JP3973806B2 - 感熱記録材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多色発色型の感熱記録材料及びその製造方法に関し、詳しくは、簡易な層構成で、色分離性に優れた多色画像を形成しうる感熱記録材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、1)現像が不要である、2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、3)取扱が容易である、4)発色濃度が高い、5)記録装置が簡単であり安価である、6)記録時の騒音が無い等の利点があるためファクシミリやプリンターの分野で近年急速に普及し、POS等に於けるラベル分野等、感熱記録の用途も拡大している。このような背景のもと、近年では、画像の多色化への移行が急速に進み、サーマルヘッドで直接記録しうる、多色発色型の感熱記録材料に対する要望が高い。
【0003】
このような要望に応える多色感熱記録材料として、既に、異なった発色温度で異なった色調に発色する2種類の発色成分を同一の感熱発色層中で混合使用した記録材料(特公昭49−69号公報)、発色温度の高い感熱発色層及び発色温度の低い感熱発色層を支持体上に順次積層した記録材料(特公昭51─19989号、特開昭54─88135号、同55─133991号、同55─133992号、同48─15540号の各公報)、発色温度の高い感熱発色層及び発色温度の低い感熱発色層を支持体上に順次積層すると共に、低温感熱発色層中に発色成分を消色する効果を有する消色剤を含有させた記録材料(特公昭50─17866号、同51─5791号、特開昭55─161688号の各公報)等が開発されている。また、支持体上に、電子供与性染料前駆体等の発色剤を内包するマイクロカプセルを含有し、異なる色相に発色する単色の感熱記録層を2層以上積層して多色画像を形成する多層感熱記録材料も開発されている。
【0004】
しかし、このような多層感熱記録材料は、単色の記録材料と同様、その保存安定性等には優れるものの、各層にマイクロカプセルを採用し、かつ積層により記録層全体の層厚が厚くなることから、特に支持体に近い下層を十分に発色させるためには、高い熱エネルギーを印加する必要がある。一般に、感熱記録材料を用いた画像形成には、サーマルヘッド等の加熱装置が用いられるが、高エネルギー下で熱印加が繰り返されると、ヘッドにかかる負荷は大きくその耐久性の低下を招く。また、十分な熱印加がされないと、発色反応性も低下し鮮明な画像は得られ難い。さらに、高熱エネルギーの印加下では、その熱制御性にも一定の限界があり、記録速度の高速化にも支障をきたし、ヘッドの微妙な温度制御が難しいため、多色発色した場合に混色を生じ易く、鮮明で高コントラストな画像を得ることは困難であった。
また、上記のように複数の電子供与性染料前駆体を用いる場合、その発色性はマイクロカプセルの粒径及び/又は粒径分布に影響され、一般に熱量に対する濃度分布はブロード状に成り易く、コントラストのある画像を形成することは難しい。
【0005】
特に、近年では、デジタル信号に基づく出力画像の高画質化が進む状況にあり、感熱記録材料を用いた画像においても例外なく、色分離性に優れており、鮮明で高コントラストな多色画像に対する要求が極めて高い。
【0006】
上記のような要求に応えるべく、感熱記録材料自体の高感度化、高画質化等に対する検討が盛んになされ、マイクロカプセルの熱応答性を高めたり、発色剤の発色反応性を高める等、様々な研究が行われてきたが、多色発色型の感熱記録材料の高感度化や鮮彩化を十分に実現するまでには至っていない。
一方、記録層を積層した多層型記録材料の場合には、その製造工程の簡易化が難しく、低コスト化の実現も困難である。
【0007】
上記の通り、比較的低い印加エネルギーで熱印画することにより、高濃度で色分離性(色再現性)に優れた高コントラストな画像を形成でき、かつ簡易な工程で低コストに製造しうる多色発色型の感熱記録材料は、未だ提供されていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、比較的低い熱エネルギーの印加により高濃度が得られ、色分離性に優れ、コントラストの高い鮮明な多色画像を形成しうる多色発色型の感熱記録材料及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、簡易な工程で低コストに製造しうる多色発色型の感熱記録材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、多色の感熱記録材料の層構成に関し鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、2色以上の多色画像を形成する場合、
(1)色相の異なる発色剤の全てをカプセル化する、或いは、相互に異なる色相に発色する単色の記録層を2層以上積層する、等により層構成すると、比較的低い熱エネルギーの印加では、全色について高い発色濃度を得ることができない、
(2)固体微粒子状の電子供与性染料前駆体に併用して電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルを含む場合、該カプセル径が一定の分布で一定の小粒径を有していないと、シャープな濃度分布を得ることができない、
傾向にある、という知見である。
【0010】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を有する感熱記録材料であって、前記電子供与性染料前駆体の少なくとも1種が固体微粒子であり、該電子供与性染料前駆体を除く1種以上の電子供与性染料前駆体がそれぞれ異なるマイクロカプセルに内包され、かつ該マイクロカプセルの体積平均粒子径D50が0.1〜2.0μmであり、体積平均粒子径D90及びD10の比(D90/D10)が1.0以上5.0以下であって、該マイクロカプセルが、常温では該マイクロカプセル内外の物質の接触を妨げ、加熱により物質透過性となって該マイクロカプセル内外の物質の接触が可能となるマイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料である。
【0011】
<2> 前記マイクロカプセルは、ガラス転移温度が100〜200℃の高分子で形成されたことを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、及びスチレン−アクリレート共重合体のいずれかであることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
<4> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを成分として含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<5> 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、多価イソシアネート及び、それと反応してカプセル壁を形成する第2物質を、水溶性高分子水溶液又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより得られたものであることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<6> 電子受容性化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0012】
【化4】
【0013】
〔式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数5〜20アルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数4〜20のアルキルスルホニル基又は炭素数6〜20のアリールスルホニル基を表す。〕
【0014】
<7> 感熱記録層が、増感剤として下記一般式(II)及び/又は(III)で表される化合物を含有する前記<1>〜<6>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0015】
【化5】
【0016】
〔式中、R1は、アラルキル基を表す。〕
【0017】
【化6】
【0018】
〔式中、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基又はアルコキシル基を表す。〕
【0019】
<8> 電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及び増感剤の体積平均粒子径が、それぞれ1.0μm以下である前記<1>〜<7>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<9> 前記<1>〜<8>のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法であって、多価イソシアネート及び、それと反応してカプセル壁を形成する第2物質を、水溶性高分子水溶液又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中に乳化分散する工程と、乳化分散後に加温する工程とを設けてマイクロカプセルを形成する工程を有することを特徴とする感熱記録材料の製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体と、該電子供与性染料前駆体と反応して発色させる電子受容性化合物と、を含有する感熱記録層を少なくとも有してなり、前記電子供与性染料前駆体の少なくとも1種は固体微粒子の状態で用い、該電子供与性染料前駆体を除く1種以上の電子供与性染料前駆体は、それぞれ異なるマイクロカプセルに内包して用い、さらに前記マイクロカプセルの体積平均粒子径D50を0.1〜2.0μmとし、かつ体積平均粒子径D90及びD10の比(D90/D10)を1.0以上5.0以下とする。マイクロカプセルは、常温では該マイクロカプセル内外の物質の接触を妨げ、加熱により物質透過性となって、マイクロカプセル内外の物質の接触を可能とするものである。
以下、本発明の感熱記録材料について説明する。
【0021】
<感熱記録材料>
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、少なくとも相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物を含有する感熱記録層を少なくとも1層有してなり、必要に応じて、保護層、バックコート層、他の感熱記録層等の他の層を有してなる。
【0022】
−感熱記録層−
前記感熱記録層は、少なくとも、相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物とを含有してなり、必要に応じて、増感剤等のその他の成分を含有してなる。
【0023】
(電子供与性染料前駆体)
本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、同一層中に2種以上の電子供与性染料前駆体を含有し、2種の電子供与性染料前駆体として、互いに発色色相の異なる電子供与性染料前駆体を用いる。これら2種以上の電子供与性染料前駆体は、感熱記録材料の発色色相の色分離性を向上し、形成画像の鮮彩化、高コントラスト化を図る観点から、以下のような態様で構成することが好ましい。
尚、2種以上の電子供与性染料前駆体は、必ずしもその全ての発色色相が相違する組合せである必要はなく、目的に応じて選択することもできる。
【0024】
感熱記録層中に含有する2種以上の電子供与性染料前駆体の構成としては、電子供与性染料前駆体の少なくとも1種を固体微粒子の状態で存在させ、該電子供与性染料前駆体を除く、1種以上の相互に異なる色相に発色する電子供与性染料前駆体を、それぞれ異なるマイクロカプセルに内包して存在させた構成とする。
この場合、固体微粒子状の電子供与性染料前駆体を除く、1種以上の電子供与性染料前駆体は、それぞれガラス転移点の異なるマイクロカプセルに内包することが好ましい。
【0025】
即ち、2種以上の電子供与性染料前駆体を用いて、2色以上の色相を発色させる際に、最も低温域にて発色しうる色相の電子供与性染料前駆体(第一の発色剤)を固体微粒子の状態で感熱記録層中に存在させ、さらに該電子供与性染料前駆体と発色色相が異なり、かつ互いに発色色相が相違する1種以上の電子供与性染料前駆体を、それぞれガラス転移点の異なるマイクロカプセルに内包して、低温域から順に昇温したときに2色目以降の色相が個々に順に発色しうるように存在させ、熱印画時の温度制御により、その熱量に応じ、所望の色相が得られるように構成することが好ましい。
【0026】
この場合、2色目となる、マイクロカプセル中の電子供与性染料前駆体(第二の発色剤)が発色する温度域では、固体微粒子として存在する第一の発色剤は既に発色しているため、2色目が発色した場合には1色目と混合した色相を呈し、さらに3色目となる、マイクロカプセル中の電子供与性染料前駆体(第三の発色剤)が発色する温度域では、第一及び第二の発色剤は既に発色しており、3色目が発色した場合には、1色目及び2色目と混合した色相を呈する。4色目以降も同様である。
【0027】
上記のように、温度により発色色相を変化させるため、電子供与性染料前駆体の1種を、低温下で発色するようにカプセル化せずに固体分散物として含有し、他の1種以上の電子供与性染料前駆体については、一定の温度以上で発色するように、それぞれガラス転移点の異なる壁材よりなるマイクロカプセルに内包して含有する。低温域では、まず、固体微粒子状の電子供与性染料前駆体が溶融を開始し、隣接して存在する後述の電子受容性化合物(顕色剤)と発色反応を起こして発色し、さらに高い温度域では、壁材のガラス転移点に応じた物質透過性の程度に従って発色反応が制御され、発色色相を変化させることができる。
即ち、2色目以降は、壁材のガラス転移点が発色色相を決定するスイッチング機能を担う。
【0028】
本発明の感熱記録材料においては、上記のように、電子供与性染料前駆体を含むマイクロカプセルの粒径を以下のような範囲に調整して含有させる。即ち、
マイクロカプセルの体積平均粒子径D50を0.1〜2.0μmとする。中でも、0.3〜1.0μmが好ましい。前記体積平均粒子径D50とは、感熱記録層中に存在するマイクロカプセルの粒径を、小粒径側から積算した累計体積の50%を占めるマイクロカプセルの平均の粒径(μm)をいう。
【0029】
前記体積平均粒子径D50が、0.1未満であると、発色濃度が低くなることがあり、2.0μmを超えると、粒径が大きすぎてシャープで高鮮鋭な画像が得られ難いことがある。
感熱記録層中のマイクロカプセルの前記体積平均粒子径D50を上記範囲とすることにより、一定幅の小粒径のマイクロカプセルで画像形成できるため、高精細でシャープな画像を形成することができる。
【0030】
上記に加え、さらに体積平均粒子径D90及び体積平均粒子径D10の比(D90/D10)を1.0以上5.0以下とする。中でも、4.0以下が好ましい。上記同様、体積平均粒子径D90及び体積平均粒子径D10とは、それぞれ感熱記録層中に存在するマイクロカプセルの粒径を、小粒径側から積算した累計体積の90%を占めるマイクロカプセルの平均の粒径(μm)、小粒径側から積算した累計体積の10%を占めるマイクロカプセルの平均の粒径(μm)をいう。
【0031】
前記D90/D10値が5.0を超える場合、層中のマイクロカプセルの粒径分布はブロード状に広がった状態にあり、粒径分布の裾部に当たる小粒径のマイクロカプセル(同様に、大粒径のマイクロカプセル)の存在量も多いということがいえる。即ち、D10に相当する粒径値は小さくなり、D90に相当する粒径値は大きくなる。
マイクロカプセルの粒径分布が広いと、小粒径のマイクロカプセルが多く存在し低温度域でも発色が開始され、1色目の発色反応が完了する前に2色目が発色を開始して混色を生ずる。また、大粒径のマイクロカプセルも多く存在し、3色目を発色させる温度域においても発色が完全に起こらずに、3色目との混色を生じて色純度の低下や、多色に発色させたときのコントラスト低下を招く。しかし、前記D90/D10値を上記範囲とすることにより、一定の粒径範囲のマイクロカプセルにより一定幅の濃度域で発色させ、シャープでコントラストの高い多色画像を形成することができる。
【0032】
前記体積平均粒子径(D50、D90、D10)は、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製))等により測定することができる。
【0033】
一方、マイクロカプセルのガラス転移点としては、2色目以降の発色性を制御し、かつその発色色相を色分離された鮮明な色相とする観点から、マイクロカプセル相互間のガラス転移点の温度差が20℃以上となるように決定することが好ましい。
前記ガラス転移点の温度差が20℃未満であると、低温域にガラス転移点を有するマイクロカプセルに内包された発色剤が発色反応を完了する前に、より高温域にガラス転移点を有するマイクロカプセルに内包された発色剤の発色反応が開始されて混色を生じ、色分離性に優れた鮮明な多色画像を得ることができないことがある。
【0034】
2種以上の電子供与性染料前駆体を含有する場合の、発色温度に対する発色色相の選択の態様としては、特に制限されるものではないが、既述の通り、2色目以降は、2色以上の色相を混合した色相を呈するため、低温域で発色する第一の発色剤は淡色に設定し、昇温の順に濃色の色相が発色するように選択することが好ましい。即ち、例えば、3種の電子供与性染料前駆体を含有する場合には、最も低温域で発色する第一の発色剤から順に、黄色−赤色−黒色、赤色−青色−黒色等に発色するような態様で電子供与性染料前駆体を選択することが好ましい。
【0035】
前記電子供与性染料前駆体としては、例えば、以下に示す化合物を挙げることができる。但し、本発明において、これらに限定されるものではない。即ち、
黒色に発色する電子供与性染料前駆体としては、例えば、3−ジ(n−ブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−sec−ブチルアミノフルオラン、3−ジ(n−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【0036】
中でも、非画像部の地肌カブリの点で、3−ジ(n−ブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−sec−ブチルアミノフルオランが好ましい。
【0037】
赤色若しくは赤紫色、オレンジ色系に発色する電子供与性染料前駆体としては、例えば、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−ジメチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフルオラン、
【0038】
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−シクロへキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−プロピオニルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ホルミルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
【0039】
2−(N−ベンジルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−アリルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[(1,4−ジヒドロクロメノ[2,3−c]ピラゾール)−4,3’−フタリド]、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−p−メチルフェニルスピロ[(1,4−ジヒドロクロメノ[2,3−c]ピラゾール)−4,3’−フタリド]、7−(N−エチル−N−n−へキシルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[(1,4−ジヒドロクロメノ[2,3−c]ビラゾール)−4,3’−フタリド]等が挙げられる。
【0040】
中でも、発色感度、地肌カブリの点で、赤色に発色する電子供与性染料前駆体としては、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン等が好ましく、赤紫色に発色する電子供与性染料前駆体としては、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等が好ましく、オレンジ系に発色する電子供与性染料前駆体としては、3−シクロへキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[(1,4−ジヒドロクロメノ[2,3−C]ピラゾ−ル)−4,3’−フタリド]等が好ましい。
【0041】
特に、赤色発色の場合、色調補正の目的で、若干色調の異なる赤色発色系の染料を混合して使用することは好ましい態様であり、例えば、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン又は3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオランに、3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド若しくは3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等の赤柴系統の色調を有する発色性染料を少量配合することにより、赤味を強く感じる発色色調に色調調整することができる。
【0042】
青色に発色する電子供与性染料前駆体としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0043】
中でも、地肌カブリの点で、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドが好ましく、画像保存性の点で、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドが好ましい。
【0044】
緑色に発色する電子供与性染料前駆体としては、例えば、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−[p−(p一アニリノアニリノ)アニリノ]−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
【0045】
中でも、画像保存性の点で、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドが好ましい。
【0046】
黄色に発色する電子供与性染料前駆体としては、例えば、3,6−ジメトキシフルオラン、1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−3−ビス(エトキシカルボニル)メチル−1−プロペン、スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントン],3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−フェニル、スピロ[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4,9’−[9H]キサントン],3’,6’−ビス(ヘキシルオキシ)−2−(2−チエニル)、2−フェニル−4−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−(4’−オクチルオキシフェニル)ピリジン等が挙げられる。これらの電子供与性染料前駆体は、それぞれ単独で使用してもよいが、色調補正のために使用することがより効果的である。
【0047】
固体微粒子状の電子供与性染料前駆体の平均粒径としては、体積平均粒子径で1.0μm以下が好ましく、0.5〜0.7μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径が、1.0μmを超えると、熱感度が低下し、2色目との混色を起こし易くなることがある。
前記体積平均粒子径は、用いる染料前駆体粒子全体の平均の粒径であって、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製))等により容易に測定できる。
【0048】
感熱記録層における、前記電子供与性染料前駆体の含有量(乾燥重量)としては、以下の範囲が好ましい。即ち、
固体微粒子の状態で含有する電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.05〜1.0g/m2が好ましく、0.1〜0.5g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.05g/m2未満であると、発色濃度が低くなることがあり、1.0g/m2を超えると、非画像部におけるカブリ濃度が増大することがある。
【0049】
また、マイクロカプセルに内包して含有する電子供与性染料前駆体の含有量としては、個々の発色色相、又は2色目以降の色調に応じて適宜選択することができるが、1種当り0.05〜1.0g/m2が好ましく、0.1〜0.5g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.05g/m2未満であると、発色濃度が低くなることがあり、1.0g/m2を超えると、非画像部におけるカブリ濃度が増大することがある。
【0050】
(電子受容性化合物)
前記電子受容性化合物は、前記電子供与性染料前駆体と熱時反応して発色させる化合物であり、顕色剤として機能する。
前記電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ベントナイト等が挙げられ、具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号、特開昭63−65979号、特開平6−72984号、特開平7−278098号の各公報に記載のものを挙げることができる。
上記のうち、良好な発色特性が得られ、かつ非画像部及び画像部の保存安定性(カブリ濃度、耐薬品性)を向上しうる点で、下記一般式(I)で表される化合物が特に好ましい。
【0051】
【化7】
【0052】
式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数5〜20アルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数4〜20のアルキルスルホニル基又は炭素数6〜20のアリールスルホニル基を表す。
【0053】
前記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、n−ヘキシル基、m−オクチル基等が好適に挙げられ、前記炭素数7〜25のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、イソプロピルベンジル基等が好適に挙げられる。前記炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基等が好適に挙げられ、炭素数5〜20のアルキルカルボニル基としては、例えば、ブトキシエチル基等が好適に挙げられる。さらに、前記炭素数7〜20のアリールカルボニル基としては、例えば、フェノキシエチル基等が好適に挙げられ、前記炭素数4〜20のアルキルスルホニル基としては、例えば、ヘキサデシルスルホニル基等が好適に挙げられ、前記炭素数6〜20のアリールスルホニル基としては、例えば、トルエンスルホニル基等が好適に挙げられる。
【0054】
前記一般式(I)で表される電子受容性化合物の具体例としては、4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロピルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−n−ヘキシルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−n−オクチルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−n−デシルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−n−ドデシルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−p−イソプロピルベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−β−フェネチルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−β−フェネチルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−β−エトキシエチルオキシフェニルスルホン、
【0055】
4−ヒドロキシフェニル−4’−β−フェノキシエチルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−o−クロロベンゾイルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−β−t−ブチルベンゾイルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ラウリロイルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−デカノイルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ミリストイルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ステアリルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−β−フェノキシプロピオニルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ヘキサデシルスルホニルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−デシルスルホニルオキシフェニルスルホン、
【0056】
4−ヒドロキシフェニル−4’−p−トルエンスルホニルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−p−イソプロピルベンゼンスルホニルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−(4−p−t−ブチルフェノキシブチルオキシ)フェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−(4−p−t−アミノフェノキシブチルオキシ)フェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−(5−p−t−ブチルフェノキシアミルオキシ)フェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−(6−p−t−ブチルフェノキシヘキシルオキシ)フェニルスルホン等が好適に挙げられる。
これらの中でも、4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロピルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−オクチルオキシフェニルスルホン等が好ましい。
本発明においては、前記一般式(I)で表される電子受容性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(I)で表される電子受容性化合物は、上述の他の電子受容性化合物と併用することもできる。
【0057】
本発明においては、感熱記録層用の塗布液を調製する際、電子受容性化合物は固体分散して用いることが好ましく、該電子受容性化合物の平均粒径としては、体積平均粒子径で1.0μm以下が好ましく、0.5〜0.7μmがより好ましい。
前記体積平均粒子径が、1.0μmを超えると、熱感度が低下することがある。該体積平均粒子径も、用いる電子受容性化合物の粒子全体の平均の粒径であって、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製))等により容易に測定できる。
また、前記電子受容性化合物は、感熱記録層の透明性を高め、画像品質を良化する観点から、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、これを、水溶性高分子、及び必要に応じて界面活性剤を含有する水相に加えて乳化させた乳化分散物として用いることもできる。ここで、前記有機溶剤、水溶性高分子、界面活性剤としては、後述のマイクロカプセル液の調製に使用可能なものと同様のものを使用できる。
【0058】
感熱記録層における、電子受容性化合物の含有量(乾燥重量)としては、前記電子供与性染料前駆体100重量部に対し、50〜400重量部が好ましく、100〜300重量部がより好ましい。
前記含有量が、50重量部未満であると、感熱記録層の熱感度が低下するとともに、長期保存による非画像部のカブリ濃度が増大することがあり、400重量部を超えると、感熱記録層と感熱ヘッドとのマッチング性が悪化することがある。
【0059】
(増感剤)
本発明の感熱記録材料においては、下記一般式(II)及び(III)の少なくともいずれか一方を、増感剤として記録層中に含有することが好ましい。該増感剤を、前記発色剤等と共存させることにより、さらなる高感度化を達成することができる。
【0060】
【化8】
【0061】
一般式(II)中のR1は、アラルキル基を表し、無置換でも置換基を有していてもよい。前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、置換ベンジル基等が挙げられ、その置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0062】
前記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、2−p−メチルベンジルオキシナフタレン、2−p−クロロベンジルオキシナフタレン等が挙げられる。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0063】
【化9】
【0064】
一般式(III)中のR2及びR3は、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシル基を表す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0065】
前記一般式(III)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,4−ジフェノキシメチルベンゼン、1,2−ジ−(4−メチルフェノキシ)メチルベンゼン等が挙げられる。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
感熱記録層用の塗布液に、前記一般式(II)及び/又は(III)で表される増感剤を用いる場合、該増感剤は固体分散して用いられるが、用いる増感剤の平均粒径としては、体積平均粒子径で1.0μm以下が好ましく、0.5〜0.7μmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、1.0μmを超えると、熱感度が低くなることがある。
【0067】
感熱記録層における、前記一般式(II)及び/又は一般式(III)で表される化合物の含有量としては、電子供与性染料前駆体100重量部に対し、50〜500重量部が好ましく、75〜300重量部がより好ましい。
前記含有量が、50重量部未満であると、感熱記録材料の熱感度が低下することがあり、500重量部を超えると、感熱記録層と感熱ヘッドとのマッチング性が低下することがある。
【0068】
(その他の成分)
前記感熱記録層は、本発明の効果を害しない範囲内で、必要に応じてその他の成分を含有していてもよく、該その他の成分としては、例えば、ステアリン酸及びステアリン酸金属塩の共分散物、亜鉛化合物、熱可融性樹脂、顔料、金属石鹸、ワックス、ヒンダードフェノール化合物、耐水化剤等のほか、感熱記録層に使用可能な公知の添加剤(例えば、ポリウレアフィラー等の吸油性物質、脂肪酸、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤)が挙げられる。
【0069】
前記亜鉛化合物が前記感熱記録層中に添加されていると、画像保存性の向上の点で好ましい。
前記亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、けい酸亜鉛等が挙げられ、これらの中でも酸化亜鉛が好ましい。
感熱記録層における、前記亜鉛化合物の含有量としては、通常、電子受容性化合物の含有重量に対し、10〜400重量%が好ましく、50〜300重量%がより好ましい。前記含有量が、10重量%未満では、画像保存性の向上効果が十分でないことがあり、400重量%を超えると、画像保存性の向上効果が十分でなく、更に前記感熱記録層の塗布液中での分散安定性が低下してしまうことがある。
【0070】
前記熱可融性化合物が前記感熱記録層に添加されていると、熱応答性を改良し得る点で好ましい。
前記熱可融性化合物としては、例えば、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1−(3−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1,4−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
また、これらのほかに、更に以下の熱可融性化合物を併用してもよく、その具体例としては、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル及び又は脂肪族アミド又はウレイド等が挙げられ、特開昭58−57989号、同58−87094号、同61−58789号、同62−109681号、同62−132674号、同63−151478号、同63−235961号の各公報に示されている。
【0072】
感熱記録層における、前記熱可融性化合物の含有量としては、電子受容性化合物100重量部に対し、20〜300重量部が好ましく、40〜150重量部がより好ましい。
【0073】
前記顔料が前記感熱記録層に添加されていると、記録時の記録ヘッドの汚れを防止することができる点で好ましい。
前記顔料としては、特に制限はないが、例えば、カオリン、焼成カオリン、タルク、ロウ石、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、リトポン、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、焼成石コウ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、マイカ、マイクロバルーン、尿素−ホルマリンフィラー、ポリエステルパーティクル、セルロースフィラー等が挙げられる。
【0074】
前記金属石鹸が前記感熱記録層に添加されていると、記録時において記録ヘッドに対する離型性を高めることができる点で好ましい。
前記金属石鹸としては、例えば、高級脂肪酸多価金属塩が挙げられ、具体的にはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛等が挙げられる。
【0075】
前記ワックスが前記感熱記録層に添加されていると、例えばファクシミリに対するヘッドマッチング性を向上し得る点で好ましい。
前記ワックスとしては、その融点が40〜120℃であればよく、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、脂肪酸アミド系ワックス等が好ましく、融点が50〜100℃のパラフィンワックス、モンタンワックス、メチロールステアロアミド等がより好ましい。
感熱記録層における、前記ワックスの含有量としては、電子供与性無色染料100重量部に対し5〜200重量部が好ましく、20〜150重量部がより好ましい。
【0076】
前記ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、少なくとも2位又は6位のうち1ケ以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体等が好適に挙げられる。
【0077】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾールフェノール誘導体等が挙げられ、具体的には、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾリル−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。
【0078】
前記耐水化剤としては、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキサール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアクリル酸、メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等のブレンド熱処理品等が挙げられる。
【0079】
感熱記録層は、各構成成分を含有する塗布液を支持体上に塗布することにより形成することができる。具体的方法及び手段については後述する。
前記感熱記録層の層厚としては、4〜15μmが好ましく、6〜10μmがより好ましい。
【0080】
上記のように、同一の感熱記録層中に、相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体と、該電子供与性染料前駆体と熱時反応して発色させる電子受容性化合物とを含有し、前記電子供与性染料前駆体の1種を固体微粒子の状態で用いることにより、高感度化が図れ、さらに電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルの体積平均粒子径を一定の範囲とすることにより、色分離性に優れた混色のない高コントラストな多色画像を形成すすことができる。
また、製造工程の簡易化が図れ、低コスト化も達成しうるとともに、サーマルヘッドの耐久性の向上にも寄与する。
【0081】
−支持体−
前記支持体としては、例えば、上質紙等の紙支持体、紙に樹脂又は顔料を塗布したコーテッド紙、樹脂ラミネート紙、下塗り層を有する上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
前記支持体表面の平滑度としては、ドット再現性の点で、JlS−8119で規定される平滑度が、500秒以上のものが好ましく、800秒以上のものがより好ましい。
【0082】
−その他の層−
(保護層)
前記保護層としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記保護層は、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等の水不溶性ポリマー等を用いて形成することができる。
【0083】
前記保護層には、感熱ヘッドとのマッチング性を向上させる目的で、前記顔料、前記金属石鹸、前記ワックス、前記耐水化剤等を含有していてもよい。また、該保護層を前記感熱記録層上に塗布する際に、均一な保護層を得る目的で、界面活性剤を含有していてもよい。
前記界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等が好適に挙げられ、具体的には、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩、又はアンモニウム塩等が好ましく、アニオン系の界面活性剤が好適である。
【0084】
(バックコート層)
前記バックコート層は、支持体のカールバランスの補正、耐薬品性の向上等の目的で、該支持体の裏面に設けられる。
前記バックコート層は、前記保護層と似た組成の塗布液を塗布して形成することができる。また、前記バックコート層を設ける代わりに、前記支持体の裏面(感熱記録層が設けられない側の支持体の表面)に接着剤を塗布し、更に剥離紙等を組合わせてラベルの形態にしてもよい。
【0085】
(他の感熱記録層)
支持体上には、上述の感熱記録層を1層設けるほか、目的に応じて他の感熱記録層がさらに設けられていてもよい。
【0086】
本発明の感熱記録材料は、比較的低い熱エネルギーの印加により、高濃度で混色のない鮮明な多色画像が得られる。即ち、高感度で、個々の発色色素の色分離性に優れ、鮮明で高コントラストな多色画像を形成することができ、また、製造工程の簡易化、低コスト化が図れ、サーマルヘッドの耐久性向上にも寄与する。
さらに、保存時の長期保存性(カブリ濃度、耐薬品性)にも優れる。
【0087】
<感熱記録材料の製造方法>
本発明の感熱記録材料は、支持体上に少なくとも感熱記録層を有してなるが、その製造方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、以下のようにして調製した感熱記録層用の塗布液を公知の塗布方法により塗布、乾燥し、作製することもできる。
前記感熱記録層用の塗布液は、固体微粒子状の電子供与性染料前駆体、固体微粒子状の、或いは、乳化分散された電子受容性化合物、及び電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを1種以上含有し、必要に応じて増感剤等のその他の成分を含有する。
【0088】
前記塗布液の調製方法としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、以下のようにして調製することもできる。
まず、ポリビニルアルコール等を含む分散媒中に、最も低温域で発色しうる固体微粒子状の電子供与性無色染料を添加し、粉砕処理を行った体積平均粒子径1.0μm以下の粒子分散液(i)と、ポリビニルアルコール等を含む分散媒中に、前記一般式(I)で表される電子受容性化合物を添加し、粉砕処理を行った体積平均粒子径1.0μm以下の粒子分散液(ii)とを調製する。
【0089】
感熱記録層用の塗布液は、前記粒子分散液(i)及び(ii)を予め混合した後、該混合液中に、別途調製した1種以上の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を加えて均一化することにより調製できる。ここで、増感剤等の他の成分を含有させる場合には、各粒子分散液の調製時に、又は前記混合液中に電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を加えると同時に添加してもよい。
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液の調製方法については後述する。
【0090】
また、増感剤等の他の成分を含有させる場合、予め、別に用意した分散媒に他の成分を分散溶解した分散液(iii)を調製しておいてもよい。この場合には、前記粒子分散液(i)及び(ii)を該分散液(iii)に添加、混合した後、さらに別途調製した1種以上の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を加えて均一化することにより調製することができる。
【0091】
前記分散媒としては、通常、0.5〜10重量%程度の水溶性高分子水溶液が好適に用いられる。
前記水溶性高分子水溶液の濃度が低すぎると、該分散媒の粘度が低下し、固体分散された粒子が沈殿し易くなることがあり、逆に高すぎると、感熱記録層用の塗布液の粘度が増大し、均一に塗布することができなくなる等のハンドリング性が低下することがある。
【0092】
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレインサリチル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン誘導体、カゼイン、ゼラチン等が挙げられ、適当な水系溶媒中に溶解して用いられる。
中でも、保護コロイドとして機能し、固体微粒子の電子供与性染料前駆体、又は前記一般式(I)で表される電子受容性化合物の分散安定性が向上する点で、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0093】
前記粒子分散液(i)〜(iii)の調製に用いる分散又は溶解手段としては、公知の分散装置の中から適宜選択することができ、例えば、ボールミル、サンドミル、横型サンドミル、アトライタ、コロイダルミル等が挙げられる。
【0094】
次に、前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液の調製方法について説明する。
本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、既述のように固体分散して用いる電子供与性染料前駆体のほかに、1種以上の電子供与性染料前駆体を別々のマイクロカプセルに内包して用いる。マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。
例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号、特開平4−101885号、特開平9−263057号に記載の方法等が挙げられる。
【0095】
マイクロカプセル化する方法としては、これらに限定されるものではないが、本発明の感熱記録材料においては、特に、電子供与性染料前駆体をカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。前記界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができる。
【0096】
本発明において好ましいマイクロカプセルとしては、常温では、マイクロカプセルの壁材(以下、単に「カプセル壁」ということがある。)の物質隔離作用によりカプセル内外の物質の接触が妨げられ、ある値以上に熱が加えられた場合のみ、カプセル壁の物質透過性となってカプセル内外の物質の接触が可能となるようなものである。この特性は、カプセル壁の材料、カプセル芯物質(カプセルに内包する物質)、添加剤等を適宜選択することにより、カプセルの物性変化として自由にコントロールすることができる。
【0097】
従って、本発明の感熱記録材料においては、前記カプセル壁に用いる材料を目的に応じて選択することにより、物質透過性となる温度域の異なるマイクロカプセルを1種以上調製、使用し、温度制御によりカプセルの物性変化をコントロールして、感熱記録層中に含有する2種以上の電子供与性染料前駆体の発色反応性、即ち、発現する色相を変えて多色の画像を形成する。
具体的には、カプセル壁の材料として用いる高分子の構造を変えること、及び/又は、カプセル外にガラス点移転調整剤を存在させることにより、カプセル壁のガラス転移点の異なる2種以上のマイクロカプセルを調製する。この場合、各マイクロカプセルの壁材は、カプセル相互間のガラス転移点の差が20℃以上となるように選択することが好ましい。
さらに、感熱記録材料の高感度化を図る観点から、各マイクロカプセルのガラス転移温度(ガラス転移点)としては、通常100〜200℃が好ましく、125〜160℃がより好ましい。
【0098】
カプセル相互間のガラス転移点を20℃以上とする手段としては、一般に、用いる壁材の構造を、所望のガラス転移点となるように変えることが挙げられるが、具体的には、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートとの混合比を変える、イソシアネートとポリアミン若しくはポリオールとの混合比を変える、或いは、カプセル化反応の温度を変える等の手段が挙げられる。
上記のように温度設計する際、カプセル壁のガラス転移温度(ガラス転移点)は、バイブロン等の公知の粘弾性測定機で測定したtanδのピーク温度の意味であり、動的損失弾性率を貯蔵性率で除算したものである。
【0099】
前記カプセル壁の材料(壁材)としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられ、中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。
前記カプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0100】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が起こし、マイクロカプセル壁を形成する。
前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に記載のものを使用することもできる。
【0101】
マイクロカプセルを形成する際、内包する電子供与性染料前駆体は、カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。溶液状態でカプセルに内包させる場合には、電子供与性染料前駆体を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。
【0102】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点溶媒の中から適宜選択することができ、例えば、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が挙げられる。具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号、同59−178457号、同60−242094号、同63−85633号、特開平6−194825号、同7−13310号〜同7−13311号、同9−106039号の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。
前記有機溶媒の使用量としては、電子供与性染料前駆体100重量部に対し、1〜500重量部が好ましい。
また、カプセル化の際、上記の有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
【0103】
また、内包しようとする電子供与性染料前駆体の前記有機溶媒に対する溶解性が低い場合には、さらに補助溶剤として、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。一方、前記有機溶媒を使用せずに前記低沸点溶媒を使用することもできる。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0104】
前記油相を乳化分散する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液を使用する。
前記水相中に油相を投入した後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。ここで、乳化分散をさらに均一に行い、より安定な分散液とするためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加することができる。
【0105】
前記保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、前記粒子分散液(i)等の調製に用いる分散媒に含有される水溶性高分子と同様のもののほか、例えば、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
マイクロカプセル液は、電子供与性染料前駆体や電子受容性化合物等を含む前記粒子分散液(i)等と混合するため、両者の相溶性を向上する点で、前記水溶性高分子は、前記粒子分散液(i)等で用いるものと同様のものを用いることが好ましい。
【0106】
前記界面活性剤としては、公知の乳化用界面活性剤の中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記のように保護コロイドと作用し、沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量としては、油相重量に対し、0.1%〜5%が好ましく、0.5%〜2%がより好ましい。
【0107】
前記乳化分散は、高速撹拌、超音波分散等の微粒子乳化に用いる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置により容易に行うことができる。
上記乳化装置による乳化は、カプセルの粒径が後述する範囲となる乳化条件に適宜変更して行う。
【0108】
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
前記カプセル壁形成反応の終点は、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点とみなすことができる。通常、数時間反応を行うことにより、電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルを得ることができる。
本発明においては、既述のように各種分散液等の混合液に1種以上の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を加える場合には、1種以上の電子供与性染料前駆体の各々について、それぞれ異なる壁材を用いて前記マイクロカプセル化する方法を実施し、カプセル壁の異なる1種以上のマイクロカプセル液を調製する。
【0109】
本発明におけるマイクロカプセルの平均粒径は、既述の通り、体積平均粒子径として、0.1≦D50≦2.0、及びD90/D10≦5.0を満たす粒径とする。
このような粒径への調整は、乳化してカプセル液とするときの、油相/水相の比率、粘度、乳化条件(例えば、乳化装置の回転数、乳化時間等)を変える等することにより行える。
【0110】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、上記のようにして得た感熱記録層用の塗布液を公知の塗布方法により塗布し、乾燥して作製することができる。
前記公知の塗布方法としては、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビヤコーター、カーテンコーター、ワイヤーバー等が挙げられる。
【0111】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、全て「重量部」及び「重量%」を表す。
【0112】
(実施例1)
<黒発色の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Aの調製>
2−アニリノ−3−メチル−6−N−sec−ブチルアミノフルオラン(商品名:PSD184,日本曹達(株)製;電子供与性染料前駆体)6部と、タケネートD110N(武田薬品工業(株)製;カプセル壁材)12部と、をKMC113(呉羽化学(株)製)12部及び酢酸エチル10部の混合液中に溶解した。次いで、得られた混合液を、5%ポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA−217C,鹸化度88%、(株)クラレ製)112部中に混合し、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)により回転数6000rpm、10分間の乳化条件で乳化した後、さらに水60部とテトラエチレンペンタミン0.5部を加えて、65℃の温度下で3時間反応させて電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Aを調製した。
マイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.10μmであり、D90/D10は3.1であった。
【0113】
<赤発色の電子供与性染料前駆体分散液Bの調製>
3−ジメチルアミノ−7−クロロフルオラン14部及び3−ジメチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン6部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液80部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.6μmの電子供与性染料前駆体分散液Bを調製した。
【0114】
<増感剤分散液(1)の調製>
1−ベンジルオキシナフタレン20部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液70部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.6μmの増感剤分散液(1)を調製した。
【0115】
<電子受容性化合物分散液(1)の調製>
4−[[4−(1−メチルエトキシ)フェニル]スルホニル]フェノール(商品名:D−8,日本曹達(株)製)20部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液70部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.6μmの電子受容性化合物分散液(1)を調製した。
【0116】
<顔料分散液(1)の調製>
炭酸カルシウム40部、水60部及び濃度10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液0.4部を、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.6μmの顔料分散液(1)を調製した。
【0117】
<感熱記録層用塗布液(1)の調製>
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルA5部、電子供与性染料前駆体分散液B0.5部、増感剤分散液(1)5部、電子受容性化合物分散液(1)5部、顔料分散液(1)5部、濃度31%ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)0.8部、濃度31%ハイドリンD337(中京油脂(株)製)0.8部、2%の(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム水溶液1.0部、水15部を混合して感熱記録層用塗布液(1)を調製した。
【0118】
<感熱記録材料(1)の作製>
紙支持体上に、乾燥後の感熱記録層の重量が8g/cm2となるように、ワイヤーバーを用いて感熱記録層用塗布液(1)を塗布した。その後、60℃のオーブン中で乾燥した後、平滑度300秒(ベック法)となるようにキャレンダー処理して、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
【0119】
上記より得たマイクロカプセル液Aの体積平均粒径D50、D90/D10、及び各種分散液の体積平均粒径は、LA500(ホリバ(株)製)により測定した。
【0120】
<発色性の評価>
上記より得た感熱記録材料(1)に対して、京セラ(株)製感熱印字試験機(KSTヘッド)を用いて15、50mj/mm2の印字エネルギーで印字し、それぞれの発色濃度をRD−918型濃度計(マクベス社製)にて測定した。
また、発色部の色分離性について対比観察して目視による評価を行った。
上記測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0121】
(実施例2)
<黒発色の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Cの調製>
実施例1のマイクロカプセル液Aの調製に用いた電子供与性染料前駆体を3−ジ(n−ブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランに、さらにカプセル壁材をタケネートD110N(武田薬品工業(株)製)10部及びバーノックD750(大日本インキ(株)製)2部に代え、乳化条件を回転数8000rpm、10分間に変更したこと以外、実施例1と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Cを調製した。
実施例1と同様にして測定したマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は0.67であり、D90/D10は1.8であった。
【0122】
<青発色の電子供与性染料前駆体分散液Dの調製>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド20部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液80部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.55μmの電子供与性染料前駆体分散液Dを調製した。尚、体積平均粒子径は実施例1と同様にして測定した。
【0123】
<増感剤分散液(2)の調製>
実施例1で用いた1−ベンジルオキシナフタレンに代えて、1,2−ジフェノキシメチルベンゼンを用いたこと以外、実施例1と同様にして増感剤分散液(2)を調製した。
【0124】
<電子受容性化合物分散液(2)の調製>
4−[[4−(1−メチルエトキシ)フェニル]スルホニル]フェノールに代えて、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン(商品名:BPS−BN,日華化学(株)製)を用いたこと以外、実施例1と同様にして電子受容性化合物分散液(2)を調製した。
【0125】
<感熱記録層用塗布液(2)の調製>
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルC5部、電子供与性染料前駆体分散液D0.5部、増感剤分散液(2)5部、電子受容性化合物分散液(2)5部、実施例1で調製した顔料分散液(1)5部、濃度31%ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)0.8部、濃度31%ハイドリンD337(中京油脂(株)製)0.8部、2%の(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム水溶液1.0部、水15部を混合して感熱記録層用塗布液(2)を調製した。
【0126】
<感熱記録材料(2)の作製>
上記より得た感熱記録層用塗布液(2)を用いて、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(2)を作製し、該感熱記録材料(2)を用いて実施例1と同様にして、発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0127】
(実施例3)
<シアン発色の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Eの調製>
実施例1のマイクロカプセル液Aの調製に用いた電子供与性染料前駆体を3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−アザフタリドに、さらにカプセル壁材をタケネートD110N(武田薬品工業(株)製)10部及びミリオネートMR400(日本ポリウレタン工業(株)製)2部に代え、乳化条件を回転数4500rpm、15分間に変更したこと以外、実施例1と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Eを調製した。
実施例1と同様にして測定したマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.43であり、D90/D10は3.8であった。
【0128】
<マゼンタ発色の電子供与性染料前駆体分散液Fの調製>
3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(商品名:Pergascript Red I−6B,Ciba−Geigy社製;電子供与性染料前駆体)20部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液80部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.55μmの電子供与性染料前駆体分散液Fを調製した。尚、体積平均粒子径は実施例1と同様にして測定した。
【0129】
<感熱記録層用塗布液(3)の調製>
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルE5部、電子供与性染料前駆体分散液F0.5部、及び実施例1で調製した増感剤分散液(1)5部、電子受容性化合物分散液(1)5部、顔料分散液(1)5部、濃度31%ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)0.8部、濃度31%ハイドリンD337(中京油脂(株)製)0.8部、2%の(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム水溶液1.0部、水15部を混合して感熱記録層用塗布液(3)を調製した。
【0130】
<感熱記録材料(3)の作製>
上記より得た感熱記録層用塗布液(3)を用いて、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(3)を作製し、該感熱記録材料(3)を用いて実施例1と同様にして、発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0131】
(実施例4)
<マゼンタ発色の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Gの調製>
3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(商品名:Pergascript Red I−6B,Ciba−Geigy社製;電子供与性染料前駆体)6部と、タケネートD110N(武田薬品工業(株)製;カプセル壁材)12部と、をKMC113(呉羽化学(株)製)12部及び酢酸エチル10部の混合液中に溶解した。次いで、得られた混合液を、5%ポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA−217C,鹸化度88%、(株)クラレ製)112部中に混合し、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)により回転数6000rpm、10分間の乳化条件で乳化した後、さらに水60部とテトラエチレンペンタミン0.5部を加えて、50℃の温度下で3時間反応させて電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Gを調製した。
実施例1と同様にして測定したマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.15であり、D90/D10は2.8であった。
【0132】
<黒発色の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Hの調製>
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−sec−ブチルアミノフルオラン(商品名:PSD184,日本曹達(株)製;電子供与性染料前駆体)6部と、タケネートD110N(武田薬品工業(株)製;カプセル壁材)4部と、バーノックD750(大日本インキ(株)製)と、をKMC113(呉羽化学(株)製)12部及び酢酸エチル10部の混合液中に溶解した。次いで、得られた混合液を、5%ポリビニルアルコール水溶液(商品名:PVA−217C,鹸化度88%、(株)クラレ製)112部中に混合し、エースホモジナイザー(日本精機(株)製)により回転数6000rpm、8分間の乳化条件で乳化した後、さらに水60部とテトラエチレンペンタミン0.5部を加えて、50℃の温度下で3時間反応させて電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Hを調製した。
実施例1と同様にして測定したマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.22であり、D90/D10は3.5であった。
【0133】
<イエロー発色の電子供与性染料前駆体分散液Iの調製>
1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレン(商品名:Y721,山田化学(株)製;電子供与性染料前駆体)20部を、濃度5%部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205,鹸化度88%、(株)クラレ製)水溶液80部に加え、サンドミルにより粉砕、分散して体積平均粒子径0.57μmの電子供与性染料前駆体分散液Iを調製した。尚、体積平均粒子径は実施例1と同様にして測定した。
【0134】
<感熱記録層用塗布液(4)の調製>
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルG4部、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセルH4部、電子供与性染料前駆体分散液Iを0.5部、及び実施例1で調製した増感剤分散液(1)5部、電子受容性化合物分散液(1)5部、顔料分散液(1)5部、濃度31%ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)0.8部、濃度31%ハイドリンD337(中京油脂(株)製)0.8部、2%の(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム水溶液1.0部、水15部を混合して感熱記録層用塗布液(4)を調製した。
【0135】
<感熱記録材料(4)の作製>
上記より得た感熱記録層用塗布液(4)を用いて、実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料(4)を作製した。
【0136】
<発色性の評価>
上記より得た感熱記録材料(4)に対して、京セラ(株)製感熱印字試験機(KSTヘッド)を用いて15、50、85mj/mm2の印字エネルギーで印字し、その各発色濃度をRD−918型濃度計(マクベス社製)にて測定した。
また、発色部の色分離性について対比観察して目視による評価を行った。
上記測定結果及び評価結果を以下の表1に示す。
【0137】
(比較例1)
実施例1の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Aの乳化条件を、回転数1000rpm、3分間に変更したこと以外、実施例1と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液A’を調製し、さらに実施例1と同様にして感熱記録材料(5)を作製した。
実施例1と同様にして測定した、前記マイクロカプセル液A’中のマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.05であり、D90/D10は6.9であった。
また、前記感熱記録材料(5)を用いて、実施例1と同様にして発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0138】
(比較例2)
実施例2の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Cの乳化条件を、回転数15000rpm、3分間に変更したこと以外、実施例2と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液C’を調製し、さらに実施例1と同様にして感熱記録材料(6)を作製した。
実施例1と同様にして測定した、前記マイクロカプセル液C’中のマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は0.71であり、D90/D10は5.7であった。
また、前記感熱記録材料(6)を用いて、実施例1と同様にして発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0139】
(比較例3)
実施例3の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Eの乳化条件を、回転数8000rpm、4分間に変更したこと以外、実施例3と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液E’を調製し、さらに実施例3と同様にして感熱記録材料(7)を作製した。
実施例1と同様にして測定した、前記マイクロカプセル液E’中のマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.39であり、D90/D10は8.1であった。
また、前記感熱記録材料(7)を用いて、実施例1と同様にして発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0140】
(比較例4)
実施例4の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Gの乳化条件を、回転数1000rpm、3分間に変更し、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液Hの乳化条件を、回転数10000rpm、3分間に変更したこと以外、実施例4と同様にして電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液G’を調製し、さらに実施例4と同様にして感熱記録材料(8)を作製した。
実施例1と同様にして測定した、前記マイクロカプセル液G’中のマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.07であり、D90/D10は6.3であった。また、前記マイクロカプセル液H’中のマイクロカプセルの体積平均粒子径D50は1.12であり、D90/D10は6.5であった。
また、前記感熱記録材料(8)を用いて、実施例4と同様にして発色濃度及び色分離性の測定、評価を行った。測定及び評価の結果を以下の表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
上記表1の結果から、本発明で規定する体積平均粒子径を有するマイクロカプセルを含有した本発明の感熱記録材料(1)〜(4)では、熱量に対応する色分離性に優れており、簡便な構成でありながら高濃度でかつコントラストの高い多色画像を得ることができた。
一方、その体積平均粒子径が本発明の規定範囲にないマイクロカプセルを含有した感熱記録材料(5)〜(8)では、複数色を発色させた場合に混色を生じて、色純度に優れたコントラストの高い多色画像を得ることはできなかった。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的低い熱エネルギーの印加により高濃度が得られ、色分離性に優れ、コントラストの高い鮮明な多色画像を形成しうる多色発色型の感熱記録材料及びその製造方法を提供することができる。また、簡易な工程で低コストに多色発色型の感熱記録材料及びその製造方法を提供することができる。
Claims (9)
- 支持体上に、相互に異なる色相に発色する2種以上の電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を有する感熱記録材料であって、
前記電子供与性染料前駆体の少なくとも1種が固体微粒子であり、該電子供与性染料前駆体を除く1種以上の電子供与性染料前駆体がそれぞれ異なるマイクロカプセルに内包され、かつ該マイクロカプセルの体積平均粒子径D50が0.1〜2.0μmであり、体積平均粒子径D90及びD10の比(D90/D10)が1.0以上5.0以下であって、該マイクロカプセルが、常温では該マイクロカプセル内外の物質の接触を妨げ、加熱により物質透過性となって該マイクロカプセル内外の物質の接触が可能となるマイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料。 - 前記マイクロカプセルは、ガラス転移温度が100〜200℃の高分子で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、及びスチレン−アクリレート共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、ポリウレタン及び/又はポリウレアを成分として含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 前記マイクロカプセルのカプセル壁が、多価イソシアネート及び、それと反応してカプセル壁を形成する第2物質を、水溶性高分子水溶液又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより得られたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及び増感剤の体積平均粒子径が、それぞれ1.0μm以下である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法であって、
多価イソシアネート及び、それと反応してカプセル壁を形成する第2物質を、水溶性高分子水溶液又はカプセル化すべき油性媒体中に混合し、水中に乳化分散する工程と、乳化分散後に加温する工程とを設けてマイクロカプセルを形成する工程を有することを特徴とする感熱記録材料の製造方法。
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