JP3967047B2 - ポジ型フォトレジスト組成物 - Google Patents

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路素子、集積回路製造用マスク、プリント配線板、液晶パネル等の製造に用いるポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、磁気バブルメモリ、集積回路等の電子部品を製造するためのパターン形成法としては、従来より、紫外線又は可視光線に感光するフォトレジストを利用する方法が幅広く実用に供されている。フォトレジストには、光照射により被照射部が現像液に不溶化するネガ型と、反対に可溶化するポジ型とがあるが、ネガ型はポジ型に比べて感度が良く、湿式エッチングに必要な基板との接着性及び耐薬品性にも優れていることから、近年までフォトレジストの主流を占めていた。
【0003】
しかし、半導体素子等の高密度化・高集積化に伴い、パターンの線幅や間隔が極めて小さくなり、また、基板のエッチングにはドライエッチングが採用されるようになったことから、フォトレジストには高解像度及び高ドライエッチング耐性が望まれるようになり、現在ではポジ型フォトレジストが大部分を占めるようになった。特に、ポジ型フォトレジストの中でも、感度、解像度、ドライエッチング耐性に優れることから、例えばジェー・シー・ストリエータ著、コダック・マイクロエレクトロニクス・セミナー・プロシーディングス、第116頁(1976年)(J.C. Strieter, Kodak Micro electronics Seminar Proceedings、116(1976年)等に記載されているアルカリ可溶性のノボラック樹脂をベースにしたアルカリ現像型のポジ型フォトレジストが現行プロセスの主流となっている。
【0004】
しかしながら、近年電子機器の多機能化、高度化に伴ない、さらに高密度化及び高集積化を図るべくパターンの微細化が強く要請されている。
即ち、集積回路の横方向の寸法の縮小に比べてその縦方向の寸法はあまり縮小されていかないために、レジストパターンの幅に対する高さの比は大きくならざるを得なかった。このため、複雑な段差構造を有するウエハー上でレジストパターンの寸法変化を押さえていくことは、パターンの微細化が進むにつれてより困難になってきた。
【0005】
さらに、各種の露光方式においても、最小寸法の縮小に伴ない問題が生じてきている。例えば、光による露光では、基板の段差に基づく反射光の干渉作用が、寸法精度に大きな影響を与えるようになり、一方電子ビーム露光においては、電子の後方散乱によって生ずる近接効果により、微細なレジストパターンの高さと幅の比を大きくすることができなくなった。
【0006】
これらの多くの問題は多層レジストシステムを用いることにより解消されることが見出された。多層レジストシステムについては、ソリッドステート・テクノロジー、74(1981)[Solid State Technology, 74 (1981)]に概説が掲載されているが、この他にもこのシステムに関する多くの研究が発表されている。一般的に多層レジスト法には3層レジスト法と2層レジスト法がある。3層レジスト法は、段差基板上に有機平坦化膜を塗布し、その上に、無機中間層、レジストを重ね、レジストをパターニングした後、これをマスクとして無機中間層をドライエッチングし、さらに、無機中間層をマスクとして有機平坦化膜をO2 RIE(リアクティブイオンエッチング)によりパターニングする方法である。この方法は、基本的には、従来からの技術が使用できるために、早くから検討が開始されたが、工程が非常に複雑である、あるいは有機膜、無機膜、有機膜と三層物性の異なるものが重なるために中間層にクラックやピンホールが発生しやすいといったことが問題点になっている。
【0007】
この3層レジスト法に対して、2層レジスト法では、3層レジスト法でのレジストと無機中間層の両方の性質を兼ね備えたレジスト、すなわち、酸素プラズマ耐性のあるレジストを用いるために、クラックやピンホールの発生が抑えられ、また、3層から2層になるので工程が簡略化される。しかし、3層レジスト法では、上層レジストに従来のレジストが使用できるのに対して、2層レジスト法では、新たに酸素プラズマ耐性のあるレジストを開発しなければならないという課題があった。
【0008】
以上の背景から、2層レジスト法等の上層レジストとして使用できる酸素プラズマ耐性に優れた、高感度、高解像度のポジ型フォトレジスト、特に、現行プロセスを変えることなく使用できるアルカリ現像方式のレジストの開発が望まれていた。
【0009】
これに対し、従来のオルトキノンジアジド感光物に、アルカリ可溶性を付与したポリシロキサン、又はポリシルメチレン等のシリコンポリマーを組合せた感光性組成物、例えば特開昭61−144639号、同61−256347号、同62−159141号、同62−191849号、同62−220949号、同62−229136号、同63−90534号、同63−91654号、並びに米国特許第4722881号記載の感光性組成物、さらには特開昭62−136638号記載のポリシロキサン/カーボネートのブロック共重合体に有効量のオニウム塩を組合せた感光性組成物が提案されている。
【0010】
しかしながら、これらのシリコンポリマーは何れもフェノール性OH基又はシラノール基(≡Si−OH)導入により、アルカリ可溶性を付与するもので、フェノール性OH基導入によりアルカリ可溶性を付与する場合は、製造が著しく困難となり、またシラノール基によりアルカリ可溶性を付与する場合は経時安定性が必ずしも良好ではない、あるいは現像後の膜減りが大きく、矩形性状が得られないという問題点があった。
また、特許第2736939号、特開平9−274319号には、酸の作用により分解しうる基を分子中に持つポリシロキサンを含有するフォトレジストが開示されている。しかしながらこれらのフォトレジストにおいては解像力が低く、さらには矩形形状にならず、次の酸素プラズマ工程において下層へのパターン転写時に寸法シフトが大きくなるという問題点を有していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体デバイスの製造において、高感度であって、0.2μm以下の高解像力を有し、しかも矩形形状を有するフォトレジストを与えるポジ型フォトレジスト組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、二層レジストシステムの上層レジストとして使用した場合、酸素プラズマエッチング工程での下層へのパターン転写の際に寸法シフトが少ないポジ型フォトレジスト組成物を提供することにある。
本発明の更なる他の目的は、ポジ型フォトレジスト組成物に上記の優れた特性を付与することができるポリシロキサンを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記ポリシロキサン及びポジ型フォトレジスト組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0013】
(1) 少なくとも下記一般式(I)で示されるシロキサン構造単位と、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位とを含有するポリシロキサンを含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
【0014】
【化5】
Figure 0003967047
【0015】
式(I)中、Lは単結合又はアリーレン基を表す。Aは芳香環又は脂環構造を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜6の整数を表す。
【0016】
(2) 一般式(I)で示される構造単位が、アミノ基を有するシラン化合物と芳香族酸無水物又は脂環型酸無水物との反応により合成されたモノマー成分から誘導されたものである上記(1)記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0017】
(3) ポリシロキサンが、下記一般式(II)で示される構造単位を、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位として含有することを特徴とする上記(1)記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0018】
【化6】
Figure 0003967047
【0019】
式(II)中、L′は−A−OCO−、−A−COO−、−A−NHCO−、−A−NHCOO−、−A−NHCONH−、−A−CONH−及び−A−S−から選択される少なくとも1つの2価の連結基を表す。Aは単結合又はアリーレン基を表す。Xは2価の連結基を表す。Zは、
【0020】
【化7】
Figure 0003967047
【0021】
Rは酸で分解する基を表す。Yは水素原子、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lは1〜3の整数を、mは1〜3の整数を、nは1〜6の整数を表す。
【0022】
(4) ポリシロキサンが、下記一般式(III)で示される構造単位を酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位として含有することを特徴とする上記(1)記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0023】
【化8】
Figure 0003967047
【0024】
式(III)中、L″は−B−OCO−、−B−COO−、−B−NHCO−、−B−NHCOO−、−B−NHCONH−、−B−CONH−及び−B−S−から選択される少なくとも1つの2価の連結基を表す。Bは単結合又はアリーレン基を表す。Xは2価の連結基を表す。Qは酸分解性基を表す。nは1〜6の整数を表す。
【0025】
(5) ポリシロキサンが、上記(3)に記載の一般式(II)で示される構造単位と上記(4)に記載の一般式(III)で示される構造単位の両方を、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン単位として、含有することを特徴とする上記(1)記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0026】
(6)(a)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の酸分解ポリシロキサン、及び
(b)露光により分解して酸を発生する化合物、
を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
【0027】
(7)更に、(c)分子内に含まれるフェノール性水酸基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(c1)、又は分子内に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護された芳香族もしくは脂肪族カルボン酸化合物を含有することを特徴とする上記(6)記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0028】
【発明の実施の形態】
まず本発明のポリシロキサンを説明する。
本発明のポリシロキサンは、少なくとも上記一般式(I)のシロキサン単位と、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生する基(以下単に酸分解性基ともいう)をもつシロキサン単位が共重合されたものである。酸分解性基をもつシロキサン単位としては、上記一般式(II)及び/又は(III)で示されるシロキサン単位が好ましい。
【0029】
一般式(I)において、Lは単結合又はアリーレン基を表す。
上記アリーレン基としては、置換基を含めて炭素数6〜11のものが好ましく、具体的には置換基を有していてもよいオルト、メタ、又はパラフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基等が挙げられ、好ましくはパラフェニレン基、ナフチレン基である。
【0030】
Aは芳香族又は脂環構造を表し、好ましくは置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいシクロオレフィン環を表し、更に好ましくは、ベンゼン環、アルキル置換ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、アルキル置換シクロヘキサン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環を表す。
【0031】
一般式(II)におけるL′は、−A−OCO−、−A−COO−、−A−NHCO−、−A−NHCOO−、−A−NHCONH−、−A−CONH−、−A−OCONH−、−A−CONHCO−及び−A−S−(ここでAは単結合又はアリーレン基を表す。)からからなる群から選択される少なくとも1つの2価の連結基を表し、なかでも−OCO−、−C64−OCO−が好ましく、特に−OCO−が好ましい。
上記アリーレン基としては、置換基を含めて炭素数6〜11のものが好ましく、具体的には置換基を有していてもよいオルト、メタ、又はパラフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基等が挙げられ、好ましくはパラフェニレン基、ナフチレン基である。
【0032】
一般式(II)及び(III)におけるXは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例としては、炭素数1〜6の直鎖状のアルキレン基、炭素数1〜6の分岐状のアルキレン基、炭素数6〜10のシクロアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、及び炭素数7〜11のアラルキレン基から選ばれる1種からなる連結基、2種以上が結合した連結基等が挙げられる。なお、Xは、XとZの間に−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、及び−CH=CH−から選ばれる1つ以上の基を含有していてもよい。
上記アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等が好ましく挙げられる。上記シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン等が好ましく挙げられる。上記アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく挙げられる。上記アラルキレン基としては、フェニレンメチレン基等が好ましく挙げられる。
【0033】
一般式(II)におけるYは、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。上記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状いずれであってもよい。アルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、アリ−ル基の炭素数は6〜10であることが好ましく、アラルキル基の炭素数は7〜11であることが好ましい。
Yの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フエネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。なかでも、水素原子、メチル基が好ましい。
【0034】
一般式(I)〜(III)において、nは1〜6、好ましくは1〜3の整数を表す。式(II)において、lは1〜3、好ましくは1〜2の整数を表し、mは1〜3、好ましくは1〜2の整数を表す。
【0035】
一般式(II)で表されるアルカリ可溶性ポリシロキサンのフェノール性水酸基が保護されて酸分解性ポリシロキサンとなる保護基としての酸分解性基としては、−CR12(OR3)で示される基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基を挙げることができる。上記のR1、R2は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示し、R3は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。さらにR2とR3は結合して環構造、好ましくは環員数6の環構造を形成していてもよい。
好ましい酸分解性基の具体例としては、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、下記式で表される基等を挙げることができる。
【0036】
【化9】
Figure 0003967047
【0037】
上記式のR4は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル又はt−ブチル基を表す。
【0038】
一般式(II)におけるRは、上記で説明した酸分解性基であり、異なる酸分解性基2種以上が組み合わされていてもよい。
【0039】
一般式(III)で表されるアルカリ可溶性ポリシロキサンのカルボキシル基が保護されて酸分解性ポリシロキサンとなる保護基としての酸分解性基としては、−CR56(OR7)で示される基、テトラヒドロピラニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基を挙げることができる。上記のR5、R6は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。さらにR67は結合して環構造、好ましくは環員数6の環構造を形成していてもよい。
好ましい酸分解性基の具体例としては、t−ブチル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、エトキシメチル基、下記式で表される基等を挙げることができる。
【0040】
【化10】
Figure 0003967047
【0041】
上記式のR8は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル又はt−ブチル基を表す。
【0042】
一般式(III)におけるQは、上記で説明した酸分解性基であり、異なる酸分解性基2種以上が組み合わされていてもよい。
【0043】
本発明で用いられる酸で分解してアルカリ可溶性基を発生する基をもつシロキサン単位としては、上記一般式(II)及び(III)で示されるシロキサン単位の他、下記(IV)及び(V)で示されるシロキサン単位が挙げられる。
【0044】
【化11】
Figure 0003967047
【0045】
ここで、Qは上記Qと同義であり、pは1〜6の整数、qは1〜3の整数を示す。
【0046】
本発明の酸分解性ポリシロキサンは、溶剤溶解性、アルカリ溶解性の調節のため、下記一般式(VI)及び/又は(VII)の構造単位を共縮合されていてもよい。
【0047】
【化12】
Figure 0003967047
【0048】
ここで、X、X1 、X2 は、アルカリ溶解性や酸分解性を有さない基を表す。具体的には、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の分岐状あるいは置換基を有していてもよい炭素数6〜10の環状のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基;又は置換基を有していてもよい炭素数7〜11のアラルキル基を表す。これらの基のこのましい具体例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、ベンジル、ナフチルメチルを挙げることができる。
これらの基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。なおX1 、X2 は同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
本発明のポリシロキサンは、少なくとも上記一般式(I)で示される構造を与えるトリアルコキシシランと、別途合成した酸で分解してアルカリ可溶性基を発生する基をもつトリアルコキシシランを混合し、所望により一般式(VI)及び/又は(VII)で表される構造単位を与えるための一置換トリアルコキシシラン又は二置換ジアルコキシシランを加えた後、水及び酸、または水及び塩基触媒存在下で縮重合させることにより得ることができる。上記一般式(I)で表される構造単位を与えるトリアルコキシシランは、末端にアミノ基を有する一置換トリアルコキシシランと環状酸無水物から得ることができる。
【0050】
具体的には、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルナンジカルボン酸無水物、カンタリジン、メチルノルボルネンジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、メチルフタル酸無水物、ジクロロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、ヒドロキシフタル酸無水物、ニトロフタル酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物などから選ばれた酸無水物と、末端にアミノ基を有する一置換トリアルコキシシラン(例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン)を反応させることで得ることができる。
【0051】
一方、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生する基をもつトリアルコキシシラン化合物として、例えば上記一般式(II)においてL′が−OCO−である場合は、(クロルアルキル)トリアルコキシシランと、フェノール構造を末端に含有するカルボン酸化合物を塩基触媒存在下で反応(このとき反応を加速するためヨウ化カリウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム等の塩を添加してもよい)させた後、フェノール性水酸基を酸分解性基で保護することにより得られる。また、上記一般式(III)において、L″が例えば−B−OCO−でBが単結合である場合には、末端にアミノ基を有するトリアルコキシシランと環状酸無水物を室温以下で反応させた後、残ったカルボキシル基を酸分解性基で保護することで得られる。
【0052】
本発明のポリシロキサンは、別法として、該アルコキシシランの共縮重合の後、フェノール構造を末端に含有するカルボン酸を同様に反応させてアルカリ可溶性ポリシロキサンを得た後、アルカリ可溶性ポリシロキサンと、酸分解性基に対応するビニルエーテル化合物との酸触媒反応や、二炭酸ジt−ブチル、トリメチルシリルクロリド、あるいはt−ブチルジメチルシリルクロリドとの塩基触媒反応等、それぞれ公知の反応を用いることにより得られる。
【0053】
L′が−COO−、−NHCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−CONH−又は−S−の場合は、各々末端にカルボキシル基、アミノ基又はメルカプト基を有するトリアルコキシシランを利用することにより同様にして得ることができる。
【0054】
本発明における式(I)の構造単位と式(II)及び/又は式(III)の構造単位と含有割合は、30/70〜80/20(モル比)の範囲が好ましく、更に好ましくは40/60〜60/40(モル比)の範囲である。
【0055】
本発明のポリシロキサン、即ちアルカリ可溶性ポリシロキサン及び酸分解性ポリシロキサンの構成単位の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化13】
Figure 0003967047
【0057】
【化14】
Figure 0003967047
【0058】
【化15】
Figure 0003967047
【0059】
【化16】
Figure 0003967047
【0060】
【化17】
Figure 0003967047
【0061】
【化18】
Figure 0003967047
【0062】
【化19】
Figure 0003967047
【0063】
【化20】
Figure 0003967047
【0064】
【化21】
Figure 0003967047
【0065】
【化22】
Figure 0003967047
【0066】
【化23】
Figure 0003967047
【0067】
【化24】
Figure 0003967047
【0068】
【化25】
Figure 0003967047
【0069】
【化26】
Figure 0003967047
【0070】
【化27】
Figure 0003967047
【0071】
【化28】
Figure 0003967047
【0072】
【化29】
Figure 0003967047
【0073】
【化30】
Figure 0003967047
【0074】
【化31】
Figure 0003967047
【0075】
【化32】
Figure 0003967047
【0076】
【化33】
Figure 0003967047
【0077】
【化34】
Figure 0003967047
【0078】
【化35】
Figure 0003967047
【0079】
【化36】
Figure 0003967047
【0080】
本発明のポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定されたポリスチレン換算値として、500〜100000が好ましく、さらに好ましくは700〜50000であり、特に好ましくは800〜20000である。
【0081】
次に本発明のポジ型フォトレジスト組成物について説明する。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、
(a)上記ポリシロキサン、及び
(b)露光により分解して酸を発生する化合物(光酸発生剤)
を含有する。
【0082】
さらに
(c)(c1)分子内に含まれるフェノール性水酸基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護されたフェノール性化合物、又は(c2)分子内に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護された芳香族もしくは脂肪族カルボン酸化合物、
を含有してもよい。
【0083】
また、酸分解性ポリシロキサンとして、前記一般式(III)で表される構造単位を有するポリシロキサンの使用が、溶剤溶解性や感度、解像力、パターンの矩形性の点で好ましい。また、本発明の酸分解性ポリマーの酸分解性基が全てはずれたアルカリ可溶性ポリシロキサンを本組成物中50重量%以下のの範囲で含有せてもよい。
【0084】
本発明で用いられる(b)光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
本発明で使用される活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0085】
また、その他の本発明に用いられる活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物としては、たとえばS. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974)、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同27,992号、特開平3-140140号等に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C.S.Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p.478 Tokyo, Oct(1988)、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p.31(1988)、欧州特許第104,143 号、同339,049号、同410,201号、特開平2-150848号、特開平2-296514号等に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73(1985)、J. V. Crivello et al. J. Org. Chem., 43, 3055(1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer. Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789(1984)、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279(1985)、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer. Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7-28237号、同8-27102号等に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer. Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p.478 Tokyo, Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46-4605号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K. Meier et al, J. Rad. Curing, 13(4), 26(1986)、T. P. Gill et al, Inorg. Chem., 19, 3007(1980)、D. Astruc, Acc. Chem. Res., 19(12), 377(1896)、特開平2-161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S. Hayase et al, J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E. Reichmanis et al, J. Pholymer Sci., Polymer Chem. Ed., 23, 1(1985)、Q. Q. Zhu et al, J. Photochem., 36, 85, 39, 317(1987)、B. Amit et al, Tetrahedron Lett., (24)2205(1973)、D. H. R. Barton et al, J. Chem. Soc., 3571(1965)、P. M. Collins et al, J. Chem. Soc., Perkin I, 1695(1975)、M. Rudinstein et al, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J. W. Walkeretal J. Am. Chem. Soc., 110, 7170(1988)、S. C. Busman et al, J. Imaging Technol., 11(4), 191(1985)、H. M. Houlihan etal, Macormolecules, 21, 2001(1988)、P. M. Collinsetal, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S. Hayase et al, Macromolecules, 18, 1799(1985)、E. Reichmanis et al, J. Electrochem. Soc., Solid State Sci. Technol., 130(6)、F. M. Houlihan et al, Macromolcules, 21, 2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、 米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022号等に記載のO−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al, Polymer Preprints Japan, 35(8)、G. Berner et al, J. Rad. Curing, 13(4)、 W. J. Mijs et al, Coating Technol., 55(697), 45(1983), Akzo、H. Adachi et al, Polymer Preprints, Japan, 37(3)、欧州特許第0199,672号、同84,515号、同044,115号、同第618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774 号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特開平3-140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544 号、特開平2-71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3-103854号、同3-103856号、同4-210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
【0086】
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、M. E. Woodhouse et al, J. Am. Chem. Soc., 104, 5586(1982)、S. P. Pappas et al, J. Imaging Sci., 30(5), 218(1986)、S. Kondo et al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 9, 625(1988)、Y. Yamada et al, Makromol. Chem., 152, 153, 163(1972)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 3845(1979)、米国特許第3,849,137号、獨国特許第3914407、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038 、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0087】
さらにV. N. R. Pillai, Synthesis, (1), 1(1980)、A. Abad et al, Tetrahedron Lett., (47)4555(1971)、D. H. R. Barton et al, J. Chem. Soc., (C), 329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0088】
上記活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0089】
【化37】
Figure 0003967047
【0090】
式中、R201 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3を示す。Yは塩素原子又は臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0091】
【化38】
Figure 0003967047
【0092】
【化39】
Figure 0003967047
【0093】
【化40】
Figure 0003967047
【0094】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0095】
【化41】
Figure 0003967047
【0096】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
【0097】
203 、R204 、R205は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0098】
-は対アニオンを示し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸 アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0099】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0100】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
【化42】
Figure 0003967047
【0102】
【化43】
Figure 0003967047
【0103】
【化44】
Figure 0003967047
【0104】
【化45】
Figure 0003967047
【0105】
【化46】
Figure 0003967047
【0106】
【化47】
Figure 0003967047
【0107】
【化48】
Figure 0003967047
【0108】
【化49】
Figure 0003967047
【0109】
【化50】
Figure 0003967047
【0110】
【化51】
Figure 0003967047
【0111】
【化52】
Figure 0003967047
【0112】
【化53】
Figure 0003967047
【0113】
【化54】
Figure 0003967047
【0114】
【化55】
Figure 0003967047
【0115】
【化56】
Figure 0003967047
【0116】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えばJ. W. Knapczyk et al, J. Am. Chem. Soc., 91, 145(1969)、A. L. Maycok et al, J. Org. Chem., 35, 2532, (1970)、E. Goethas et al, Bull. Soc. Chem. Belg., 73, 546, (1964)、H .M. Leicester、J. Am. Chem. Soc., 51, 3587(1929)、J. V. Crivello et al, J. Polym. Chem. Ed., 18, 2677(1980)、米国特許第2,807,648 号及び同4,247,473号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0117】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0118】
【化57】
Figure 0003967047
【0119】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
【化58】
Figure 0003967047
【0121】
【化59】
Figure 0003967047
【0122】
【化60】
Figure 0003967047
【0123】
【化61】
Figure 0003967047
【0124】
【化62】
Figure 0003967047
【0125】
本発明において、(b)光酸発生剤が、オニウム塩、ジスルホン、4位DNQ(ジアゾナフトキノン)スルホン酸エステル、トリアジン化合物であることが好ましい。
【0126】
これらの(b)光酸発生剤の添加量は、本発明のポジ型フォトレジスト組成物の全重量(塗布溶媒を除く)を基準として通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の添加量が、0.001重量%より少ないと感度が低くなり、また添加量が40重量%より多いとレジストの光吸収が高くなりすぎ、プロファイルの悪化や、プロセス(特にベーク)マージンが狭くなり好ましくない。
【0127】
本発明に用いられる(c)(c1)分子内に含まれるフェノール性水酸基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護されたフェノール性化合物、又は(c2)分子内に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護された芳香族もしくは脂肪族カルボン酸化合物としては、例えば2〜7個の芳香環を含有する分子量186〜1500の芳香族化合物、又はGPC法で測定された重量平均分子量が2000〜20000の範囲にあるヒドロキシスチレン共重合体から選ばれたフェノール性化合物の水酸基の20〜100%が酸分解性基で保護されている化合物等を挙げることができる。
ここで、酸分解性基は、前記一般式( II で表されるアルカリ可溶性ポリシロキサンのフェノール性水酸基が保護されて酸分解性ポリシロキサンとなる保護基としての酸分解性基と同様であり、その詳細は既に記載した。
【0128】
(c)成分の添加量は、以下の範囲が好ましい。
(イ)本発明のポジ型フォトレジスト組成物が、(a)ポリシロキサンとして酸分解性ポリシロキサンを含有する場合、(c)成分はポリシロキサンに対して重量比で1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。
(ロ)本発明のポジ型フォトレジスト組成物が、(a)ポリシロキサンとしてアルカリ可溶性ポリシロキサン及び酸分解性ポリシロキサンを含有する場合、(c)成分はポリシロキサンに対して重量比で1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜25重量%であり、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0129】
(c)成分として、具体的には下記化合物が挙げられる。
【0130】
【化63】
Figure 0003967047
【0131】
【化64】
Figure 0003967047
【0132】
【化65】
Figure 0003967047
【0133】
【化66】
Figure 0003967047
【0134】
【化67】
Figure 0003967047
【0135】
【化68】
Figure 0003967047
【0136】
【化69】
Figure 0003967047
【0137】
【化70】
Figure 0003967047
【0138】
【化71】
Figure 0003967047
【0139】
【化72】
Figure 0003967047
【0140】
【化73】
Figure 0003967047
【0141】
【化74】
Figure 0003967047
【0142】
【化75】
Figure 0003967047
【0143】
【化76】
Figure 0003967047
【0144】
【化77】
Figure 0003967047
【0145】
【化78】
Figure 0003967047
【0146】
【化79】
Figure 0003967047
【0147】
【化80】
Figure 0003967047
【0148】
【化81】
Figure 0003967047
【0149】
(化合物(1)〜(63)中のRは、水素原子又は、
【0150】
【化82】
Figure 0003967047
【0151】
の中から選ばれる基である。
但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくともよい。)
【0152】
【化83】
Figure 0003967047
【0153】
【化84】
Figure 0003967047
【0154】
【化85】
Figure 0003967047
【0155】
【化86】
Figure 0003967047
【0156】
本発明の組成物には、有機塩基性化合物を配合することができる。これにより、保存時の安定性向上及びPEDによる線巾変化が少なくなるため好ましい。本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)構造を挙げることができる。
【0157】
【化87】
Figure 0003967047
【0158】
ここで、R250、R251及びR252は、同一又は異なり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0159】
【化88】
Figure 0003967047
【0160】
上記式(E)中、R253、R254、R255及びR256は、同一又は異なり、炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0161】
さらに好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0162】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフオリン等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0163】
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。含窒素塩基性化合物の使用量は、感光性樹脂組成物(溶媒を除く)100重量部に対し、通常、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満では上記効果が得られない。一方、10重量部を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0164】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、必要に応じて、さらに界面活性剤、染料、顔料、可塑剤、光増感剤及び現像液に対する溶解性を促進させるフェノール性OH基を2個以上有する化合物等を含有させることができる。
【0165】
好適な界面活性剤は、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0166】
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。好ましい添加量は、組成物(溶媒を除く)100重量部に対して、0.0005〜0.01重量部である。好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0167】
さらに、下記に挙げるような分光増感剤を添加し、使用する光酸発生剤が吸収を持たない遠紫外より長波長領域に増感させることで、本発明の化学増幅型ポジレジストをi又はg線に感度を持たせることができる。好適な分光増感剤としては、具体的にはベンゾフェノン、p,p′−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p′−テトラエチルエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフエニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ビクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3′−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)及びコロネン等であるがこれらに限定されるものではない。
【0168】
現像液に対する溶解性を促進させるフェノール性水酸基を2個以上有する化合物としては、ポリヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくはポリヒドロキシ化合物には、フェノール類、レゾルシン、フロログルシン、フロログルシド、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがある。
【0169】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布するものであり、使用することのできる溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。
【0170】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、べークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0171】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物の現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、ホルムアミドやアセトアミド等のアミド類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド、ベンジルメチルジエタノールアンモニウムヒドロキシド、ベンジルジメチルエタノールアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド、テトラブロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン等のアルカリ類の水溶液等がある。
【0172】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、基本的に既述の成分(a)及び(b)、さらには成分(c)で構成されるが、さらに皮膜性、耐熱性等を向上させるため、成分(a)以外のアルカリ可溶性樹脂を添加してもよい。このようなアルカリ可溶性樹脂としては、好ましくは、フェノール性水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、イミド基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、N−スルホニルウレタン基、活性メチレン基等のpKaが11以下の酸性水素原子を有するポリマーである。
【0173】
好適なアルカリ可溶性ポリマーとしては、ノボラックフェノール樹脂、具体的にはフェノールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレノール−ホルムアルデヒド樹脂、もしくはこれらの共縮合物等がある。さらに、特開昭50−125806号公報に記載されている様に、下記のようなフェノール樹脂と共に、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂の様な、炭素数3〜8のアルキル基で置換されたフェノールもしくはクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物とを併用してもよい。また、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドのようなフェノール性ヒドロキシ基含有モノマーを共重合成分とするポリマー、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−イソプロペニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール等の、単独もしくは共重合のポリマー、さらに又はこれらのポリマーを部分エーテル化、部分エステル化したポリマーも使用できる。
【0174】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物によるレジストを2層レジストの上層レジストとして使用する場合、上層レジストパターンを保護マスクとして下層の有機高分子膜の酸素プラズマによるエッチングが行なわれるが、この上層レジストは酸素プラズマに対する十分な耐性を有する。本発明のポジ型フォトレジスト組成物の酸素プラズマ耐性は上層レジストのシリコン含有量や、エッチング装置、及びエッチング条件にも依存するが、エッチング選択比(下層と上層レジストとのエッチング速度比)は10〜100と充分大きく取ることができる。
【0175】
また、本発明のポジ型フォトレジスト組成物によるパターン形成方法においては、まず、被加工基板上に有機高分子膜を形成する。この有機高分子膜は各種公知のフォトレジストでよく、たとえば、フジフィルムオーリン社製FHシリーズ、FHiシリーズあるいはオーリン社製OiRシリーズ、住友化学社製PFIシリーズの各シリーズを例示することができる。この有機高分子膜の形成は、これらを適当な溶剤に溶解させ、得られる溶液をスピンコ一ト法、スプレイ法等により塗布することにより行なわれる。次いで、上記有機高分子膜の第1層上に、本発明のポジ型フォトレジスト組成物の膜を形成する。これは第1層と同様にレジスト材料を適当な溶剤に溶解させ、得られる溶液をスピンコート法、スプレイ法等により塗布することにより行なわれる。
得られた2層レジストは次にパターン形成工程に付されるが、その第1段階として、まず第2層、すなわち上層のフォトレジスト組成物の膜にパターン形成処理を行なう。必要に応じてマスク合わせを行ない、このマスクを通して高エネルギー線を照射することにより、照射部分のフォトレジスト組成物をアルカリ水溶液に可溶とし、アルカリ水溶液で現像してパターンを形成する。
【0176】
次いで、第2段階として有機高分子膜のエッチングを行なうが、この操作は上記のレジスト組成物の膜のパターンをマスクとして酸素プラズマエッチングにより実施し、アスペクト比の高い微細なパターンを形成する。この酸素プラズマエッチングによる有機高分子膜のエッチングは、従来のホトエッチング操作による基板のエッチング加工の終了後に行なわれるレジスト膜の剥離の際に利用されるプラズマアッシングとまったく同一の技術である。この操作は、例えば円筒形プラズマエッチング装置、平行平坂形プラズマエッチング装置により、反応性ガス、すなわちエッチングガスとして酸素を使用して実施することができる。
さらに、このレジストパターンをマスクとして基板の加工が行なわれるが、加工法としてはスパッタエッチング、ガスプラズマエッチング、イオンビームエッチング等のドライエッチング法を利用することができる。
【0177】
本発明のレジスト膜を含む2層膜レジスト法によるエッチング処理は、レジスト膜の剥離操作によって完了する。このレジスト層の剥離は単に第1層の有機高分子材料の溶解処理によって実施することができる。この有機高分子材料は任意のフォトレジストであり、かつ、上記フォトエッチング操作においてなんら変質(硬化等)されていないので、各公知のフォトレジスト自体の有機溶媒を使用することができる。あるいは、プラズマエッチング等の処理により、溶媒を使用することなく剥離することも可能である。
【0178】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0179】
合成例1{ポリシロキサン(C−57′)の合成}
3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.1gを、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド200mlに添加した後、ノルボルネンジカルボン酸無水物16.4gを添加した。乾燥窒素雰囲気下140℃で15時間反応させ、反応液を室温に戻した(これを反応液中間体A液と呼ぶ)。
これとは別に、3−クロロプロピルトリメトキシシラン20gを乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド200mlに添加した後、ジフェノール酸28.7g、ヨウ化カリウム3.0g及びDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)16.0gを添加した。乾燥窒素雰囲気下70〜90℃で5時間反応させた(これを反応中間体B液と呼ぶ)。
【0180】
B液を室温に戻した後、上記A液を添加した後、ジメチルアミノピリジン2gと蒸留水15gを添加し50℃で3時間、次いで130〜140℃で12時間反応させた。反応液を希塩酸で中和した後、蒸留水3L中に攪拌下投入して、白色の粉体状ポリマーを得た。これをアセトン200mlに溶解させた後、攪拌下蒸留水を添加することによりポリマーのオリゴマー成分を分別除去し、下層を蒸留水2L中に再沈処理して白色のポリマー(C−57′)を得た。このポリマーの平均分子量をGPC(ポリスチレン標準)で測定したところ、重量平均分子量8300であり、分子量が1000以下の成分の含有量はGPC面積比で8%であった。
【0181】
【化89】
Figure 0003967047
【0182】
合成例2{ポリシロキサン(C−57)の合成}
真空乾燥した上記ポリシロキサン(C−57′)20gをTHF100mlに溶解させた後、エチルビニルエーテル4.3gとp−トルエンスルホン酸一水和物20mgを加え、室温で10時間反応させた。
トリエチルアミンを添加して反応をクエンチした後、蒸留水2Lに添加してポリマー析出させた後、室温にて真空乾燥し、目的のポリシロキサン(C−2)19gを得た。
【0183】
【化90】
Figure 0003967047
【0184】
合成例3{ポリシロキサン(C−60)の合成}
上記合成例1で得たポリシロキサン(C−57′)を真空乾燥した後、その20gをTHF100mlに溶解させた。二炭酸ジt−ブチル2.8gを加えた後、トリエチルアミン1.3gを1時間かけて滴下し、さらに室温で10時間反応させた。蒸留水2Lに攪拌下投入して、ポリマーを析出させた後、室温にて減圧乾燥し、目的のポリシロキサン(C−60)を18.2g得た。
【0185】
【化91】
Figure 0003967047
【0186】
実施例1
酸分解性ポリシロキサン((a)成分)としてポリシロキサン(C−57)1.6g、酸発生化合物((b)成分)としてトリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホネート0.12g、トリフェニルイミダゾール0.012g及び化合物例(60)(ここでR=−CH2COOC(CH33)0.4gをc成分とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート19.2gに溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターで精密ろ過した。
【0187】
シリコンウエハーにFHi−028Dレジスト(フジフイルムオーリン社製、i線用レジスト)をキャノン製コーターCDS−650を用いて塗布し、90℃、90秒ベークして膜厚0.83μmの均一膜を得た。これをさらに200℃、3分加熱したところ膜厚は0.71μmとなった。この上に上記で調整したシリコン含有レジストを塗布、90℃、90秒ベークして0.20μmの膜厚で塗設した。
【0188】
こうして得られたウェハーをキャノン製KrFエキシマレーザーステッパーFPA−3000EX3に解像力マスクを装填して露光量と焦点を変化させながら露光した。その後クリーンルーム内で120℃、90秒加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド現像液(2.38%)で60秒間現像し、蒸留水でリンス、乾燥してパターンを得た。走査型電子顕微鏡で観察したところ、感度30mJ/cm2で0.16μmのライン/スペースが解像していた。断面の矩形性は評価Aであった。
【0189】
なお、断面の矩形性は次のようにして3段階評価にて比較した。すなわち、基板とレジストパターンの側壁との角度を測定し、80°以上90°以下をA評価、70°以上80°未満のものをB評価、70°未満のものをC評価とした。さらに上記ウエハーをアルバック製平行平板型リアクティブイオンエッチング装置を用い、エッチングガスを酸素とし、圧力20ミリトール、印加パワー100mW/cm2の条件で15分間エッチング処理した。その結果を走査型電子顕微鏡で観察した。0.16μmパターンの寸法シフトは0.009μmであった。
【0190】
実施例2〜16
実施例1における酸分解性シロキサン((a)成分)、(b)成分及び(c)成分の代りに、それぞれ表−Aに示したポリシロキサン((a)成分)、(b)成分及び(c)成分を用いた以外は、実施例1と全く同様にしてポジ型フォトレジストを調製し、実施例1と同様にして露光、現像、エッチング処理を行った。得られたレジスト性能について表−Bにまとめて示した。
【0191】
実施例17
酸分解性シロキサン((a)成分)としてポリシロキサン(C−60)1.9g、酸発生化合物((b)成分)としてトリフェニルスルホニウム−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホネート0.12g、トリフェニルイミダゾール0.012g及び化合物例(60)(ここでR=−CH2COOC(CH33)0.143gを(c)成分として用いた以外は実施例1と全く同様にしてポジ型フォトレジストを調製した。さらに実施例1と同様にして塗布、露光、現像、エッチング処理を行い、結果を走査型電子顕微鏡で観察した。調製したレジストを表−Cに、評価結果を表−Dにそれぞれ示す。
【0192】
実施例18〜32
実施例17における酸分解性シロキサン、(b)成分及び(c)成分の代りにそれぞれ表−Cに示したシロキサン、(b)成分及び(c)成分を用いた以外は実施例17と全く同様にしてポジ型フォトレジストを調製し、実施例17と同様にして露光、現像、エッチング処理を行った。得られたレジスト性能について表−Dにまとめて示した。
【0193】
比較例1
実施例1のポリシロキサンの代りに下記ポリシロキサン(D−1)を用いた他は実施例1と全く同様にして塗布、露光、現像、エッチング処理を行い、実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察した。結果を表−Eに示した。
【0194】
比較例2
実施例1のポリシロキサンの代りに下記ポリシロキサン(D−2)を用いた他は実施例1と全く同様にして塗布、露光、現像、エッチング処理を行い、実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察した。結果を表−Eに示した。
【0195】
【化92】
Figure 0003967047
【0196】
【表1】
Figure 0003967047
【0197】
【表2】
Figure 0003967047
【0198】
【表3】
Figure 0003967047
【0199】
【表4】
Figure 0003967047
【0200】
【表5】
Figure 0003967047
【0201】
【表6】
Figure 0003967047
【0202】
【表7】
Figure 0003967047
【0203】
【表8】
Figure 0003967047
【0204】
表−A〜表−Eに示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明のポリシロキサンを用いたポジ型フォトレジスト組成物は、解像力が高く、矩形性が良好で、しかもエッチング後の寸法シフトが小さいレジストを与え、これらの特性のバランスが良い。
一方、本発明のポリシロキサンを用いていない比較例1及び比較例2の場合、上記特性のバランスに劣る。また、
【0205】
【発明の効果】
本発明のポリシロキサンを用いた本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、高感度かつ高解像力で矩形形状のレジストが得られる。さらに二層レジストシステムの上層レジストとして使用した場合、酸素系プラズマエッチング工程を用いて下層にパターン転写する際、寸法シフトが少なく高アスペクト比の微細パターンを形成することができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも下記一般式(I)で示されるシロキサン構造単位と、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位とを含有するポリシロキサンを含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
    Figure 0003967047
    式(I)中、Lは単結合又はアリーレン基を表す。Aは芳香環又は脂環構造を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜6の整数を表す。
  2. 一般式(I)で示される構造単位が、アミノ基を有するシラン化合物と芳香族酸無水物又は脂環型酸無水物との反応により合成されたモノマー成分から誘導されたものである請求項1記載のポジ型フォトレジスト組成物。
  3. ポリシロキサンが、下記一般式(II)で示される構造単位を、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位として含有することを特徴とする請求項1記載のポジ型フォトレジスト組成物。
    Figure 0003967047
    式(II)中、L′は−A−OCO−、−A−COO−、−A−NHCO−、−A−NHCOO−、−A−NHCONH−、−A−CONH−及び−A−S−から選択される少なくとも1つの2価の連結基を表す。Aは単結合又はアリーレン基を表す。Xは2価の連結基を表す。Zは、
    Figure 0003967047
    Rは酸で分解する基を表す。Yは水素原子、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lは1〜3の整数を、mは1〜3の整数を、nは1〜6の整数を表す。
  4. ポリシロキサンが、下記一般式(III)で示される構造単位を酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン構造単位として含有することを特徴とする請求項1記載のポジ型フォトレジスト組成物。
    Figure 0003967047
    式(III)中、L″は−B−OCO−、−B−COO−、−B−NHCO−、−B−NHCOO−、−B−NHCONH−、−B−CONH−及び−B−S−から選択される少なくとも1つの2価の連結基を表す。Bは単結合又はアリーレン基を表す。Xは2価の連結基を表す。Qは酸分解性基を表す。nは1〜6の整数を表す。
  5. ポリシロキサンが、請求項3に記載の一般式(II)で示される構造単位と請求項4に記載の一般式(III)で示される構造単位の両方を、酸で分解してアルカリ可溶性基を発生させる基をもつシロキサン単位として、含有することを特徴とする請求項1記載のポジ型フォトレジスト組成物。
  6. (a)請求項1〜5のいずれかに記載の酸分解性ポリシロキサン、及び
    (b)露光により分解して酸を発生する化合物、
    を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
  7. 更に、(c)分子内に含まれるフェノール性水酸基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護されたフェノール性化合物(c1)、又は分子内に含まれるカルボキシル基の少なくとも一部が、酸分解性基で保護された芳香族もしくは脂肪族カルボン酸化合物を含有することを特徴とする請求項6記載のポジ型フォトレジスト組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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