JP3970093B2 - アンモニア分解除去方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は各種排ガス等に含まれるアンモニアを無害な窒素に分解除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アンモニアは肥料や硝酸の製造原料、冷媒、排ガス中の窒素酸化物除去用還元剤等幅広い分野で使用されている。したがって、各種化学品製造工場、冷凍機等の廃棄物処理工場あるいは燃焼排ガス処理施設等からは多量のアンモニアが排出される。アンモニアは特異な刺激臭を有する気体であり大気中への放出は極力抑える必要がある。しかし、生物の腐敗によるアンモニアの生成や廃棄物中の冷媒からのアンモニアの放散、さらに煙道排ガス中の窒素酸化物の還元に用いられるアンモニアが未反応のまま大気放出される等、多くの場所でアンモニアが大気放出されているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
アンモニアの大気放出を防ぐ方法の一つとしてケイソウ土等の担体に酸化鉄や酸化ニッケルを担持させた触媒を利用して次の反応式によりアンモニアを無害な窒素に分解する方法が知られている。
【化1】
2NH3 + 3/2O2 →N2 +3H2 O (1)
ところが、従来の触媒では前記反応以外に次のような副反応によりNO,NO2 ,N2 O等の生成が認められ、新たに大気汚染を生じる恐れがあった。
【化2】
2NH3 + 5/2O2 →2NO+3H2 O (2)
2NH3 + 7/2O2 →2NO2 +3H2 O (3)
2NH3 +2O2 →N2 O+3H2 O (4)
【0004】
本発明の目的は前記従来技術の問題点を解決し、大気汚染のもととなる窒素酸化物を副生する恐れがなく、高い収率でアンモニアを分解除去することのできるアンモニア分解除去方法を提供することにある。
【0005】
本発明は、アンモニアとSO 2 を含有するガスをアンモニア分解触媒と接触させてアンモニアを除去する方法において、アンモニア分解触媒として、θ−Al2O3 、TiO2・ZrO2 、Al2O3 ・TiO2 、SO4 /ZrO2 、SO4/ZrO2・TiO2 、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、フェリエライト、モルデナイト及びゼオライトβよりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の多孔質物質よりなる担体に活性金属としてルテニウムを担持した触媒を使用し、300〜400℃の反応温度で接触させることを特徴とするアンモニア分解除去方法である。
【0006】
前記触媒を構成する担体はいずれも酸性点を多く有しており、この酸性点が分解したNH3 を選択的にN2 に転換する役目を有する。なお、本発明のθ−Al2 O3 、は単独酸化物、TiO2・ZrO2 、Al 2O3・TiO2は複合酸化物であり、SO4/ZrO2 、SO4/ZrO2 ・TiO2 は硫酸根を配位したZrO2 またはZrO2 ・TiO2 であり一般的に固体超強酸と呼ばれるものであり、前者は水酸化ジルコニウムZr(OH)4を1N硫酸に浸漬し、ろ過後、硫酸処理したZr(OH)4 を乾燥し、600℃で3時間焼成することによって得られ、後者はZr(OH)4の代わりに、複合水酸化物Zr(OH)4 ・Ti(OH)4を用いて前者と同様な方法によって得られるものである。また、Y型ゼオライト、X型ゼオライトは共にフォージャサイト型結晶構造を形成しており、細孔径は0.74nm、酸素12員環を有するもので、Y型ゼオライトはSiO2/Al2O3=3〜6、X型ゼオライトはSiO2 /Al2O3=2〜3のものをいう。ゼオライトβは細孔径0.76×0.64nmを有し、酸素12員環を形成するゼオライトである。なお、前記触媒は必要により、アルミナゾル、シリカゾル等のバインダ成分やコージェライト等の基材を使用し、ウオッシュコート法又はソリッド法によりハニカム化して使用するのが好ましい。
【0007】
【作用】
アンモニアを含有するガスを、300〜400℃の温度で前記触媒に接触させることにより、ガス中のアンモニアは窒素に分解される。この分解反応は選択的に進行し、NO、NO2、N2O等の有害ガスが多く副生することはない。さらに、前記触媒はSO2が共存する排ガスにおいても、アンモニア分解活性が低下することなく安定なアンモニア分解性能を保つ。また、SO2をSO3へ酸化させる能力は低いため酸性硫酸アンモニウム生成の不具合点も見られない。また、前記触媒はアンモニアを含有する排ガス中にCOや炭化水素が共存した場合でもアンモニア分解活性、N2選択性はほとんど変わらない。ここにいうN2選択性とは分解したN3からN2へ変化した割合を示し、N2選択率=生成したN2/消費したN3×100=〔1−(生成したNOx)/(消費したNH3)〕×100で定義されるものである。
【0008】
前記各種担体に担持するルテニウムの金属はイオン交換法によりこれらの金属イオンを含有させるか、または塩化物等の金属塩水溶液を含浸させる含浸法により含有させることができる。担持するルテニウムは0.01wt%以上で十分に活性が発現し、好ましくは0.05wt%以上で高い活性を有する。
【0009】
【実施例】
以下、本発明において使用する触媒の調製例及びそれら触媒を用いた実施例をあげ、本発明の効果を明らかにする。
【0010】
(例1)(触媒の調製例)
〇触媒1〜10の調製
θ−Al2O3 、TiO2・ZrO2 、Al 2O3・TiO2、SO4/ZrO2、SO4/ZrO2・TiO2、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、フェリエライト、モルデナイト及びゼオライトβのそれぞれ100gを塩化ルテニウム塩酸溶液(RuCl31.0g/5%HCl−100cc)に含浸させ、Ruを0.5wt%担持させ、蒸発乾固後、200℃で乾燥させ、さらに500℃、空気雰囲気で5時間焼成し、粉末触媒1を得た。得られた粉末触媒:100部に対してバインダとしてシリカゾル:20部(SiO2:20wt%)及び水:200部を加え、スラリとして7.6mmピッチ、壁厚:1mmのコージェライトハニカム基材にウオッシュコート法にて基材表面積あたり200g/m2をコートした。得られた触媒をハニカム触媒1〜14とする。これらの触媒1〜10を表Aにまとめて示す。
【0011】
【表1】
【0012】
(例2)(アンモニア分解除去例1)
ハニカム触媒1〜10を用いてアンモニア分解試験を実施した。反応管に40×50×150mmを3本直列に設置したハニカム触媒1〜10を入れ、下記表Bの組成のアンモニア含有ガスを全ガス量22Nm3/hr、ハニカム表面積当りのガス量35Nm3/m2・hrの条件で流し、反応温度300℃及び400℃でアンモニア分解性能を調べた。
【0013】
【表2】
【0013】
性能評価は反応初期状態におけるアンモニア分解率及びNOx(NO、NO2 、N2 O)生成率及びSO2 酸化率を測定することによって行なった。なお、アンモニア分解率及びNOx生成率は次の式により求めた。
【数1】
〇アンモニア分解率(%)=
〔(入口NH3 −出口NH3 )/入口NH3 〕×100
【数2】
〇NOx生成率(%)=
〔(出口(N2 O×2+NO+NO2 ))/入口NH3 〕×100
【数3】
〇SO2 酸化率(%)=〔出口SO3 /入口SO2 〕×100
これらの測定結果を表Cにまとめて示す。
【0014】
【表3】
【0015】
(例3)(アンモニア分解除去例2)
ハニカム触媒1〜10を使用し例1と同一の条件にて長時間通ガスすることにより耐久性評価試験を実施した。その結果、前記ガス条件にて1000時間供給後においても表Cと同様のアンモニア分解率、NOx生成率及びSO2 酸化率を維持しており、耐久性に優れた触媒であることが確認された。
【0016】
【発明の効果】
本発明のアンモニア分解方法によれば、SO2 の酸化やNOx等の副生成物を多く生ずることなく、アンモニアを無害な窒素に分解することができる。
このような分解処理方法は従来なかったものであり、その産業上の利用価値は極めて大きいものがある。
Claims (1)
- アンモニアとSO 2 を含有するガスをアンモニア分解触媒と接触させてアンモニアを除去する方法において、アンモニア分解触媒として、θ−Al2O3 、TiO2・ZrO2 、Al2O3・TiO2 、SO4 /ZrO2 、SO4 /ZrO2・TiO2 、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、フェリエライト、モルデナイト及びゼオライトβよりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の多孔質物質よりなる担体に活性金属としてルテニウムを担持した触媒を使用し、300〜400℃の反応温度で接触させることを特徴とするアンモニア分解除去方法。
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JP2002142504A JP3970093B2 (ja) | 2002-05-17 | 2002-05-17 | アンモニア分解除去方法 |
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