JP2847593B2 - 塩化ビニル系単量体の重合装置 - Google Patents

塩化ビニル系単量体の重合装置

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JP2847593B2
JP2847593B2 JP4151502A JP15150292A JP2847593B2 JP 2847593 B2 JP2847593 B2 JP 2847593B2 JP 4151502 A JP4151502 A JP 4151502A JP 15150292 A JP15150292 A JP 15150292A JP 2847593 B2 JP2847593 B2 JP 2847593B2
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正 天野
秀二 大西
稔 重光
康弘 高橋
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J19/00Chemical, physical or physico-chemical processes in general; Their relevant apparatus
    • B01J19/24Stationary reactors without moving elements inside
    • B01J19/2455Stationary reactors without moving elements inside provoking a loop type movement of the reactants
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニル系単量体の重
合装置に関し、特に、重合器とは別個に設置した熱交換
器に重合反応用の水性懸濁液を循環させながら該懸濁液
中に分散されている塩化ビニル系単量体の重合を行うこ
とにより塩化ビニル系重合体を製造する装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系単量体の懸濁重合
は、ジャケットおよび還流コンデンサーを備えた重合器
中に、水、塩化ビニル系単量体、重合開始剤、分散剤お
よび必要に応じてその他の各種添加剤を仕込み、ジャケ
ットおよび還流コンデンサーに冷却水を通して重合熱を
除去し、反応系を一定の温度に制御する方法によって実
施されてきた。
【0003】ところが近年の重合器の大型化に伴い、重
合反応物に対する伝熱面積の割合が減少したため、従来
の冷却手段では除熱を有効に行うことが困難となり、還
流コンデンサーを大型にして除熱量を増加する、重合器
のジャケットに通ずる冷却水を冷凍機に通して一層強力
に冷却する等の対策が採られてきた。
【0004】しかし、前者の対策では重合反応物の泡立
ちに伴うキャリーオーバーにより器内にスケールが付着
したり製品中のフィッシュアイが増大したりして、除熱
能力が低下したり、重合率が低い時期に使用すると粒度
が粗くなったりするため、これを重合開始時より除熱手
段として使えないという制約がある。
【0005】後者の対策はコストがかかり過ぎて経済性
に欠けるだけでなく、重合度の高い塩化ビニル系重合体
を製造するときには、重合温度と冷却水温度との温度差
が大きくとれないため、重合時間の短縮には役立たない
という問題があった。
【0006】これらに代わる方法として提案されたの
が、水性懸濁混合物を重合器の外部に設けた冷却器に通
して循環するもの(特開昭54−24991 号、同56−47410
号、同58−32606 号および特公昭64−11642 号公報参
照)で、これは水性懸濁混合物と接触する伝熱面積を大
きくできるという点では極めて効率的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記の外
部循環冷却方式においては、ある程度以上の重合率に達
してから外部冷却器への循環を始めるか、特殊な形式の
外部冷却器を使用するようにしないと、循環ラインへの
スケールの付着を防止することができず、また粒度分
布、フィッシュアイ等の重合体の品質を保持することが
できなかった。
【0008】従って、本発明の目的は、熱交換器、循環
配管および循環ポンプ等の内面へのスケールの付着を防
止し、フィッシュアイが少なく粒度分布が良好な高品質
の塩化ビニル系重合体を高い生産性で製造することので
きる、塩化ビニル系単量体の重合装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、重合器
より熱交換器を経て重合器に戻る循環配管を備えた重合
装置において、回転可能の円錐状ハブに螺旋状の一枚羽
根が形成されて成る羽根車を備え且つ該羽根車の円錐状
ハブの外周に複数の攪拌羽根を設けた構造の羽根車ポン
プを、循環ポンプとして使用することを特徴とする塩化
ビニル系単量体の重合装置が提供される。
【0010】
【作用】本発明は、塩化ビニル系単量体の水性懸濁液の
循環に使用する循環ポンプの構造が、重合器外部の循環
経路内におけるスケールの生成に重大な影響を及ぼすと
いう新規知見に基づいてなされたものであり、この循環
ポンプとして、前記の特殊な構造の羽根車ポンプを使用
することにより、熱交換器および循環配管の内面におけ
るスケールの付着を完全に防止でき、重合反応の開始時
点よりの除熱が可能となり、冷凍機や他の除熱手段を用
いなくても効率よく高品質の塩化ビニル系重合体の製造
が可能となったのである。
【0011】例えば、従来の重合装置では、重合器内で
攪拌作用により懸濁分散された単量体の液滴あるいは一
部重合体粒子は循環配管を通じて外部に抜き出され、ス
ラリー用遠心渦巻きポンプなどの循環ポンプのインペラ
ーにより高い剪断力を受けて細かく引き裂かれる。この
ようにして生成した微粒子は循環配管および熱交換器の
管の内面にスケールとして付着すると共に、最終製品と
しての重合体の粒度分布を広くするなどの原因となる。
本発明においては、循環ポンプとして、前記羽根車ポン
プを使用することにより、分散された液滴を破壊せずに
移送することができ、この結果として、上記のような利
点がもたらされたのである。
【0012】本発明において、循環ポンプとして好適に
使用される羽根車ポンプの一例を図1に示す。図1にお
いて、このポンプ1は、ケーシング2内に設けられた羽
根車3を有している。この羽根車3は、回転可能に設け
られた円錐状ハブ4と、螺旋状の一枚羽根5とから形成
されている。また円錐状ハブ4の根元部分には、フラン
ジ6を介して複数の攪拌羽根7が形成されている。即
ち、該ポンプ1が駆動すると、円錐状ハブ4の先端部分
に形成された吸引口10から水性懸濁液が吸引され、該液
は攪拌羽根7で適度に攪拌され、接線方向に設けられて
いる吐出口11から吐出される。
【0013】このようなポンプを用いて水性懸濁液の循
環を行うことにより、水性懸濁液中に分散されている単
量体の液滴を破壊せずに移送することができ、この結果
として、系内におけるスケールの付着が防止され、粒度
分布、フィッシュアイ等の品質に優れた塩化ビニル系重
合体を製造することが可能となる。
【0014】かかるポンプにおいて、攪拌羽根7の枚
数、大きさ等は、スケールの付着防止等の本発明の目的
が最も有効に達成されるように、重合器の大きさ等に応
じて適宜設定すればよい。一般的には、攪拌羽根7は、
図2に示される様に一定間隔で配置されるのが好まし
い。
【0015】
【発明の好適態様の説明】以下、添付図面に示す具体例
に基づいて本発明を詳細に説明する。図3は本発明に係
る重合装置の全体を略示するもので、図において20は重
合器、21は重合反応液の加熱または冷却を行うための熱
交換器、22は重合器20の底部より熱交換器21を経て重合
器20の上部に至る循環配管である。また23は重合器20と
熱交換器21との間の循環配管22に設けられた循環ポンプ
であり、これには前述した構造の羽根車ポンプが使用さ
れる。重合器20の上部には、原料仕込み用の配管24が設
けられ、また重合器20はジャケット25を備えている。ジ
ャケット25には配管26により、また熱交換器21には配管
27により、加熱または冷却用の媒体が供給される。
【0016】本発明の重合装置において、重合器20内に
仕込まれた単量体、水性媒体、分散剤、油溶性重合開始
剤等の水性懸濁液は、循環ポンプ23の作用により重合器
20の底部より抜き出されて循環配管22より熱交換器21に
至り、そこで冷却または加熱された後、再び循環配管22
を経て重合器20内の気相部または液相部に戻される。
【0017】本発明の重合装置における重合器20として
は、攪拌機、還流コンデンサー、バッフルまたはジャケ
ット等が付設された従来周知の形式のものが用いられ
る。この攪拌機にはまたパドル、ファウドラー、ブルマ
ージン、プロペラ、タービン等の形式の攪拌翼のもの
が、必要に応じて平板、円筒、ヘアピンコイル等のバッ
フルとの組合せで用いられる。
【0018】熱交換器21としては多管式、コイル式、ス
パイラル式、あるいはトロンボンクーラー等、一般に使
用されているものが適用可能であり、その加熱、冷却用
の媒体には蒸気、冷却水、ブラインなどが用いられる。
また循環配管22自体を二重管にして、その外側の間隙に
冷却水やブラインを通して除熱の効率を上げるようにし
てもよい。
【0019】本発明の重合装置において、熱交換器21、
循環配管22、循環ポンプ23、その他バルブ等反応混合物
が接触する箇所は、伝熱および耐食性の点から(18−8
オーステナイト系、13クロムフェライト系、マルテンサ
イト系、18クロムフェライト系、高クロムフェライト
系、二相系オーステナイト・フェライト系などの)ステ
ンレス鋼とするのが好ましい。これらの場所にはまた、
従来公知のスケール防止剤を塗布したり、これを水性懸
濁混合物中に添加したりしてもよい。
【0020】またスケール付着防止のために、熱交換器
21および循環配管22の内部は水性懸濁液が滞留しない構
造または配置とすることが好ましく、また水性懸濁液の
流動の線速を 0.7m/sec 以上とすることが特に好適であ
る。これが 0.7m/sec 未満ではスケールの付着が加速さ
れる。
【0021】本発明の重合装置において使用される塩化
ビニル系単量体としては、塩化ビニルホモポリマーのほ
か、塩化ビニルを主体としこれと共重合可能な他のビニ
ル系単量体との共重合物(通常塩化ビニルが50重量%以
上)が使用される。この塩化ビニルと共重合可能なコモ
ノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オク
テン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−
ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセンなどのα
−オレフィン;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチルなどのアクリル酸またはそのエステル;メタ
クリル酸、メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸また
はそのエステル;マレイン酸またはそのエステル;酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;ラ
ウリルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなど
のビニルエーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリ
ル;スチレン;塩化ビニリデン等を例示することがで
き、これらは単独または2種以上の組合せで用いられ
る。
【0022】この重合に際して採用される他の重合条
件、例えば、水性媒体、塩化ビニル系単量体、重合開始
剤または分散助剤などの重合器への仕込み方法、仕込み
割合などは従来と同様に行えばよい。さらにこの重合系
には、必要に応じて、塩化ビニル系の重合に適宜使用さ
れる重合調整剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良
剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充てん剤、酸化防止
剤、緩衝剤、スケール防止剤などを添加することも任意
である。
【0023】
【実施例】実施例1 内容積 2.1m3 のステンレス鋼製のジャケット付き重合
器と、伝熱面積が 5.0m2 のシェルアンドチューブ型多
管式熱交換器と、循環ポンプとして(インバーターによ
る流量可変装置付きの)15m3 /Hr×5mのポンプと
を、図3に示すように配管、バルブ等を介して接続し
た。上記重合器に、脱イオン水 840kg、部分ケン化ポリ
ビニルアルコール 240g、及び、セルロースエーテル 1
60g、を水溶液にして投入した。器内を50mmHgになるま
で脱気した後、塩化ビニル単量体 670kgを仕込み、攪拌
しながら、さらに、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート2010gをポンプで圧入した。その後、外
部への循環を開始すると同時に、重合器のジャケットお
よび熱交換器に熱水を通して昇温した。反応開始後、ジ
ャケットに冷却水を通じて器内の温度を調整するととも
に、熱交換器に30℃の冷却水を10m3 /時の割合で供給
した。重合器の内温を55℃に保って重合を続けた。重合
器の内圧が 6.5kg/cm2 G に低下した時点で未反応単量
体を回収し、重合体をスラリー状で器外に抜き出し、脱
水乾燥し、得られた塩化ビニル重合体について、嵩比
重、粒度分布、可塑剤吸収量およびフィッシュアイを下
記の方法で測定した。結果を表1に示す。なお、配管、
ポンプ、熱交換器等の循環ラインにおけるスケールの付
着状況を見たが、いずれの部分にも付着は認められず、
金属光沢があった。
【0024】嵩比重:JIS K-6721にしたがって測定し
た。 粒度分布:JIS Z-8801に準じた #60、 #80、#100、#15
0、#200の各篩を用いて篩分けし、通過量(重量%)を
計量した。 可塑剤吸収量:内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金
製容器の底にグラスファイバーを詰め、試料樹脂10gを
採取して投入する。これにジオクチルフタレート(以下
DOPとする)15ccを加え、30分放置してDOPを樹脂
に充分浸透させる。その後1500Gの加速度下に過剰のD
OPを遠心分離し、樹脂に吸収されたDOPの量を樹脂
100重量部当りの値で求めた。 フィッシュアイ:塩化ビニル重合体 100重量部、フタル
酸ジオクチル50重量部、三塩基性硫酸鉛 0.5重量部、ス
テアリン酸鉛 1.5重量部、酸化チタン 0.1重量部および
カーボンブラック0.05重量部の処方から調製した混合物
25gを、混練用6インチロールによって 140℃で5分間
混練し、幅10mm、厚さ 0.2mmのシートを作成した。得ら
れたシートについて 100cm2 当りの透明粒子数を計数
し、これをフィッシュアイの数とした。
【0025】比較例1 実施例1において、循環ポンプをスラリー用の渦巻きポ
ンプ(15m3 /Hr×15m)に変えたほかは全く同様にし
て重合を行い同様の測定を行った。結果を表1に示す。
また、配管、ポンプ、熱交換器等の循環ラインにおける
スケールの付着状況を観察した結果、内面に多量の付着
が認められ、配管の一部は閉塞していた。
【0026】比較例2 実施例1において、外部への循環を行わなかったほかは
全く同様にして重合を行い同様の測定を行った。結果を
表1に示す。
【0027】実施例2 実施例1で用いたのと同じ重合装置の重合器に、脱イオ
ン水 978kg、部分ケン化ポリビニルアルコール 270g、
及び、セルロースエーテル 270gを水溶液にして投入し
た。器内を50mmHgになるまで脱気した後、塩化ビニル単
量体 600kg、を仕込み、攪拌しながら、さらに、ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート1140gをポ
ンプで圧入した。その後、外部への循環を開始すると同
時に、重合器のジャケットおよび熱交換器に熱水を通し
て昇温した。反応開始後、ジャケットに冷却水を通じて
器内の温度を調整するとともに、熱交換器に30℃の冷却
水を10m3 /時の割合で供給した。重合器の内温を39℃
に保って重合を続けた。重合器の内圧が 4.5kg/cm2 G
に低下した時点で未反応単量体を回収し、重合体をスラ
リー状で器外に抜き出し、脱水乾燥して重合体を得た。
この重合体について、実施例1と同様の測定を行った。
結果を表1に示す。スケールの付着状況は実施例1と同
様であり、全く認められなかった。
【0028】比較例3 実施例2において外部への循環を行わなかったほかは全
く同様にして重合を行い同様の測定を行った。その結果
を表1に示す。なお、比較例2および3では、重合途中
でのジャケット冷却に限度があり、内温が上昇し過ぎて
設定温度より5℃(比較例3では3℃)高くなり、一定
温度に保つことができなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、外部冷却装置および循
環配管の内面におけるスケールの付着を完全に防止でき
るため、重合反応の開始時点よりの除熱が可能となり、
冷凍機や他の除熱手段を用いなくても効率よく高品質の
塩化ビニル系重合体の製造ができる。とりわけ、本発明
の重合装置は大型重合器に適用した場合に特に有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において好適に使用される循環ポンプの
構造を示す図。
【図2】図1のポンプにおける攪拌羽根の配置を示す
図。
【図3】本発明の重合装置の全体を示す概略図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重光 稔 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (72)発明者 高橋 康弘 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合器より熱交換器を経て重合器に戻る
    循環配管を備えた重合装置において、回転可能の円錐状
    ハブに螺旋状の一枚羽根が形成されて成る羽根車を備え
    且つ該羽根車の円錐状ハブの外周に複数の攪拌羽根を設
    けた構造の羽根車ポンプを、循環ポンプとして使用する
    ことを特徴とする塩化ビニル系単量体の重合装置。
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