
    一体的に積層した請求項1に記載のインフレータ用フィ
    ルター。
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