JP3388663B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、塩化ビニル系単量体等の懸濁重合
に使用される重合装置としては、重合容器に還流コンデ
ンサー、加熱冷却用ジャケット、攪拌装置、原料仕込ノ
ズル、重合体抜出し用ノズル等を備えた重合装置が知ら
れている。これらの重合装置には、重合反応熱を除去す
る目的で、主に還流コンデンサーや加熱冷却用ジャケッ
トが設けられている。還流コンデンサーは、一般に、重
合容器の上部に配置され、重合容器内で発生した蒸気を
導入し、これを冷却水等の冷媒で冷却して凝縮し、凝縮
した液は重合容器内に還流させることにより液体内容物
の温度を冷却するものである。また加熱冷却用ジャケッ
トは、重合容器の周囲に配置され、これに冷却水等を導
いて重合容器内の内容物を冷却するものである。中でも
還流コンデンサーは、冷却能力が大きく、生産性の向
上、或いは省エネルギー面で注目されている。 【0003】ところで、近年、生産性を向上させる目的
で重合容器自体が大型化し、また重合時間の短縮が図ら
れている。しかし、重合時間を短縮すると、単位時間当
りの発熱量が増大するため、加熱冷却用ジャケットだけ
で重合容器を冷却するには限界があり、還流コンデンサ
ーによる除熱割合を大きくする必要が生じる。一方、重
合を繰り返し行ってなおかつ各バッチで得られる重合体
の品質を一定に保つには、還流コンデンサーによるバッ
チ毎の除熱量の再現性を良好に保つ必要がある。しか
し、一般に還流コンデンサーの除熱負荷を大きくする
と、重合容器内でスラリーが発泡し、還流コンデンサー
の内部へスラリーが流入し易くなる。そのため、コンデ
ンサー内に重合体スケールが付着する等の問題が生じる
ばかりでなく、還流コンデンサーの除熱能力が低下して
くるため、各バッチの還流コンデンサーによる除熱量を
再現性よく制御することが困難である。 【0004】また、大型の重合容器では、100バッチ
以上の多段連続操業を行った場合に、重合容器内壁の気
相部に接する部分や気相と液相の界面近傍にスケールの
付着が著しくなるため、還流コンデンサーの冷却能力が
低下したり、スケールが混入して、得られる重合体の品
質が低下する等の問題が生じる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、たと
え大型の重合容器で長期操業を行った場合でも、還流コ
ンデンサーの除熱量を安定して保持することができるた
めバッチ毎の重合体の品質が安定し、かつスケールの付
着が起こりにくい塩化ビニル系重合体の製造方法を提供
することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意、検討
した結果、製造過程で重合容器に混入する窒素、酸素、
並びに重合開始剤の分解によって生成する窒素、一酸化
炭素、及び二酸化炭素等の所謂非凝縮性ガス(通常、重
合容器の内容物に溶解している)は反応中、蒸発し、特
に、大型で縦長の重合容器では還流コンデンサーの内部
に濃縮、蓄積され、蒸発してきた単量体の凝縮が防げら
れ、還流コンデンサーによる除熱が維持できなくなるこ
とを見出した。そこで、少なくとも還流コンデンサーに
よる冷却を開始する前に、即ち還流コンデンサーによる
冷却を開始する前に、非凝縮性ガスを所定の条件で還流
コンデンサーから排気することにより、還流コンデンサ
ーの除熱効率を高め、かつ特定の攪拌翼を用いることに
より、上記課題が解決できることを見出して本発明に到
達した。 【0007】本発明は、円筒状の直胴部とその上下を封
じる略半球状の頂部と底部とからなる略円筒形の重合容
器と、該重合容器の中心線上に配置された回転シャフト
に沿って複数段設置された、各々ブレードを有する攪拌
翼と、該重合容器の上部に配置され、重合容器内で発生
した単量体蒸気を凝縮し、かつ凝縮した液を重合容器内
に還流する還流コンデンサーと、該重合容器の周囲に配
置され、重合容器内の液体内容物を加熱冷却する加熱冷
却用ジャケットとを備えた重合装置中で、塩化ビニル単
量体又はこれを主体とするビニル系単量体混合物を、水
性媒体中、油溶性重合開始剤の存在下に該攪拌翼で攪拌
しながら、かつ前記内容物から蒸発する非凝縮性ガスを
排気しながら、懸濁重合することからなる塩化ビニル系
重合体の製造方法において、重合容器として、内容積1
00m3 以上で、かつ内径(D)に対する直胴部の長さ
(L)の比(L/D)が、1.5以上であり、最上段の
攪拌翼が、ブレードの縦幅の中心線の高さで、重合容器
の直胴部の上端位置から下方へ150〜300cmの範
囲内にくるように配置した重合装置を用い、重合容器内
の内容物を重合温度近傍まで昇温した後に還流コンデン
サー内に入る非凝縮性ガスを排気流量が10〜100N
m3 /時間、排気時間が全重合時間の20%以上となる
ような条件で排気し、かつ該非凝縮性ガスの排気の開始
と同時又はその後に還流コンデンサーによる冷却を開始
することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法で
ある。 【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
製造方法を適用する重合容器は、基本的には図1に示す
ように、円筒状の直胴部とその上下を封じる略半球状の
頂部と底部とからなる略円筒状の重合容器1であり、内
容積が100m3 以上,好ましくは100〜200m3
で、重合容器の内径(D)に対する直胴部の長さ(L)
の比(L/D)は、1.5以上,好ましくは1.5〜
2.5である。本発明に用いる攪拌翼は、図1に示すよ
うに、重合容器1の中心線A上に配置された回転シャフ
ト7に沿って複数段、好ましくは3段以上、更に好まし
くは、3〜5段配置され、最上段の攪拌翼2が、例え
ば、図2に示すように、ブレードの縦幅の中心線Cの高
さで重合容器1の直胴部の上端位置(TL)から下方へ
150〜300cmの範囲内にくるように設置する。更
には図3に示すように、最上段の撹拌翼2はブレードの
縦幅の上端の高さをH1 とした時、H1 =1.3D〜
1.85D(但しDは前述の通り)に設置することが好
ましい。この場合、重合容器に仕込む材料は、反応前の
内容物の液面の高さをH0とし、かつ直胴部の上端の高
さをH2 とした時、(10/9)H1 ≦H0 ≦(100
/65)H1 (但しH1 は前述の通り)及びH0 <H2
を同時に満足するように仕込むことが好ましい。 【0009】本発明の製造方法では、このように配置し
た攪拌翼2を用いることにより、特に、常時還流コンデ
ンサーを使用して100バッチ以上連続操業する場合に
は、気液界面に滞留する泡状のスラリーを減少させ、界
面部分の洗浄効果も加わってスケールの成長を著しく抑
制することができる。なお、この配置位置が、上端位置
(TL)から下方へ150cmの位置より上の場合に
は、得られる塩化ビニル重合体の嵩比重が低下したり、
粒度分布がブロードになったり、フィッシュアイが多く
なり、また重合容器内の界面部分にスケールが付着しや
すくなる。この配置位置が、上端位置(TL)から下方
へ300cmの位置より下の場合には、得られる塩化ビ
ニル重合体のフィッシュアイが多くなり、また重合容器
内の界面部分にスケールが付着しやすくなる。 【0010】攪拌翼の種類としては、公知のものを好適
に用いることができ、例えば、パドル翼、ピッチドパド
ル翼、ブルマージン翼、ファウドラー翼、タービン翼、
プロペラ翼等を用いることができる。中でも好ましいの
は、図2に示すように、回転軸Bを中心に板状で略矩形
の複数のブレード4を放射状に備えたパドル翼である。
ブレード4の数としては、通常2〜6、好ましくは2で
ある。ブレード4の大きさは、回転に影響がない限り特
に制限はないが、下記関係式を満たすものが好ましい。 0.35≦d/D≦0.55であり、かつ0.10≦n
・w/D≦0.16 (式中、Dは前記と同義であり、dは、図2に示すよう
に、パドル翼の翼径であり、wはブレード4の縦幅であ
り、nはパドル翼2の段数である) 【0011】また、これらのパドル翼を他の撹拌翼と組
み合わせたものも好ましく、例えば図4に示すようにパ
ドル翼2a,2cとピッチドパドル翼2b,2d(ピッ
チドパドル翼のブレードの傾斜角度は回転軸に対し、例
えば45度)とを組み合わせたものが挙げられる。この
場合、パドル翼と他の撹拌翼との位置関係は、特に制限
はなく、内容物の混合が均一に行われるように適宜決定
すればよい。 【0012】このような攪拌翼2は、回転シャフト7に
固定され、回転シャフト7は、重合容器1の上部又は下
部に設置された電動機8によって駆動される。電動機8
による回転速度は、攪拌翼2の先端速度が、7〜15m
/sとなる速度が好ましい。そのためには電動機8の駆
動力(撹拌翼の撹拌動力)は、重合容器1の内容物1t
に対し、80〜170kg・m/sが好ましい。 【0013】本発明に用いる還流コンデンサーとして
は、図1に示すように、重合容器1の上部に配置され、
重合容器1内で発生した単量体蒸気をコンデンサー下端
の一つの導管を経て凝縮し、かつ凝縮した液を同じ導管
を経て重合容器1内に還流する直結式コンデンサーや、
図4に示すように、同様な単量体蒸気をコンデンサー下
端の二つの導管のうちの側方の導管を経て凝縮し、かつ
凝縮した単量体を中央側の導管を経て重合容器1内に還
流する分離式コンデンサーが例示される。従って還流コ
ンデンサー6としては、重合容器本体と一本又は複数本
の導管で連結され、その中を蒸気及び凝縮液が移動する
構造を有する公知のものでよく、例えばコイル式、スパ
イラル式、多管式、シェルアンドチューブ式等を挙げる
ことができ、中でも、シェルアンドチューブ式が好まし
い。還流コンデンサーの伝熱面積は、60〜300m2
が好ましい。なお、符号9は非凝縮性ガスの排出口であ
る。 【0014】本発明の製造方法では、重合容器を重合温
度近傍まで昇温した後、還流コンデンサー内の非凝縮性
ガスの排気を開始し、還流コンデンサーによる冷却を開
始する。重合温度は、ビニル系単量体の懸濁重合におい
て公知の重合温度でよく、通常35〜60℃である。 【0015】非凝縮ガスの排気を行う時期は、重合容器
の温度が重合温度近傍まで昇温した後であり、重合温度
をt℃とすると、通常、(t−5)℃〜t℃、好ましく
は、(t−2)℃〜t℃に達した後である。なお、排気
を行う時期が早過ぎると、重合容器内に泡立ちが起こ
り、気相部およびコンデンサー内部へ重合開始剤を含ん
だ泡が混入し、スケールの発生が増大したり、泡状の重
合体が目的とする重合体に混入し、この重合体から得ら
れる塩化ビニル製品にフィッシュアイが生じる場合があ
る。 【0016】昇温は、通常、図1に示すような、重合容
器1の周囲に配置され、重合容器1内の内容物を加熱冷
却する加熱冷却用ジャケット5に熱水又はスチームを通
すことにより行う。また、上記温度範囲に昇温すること
により、重合容器の内容物に溶解していた非凝縮性ガス
は液相から蒸発し、気相部に蓄積される。そして、この
非凝縮性ガスは、塩化ビニル単量体よりも比重が軽いた
め重合容器の気相部および還流コンデンサー内部に濃縮
される。 【0017】非凝縮性ガスの排気を行う方法としては、
特に制限はなく、例えば、還流コンデンサー6の頂部に
設けた排出口9からポンプ等(図示しない)で排気する
方法等を挙げることができる。 【0018】非凝縮性ガスを還流コンデンサーから排気
する流量は、通常、10〜100Nm3 /時間であり、
好ましくは、10〜60Nm3 /時間である。この流量
が10Nm3 /時間未満の場合には、バッチ毎に還流コ
ンデンサーの除熱量を一定に保つことが困難になるた
め、重合温度を一定に制御するのが困難になり、また、
重合容器内の界面部分にスケールが付着しやすくなった
り、得られる塩化ビニルにフィシュアイが多くなる。流
量が100Nm3 /時間を超える場合には、重合容器内
の泡立ちが激しくなるため、重合容器内の界面部分にス
ケールが付着しやすくなったり、得られる塩化ビニルに
フィシュアイが多くなり、また重合体の収量が低下す
る。 【0019】非凝縮性ガスの排気は、全重合時間の20
%以上、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは2
0〜60%以上の時間を継続して行う。この排気時間が
全重合時間の20%未満の場合には、還流コンデンサー
の除熱量を一定に保つことが困難になるため、重合温度
を一定に制御するのが困難になり、また、重合容器内の
界面部分にスケールが付着しやすくなったり、得られる
塩化ビニルにフィシュアイが多くなる。 【0020】本発明の製造方法は、このように非凝縮性
ガスの排気を開始すると同時に又は開始後に、還流コン
デンサーによる冷却を開始し、除熱量をコントロールし
ながら単量体を重合する。還流コンデンサーの除熱量を
コントロールする方法としては、例えば、冷却水の温
度、流量を調節する方法(特開昭57-8206 号公報参照)
等でよく、具体的には、除熱量を500,000〜2,
000,000kcal/時間の範囲で適宜コントロー
ルするのが好ましい。 【0021】本発明の製造方法に用いる重合装置には、
上記重合容器、攪拌翼、還流コンデンサー及び加熱冷却
用のジャケットのほか、図1に示すように、バッフル3
を設けてもよい。バッフル3としては、公知のものを好
適に用いることができ、例えば、平板状、パイプ状等の
ものを重合容器の内壁に沿って垂直に1〜8ヶ設置する
ことができる。 【0022】本発明の製造方法において、単量体として
は、塩化ビニルを単独で使用することができる他、塩化
ビニルを主体とし、塩化ビニルと共重合可能なコモノマ
ーを含有した単量体混合物(通常、塩化ビニルを50重
量%以上含有)も使用することができる。かかるコモノ
マーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル;例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル等のアクリル酸エステル及びメタクリル
酸エステル;例えば、エチレン、プロピレン等のオレフ
ィン;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;
α−メチルスチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上組み合わせて用いること
ができる。 【0023】単量体の重合体成分を懸濁分散させるため
に使用する水性媒体(水)の仕込み量は、従来の方法と
同様、単量体の仕込み比(水/単量体)が1.0〜1.
5程度(重量比)でよく、必要に応じて、重合の途中で
水を追加することもできる。 【0024】また重合系(懸濁分散液の内容物)の安定
化を図るために、例えば、ポリビニルアルコール、水溶
性及び油溶性のメチルセルロース、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶
性セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ゼラチン等の
水溶性ポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタ
ントリオレート、ソルビタンモノステアレート、グリセ
リントリステアレート、エチレンオキシド、プロピレン
オキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;例え
ば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレングセリンオレート、ラウリン酸ナトリ
ウム等の水溶性乳化剤;その他炭酸カルシウム、リン酸
カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等
を、本発明の目的が損なわれない範囲内で少量使用する
ことができる。これらは単独で、又は2種以上組み合わ
せて使用できる。これら懸濁剤の添加量は、仕込み単量
体100重量部に対し、0.01〜5重量部である。 【0025】本発明に用いる油溶性重合開始剤として
は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパ
ーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパ
ーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオ
デカノエート等のパーエステル化合物;アセチルシクロ
ヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメ
チルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド等の
過酸化物;アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビス(4−メトキシ−2,4ージメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができ、これ
らは単独で、又は2種以上組み合わせて用いることがで
きる。これら油溶性重合開始剤の添加量は、仕込み単量
体100重量部に対し、通常、0.01〜3重量部であ
る。 【0026】水性媒体は、通常、脱イオン水が使用され
る。更に、この重合系には、必要に応じて、塩化ビニル
系の重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、pH
調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、
充填剤、酸化防止剤、緩衝剤等を添加することも任意で
ある。 【0027】本発明の製造方法を実施する際には、予
め、重合容器内壁等にスケール付着防止剤を塗布しても
よい。スケール付着防止剤としては、公知のものでよ
く、例えば、多価フェノール類及び多価ナフトール類の
自己縮合物(特開昭54-7487 号公報);1−ナフトール
とホルムアルデヒドとの縮合物(特開昭57-164107 号公
報);フェノール化合物とアルデヒド類との縮合物(特
開昭54-36389号公報);キノン−アミン化合物と有機シ
リカゾルとの混合溶液(特開平1-135802号公報);ナフ
トール類、スルフィド化合物(特開平4-311702号公
報);電子供与性の染料とアリールスルホン酸との混合
物及び/又は反応生成物(特開平5-70505 号公報);フ
ェノチアジン誘導体(特開平5-501892号公報);キノン
化合物及び/又はその還元処理物(特開平5-279404号公
報);ケトン樹脂とフェノール性化合物との反応生成物
(特開昭62-236804 号公報);染料、顔料、共役π結合
を5個以上有する芳香族化合物、共役π結合を5個以上
有する複素環式化合物(USP-4,757,124);ポリ芳香族
アミン(USP-4,024,330 );カチオン化合物とアニオン
化合物との塩(GB-2,170,604);ポリビニルアルコール
とアミノ安息香酸との反応生成物(EP-0498142A1);フ
ェノール類とアルデヒド類との初期縮合変性物(特開平
6-501884号公報)等を挙げることができる。 【0028】本発明の製造方法において、重合に際して
の他の条件、重合器への水性媒体、塩化ビニル単量体、
場合によっては他のコモノマー、懸濁剤、重合開始剤等
の仕込み方法は、従来と同様にして行えばよく、これら
の仕込み条件もまた同様で良いが、重合容器の内容物の
容量として、通常、重合容器の容積の80〜90%、好
ましくは、82〜87%になるように仕込む。このよう
な仕込み量にすることにより、上記攪拌翼で攪拌してい
る状態で、ほぼ重合容器の直胴部の上端位置TL付近に
液面がくるようになる。 【0029】 【実施例】 (実施例1)図1に示すような、円筒状直胴部とその上
下を封じる略半球状の頂部と底部とからなる、略円筒形
で内容積が130m3 、内径(D:4,200mm)に
対する直胴部の長さ(L:7,900mm)の比(L/
D)が1.88の重合容器1、加熱冷却用ジャケット
5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、3段配置した
攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの縦幅の中心線
Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置TLより250
cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部に排出口9を
設けた還流コンデンサー6(シェルアンドチューブ式、
伝熱面積150m2 )を備えた重合装置を用いた。 【0030】重合容器にイオン交換水57,500k
g、部分ケン化ポリビニルアルコール13.8kg及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース9.2kgを水溶
液として重合容器内に仕込んだ。その後、真空ポンプで
重合容器の内圧が60mmHgとなるまで排気した。次
に、塩化ビニル単量体46,000kgを仕込み、攪拌
しながら重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート25.3kgを圧入し、ジャケッ
トに熱水を通して昇温を開始した。このときの攪拌動力
(電動機の駆動力)は、重合容器の内容物の重量(t)
当り、130kg/sであった。なお、このときの重合
容器の内容物の静止液面H0 は853cmであった。最
上段の撹拌翼の縦幅上端の高さH1 は655cmであ
り、また直胴部上端の高さH2 は895cmであり、
(10/9)H1≦H0≦(100/65)H1 及びH0
<H2 の式を同時に満足し、かつ1.56Dであった。 【0031】次に、重合容器内の混合物の温度が57℃
になったときに、還流コンデンサーの頂部に設けた排出
口から、非凝縮性ガスを50Nm3 /時間の流量で3時
間排気した。また、非凝縮性ガスの排出を開始すると同
時に、還流コンデンサーに通水してこれを冷却し、重合
温度を57℃に保ちながら重合反応を行い、重合容器の
内圧が6.0kg/m2 (ゲージ圧)に達した時点で重
合を停止し、未反応単量体を回収し、得られた重合体を
スラリー状で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況
を観察すると共に、得られた重合体を脱水乾燥して下記
の方法による試験に供した。その結果を表1に示す。 【0032】・重合容器内スケールの付着状況:評価は
各製造方法により 100バッチの重合を繰り返した後に下
記の判断基準で行った。 ○……スケールの付着がほとんどない。 △……気相液相界面部分に部分的にスケールが認められ
る。 ×……気相液相界面部の全周にスケールが認められる。 ・嵩比重の測定:得られた重合体について、JIS K-6721
にしたがって測定した。 ・粒度分布(篩下分布)の測定:得られた重合体につい
て、JIS Z-8801に準じた #60、#100、#200の各篩を用い
て篩分けし、通過量を計量して重量%で表した。 ・フィッシュアイ数の測定;得られた重合体 100重量
部、DOP50重量部、ステアリン酸バリウム 0.1重量
部、ステアリン酸カドミウム 0.1重量部、セタノール
0.8重量部、すず系安定剤2.0重量部、二酸化チタン 0.5
重量部及びカーボンブラック 0.1重量部を、 140℃の6
インチロールミルで5分間混合混練し、厚さ 0.3mmのシ
ートとして分取し、このシートの 100cm2 中の白色透明
粒子の数を計数した。 【0033】(比較例1)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気時間を、重合昇温終了後から45分間とした
以外は、実施例1と同様に重合を行った。重合中、還流
コンデンサーの除熱量が設定の1.3×106 kcal
/時間に達しなかったため、重合容器の内容物の温度が
設定温度57℃より1.5℃上昇した。得られた重合体
について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に示
す。なお、H1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1
と同じである。 【0034】(比較例2)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気流量を、150Nm3 /時間とした以外は、
実施例1と同様に重合を行った。得られた重合体につい
て、実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。な
お、H1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1と同じ
である。 【0035】(比較例3)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気流量を、5Nm3 /時間とした以外は、実施
例1と同様に重合を行った。重合中、還流コンデンサー
の除熱量が設定の1.3×106 kcal/時間に達し
なかったため、重合容器の内容物の温度が設定温度57
℃より1.5℃上昇した。得られた重合体について、実
施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。なお、H
1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1と同じであ
る。 【0036】(比較例4)最上段の攪拌翼の位置を重合
容器の直胴部の上端位置TLより100cm下方に変え
た外は、実施例1と同様に重合を行った。得られた重合
体について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に
示す。なおH1 は805cmで、(10/9)H1≦H0
≦(100/65)H1及びH0<H2の式を同時に満足
せず、またDとの関係は1.92Dであった。 【0037】(比較例5)最上段の攪拌翼の位置を重合
容器の直胴部の上端位置TLより400cm下方に変え
た外は、実施例1と同様に重合を行った。得られた重合
体について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に
示す。なおH1 は505cmで、(10/9)H1≦H0
≦(100/65)H1及びH0<H2の式を同時に満足
せず、またDとの関係は1.20Dであった。 【0038】 【表1】【0039】(実施例2)図1に示すような、円筒状直
胴部とその上下を封じる略半球状の頂部と底部とからな
る、略円筒形で内容積が100m3 、内径(D:3,8
50mm)に対する直胴部の長さ(L:7,240m
m)の比(L/D)が1.88の重合容器1、加熱冷却
用ジャケット5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、
3段配置した攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの
縦幅の中心線Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置T
Lより240cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部
に排出口9を設けた還流コンデンサー6(シェルアンド
チューブ式、伝熱面積120m2 )を備えた重合装置を
用いた。 【0040】重合容器にイオン交換水44,300k
g、部分ケン化ポリビニルアルコール10.6kg及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース7.1kgを水溶
液として重合容器内に仕込んだ。その後、真空ポンプで
重合容器の内圧が60mmHgとなるまで排気した。次
に、塩化ビニル単量体35,400kgを仕込み、攪拌
しながら重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート19.5kgを圧入し、ジャケッ
トに熱水を通して昇温を開始した。このときの攪拌動力
(電動機の駆動力)は、重合容器の内容物の重量(t)
当り、130kg/sであった。なお、このときの重合
容器の内容物の静止液面H0 は782cmであった。最
上段の撹拌翼の縦幅上端の高さH1 は590cmであ
り、また直胴部上端の高さH2 は820cmであり、
(10/9)H1≦H0≦(100/65)H1及びH0<
H2の式を同時に満足し、かつ1.53Dであった。 【0041】次に、重合容器内の混合物の温度が57℃
になったときに、還流コンデンサーの頂部に設けた排出
口から、非凝縮性ガスを40Nm3 /時間の流量で3時
間排気した。また、非凝縮性ガスの排出を開始すると同
時に、還流コンデンサーに通水してこれを冷却し、重合
温度を57℃に保ちながら重合反応を行い、重合容器の
内圧が6.0kg/m2 (ゲージ圧)に達した時点で重
合を停止し、未反応単量体を回収し、得られた重合体を
スラリー状で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況
を観察すると共に、得られた重合体を脱水乾燥して実施
例1と同じ試験に供した。その結果を表2に示す。 【0042】(実施例3)図4に示すような、円筒状直
胴部とその上下を封じる略半球状の頂部と底部とからな
る、略円筒形で内容積が100m3 、内径(D:3,8
50mm)に対する直胴部の長さ(L:7,240m
m)の比(L/D)が1.88の重合容器1、加熱冷却
用ジャケット5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、
3段配置した攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの
縦幅の中心線Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置T
Lより240cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部
に排出口9を設けた還流コンデンサー6(シェルアンド
チューブ式、伝熱面積120m2 )を備えた重合装置を
用いた。なおH1,H0,H2及びD間の関係は実施例2
と同じである。 【0043】以下、この重合装置を用いた外は実施例2
と同様な重合反応を行い、得られた重合体をスラリー状
で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況を観察する
と共に、得られた重合体を脱水乾燥して実施例1と同じ
試験に供した。その結果を表2に示す。 【0044】 【表2】 【0045】 【発明の効果】本発明によると、たとえ大型の重合容器
で長期操業を行った場合でも、還流コンンサーの除熱量
を安定して保持することができるので品質が良好かつ安
定した重合体が得られ、かつ重合容器内にスケールが付
着するのを防止することができる。
体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、塩化ビニル系単量体等の懸濁重合
に使用される重合装置としては、重合容器に還流コンデ
ンサー、加熱冷却用ジャケット、攪拌装置、原料仕込ノ
ズル、重合体抜出し用ノズル等を備えた重合装置が知ら
れている。これらの重合装置には、重合反応熱を除去す
る目的で、主に還流コンデンサーや加熱冷却用ジャケッ
トが設けられている。還流コンデンサーは、一般に、重
合容器の上部に配置され、重合容器内で発生した蒸気を
導入し、これを冷却水等の冷媒で冷却して凝縮し、凝縮
した液は重合容器内に還流させることにより液体内容物
の温度を冷却するものである。また加熱冷却用ジャケッ
トは、重合容器の周囲に配置され、これに冷却水等を導
いて重合容器内の内容物を冷却するものである。中でも
還流コンデンサーは、冷却能力が大きく、生産性の向
上、或いは省エネルギー面で注目されている。 【0003】ところで、近年、生産性を向上させる目的
で重合容器自体が大型化し、また重合時間の短縮が図ら
れている。しかし、重合時間を短縮すると、単位時間当
りの発熱量が増大するため、加熱冷却用ジャケットだけ
で重合容器を冷却するには限界があり、還流コンデンサ
ーによる除熱割合を大きくする必要が生じる。一方、重
合を繰り返し行ってなおかつ各バッチで得られる重合体
の品質を一定に保つには、還流コンデンサーによるバッ
チ毎の除熱量の再現性を良好に保つ必要がある。しか
し、一般に還流コンデンサーの除熱負荷を大きくする
と、重合容器内でスラリーが発泡し、還流コンデンサー
の内部へスラリーが流入し易くなる。そのため、コンデ
ンサー内に重合体スケールが付着する等の問題が生じる
ばかりでなく、還流コンデンサーの除熱能力が低下して
くるため、各バッチの還流コンデンサーによる除熱量を
再現性よく制御することが困難である。 【0004】また、大型の重合容器では、100バッチ
以上の多段連続操業を行った場合に、重合容器内壁の気
相部に接する部分や気相と液相の界面近傍にスケールの
付着が著しくなるため、還流コンデンサーの冷却能力が
低下したり、スケールが混入して、得られる重合体の品
質が低下する等の問題が生じる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、たと
え大型の重合容器で長期操業を行った場合でも、還流コ
ンデンサーの除熱量を安定して保持することができるた
めバッチ毎の重合体の品質が安定し、かつスケールの付
着が起こりにくい塩化ビニル系重合体の製造方法を提供
することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意、検討
した結果、製造過程で重合容器に混入する窒素、酸素、
並びに重合開始剤の分解によって生成する窒素、一酸化
炭素、及び二酸化炭素等の所謂非凝縮性ガス(通常、重
合容器の内容物に溶解している)は反応中、蒸発し、特
に、大型で縦長の重合容器では還流コンデンサーの内部
に濃縮、蓄積され、蒸発してきた単量体の凝縮が防げら
れ、還流コンデンサーによる除熱が維持できなくなるこ
とを見出した。そこで、少なくとも還流コンデンサーに
よる冷却を開始する前に、即ち還流コンデンサーによる
冷却を開始する前に、非凝縮性ガスを所定の条件で還流
コンデンサーから排気することにより、還流コンデンサ
ーの除熱効率を高め、かつ特定の攪拌翼を用いることに
より、上記課題が解決できることを見出して本発明に到
達した。 【0007】本発明は、円筒状の直胴部とその上下を封
じる略半球状の頂部と底部とからなる略円筒形の重合容
器と、該重合容器の中心線上に配置された回転シャフト
に沿って複数段設置された、各々ブレードを有する攪拌
翼と、該重合容器の上部に配置され、重合容器内で発生
した単量体蒸気を凝縮し、かつ凝縮した液を重合容器内
に還流する還流コンデンサーと、該重合容器の周囲に配
置され、重合容器内の液体内容物を加熱冷却する加熱冷
却用ジャケットとを備えた重合装置中で、塩化ビニル単
量体又はこれを主体とするビニル系単量体混合物を、水
性媒体中、油溶性重合開始剤の存在下に該攪拌翼で攪拌
しながら、かつ前記内容物から蒸発する非凝縮性ガスを
排気しながら、懸濁重合することからなる塩化ビニル系
重合体の製造方法において、重合容器として、内容積1
00m3 以上で、かつ内径(D)に対する直胴部の長さ
(L)の比(L/D)が、1.5以上であり、最上段の
攪拌翼が、ブレードの縦幅の中心線の高さで、重合容器
の直胴部の上端位置から下方へ150〜300cmの範
囲内にくるように配置した重合装置を用い、重合容器内
の内容物を重合温度近傍まで昇温した後に還流コンデン
サー内に入る非凝縮性ガスを排気流量が10〜100N
m3 /時間、排気時間が全重合時間の20%以上となる
ような条件で排気し、かつ該非凝縮性ガスの排気の開始
と同時又はその後に還流コンデンサーによる冷却を開始
することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法で
ある。 【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
製造方法を適用する重合容器は、基本的には図1に示す
ように、円筒状の直胴部とその上下を封じる略半球状の
頂部と底部とからなる略円筒状の重合容器1であり、内
容積が100m3 以上,好ましくは100〜200m3
で、重合容器の内径(D)に対する直胴部の長さ(L)
の比(L/D)は、1.5以上,好ましくは1.5〜
2.5である。本発明に用いる攪拌翼は、図1に示すよ
うに、重合容器1の中心線A上に配置された回転シャフ
ト7に沿って複数段、好ましくは3段以上、更に好まし
くは、3〜5段配置され、最上段の攪拌翼2が、例え
ば、図2に示すように、ブレードの縦幅の中心線Cの高
さで重合容器1の直胴部の上端位置(TL)から下方へ
150〜300cmの範囲内にくるように設置する。更
には図3に示すように、最上段の撹拌翼2はブレードの
縦幅の上端の高さをH1 とした時、H1 =1.3D〜
1.85D(但しDは前述の通り)に設置することが好
ましい。この場合、重合容器に仕込む材料は、反応前の
内容物の液面の高さをH0とし、かつ直胴部の上端の高
さをH2 とした時、(10/9)H1 ≦H0 ≦(100
/65)H1 (但しH1 は前述の通り)及びH0 <H2
を同時に満足するように仕込むことが好ましい。 【0009】本発明の製造方法では、このように配置し
た攪拌翼2を用いることにより、特に、常時還流コンデ
ンサーを使用して100バッチ以上連続操業する場合に
は、気液界面に滞留する泡状のスラリーを減少させ、界
面部分の洗浄効果も加わってスケールの成長を著しく抑
制することができる。なお、この配置位置が、上端位置
(TL)から下方へ150cmの位置より上の場合に
は、得られる塩化ビニル重合体の嵩比重が低下したり、
粒度分布がブロードになったり、フィッシュアイが多く
なり、また重合容器内の界面部分にスケールが付着しや
すくなる。この配置位置が、上端位置(TL)から下方
へ300cmの位置より下の場合には、得られる塩化ビ
ニル重合体のフィッシュアイが多くなり、また重合容器
内の界面部分にスケールが付着しやすくなる。 【0010】攪拌翼の種類としては、公知のものを好適
に用いることができ、例えば、パドル翼、ピッチドパド
ル翼、ブルマージン翼、ファウドラー翼、タービン翼、
プロペラ翼等を用いることができる。中でも好ましいの
は、図2に示すように、回転軸Bを中心に板状で略矩形
の複数のブレード4を放射状に備えたパドル翼である。
ブレード4の数としては、通常2〜6、好ましくは2で
ある。ブレード4の大きさは、回転に影響がない限り特
に制限はないが、下記関係式を満たすものが好ましい。 0.35≦d/D≦0.55であり、かつ0.10≦n
・w/D≦0.16 (式中、Dは前記と同義であり、dは、図2に示すよう
に、パドル翼の翼径であり、wはブレード4の縦幅であ
り、nはパドル翼2の段数である) 【0011】また、これらのパドル翼を他の撹拌翼と組
み合わせたものも好ましく、例えば図4に示すようにパ
ドル翼2a,2cとピッチドパドル翼2b,2d(ピッ
チドパドル翼のブレードの傾斜角度は回転軸に対し、例
えば45度)とを組み合わせたものが挙げられる。この
場合、パドル翼と他の撹拌翼との位置関係は、特に制限
はなく、内容物の混合が均一に行われるように適宜決定
すればよい。 【0012】このような攪拌翼2は、回転シャフト7に
固定され、回転シャフト7は、重合容器1の上部又は下
部に設置された電動機8によって駆動される。電動機8
による回転速度は、攪拌翼2の先端速度が、7〜15m
/sとなる速度が好ましい。そのためには電動機8の駆
動力(撹拌翼の撹拌動力)は、重合容器1の内容物1t
に対し、80〜170kg・m/sが好ましい。 【0013】本発明に用いる還流コンデンサーとして
は、図1に示すように、重合容器1の上部に配置され、
重合容器1内で発生した単量体蒸気をコンデンサー下端
の一つの導管を経て凝縮し、かつ凝縮した液を同じ導管
を経て重合容器1内に還流する直結式コンデンサーや、
図4に示すように、同様な単量体蒸気をコンデンサー下
端の二つの導管のうちの側方の導管を経て凝縮し、かつ
凝縮した単量体を中央側の導管を経て重合容器1内に還
流する分離式コンデンサーが例示される。従って還流コ
ンデンサー6としては、重合容器本体と一本又は複数本
の導管で連結され、その中を蒸気及び凝縮液が移動する
構造を有する公知のものでよく、例えばコイル式、スパ
イラル式、多管式、シェルアンドチューブ式等を挙げる
ことができ、中でも、シェルアンドチューブ式が好まし
い。還流コンデンサーの伝熱面積は、60〜300m2
が好ましい。なお、符号9は非凝縮性ガスの排出口であ
る。 【0014】本発明の製造方法では、重合容器を重合温
度近傍まで昇温した後、還流コンデンサー内の非凝縮性
ガスの排気を開始し、還流コンデンサーによる冷却を開
始する。重合温度は、ビニル系単量体の懸濁重合におい
て公知の重合温度でよく、通常35〜60℃である。 【0015】非凝縮ガスの排気を行う時期は、重合容器
の温度が重合温度近傍まで昇温した後であり、重合温度
をt℃とすると、通常、(t−5)℃〜t℃、好ましく
は、(t−2)℃〜t℃に達した後である。なお、排気
を行う時期が早過ぎると、重合容器内に泡立ちが起こ
り、気相部およびコンデンサー内部へ重合開始剤を含ん
だ泡が混入し、スケールの発生が増大したり、泡状の重
合体が目的とする重合体に混入し、この重合体から得ら
れる塩化ビニル製品にフィッシュアイが生じる場合があ
る。 【0016】昇温は、通常、図1に示すような、重合容
器1の周囲に配置され、重合容器1内の内容物を加熱冷
却する加熱冷却用ジャケット5に熱水又はスチームを通
すことにより行う。また、上記温度範囲に昇温すること
により、重合容器の内容物に溶解していた非凝縮性ガス
は液相から蒸発し、気相部に蓄積される。そして、この
非凝縮性ガスは、塩化ビニル単量体よりも比重が軽いた
め重合容器の気相部および還流コンデンサー内部に濃縮
される。 【0017】非凝縮性ガスの排気を行う方法としては、
特に制限はなく、例えば、還流コンデンサー6の頂部に
設けた排出口9からポンプ等(図示しない)で排気する
方法等を挙げることができる。 【0018】非凝縮性ガスを還流コンデンサーから排気
する流量は、通常、10〜100Nm3 /時間であり、
好ましくは、10〜60Nm3 /時間である。この流量
が10Nm3 /時間未満の場合には、バッチ毎に還流コ
ンデンサーの除熱量を一定に保つことが困難になるた
め、重合温度を一定に制御するのが困難になり、また、
重合容器内の界面部分にスケールが付着しやすくなった
り、得られる塩化ビニルにフィシュアイが多くなる。流
量が100Nm3 /時間を超える場合には、重合容器内
の泡立ちが激しくなるため、重合容器内の界面部分にス
ケールが付着しやすくなったり、得られる塩化ビニルに
フィシュアイが多くなり、また重合体の収量が低下す
る。 【0019】非凝縮性ガスの排気は、全重合時間の20
%以上、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは2
0〜60%以上の時間を継続して行う。この排気時間が
全重合時間の20%未満の場合には、還流コンデンサー
の除熱量を一定に保つことが困難になるため、重合温度
を一定に制御するのが困難になり、また、重合容器内の
界面部分にスケールが付着しやすくなったり、得られる
塩化ビニルにフィシュアイが多くなる。 【0020】本発明の製造方法は、このように非凝縮性
ガスの排気を開始すると同時に又は開始後に、還流コン
デンサーによる冷却を開始し、除熱量をコントロールし
ながら単量体を重合する。還流コンデンサーの除熱量を
コントロールする方法としては、例えば、冷却水の温
度、流量を調節する方法(特開昭57-8206 号公報参照)
等でよく、具体的には、除熱量を500,000〜2,
000,000kcal/時間の範囲で適宜コントロー
ルするのが好ましい。 【0021】本発明の製造方法に用いる重合装置には、
上記重合容器、攪拌翼、還流コンデンサー及び加熱冷却
用のジャケットのほか、図1に示すように、バッフル3
を設けてもよい。バッフル3としては、公知のものを好
適に用いることができ、例えば、平板状、パイプ状等の
ものを重合容器の内壁に沿って垂直に1〜8ヶ設置する
ことができる。 【0022】本発明の製造方法において、単量体として
は、塩化ビニルを単独で使用することができる他、塩化
ビニルを主体とし、塩化ビニルと共重合可能なコモノマ
ーを含有した単量体混合物(通常、塩化ビニルを50重
量%以上含有)も使用することができる。かかるコモノ
マーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル;例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル等のアクリル酸エステル及びメタクリル
酸エステル;例えば、エチレン、プロピレン等のオレフ
ィン;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;
α−メチルスチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上組み合わせて用いること
ができる。 【0023】単量体の重合体成分を懸濁分散させるため
に使用する水性媒体(水)の仕込み量は、従来の方法と
同様、単量体の仕込み比(水/単量体)が1.0〜1.
5程度(重量比)でよく、必要に応じて、重合の途中で
水を追加することもできる。 【0024】また重合系(懸濁分散液の内容物)の安定
化を図るために、例えば、ポリビニルアルコール、水溶
性及び油溶性のメチルセルロース、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶
性セルロースエーテル、ポリアクリル酸、ゼラチン等の
水溶性ポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタ
ントリオレート、ソルビタンモノステアレート、グリセ
リントリステアレート、エチレンオキシド、プロピレン
オキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;例え
ば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレングセリンオレート、ラウリン酸ナトリ
ウム等の水溶性乳化剤;その他炭酸カルシウム、リン酸
カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等
を、本発明の目的が損なわれない範囲内で少量使用する
ことができる。これらは単独で、又は2種以上組み合わ
せて使用できる。これら懸濁剤の添加量は、仕込み単量
体100重量部に対し、0.01〜5重量部である。 【0025】本発明に用いる油溶性重合開始剤として
は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパ
ーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシピバレー
ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパ
ーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオ
デカノエート等のパーエステル化合物;アセチルシクロ
ヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメ
チルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド等の
過酸化物;アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビス(4−メトキシ−2,4ージメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ化合物等を挙げることができ、これ
らは単独で、又は2種以上組み合わせて用いることがで
きる。これら油溶性重合開始剤の添加量は、仕込み単量
体100重量部に対し、通常、0.01〜3重量部であ
る。 【0026】水性媒体は、通常、脱イオン水が使用され
る。更に、この重合系には、必要に応じて、塩化ビニル
系の重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、pH
調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、
充填剤、酸化防止剤、緩衝剤等を添加することも任意で
ある。 【0027】本発明の製造方法を実施する際には、予
め、重合容器内壁等にスケール付着防止剤を塗布しても
よい。スケール付着防止剤としては、公知のものでよ
く、例えば、多価フェノール類及び多価ナフトール類の
自己縮合物(特開昭54-7487 号公報);1−ナフトール
とホルムアルデヒドとの縮合物(特開昭57-164107 号公
報);フェノール化合物とアルデヒド類との縮合物(特
開昭54-36389号公報);キノン−アミン化合物と有機シ
リカゾルとの混合溶液(特開平1-135802号公報);ナフ
トール類、スルフィド化合物(特開平4-311702号公
報);電子供与性の染料とアリールスルホン酸との混合
物及び/又は反応生成物(特開平5-70505 号公報);フ
ェノチアジン誘導体(特開平5-501892号公報);キノン
化合物及び/又はその還元処理物(特開平5-279404号公
報);ケトン樹脂とフェノール性化合物との反応生成物
(特開昭62-236804 号公報);染料、顔料、共役π結合
を5個以上有する芳香族化合物、共役π結合を5個以上
有する複素環式化合物(USP-4,757,124);ポリ芳香族
アミン(USP-4,024,330 );カチオン化合物とアニオン
化合物との塩(GB-2,170,604);ポリビニルアルコール
とアミノ安息香酸との反応生成物(EP-0498142A1);フ
ェノール類とアルデヒド類との初期縮合変性物(特開平
6-501884号公報)等を挙げることができる。 【0028】本発明の製造方法において、重合に際して
の他の条件、重合器への水性媒体、塩化ビニル単量体、
場合によっては他のコモノマー、懸濁剤、重合開始剤等
の仕込み方法は、従来と同様にして行えばよく、これら
の仕込み条件もまた同様で良いが、重合容器の内容物の
容量として、通常、重合容器の容積の80〜90%、好
ましくは、82〜87%になるように仕込む。このよう
な仕込み量にすることにより、上記攪拌翼で攪拌してい
る状態で、ほぼ重合容器の直胴部の上端位置TL付近に
液面がくるようになる。 【0029】 【実施例】 (実施例1)図1に示すような、円筒状直胴部とその上
下を封じる略半球状の頂部と底部とからなる、略円筒形
で内容積が130m3 、内径(D:4,200mm)に
対する直胴部の長さ(L:7,900mm)の比(L/
D)が1.88の重合容器1、加熱冷却用ジャケット
5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、3段配置した
攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの縦幅の中心線
Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置TLより250
cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部に排出口9を
設けた還流コンデンサー6(シェルアンドチューブ式、
伝熱面積150m2 )を備えた重合装置を用いた。 【0030】重合容器にイオン交換水57,500k
g、部分ケン化ポリビニルアルコール13.8kg及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース9.2kgを水溶
液として重合容器内に仕込んだ。その後、真空ポンプで
重合容器の内圧が60mmHgとなるまで排気した。次
に、塩化ビニル単量体46,000kgを仕込み、攪拌
しながら重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート25.3kgを圧入し、ジャケッ
トに熱水を通して昇温を開始した。このときの攪拌動力
(電動機の駆動力)は、重合容器の内容物の重量(t)
当り、130kg/sであった。なお、このときの重合
容器の内容物の静止液面H0 は853cmであった。最
上段の撹拌翼の縦幅上端の高さH1 は655cmであ
り、また直胴部上端の高さH2 は895cmであり、
(10/9)H1≦H0≦(100/65)H1 及びH0
<H2 の式を同時に満足し、かつ1.56Dであった。 【0031】次に、重合容器内の混合物の温度が57℃
になったときに、還流コンデンサーの頂部に設けた排出
口から、非凝縮性ガスを50Nm3 /時間の流量で3時
間排気した。また、非凝縮性ガスの排出を開始すると同
時に、還流コンデンサーに通水してこれを冷却し、重合
温度を57℃に保ちながら重合反応を行い、重合容器の
内圧が6.0kg/m2 (ゲージ圧)に達した時点で重
合を停止し、未反応単量体を回収し、得られた重合体を
スラリー状で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況
を観察すると共に、得られた重合体を脱水乾燥して下記
の方法による試験に供した。その結果を表1に示す。 【0032】・重合容器内スケールの付着状況:評価は
各製造方法により 100バッチの重合を繰り返した後に下
記の判断基準で行った。 ○……スケールの付着がほとんどない。 △……気相液相界面部分に部分的にスケールが認められ
る。 ×……気相液相界面部の全周にスケールが認められる。 ・嵩比重の測定:得られた重合体について、JIS K-6721
にしたがって測定した。 ・粒度分布(篩下分布)の測定:得られた重合体につい
て、JIS Z-8801に準じた #60、#100、#200の各篩を用い
て篩分けし、通過量を計量して重量%で表した。 ・フィッシュアイ数の測定;得られた重合体 100重量
部、DOP50重量部、ステアリン酸バリウム 0.1重量
部、ステアリン酸カドミウム 0.1重量部、セタノール
0.8重量部、すず系安定剤2.0重量部、二酸化チタン 0.5
重量部及びカーボンブラック 0.1重量部を、 140℃の6
インチロールミルで5分間混合混練し、厚さ 0.3mmのシ
ートとして分取し、このシートの 100cm2 中の白色透明
粒子の数を計数した。 【0033】(比較例1)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気時間を、重合昇温終了後から45分間とした
以外は、実施例1と同様に重合を行った。重合中、還流
コンデンサーの除熱量が設定の1.3×106 kcal
/時間に達しなかったため、重合容器の内容物の温度が
設定温度57℃より1.5℃上昇した。得られた重合体
について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に示
す。なお、H1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1
と同じである。 【0034】(比較例2)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気流量を、150Nm3 /時間とした以外は、
実施例1と同様に重合を行った。得られた重合体につい
て、実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。な
お、H1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1と同じ
である。 【0035】(比較例3)実施例1において、非凝縮性
ガスの排気流量を、5Nm3 /時間とした以外は、実施
例1と同様に重合を行った。重合中、還流コンデンサー
の除熱量が設定の1.3×106 kcal/時間に達し
なかったため、重合容器の内容物の温度が設定温度57
℃より1.5℃上昇した。得られた重合体について、実
施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。なお、H
1 ,H0 ,H2 及びD間の関係は実施例1と同じであ
る。 【0036】(比較例4)最上段の攪拌翼の位置を重合
容器の直胴部の上端位置TLより100cm下方に変え
た外は、実施例1と同様に重合を行った。得られた重合
体について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に
示す。なおH1 は805cmで、(10/9)H1≦H0
≦(100/65)H1及びH0<H2の式を同時に満足
せず、またDとの関係は1.92Dであった。 【0037】(比較例5)最上段の攪拌翼の位置を重合
容器の直胴部の上端位置TLより400cm下方に変え
た外は、実施例1と同様に重合を行った。得られた重合
体について、実施例1と同様に試験した。結果を表1に
示す。なおH1 は505cmで、(10/9)H1≦H0
≦(100/65)H1及びH0<H2の式を同時に満足
せず、またDとの関係は1.20Dであった。 【0038】 【表1】【0039】(実施例2)図1に示すような、円筒状直
胴部とその上下を封じる略半球状の頂部と底部とからな
る、略円筒形で内容積が100m3 、内径(D:3,8
50mm)に対する直胴部の長さ(L:7,240m
m)の比(L/D)が1.88の重合容器1、加熱冷却
用ジャケット5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、
3段配置した攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの
縦幅の中心線Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置T
Lより240cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部
に排出口9を設けた還流コンデンサー6(シェルアンド
チューブ式、伝熱面積120m2 )を備えた重合装置を
用いた。 【0040】重合容器にイオン交換水44,300k
g、部分ケン化ポリビニルアルコール10.6kg及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース7.1kgを水溶
液として重合容器内に仕込んだ。その後、真空ポンプで
重合容器の内圧が60mmHgとなるまで排気した。次
に、塩化ビニル単量体35,400kgを仕込み、攪拌
しながら重合開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート19.5kgを圧入し、ジャケッ
トに熱水を通して昇温を開始した。このときの攪拌動力
(電動機の駆動力)は、重合容器の内容物の重量(t)
当り、130kg/sであった。なお、このときの重合
容器の内容物の静止液面H0 は782cmであった。最
上段の撹拌翼の縦幅上端の高さH1 は590cmであ
り、また直胴部上端の高さH2 は820cmであり、
(10/9)H1≦H0≦(100/65)H1及びH0<
H2の式を同時に満足し、かつ1.53Dであった。 【0041】次に、重合容器内の混合物の温度が57℃
になったときに、還流コンデンサーの頂部に設けた排出
口から、非凝縮性ガスを40Nm3 /時間の流量で3時
間排気した。また、非凝縮性ガスの排出を開始すると同
時に、還流コンデンサーに通水してこれを冷却し、重合
温度を57℃に保ちながら重合反応を行い、重合容器の
内圧が6.0kg/m2 (ゲージ圧)に達した時点で重
合を停止し、未反応単量体を回収し、得られた重合体を
スラリー状で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況
を観察すると共に、得られた重合体を脱水乾燥して実施
例1と同じ試験に供した。その結果を表2に示す。 【0042】(実施例3)図4に示すような、円筒状直
胴部とその上下を封じる略半球状の頂部と底部とからな
る、略円筒形で内容積が100m3 、内径(D:3,8
50mm)に対する直胴部の長さ(L:7,240m
m)の比(L/D)が1.88の重合容器1、加熱冷却
用ジャケット5、パドル翼を回転シャフト7に沿って、
3段配置した攪拌翼2(最上段の攪拌翼は、ブレードの
縦幅の中心線Cの高さで重合容器の直胴部の上端位置T
Lより240cm下方に設置)、バッフル3、及び頂部
に排出口9を設けた還流コンデンサー6(シェルアンド
チューブ式、伝熱面積120m2 )を備えた重合装置を
用いた。なおH1,H0,H2及びD間の関係は実施例2
と同じである。 【0043】以下、この重合装置を用いた外は実施例2
と同様な重合反応を行い、得られた重合体をスラリー状
で器外に抜き出し、器内のスケール付着状況を観察する
と共に、得られた重合体を脱水乾燥して実施例1と同じ
試験に供した。その結果を表2に示す。 【0044】 【表2】 【0045】 【発明の効果】本発明によると、たとえ大型の重合容器
で長期操業を行った場合でも、還流コンンサーの除熱量
を安定して保持することができるので品質が良好かつ安
定した重合体が得られ、かつ重合容器内にスケールが付
着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる重合装置を例示する概略図であ
る。 【図2】本発明に用いる攪拌翼を例示する側面図であ
る。 【図3】本発明に用いる最上段の撹拌翼の設置位置につ
いての説明図である。 【図4】本発明に用いる他の重合装置を例示する概略図
である。 【符号の説明】 1・・・重合容器 2・・・攪拌翼 4・・・ブレード 5・・・加熱冷却用ジャケット 6・・・還流コンデンサー
る。 【図2】本発明に用いる攪拌翼を例示する側面図であ
る。 【図3】本発明に用いる最上段の撹拌翼の設置位置につ
いての説明図である。 【図4】本発明に用いる他の重合装置を例示する概略図
である。 【符号の説明】 1・・・重合容器 2・・・攪拌翼 4・・・ブレード 5・・・加熱冷却用ジャケット 6・・・還流コンデンサー
フロントページの続き
(72)発明者 代田 美博
茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地
信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所
内
(72)発明者 奥野 義隆
茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地
信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所
内
(56)参考文献 特開 平7−252304(JP,A)
特開 平6−16708(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
C08F 14/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 円筒状の直胴部とその上下を封じる略半
球状の頂部と底部とからなる略円筒形の重合容器と、該
重合容器の中心線上に配置された回転シャフトに沿って
複数段設置された、各々ブレードを有する攪拌翼と、該
重合容器の上部に配置され、重合容器内で発生した単量
体蒸気を凝縮し、かつ凝縮した液を重合容器内に還流す
る還流コンデンサーと、該重合容器の周囲に配置され、
重合容器内の液体内容物を加熱冷却する加熱冷却用ジャ
ケットとを備えた重合装置中で塩化ビニル単量体又はこ
れを主体とするビニル系単量体混合物を、水性媒体中、
油溶性重合開始剤の存在下に該攪拌翼で攪拌しながら、
かつ前記内容物から蒸発する非凝縮性ガスを排気しなが
ら、懸濁重合することからなる塩化ビニル系重合体の製
造方法において、 重合容器として、内容積100m3 以上で、かつ内径
(D)に対する直胴部の長さ(L)の比(L/D)が
1.5以上であり、最上段の攪拌翼が、ブレードの縦幅
の中心線の高さで、重合容器の直胴部の上端位置から下
方へ150〜300cmの範囲内にくるように配置した
重合装置を用い、重合容器内の内容物を重合温度近傍ま
で昇温した後に還流コンデンサー内に入る非凝縮性ガス
を排気流量が10〜100Nm3 /時間、排気時間が全
重合時間の20%以上となるような条件で排気し、かつ
該非凝縮性ガスの排気の開始と同時又はその後に還流コ
ンデンサーによる冷却を開始することを特徴とする塩化
ビニル系重合体の製造方法。
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ID=26538055
Family Applications (1)
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JP26225295A Expired - Fee Related JP3388663B2 (ja) | 1994-09-14 | 1995-09-14 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
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JP6007684B2 (ja) * | 2012-09-05 | 2016-10-12 | 富士ゼロックス株式会社 | 静電荷像現像用トナーの製造方法 |
CN102898560B (zh) * | 2012-09-29 | 2014-05-28 | 中国天辰工程有限公司 | 一种新型聚合反应釜 |
US20230053926A1 (en) * | 2019-09-10 | 2023-02-23 | Hanwha Solutions Corporation | Batch-type stirrer for suspension polymerization of polyvinyl chloride resin, and batch-type suspension polymerization reactor using same |
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1995
- 1995-09-14 JP JP26225295A patent/JP3388663B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08134107A (ja) | 1996-05-28 |
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