JP3952348B2 - 低吸液性印刷用紙に用いられるブラックインク組成物 - Google Patents

低吸液性印刷用紙に用いられるブラックインク組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、インクジェット記録方法に好ましく用いられるブラックインク組成物に関し、さらに詳しくは普通紙、専用紙、および低吸液性印刷用紙においても良好な画像を実現することができるブラックインク組成物に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小液滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位の画像を、高速で印刷することができるという特徴を有する。
【0003】
インクジェット記録方法において重要なことは、良好な印字、具体的にはエッジが鋭くまたは鮮鋭度が高い、そしてヒゲと呼ばれる紙の繊維に沿ったインクの滲みの少ない印字が得られることである。インクジェット記録においては、その記録方法およびインク組成物に最適化された専用紙が使用されているが、様々な市販紙、とりわけ普通紙の利用も望まれている。そのため、普通紙においても良好な画像が実現できるインク組成物が種々提案されている。さらに、近年、インクジェット記録は、種々の記録用途の利用に供されている。例えば、第2原図用紙、パーチメント紙(羊皮紙)、硫酸紙、グラシン紙、ろう紙等の低吸液性印刷用紙への印刷が試みられている。特に、第2原図用紙(例えば、トレーシングペーパー)は、CADのプロッター用の記録媒体として広く慣用されており、インクジェット記録によって第2原図用紙にそのまま印刷をすることができれば望ましいものといえる。
【0004】
しかしながら、低吸液性印刷用紙は、専用紙や普通紙とその性質を大きく異にする。特に、低吸液性印刷用紙は、普通紙に比べて、吸液性が低くサイズ性が高いのでインクが浸透し難いという特徴を有する。その結果、普通紙においては良好な乾燥性を有するインクであっても、低吸液性印刷用紙においては乾燥するまで時間を要してしまう。さらに、インクの浸透性が異なる結果、普通紙や専用紙において良好な画像を実現できるインク組成物であっても、低吸液性印刷用紙上では良好な画像を実現することが困難な場合がある。
【0005】
【発明の概要】
本発明者らは、今般、カーボンブラックと、燐酸エステル系界面活性剤とを組合せ、かつ、ポリエチレングリコールとグリセリンとを特定の比で含んでなるインク組成物によれば、低吸液性印刷用紙において極めて良好な画像が実現できるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は、普通紙、専用紙、および低吸液性印刷用紙において良好な画像を実現することができる、インクジェット記録用のインク組成物の提供をその目的としている。
【0007】
そして、本発明によるインク組成物は、低吸液性印刷用紙に、インクジェット記録により印刷を行うためのブラックインク組成物であって、
前記ブラックインク組成物が、カーボンブラックと、燐酸エステル系界面活性剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなり、かつ、
水溶性有機溶媒として、ポリエチレングリコールとグリセリンとを、1:2〜1:10の重量比で含んでなり、
前記低吸液性印刷用紙がトレーシングペーパ、パーチメント紙、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、またはろう紙の群から選択されるものである。
【0008】
【発明の具体的説明】
定義
本発明において、「普通紙」とは、広範な市販の紙、とりわけ静電コピーに用いられる紙であって、インクジェット記録方法の用途に最適化された構造、組成、または特性を意図して製造されていない紙を意味する。このような記録媒体の例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙などが挙げられる。
本発明において、「専用紙」とは、インクジェット記録方法の用途に最適化された構造、組成、または特性を意図して製造された紙を意味する。
本発明において、「低吸液性印刷用紙」とは、「普通紙」や「専用紙」と比較して、吸液性が低くサイズが高いのでインクの浸透が極めて困難な用紙を意味する。具体的には、坪量50g/cm2時におけるステキヒト・サイズ度(JIS−P−8122「紙のステキヒト・サイズ度試験方法」)が10秒以上の用紙を意味する。
このような記録媒体の例としては、第2原図用紙(例えば、トレーシングペーパ)、パーチメント紙(羊皮紙)、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、ろう紙等が挙げられる。
本明細書において使用される単位「duty」は、下記の式(II)で定義され、算出される値Dの単位を示すものである。
【数1】
Figure 0003952348
【0009】
インク組成物
本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられるが、インク組成物を用いた他の記録方式による印刷、例えば、ペン等による筆記具による記録方式に好ましく用いられるものである。
【0010】
本発明によるインク組成物によれば、普通紙、専用紙は勿論のこと、低吸液性印刷用紙においても良好な画像を実現できる。具体的には、高い濃度のブラックが再現でき、さらに滲みおよびヒゲを伴わずに比較的大きなドットが形成できる。比較的大きなドットが形成できることは、少ないインク量で画像が形成できることを意味する。また、本発明によるインク組成物によれば、ベタ印字(100%duty)においてもインクはじきやムラの発生の少ない画像が得られる。さらに、画像の乾燥性においても、本発明によるインク組成物によって形成された画像は低吸液性印刷用紙上で短時間で乾燥するものである。また、本発明によるインク組成物によれば、低吸液性印刷用紙上であっても耐光性および耐水性の良好な画像が実現できる。また、本発明によるインク組成物は、インク組成物、とりわけインクジェット記録方法に用いられるインク組成物に一般的に求められる性能、例えば保存安定性などを備えるものである。
【0011】
着色剤
本発明によるインク組成物は着色剤としてカーボンブラックを含んでなる。カーボンブラックは、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0012】
カーボンブラックの添加量は、インク組成物基準で1〜10重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは2〜5重量%程度の範囲である。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、カーボンブラックは、分散剤または界面活性剤により水性媒体中に分散させて得られた分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。カーボンブラック微粒子は、その平均粒径が200nm程度以下であるのが好ましく、より好ましくは150nm程度以下である。
【0014】
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類、アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類、サボニンなどのグルコシド類、アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステルアルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。さらに、高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、および酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられ、特に好ましくは、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂およびそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。これらの共重合体は、重量平均分子量が3,000〜30,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜15,000である。
【0015】
分散剤の添加量は、インク組成物中のカーボンブラックの総量に対して5〜60重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは20〜50重量%程度の範囲である。
【0016】
燐酸エステル系界面活性剤
本発明によるインク組成物は、燐酸エステル系界面活性剤を少なくとも含んでなる。燐酸エステル系界面活性剤を含んでなる本発明によるインク組成物は、インクジェット記録に用いたとき、吐出安定性に富むという利点が得られる。また、下記に説明するポリエチレングリコールとグリセリンと組み合わせたインクを用いて、低吸液性印刷用紙に印刷を行うと、該印刷用紙におけるインクの速乾性が向上するとの利点が得られる。本発明により上記利点が得られる理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。水系の分散型インク組成物においては、インク組成物がチキソトロピー性を持つため、吐出が不安定になる傾向がある。しかし、本発明による燐酸エステル系界面活性剤を含んでなるインク組成物によれば、安定したインク吐出が可能となったのではないかと考えられる。また、ポリエチレングリコールとグリセリンとの組合せは、良好の相容性を示し、かつ、界面活性剤としての効果が十分に発揮することができたのではないかと考えられる。しかしながら、これらはあくまでも仮定であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、燐酸エステル系界面活性剤の好ましい例としては下記の式(I)で表されるものが挙げられる。
【0018】
【化2】
Figure 0003952348
[上記式中、
1 、R2 、およびR3 は、同一または異なっていてもよく、水酸基または基RO−(CH2 CH2 O)n−(ここで、Rはアルキル基またはアルキル置換フェニル基を表すものである)を表すが、但し、全てのR1 、R2 、およびR3 が水酸基を表すことはない]
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、Rが、直鎖もしくは分岐鎖状のC8-30アルキル基または直鎖もしくは分岐鎖状のC8-30アルキル置換フェニルを表すものが好ましい。さらに好ましくは分岐鎖状のC8-30アルキル基である。本発明の別の好ましい態様によれば、R1 、R2 、およびR3のいずれか一つまたは二つが水酸基を表す燐酸エステル、すなわちモノエステルおよびジエステルの利用が好ましい。しかしながら、本発明によるインク組成物は、燐酸エステル系界面活性剤として式(I)の化合物の一種のみを単独で含むのみならず、式(I)で表される化合物を複数混合して含んでなることもできる。
【0020】
式(I)で表される燐酸エステル系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはフォスファノール(Phosphanol)シリーズ(東邦化学工業株式会社製)が挙げられ、とりわけフォスファノールRS−410、RS−610、RS−710の利用が好ましい。
【0021】
燐酸エステル系界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物基準で0.5重量%以下程度であり、より好ましくは0.3重量%以下程度であることが好ましい。
【0022】
ポリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、水溶性有機溶媒として、ポリエチレングリコールとグリセリンとを含んでなるのが好ましい。
ポリエチレングリコールとグリセリンとは、1:2〜1:10程度の重量比で、より好ましくは1:4〜1:10程度の重量比でインク組成物に含んでなるのが好ましい。さらに、ポリエチレングリコールとグリセリンとの添加量はインク組成物基準で30重量%以下程度が好ましく、より好ましくは20重量%以下程度である。本発明において用いるポリエチレングリコールは、その分子量が2000以下、より好ましくは600以下のものが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、2−ピロリドンをさらに含んでなるインク組成物が好ましい。2−ピロリドンを添加することによって、印字のムラとノズルの目詰まり防止を期待することができる。本発明においては、2−ピロリドンとは、2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン等またはこれらの塩およびこれらの混合物を意味するものである。
【0024】
2−ピロリドンの添加の添加量はインク組成物基準で、1〜10重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは2〜5重量%程度の範囲である。
【0025】
水、水溶性有機溶媒、その他の任意の成分
本発明によるインク組成物は、水と、水溶性有機溶媒との混合物を基本溶媒として形成されるものである。従って、本発明によるインク組成物は、ポリエチレングリコールとグリセリンを水溶性有機溶媒として含んでなるものであるが、それら以外に、他の水溶性有機溶媒を添加してもよい。
【0026】
本発明において添加される水溶性有機溶媒は、好ましくは高沸点有機溶剤である。本発明によるインク組成物に高沸点有機溶剤を添加することによって、ノズルにおける目詰まりを防止することができる。高沸点有機溶剤の好ましい具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、一種または二種以上の組合せにおいてインク組成物に添加することができる。
【0027】
高沸点有機溶媒の添加量は、インク組成物基準で1〜40重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは5〜30重量%程度の範囲が好ましい。
【0028】
本発明のインク組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)が挙げられる。これらは単独使用または二種以上を併用することができる。
【0029】
本発明によるインク組成物は、上記成分に加えて他の成分を含むことができ、例えばノズルの目詰まり防止剤、糖類、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
【0030】
インク組成物の調製
本発明によるインク組成物は、前記成分を適切な方法で分散、混合することによって製造することができる。好ましくは、まずカーボンブラックとポリエチレングリコールとグリセリンと燐酸エステル系界面活性剤と分散剤と水とを、適切な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な分散液を調製する。次いで、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を加えて充分溶解させてインク溶液を調製する。充分に撹拌した後に、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過を行って目的のインク組成物を得る。
【0031】
インクセット
本発明によるブラックインク組成物は、他の色のインク組成物を用いて画像記録を行うことができる。他の色のインク組成物としては、シアンインク組成物、イエローインク組成物、およびマゼンタインク組成物が挙げられる。従って、本発明の別の態様によれば、上記したブラックインク組成物と、他の色のインク組成物とを含んでなる、インクセットが提供される。本発明の好ましい態様によれば、このインクセットは、上記したブラックインク組成物と、シアンインク組成物と、イエローインク組成物と、およびマゼンタインク組成物とを含んでなることが好ましい。これら他のインク組成物についても、その着色剤および他の組成については、印刷方法を勘案して適宜決定されてよい。これらインク組成物を組み合わせて画像を形成することにより、低吸液性印刷用紙において、速乾性、印字品質に優れた画像が実現できる。
【0032】
【実施例】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
インク組成物1を下記の組成に従って調製した。
カーボンブラックMA7(顔料:三菱化成株式会社製) 3重量%
スチレンアクリル酸共重合体(分散剤) 1重量%
ポリエチレングリコール#600 1.5重量%
グリセリン 15重量%
2−ピロリドン 2重量%
フォスファノールRS−610 0.2重量%
イオン交換水 残量
インク組成物1は下記の通りに調製した。カーボンブラツクと分散剤とを混合し、サンドミル(安川製作所製)中でガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後、ガラスビーズを取り除き、他の成分を加え常温で60分間撹拌し、5μmのメンブランフィルターでろ過して、インクジェット記録用インク組成物を得た。
【0034】
実施例2および3ならびに比較例1〜4
実施例1に準じて、下記の表に記載の組成に従ってインク組成物を調製した。
【0035】
【表1】
Figure 0003952348
【0036】
インク評価試験
上記のインク組成物について、下記の評価を行った。なお、以下の評価において、印刷は、インクジェットプリンタMJ−8000C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて行った。評価紙(トレーシングペーパー)は以下のものであった。
評価紙
スーパー55(三菱製紙株式会社製)
ハイトレスN−80(桜井株式会社製)
75−ST(フェアフィールド社製)
スタードラガー(桜井株式会社製)
【0037】
評価1:文字印刷品質
上記の各紙に印刷を行い、印刷して得られた印刷物の文字部における滲みの発生の有無を調べた。評価は以下の基準で行った。
評価A:全紙に滲みの発生がほとんどなく鮮明な文字が得られた。
評価B:一部の用紙にひげ状の滲みがわずかに発生した。
評価C:全紙にひげ状の滲みがわずかに発生した。
評価D:全紙にひげ状の滲みがかなり発生した。
【0038】
評価2:ベタ印刷(100%duty)品質
上記の各紙に(100%duty)ベタ部印刷を行ない、その印刷品質を調べた。評価は以下の基準で行った。
評価A:全紙において、印刷にムラ、はじき、およびスジがなく、一様に埋まっていた。
評価B:一部の紙において、印刷にムラ、はじき、およびスジがわずかに発生した。
評価C:一部の紙において、印刷にムラ、はじき、およびスジが発生した。
評価D:全紙において、印刷にムラ、はじき、およびスジが発生した。
【0039】
評価3:速乾性
上記の各紙にベタ印刷(100%duty)を行い、その乾燥時間を測定した。乾燥時間は、印刷し、ベタ印刷部を指で擦り、色の擦れが無くなるまでに要した時間を測定した。 評価は以下の基準で行った。
評価A:全紙の乾燥平均時間が60秒未満
評価B:全紙の乾燥平均時間が60秒以上〜120秒未満
評価C:全紙の乾燥平均時間が120秒以上
【0040】
評価4:目詰まり性
インクジェットプリンターMJ−8000Cにて、10分間連続して英数文字を印刷した。その後プリンタを停止し、キャップをせずに40℃、25Rhの環境下で1月間放置した。放置後再び英数文字を印刷し、放置前と同等の印字が得られるまで要した目詰まり復帰動作の回数を調べた。評価は以下の基準で行った。
評価A:0〜2回のクリーニング動作で初期と同等の印刷状態に回復
評価B:3〜5回のクリーニング動作で初期と同等の印刷状態に回復
評価C:6回以上のクリーニング動作でも初期と同等の印刷状態に回復せず
以上の評価結果は下記の表に示される通りであった。
【0041】
【表2】
Figure 0003952348

Claims (16)

  1. 低吸液性印刷用紙に、インクジェット記録により印刷を行うためのブラックインク組成物であって、
    前記ブラックインク組成物が、カーボンブラックと、燐酸エステル系界面活性剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなり、かつ、
    水溶性有機溶媒として、ポリエチレングリコールとグリセリンとを、1:2〜1:10の重量比で含んでなり、
    前記低吸液性印刷用紙がトレーシングペーパ、パーチメント紙、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、またはろう紙の群から選択されるものである、インク組成物。
  2. 前記低吸液性印刷用紙が坪量50g/m2時におけるステキヒト・サイズ度が10秒以上の用紙である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 分散剤をさらに含んでなる、請求項1または2に記載のインク組成物。
  4. 分散剤がスチレン−アクリル樹脂である、請求項3に記載のインク組成物。
  5. ポリエチレングリコールとグリセリンとの添加量がインク組成物基準で30重量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記燐酸エステル系界面活性剤が下記の式(I)で表されるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
    Figure 0003952348
    [上記式中、
    1 、R2 、およびR3 は、同一または異なっていてもよく、水酸基または基RO−(CH2 CH2 O)n−(ここで、Rはアルキル基またはアルキル置換フェニル基を表すものであり、nは整数を表す)を表すが、但し、全てのR1 、R2 、およびR3 が水酸基を表すことはない]
  7. Rが、直鎖もしくは分岐鎖状のC8−30アルキル基または直鎖もしくは分岐鎖状のC8−30アルキル置換フェニルを表すものである、請求項6に記載のインク組成物。
  8. Rが、分岐鎖状のC8−30アルキル基を表すものである、請求項6に記載のインク組成物。
  9. 1 、R2 、およびR3のいずれか一つまたは二つが水酸基を表すものである、請求項7〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 前記燐酸エステル系界面活性剤として式(I)で表される化合物を複数混合して含んでなる、請求項6〜9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. 前記燐酸エステル系界面活性剤の添加量がインク組成物基準で0.5重量%以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 2−ピロリドンをさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. インク組成物を付着させて低吸液性印刷用紙に印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記低吸液性印刷用紙がトレーシングペーパ、パーチメント紙、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、またはろう紙の群から選択されるものであり、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、記録方法。
  14. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を低吸液性印刷用紙に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、
    前記低吸液性印刷用紙がトレーシングペーパ、パーチメント紙、硫酸紙、グラシン紙、パラフィン紙、またはろう紙の群から選択されるものであり、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、記録方法。
  15. 請求項13または14に記載の記録方法によって印刷が行われた、記録物。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を少なくとも含んでなる、インクセット。
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