JP3957125B2 - 歩行補助具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高齢者や身体不自由者が歩行杖等の代わりに使用する歩行補助車等の歩行補助具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歩行補助具である例えば歩行補助車は、図11に示すように構成されている。すなわち、歩行補助車10は、フレーム11と、このフレーム11に連接して形成されているハンドル12とを有している。また、フレーム11は、2つの前輪部13aと2つの後輪部13bとを有している。
このような歩行補助車10を使用する場合は、以下のように取り扱う。
すなわち、先ず、使用者である高齢者は、この歩行補助車10のハンドル12を指をかけ、つかまる。そして、ハンドル12を進行方向に押し出すことにより、フレーム11に付いている前輪部13aと後輪部13bが回転して、歩行補助車10が進むことになる。
このように歩行補助車10を、高齢者が歩行杖の代わりに体重による負荷を分散させて歩行を容易とする器具として使用するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような歩行補助車10を押して、高齢者はスーパーマーケットやコンビニエンスストア等へ買い物に行くことになるが、そのとき、歩行補助車10のフレーム11の幅が広いため、スーパーマーケット等の狭い通路を移動し難い等の問題があった。この問題を解決するため、フレーム11の幅を狭くすると、このフレーム11と連接されているハンドル12の幅も同様に狭くなってしまう。このようにハンドル12の幅が狭く例えば、高齢者の肩幅より狭くなってしまうと、腕を閉じることになり、肩に疲労が出たり、肘や手首にも負荷がかかるなど、高齢者が歩行補助車を扱い難いという問題があった。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、フレーム部が小型化されても、疲労が少なく操作性が良好なハンドル部を有する歩行補助具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、請求項1の発明によれば、使用者が把持するためのハンドル部と、このハンドル部と連接して形成されているフレーム部と、このフレーム部の幅方向両側に設けられている車輪部と、を有する歩行補助具であって、前記ハンドル部が、前記フレーム部から前記車輪部側へ向かって幅方向に突出するように形成され、前記ハンドル部の頂部には、その中央部が突出するように曲線が形成され、前記車輪部は、前輪部と後輪部を有し、前記フレーム部は、その下端部に前記前輪部が設けられている前輪用フレームと、その下端部に前記後輪部が設けられている後輪用フレームとを有し、前記前輪用フレームには、その上端部に前記ハンドル部が連接されると共に、カゴ受け部が回動可能に取り付けられ、前記後輪用フレームの先端部が、前記カゴ受け部を支持する構成となっていることを特徴とする歩行補助具により、達成される。
【0006】
請求項1の構成によれば、前記ハンドル部が、前記フレーム部から前記車輪部側へ向かって幅方向に突出するように形成されているので、前記フレーム部の幅を狭くしても、前記ハンドル部の幅は狭くなることがなく、使用者は腕を自然な状態に開いてハンドル部を握ることができる。
また、前記ハンドル部の頂部には、その中央部が突出するように、曲線が形成されているので、例えば歩行補助具の進行方向の正面から見たハンドル部は、その中央部が突出するような弱い曲線形状となっている。したがって、使用者がハンドル部を握る際に、腕を自然に開いた際には、掌は若干、親指側が上がり小指側が下がった形で内側に傾くことに対応した角度となっており、肘等を緊張させずに握ることができる形状となっている。また、使用者がハンドル部の握る位置を特定する必要がないため、例えば肩幅の狭い使用者は、ハンドル部の中央部近傍を握り、肩幅の広い使用者は、ハンドル部の両端部を握る等することができる。
さらに、カゴをより安定させてカゴ受け部に乗せることができる。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1の構成において、前記車輪部は、歩行補助具の進行方向前方の前記フレーム部に配置される複数の前輪と、進行方向後方の前記フレーム部に配置される複数の後輪とを有し、前記ハンドル部の全幅が、前記複数の前輪及び/又は前記複数の後輪の全幅を超えない長さに形成されていることを特徴とする歩行補助具である。
【0011】
請求項の構成によれば、前記ハンドル部の全幅が、前記複数の前輪及び/又は前記複数の後輪の全幅を超えない長さに形成されているので、複数の前輪及び/又は前記複数の後輪を有する歩行補助具においても、ハンドル部が幅方向に邪魔になる程、突出するのを防ぐことができる。
【0012】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1又は請求項のいずれかの構成において、前記ハンドル部のうち、使用者が把持可能な領域の全幅に対応した長さのブレーキレバーが設けられていることを特徴とする歩行補助具である。
【0013】
請求項の構成によれば、前記ハンドル部のうち、使用者が把持可能な領域の全幅に対応した長さのブレーキレバーが設けられているので、使用者が前記ハンドル部の例えば端部を握っても、その部分に対応して前記ブレーキレバーが配置されている。したがって、使用者が握り得るハンドル部のすべての部分に対応して、ブレーキレバーが配置されることになるため、使用者は咄嗟にブレーキをかけることができる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1乃至請求項のいずれかの構成において、前記ハンドル部には、芯部が配置されていると共に、この芯部を覆うように弾力性のある部材が配置されていることを特徴とする歩行補助具である。
【0021】
請求項の構成によれば、前記ハンドル部には、芯部が配置されていると共に、この芯部を覆うように合成ゴムや発泡ウレタン等の発泡樹脂などの弾力性のある部材が配置されている。したがって、前記芯部によってハンドル部の剛性を確保することができる。また、前記ハンドル部の掌があたる部分に弾力性のある部材を使用しているため弾性を持たせることができ、使用者が握り易いだけでなく、車輪から伝わる振動をも吸収することができ、使用者の疲労を軽減できる。
【0022】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1乃至請求項のいずれかの構成において、前記ハンドル部の前記フレーム部に対する位置を、歩行補助具の高さ方向に関して変化させるための調節部が備わっていることを特徴とする歩行補助具である。
【0023】
請求項の構成によれば、前記ハンドル部の前記フレーム部に対する位置を、歩行補助具の高さ方向に関して変化させるための調節部が備わっているので、使用者の身長に合わせて前記ハンドル部の位置を変化させることができる。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態にかかる歩行補助具である例えばウォーカー100を示す概略斜視図である。図1に示すように、このウォーカー100には、使用者である例えば高齢者が荷物を入れるための変形可能なバッグ120が配置されている。
このバッグ120には、蓋122が設けられ、止め金部121によって閉状態となっている。したがって、高齢者が、この止め金部121を操作し、開状態とすることで、バッグ120の中に荷物等を収容することができるようになっている。
このバッグ120の周りには、フレーム部110が配置されている。このフレーム部110は、図1に示すように、左右の各前輪部130、130を支持するように配置されている前輪用フレーム111が、左右に2つ設けられている。
この前輪用フレーム111は例えば円筒状の金属製のパイプにより形成され、、図1に示すように、その上端部には、ハンドル部150が連接されるようになっている。また、この前輪用フレーム111の上半分は、バッグ120の背面に沿って直線的に形成されている。
しかし、前輪用フレーム111は、その略中央部において、図において前方に屈曲され、前輪部130に向かって配置されるようになっている。さらに、前輪用フレーム111の下端部は、図1に示すように下方に向かって屈曲して形成され前輪部130が連接されている。
【0030】
ところで、図2は、高齢者がウォーカー100を使用している図であるが、高齢者が進む方向に体重をかけた際に負荷を適切に受けて、ウォーカー100を押し易いように、前記前輪用フレーム111の前記上半分(上端部から略中央部までの間の直線的部分)は、図2に示すように角度θ、例えば12度になるように形成されている。
また、前記前輪用フレーム111の略中央部の近傍には、後輪用フレーム112が左右にそれぞれ1つずつ、図1に示すように設けられている。
この後輪用フレーム112は、例えば円筒状の金属製のパイプにより形成され、ビス112aにより可動状態で前輪用フレーム111に取り付けられている。このため、後輪用フレーム112は、ビス112aを中心に回動するようになっている。また、この後輪用フレームの下端部には、後輪部140が設けられている。
【0031】
このような前輪用フレーム111と後輪用フレーム112との間には、図3に示すように、バッグ用フレーム113が設けられている。
このバック用フレーム113は、図3に示すように左右の前輪用フレーム111、111を繋ぐように配置されているU字状の前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cとを有しており、ビス113dにより接続されている。このため、前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cは、ビス113dを中心に回動可能になっている。
したがって、バック用フレーム113は、ビス113dの部分を頂部とし、前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cを斜面とする山形に変形させることができる。そして、このように変形することで、後輪用フレーム112もビス112aを中心に前輪部130側に動く。このため、後輪用フレーム112に付けられている後輪部140が前輪部130に近接し、ウォーカー100は、進行方向においてコンパクトに折りたたまれることになる。
【0032】
ところで、前輪用フレーム111には、図3に示すようにカゴ受け部160が設けられている。このカゴ受け部160は、金属等から成っており、ビス160aによって前輪用フレーム111に回動可能に取り付けられている。したがって、使用者である高齢者が、図1の状態のカゴ受け部160を操作し、約90度程度回転させることで、図3の状態にすることができる。
さらに、この状態でカゴ受け部160の上にカゴを乗せると、図4に示すようになる。このとき、バッグ120は、図3に示すように折りたたまれてカゴ受け部160の下に配置される。このとき、図4に示すように後輪用フレーム112の先端部もカゴ受け部160を支持するようになっているので、カゴをより安定させてカゴ受け部160に乗せることができる。
また、このカゴ受け部160が図1の状態(不使用の状態)にあるときは、図3に示すカゴ受けロック161によって固定される。このカゴ受けロック161は、2つの前輪用フレーム111の間に設けられている円筒状の第1の横フレーム114に備えられている。さらに、2つの前輪用フレーム111の間には、さらに、第2の横フレーム115も設けられている。
【0033】
ところで、2つの前輪用フレーム111に連接されている図1に示すように前輪部130は、それぞれ双輪となっており、360度回動可能に配置されている。したがって、使用する高齢者が進みたい方向に前輪部130を向けることができるようになっている。
また、2つの後輪用フレーム112に設けられている後輪部140は、単輪となっている。
このように、配置されている2つの前輪部130の、それぞれ外側の車輪との間の距離は、図5に示すように、例えば440mmとなっており、2つの前輪用フレーム111の間の距離は、338mmとなっている。
【0034】
このようなウォーカー100の幅方向の距離は、従来のウォーカーの幅方向の距離に比べ狭くなっており、ウォーカー100が小型化されている。したがって、使用する高齢者がスーパーマーケット等に買い物に行っても、ウォーカー100が通路で商品等にぶつかる等の弊害が生じることを未然に防ぐことができる。特に、2つの前輪用フレーム111の間の距離は著しく狭くなっている。この狭く成っている2つの前輪用フレーム111の上に、同様の幅でハンドルを設けるとハンドルの幅も狭くなり、ハンドルの幅が使用する高齢者の肩幅より狭くなり、使い難いウォーカーとなってしまう。
ところが、本実施の形態では、図5に示すようにハンドル部150が2つの前輪用フレーム111に連接して配置されていると共に、ハンドル部150の握り部151が外方へ向かって幅方向に突出して形成されている。
具体的には、図6に示すように突出している。図6は、ハンドル部150の一部を示す概略拡大図である。図6に示すようにハンドル部150の支持部152は、前輪用フレーム111との連接部分から、角度θで外方に曲折している。この角度θは、例えば19度である。
【0035】
そして、この支持部152と連接して設けられている握り部151との境界部で、内側に向かって曲折している。そして、ハンドル部150の最も外方である図5及び図6におけるAの部分が、前輪部130の外側の車輪より内側に配置されるようになっている。すなわち、ハンドル部150の握り部151の図5における全幅が、2つの前輪部130のそれぞれ外側の車輪との間の距離である440mmより狭くなるようになっている。
したがって、ハンドル部150の握り部151の全幅は、2つの前輪用フレーム111の間の距離である338mmより、広く形成されるため、使用する高齢者の肩幅より狭くなることはなく、高齢者が握り部151を自然に腕を開いた状態で握り易くなる。このため、高齢者が握り易いハンドル部150を有し、且つ、2つの前輪用フレーム111の幅が狭い小型のウォーカー100となる。
【0036】
また、このハンドル部150の握り部151の図5における全幅が2つの前輪部130のそれぞれ外側の車輪との間の距離より短いので、ハンドル部150は、前輪部130の外方に突出することがなく、ハンドル部150が不必要に幅方向に突出して操作上の邪魔になることがない。
【0037】
本実施の形態においては、ハンドル部150の全幅を例えば404mmとしているが、この全幅を440mmとし、2つの前輪部130のそれぞれ外側の車輪との間の距離と同じに構成してもよい。この場合はハンドル部150の握り部151の長さを操作の邪魔にならない最大限の長さとすることができるので、高齢者が握り易いハンドル部150となる。
【0038】
ところで、このようなハンドル部150の握り部151の頂部は、図6に示すように、その中央部が突出するように曲線が形成されている。すなわち、握り部151の頂部のRは、例えばR2000に形成されている。
このように握り部151の頂部が緩やかな曲線になっていることにより、高齢者がハンドル部150を握る際に、肘等を緊張させずに握ることができることになる。また、緩やかな曲線とすることで、どの部分を握っても握り易いことになる。このため、肩幅の狭い高齢者は、握り部151の中央部近傍を握り、肩幅の広い高齢者は、両端部を握ることができる。
なお、本実施の形態においては、特に両端部近傍を掴み易くするため、曲線の形状とされているが、近似する角度の傾斜したハンドル形状としてもよい。
さらに、このハンドル部150の握り部151の断面(ウォーカー100の進行方向に沿って形成された断面形状)は、図7に示すように略楕円形に形成されている。そして、この握り部151の外側は弾力のある発泡ウレタン151aにより形成されているとともに、その内側には芯部151bが形成されている。
【0039】
したがって、ハンドル部150としての剛性は、芯部151bで担保しつつ、その外側の高齢者が握る部分には、弾力のある発泡ウレタン151が配置されていることになる。このため、高齢者が掌で握り部151を握り、ウォーカー100を押しても、握り部151は、その力を柔らかく受けとめることができる。
また、この握り部151の長軸は、図2に示すX軸の方向に配置され、握り部151の短軸は図2のY軸方向に配置されているので、短軸の傾きが前輪用フレーム111の図2における傾き(12度)と同じになる。
【0040】
したがって、高齢者がハンドル部150の握り部151を押してウォーカー100を押す際には、図2に示すように、握り部151の長軸によって形成される比較的広い面が、ちょうど高齢者の掌に無理なく当接することができるので、肘や手首が不自然な形になることがない。これがため、長時間自己の体重をかけてウォーカー100を押した場合でも、高齢者の疲労を低減することができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、握り部151の断面形状を図7に示すように構成したが、これに代えて、図8に示すように構成してもよい。
すなわち、握り部251の中心には、コの字状に形成されている芯部251bが配置され、その外側に発泡ウレタン251aが配置されている。このように構成することで、芯部251bは、2つの突起部を有するので、高齢者が発泡ウレタン251aの部分を握っても、発泡ウレタン251aの部分が芯部251bの周りを回ってしまうのを未然に防ぐことができる。
【0042】
ところで、図3及び図5に示すように、このハンドル部150の握り部151に沿ってブレーキレバー170が配置されている。このブレーキレバー170は、高齢者が指等をかけて握り部151方向に引くと、このブレーキレバー170に接続されている図1に示すワイヤ180を介して後輪部140に設けられているブレーキシュー190が作動するようになっている。
【0043】
このように機能するブレーキレバー170の幅は、ハンドル部150の握り部151のうち使用者が把持可能な領域の全幅に対応するように形成される。したがって、高齢者がハンドル部150の握り部151の両端部を握っている場合でも、速やかにブレーキレバー170を操作し、安全にウォーカー100を止めることができる。
また、このブレーキレバー170は、握り部151に設けられているブレーキ係合用フック191(図1参照)に係合することにより、ブレーキの作動状態を維持でき、高齢者の意に反しウォーカー100が動き出してしまうのを有効に防止することができる。
さらに、ハンドル部150の握り部151と同様にブレーキレバー170も外方に突出させることで、握り部151と同等の幅を持たせた場合(図5参照)は、使用者が握り部151を握らずに、握り部151手をのせた状態で使用した場合でも、ブレーキレバー170の操作を咄嗟に対応できる。
【0044】
ところで、以上のようなハンドル部151は、図6に示すように円筒状のハンドルベース153を前輪用フレーム111のパイプ内に挿入することで、前輪用フレーム111と連接されている。そして、このハンドルベース153の前輪用フレーム111内に挿入される深さを調整することで、ハンドル部150の高さを使用する高齢者の身長に合わせて自在に変更できるようになっている。
図9は、ハンドルベース153と前輪用フレーム111との連接部分を示す拡大斜視図である。図9に示すように、ハンドルベース153は、前輪用フレーム111内に挿入されていると共に、これらハンドルベース153と前輪用フレーム111との連接部分を被うように調節部である高さ調節部300が配置されている。
この高さ調節部300は、一定の隙間を保持して、ハンドルベース153と前輪用フレーム111との連接部分を被うパイプカバー310を有している。また、このパイプカバー310が保持している一定の隙間を無くして、パイプカバー310が上記連接部分を締めるように作用させるための、固定ノブ320も有している。
【0045】
具体的には、図9に示すように、パイプカバー310から突出して形成されている2つの突片311を固定ノブ320によって動かすことで、上記連接部分が締まったり、開放されたりすることになる。すなわち、図9に示す矢印方向に沿って下に固定ノブ320を移動させると、2つの突片311は、近接方向に動き、上記連接部分を締めるようになる。
逆に、この固定ノブ320を矢印方向に沿って上に動かすと、2つの突片311が相互に離間する方向に動き、上記連接部分を開放させることになる。
したがって、使用する高齢者が、ハンドル部150の高さを高くしたい場合は、先ず、図9に示す固定ノブ320を上方向に移動させ、パイプカバー310の突片311を開放状態にする。そして、ハンドルベース153を必要な長さだけ、上に引き上げる。さらに、高齢者の所望の長さになったところで、固定ノブ320を下方向に移動させ、パイプカバー310が前輪用フレーム111とハンドルベース153を締めるようにする。これにより、前輪用フレーム111とハンドルベース153の相対的位置関係は固定されることになる。
また、このハンドル部150の高さ調節は、上述のように無段階で調節可能なので、個々の高齢者の身長に合わせて正確にハンドル部150の高さ調節を行うことができることになる。
【0046】
さらに、この高さ調節部300は、図9に示すように、固定ビス330を備えている。この固定ビス330は、図9に示すように前輪用フレーム111に設けられた挿通できる程度の丸孔とハンドルベース153に設けられている縦長の孔153aを貫通して、他方まで抜け出ている。
したがって、高齢者が誤ってハンドルベース153を前輪用フレーム111から、上方に極端に高く引き出しても、ハンドルベース153が、前輪用フレーム111から抜け出て、脱落してしまうのを有効に防止することができる。
このハンドル部150の高さ調節は、図4に示すように例えば、100mm程度高くすることができるようになっている。
【0047】
本実施の形態に係るウォーカー100は、以上のように構成されるが、以下にその使用方法等について説明する。この使用方法は、図10等に示す説明図で説明する。したがって、説明図に示すウォーカー100の構成は、上述の本実施の形態に係るウォーカー100と異なる部分があるが、これは、説明図のため一部構成を省略したものである。
先ず、図10(A)に示すように、本実施の形態に係るウォーカー100は、バック用フレーム113が折りたたんだ状態、すなわち前輪部130と後輪部140が近接した状態で保管される。このとき、ブレーキレバー170は、ハンドル部150のブレーキ係合用フック191に係合され、後輪部140のブレーキシュー190が作動している状態となっている。そして、前輪部130と後輪部140が近接しているため、バック用フレーム113のU字状の前輪側バック用フレーム113bがウォーカー100の後方から僅かに突出している。
この状態で、図10(A)に示すように、使用者である例えば高齢者は、このU字状の前輪側バック用フレーム113bを押し下げるように操作し、図10(B)に示すように、前輪部130と後輪部140は、離間方向に動き、バック用フレーム113は、図1と同様の状態となる。
【0048】
その後、図10(C)に示すように、左右の前輪用フレーム111とハンドルベース153の連結部分に設けられている高さ調節部300の固定ノブ320を上述のように操作し、使用する高齢者の高さに合うように無段階調節を行う。
調節が終了したら上述のように固定ノブ320を操作してハンドル部150の位置を固定する。
次に、ハンドル部150を持ちながら、図1に示すブレーキ係合用フック191に係合されているブレーキレバー170を引く。そして、片手でブレーキ係合用フック191を外す。
これにより、ウォーカー100は、図1に示す状態になるので、図2に示すように高齢者がハンドル部150を握って、進行方向に押すことにより前へ進むことになる。
このようにウォーカー100を用いることで、高齢者の歩行を補助することができる。
また、このウォーカー100は、図2に示すようにバッグ120を備えているので、買い物等の荷物をその中に収容して押すことができる。
さらに、ウォーカー100の幅は、狭くなっているので、スーパーマーケット等の狭い通路でも押して歩行することができる。また、スーパーマーケットの中でカゴを持ち歩く必要があるときは、図4に示すように、カゴ受け部160を倒すことで、カゴを乗せながら買い物ができるようになる。
そして、このように小型で使い勝手の良いウォーカー100でありながら、上述のようにハンドル部150の握り部151が幅方向に適度に突出しているため、高齢者が握り部151を握り易い構成となっている。
【0049】
なお、本実施の形態では、カゴ受け部160を用いたが、このカゴ受け部160の代わりに高齢者が座る座面を形成してもよい。また、上述の実施の形態の各構成は、その一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わせに変更することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、フレーム部が小型化されても、操作性が良好なハンドル部を有する歩行補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるウォーカーを示す概略斜視図である。
【図2】 図1のウォーカーの使用状態を示す概略図である。
【図3】 図1のウォーカーのカゴ受け部を倒した状態を示す概略斜視図である。
【図4】 図1のウォーカーのカゴ受け部にカゴを乗せた状態を示す概略斜視図である。
【図5】 図3のウォーカーを概略正面図である。
【図6】 図5のハンドル部の一部を示す概略拡大図である。
【図7】 図6のハンドル部の握り部の断面を示す概略断面図である。
【図8】 図7と異なるハンドル部の握り部の断面を示す概略断面図である。
【図9】 図4のハンドル部のハンドルベースと前輪用フレームとの連接部分を詳細に示す概略斜視図である。
【図10】(A)ウォーカーの使用方法を示す説明図である。(B)ウォーカーの使用方法を示す他の説明図である。(C)ウォーカーの使用方法を示す他の説明図である。
【図11】 従来の歩行補助車を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
100・・・ウォカー、110・・・フレーム、111・・・前輪用フレーム、112・・・後輪用フレーム、112a・・・ビス、113・・・バッグ用フレーム、113b・・・前輪側バッグ用フレーム、113c・・・後輪側バッグ用フレーム、113d・・・ビス、114・・・第1の横フレーム、115・・・第2の横フレーム、120・・・バッグ、121・・・止め金部、122・・・蓋、130・・・前輪部、140・・・後輪部、150・・・ハンドル部、151・・・握り部、151a・・・発泡ウレタン、151b・・・芯部、152・・・支持部、153・・・ハンドルベース、153a・・・孔、160・・・カゴ受け部、160a・・・ビス、161・・・カゴ受けロック、170・・・ブレーキレバー、180・・・ワイヤ、190・・・ブレーキシュー、191・・・ブレーキ係合部用ロック、300・・・高さ調節部、310・・・パイプカバー、311・・・突片、320・・・固定ノブ、固定ビス・・・330

Claims (5)

  1. 使用者が把持するためのハンドル部と、
    このハンドル部と連接して形成されているフレーム部と、
    このフレーム部の幅方向両側に設けられている車輪部と、を有する歩行補助具であって、
    前記ハンドル部が、前記フレーム部から前記車輪部側へ向かって幅方向に突出するように形成され、
    前記ハンドル部の頂部には、その中央部が突出するように曲線が形成され
    前記車輪部は、前輪部と後輪部を有し、
    前記フレーム部は、その下端部に前記前輪部が設けられている前輪用フレームと、その下端部に前記後輪部が設けられている後輪用フレームとを有し、
    前記前輪用フレームには、その上端部に前記ハンドル部が連接されると共に、カゴ受け部が回動可能に取り付けられ、
    前記後輪用フレームの先端部が、前記カゴ受け部を支持する構成となっていることを特徴とする歩行補助具。
  2. 前記車輪部は、歩行補助具の進行方向前方の前記フレーム部に配置される複数の前輪と、進行方向後方の前記フレーム部に配置される複数の後輪とを有し、
    前記ハンドル部の全幅が、前記複数の前輪及び/又は前記複数の後輪の全幅を超えない長さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助具。
  3. 前記ハンドル部のうち、使用者が把持可能な領域の全幅に対応した長さのブレーキレバーが、設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の歩行補助具。
  4. 前記ハンドル部には、芯部が配置されていると共に、この芯部を覆うように弾力性のある部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の歩行補助具。
  5. 前記ハンドル部の前記フレーム部に対する位置を、歩行補助具の高さ方向に関して変化させるための調節部が備わっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の歩行補助具。
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