JP3966123B2 - 文書作成支援システムおよび文書作成支援装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,ペーパ上に印刷されたドットパターンを電子ペンで読み取ることによってペーパ上に手書きした文字や図形をデジタル化する技術を利用したシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
手書きの文字や図形などのデータをデジタル化してパソコンやワープロなどに取り込むことを可能にする電子ペンが開発・実用化されている。このような電子ペン技術として,例えばWO 01/26033号公報に記載の技術がある。この技術では,ドットパターンが印刷された特殊ペーパとを用いて、電子ペンを使って特殊ペーパ上に書き込んだ文字・図形の軌跡をベクトル化して保存・送信できる。
【0003】
図2を用いてその仕組みについて簡単に説明する。特殊ペーパ202には約0.3mm格子ごとにドットパターン210が印刷されており,その位置は格子点から微妙にずれている。電子ペン201では内蔵カメラによってこのドットパターン210を読み込むことにより,電子ペン201のペン先が特殊ペーパ空間上のどの位置にいるかその絶対座標を正確に特定することができる。特殊ペーパ空間の大きさは約6千万平方キロメートルに及ぶが,この広大な特殊ペーパ空間の中から任意の6×6ドットの領域を切り出したとき,1つとして重複するものがないことが数学的に保証されている。
【0004】
電子ペン201はカメラ203,インクカートリッジ204,筆圧センサ205,プロセッサ206,メモリ207,バッテリ208,bluetoothトランシーバ209を内蔵している。筆圧センサ205が作動しているときのみカメラ203は特殊ペーパのドットパターン情報を読み込み,プロセッサ206によってペン先の位置情報を取得する。すなわち特殊ペーパ202に書き込まれた文字や図形の軌跡をデジタル化して取得する。このデジタル軌跡情報はメモリ207上に蓄積され,あるタイミング(指定可能)でBluetooth仕様によるデータの送信を行う。一般には特殊ペーパ202上に印刷された選択ボックス211のいずれかをチェックすることによってデータの送信先(例えばパソコンのワープロソフトやFAX,e-mailなど)を指定し,送信ボックス212をチェックすることによりデータの送信が行われる。
【0005】
ところで、消防査察や環境監査やナース巡回検診やアンケート調査やガス・水道等のメータ検針などにおいて、調査結果報告書等の文書を作成することが必要なシステムは多い。現状これらの報告書作成業務は、巡回先において調査員が持参した何種類もの帳票に調査結果などを書き込み、それをオフィスに持ち帰ってコンピュータにキーボード入力して調査結果報告書等の文書作成を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、紙に記載したデータをデジタル化するための作業が必要であり効率が悪い。巡回調査時にノートパソコン等の携帯端末を持ち歩いてその場でデジタル入力することも考えられるが、様々な場所で様々な人と応対する可能性のある巡回調査には向いていない。本発明の目的は巡回調査の効率を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、この調査現場での書き込み作業に上記電子ペンと帳票フォームの印刷された上記特殊ペーパとを使用することにより,帳票へ実際に書き込むと同時にその手書き内容をデジタル化できるようする。この手書き内容のデジタル化データをオフィス内コンピュータに送信し,コンピュータ内において上記受信したデータに基づいて調査結果報告書等の文書を自動作成することにより,コンピュータへのデータ入力作業や文書作成作業が不要となり,業務効率が向上することになる。また巡回調査のために持ち運ぶのものは、紙(特殊ペーパ)と電子ペン及び電子ペンとネットワークとの間の通信を行なう通信制御装置(例えば携帯電話)だけでよい。
【0008】
ところで,調査員一人につき作成される手書きデジタル化データ(ファイル)は,一般に調査を行った件数×帳票種別の数だけ存在するため,コンピュータ内で調査結果報告書等の文書を自動作成するためには,各デジタル化データがどの調査案件のどの種類の帳票に対して記入されたものであるかを識別する必要がある。
【0009】
一つの解決策として、それぞれの帳票を異なる種類の特殊ペーパから作成する方法がある。すなわち特殊ペーパに印刷されたドットパターンを帳票ごとに異なるものを利用するることにより,デジタル化されたデータの絶対座標からそのデータがどの特殊ペーパに対して記入されたものであるかの識別が可能となる。但し、この方法のように膨大な枚数の帳票全てに対してドットパターンの異なる特殊ペーパを用いるのは,印刷コストの増加やドットパターン使用ライセンス料の増加を招くことになる。従って、同一ドットパターンを有する同じ種類の特殊ペーパを用いて各種帳票を作成する別の解決策を考慮することが望ましい。
【0010】
そこで本発明では更に,特殊ペーパ上に印刷されたドットパターンを電子ペンで読み取ることによって特殊ペーパ上に手書きした文字や図形をデジタル化する電子ペンシステムにおいて,同一ドットパターンを有する同じ種類の特殊ペーパであってもそれぞれ別の特殊ペーパとして識別することができる特殊ペーパ管理システムおよび特殊ペーパ識別方法を提供することも目的とする。
【0011】
また,特殊ペーパ上に印刷されたドットパターンを電子ペンで読み取ることによって特殊ペーパ上に手書きした文字や図形をデジタル化する電子ペンシステムにおいて,上記特殊ペーパより作成された多種多枚数の帳票に対して手書き記入を行った場合,そのデジタル化データがどの帳票フォームの帳票に書き込まれたものであるかを識別し,上記データとその対応する帳票フォームとに基づいて適切な電子文書を自動的に作成することができる文書作成支援システムを提供することを更に他の目的とする。
【0012】
この目的を解決するために、本発明では、ドットパターンが印刷された特殊ペーパと、ドットパターンを読み取って書き込み内容をデジタル化する電子ペンとを利用したシステムにおいて、特殊ペーパに対して所定の識別マークを印刷しておき、上記識別マーク部分に書き込んだ内容に基づいて特殊ペーパに書き込んだ内容のデジタル化データがどの特殊ペーパに書き込まれたものであるかを識別する。
【0013】
また、このシステムに特殊ペーパのドットパターンを読み取る手段を更に設け、読み取ったドットパターンが同一の特殊ペーパに対して所定の識別マークを印刷するようにしてもよい。
【0014】
更に、特殊ペーパに所定の帳票フォーム及び識別マークを印刷しておき、識別マーク部分への記入内容に応じて帳票フォームを識別し、帳票フォーム部分に記入された内容の電子データを識別された帳票フォームと対応つけて格納しておけば、後の文書作成に容易に利用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の位置実施例を図面を用いて詳細に説明する。ここでは,消防査察や環境監査やナース巡回検診やアンケート調査やガス・水道等のメータ検針などの巡回型調査業務において,調査員が巡回先で調査結果を帳票に書き込んだ内容をデジタル化し,上記デジタル化データに基づいて調査結果報告書等の文書を自動作成する文書作成支援システムをの例として説明する。
【0016】
図1において,文書作成支援システム108は,電子ペン101,特殊ペーパ102,文書作成支援装置103,プリンタ装置104,帳票105,携帯電話106,ネットワーク107から構成される。電子ペン101は,従来技術において説明した電子ペン201と同じ構成要素を持つ電子ペンである。特殊ペーパ102は,従来技術において説明した書き込み位置特定のためのドットパターンの印刷された特殊ペーパである。この特殊ペーパ102の上に調査項目などの帳票フォームを印刷したものが帳票105である。文書作成支援装置103は,帳票105の識別管理や調査報告書等の文書作成などを行うコンピュータ装置である。プリンタ装置104は,印刷用紙としてセットされた特殊ペーパ102のドットパターンの読み取りを行うとともに,特殊ペーパ102に対して所定の印刷を行うスキャナ機能付きのプリンタ装置である。携帯電話106は,電子ペン101から発信されたデータを中継してネットワーク107に向けて送信するためのbluetooth対応携帯電話である。ネットワーク107は,公衆移動通信網や公衆固定通信網,インターネットなどによって構成されるネットワーク網である。巡回する領域がビル内等の一定のエリアであればネットワークはイントラネット等の同一または複数のLANであってよく、携帯電話が無線/優先のLAN接続装置であってよい。
【0017】
上記文書作成支援システム108を用いた調査業務の大まかな流れは以下のようになる。調査員は装置103とプリンタ装置104を操作して,特殊ペーパ102に調査結果入力用の帳票フォームを印刷して帳票105を作成する。調査員は電子ペン101と帳票105を持参して巡回先に出向き,所定の調査を行った後その結果を帳票105に書き込んでいく。書き込まれた内容は電子ペン101内でデジタル化されており,調査員は上記デジタル化データを携帯電話106,ネットワーク107を経由して装置103に向けて送信する。装置103では受信した上記デジタル化データがどの帳票に書かれたものであるかを識別し,デジタル化データの文字認識処理を行うなどして調査報告書等の文書作成を行う。
【0018】
さて図1において,装置103はCPU125、メモリ126、記憶装置127、入力装置118,表示装置119,通信装置120及びそれらの間のデータ通信等を制御する制御装置127からなる。記憶装置127にはCPU125により順次読み込まれて実行されることによりそれぞれの処理手段としての役割を果たすプログラムである6つの処理手段111〜116と4つのデータベース121〜124を保有される。帳票フォームデータベース121は,帳票に印刷して使用される全ての帳票フォームを格納する。特殊ペーパ情報データベース122は,各特殊ペーパ102の識別番号と各特殊ペーパ102に印刷した帳票フォームとの対応関係などを格納する。識別マークデータベース123は,同一ドットパターンを持つ同じ種類の特殊ペーパの識別番号と,各番号に対応する識別マークとを格納する。文書データベース124は,自動作成された調査結果報告書等の文書を格納する。
【0019】
帳票種別受付手段111は,利用可能な帳票フォームを表示装置119に表示し,調査員の巡回調査件数や使用する帳票種別などの入力を入力装置118より受け付けるものである。ドットパターン読込手段112は,帳票として使用する特殊ペーパ102のドットパターンをプリンタ装置104から読み込み,そのパターン種別を把握するものである。識別情報割り当て手段113は,同一ドットパターンを持つ各特殊ペーパ102に対して固有の識別番号を割り当て,また各特殊ペーパ102に対して印刷する帳票フォームの種別を決めるものである。印刷手段114は,特殊ペーパ102に対して上記識別番号に対応した識別マークと帳票フォームとをプリンタ装置104を用いて印刷するものである。デジタル化データ識別手段115は,調査員の持つ電子ペン101から送信されたデジタル化データを通信装置120により受信し,上記デジタル化データがどの帳票に書かれたものであるかを識別するものである。文書作成手段116は,上記デジタル化データの文字認識を行うとともに,上記デジタル化データとそれに対応する帳票種別とに基づいて調査結果報告書等の文書を自動作成するものである。入力装置118は,装置103に対して入力を行うためのキーボード端末などである。表示装置119は,装置103内で処理されている情報や帳票・文書などの情報を表示するためのディスプレイである。通信装置120は,ネットワーク107を介して電子ペン101から送信されてきたデジタル化データを受信する通信装置である。
【0020】
本実施形態では,文書作成支援システム108を適切に動作させることにより,本発明の目的である,同一ドットパターンを持つ同じ種類の特殊ペーパであってもそれぞれ別の特殊ペーパとして識別することを実現している。さらに,上記特殊ペーパから作成された多種多枚数の帳票に手書き記入を行った場合,そのデジタル化データとそれに対応する帳票フォームとに基づいて,適切な電子文書を自動的に作成することを実現している。以下,この動作について,図3を用いて説明する。
【0021】
(ステップ301) 装置103の帳票種別受付手段111では,帳票フォームデータベース121に格納されている利用可能な帳票フォームの一覧を,表示装置119上に表示する。
【0022】
(ステップ302) 調査員は,当日実施する予定の巡回調査の件数を入力装置118より入力し,また上記表示された帳票フォーム一覧の中から各巡回調査先において使用する帳票フォームを選択し入力装置118より入力する。説明の簡略化のため,本実施形態では,m種類の帳票を1セットとして1巡回先当り1セット分の帳票を使用するものとし,合計n件の巡回調査を行うものとする。
【0023】
(ステップ303) 装置103の帳票種別受付手段111では,上記入力に基づいて帳票の必要枚数を計算する。本実施形態では,上記仮定によりn×m枚の帳票が必要となる。帳票種別受付手段111は,上記算出された必要枚数n×m枚分の生の特殊ペーパ102をプリンタ装置104にセットするよう表示装置119上に表示する。
【0024】
(ステップ304) 調査員は,表示装置119上に提示されたn×m枚分の特殊ペーパ102をプリンタ装置104にセットし,その旨を入力装置118より入力する。このときセットする特殊ペーパ102は,全てのものが同一ドットパターンを持つ同じ種類の特殊ペーパであってもよいし,異なるドットパターンを持つ別の種類の特殊ペーパが混ざったものであってもよい。
【0025】
(ステップ305) 装置103のドットパターン読込手段112では,プリンタ装置104を制御して上記セットされたn×m枚の特殊ペーパ102のドットパターン印刷面を光学的に読み取り,各特殊ペーパ102のドットパターンの同一性を識別し,その結果を特殊ペーパ情報データベース122に記録する。ここで,特殊ペーパ情報データベース122の管理項目例を図4に示す。データベース122には,各個々の特殊ペーパ102ごとに,「特殊ペーパ読み込み順序」欄401,「ドットパターン種別」欄402,「同一特殊ペーパ識別番号」欄403,「帳票フォームセット番号」欄404,「帳票フォーム種別」欄405を用意している。ドットパターン読込手段112は,プリンタ装置104から上記n×m枚の特殊ペーパ102を読み込んだ順番を「特殊ペーパ読込順序」欄401に記録し,各特殊ペーパ102の持つドットパターンの種別を「ドットパターン種別」欄402に記録する。図4の例では,全部で3種類のドットパターン種別(パターン1,パターン2,パターン3)が存在するものとしている。
【0026】
(ステップ306) 装置103の識別情報割り当て手段113では,同一種別の特殊ペーパ102に対して固有の識別番号(通し番号)を割り当て,それをデータベース122の「同一特殊ペーパ識別番号」欄403に記録する。このとき同一種別の特殊ペーパ同士で上記識別番号の数字の重複は認められないが,異なる種別の特殊ペーパ同士では識別番号の数字が重複してもかまわない。さらに識別情報割り当て手段113は,上記ステップ302において調査員によって設定されたm種類×nセット分の帳票フォームを各特殊ペーパ102に対して適当に割り当て,帳票フォームのセット番号(1〜n)をデータベース102の「帳票フォームセット番号」欄404に記録し,帳票フォーム種別(調査票1,調査票2,…)を「帳票フォーム種別」欄405に記録する。
【0027】
(ステップ307) 装置103の印刷手段114では,データベース122にアクセスして,各特殊ペーパ102に対して割り当てられた帳票フォームと同一特殊ペーパ識別番号とを呼び出し,さらに識別マークデータベース123にアクセスして,上記同一特殊ペーパ識別番号に対応する識別マークを呼び出し,プリンタ104を制御して各特殊ペーパ102のドットパターン印刷面にそれぞれ対応する上記帳票フォームと上記識別マークとを印刷して帳票105を作成する。ここで,帳票マークデータベース123の管理項目例を図5に示す。データベース123には,「同一特殊ペーパ識別番号」欄501,「識別マーク」欄502を用意しており,欄501には同一特殊ペーパ識別番号(通し番号)を記録し,欄502には各識別番号に対応するそれぞれ表示の異なる識別マークを記録している。本実施形態では,識別マークとしてバーコード型マーク,チェックボックス型マーク,順列ボックス型マークの3種類を用意しているが,上記のいずれか1種類のみであってもかまわない。このとき,バーコード型マークとは,所定の太さ,間隔を持つ線分の集まりであり,チェックボックス型マークとは,所定の位置に表示/非表示されたボックスの集まりであり,順列ボックス型マークとは,所定の順序で並んだ1〜MまでのM個の数字付きボックスの集まりである。
【0028】
(ステップ308) 調査員は,上記作成された帳票105を持参して巡回調査先に出向き,調査終了後,電子ペン101を使って帳票105に調査結果の書き込みを行う。ここで,帳票105の外観と記入例を図6に示す。帳票105では,上部に識別マーク601a/b/cが印刷され,中央部に帳票フォーム603が印刷され,下部には電子ペン101に対してデータの送信を指示する送信ボックス603が配置されている。図6の例では,説明を一度で済ませるため上記3種類の識別マーク全てを印刷したものとしているが,実際の利用の際にはいずれか1種類の識別マークでよい。但し、識別マークの印刷位置を特殊ペーパが使用するドットパターン領域のうちの所定の場所に決めておく必要がある。なお、バーコードの印刷に関しては、印刷用のインキがドットパターンを覆ったら電子ペンのカメラによってドットパターンが読み取れないインキであることを要する。
【0029】
さて調査者は,電子ペン101を使って,識別マーク601a/b/c部分にチェックマーク604a/b/cを書き込み,帳票フォーム602内に調査結果605を書き込む。このとき,バーコード型マーク601aにチェックマークを書き込むときは,バーコード全体をなぞるように一本線を引くようにしてチェックマーク604aを記入する。チェックボックス型マーク601bのときは,全てのボックス内にチェックを入れるようにしてチェックマーク604bを記入する。順列ボックス型マーク601cのときは,ボックス内に書かれた数字の順番通りにボックス内にチェックを入れるようにしてチェックマーク604cを記入する。
【0030】
(ステップ309) 上記帳票記入において,電子ペン101では,筆圧センサが作動しているときのみ,内蔵カメラ203により帳票105に印刷されているドットパターンを0.01秒オーダの所定周期で読み取り,プロセッサ206によってペン先の位置情報(2次元絶対座標情報)をその書き込んだ順に取得し,メモリ207内に記録する。すなわち図6に示す書き込み内容604a,604b,604cおよび605は,それぞれ図7に示すドットパターン絶対座標空間701上の座標点列データ704a,704b,704cおよび705としてデジタル化され,ペン内のメモリ207に記録される。このとき,バーコード型マーク601aに対するチェックマーク604aのデジタル化については,電子ペン101がバーコードの線分によって塗りつぶされた部分のドットパターンを読み取れないため,図7に示すようにバーコード線分部分を含まない点線状の座標点列データ704aとなる。 またところで,帳票105の書き込み領域に対しては,そのドットパターン種別に応じて,空間701上にそれぞれ異なるエリア702,703を対応付けるように印刷される。そのため,帳票105に書き込んだ内容のデジタル化データの絶対座標値から,帳票105のドットパターン種別を識別できるようになっている。
【0031】
(ステップ310) 調査員は,帳票105への調査結果の書き込み終了後,最後に電子ペン101を使って帳票105内の送信ボックス603内にチェックマーク606を書き込む。調査員は,n×m枚の全ての帳票105に対してこの作業を繰り返す。
【0032】
(ステップ311) 電子ペン101では,送信ボックス603への上記書き込みによって,内蔵カメラ203により送信ボックス603内の特殊なドットパターンを読み取る。このアクションをトリガーとして,電子ペン101では,内蔵メモリ207内に記録したデジタル化データを,bluetoothトランシーバ209から装置103に向けて送信する。1帳票分のデジタル化データが1ファイルとなり,調査員1人につき合計n×m個のファイルが送信されることになる。送信されたデータは,bluetooth対応携帯電話レシーバ106およびネットワーク107を介して装置103に到達する。
【0033】
(ステップ312) 装置103のデジタル化データ識別手段115では,電子ペン101より送信された合計n×m個のデジタル化データファイルを通信装置120により受信する。そして,図7のドットパターン絶対座標空間701上に示す特殊ペーパ102のドットパターン種別と対応エリアとの関係に基づいて,各データファイルのデータの絶対座標値から,そのデータが書き込まれた帳票105のドットパターン種別を識別する。また各データファイルのデジタル化データ704a/b/cに基づいて,そのデータが書き込まれた帳票105の持つ識別マーク601a/b/cの形状を復元する。例えば,帳票105の識別マークがマークシート型マークのときは,デジタル化データ704aからバーコードを構成する各線分の太さや間隔を求め,それに基づいてバーコードの形状を復元する。識別マークがチェックボックス型マークのときは,デジタル化データ704bからチェックボックスを構成するボックスの位置や個数を求め,それに基づいてチェックボックスの配置を復元する。識別マークが順列ボックス型マークのときは,デジタル化データ704cから順列ボックスを構成するボックスの書き込み順序を求め,それに基づいて順列ボックスの並びを復元する。
【0034】
そしてデジタル化データ識別手段115では,各個別のデータファイルそれぞれに対して,識別マークデータベース123にアクセスして,上記復元された識別マーク601a/b/cから上記各データが書き込まれた帳票105の同一特殊ペーパ識別番号を求め,また特殊ペーパ情報データベース122にアクセスして,上記求められたドットパターン種別と同一特殊ペーパ識別番号とから,上記各データが書き込まれた帳票105の帳票フォーム名称と帳票フォームセット番号とを割り出す。
【0035】
(ステップ313) 上記ステップ312までの処理によって,m種類×nセット分の帳票それぞれに対して,その書き込み内容のデジタル化データが求められていることになる。装置103の文書作成手段116では,上記デジタル化データの調査結果内容に相当する部分705の文字認識処理を行い,同じ帳票フォームセット番号を持つm枚の帳票のデジタル化データを一まとめにしてデータの取捨選択・マージなどを行い,巡回調査先1件1件ごとの調査結果報告書を作成する。最後に文書作成手段116では,再利用可能なように上記自動作成された調査結果報告書を文書データベース124に記録する。
【0036】
以上のようにして,文書作成支援システム108が適切に動作して,本発明の目的である,同一ドットパターンを持つ同じ種類の特殊ペーパであってもそれぞれ別の特殊ペーパとして識別することが実現される。さらに,上記特殊ペーパから作成された多種多枚数の帳票に手書き記入を行った場合,そのデジタル化データと対応する帳票フォームとに基づいて,適切な電子文書を自動的に作成することが実現される。すなわち,上記ステップ306,307により,同一ドットパターンを持つ特殊ペーパに対して識別マークを割り当てて印刷し,上記ステップ312により,上記識別マーク部分に書き込んだチェックマークのデジタル化データから元の識別マークを復元しているため,それぞれ別の特殊ペーパとして識別することが可能となる。また,上記ステップ312により,各デジタル化データが書き込まれた帳票の帳票フォーム名称と帳票フォームセット番号とを割り出し,上記ステップ313により,帳票フォームセット番号ごとにデータの文字認識,マージ,取捨選択などを行っているため,各デジタル化データごとの帳票フォームを考慮した文書自動作成が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば,特殊ペーパ上に印刷されたドットパターンを電子ペンで読み取ることによって特殊ペーパ上に手書きした文字や図形をデジタル化する電子ペンシステムにおいて,同一ドットパターンを有する同じ種類の特殊ペーパであってもそれぞれ別の特殊ペーパとして識別できるようになるため,異なるドットパターンを有する特殊ペーパを使用する識別方法に比べて,特殊ペーパの印刷コストやドットパターン使用ライセンス料を安く済ませることが可能となる。
【0038】
また本発明によれば,特殊ペーパ上に印刷されたドットパターンを電子ペンで読み取ることによって特殊ペーパ上に手書きした文字や図形をデジタル化する電子ペンシステムにおいて,特殊ペーパに書き込んだ内容のデジタル化データと,その特殊ペーパに印刷された帳票フォームとに基づいて適切な文書作成が可能となるため,文書作成業務の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の文書作成支援システムの一実施例のシステム構成を示す図である。
【図2】文書作成支援システムで用いる電子ペンと特殊ペーパの仕組みを示す図である。
【図3】文書作成支援システムの処理フローを示す図である。
【図4】文書作成支援装置内の特殊ペーパ情報データベースのフォーマットの一例を示す。
【図5】文書作成支援装置内の識別マークデータベースのフォーマットの一例を示す。
【図6】巡回調査先にて使用される帳票の印刷イメージと記入例を示す。
【図7】特殊ペーパに書き込んだ内容のデジタル化データ(座標点列データ)とドットパターン絶対座標空間との関係を示す図である。
【符号の説明】
101…電子ペン,102…特殊ペーパ,103…文書作成支援装置,104…プリンタ装置,105…帳票,106…携帯電話,107…ネットワーク,108…文書作成支援システム,111…帳票種別受付手段,112…ドットパターン読込手段,113…識別情報割り当て手段,114…印刷手段,115…デジタル化データ識別手段,116…文書作成手段,118…入力装置,119…表示装置,120…通信装置,121…帳票フォームデータベース,122…特殊ペーパ情報データベース,123…識別マークデータベース,124…文書データベース。

Claims (9)

  1. ペーパへの書き込み内容を読み取り,デジタル化する電子ペンと,前記電子ペンがデジタル化したデジタル化データから文書データを作成する文書作成支援装置と,からなる文書作成支援システムにおいて,
    前記文書作成支援装置は,
    複数の前記文書データ各々を識別するための文書識別子と,複数の前記ペーパの各々を識別するためのペーパ識別子と,を1対1に対応づける識別情報割り当て手段と,
    プリンタ装置を用いて,前記ペーパに対して,前記ペーパ識別子毎に固有の配置により前記ペーパ識別子を表現する,複数のチェックボックスを印刷させる印刷手段と,
    前記電子ペンがデジタル化する,前記複数のチェックボックスの総てに書き込まれたチェックマークの位置情報から,前記チェックボックスの配置を求め,求めた前記チェックボックスの配置に基づき,前記ペーパ識別子を特定し,
    前記特定したペーパ識別子により前記文書識別子を特定するデジタル化データ識別手段と,を備える
    ことを特徴とする文書作成支援システム。
  2. 請求項1に記載の文書作成支援システムであって,
    前記ペーパは,ドットパターンが印刷された特殊ペーパであって,
    前記文書作成支援装置は,
    複数の前記特殊ペーパのドットパターンを読み取るドットパターン読込手段を備え,
    前記印刷手段は,前記読み取ったドットパターンが同一の複数の特殊ペーパの各々に,前記ペーパ識別子に対応する固有の配置のチェックボックスを,前記プリンタ装置に印刷させる
    ことを特徴とする文書作成支援システム。
  3. 請求項2に記載の文書作成支援システムであって,
    前記文書作成支援装置の前記識別情報割り当て手段は,
    読み取ったドットパターンが同一の,複数の特殊ペーパに共通で,他のドットパターンの特殊ペーパとは異なるドットパターン識別子を,前記特殊ペーパのドットパターンに割り当て,
    前記ドットパターンが同一の特殊ペーパの各々に,固有の前記ペーパ識別子を割り当て,
    前記電子ペンは,書き込み内容を読み取る際に,前記特殊ペーパの前記ドットパターンを読み取り,前記読み取ったドットパターンに基づきドットパターン識別子を特定し,特定したドットパターンを前記文書作成支援装置に送信する手段を備え,
    前記文書作成支援装置の前記デジタル化データ識別手段は,
    前記ペーパ識別子と,前記電子ペンから受信した,特定された前記ドットパターン識別子と,に基づき,前記文書識別子を特定する
    ことを特徴とする文書作成支援システム。
  4. ペーパへの書き込み内容を読み取り,デジタル化する電子ペンを利用し,前記電子ペンがデジタル化したデジタル化データから文書データを作成するシステムに用いる文書作成支援装置において,
    複数の前記文書データ各々を識別するための文書識別子と,複数の前記ペーパの各々を識別するためのペーパ識別子と,を1対1に対応づける識別情報割り当て手段と,
    プリンタ装置を用いて,前記ペーパに対して,前記ペーパ識別子毎に固有の配置により前記ペーパ識別子を表現する,複数のチェックボックスを印刷させる印刷手段と,を備える
    ことを特徴とする文書作成支援装置。
  5. 請求項4に記載の文書作成支援装置であって,
    前記ペーパは,ドットパターンが印刷された特殊ペーパであって,
    複数の前記特殊ペーパのドットパターンを読み取るドットパターン読込手段を備え,
    前記印刷手段は,前記読み取ったドットパターンが同一の複数の特殊ペーパの各々に,前記ペーパ識別子に対応する固有の配置のチェックボックスを,前記プリンタ装置に印刷させる
    ことを特徴とする文書作成支援装置。
  6. 請求項5に記載の文書作成支援装置であって,
    前記識別情報割り当て手段は,
    読み取ったドットパターンが同一の,複数の特殊ペーパに共通で,他のドットパターンの特殊ペーパとは異なるドットパターン識別子を,前記特殊ペーパのドットパターンに割り当て,
    前記ドットパターンが同一の特殊ペーパの各々に,固有の前記ペーパ識別子を割り当てる
    ことを特徴とする文書作成支援装置。
  7. ペーパへの書き込み内容をデジタル化する電子ペンと,前記電子ペンがデジタル化したデジタル化データから文書データを作成する文書作成支援装置と,からなる文書作成支援システムにおいて,
    前記ペーパの各々には,
    複数の前記文書データ各々を識別するための文書識別子と1対1に対応づけられた,複数の前記ペーパの各々を識別するためのペーパ識別子が割り当てられ,
    前記ペーパ識別子を表現する,前記ペーパ識別子毎に固有の配置の,複数のチェックボックスが印刷されており,
    前記文書作成支援装置は,
    前記電子ペンがデジタル化する,前記複数のチェックボックスの総てに書き込まれたチェックマークの位置情報から,前記チェックボックスの配置を求め,求めた前記チェックボックスの配置に基づき,前記ペーパ識別子を特定し,
    前記特定したペーパ識別子により前記文書識別子を特定するデジタル化データ識別手段と,を備える
    ことを特徴とする文書作成支援システム。
  8. 請求項7に記載の文書作成支援システムであって,
    前記ペーパは,ドットパターンが印刷された特殊ペーパであって,
    前記特殊ペーパには,ドットパターンが同一の複数の特殊ペーパの各々に,前記ペーパ識別子に対応する固有の配置のチェックボックスが印刷されており,
    前記特殊ペーパのドットパターンには,ドットパターンが同一の,複数の特殊ペーパに共通で,他のドットパターンの特殊ペーパとは異なるドットパターン識別子が割り当てられ,
    前記ペーパ識別子は,前記ドットパターンが同一の特殊ペーパの各々に,固有であって,
    前記電子ペンは,書き込み内容を読み取る際に,前記特殊ペーパの前記ドットパターンを読み取り,前記読み取ったドットパターンに基づきドットパターン識別子を特定し,特定したドットパターンを前記文書作成支援装置に送信する手段を備え,
    前記文書作成支援装置の前記デジタル化データ識別手段は,前記ペーパ識別子と,前記電子ペンから受信した前記ドットパターン識別子と,に基づき,前記文書識別子を特定する
    ことを特徴とする文書作成支援システム。
  9. ドットパターンが印刷された特殊ペーパから,前記ドットパターンを読み取って当該特殊ペーパへの書き込み内容をデジタル化する電子ペンと,前記電子ペンから,前記デジタル化したデジタル化データを受信し,ネットワークに送信する携帯型通信装置と,前記携帯型通信装置から前記ネットワークを介して前記デジタル化データを受信し,巡回調査データを収集する計算機とからなり,
    前記特殊ペーパの各々には,
    ドットパターンが同一の,複数の特殊ペーパに共通で,他のドットパターンの特殊ペーパとは異なるドットパターン識別子が割り当てられ,
    複数の前記帳票データ各々を識別するための帳票識別子と1対1に対応づけられた,複数の,ドットパターンが同一の前記ペーパの各々を識別するためのペーパ識別子が割り当てられ,
    ドットパターンが同一の複数の特殊ペーパの各々に,
    前記ペーパ識別子を表現する,前記ペーパ識別子毎に固有の配置の,複数のチェックボックスが印刷されており,
    前記電子ペンは,読み取ったドットパターンに基づいて,前記ドットパターン識別子を特定し,特定した前記ドットパターン識別子を,前記計算機に送信し,
    前記計算機は,
    前記電子ペンがデジタル化する,前記複数のチェックボックスの総てに書き込まれたチェックマークの位置情報から,前記チェックボックスの配置を求め,求めた前記チェックボックスの配置に基づき,前記特殊ペーパ識別子を特定し,
    前記特定した特殊ペーパ識別子と,前記電子ペンから受信した,特定された前記ドットパターン識別子と,に基づき,前記帳票識別子を特定するデジタル化データ識別手段と,を備える
    ことを特徴とする巡回調査データ収集システム。
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