JP3952581B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものであり、特に長期連続操業を行った場合でも、バッチ毎の得られる塩化ビニル系重合体の品質が安定し、かつ重合反応器内にスケールの付着が起こりにくい塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、塩化ビニル系重合体を製造する際に使用される重合装置には、重合反応時の重合反応熱を除去する目的で還流コンデンサーや加熱冷却用ジャケットが設けられており、還流コンデンサーは一般に重合容器の上部に配置され、重合容器内で発生した蒸気を導入し、これを冷却水等の冷媒で冷却して凝縮し、凝縮した液を重合容器内に還流させることにより液体内容物の温度を冷却するものである。また、加熱冷却用ジャケットは、重合容器の周囲に配置され、該加熱冷却用ジャケットに冷却水等を導いて重合容器内の内容物を冷却するものである。
【0003】
そして、近年、塩化ビニル系重合体製造時の生産性を向上させる目的で重合容器自体を大型化、また、重合時間の短縮を行うことが図られている。しかし、重合容器自体を大型化、また、重合時間の短縮を行った場合、単位時間当たりの発熱量が増大するため、加熱冷却用ジャケットのみで重合容器を冷却するには限界があり、冷却能力が大きく、生産性の向上、省エネルギー面で効果のあるとされている還流コンデンサーの使用が注目されている。
【0004】
しかし、還流コンデンサーでの除熱負荷を大きくすると、重合容器内でスラリーが発泡したり、還流コンデンサーの内部へスラリーが流入し易くなるため、コンデンサー内に重合体スケール(以下、スケ−ルという。)が付着する等の問題が生じるばかりでなく、還流コンデンサーの除熱能力が低下してくるため、各バッチの還流コンデンサーによる除熱量を再現性よく制御することが困難となるという問題が起きる。
【0005】
また、特に塩化ビニル系重合体の製造においては、製造過程で重合容器に混入する窒素、酸素、並びに重合開始剤の分解によって生成する窒素、一酸化炭素、及び二酸化炭素等のいわゆる非凝縮性ガスは、塩化ビニル系単量体より比重が軽いため、重合反応中、蒸発し重合容器の上部に配置された還流コンデンサーの内部に濃縮、蓄積し、蒸発してきた塩化ビニル系単量体の凝縮を妨げ、還流コンデンサーによる除熱及び塩化ビニル系単量体の凝縮が阻害され、還流コンデンサーを用いて安定的な製造ができないという問題があった。また、非凝縮性ガスは還流コンデンサー内でガス濃度の偏りを持つため、非凝縮性ガスの量を正確に把握することは困難であった。
【0006】
そこで、特公昭51−29196号公報には、ガスをコンデンサー内へ強制循環させて伝熱能力を向上させる方法、特開平8−134107号公報には、還流コンデンサーを備えた重合装置中の内容物から蒸発する非凝縮性ガスを一定流量で、排気時間が全重合時間の20%以上となるような条件で排気する方法などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公昭51−29196号公報において提案されている方法では、高価な循環ブロアーが必要となる。一方、特開平8−134107号公報において提案されている方法は、長期連続操業を行った場合、非凝縮性ガス量が各製造バッチ毎に異なるため、各製造バッチ毎の還流コンデンサーによる除熱量を再現性よく制御することが困難である上に、特定の重合容器を用い、かつ撹拌翼を特定の位置に取り付ける必要性があり、効率的ではない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、特定の重合容器や撹拌装置を用いる必要がなく、長期連続操業を行った場合でも、還流コンデンサーによる除熱量を再現性よく制御することができるため、各製造バッチ毎に得られる塩化ビニル系重合体の品質が安定し、かつ重合反応器へのスケールの付着が起こりにくい塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に関し鋭意検討した結果、還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排出することにより、還流コンデンサー内の塔頂部の温度を特定の範囲内に制御することにより、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁剤の存在下で懸濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法において、還流コンデンサーを備えた重合装置を用い、該還流コンデンサーによる除熱を開始する前に塔頂部からの非凝縮性ガスの排気を開始し還流コンデンサーの内温を重合温度より10℃低い温度以上重合温度未満の範囲とすると伴に、該還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排気することにより、該還流コンデンサー内の塔頂部温度を重合温度より10〜5℃低い温度の範囲に制御しながら塩化ビニル系単量体の懸濁重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明における還流コンデンサーを付設した重合装置とは、還流コンデンサーを付設した重合装置であればいかなるものでもよく、該重合装置において用いられる攪拌機、所望により用いられるバッフル等の攪拌装置の形状に特に制限はなく、従来から塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法で一般的に採用されている公知の攪拌装置を用いることができ、そのような攪拌翼としては、例えばパドル翼、ピッチドパドル翼、ブルマージン翼、ファウドラー翼、タービン翼、プロペラ翼等が挙げられ、これら攪拌翼は一種類で用いても、他の撹拌翼と組み合わせて用いてもよい。また、バッフルとしては、例えば板型、円筒型、D型、ループ型、フィンガー型等が例示される。また、重合装置には、加熱冷却用ジャケットを用いてもよく、そのような加熱冷却用ジャケットとしては、例えば外部ジャケット、内部ジャケット等が挙げられる。
【0013】
本発明における重合容器の容量は、特に制限されるものではないが、生産効率良く塩化ビニル系重合体を生産することが可能となることから40m3以上の大型の重合容器を用いることが好ましい。
【0014】
本発明において用いられる還流コンデンサーとしては、重合容器本体と一本又は複数本の導管で連結され、その中を蒸気及び凝縮液が移動する構造を有する公知の還流コンデンサーを用いることができ、そのような還流コンデンサーとしては、例えばコイル式、スパイラル式、多管式、シェルアンドチューブ式等を挙げることができ、特に重合熱の除去効率に優れることからシェルアンドチューブ式が好ましい。
【0015】
本発明は、該還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排気することにより、還流コンデンサー内の塔頂部の温度を重合温度より10〜5℃低い温度の範囲に制御するものである。ここでいう非凝縮性ガスとは、塩化ビニル系重合体の製造時にパージ用として用いる塩化ビニル系単量体より比重の低いガス又は塩化ビニル系重合体の製造時に発生する塩化ビニル系単量体より比重の低いガスであり、例えば窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等であり、本発明においては、該非凝縮性ガスを還流コンデンサーの塔頂部より排気することにより、還流コンデンサー内の塔頂部の温度を重合温度より10〜5℃低い温度の範囲に制御し、蒸気となった塩化ビニル系単量体を効率よく、冷却し凝縮させ重合時の重合発熱を効率よく除熱するものである。
【0016】
ここで、還流コンデンサー内の塔頂部の温度が重合温度より10℃低い温度未満である場合、非凝縮性ガスが還流コンデンサーより効率よく排気されていないため、非凝縮性ガスが還流コンデンサーの内部に濃縮、蓄積し、蒸気となった塩化ビニル系単量体の冷却・凝縮が著しく妨げられ、還流コンデンサーによる除熱が維持できなくなる。一方、還流コンデンサーの塔頂部の温度が重合温度となる場合、還流コンデンサーより排気されるガスは、非凝縮性ガスのみならず、蒸気となった塩化ビニル系単量体も排気され、反応収率ひいては生産性を低下するのみならず、重合反応器内の塩化ビニル系重合体スラリーが発泡し、還流コンデンサー内に流入し還流コンデンサーの制御が困難となったり、重合反応器内にスケールが付着し、該スケールに起因するフィッシュアイが発生し、得られる塩化ビニル系重合体の品質が低下するという問題が生じる場合がある。
【0017】
本発明において、還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排気する方法としては、特に制限はなく、例えば還流コンデンサーの塔頂部に設けた排出口からポンプ等で排気する方法や圧力差を利用して塩化ビニル系単量体の回収容器へ排気回収する方法等を挙げることができる。
【0018】
また、本発明において、還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始する時期については、還流コンデンサーによる除熱開始時から還流コンデンサーの伝熱効率を高い値とすることができ、かつ一定に保ち、還流コンデンサーによる除熱量を再現性よく制御することができることから、還流コンデンサーによる除熱を開始する前に塔頂部からの非凝縮性ガスの排気を開始することにより、還流コンデンサーの内温を重合温度より10℃低い温度以上重合温度未満の範囲にしておくことが特に好ましい。
【0019】
本発明において、還流コンデンサーを作動させる際、還流コンデンサーによる除熱量は一定としてもよく、反応器の内温を制御するように還流コンデンサーの除熱量を制御してもよい。そして、還流コンデンサーの除熱量を制御する方法としては、冷却水の温度、流量を調節する等公知の方法でよい。
【0020】
このように本発明においては、還流コンデンサー内の塔頂部の温度を重合温度より10〜5℃低い温度の範囲に制御するように還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排気することにより、塩化ビニル系重合体製造時の各バッチ毎に例え重合系内における非凝縮性ガスの量が変化しても、還流コンデンサーの伝熱効率は常に高い値でかつ一定に保つことが可能となり、また、除熱量の急激な変化が生じないため、スラリーが発泡して還流コンデンサー内に流入することもなく、大型の重合容器で、長期操業を行った場合でも、還流コンデンサーの除熱量を再現性よく制御することができ、各バッチ毎の塩化ビニル系重合体の品質が安定し、かつスケールの付着が起こりにくいものとなる。
【0021】
本発明において用いられる水性媒体とは、水又は水を主成分とする媒体であり、本発明の目的を逸脱しない限りにおいていかなるものを含んでいても良い。そして、生産効率よく、品質に優れた塩化ビニル系重合体が得られることから該水性媒体の温度が30℃以上であるのが好ましい。
【0022】
本発明においては、水性媒体と塩化ビニル系単量体との比率(重量比)は、水性媒体/塩化ビニル系単量体=0.7〜2.0の範囲で製造を行うことが好ましい。また、重合時の懸濁液の流動状態を一定に保つために重合進行に伴う体積収縮分と同等容量の水性媒体を連続的または間欠的に追加することが望ましい。
【0023】
本発明で用いられる懸濁剤は、公知のものが用いられ、そのような懸濁剤としては、例えば部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、デンプン、ゼラチン、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の水溶性高分子又はこれらの混合物などを用いることができる。そして、これらの懸濁剤は、重合開始前あるいは重合中にその一部を分割または連続的に重合系に添加してもよい。
【0024】
本発明においては、必要に応じて、スケール防止剤、連鎖移動剤、消泡剤、pH調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、架橋剤等を重合開始前あるいは重合後に重合系に添加してもよく、重合中にその一部を分割または連続的に重合系に添加してもよい。
【0025】
消泡剤としては、例えばポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル類;炭素原子数が10〜30の脂肪酸または芳香族のアルコール類;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイドのホモ重合物、ランダム共重合物又はブロック共重合物等のポリオキシアルキレングリコール類;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等、アセチレングリコール類等が例示され、これらを単独又は2種以上の組合せで使用することができる。これらの消泡剤の重合系への添加は、そのままで、もしくは水などの溶剤に溶解または分散させた状態で、重合開始前あるいは重合後に重合系に添加してもよく、重合中にその一部を分割または連続的に重合系に添加してもよい。
【0026】
本発明における塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体叉は塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物が含まれ、この塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、α−アルキルアクリル酸等の不飽和モノカルボン酸及びそのアルキルエステル類、アミド類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;マレイン酸、フマール酸等の不飽和ジカルボン酸類、そのアルキルエステル類およびその無水物;N−置換マレイミド類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルアルキルエーテル類;各種ビニリデン化合物等が例示される。
【0027】
本発明において用いる油溶性重合開始剤としては、例えばアセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、(α,α−ビスネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、その他の公知のものが、単独または数種のものを併用して使用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を実施例および比較例にもとづき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
なお、実施例及び比較例により得られれた塩化ビニル系重合体は、下記の方法によりその評価を行った。
【0030】
〜かさ比重〜
JIS K 6721に準じた。
【0031】
〜フィッシュアイ〜
得られた塩化ビニル系重合体100重量部に対し、Ca−Zn系粉末複合安定剤1.5重量部、有機燐系安定化助剤0.5重量部、群青3重量部およびDOP(ジオクチルフタレート)50重量部を配合し、150℃に調整したロール成形機にて5分間混練し、厚さ0.35mmのシートを分取し、該シート50cm2中の透明粒子の数をもって示す。
【0032】
〜スケール付着状況〜
重合容器内壁についたスケールを目視により観察して付着状況を判定した。
【0033】
実施例1
塔頂部に温度計を有する還流コンデンサーを付設した内容積100m3の反応器を用い、該還流コンデンサーに70℃の熱水を通水した後、40℃の脱イオン水45000kg、ケン化度80モル%で平均重合度2600の部分ケン化ポリビニルアルコール15.1kgを水溶液として仕込んだ。その後、真空ポンプで反応器を減圧した。次に、塩化ビニル単量体36000kg、重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート19.8kgを反応器に仕込み撹拌を開始するとともに、57℃まで昇温し重合反応を開始した。その際、57℃に到達した時点で、該還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始し、該排気は還流コンデンサー内の塔頂部の温度が35℃から49℃に達するまで続けるとともに、該還流コンデンサーのジャケット温度を低下させ、反応器のジャケット温度が一定となるように還流コンデンサーのジャケット温度を制御した。その後は、還流コンデンサー内の塔頂部の温度を49℃に制御するように断続的に非凝縮性ガスの排気を行いながら、還流コンデンサーのジャケット温度を制御し、重合反応を5時間続けた。
【0034】
そして、重合反応終了後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した後、塩化ビニル重合体スラリーを取り出し、反応器内のスケール付着状況を観察すると共に、脱水乾燥して塩化ビニル重合体を得た。
【0035】
さらに、上記に示した塩化ビニル重合体の製造を連続して200バッチ行い得られた塩化ビニル重合体の評価を行うとともに、連続生産性の評価を行った。
【0036】
その結果を表1に示す。
【0037】
得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.550±0.010g/ccと高いうえそのばらつきは小さく、フィッシュアイが少なく品質に優れるものであった。また、連続して200バッチの生産を行った結果、反応器内にスケールの付着はほとんど見られなかった。
【0038】
実施例2
反応器内の温度が57℃に到達した時点で、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始し、該排気を還流コンデンサー内の塔頂部の温度が34℃から52℃に達するまで続け、その後は還流コンデンサー内の塔頂部の温度を52℃に制御しながら、断続的に非凝縮性ガスの排気を行った以外は、実施例1と同様の方法にて塩化ビニル重合体の製造及びその評価を行った。
【0039】
その結果を表1に示す。
【0040】
得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.553±0.008g/ccと高いうえそのばらつきは小さく、フィッシュアイが少なく品質に優れるものであった。また、連続200バッチの生産を行った結果、反応器内にスケールの付着はほとんど見られなかった。
【0041】
実施例3
反応器内の温度が57℃に到達した10分後に、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始し、該排気を還流コンデンサー内の塔頂部の温度が35℃から49℃に達するまで続け、その後は還流コンデンサー内の塔頂部の温度を49℃に制御しながら、断続的に非凝縮性ガスの排気を行った以外は、実施例1と同様の方法にて塩化ビニル重合体の製造及びその評価を行った。
【0042】
その結果を表1に示す。
【0043】
得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.555±0.006g/ccと高いうえそのばらつきは小さく、フィッシュアイが少なく品質に優れるものであった。また、連続200バッチの生産を行った結果、反応器内にスケールの付着はほとんど見られなかった。
【0044】
比較例1
反応器内の温度が57℃に到達した時点で、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始し、該排気を還流コンデンサー内の塔頂部の温度が33℃から49℃に達するまで続け、その後は排気流量50Nm3/時間で排気開始から3時間排気を継続した。排気3時間後の還流コンデンサー内の塔頂部の温度は57℃であった以外は、実施例1と同様の方法にて塩化ビニル重合体の製造及びその評価を行った。
【0045】
その結果を表1に示す。
【0046】
塩化ビニル重合体製造中、塩化ビニル重合体スラリーの発泡により還流コンデンサーによる冷却が安定せず、得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.514±0.025g/ccと低いうえそのばらつきは大きく、フィッシュアイも多く品質に劣るものであった。また、連続200バッチの生産を行った結果、反応器内のスケール付着は著しいものであった。
【0047】
比較例2
反応器内の温度が57℃に到達した時点で、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を開始し、該排気を還流コンデンサー内の塔頂部の温度が42℃に達するまで続け、その後は該還流コンデンサー内の塔頂部の温度を42℃に制御しながら、断続的に非凝縮性ガスの排気を行った以外は実施例1と同様の方法で塩化ビニル重合体の製造を試みたが、重合反応途中で、該還流コンデンサーによる除熱量が設定値に達せず、反応器内の温度が設定温度57℃より上昇したため反応を中止した。
【0048】
比較例3
反応器内の温度が57℃に到達した時点で、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を排気流量50Nm3/時間で3時間を継続した。排気開始から3時間後の還流コンデンサー内の塔頂部の温度が57℃であった以外は、実施例1と同様の方法にて塩化ビニル重合体の製造及びその評価を行った。
【0049】
その結果を表1に示す。
【0050】
塩化ビニル重合体製造中、塩化ビニル重合体スラリーの発泡により還流コンデンサーによる冷却が安定せず、得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.552±0.020g/ccでありそのばらつきは大きく、フィッシュアイも多く品質に劣るものであった。また、連続200バッチの生産を行った結果、反応器内のスケール付着は著しいものであった。
【0051】
比較例4
反応器内の温度が57℃に到達した時点で、還流コンデンサー塔頂部より非凝縮性ガスの排気を排気流量120Nm3/時間で3時間を継続した。排気開始から3時間後の還流コンデンサー内の塔頂部の温度は57℃であった以外は、実施例1と同様の方法にて塩化ビニル重合体の製造及びその評価を行った。
【0052】
その結果を表1に示す。
【0053】
塩化ビニル重合体製造中、塩化ビニル重合体スラリーの発泡により還流コンデンサーによる冷却が安定せず、得られた塩化ビニル重合体は、かさ比重が0.503±0.023g/ccと低いうえそのばらつきは大きく、フィッシュアイも多く品質に劣るものであった。また、連続200バッチの生産を行った結果、反応器内のスケール付着は著しいものであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、長期連続操業を行った場合でも、バッチ毎の得られる塩化ビニル系重合体の品質が安定し、かつ反応器内にスケールの付着が起こりにくく、その工業的価値は高い。
Claims (1)
- 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁剤の存在下で懸濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法において、還流コンデンサーを備えた重合装置を用い、該還流コンデンサーによる除熱を開始する前に塔頂部からの非凝縮性ガスの排気を開始し還流コンデンサーの内温を重合温度より10℃低い温度以上重合温度未満の範囲とすると伴に、該還流コンデンサーの塔頂部より非凝縮性ガスを排気することにより、該還流コンデンサー内の塔頂部温度を重合温度より10〜5℃低い温度の範囲に制御しながら塩化ビニル系単量体の懸濁重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
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