JP3197445B2 - 重合装置及びそれを用いる塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

重合装置及びそれを用いる塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP3197445B2
JP3197445B2 JP33647294A JP33647294A JP3197445B2 JP 3197445 B2 JP3197445 B2 JP 3197445B2 JP 33647294 A JP33647294 A JP 33647294A JP 33647294 A JP33647294 A JP 33647294A JP 3197445 B2 JP3197445 B2 JP 3197445B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、除熱能力が改善された
新規重合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系単量体の懸濁重合等
に使用される重合装置として、例えば還流コンデンサ
ー、冷却用ジャケット、撹拌装置、原料仕込みノズル、
重合体抜出し用ノズル等を重合器に設けて成る重合装置
が知られている。これらの重合装置においては、重合反
応熱の除去(除熱)は、主として前記のリフラックス還
流コンデンサーおよびジャケットにより行なわれる。
【0003】また、その他の除熱方式を採用した重合装
置として、冷却コイル、ドラフトチューブ等を重合器に
設置したもの、外部に冷却装置を設けて重合反応物をそ
の外部冷却装置を通して除熱して重合器に戻すようにし
た重合装置も知られている。
【0004】しかしながら、特に塩化ビニル系又はこれ
を主体とする単量体混合物(以下、塩化ビニル系単量体
という)の懸濁重合においては、重合器内に冷却コイル
やドラフトチューブ等の内部構造物を入れることは撹拌
所要動力の増大につながる。また仕込んだ原材料の混合
性能を低下させ、重合器内に流動の緩慢な部分が発生す
る。その結果、重合器内の温度が不均一化し、得られる
重合体の粒子サイズが不均一化し、更に重合器内壁に重
合体スケールが付着し易くなる。スケールはフィッシュ
アイを増加させ、成形製品の品質を著しく損う。したが
って、このような手段で除熱を行うことは、重合器内の
構造を複雑化させるため、種々の問題を発生する。
【0005】また重合器の外部に冷却装置を設けて重合
体混合物を該冷却装置を介して循環させる方法は、重合
器の管理、保守の他に循環ライン内の管理、保守が必要
となり、水洗等の作業が煩雑になりやすい。また、この
外部循環装置を用いると、得られる重合体の品質は、こ
れを用いない場合に比べて劣るという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする問題】ところで、生産性向上
の目的で重合器自体を大型化した場合、あるいは重合反
応時間を短縮するための重合方法を採用した場合には、
単位時間当りの発熱量が増大するので、除熱効率も増大
させることが必要となる。このために、冷却ジャケット
に流す冷水の温度を冷凍機を用いて低下させることも可
能であるが、経済的な観点より好ましくない。
【0007】また40m3 以上の大型重合器となると、
ジャケットによる除熱量の増加にはおのずと限界がある
ため、還流コンデンサーによる除熱量を大きくする必要
が生ずる。ところが、還流コンデンサーの除熱負荷を大
きくしていくと、重合器内のスラリーの発泡が増大して
還流コンデンサー内部へスラリーが溢流する結果、還流
コンデンサーの除熱能力が低下したり、還流コンデンサ
ー内に重合体スケールの付着が発生する。場合によって
は、溢流した重合体粒子によって配管が詰り、還流コン
デンサーの運転が不可能になったりすることがある。
【0008】更に還流コンデンサーを重合初期より使用
すると、得られる重合体粒子の粒度が粗くなったり、泡
状の重合体が生成する等の問題もある。従って、大型重
合器を用いたり、重合反応時間を短縮する場合には、還
流コンデンサーとジャケットのみでは、除熱が不十分と
なるという問題を避けることができない。そのため、ジ
ャケットと還流コンデンサーによる除熱を他の冷却方式
で補わなければならない。
【0009】しかし、この不足に除熱量を補う手段とし
て先に述べた冷却コイル、ドラフトチューブ、外部冷却
装置等を用いて冷却用の伝熱面積を増やすと、得られる
重合体の品質が低下したりスケール発生の問題があった
のである。
【0010】従って、本発明の課題は、除熱効率が高
く、重合器の大型化または重合反応時間の短縮にも何ら
支障なく対応することができ、かつスケール付着が起り
にくく、高品質の重合体を製造できる重合装置を提供す
ることにある。
【0011】
【問題を解決するための手段】本発明によれば、実質的
に円筒状である容器からなる重合器を備える重合装置で
あって、該重合器が、その内部に垂直方向に延びるパイ
プからなる複数本のバッフルと;隣合う各2本のバッフ
ルの間に重合器内壁面に沿ってかつ該内壁面から離れた
状態で、重合器下部から上部に向って多段に蛇行して延
びる形で設けられた蛇行配管とを有しており;前記バッ
フル及び蛇行配管には冷媒が通されるものである重合装
置が提供される。
【0012】
【作用】本発明は、重合器内部に、縦方向バッフルと、
重合器下部から上部に向かって多段に蛇行して延びてい
る蛇行配管を設け、これらに冷却媒体を通すことによ
り、除熱効率を著しく向上させ、しかも重合体スケール
の発生や重合体の品質低下を有効に回避することに成功
したものである。しかして、本発明は、上記の重合装置
を用いて、塩化ビニル又は塩化ビニルを主体とするビニ
ル系単量体混合物を水性媒体中で懸濁重合する工程を有
する塩化ビニル系重合体の製造方法をも提供する。
【0013】以下、本発明の重合装置を、添付図面に示
す具体例に基づいて説明する。図1は、本発明の重合装
置の縦断面を簡略して示す図であり(蛇行配管は省略し
てある)、図2は、図1の装置のA−A線に沿う概略的
な水平断面である。また図3は、図1の装置に設けられ
ている蛇行配管とバッフルとの配置関係を示す図であ
る。
【0014】図4は本発明に用いられる蛇行配管の別の
実施態様を概略的に示す図であり、図5はそれを重合器
内で4本のバッフルの隣り合う各2本間に設置した状態
の水平断面図である。図6は、蛇行配管の別の実施態様
を示す。図7は、蛇行配管のさらに別の実施態様を示
す。この重合装置は、垂直に設けられたほぼ円筒状の側
壁1aと、該側壁1aの上部及び外側に下部をそれぞれ
閉鎖する頂部壁11b及び底1cとからなる重合器1を
備え、該重合器1は円筒状内空間を有する。該重合器1
には、上部に還流コンデンサー及びジャケット(図示せ
ず)が設けられている。重合器1の内空間には、その中
心軸に沿って攪拌軸3が設けられ、この軸3はパドル翼
2を備えている。この重合器1内に、重合性の単量体、
重合開始剤、水性媒体、界面活性剤等が仕込まれて重合
が行われる。
【0015】本発明の重合装置においては、重合器1の
内部に、冷却用のパイプから成る縦方向バッフル4が複
数本設けられる。このバッフル4内に冷媒を通すことに
よって、除熱効率が増大する。バッフル用のパイプは直
径40〜500 mmが好ましく、特に、50〜 400mmが好まし
い。本発明において、一般に、バッフル4は、2〜8本
程度、好ましくは4〜6本程度の本数とし、中心軸の回
りに対称的に配置することが、液の滞留を生ぜず、スケ
ールの発生を有効に回避する上で望ましい。また図2の
水平断面図でみて、バッフル4の断面積の総和は、重合
器の内空間の円筒状部の直胴部の水平断面積に対して0.
4〜3%の範囲とすることが好適である。バッフル4の
本数が1本であったり、また上記断面積割合が0.4%よ
りも小さいとバッフルとしての役割りが果せず、重合器
内における上下の混合を十分に行うことができない。そ
の結果、例えば塩化ビニル系単量体の懸濁重合では、得
られる重合体の粒度分布がブロードとなったり、重合体
をシート状に成形した場合にフィシュアイが増加する等
の不都合を生じる。さらにバッフル4の本数が8本を超
えたり、前記断面積割合が3%を超えると、撹拌所要動
力が過度に増加するばかりか、バッフル裏側(バッフル
と重合器内壁面の間)での流動が悪くなり、この結果、
スケールの付着が起こり易くなる。また、バッフルは内
壁面から40mm以上離れていることが望ましい。
【0016】また本発明においては、図2及び図3に示
されている様に、隣合うバッフル4間に、重合器1の内
壁面に沿って下方から上方に向かって多段に蛇行して延
びている蛇行配管6が設けられる。この蛇行配管に冷媒
を通すことによって、除熱効率がさらに増大する。蛇行
配管は直径直径10〜 200mmが好ましく、20〜100 mmがよ
り好ましい。尚、図1では、蛇行配管6は省略してあ
る。
【0017】一般に、この蛇行配管6は、重合器1の大
きさ及び必要伝熱面積等によっても異なるが、通常、2
〜30段、特に5〜20段の段数で蛇行していることが
好ましい。またこの蛇行配管6は重合器1内の重合体混
合物の流動をなるべく妨げないように、図3に示されて
いる如く、水平部7を有することが好ましい。上下に隣
り合う2本の水平部7と7の間は連結部8で連結されて
いる。連結部8の形状は特に限定されないが、滑らかな
弧状であることが好ましい。
【0018】図4は本発明に用いられる蛇行管の別の実
施態様を概略的に示したものである。図5は、図4に示
した蛇行管9を4本のバッフル10a〜10dの隣り合
う各2本(例えば、10aと10b)の間に設置した状
態を水平断面図で示したものである。この実施態様では
各段の水平部がほぼ平行で同じ高さにある外側水平部1
1と内側水平部12とから構成され、その間は滑らかな
円弧状の連結部13で連結されている。即ち、蛇行管9
は冷却水の入口14から重合器内壁面15に沿うように
一定半径でカーブを描きつつ水平に延びて外側水平部1
1を形成し、バッフル10bに達しないうちに内側へ円
弧を描いて水平に屈曲して連結部13を形成し、次に外
側水平部11を平行にかつ水平に、より小さな半径のカ
ーブを描きつつ延びて内側水平部12を形成し、次いで
バッフル10aに達しないうちに外側へ円弧を描いて水
平に屈曲し外側水平部と同一半径に達した付近で垂直方
向へ屈曲する。次に配管は上下に隣合う2つの水平部の
クリアランスに相当する長さ15だけ延びた後、水平方
向にかつ重合器内壁面15に沿うように前記の外側水平
部11と同様の外側水平部11’を形成して行く。以
下、同様にして各段の水平部が形成された後、配管は出
口16に到る。図6は蛇行配管の別の実施態様を示す。
この実施態様では、外側水平部17と内側水平部18と
の連結部19が直線的な配管で形成されている。図7は
蛇行配管のさらに別の実施態様を示す。この実施態様で
は外側水平部と内側水平部とが交互にかつ異なる高さで
形成されている。即ち、配管は入口から垂直方向に延び
た後外方へ屈曲し、その後外側水平部20を形成する。
その後、配管は垂直に延びた後に内方へ屈曲し、次い
で、内側水平部21を形成する。その後は、同様にし
て、異なる高さの外側水平部20と内側水平部21とを
交互に形成している。図1〜3の実施態様に戻って本発
明で説明する。上記の蛇行配管6は、重合体混合物の流
動を妨げず、且つ必要以上の動力が攪拌軸3及び攪拌翼
2にかからない様に設置することが必要である。例え
ば、蛇行配管6は重合器の軸を中心として対称的に配置
することが好ましい。また蛇行配管6と重合器内壁面と
のクリアランスは、少なくとも40mmとすることが望ま
しい。このクリアランスが40mm未満であると、重合器
1内の気相−液相界面部分において、重合器内壁とバッ
フル4及び蛇行配管6との間に重合体スケールが付着し
易くなる。さらに、蛇行6の隣り合う水平部7と7と配
管のクリアランスは、少なくとも70mmとすることが好
ましい。このクリアランスが70mm未満であると、重合
器内壁面と蛇行配管6との間に重合体スケールが付着し
易くなる。
【0019】本発明において、上記の蛇行配管6は、重
合時に液相に没するように設置される。その際に、蛇行
配管上部が気液界面に近づきすぎないように、なるべく
気液界面から離して設置することが望ましい。というの
は、気液界面に近すぎると、重合末期においては液収縮
によりかなり気液界面が低下するため、蛇行配管6の上
部が気相に露出するので、伝熱性能上不利であり、また
重合体スケールが付着し易くなる。
【0020】上述したバッフル4及び蛇行配管6の管内
構造については特に限定はないが、冷媒を通じて除熱す
る際の伝熱性能を向上させるために、2重管構造にし、
内管と外管の間に冷媒を流して冷媒の線速を上げること
もできる。冷媒の線速としては、 1.0〜3.0m/sが好まし
い。冷媒としては水、ブライン、フレオンその他の液化
ガスが使用されるが、液化ガスの場合には、バッフル
4、蛇行配管6内で蒸発させながら使用することもでき
る。またバッフル4及び蛇行配管6に流す冷媒の方向は
限定されず、例えばバッフル4に対しては、図1中の矢
印5で示される様に、ひとつのライン内で連続的に冷媒
を供給することが望ましい。また蛇行配管6において
は、図3に示されている様に、下方から上方に向かって
冷媒を流すことが好ましい。
【0021】本発明において、上述したバッフル4及び
蛇行配管6が設けられる重合器1としては、L/Dが1.
0〜3.0、特に1.5〜2.5の範囲となる構造のものが良
い。ここで、Lは図1に示すように円筒状部の長さであ
り、Dは該円筒状部における内径である。この重合装置
に用いる撹拌翼としては、図示したパドル翼以外にも、
タービン翼、プルマージ翼等の回転軸から放射状に外周
へ向う吐出流を発生する形式の撹拌翼が好適に使用さ
れ、これらは多段、特に2〜6段で使用することが好ま
しい。
【0022】重合時の回転数等は重合器の大きさ、除熱
手段の構成、重合のために仕込まれる原材料の組成によ
って適宜決められるものである。内容物(水性懸濁混合
物)に加えられる撹拌のエネルギーは 80 〜 200kg・m
/s・ton が好ましい。ここで、内容物に加えられる
「攪拌エネルギー」とは重合器内の運転中の攪拌機用駆
動モーターに負荷されるエネルギー〔A〕(ワットメー
ターにより電気的に計測可能)からモーター効率及び伝
導ロス,メカニカルロス等の各種のエネルギーロス
〔B〕を差し引いた、内容物単位量当りの攪拌に要する
正味のエネルギーである。即ち、攪拌エネルギーは式: (ここで、〔C〕は内容物の重量を意味する) で表される。攪拌エネルギーは攪拌軸の回転数を変更す
ることにより容易に調節することができる。これらバッ
フル及び蛇行配管に用いられる材質は、伝熱性、耐食性
の点より高クロム高純度フェライト系ステンレス鋼、2
相ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等のス
テンレス鋼が好ましい。
【0023】本発明の重合装置は、各種のビニル系単量
体、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩
化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢
酸ビニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル
等のビニルエーテル類、メタクリル酸メチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類、マレイン酸もしくはフマル
酸の金属塩もしくはエステル類、スチレン等の芳香族ビ
ニル類、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等のジ
エン系単量体、アクリロニトリル等の懸濁重合、乳化重
合に広く使用することができる。特に塩化ビニル又はこ
れを主体とする単量体混合物の重合に好適である。
【0024】上記の重合装置を用いて重合を行う際に、
バッフル、蛇行配管、ジャケットに冷却水を通水して仕
込んだ反応化合物の除熱を開始する時期は、反応混合物
の温度が重合所望の温度に達した時が望ましい。また還
流コンデンサーによる除熱を開始する時期は、重合転化
率が4%に達した以後が望ましく、重合転化率が4〜2
0%の時点より好ましい。これらの重合に使用する際に
おいて、原料などの仕込み割合、仕込方法、重合温度な
どの重合条件等は基本的に通常行なわれている重合と同
様である。塩化ビニル系重合体の懸濁重合を例にとって
述べると、重合器への水性媒体、塩化ビニル単量体、場
合によっては他のコモノマー、分散助剤、重合開始剤等
の仕込みは従来と同様にして行なえばよく、重合条件も
また同様でよい。重合される単量体としては、塩化ビニ
ル単独のほか、塩化ビニルを主体とする単量体混合物
(塩化ビニル50重量%以上)を用いることができ、この
塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、例えば
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エ
ステルもしくはメタクリル酸エステル;エチレン、プロ
ピレン等のオレフィン;無水マレイン酸;アクリロニト
リル;スチレン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと
共重合可能な単量体があげられる。
【0025】上記分散助剤としては、塩化ビニルの水性
媒体中での重合の際に通常使用されているものでよく、
例えば、メチロセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;部
分ケン化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体;ゼ
ラチン等の水溶性ポリマー等があり、これらは1種また
は2種以上の組合せで添加される。該分散助剤は、仕込
まれる単量体100 重量部当り0.01〜5重量部添加され
る。
【0026】また、重合開始剤も従来塩化ビニル系の重
合に使用されているものでよく、これには、例えば、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチ
ルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチ
ルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合
物;α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチル
パーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオ
ヘプタノエート、ヘキシルパーオキシネオデカネート、
オクチルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化
合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシ
ド、2,4,4-トリメチルペンチル-2- パーオキシフェノキ
シアセテート等の過酸化物;アゾビス-2,4−ジメチルバ
レロニトリル、アゾビス(4-メトキシ-2,4- ジメチルバ
レロニトリル)等のアゾ化合物等があり、これらは一種
単独でまたは2種以上組み合せて使用することができ
る。これらの重合開始剤は、単量体100 重量部当り通常
0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜3重量部添加され
る。さらに、必要に応じて塩化ビニルの重合に適宜使用
される重合調整剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良
剤、帯電防止剤、スケール防止剤、等を添加することも
できる。
【0027】
【実施例】実施例1 図1〜図3に示した重合装置を使用した。この重合器1
は内容積が2m3 、円筒状部内空間の水平断面積が 0.8
65m2 である。また重合器1の中央に配置されている攪
拌軸3に設けられているパドル翼2の翼径は 517mmとな
っている。また冷却手段として図示されていないが重合
器の上部に還流コンデンサーがそして外側にジャケット
を備えている。
【0028】バッフル4としては、外径 60.5mm 、内径
52.7mm のオーステナイト系ステンレス鋼製円筒状パイ
プからなるバッフルを4本、前記パドル翼の回転を妨害
しない位置(重合器の中心から 455mmの位置)に等間隔
に点対称に設けられている。これら4本のバッフルの水
平断面積の総和は、0.01149 m2 である。
【0029】蛇行配管6としては、外径27.2mm、内径 2
3mm のオーステナイト系ステンレス鋼製の配管を使用
し、図2及び3に示されている様に、各隣り合うバッフ
ル4間に各1個、合計4個配置した。尚、水平部の段数
は15段とし、重合器内壁面と蛇行配管6とのクリアラ
ンスは50mm、水平部のパイプ同士のクリアランスは90mm
とした。これらのバッフル、蛇行配管には冷却水を必要
な時に流すことができ流量を調整することができる。
【0030】この重合器に、脱イオン水 900 kg、部分
ケン化ポリビニルアルコール 330g、ジ−2−エチル
ヘキシルパーオキシジカーボネート 429 gを仕込み、
重合器内を50mmHgになるまで排気した後、塩化ビニル単
量体 660kg を仕込み、パドル翼2を回転数 208 rpmで
回転させて、攪拌をしながらジャケットに熱水を通水
し、内温を57℃に昇温して重合を開始した。内温が57℃
に達した時点でバッフル、蛇行配管及びジャケットに冷
却水を流して内温を57℃に保持して重合反応を続けた。
また重合転化率が5%に達した時点から還流コンデンサ
ーの作動を開始して重合反応を続けた。なお、重合開始
1時間後の時点で攪拌動力を測定した。重合器内の圧力
が6.5kg/cm2 (ゲージ圧)に降圧後、反応を停止した
(重合時間は4.5時間であった)。その後、未反応単量
体を回収し、生成した塩化ビニル重合体スラリーを重合
器から抜き出し、脱水、乾燥して所望の塩化ビニル重合
体を得た。また得られた重合体の嵩比重、可塑剤吸収
量、粒度分布、フィッシュアイを以下の方法で測定し、
また重合器内壁のスケール付着状態を観察した。結果を
表1に示す。
【0031】重合器1に取り付けられたジャケット及び
還流コンデンサーの最大除熱能力は、 ジャケット最大除熱能力: 40×103 kcal/H 還流コンデンサー最大除熱能力: 30×103 kcal/H である。上記の重合では、ジャケット及び還流コンデン
サーを、 ジャケット除熱能力: 30×103 kcal/H 還流コンデンサー除熱能力: 25×103 kcal/H の条件で運転した。またバッフル及び蛇行配管の最大除
熱能力は、以下の通りであった。 バッフル4本分の最大除熱能力: 12×103 kcal/H 蛇行配管4本分の最大除熱能力: 16×103 kcal/H また、ピーク時(重合率約70%)における最大重合反
応発熱量は、70×103kcal/Hであった。
【0032】(嵩比重)JIS K-6721に準拠して測定し
た。
【0033】(可塑剤吸収量)内径25mm、深さ85mmのア
ルミニウム合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、
試料の塩化ビニル重合体10gを採取して投入する。これ
にジオクチルフタレート(DOP)15ccを加え、30分放
置してDOPを重合体に十分に浸透させる。その後、15
00Gの加速度下に過剰のDOPを遠心分離し、重合体10
gに吸収されたDOPの量を測定して重合体100g当
りに換算する。
【0034】(粒度分布)JIS Z-8801に準拠し、♯60,
♯80, ♯100,♯150,♯200 の各篩を用いて篩分けし、通
過量(重量%)を測定した。
【0035】(フィッシュアイ)塩化ビニル重合体 100
重量部、フタル酸ジオクチル50重量部、三塩基性硫酸鉛
0.5 重量部、ステアリン酸鉛 1.5重量部、酸化チタン
0.1重量部およびカーボンブラック 0.05 重量部を混合
し、この混合物 25 gを、混練用6インチロールによっ
て140℃で5分間混練し、幅15cm、厚さ0.2mmのシ
ートを作成した。得られたシートに生じた透明粒子数の
100 cm2 当りの数を計数した。
【0036】比較例1 実施例1において蛇行配管の設置をせず、且つバッフル
の本数を4本から10本に変更して軸3に対して点対称
に配置した重合器を用いた以外は、実施例1と同様にし
て塩化ビニル重合体を得、同様の測定を行った。結果を
表1に示す。
【0037】比較例2 実施例1においてバッフルの設置をしない重合器を用い
た以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体を
得、同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0038】実施例2 図1及び図2に示した重合装置を使用した。この重合器
1は内容積が80m3 、円筒状直胴部の水平断面積が 1
0.2 m2 である。また重合器1の中央に配置されている
攪拌軸3に設けられているパドル翼2の翼径は1775mmと
なっている。また冷却手段として図示されていないが還
流コンデンサーを上部に、ジャケットが側面に設けられ
ている。このジャケット及び還流コンデンサーの最大除
熱能力は、以下の通りである。 ジャケット最大除熱能力: 1.18×106 kcal/H 還流コンデンサー最大除熱能力: 1.0×106 kcal/H
【0039】バッフル4としては、外径190mm 、内径17
8mm のオーステナイト系ステンレス鋼製円筒状パイプか
らなるバッフルを4本、前記パドル翼の回転を妨害しな
い位置(重合器の中心から1565mmの位置)に等間隔にか
つ軸3に対して点対称に設けられている。
【0040】蛇行配管6としては、外径 60mm 、内径 5
2mm のオーステナイト系ステンレス鋼製のものを使用
し、図2及び3に示されている様に、各バッフル4間に
4個配置した。尚、水平部の段数は15段とし、重合器
内壁面とパイプとのクリアランスは200mm 、隣り合う水
平部同士のクリアランスは 350mmとした。これらのバッ
フル、蛇行配管には冷却水を必要な時に流すことができ
流量を調整することができる。尚、バッフル及び蛇行配
管の最大除熱能力は、以下の通りである。 バッフル4本分の最大除熱能力: 0.45×106 kcal/H 蛇行配管4本分の最大除熱能力: 0.5×106 kcal/H
【0041】この重合器に、脱イオン水 38.2t、部分
ケン化ポリビニルアルコール 14kg、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート 18.2kg、を仕込み、
重合器内を50mmHgになるまで排気した後、塩化ビニル単
量体 28tを仕込み、撹拌をしながらジャケットに熱水
を通水し、内温を57℃に昇温して重合を開始した。内温
が57℃に達した時点でバッフル、蛇行配管及びジャケッ
トに冷却水を流して内温を57℃に保持して重合反応を続
けた。また重合率が5%に達した時点から還流コンデン
サーの作動を開始して重合反応を続けた。
【0042】重合器内の圧力が6.5kg/cm2 (ゲージ
圧)に降圧後、反応を停止した(重合時間は4.時間であ
った)。その後、未反応単量体を回収し、生成した塩化
ビニル重合体スラリーを脱水、乾燥して所望の塩化ビニ
ル重合体を得た。また得られた重合体の嵩比重、可塑剤
吸収量、粒度分布、フィッシュアイを、実施例1と同様
の方法で測定し、また重合器内壁のスケール付着状態を
観察した。結果を表1に示す。尚、ピーク時(重合率約
70%)における最大重合発熱量は、3.03×106 kcal/H
であった。
【0043】比較例3 実施例1において、バッフル4及び蛇行配管6の代わり
に幅40mm×厚さ5mm×長さ1300mmのオーステナイト系
ステンレス鋼製平板状バッフル(冷却能力なし)が1本
配置(重合器の中心から455mm の位置) された重合器を
用いた以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル重合体
を得、同様の測定を行った。その結果を表1に示す。こ
の比較例においては、ジャケットの除熱能力30×103 kc
al/H,還流コンデンサーの除熱能力103 kcal/Hで重合装
置を運転した。実施例3 蛇行配管として図3に示したものの代わりに図7に示す
構造のものを4本の各バッフル間に設置したものを使用
した意外は実施例1と同様にして塩化ビニルの重合を行
った。使用した蛇行配管9は外径27.2mm、内径23mmのオ
ーステナイト系ステンレス鋼製である。水平部20と2
1の段数の和が15段のものである。また、隣接する内
側水平部21と外側水平部20とのクリアランスは 103
mm,外側水平部20と重合器内壁面15とのクリアラン
スは50mmであった。上下に隣り合う2本の外側水平部同
士のクリアランス、及び上下に隣り合う2本の内側水平
部同士のクリアランスは、いずれも 180mmであった。用
いられた4本の蛇行配管の最大除熱能力は13×103 kcal
/Hであった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、効果的な冷却が可能で
ある結果、(1) 発熱を伴なう重合反応の場合でも重合反
応時間を大幅に短縮する重合方法を容易に採用すること
ができ、高い生産性を実現することができる。(2) 重合
器のジャケットによる冷却に冷凍水やその他の冷媒を使
用する必要がないという利点がある。(3) 重合器内壁面
等におけるスケールの付着が少なくなり、重合器内清掃
の労力が省ける。(4) 特に大型重合器での高速反応が可
能となり、安定な重合反応が行なわれ、従来の平板バッ
フル使用の重合装置を使用した場合に比してもフィッシ
ュアイの少ない均一で嵩比重の高い高品質の重合体が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合装置の縦断面を簡略して示す図で
ある(蛇行配管は省略)。
【図2】図1の重合装置のA−A線に沿う概略的な水平
断面図である。
【図3】図1の装置に設けられている蛇行配管とバッフ
ルとの配置関係をを示す図である。
【図4】本発明に用いられる蛇行配管の別の実施態様を
概略的に示す図である。
【図5】図4に示した蛇行配管を重合器内で4本のバッ
フルの隣り合う各2本間に設置した状態の水平断面図で
ある。
【図6】蛇行配管の別の実施態様を示す。
【図7】蛇行配管のさらに別の実施態様を示す。
【符号の説明】
1:重合器 2:パドル翼 3:攪拌軸 4:バッフル 5:バッフル冷却水の連続流 6:蛇行配管 7:水平部 8:連結部 9:蛇行配管 11:外側水平部 12:内側水平部 17:外側水平部 18:内側水平部 20:外側水平部 21:内側水平部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷藤 陽一 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (72)発明者 天野 正 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (72)発明者 大西 秀二 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平5−163302(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/01

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に円筒状である容器からなる重合
    器を備える重合装置であって、 該重合器が、その内部に垂直方向に延びるパイプからな
    る複数本のバッフルと;隣合う各2本のバッフルの間に
    重合器内壁面に沿ってかつ該内壁面から離れた状態で、
    重合器下部から上部に向って多段に蛇行して延びる形で
    設けられた蛇行配管とを有しており;前記バッフル及び
    蛇行配管には冷媒が通されるものである重合装置。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル又は塩化ビニルを主体とする
    単量体混合物を重合器を有する重合装置を用いて、水性
    媒体中で懸濁重合する工程を有する塩化ビニル系重合体
    の製造方法において、前記重合装置が請求項1に記載の
    ものである方法。
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