JP4635945B2 - 筆記情報処理装置、筆記情報処理方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1では、座標情報及び同一性情報を含むコードシンボルが多数配列された記録媒体に対し、画像ソースに基づいて生成された画像データに従い画像を形成する。その際、記録媒体から読み取ったコードシンボルをデコードして同一性情報を獲得し、その同一性情報と画像ソースを特定する画像ソース特定情報との対応付けを行う。そして、筆記動作に伴い、認識された座標情報から加筆情報を得、これを認識された同一性情報に対応付けられた画像ソース特定情報によって特定される画像ソースにデータ上で加筆する。
しかしながら、特許文献1〜3の技術において、筆記情報は、紙面に印刷した電子文書そのもの(オリジナルの電子文書)に対して関連付けられている。従って、オリジナルの電子文書が複数のユーザで共有される場合には、次のような問題点があった。
第二に、電子文書が修正された場合に、電子文書に関連付けられた筆記情報との間に矛盾が生じてしまうという問題点である。つまり、オリジナルの電子文書は将来編集される可能性があるが、筆記情報をそれに合わせて編集することは困難である。従って、このような場合に、電子文書の適切な位置に筆記情報が反映されなくなってしまうのである。
また、本発明の他の目的は、電子文書に関連付けた筆記情報が他のユーザに見えることを防止することにある。
更に、本発明の他の目的は、電子文書に関連付けた筆記情報と電子文書との間に矛盾が生じることを防止することにある。
本実施の形態では、紙等の媒体に対し、電子文書の文書画像に加え、コードパターン画像を印刷する。コードパターン画像とは、識別情報及び位置情報を符号化して得られる識別符号及び位置符号を画像化したものである。
ここで、識別情報としては、媒体を一意に識別する識別情報、又は、媒体に印刷された電子文書を一意に識別する識別情報のいずれかが採用される。前者の識別情報を採用した場合、同じ電子文書を複数部数印刷すると、異なる媒体には異なる識別情報が付与される。一方、後者の識別情報を採用した場合、同じ電子文書を印刷すると、異なる媒体であっても同じ識別情報が付与される。
また、位置情報は、媒体上の座標位置を表す情報である。
そして、この特定された電子文書に対し、筆記情報が関連付けられる。
ところで、上述したように、識別情報としては、媒体を一意に識別する識別情報と、媒体に印刷された電子文書を一意に識別する識別情報とがある。そこで、前者の識別情報を採用したシステムを第1の実施の形態として、また、後者の識別情報を採用したシステムを第2の実施の形態として説明する。
本実施の形態では、既に述べたように、媒体の識別情報をコードパターン画像に埋め込む。そこで、本実施の形態において「識別情報」というときは、媒体の識別情報を指すものとする。例えば、同じ電子文書から作成した印刷文書に各人が別々にメモ等を書き込むような場合に、媒体ごとに異なる識別情報を埋め込むと便利である。媒体に対する筆記情報を媒体ごとに別々に管理することが容易に行えるからである。
また、媒体ごとに異なる識別情報を埋め込んでおけば、情報追跡にも役立つ。例えば、媒体の識別情報と印刷を指示したユーザとの対応を記録しておくことで、特定の印刷文書を誰が出力したか容易に把握できるようになる。
尚、以下では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いる。しかしながら、媒体ごとに異なる位置情報をコードパターン画像に埋め込み、その位置情報の違いにより媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法を採用した場合は、位置情報に媒体を識別する機能も備わっているものと見て、これを識別情報と考えるものとする。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成を示したものである。このシステムは、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40とがネットワーク90に接続されることにより構成されている。また、このシステムは、印刷文書50と、電子ペン60とを含む。
文書サーバ20は、電子文書を記憶している。そして、電子文書の印刷指示があると、電子文書の画像とコードパターン画像とを重畳した重畳画像の形成指示を出力する。また、本実施の形態において、文書サーバ20は、電子文書を複製する機能も有する。尚、この文書サーバ20は、汎用のサーバコンピュータによって実現することができる。
画像形成装置40は、媒体に画像を形成する。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いることができるが、その他の如何なる方式を用いてもよい。
電子ペン60は、印刷文書50に文字又は図形を記録する機能を有するペンデバイスである。また、本実施の形態において、電子ペン60は、コードパターン画像から取得した情報を他の装置に送信する機構も有する。
図2は、このときの動作を示したシーケンス図である。
まず、ユーザが、端末装置10を操作し、文書サーバ20に格納された電子文書の中から印刷対象の電子文書を指定する。これにより、端末装置10は、その電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ101)。尚、このとき、端末装置10は、ユーザが指定した印刷パラメータも送信する。ここで、印刷パラメータには、ページ、部数、用紙サイズ、N−up(用紙の1ページ内に電子文書のNページを割り付ける印刷)、余白等がある。
次に、識別情報サーバ30は、識別情報と、電子文書の格納場所と、印刷パラメータとを関連付けてデータベースに登録する(ステップ303)。そして、識別情報サーバ30は、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ304)。
その後、文書サーバ20は、電子文書の文書画像とコードパターン画像とを画像形成装置40に送信し、画像形成を指示する(ステップ205)。この指示は、例えば、電子文書、識別情報、位置情報からページ記述言語(PDL:Print Description Language)を生成し、これを送信することで行うことができる。
また、コードパターン画像は、画像形成装置40で生成することもできる。この場合は、文書サーバ20又は識別情報サーバ30が、電子文書から生成したPDLに識別情報を付加して画像形成装置40へ送信し、画像形成装置40が識別情報を含むコードパターン画像を生成することになる。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが、人間の目で認識し難いものも「不可視」に含める。
また、この不可視トナーは、画像の機械読取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径が100nm〜600nmの範囲のものが望ましい。
図3は、コードパターンについて説明するための図である。
まず、コードパターンを構成するビットパターンについて説明する。
図3(a)に、ビットパターンの配置の一例を示す。
ビットパターンとは、情報埋め込みの最小単位である。ここでは、図3(a)に示すように、9箇所の中から選択した2箇所にビットを配置する。図では、黒の四角が、ビットが配置された位置を示し、斜線の四角が、ビットが配置されていない位置を示している。9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは、36(=9C2)通りある。従って、このような配置方法により、36通り(約5.2ビット)の情報を表現することができる。
但し、識別情報及び位置情報は、この36通りのうち32通り(5ビット)を使用して表現するものとする。
尚、ドットをこのような大きさにすることで、1つのビットパターンの一辺は、約0.5(=0.0423×2×6)mmとなる。
図3(b)に、コードパターンの配置の一例を示す。
ここで、図3(b)に示した最小の四角が、図3(a)に示したビットパターンに相当する。即ち、識別情報を符号化した識別符号は、16(=4×4)個のビットパターンを使用して埋め込まれる。また、X方向の位置情報を符号化したX位置符号と、Y方向の位置情報を符号化したY位置符号とは、それぞれ、4個のビットパターンを使用して埋め込まれる。更に、左上角部に、コードパターンの位置と回転を検出するための同期符号が、1つのビットパターンを使用して埋め込まれる。
尚、1つのコードパターンの大きさは、ビットパターンの5個分の幅に等しいため、約2.5mmとなる。本実施の形態では、このように生成したコードパターンを画像化したコードパターン画像を、用紙全面に配置する。
図4は、このような符号化及び画像生成の処理について説明するための図である。
まず、識別情報の符号化について説明する。
識別情報の符号化には、ブロック符号化方式のRS(リードソロモン)符号が使用される。図3で説明した通り、本実施の形態では、5ビットの情報を表現できるビットパターンを用いて情報を埋め込む。従って、情報の誤りも5ビット単位で発生するため、ブロック符号化方式で符号化効率が良いRS符号を使用している。但し、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用することもできる。
そして、ブロック化された識別情報に対し、RS符号化処理を行う。図4では、「blk1」、「blk2」、「blk3」、「blk4」、…というようにブロック化した後、RS符号化が行われる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、K段の線形シフトレジスタで発生できる最大周期の系列であり、2K−1の系列長をもつ。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用することにより、位置情報を符号化することができる。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。
この場合、位置情報も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。図4では、M系列「11010011011010…」が、5ビットずつブロック化されている。
その後、各ブロックにおけるビットパターンが、ドット画像を参照することにより画像化される。そして、図4の最右に示すようなドットで情報を表す出力画像が生成される。
まず、印刷文書50に対する筆記を読み取るのに用いられる電子ペン60について説明する。
図5は、電子ペン60の機構を示した図である。
図示するように、電子ペン60は、ペン全体の動作を制御する制御回路61を備える。また、制御回路61は、入力画像から検出したコードパターン画像を処理する画像処理部61aと、そこでの処理結果から識別情報及び位置情報を抽出するデータ処理部61bとを含む。
そして、制御回路61には、電子ペン60による筆記動作をペンチップ69に加わる圧力によって検出する圧力センサ62が接続されている。また、媒体上に赤外光を照射する赤外LED63と、画像を入力する赤外CMOS64も接続されている。更に、識別情報及び位置情報を記憶するための情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、ペンを駆動するためのバッテリ67と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ68も接続されている。
電子ペン60による筆記が行われると、ペンチップ69に接続された圧力センサ62が、筆記動作を検出する。これにより、赤外LED63が点灯し、赤外CMOS64がCMOSセンサによって媒体上の画像を撮像する。
尚、赤外LED63は、消費電力を抑制するために、CMOSセンサのシャッタタイミングに同期させてパルス点灯する。
また、赤外CMOS64は、撮像した画像を同時に転送できるグローバルシャッタ方式のCMOSセンサを使用する。そして、赤外領域に感度があるCMOSセンサを使用する。また、外乱の影響を低減するために、CMOSセンサ全面に可視光カットフィルタを配置している。CMOSセンサは、70fps〜100fps(frame per second)程度の周期で、画像を撮像する。尚、撮像素子はCMOSセンサに限定するものではなく、CCD等、他の撮像素子を使用してもよい。
以下、このときの制御回路61の動作について説明する。
図6は、制御回路61の動作を示したフローチャートである。
まず、画像処理部61aは、画像を入力する(ステップ601)。そして、画像に含まれるノイズを除去するための処理を行う(ステップ602)。ここで、ノイズとしては、CMOS感度のばらつきや電子回路により発生するノイズ等がある。ノイズを除去するために如何なる処理を行うかは、電子ペン60の撮像系の特性に応じて決定すべきである。例えば、ぼかし処理やアンシャープマスキング等の先鋭化処理を適用することができる。
また、画像処理部61aは、検出したドットパターンを2次元配列上のデジタルデータに変換する(ステップ604)。例えば、2次元配列上で、ドットがある位置を「1」、ドットがない位置を「0」というように変換する。そして、この2次元配列上のデジタルデータは、画像処理部61aからデータ処理部61bへと受け渡される。
このようにしてビットパターンが検出されると、データ処理部61bは、ビットパターンの種類を参照することにより、同期符号を検出する(ステップ606)。そして、同期符号からの位置関係に基づいて、識別符号及び位置符号を検出する(ステップ607)。
その後、データ処理部61bは、識別符号を復号して識別情報を取得し、位置符号を復号して位置情報を取得する(ステップ608)。識別符号については、RS復号処理を施すことで識別情報を得る。一方、位置符号については、読み出した部分系列の位置を、画像生成時に使用したM系列と比較することで、位置情報を得る。
図7は、端末装置10、文書サーバ20、識別情報サーバ30の機能構成を示した図である。尚、端末装置10、文書サーバ20、識別情報サーバ30は、印刷文書50を生成するための機能も有しているが、ここでは、筆記情報を電子文書に付加するための機能のみを示す。
入力部11は、ユーザへの問い合わせに対する応答等を入力し、出力部12は、ユーザへの問い合わせ等を出力する。筆記生成部13は、電子ペン60から得た位置情報に基づいて筆記情報を生成する。送信部14は、識別情報、筆記情報、ユーザへの問い合わせに対する応答等を送信する。受信部15は、電子ペン60からは、識別情報及び位置情報を受信し、識別情報サーバ30からは、ユーザへの問い合わせ等を受信する。
このうち、筆記生成部13は、筆記情報を生成していることから、筆記情報取得手段としての機能を有する。
文書記憶部21は、電子文書を記憶する。文書生成部22は、文書記憶部21に記憶された電子文書を複製した新たな電子文書(以下、「複製文書」という)を生成し、これを文書記憶部21に記憶する。筆記付加部23は、文書記憶部21に記憶された複製文書に筆記情報を付加する。送信部24は、複製文書の生成や、複製文書に対する筆記情報の付加の結果を送信し、受信部25は、複製文書の生成や、複製文書に対する筆記情報の付加の指示を受信する。
DB記憶部31は、識別情報と、電子文書の格納場所と、印刷パラメータと、複製文書の存否を示すフラグとを対応付けたデータベースを記憶する。制御部32は、識別情報サーバ30全体の動作を制御し、登録部33は、DB記憶部31に記憶されたデータベースに情報を登録する。送信部34は、端末装置10へは、ユーザへの問い合わせ等を送信し、文書サーバ20へは、複製文書の生成や、複製文書に対する筆記情報の付加の指示を送信する。受信部35は、端末装置10からは、識別情報、筆記情報、ユーザへの問い合わせに対する応答等を受信し、文書サーバ20からは、複製文書の生成や、複製文書に対する筆記情報の付加の結果を受信する。
このうち、送信部34は、複製文書の生成や、複製文書に対する筆記情報の付加のための処理を行っていることから、文書生成手段や筆記記憶手段としての機能を有する。また、受信部35は、筆記情報を受信していることから、筆記情報取得手段としての機能を有する。
図8は、このデータベース内のデータの一例を示している。
このうち、図8(a)は、各媒体に印刷された電子文書を管理するためのテーブルを示している。
図示するように、このテーブルには、識別情報と、電子文書の格納場所と、印刷パラメータと、フラグとが項目として設けられている。
電子文書の格納場所は、各媒体に印刷された電子文書が格納された場所の情報(アドレス情報)である。
印刷パラメータは、各媒体に電子文書を印刷した際に設定した印刷パラメータである。図では、印刷パラメータを、「ページ(P),余白(A,B,C,D)」という形式で示している。Pはページ番号であり、A、B、C、Dは、それぞれ、左側、右側、上側、下側の余白(単位はmm)である。尚、ここでは、印刷パラメータとしてページ及び余白を示したが、これに限られるものではない。この他にも、通常の印刷で用いられる種々の印刷パラメータを管理することが可能である。
まず、1行目から4行目は、電子文書「aaa.doc」の第1ページから第2ページが2部印刷されたことを示している。その際、1部は、左右上下の余白が1mmで印刷され、もう1部は、左右上下の余白が2mmで印刷されている。
また、5行目は、電子文書「bbb.doc」の第1ページが1部印刷されたことを示している。その際、左右の余白は1mmで、上下の余白は2mmで印刷されている。
図8(b)は、このような複製文書を管理するテーブルを示している。
即ち、図8(a)の1行目で管理される媒体に対し、「aaa.doc」に対する複製文書である「aaa.xdw」の1ページ目が関連付けられている。また、図8(a)の2行目で管理される媒体に対し、「aaa.doc」に対する複製文書である「aaa.xdw」の2ページ目が関連付けられている。
図9は、このときの動作を示したシーケンス図である。
まず、電子ペン60は、図6の処理により取得した識別情報及び位置情報を端末装置10に送信する(ステップ611)。
次に、筆記生成部13は、受け渡された情報のうち位置情報に基づいて筆記情報を生成し、送信部14に受け渡す(ステップ112)。このとき、筆記情報は、媒体上の複数の位置を示す位置情報に基づいて生成される。
第一に、複数の位置情報を比較し、その中で特異点を取り除くフィルタ処理である。即ち、1回の筆記動作(ストローク)によって取得した複数の位置情報の連続性を検査し、連続性から大きく外れる点は、復号エラーがあった点として除外する。これにより、スムーズな筆記情報を得ることができる。
第二に、復号に失敗した位置情報を検出し、その位置情報を周辺の位置情報に基づいて補正する補正処理である。即ち、1回の筆記動作(ストローク)によって取得した複数の位置情報の連続性を検査することで、復号エラーを検出する。そして、復号に失敗した位置情報を、その近傍の復号に成功した位置情報を用いて補正する。ここで、補正方法としては、線形補間、スプライン補間等、公知の手法を用いることができる。
その後、送信部14は、識別情報及び筆記情報を識別情報サーバ30に送信する(ステップ113)。
複製文書があれば、その複製文書に筆記情報を追加する場合と、その複製文書とは別に新たな複製文書を生成してその新たな複製文書に筆記情報を付加する場合とが考えられる。そこで、本実施の形態では、このどちらを選択するかをユーザの判断に委ねているのである。例えば、図8(a)の1行目で管理される媒体に筆記がなされた場合、図8(b)の1行目で管理される複製文書に筆記情報を追加するか、図8(a)の1行目で管理されるオリジナルの電子文書から生成された新たな複製文書に筆記情報を付加するかが、問い合わせられる。
ここで、既にある複製文書に筆記情報を追加すると判定した場合は、その旨の指示を送信部34に対して行う。そして、送信部34が、ステップ312で特定した複製文書に対する筆記情報の追加を文書サーバ20に指示する(ステップ319)。
即ち、制御部32は、ステップ312で特定したオリジナルの電子文書に対する複製文書の生成指示を文書サーバ20に送信するよう送信部34に指示する。そして、送信部34は、文書サーバ20に対し、複製文書の生成を指示する(ステップ316)。例えば、図8(a)の3行目で管理される媒体に筆記がなされた場合、「aaa.doc」に対する複製文書の生成が指示される。
また、電子文書が編集されてしまうと、電子文書と筆記情報との対応関係が崩れ、矛盾が生じる場合がある。更に、電子文書の中には、Webページ等のように、印刷文書に相当するページ構造を持たないものもあり、印刷時の設定により印刷文書のレイアウトが大きく異なる場合がある。このような場合であっても、印刷文書と同じレイアウトを持つ電子文書を生成することで、筆記情報を適切な位置に反映させることができるのである。
まず、ユーザに対する問い合わせ等を行うことなく、筆記情報を付加する電子文書をシステム側で決めてしまうという方法である。
或いは、筆記情報を付加すべき電子文書の選択方法が印刷時に既に決まっている場合は、その選択方法を指定する指定情報をコードパターン画像の一部として媒体に埋め込んでおいてもよい。この場合は、電子ペン60がコードパターン画像から識別情報及び位置情報を取得する際に、この指定情報も取得し、識別情報サーバ30に送信する。そして、識別情報サーバ30では、ステップ315での判定をこの指定情報に基づいて行う。
第二に、オリジナルの電子文書が編集された場合、電子文書と筆記情報との間に矛盾が生じる可能性がある。従って、本実施の形態では、筆記した時点での電子文書の状態を保存してそれに筆記情報を付加するようにし、かかる矛盾が生じないようにしているのである。特に、複製文書を「XDW形式」や「PDF形式」で生成し、筆記情報をアノテーション等により付加する構成とすることで、このような矛盾の発生はより確実に防止できる。
本実施の形態では、既に述べたように、電子文書の識別情報をコードパターン画像に埋め込む。そこで、本実施の形態において「識別情報」というときは、電子文書の識別情報を指すものとする。例えば、アンケート等、同じ電子文書から作成した複数の印刷文書に対する筆記情報を後で統合するような場合に、電子文書ごとの識別情報を埋め込むと便利である。また、識別情報の数が少なく、枯渇が懸念される場合にも、電子文書ごとの識別情報を採用するメリットがある。
尚、電子文書の識別情報としては、電子文書のファイル名や格納場所の情報も考えられる。しかしながら、本実施の形態では、電子文書の識別情報として、電子文書のファイル名や格納場所の情報とは別に付与された「文書ID」を想定する。また、電子文書が複数ページからなる場合は、ページ番号も併せて埋め込むことが望ましい。但し、以下では、説明を簡単にするため、ページについては考えないものとする。
図10は、本実施の形態が適用されるシステムの構成を示したものである。このシステムは、端末装置10と、文書サーバ20と、画像形成装置40とがネットワーク90に接続されることにより構成されている。また、このシステムは、印刷文書50と、電子ペン60とを含む。
尚、このシステムにおける各構成要素については、第1の実施の形態で述べたものと同様であるので、説明を省略する。
図11は、このときの動作を示したシーケンス図である。
まず、ユーザが、端末装置10を操作し、文書サーバ20に格納された電子文書の中から印刷対象の電子文書を指定する。これにより、端末装置10は、その電子文書の印刷指示を文書サーバ20に送信する(ステップ121)。
その後、文書サーバ20は、電子文書の文書画像とコードパターン画像とを画像形成装置40に送信し、画像形成を指示する(ステップ224)。この指示は、例えば、電子文書、識別情報、位置情報からページ記述言語(PDL:Print Description Language)を生成し、これを送信することで行うことができる。
更に、本実施の形態で生成されるコードパターン画像の元となるコードパターンについても、第1の実施の形態で述べたものと同様であるので、説明を省略する。
まず、印刷文書50に対する筆記を読み取るのに用いられる電子ペン60については、その機構及び動作共、第1の実施の形態で述べたものと同様であるので、説明を省略する。
図12は、端末装置10と文書サーバ20の機能構成を示した図である。尚、端末装置10と文書サーバ20は、印刷文書50を生成するための機能も有しているが、ここでは、筆記情報を電子文書に付加するための機能のみを示す。
入力部11は、ユーザへの問い合わせに対する応答等を入力し、出力部12は、ユーザへの問い合わせ等を出力する。筆記生成部13は、電子ペン60から得た位置情報に基づいて筆記情報を生成する。送信部14は、識別情報、筆記情報、ユーザへの問い合わせに対する応答等を送信する。受信部15は、電子ペン60からは、識別情報及び位置情報を受信し、文書サーバ20からは、ユーザへの問い合わせ等を受信する。
このうち、筆記生成部13は、筆記情報を生成していることから、筆記情報取得手段としての機能を有する。
文書記憶部21は、電子文書を記憶する。文書生成部22は、文書記憶部21に記憶された電子文書を複製した新たな電子文書(複製文書)を生成し、これを文書記憶部21に記憶する。筆記付加部23は、文書記憶部21に記憶された複製文書に筆記情報を付加する。送信部24は、ユーザへの問い合わせ等を送信し、受信部25は、識別情報、筆記情報、ユーザへの問い合わせに対する応答等を受信する。DB記憶部26は、識別情報と、電子文書の格納場所と、複製文書へのポインタとを対応付けたデータベースを記憶する。制御部27は、文書サーバ20全体の動作を制御し、登録部28は、DB記憶部26に記憶されたデータベースに情報を登録する。
このうち、受信部25は、筆記情報を受信していることから、筆記情報取得手段としての機能を有する。
図13は、このデータベース内のデータの一例を示している。
図示するように、データベースには、識別情報と、電子文書の格納場所と、複製文書へのポインタ(以下、単に「ポインタ」という)とが項目として設けられている。
電子文書の格納場所は、各媒体に印刷された電子文書が格納された場所の情報(アドレス情報)である。
ポインタは、各電子文書に対して複製文書が生成されている場合に、その複製文書の識別情報を示すものである。具体的には、複製文書が生成されると、その生成された複製文書へのポインタが、既に存在していた関連文書に対して記憶される。ここで、関連文書とは、その時まで最も新しかった複製文書、又は、複製文書がなかった場合はオリジナルの電子文書である。本実施の形態では、このようなポインタを記憶することにより、複数の複製文書の管理を可能にしている。例えば、図13は、1行目で管理される「aaa.xdw」に対する複製文書として、「aaa_01.xdw」、「aaa_02.xdw」、「aaa_03.xdw」が生成されていることを示している。尚、複製文書が生成されていない場合、ポインタとしては、「NULL」が記憶される。
図14は、このときの動作を示したシーケンス図である。
まず、電子ペン60は、図6の処理により取得した識別情報及び位置情報を端末装置10に送信する(ステップ631)。
次に、筆記生成部13は、受け渡された情報のうち位置情報に基づいて筆記情報を生成し、送信部14に受け渡す(ステップ132)。このとき、筆記情報は、媒体上の複数の位置を示す位置情報に基づいて生成される。尚、電子ペン60から受信した位置情報に誤りがあった場合、筆記生成部13は、第1の実施の形態で述べたような処理を行うことで、位置情報を補正するようにしてもよい。
その後、送信部14は、識別情報及び筆記情報を文書サーバ20に送信する(ステップ133)。
複製文書があれば、その複製文書のいずれかに筆記情報を追加する場合と、その複製文書とは別に新たな複製文書を生成してその新たな複製文書に筆記情報を付加する場合とが考えられる。そこで、本実施の形態では、このどちらを選択するかをユーザの判断に委ねているのである。例えば、図13の「aaa.xdw」が印刷された媒体に筆記がなされた場合、「aaa_01.xdw」に筆記情報を追加するか、「aaa_02.xdw」に筆記情報を追加するか、「aaa_03.xdw」に筆記情報を追加するか、「aaa.xdw」から生成された新たな複製文書に筆記情報を付加するかが、問い合わせられる。
ここで、既にある複製文書のいずれかに筆記情報を追加すると判定した場合は、ステップ234で特定した複製文書に筆記情報を追加する(ステップ239)。
即ち、制御部27は、ステップ232で特定したオリジナルの電子文書に対する複製文書を生成する(ステップ236)。
まず、ユーザに対する問い合わせ等を行うことなく、筆記情報を付加する電子文書をシステム側で決めてしまうという方法である。
或いは、筆記情報を付加すべき電子文書の選択方法が印刷時に既に決まっている場合は、その選択方法を指定する指定情報をコードパターン画像の一部として媒体に埋め込んでおいてもよい。この場合は、電子ペン60がコードパターン画像から識別情報及び位置情報を取得する際に、この指定情報も取得し、文書サーバ20に送信する。そして、文書サーバ20では、ステップ235での判定をこの指定情報に基づいて行う。
ところで、これらの実施の形態では、複製文書に筆記情報を直接付加することを前提として説明してきた。しかしながら、複製文書の属性情報(リンク情報等)と筆記情報とをデータベース上で関係付けておくような構成としてもよい。或いは、複製文書の属性情報と筆記情報とをファイルとして一体に保持するような構成としてもよい。即ち、複製文書と筆記情報を関連付けておき、必要に応じて複製文書と筆記情報とを重畳して表示できるような手法であれば、如何なる手法でも用いることができる。
Claims (13)
- 文書画像と、媒体上の位置情報を表すコードパターン画像とが印刷された媒体に対する筆記を電子化した筆記情報を処理する筆記情報処理装置であって、
電子ペンが前記コードパターン画像から取得した前記位置情報に基づいて端末装置が生成した前記筆記情報を、当該端末装置から取得する筆記取得手段と、
前記筆記情報の取得に応じて、前記文書画像の元となる第1の電子文書から当該第1の電子文書の複製である第2の電子文書が生成されるように制御する文書生成制御手段と、
前記第2の電子文書と関連付けて前記筆記情報が記憶されるように制御する筆記記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする筆記情報処理装置。 - 前記文書生成制御手段は、前記第1の電子文書をその内容が編集できない形式に変換することにより、前記第2の電子文書が生成されるように制御することを特徴とする請求項1記載の筆記情報処理装置。
- 前記筆記記憶制御手段は、前記第2の電子文書に付加した状態で前記筆記情報が記憶されるように制御することを特徴とする請求項1記載の筆記情報処理装置。
- 前記筆記記憶制御手段は、前記第2の電子文書へのリンク情報と関連付けて前記筆記情報が記憶されるように制御することを特徴とする請求項1記載の筆記情報処理装置。
- 前記筆記記憶制御手段は、前記第2の電子文書と関連付けて記憶された筆記情報がある場合において、当該第2の電子文書と関連付けて新たな筆記情報が記憶されるように制御することを特徴とする請求項1記載の筆記情報処理装置。
- 前記筆記記憶制御手段は、前記第2の電子文書と関連付けて記憶されている筆記情報がある場合において、当該第2の電子文書、及び、前記第1の電子文書から生成された第3の電子文書の中から、新たな筆記情報を関連付けるべき電子文書を選択することを特徴とする請求項1記載の筆記情報処理装置。
- 前記筆記記憶制御手段は、ユーザへの問い合わせに対する応答内容に従い、前記新たな筆記情報を関連付けるべき電子文書を選択することを特徴とする請求項6記載の筆記情報処理装置。
- 前記新たな筆記情報を関連付けるべき電子文書の指定情報を表すコードパターン画像が更に印刷された前記媒体から当該コードパターン画像を入力する画像入力手段と、
前記コードパターン画像から前記指定情報を取得する指定取得手段とを更に備え、
前記筆記記憶制御手段は、前記指定情報に従い、前記新たな筆記情報を関連付けるべき電子文書を選択することを特徴とする請求項6記載の筆記情報処理装置。 - 文書画像と、媒体上の位置情報を表すコードパターン画像とが印刷された媒体に対する筆記を電子化した筆記情報を少なくとも1つのコンピュータが処理する筆記情報処理方法であって、
電子ペンが前記コードパターン画像から取得した前記位置情報に基づいて端末装置が生成した前記筆記情報を、当該端末装置から取得するステップと、
前記文書画像の元となる第1の電子文書を特定するステップと、
前記筆記情報の取得に応じて、前記第1の電子文書から当該第1の電子文書の複製である第2の電子文書を生成するステップと、
前記第2の電子文書と関連付けて前記筆記情報を記憶するステップと
を含むことを特徴とする筆記情報処理方法。 - 前記媒体の識別情報を取得するステップと、
媒体ごとに当該媒体の識別情報と当該媒体に印刷された文書画像の元となる電子文書との対応情報を記憶する記憶装置から、当該対応情報を読み出すステップとを更に含み、
前記第1の電子文書を特定するステップでは、前記取得した識別情報に基づいて前記対応情報を検索することにより、当該第1の電子文書を特定することを特徴とする請求項9記載の筆記情報処理方法。 - 前記文書画像の元となる電子文書の識別情報を取得するステップを更に含み、
前記第1の電子文書を特定するステップでは、前記識別情報に基づいて当該第1の電子文書を特定することを特徴とする請求項9記載の筆記情報処理方法。 - 前記媒体の識別情報を取得するステップと、
媒体ごとに当該媒体の識別情報と当該媒体に対する印刷に用いられた印刷パラメータとの対応情報を記憶する記憶装置から、当該対応情報を読み出すステップと、
前記取得した識別情報に基づいて前記対応情報を検索することにより、前記文書画像の印刷に用いられた印刷パラメータを取得するステップとを更に含み、
前記第2の電子文書を生成するステップでは、前記第1の電子文書を前記取得した印刷パラメータを用いて印刷イメージに変換することにより、当該第2の電子文書を生成することを特徴とする請求項9記載の筆記情報処理方法。 - 文書画像と、媒体上の位置情報を表すコードパターン画像とが印刷された媒体に対する筆記を電子化した筆記情報の処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
電子ペンが前記コードパターン画像から取得した前記位置情報に基づいて端末装置が生成した前記筆記情報を、当該端末装置から取得する機能と、
前記文書画像の元となる第1の電子文書を特定する機能と、
前記筆記情報の取得に応じて、前記第1の電子文書から当該第1の電子文書の複製である第2の電子文書が生成されるように制御する機能と、
前記第2の電子文書と関連付けて前記筆記情報が記憶されるように制御する機能と
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
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