JP3971665B2 - トランスミッション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスミッションに関し、無段変速切り換えのオートマチックトランスミッションに好適な技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来のトランスミッションは、入力軸の一端側と、出力軸の一端側と、入力軸の回転を所望の回転数に変更して出力軸側に伝達する変速用ギア機構と、この変速用ギア機構を制御するために必要なセンサなどの電子部品と、これら電子部品の一部を保持するための基板と、電子部品間の信号伝達や外部との信号伝達を行うためのワイヤーハーネスと、これら部品を内部に収容し、前記変速用ギア機構に供給する潤滑油が内部スペースの下方に貯められたミッションケースとから構成されている。
【0003】
前記従来のトランスミッションの組み付け作業は、各種電子部品や基板やワイヤーハーネスを個々にミッションケース内の所定位置に収容し、且つ、収容した電子部品に対しワイヤーハーネスのコネクタを接続することによって電気的接続を行う必要がある。従って、ミッションケースへの部品収容作業が面倒であり、且つ、ワイヤーハーネスによる電気的接続作業が面倒であるという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、このような問題を解決するべく、剛性を有する線材を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成された線材配索回路体と、この線材配索回路体が一面に配置され、且つ、電子部品が搭載されるベース部材と、このベース部材に配置された前記線材配索回路体を被う状態で前記ベース部材に固定されるカバーとによってユニット化された本体ユニットを構成し、この本体ユニットをミッションケース内に配置するトランスミッションを開発した。
【0005】
このトランスミッションでは、線材配索回路体をベース部材の所定位置に配置すると共に電子部品をベース部材の所定位置に搭載し、このベース部材にカバーを固定することによって本体ユニットが構成され、このようにユニット化された本体ユニットをミッションケースに収容することから部品収容作業が軽減され、又、電子部品への配線経路や分岐回路等を線材配索回路体によって形成することからミッションケース内に配置するワイヤーハーネスの本数が軽減される。以上より、ミッションケース内への部品収容作業、及び、電気的接続作業を容易にできるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来のトランスミッションの線材配索回路体は、剛性を有する線材を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成されるが、現状の線材の折り曲げ加工技術では配索パターンの変更が容易ではない。従って、線材配索回路体の回路構成を一部変更したり、追加したり、削除したりすることに対して容易に対応できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、配索回路体の回路構成の一部変更・追加・削除などを容易に行うことができるトランスミッションを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、所定の配索パターンの回路が形成された配索回路体と、この配索回路体が一面に配置され、且つ、電子部品が搭載されるベース部材と、このベース部材に配置された前記配索回路体を被う状態で前記ベース部材に固定されるカバーとによってユニット化された本体ユニットが構成され、この本体ユニットをミッションケース内に配置したトランスミッションであって、前記配索回路体は、剛性を有する線材を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成された剛性線材配索回路部と、可撓性を有する基板に導電体が所定の配索パターン状に形成された可撓性配索回路部とから構成され、前記ベース部材には短手方向の両側に隔壁部を有し前記剛性線材配索回路部が収容される線材収容溝が前記配索パターンに対応して設けられ、前記カバーには前記配索パターン形状に設けられ前記線材収容溝内に入り込み線材収容溝内に収容された前記剛性線材配索回路部に当接する溝閉塞突起が設けられていることを特徴とする。
【0009】
このトランスミッションでは、回路変更などに際して変更にならない回路構成の基本部分を剛性線材配索回路部で構成し、回路構成の基本部分以外を可撓性配索回路部で構成すれば、回路の一部変更などに対して可撓性配索回路部のみの変更で対応できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のトランスミッションであって、可撓性配索回路部は、フレキシブルプリント基板であることを特徴とする。
【0011】
このトランスミッションでは、請求項1の発明と同様の作用が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図7は本発明の一実施形態を示し、図1はトランスミッション1の側面図、図2は本体ユニット3の分解斜視図、図3は配索回路体4がベース部材5上に配置された状態の斜視図、図4は剛性線材配索回路部8と可撓性配索回路部9とが接続された状態の平面図、図5はコネクタ17の接続状態を示す拡大斜視図、図6はカバー6の内面図、図7は剛性線材配索回路部8の線材10の収容状態を示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、トランスミッション1は、内部を密閉状態に保持し、内部の下方に潤滑油(図示せず)が収容されたミッションケース2を有し、このミッションケース2内に入力軸(図示せず)の一端側と、出力軸(図示せず)の一端側と、入力軸の回転を所望の回転数に変更して出力軸側に伝達する変速用ギア機構(図示せず)と、この変速用ギア機構(図示せず)を制御するために必要なセンサなどの電子部品や回路を搭載する本体ユニット3と、この本体ユニット3を外部の回路に電気的に接続するためのワイヤーハーネスWH(図5に示す)とが収容されている。
【0015】
図2に示すように、本体ユニット3は、所定の配索パターンによって所望の回路が形成されている配索回路体4と、この配索回路体4が上面に配置されるベース部材5と、このベース部材5に配置された配索回路体4を被う状態でベース部材5に固定されるカバー6と、ベース部材5の下面に固定されたコントロールバルブアッパー7とを備えている。
【0016】
配索回路体4は、図2及び図3に示すように、導電性で、且つ、剛性を有する複数の線材10を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成された剛性線材配索回路部8と、可撓性を有する基板9a上に導電体9bが所定の配索パターン状に印刷して形成された可撓性配索回路部であるフレキシブルプリント基板9とから構成されている。剛性線材配索回路部8の線材10と可撓性配索回路部9の導電体9bとの互いに同一回線を担当するもの同士は、半田付け等によって接続されている。そして、剛性線材配索回路部8は、回路構成の変更などに際して変更されない基本回路部分を構成し、可撓性配索回路部9は基本部分以外を構成している。
【0017】
又、この実施形態の線材10は、断面正方形状の角線材であり、角線材を自動線材折り曲げ装置によって高密度配索に加工されている。剛性線材配索回路体8の一部の線材10の端部は、上方に折曲され、この各上方折曲部分に各ソレノイドバルブ用端子11がそれぞれ溶着されている。剛性線材配索回路体8は、1本のメインアース用線材10aを有し、このメインアース用線材10aの適所にソレノイドバルブ用アース端子12がそれぞれ溶着されている。又、フレキシブルプリント基板9の一部の導電体9bの端部には、図2に示すように、オスのコネクタ端子13が溶着されている。
【0018】
ベース部材5は、絶縁体で偏平フラット形状を有し、剛性線材配索回路部8が配置される上面には短手方向の両側に隔壁部14を有する線材収容溝15が設けられている。線材収容溝15は、剛性線材配索回路部8の線材配索パターンにほぼ対応するパターン形状を有し、図7に詳しく示すように、この線材収容溝15内に剛性線材配索回路部8が収容されている。線材収容溝15は、一部高さが異なるよう立体的に形成され、剛性線材配索回路部8の線材10であって、交差するもの同士が接触しないようになっている。又、ベース部材5の可撓性配索回路部9が配置される上面は、ほぼフラットな面に形成されている。
【0019】
図2及び図3に戻り、ベース部材5には、2箇所にコネクタフード部16が一体成形により設けられている。各コネクタフード部16は、ベース部材5の下方に向かって延設されており、このコネクタフード部16内に可撓性配索回路部9に固定された各コネクタ端子13が配置されている。つまり、コネクタフード部16とコネクタ端子13とによって本体ユニット3側の各コネクタ17が構成されている。この各コネクタ17は、オス端子内蔵のものであり、図5に示すように、このコネクタ17にはワイヤーハーネスWHのコネクタ18が中継コネクタ19を介して接続されている。つまり、ワイヤーハーネスWHのコネクタ18はオス端子内蔵のものであるため、メス端子−メス端子内蔵の中継コネクタ19を介在して双方のコネクタ17,18間が接続されている。
【0020】
又、ベース部材5には電子部品であるROM20、8個のソレノイドバルブ21、6個の油圧スイッチ22(図1に示す)、回転センサ23、油温センサ24などが搭載されている。ROM(リード・オンリ・メモリー)20は、ねじ止めによってベース部材5に固定されていると共に、そのリード端子20aが所定の線材10の端部に溶着されている。各ソレノイドバルブ21は、その下面側に端子挿入孔(図示せず)を有し、この端子挿入孔にソレノイドバルブ用端子11及びソレノイドバルブ用アース端子12を挿入することによってベース部材5に装着されている。各油圧スイッチ22は、ベース部材5の下面側にプレート25(図1に示す)等を介して装着されている。回転センサ23は、ボルト(図示せず)とナット(図示せず)によってベース部材5に固定されていると共に、そのリード線26は剛性線材配索回路部8の線材10の溶着部10cに溶接によって接続されている。油温センサ24は、ベース部材5以外の部材に固定されていると共に、そのリード線27は剛性線材配索回路部8の線材10の溶着部10cに溶接によって接続されている。
【0021】
カバー6は、図2及び図3に示すように、絶縁体でほぼベース部材5の上面全体を被う形状を有している。カバー6の内面(下面)には、図6に示すように、剛性線材配索回路部8の線材配索パターンにほぼ対応するパターン形状の溝閉塞突起28が設けられている。この溝閉塞突起28は、図7に詳しく示すように、ベース部材4の線材収容溝15内に入り込んで線材収容溝15内の入口部分を塞ぎ、且つ、その下面が線材収容溝15に収容された剛性線材配索回路部8の各線材10の上面にほぼ当接されている。
【0022】
次に、このように構成された本体ユニット3の組み付け作用、及び、組み付け完了した本体ユニット3のミッションケース3内への収容作業を説明する。先ず、剛性線材配索回路部8と可撓性配索回路部9とを半田付け等で接続する等して配索回路体4を作成する。この配索回路体4をベース部材5の上面に上方より載置し、剛性線材配索回路部8の線材10をベース部材5の線材収容溝15内に収容する。又、可撓性配索回路部9に固定されたコネクタ端子13をベース部材5のコネクタフード部16内に挿入し、これでコネクタ17が構成される。以上で、配索回路体4がベース部材5の所定位置にセットされる。
【0023】
次に、剛性線材配索回路部8の所定の線材10の端部にソレノイドバルブ用端子11及びソレノイドバルブ用アース端子12を溶接により接続し、又、ROM20、油圧スイッチ22(図1に示す)、回転センサ23、油温センサ24等をベース部材5の所定位置に搭載する。ここで、ROM20等の電子部品を剛性線材配索回路部8に電気的に接続するため、所定の線材10との間で溶着を行う。例えば回転センサ23及び油温センサ24のリード線26,27は、所定の線材10の溶着部10cに溶着する。
【0024】
次に、ベース部材5の上面にカバー6を被せ、ベース部材5とカバー6とを固定する。カバー6を被せたベース部材5には8組のソレノイドバルブ用端子11及びソレノイドバルブ用アース端子12がカバー6上より突出し、この突出した各組のソレノイドバルブ用端子11及びソレノイドバルブ用アース端子12にソレノイドバルブ21をそれぞれ装着する。本体ユニット3の組み付けが完了すると、ユニット化された本体ユニット3をミッションケース2内の所定位置に収容する(図1参照)。
【0025】
以上、このトランスミッション1では、配索回路体4が剛性線材配索回路部8と可撓性配索回路部9とを混在させたものであるので、回路変更などに際して変更にならない回路構成の基本部分を剛性線材配索回路部8で構成し、回路構成の基本部分以外を可撓性配索回路部9で構成すれば、回路の一部変更などに対して可撓性配索回路部9のみの変更で対応できる。従って、配索回路体4の回路構成の一部変更・追加・削除などを容易に行うことができる。
【0026】
又、剛性線材配索回路部8は、剛性を有する線材10を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成するため、ある程度の高密度配索が可能であるがフレキシブルプリント基板9のようには高密度配索ができない。従って、非常な高密度配索となる回路部分をフレキシブルプリント基板9で構成し、それ以外の回路部分を剛性線材配索回路部8で構成すれば、本体ユニット3のコンパクト化等に有効である。
【0027】
又、剛性線材配索回路部8は剛性を有するために形状変更が困難であるのに対し、フレキシブルプリント基板9は柔軟性を有するために形状変更が容易であるため、配索回路体4の配置形状に柔軟性を持たせることができる。
【0028】
尚、前記実施形態では、可撓性配索回路部は、フレキシブルプリント基板9にて構成されているが、可撓性を有する基板に導電体を所定の配索パターン状に形成したものであればよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、所定の配索パターンの回路が形成された配索回路体と、この配索回路体が一面に配置されたベース部材と、このベース部材に配置された配索回路体を被う状態でベース部材に固定されるカバーとによってユニット化された本体ユニットが構成され、この本体ユニットをミッションケース内に配置したトランスミッションであって、配索回路体は、剛性を有する線材を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成された剛性線材配索回路部と、可撓性を有する基板に導電体が所定の配索パターン状に形成された可撓性配索回路部とから構成されているので、回路変更などに際して変更にならない回路構成の基本部分を剛性線材配索回路部で構成し、回路構成の基本部分以外を可撓性配索回路部で構成すれば、回路の一部変更などに対して可撓性配索回路部のみの変更で対応できる。従って、配索回路体の回路構成の一部変更・追加・削除などを容易に行うことができる。
【0030】
請求項2の発明によれば、請求項1記載のトランスミッションであって、可撓性配索回路部は、フレキシブルプリント基板であるので、請求項1の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、トランスミッションの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、本体ユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、配索回路体がベース部材上に配置された状態の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、剛性線材配索回路部と可撓性配索回路部とが接続された状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、コネクタの接続状態を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、カバーの内面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示し、剛性線材配索回路部の線材の収容状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トランスミッション
2 ミッションケース
3 本体ユニット
4 配索回路体
5 ベース部材
6 カバー
8 剛性線材配索回路部
9 フレキシブルプリント基板(可撓性配索回路部)
9a 基板
9b 導電体
10 線材
20 ROM(電子部品)
21 ソレノイドバルブ(電子部品)
22 油圧スイッチ(電子部品)
23 回転センサ(電子部品)
24 油温センサ(電子部品)
Claims (2)
- 所定の配索パターンの回路が形成された配索回路体と、この配索回路体が一面に配置され、且つ、電子部品が搭載されるベース部材と、このベース部材に配置された前記配索回路体を被う状態で前記ベース部材に固定されるカバーとによってユニット化された本体ユニットが構成され、この本体ユニットをミッションケース内に配置したトランスミッションであって、
前記配索回路体は、剛性を有する線材を所定の配索パターン状に折り曲げ加工して形成された剛性線材配索回路部と、可撓性を有する基板に導電体が所定の配索パターン状に形成された可撓性配索回路部とから構成され、
前記ベース部材には短手方向の両側に隔壁部を有し前記剛性線材配索回路部が収容される線材収容溝が前記配索パターンに対応して設けられ、
前記カバーには前記配索パターン形状に設けられ前記線材収容溝内に入り込み線材収容溝内に収容された前記剛性線材配索回路部に当接する溝閉塞突起が設けられていることを特徴とするトランスミッション。 - 請求項1記載のトランスミッションであって、
可撓性配索回路部は、フレキシブルプリント基板であることを特徴とするトランスミッション。
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