JP3971029B2 - ドアクローザの停止角度調整機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドアクローザの停止角度調整機構(以下単に停止角度調整機構という)に係り、特に、ドライバ等の工具を使用せずに簡単にドアクローザの停止角度を調整することができる停止角度調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドアクローザの停止装置、すなわち、閉鎖運動中のドアクローザを一時的に停止させる装置は、例えば荷物を室内に搬入するとき、ドアを手で押えておかなくてもよいので便利である。
【0003】
このドアクローザの停止装置は種々のものが提案されているが、簡単な構造で作動が確実なものとして、ドアクローザのリンク機構に組込まれたものがある。
【0004】
この停止装置は、図1に示すように、ブラケット1を介して通常は図示しないドア枠に固定されるブラケット軸2に装着され、後述のクリックボールと係合する凹部3を形成したカム板4と、上記ブラケット軸2に回動可能に支承されるフォークアーム5の筒状に形成された基部Aに収納され、ブラケット軸2方向に付勢された図示しないクリックボール等のクリック体とを有している。
【0005】
そして、ドアクローザが閉鎖方向に作動し、ブラケット軸2に固定されたカム板4に対し、フォークアーム5がブラケット軸2の回りを相対的に回動してその基部Aに内蔵されたクリックボールがカム板の凹部3と整合すると、クリックボールが凹部3に填り込んでドアクローザの閉鎖力に対抗してこれを停止させる。
【0006】
この型式の停止装置は、図2に示すように、その停止角度位置調整機構を内蔵することができる。
【0007】
すなわち、図2において符号6はブラケット1に固定されたブラケット軸2の基部において、その母線方向に形成された外側セレーションで、この外側セレーション6は、カム板4の装着孔7の開口端縁に形成された内側セレーション8と噛み合うことができる。
【0008】
そして、上記のように形成されたカム板4は、フォークアーム5の基端に形成されたスリット9に水平方向に挿入され、その装着孔7をフォークアームの回動軸と同軸に整合した後、ブラケット軸2をフォークアーム5の基端の支承孔11に挿入して内側及び外側セレーション8、6を適当な相対角度位置で噛み合わせる。
【0009】
なお、上記のように構成された停止角度調整機構は、カラー12、12、支持盤13及びカバー14と共に止めねじ15で一体的に結合される。
【0010】
その為、止めねじ15を緩めれば各構成部材は図2で上下方向に相対移動可能になるので、カム板4の内側セレーション8とブラケット軸の外側セレーション6との噛み合い係合を解くことができ、従ってこれらの相対角度位置を調整した後止めねじ15を再度締結することにより停止角度の調整ができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成され、図2に示すような停止角度調整機構は勿論所期の機能を発揮して実用されているが、角度調整の度毎にドライバー等の工具で止めねじ15を緩める必要があり、その場で思いついての任意の停止角度調整ができない、という恨みが残る。
【0012】
この発明は、ドライバー等の工具を必要とせず、手指で簡単に、かつ何時でもドアクローザの停止角度を調整できる停止角度調整機構を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、外周面の一部に外側セレーションを、先端に係止フランジを夫々形成したブラケット軸と、基端にブラケット軸と嵌合する支承孔を開口させると共に、この支承孔に垂直なスリットを形成したフォークアームと、このフォークアームの基端部に内蔵され、支承孔の中心軸方向に付勢されたクリック体と、外周に上記クリック体と係合する凹部を形成し、ブラケット軸と嵌合する装着孔を開口させると共に、この装着孔の開口端縁に上記外側セレーションと噛み合い係合可能な内側セレーションを形成したカム板と、フォークアームに関してブラケットと反対側におけるブラケット軸に嵌着され、フランジを有するカム板固定カラーと、中心を見込む角度が劣角の切欠を有し、弾性材質環状のスペーサと、このスペーサの外周面に一体に結合された柄とを有し、カム板をフォークアームのスリットに挿入し、支承孔と装着孔とを整合させた状態で、これら及びカム板固定カラーをブラケット軸の軸線方向に摺動可能に案内すると共に、上記スペーサをブラケット軸に嵌着できるようにブラケットと係止フランジとの距離を設定し、手で柄を強く引張ってスペーサをブラケット軸から引離すことによりカム板とブラケット軸の外側セレーションとの係合を解き、この状態でブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を設定し、一方、柄を手に持ってスペーサをブラケットとフォークアームとの間、及びカム板固定カラーと係止フランジの何れか一方に嵌着したとき、カム板の内側セレーションとブラケット軸の外側セレーションとがブラケット軸の軸線方向において整合するようにして、ブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を固定するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、外周面の一部に外側セレーションを、先端に係止フランジを夫々形成したブラケット軸と、基端にブラケット軸と嵌合する支承孔を開口させると共に、この支承孔に垂直なスリットを形成したフォークアームと、このフォークアームの基端部に内蔵され、支承孔の中心軸方向に付勢されたクリック体と、外周に上記クリック体と係合する凹部を形成し、ブラケット軸と嵌合する装着孔を開口させると共に、この装着孔の開口端縁に上記外側セレーションと噛み合い係合可能な内側セレーションを形成したカム板と、中心を見込む角度が劣角の切欠を有し、弾性材質環状のスペーサと、このスペーサの外周面に一体に結合された柄とを有し、カム板をフォークアームのスリットに挿入し、支承孔と装着孔とを整合させた状態で、これら及びカム板固定カラーをブラケット軸の軸線方向に摺動可能に案内すると共に、上記スペーサをブラケット軸に嵌着できるようにブラケットと係止フランジとの距離を設定し、手で柄を強く引張ってスペーサをブラケット軸から引離すことによりカム板とブラケット軸の外側セレーションとの係合を解き、この状態でブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を設定し、一方、柄を手に持ってスペーサをブラケットとフォークアームとの間、及びカム板固定カラーと係止フランジの何れか一方に嵌着したとき、カム板の内側セレーションとブラケット軸の外側セレーションとがブラケット軸の軸線方向において整合するように して、ブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を固定するようにしたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施例を図3乃至図7を参照して説明する。
図3及び図4において符号1は前記ブラケットを示し、このブラケット1の下面には、例えば溶接によりブラケット軸2が固設されている。
【0016】
このブラケット軸2の外周面のほぼ中間部に外側ブラケット6が形成されている。このセレーションはブラケット軸2の母線方向に延在する多数の突条を円周方向に連設したものである。
【0017】
上記ブラケット軸2には、カム板4とフォークアーム5の基端とが、前者が後者のスリット9内に挿入され、かつ前者の装着孔7(図2参照)及び後者の支承孔11(図3参照)を整合させた状態で、回動可能に、また摺動可能に嵌合している。
【0018】
なお、図示の実施例においては、フォークアームの支承孔11とブラケット軸2との間の摩擦トルクを減少させるため、ブラケット1と外側セレーション6との間におけるブラケット軸2に上部カラー10が嵌装されているが、この上部カラー10は本発明の必須の構成要素ではない。
【0019】
一方、フォークアーム5に関してブラケット1と反対側(すなわち下方)におけるブラケット軸2には、図3及び図4に示すように、フランジを有する短筒状のカム板固定カラー16が摺動可能に嵌装されている。
【0020】
なお、図示の実施例においては、このカム板固定カラー16とブラケット軸2との間の摩擦トルクを減少させるため、ブラケット軸2の下方に下部カラー17が嵌装されているが、この下部カラー17は本発明の必須の構成要素ではない。
【0021】
一方、この発明の特徴的な構成として、スペーサ18がブラケット軸2に対し着脱可能に嵌着されている。
【0022】
このスペーサ18は、図5及び図6に示すように、中心を見込む角度が劣角(90度以上180度以下の角度)の切欠19を有する環状の弾性材質の部材で、図示の実施例においては取扱を容易にするため柄21が一体に結合されている。
【0023】
このスペーサ18の自然状態における内径は、例えば下部カラー17(図3及び図4参照)の外径程度に設定する。
【0024】
また、このスペーサ18をブラケット軸2に嵌着できるようにするため、ブラケット軸2の先端(図3及び図4で下端)に結合された係止フランジ22とブラケット1の間の間隔は、フォークアーム5とカム板固定カラー16の厚さの和とスペーサ18の厚さT(図6参照)の和より大きくなるように設定されている。
【0025】
また、図4に示すように、このスペーサ18を係止フランジ22とカム板固定カラー16との間に嵌着したとき、カム板4の内側セレーション8とブラケット軸2の外側セレーション6とがブラケット軸の軸線方向において整合するように各部の寸法が設定されている。
【0026】
上記のように構成された請求項1に記載の発明の一実施例による停止角度調整機構は、常態、すなわちドアクローザの使用状態においては、図4に示すように、スペーサ18がカム板固定カラー16と係止フランジとの間におけるブラケット軸6に嵌着されている。
【0027】
上記したようにスペーサ18の切欠19はその中心を見込む角度が劣角になるように設計されているから、換言すればスペーサ18は下部カラー17の半周以上を掴持しているから、スペーサ18をブラケット軸2から引き離すにはスペーサ18が拡開する方向に弾性変形させる必要があり、このためスペーサ18のブラケット軸2に対する装着は確実に行われる。
【0028】
このとき、上記したように、ブラケット軸の外側セレーション6とカム板の内側セレーション8とがブラケト軸2の軸線方向において整合して相互に噛み合う。
【0029】
したがって、カム板4はブラケット軸2回りの回動が拘束され、すなわちカム板4はブラケット軸2に固定された状態になるので、前記したように、フォークアーム5がブラケット軸2に対し所定の角度相対回動すると、フォークアーム5に内蔵された図示しないクリック体がカム板4の凹部3に填り込むので、ドアクローザはその回動角度で停止する。
【0030】
なお、扉を強い力で閉鎖方向に押動すると、クリック体が凹部3を乗り越えてこれらの係合を解くので、以降ドアは閉鎖方向に回動する。
【0031】
ドアの停止角度を変えるには、ブラケット軸2に対するカム板の凹部3の相対角度位置を変化させる。
【0032】
そのためには、柄21を強く引張ってスペーサ18をブラケット軸2から引き離し、これを今度はブラケット1とフォークアーム5との間におけるブラケット軸2に嵌着する。
【0033】
このとき、図示の実施例ではスペーサ18の環状部は下部カラー17より大径の上部カラー10を掴持するようにブラケット軸2に嵌着されるが、前記したようにスペーサ18は例えば合成樹脂等の弾性材料で構成されているので、環状部はその弾性により拡開して確りとブラケット軸2に装着される(図7参照)。
【0034】
すると、図3に示すように、ブラケット軸の外側セレーション6とカム板の内側セレーション8との係合が解け、カム板4が自由になるので、カム板4を所定の角度時計方向或いは反時計方向に回動させてブラケット軸2に対するカム板4の相対角度位置を再設定する。
【0035】
カム板4の角度位置を再設定したら、図4に示すように、スペーサ18をカム板固定カラー16と係止フランジ22との間におけるブラケット軸2に嵌め直す。
【0036】
このとき外側セレーション6と内側セレーションとが新たな相対角度位置を保って再び噛み合い、新たな停止角度がこのようにして設定される。
【0037】
なお、図示の実施例では、回動を円滑にするため、フォークアーム5と係止フランジ22との間にカム板固定カラー16を介在させているが、これを省略しても(図示せず)この発明は成立する。
【0038】
また、図示の実施例では、ドアの停止角度を変える際ブラケット1とフォークアーム5との間にスペーサ18を挿入するものとしたが(図3参照)、必ずしもスペーサ18をブラケット軸2に嵌着する必要はなく、両手の一方でフォークアーム5を係止フランジ22側に寄せ、他方の手でカム板4の角度位置を調整するようにしてもよいことは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、ブラケット軸に装着されたフォーアーム及びカム板をブラケット軸に沿って上下に移動させ、カム板の内側セレーション及びブラケット軸の外側セレーションを係脱できるようにし、かつ内側及び外側セレーションが係合した状態をスペーサにより安定に固定できるようにしたので、ドアクローザの停止角度位置を工具無しで任意に調整できる、という所期の目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】停止装置を備えた従来のドアクローザのリンク機構の外観斜視図。
【図2】その停止角度調整機構の構成部材を展開して示す外観斜視図。
【図3】請求項1に記載の発明の一実施例による停止角度調整機構の拡大断面図で、停止角度変更時の状態を示す。
【図4】請求項1に記載の発明の一実施例による停止角度調整機構の拡大断面図で、ドアクローザ作動時の常態を示す。
【図5】スペーサの平面図。
【図6】スペーサの側面図。
【図7】図5と同様のスペーサの平面図で、ブラケット軸の大径部に嵌着されて拡開した状態を示す。
【符号の説明】
1 ブラケット
2 ブラケット軸
3 凹部
4 カム板
5 フォークアーム
6 外側セレーション
7 装着孔
8 内側セレーション
9 スリット
10 上部カラー
11 支承孔
16 カム板固定カラー
18 スペーサ
19 切欠
21 柄
22 係止フランジ

Claims (2)

  1. 外周面の一部に外側セレーションを、先端に係止フランジを夫々形成したブラケット軸と、基端にブラケット軸と嵌合する支承孔を開口させると共に、この支承孔に垂直なスリットを形成したフォークアームと、このフォークアームの基端部に内蔵され、支承孔の中心軸方向に付勢されたクリック体と、外周に上記クリック体と係合する凹部を形成し、ブラケット軸と嵌合する装着孔を開口させると共に、この装着孔の開口端縁に上記外側セレーションと噛み合い係合可能な内側セレーションを形成したカム板と、フォークアームに関してブラケットと反対側におけるブラケット軸に嵌着され、フランジを有するカム板固定カラーと、中心を見込む角度が劣角の切欠を有し、弾性材質環状のスペーサと、このスペーサの外周面に一体に結合された柄とを有し、カム板をフォークアームのスリットに挿入し、支承孔と装着孔とを整合させた状態で、これら及びカム板固定カラーをブラケット軸の軸線方向に摺動可能に案内すると共に、上記スペーサをブラケット軸に嵌着できるようにブラケットと係止フランジとの距離を設定し、手で柄を強く引張ってスペーサをブラケット軸から引離すことによりカム板とブラケット軸の外側セレーションとの係合を解き、この状態でブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を設定し、一方、柄を手に持ってスペーサをブラケットとフォークアームとの間、及びカム板固定カラーと係止フランジの何れか一方に嵌着したとき、カム板の内側セレーションとブラケット軸の外側セレーションとがブラケット軸の軸線方向において整合するようにして、ブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を固定するようにしたことを特徴とするドアクローザの停止角度調整機構。
  2. 外周面の一部に外側セレーションを、先端に係止フランジを夫々形成したブラケット軸と、基端にブラケット軸と嵌合する支承孔を開口させると共に、この支承孔に垂直なスリットを形成したフォークアームと、このフォークアームの基端部に内蔵され、支承孔の中心軸方向に付勢されたクリック体と、外周に上記クリック体と係合する凹部を形成し、ブラケット軸と嵌合する装着孔を開口させると共に、この装着孔の開口端縁に上記外側セレーションと噛み合い係合可能な内側セレーションを形成したカム板と、中心を見込む角度が劣角の切欠を有し、弾性材質環状のスペーサと、このスペーサの外周面に一体に結合された柄とを有し、カム板をフォークアームのスリットに挿入し、支承孔と装着孔とを整合させた状態で、これら及びカム板固定カラーをブラケット軸の軸線方向に摺動可能に案内すると共に、上記スペーサをブラケット軸に嵌着できるようにブラケットと係止フランジとの距離を設定し、手で柄を強く引張ってスペーサをブラケット軸から引離すことによりカム板とブラケット軸の外側セレーションとの係合を解き、この状態でブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を設定し、一方、柄を手に持ってスペーサをブラケットとフォークアームとの間、及びカム板固定カラーと係止フランジの何れか一方に嵌着したとき、カム板の内側セレーションとブラケット軸の外側セレーションとがブラケット軸の軸線方向において整合するようにして、ブラケット軸に対するカム板の相対角度位置を固定するようにしたことを特徴とするドアクローザの停止角度調整機構。
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