JP3951779B2 - プリント回路板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の実装技術分野に属し、より詳しくはプリント回路板およびその製造技術の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリント基板の実装過程では、互いに近接して隣り合った回路素子とハンダ・スルーホールとのうち、前者に液状の防湿剤を滴下ないし刷毛塗りなどで塗布する場合には、後者の表面およびその周囲をマスキングテープやマスキング液、または治具などで覆っていた(本明細書では、これを「マスク工程」と呼ぶことにする)。
【0003】
これは、回路素子を防湿剤で覆うことが必要であっても、防湿剤が過剰に流動してスルーホールにまで及ぶと、スルーホールが汚染されてしまい、不都合だからである。すなわち、防湿剤によってスルーホールが汚染されると、後に部品端子をスルーホールに挿入してハンダ付けする際に、ハンダ付け性が低下することになり、不都合が生じる。また、ターミナルピンなどをスルーホールに差し込むだけでハンダ付けしない場合にも、スルーホールが汚染されていると、ターミナルピンとスルーホール内周面との接触が不良となり導通不良の不具合を生じる可能性がある。
【0004】
そこで従来は、回路素子とスルーホールとが所定距離を置いて互いに近接している場合には、前述のようなマスク工程を施していた。そして、マスク工程を施すことによって、回路素子に塗られた防湿剤が流出しても、スルーホールが防湿剤で汚染されないようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来技術では、マスク工程のマスキング位置精度や、マスク工程に伴う製造コストの面などを考慮すると、必ずしも適当でない場合もあり得る。
【0006】
そこで本発明は、従来技術とは異なった方法で、回路素子に塗布された薬剤が流れ出て隣接するスルーホールを汚染することを防止する手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
なお、前述の従来技術では、位置精度と製造コストとが二律背反するという不都合もあった。すなわち、マスキングテープや治具などをスルーホールの開口部周辺の基板表面に当てる際に、安価な自動装置では1mm程度の位置誤差が生じてしまい、位置精度が不足するので実装密度を上げるうえで障害になる。一方、実装密度を上げられるように、高価な自動装置を使用すれば位置精度を向上させることができるが、逆に設備投資が大きくなってコスト面で不利益が生じる。したがって、前述の従来技術には、位置精度による実装密度と設備投資によるコストとが、互いに二律背反するという不都合があった。
【0008】
そこで本発明では、スルーホールに対する位置精度が向上し実装密度を上げることができるようになるという効果と、製造コストの低廉化という効果とが、同時に得られれば、なお望ましいものとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
【0010】
[物の発明]
(第1手段)
本発明の第1手段は、出願時の請求項1に記載されたプリント回路板である。
【0011】
本手段では、薬剤が塗布される回路素子と薬剤に汚染されたくないスルーホールとの間のプリント基板の表面に、阻止手段が形成されている。そしてこの阻止手段は、回路素子に塗布された液状の薬剤が流動してスルーホールに達することを阻止する作用をもつので、流出した薬剤によってスルーホールが汚染されることがなくなる。あるいは、少なくともスルーホールが汚染される可能性が、より小さくなる。
【0012】
その結果、後工程で部品端子がスルーホールにハンダ付けされる際に、スルーホールの内周面が薬剤によって汚染されることが防止されているので、部品端子とスルーホールとのハンダ付け性(solderability )が向上する。それゆえ、この部分でのハンダ付けの不良による不具合が防止され、製品としてのプリント回路板の信頼性や耐久性が向上する。また、スルーホールにターミナルピンを挿入するだけでハンダ付けしない場合にも、同様に薬剤の汚染による導通不良は防止される。
【0013】
したがって本手段によれば、従来技術とは異なった手段でありながら、従来技術と同様に、回路素子に塗布された薬剤が流れ出て隣接するスルーホールを汚染することを防止することができるという効果がある。
【0014】
そればかりではなく、後の製造過程や製品出荷後も含めて後々、薬剤が塗布された回路素子や周囲の部品から電解液など何らかの薬液が流出した場合にも、前述の従来技術とは異なって、本発明には特有の効果がある。すなわち、本発明によれば、部品端子がスルーホールにハンダ付けされている場合にも、ターミナルピンがスルーホールに挿入されているだけの場合にも、薬液による汚染が防止される。その結果、本手段によれば、後々にわたっても、ハンダ付け部分の劣化や導通不良などの不具合が防止されるという効果も新たに得られる。
【0015】
(第2手段)
本発明の第2手段は、出願時の請求項2に記載されたプリント回路板である。
【0016】
本手段では、スルーホールに薬剤の浸入を防ぐ阻止手段は、堤防、溝、および阻止帯のうち少なくとも一つである。
【0017】
第一に、堤防は、所定の高さ、すなわち基板の板厚方向の厚みを持った突条であって、薬剤が流動してスルーホールへ浸入することを阻むのに適正な横幅と縦深とを持っている。
【0018】
この堤防は、必ずしも一重である必要はなく、必要に応じて縦深方向に二重、三重など複数重ないし多重に配設されていても良い。また、この堤防は、必ずしも単層であるものとは限らず、厚さ方向にも複数層が重層して高さを増したものであっても構わない。さらに、各堤防が同じ材料でできている必要は必ずしもなく、重層された堤防の各層が同じ材質だけからなる必要もない。
【0019】
第二に、溝は、所定の深さおよび幅(すなわち縦深)をもっており、薬剤が流動してスルーホールへ浸入することを阻むのに適正な横幅にわたって基板表面に形成されている。そして、回路素子などに塗布された液状の薬剤が過剰に流動して溝に達っしても、この溝が形成している窪みの容積に相当する分量は、薬剤が溝に蓄えられてしまい、薬剤が溝を越えてスルーホールに達することは阻止される。
【0020】
前述の堤防と同様に、この溝も、必ずしも一重である必要はなく、必要に応じて二重、三重など多重に配設されていても良い。また、少なくとも一部の溝に、基板外縁部へと通じる排出溝が接続されていれば、その溝に流れ込んだ薬剤は、この排出溝を通じて基板の縁へ流出する。それゆえ、仮に多量に薬剤がこの溝に流れ込むことがあっても、薬剤が溝からあふれてスルーホールに達することは、より有効に避けられる。
【0021】
第3に、阻止帯は、薬剤をはじく性質を持った材料からなる所定の幅(すなわち縦深)をもった帯状の区画である。回路素子に塗布された薬剤が流動してこの阻止帯に達っしても、前述のように阻止帯はこの薬剤をはじく性質を持っており、この薬剤に対するぬれ性が悪いので、薬剤は阻止帯の前線ではじかれて阻止帯の上には流入しにくい。その結果、阻止帯が薬剤の流動に対する阻止作用を発揮するので、薬剤がスルーホールに達することは防止され、薬剤によるスルーホールの汚染は防止される。
【0022】
ここで、薬剤が親油性のものであれば、阻止帯は親水性ないし保水性のある材料で形成することができる。もしも、保水性の阻止帯が基板上にあっては、製品としてのプリント回路板に不都合が生じるようであれば、それなりに適正な対策をすればよい。たとえば、製造過程で、阻止帯が保水性を失うようにしたり、阻止帯が覆われるようにしたり、阻止帯自体が消滅するようにしたりしても良い。より具体的には、部品端子がスルーホールにハンダ付けされる際に、その余熱で阻止帯が蒸発してしまうように、阻止帯を沸点の低い物質で形成しておく手段もある。
【0023】
逆に、可能性としては低いが、薬剤が親水性のものであれば、阻止帯は親油性の材料で形成することができる。
【0024】
この阻止帯も、必ずしも一重である必要はなく、必要に応じて二重、三重など多重に配設されていても良い。そうすれば、仮に塗布された薬剤が多すぎ、一つの阻止帯を乗り越えてしまった場合に、次の阻止帯の前線で薬剤がはじかれる。すると、薬剤に乗り越えられてしまった阻止帯と次の阻止帯との間に薬剤が拡がり、次の阻止帯の前線で薬剤の流入はくい止められる。その結果、阻止帯を多重化することによって、薬剤の流動に対する阻止作用がより強化され、いっそう有効にスルーホールの汚染が防止される。さらに、多重の阻止帯のうち最外周の阻止帯の回路素子と背向する部分に欠損部を設け、この欠損部を前述の溝と同様に排出溝としても良い。
【0025】
なお、以上のような作用をもつ堤防、溝および阻止帯は、必ずしも択一的に採用される必要はなく、これらのうち二つないし三つ全部が組み合わされて阻止手段を構成していても良い。
【0026】
たとえば、基板表面から突出して設けられた二重の堤防の間に、基板表面から逆に窪んだ溝が形成されていても良い。また逆に、二重に敷設された溝の間に堤防が形成されていても良い。同様に、二重に敷設された阻止帯の間に基板表面から窪んだ溝が形成されていても良いし、逆に、二重に敷設された溝の間に阻止帯が形成されていても良い。また、堤防が、薬剤をはじく性質を持った材料から形成されており、前述の阻止帯を兼用していても良い。さらに、阻止帯を兼ねて薬剤をはじく堤防が二重に形成されており、その間を基板表面から窪んだ溝が形成されていても良い。
【0027】
このように堤防、溝および阻止帯のうち少なくとも二つが組み合わされていれば、薬剤が流動してスルーホールに達するのを防ぐ阻止作用がよりいっそう強化される。
【0028】
したがって、本手段のプリント回路板によれば、前述の第1手段と同様の効果が得られる。すなわち、堤防、溝および阻止帯のうち少なくとも一つによって、回路素子に塗布された薬剤が流れ出て隣接するスルーホールを汚染することを防止することができるという効果がある。
【0029】
(第3手段)
本発明の第3手段は、出願時の請求項3に記載されたプリント回路板である。
【0030】
本手段では、前述の阻止手段は、前述の第2手段で示した堤防、溝および阻止帯のうち堤防であって、しかもこの堤防は、シルクスクリーン印刷などのスクリーン印刷によって形成されたものである。
【0031】
スクリーン印刷は、プリント基板の表面に各種の文字や記号、レジスト、導体パターンなどを印刷ないし塗布する際に、広く用いられている方法であり、寸法精度や位置精度も比較的に高い。それゆえ、本手段では、これらのスクリーン印刷を行う際に、阻止手段としての堤防もスクリーン印刷のインクないしペーストで印刷してしまうことができる。そうすれば、前述の従来技術と異なって、ほとんどコストアップを招くことなく、プリント基板のもつ精度と同じ高い精度で阻止手段としての堤防を基板表面に形成することができるようになる。
【0032】
したがって、本手段のプリント回路板によれば、前述の第2手段のうち堤防の効果が得られるばかりではなく、前述のように従来技術が抱えていた二律背反する不都合を解決することができるようになる。すなわち、スルーホールに対する位置精度が向上して実装密度を上げることができるようになるという効果と、スルーホールのマスク工程の省略により工数が減って製造コストが低廉化されるという効果とが、同時に得られるようになる。
【0033】
(第4手段)
本発明の第4手段は、出願時の請求項4に記載されたプリント回路板である。
【0034】
本手段では、前述の第2手段または第3手段において、阻止手段は、回路素子およびスルーホールのうち少なくとも一方の周囲に少なくとも一重に形成された堤防である。
【0035】
本手段によれば、次のような効果が得られる。
【0036】
すなわち、この堤防が回路素子の周囲に形成されておれば、薬剤が塗布された回路素子の周囲にその薬剤が流出することが防止され、スルーホールに限らず、周囲の各種回路要素や各種部材などを薬剤の汚染から守ることができるという効果がある。一方、この堤防がスルーホールの周囲に形成されておれば、スルーホールだけを薬剤の汚染から守りながら、逆に回路素子の周囲に薬剤を拡げることが容易になるという効果がある。さらに、堤防が回路素子の周囲とスルーホールの周囲とにそれぞれ形成されておれば、両方の効果が得られるばかりではなく、スルーホールの汚染がより確実に防止されるという効果がある。
【0037】
もちろん、第2手段の項で堤防について前述した作用効果が得られる。また、この堤防が第3手段で述べたようにスクリーン印刷によって形成されているのであれば、高精度で安価に阻止手段が形成されるようになるという効果がある。
【0038】
(第5手段)
本発明の第5手段は、出願時の請求項5に記載されたプリント回路板である。
【0039】
本手段では、阻止手段は複数の堤防であって、これらの堤防はスルーホールの周囲に同心円状に複数重に形成されている。すなわち、薬剤がスルーホールに浸入するには、幾重にも重なった堤防を乗り越える必要がある。そして、薬剤が一つの堤防を乗り越えたとしても、次の堤防までの間に溝が形成されているので、その溝に沿って薬剤が流動し、薬剤は次の堤防を乗り越えがたい。
【0040】
そればかりではなく、これらの堤防のうち最外周の堤防は、回路素子に背向する部分に欠損部を少なくとも一つは有する。それゆえ、最外周の堤防を乗り越えてきた薬剤は、最外周の堤防とその次の堤防との間に形成された溝ないし堀に沿って流れるうちに欠損部に達し、その欠損部から再び最外周の堤防の外に流れ出てしまう。それゆえ、たとえ薬剤が最外周の堤防を乗り越えて流れ、その内側に浸入することがあっても、薬剤がさらに内周の堤防を乗り越えてスルーホールに達することはいっそう困難になっている。
【0041】
したがって、本手段のプリント回路板によれば、前述の第4手段の効果に加えて、よりいっそう確実に薬剤によるスルーホールの汚染が防止されるようになるという効果がある。
【0042】
[製造方法の発明]
(第6手段)
本発明の第6手段は、出願時の請求項6に記載されたプリント回路板の製造方法である。
【0043】
本手段の特徴は、阻止手段形成工程が、薬剤塗布工程に先立って行われることである。ここで、後工程である薬剤塗布工程とは、プリント基板に形成されたスルーホールから所定距離をおいてこのプリント基板の表面に実装された回路素子に、液状の薬剤を塗布する工程のことである。一方、先工程である阻止手段形成工程とは、この薬剤が流動してスルーホールに達することを阻止する阻止手段を、回路素子とこのスルーホールとの間のプリント基板の表面に予め形成しておく工程のことである。
【0044】
阻止手段形成工程で形成された阻止手段は、具体例を挙げるならば、第2手段の項で述べたように、スルーホールへの薬剤の浸入を防ぐ堤防や溝(ないし堀)、あるいは薬剤をはじく阻止帯などである。
【0045】
これらの阻止手段は、少なくとも薬剤塗布工程において機能することが必要であるが、薬剤塗布工程の後に薬剤の流動によるスルーホールの汚染の可能性が無くなってしまえば、阻止手段は消失しても構わない。すなわち、阻止手段が製品としてのプリント回路板に残っている必要性は必ずしも無く、スルーホールの汚染さえ防ぐことができれば、薬剤塗布工程の終了後には阻止手段は消失してしまっても構わない。もちろん逆に、プリント回路板が製品として出荷されるに至っても阻止手段が残留していても、いっこうに不都合はない。
【0046】
本手段では、薬剤塗布工程で薬剤が回路素子に塗布される際には、薬剤が塗布される回路素子と薬剤に汚染されたくないスルーホールとの間のプリント基板の表面に、すでに阻止手段形成工程で阻止手段が形成されている。そしてこの阻止手段は、回路素子に塗布された液状の薬剤が流動してスルーホールに達することを阻止する作用をもつので、流出した薬剤によってスルーホールが汚染されることがなくなる。あるいは、少なくともスルーホールが汚染される可能性が、より小さくなる。
【0047】
その結果、その後の工程で部品端子がスルーホールにハンダ付けされる際に、スルーホールの内周面が薬剤によって汚染されていることが防止されるので、部品端子とスルーホールとのハンダ付け性(solderability )が向上する。それゆえ、この部分でのハンダ付けの不良による不具合が防止され、製品としてのプリント回路板の信頼性や耐久性が向上する。また、スルーホールにターミナルピンを挿入するだけでハンダ付けしない場合にも、同様に薬剤の汚染による導通不良は防止される。
【0048】
したがって本手段によれば、従来技術とは異なった手段でありながら、従来技術と同様に、回路素子に塗布された薬剤が流れ出て隣接するスルーホールを汚染することを防止することができるという効果がある。
【0049】
(第7手段)
本発明の第7手段は、出願時の請求項7に記載されたプリント回路板の製造方法である。
【0050】
本手段では、阻止手段形成工程において、プリント基板表面の他の部分にスクリーン印刷する際に、いっしょに所定の幅と厚みとを持つ堤防が、スクリーン印刷で形成される。そして、この堤防が、後の薬剤塗布工程で阻止手段として機能する。
【0051】
すなわち、前述の阻止手段は、前述の第6手段で示した堤防、溝および阻止帯などのうち堤防であって、しかもこの堤防は、シルクスクリーン印刷などのスクリーン印刷がなされる際に、ついでに形成されたものである。ここで、スクリーン印刷は、プリント基板の表面に各種の文字や記号、レジスト、導体パターンなどを印刷ないし塗布する際に、広く用いられている方法であり、寸法精度や位置精度も比較的に高い。
【0052】
それゆえ、プリント基板表面にこれらのスクリーン印刷を行う際に、併せて阻止手段としての堤防も、インクないしペーストでスクリーン印刷により形成されてしまう。そうすれば、もともと行われているスクリーン印刷で阻止手段形成工程が終わってしまうので、別途に阻止手段形成工程を行う必要がなくなってしまう。また、もともと精密な寸法精度や位置精度を持つスクリーン印刷の精度と同じ精度で、阻止手段としての堤防が形成される。
【0053】
その結果、前述の従来技術とは異なって、別途に薬剤によるスルーホールの汚染を防ぐマスク工程が不要になるので、ほとんどコストアップを招くことがなくなる。そればかりではなく、スクリーン印刷のもつ位置精度や寸法精度と全く同じ高い精度で、阻止手段としての堤防をプリント基板の表面に形成することができるようになる。
【0054】
したがって、本手段のプリント回路板の製造方法によれば、前述の第6手段の効果が得られるばかりではなく、前述のように従来技術が抱えていた二律背反する不都合を解決することができるようになる。すなわち、スルーホールに対する位置精度が向上して実装密度を上げることができるようになるという効果と、スルーホールのマスク工程の省略により工数が減って製造コストが低廉化されるという効果とが、同時に得られるようになる。
【0055】
【発明の実施の形態】
本発明のプリント回路板およびその製造方法の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0056】
[実施例1]
(実施例1としての製造方法の構成)
本発明の実施例1としてのプリント回路板の製造方法は、阻止手段形成工程と薬剤塗布工程とを有し、阻止手段形成工程は薬剤塗布工程に先立って行われることを特徴としている。
【0057】
ここで、薬剤塗布工程は、プリント基板に形成されたスルーホールから所定距離をおいてこのプリント基板の表面に実装された回路素子に、液状の薬剤を塗布する工程である。一方、阻止手段形成工程は、薬剤が流動してスルーホールに達することを阻止する阻止手段を、予め回路素子とこのスルーホールとの間のプリント基板の表面に形成しておく工程である。この阻止手段形成工程では、他の部分にインクペーストをスクリーン印刷で塗布する際に、いっしょに所定の幅と厚みとを持つ堤防をインクペーストで形成してしまう印刷工程をもち、この堤防をもって阻止手段が形成される。
【0058】
以下、工程を順に追って図面を参照しつつ、本実施例としてのプリント回路板の製造方法を説明する。
【0059】
先ず、図1に示すように、プリント基板10には、スルーホール2が形成されている。ここで、プリント基板10は、ガラス・エポキシ複合材板からなり表面11および裏面にはグリーンマスクが施され、表裏にプリント配線(図略)が張り巡らされた一層基板である。一方、スルーホール2を形成する内周面とその表裏の開口部とには、スルーホールめっき21が施されている。
【0060】
そして、プリント基板10の表面11には、回路素子(図略)を載せるべき銅箔からなる一対のパッド101,102が、スルーホール2と所定距離だけ離れて形成されている。実装密度を上げるために、スルーホール2とパッド101,102とは互いに比較的近接して配設されている。それゆえ、何らの対策なしに、パッド101,102に固定された回路素子(図略)に防湿剤などの液状の薬剤が塗布されると、同薬剤が流動して浸入しかねない位置に、スルーホール2は形成されている。
【0061】
次に、阻止手段形成工程が施され、図2に示すように、シルクスクリーン印刷により、印字49と阻止手段4とが、一工程でプリント基板10の表面11にいっぺんに印刷される。ここで、シルクスクリーン印刷は、エポキシ樹脂および白色の顔料を主成分とするインクペーストを、所望の形状にマスキングされた目の細かいシルクスクリーンにスキージで押しつけ、シルクスクリーンを通して印刷する周知の印刷方法である。
【0062】
印字49は、パッド101,102の間に、回路素子として所定の静電容量を持つチップコンデンサ(図略)を実装すべき旨を指示する回路記号および文字列である。もちろん、他の図示しないプリントパターンに沿っても、同様の記号や文字列が印刷されることは言うまでもない。
【0063】
一方、阻止手段4は、スルーホール2を中心としてその周囲に同心円状に形成された外周堤防41および内周堤防42からなる二重の堤防である。この二重堤防41,42は、インクペーストの厚さに相当する所定の高さすなわち厚みと、それぞれの幅(縦深)とを持っている。外周堤防41と内周堤防42との間には、所定の幅の堀40が形成されており、堀40の深さは二重堤防41,42の厚さTに等しい。
【0064】
なお、図5に示すように、外周堤防41の幅W1と、内周堤防42の幅W2と、両者41,42の間に形成された堀40の幅W2とは、外周堤防41の外径および内径と、内周堤防42の外径および内径とから、一義的に定まる。これらの寸法は設計事項であり、薬剤の粘性や基板表面11への薬剤のぬれ性などから、適正に設定される。
【0065】
そして次に、図3に示すように、回路素子としてのチップコンデンサ3が、パッド101,102にハンダ付けで固定される。こうしてプリント基板10に回路素子一式が実装されると、回路素子一式を実装したプリント基板10をもってプリント回路板1と呼ぶようになる。
【0066】
しかる後、図4に示すように、薬剤塗布工程が施され、チップコンデンサ3およびその周辺の回路素子(図略)に、刷毛等で薬剤としての防湿剤5が塗布される。すなわち、液状の防湿剤は、チップコンデンサ3を含む回路素子の全てを覆いながら、スルーホール2には至らないように塗りつけられる。
【0067】
(実施例1としての製造方法の作用効果)
しかしながら、図4に示すように、液状の防湿剤5は、いくらかの流動性を必然的に持っているので、基板表面11を濡らしつつ表面11の上を流動して阻止手段4としての二重堤防41,42に達することがままある。
【0068】
すなわち、同じく図4に示すように、防湿剤5は流動して、外周堤防41の外周部にまで達することがありうる。しかし、図4中のV−V断面を図5に示すように、外周堤防41が、インクペーストの厚さに相当する所定の高さTを持っているので、薄く拡がった防湿剤5には外周堤防41を乗り越えることができない。それゆえ、防湿剤5の流動は、外周堤防41の外縁部で止まり、防湿剤5がスルーホール2に達してこれを汚染することは防止されている。
【0069】
よしんば、塗布された防湿剤5の量があまりに多く、外周堤防41を乗り越えてしまった場合にも、図6に示すように、流入した防湿剤5’は二重堤防41,42の間に形成されている堀40に流れ込む。そして、堀40に流れ込んだ防湿剤5は、堀40に沿って流れ、堀40があふれてしまうまでは内周堤防42を乗り越えてしまうことはない。また、防湿剤5’が、堀40からあふれてしまった場合でも、再び外周堤防41を乗り越えて流出してしまうこともあり、スルーホール2には容易に達することができない。
【0070】
以上のように、本実施例のプリント回路板の製造方法によれば、従来技術と異なって、マスク工程を施さなくても、スルーホール2が薬剤としての防湿剤5に汚染されることは有効に防止されているという効果がある。そればかりではなく、阻止手段4としての二重堤防41,42が、シルクスクリーン印刷によって印字のついでに形成されてしまうので、マスク工程を行う従来技術と異なってほとんどコストアップを招かず、極めて安価になるという効果がある。そのうえ、シルクスクリーン印刷と同じ精度で二重堤防41,42が形成されるので、極めて精密な位置精度および寸法精度が得られ、実装密度を上げることを妨げることがないという効果もある。
【0071】
(実施例1としての製品の構成)
以上の製造方法によって製造された製品としてのプリント回路板は、次のように構成されている。
【0072】
すなわち、再び図4および図5に示すように、本実施例のプリント回路板1は、スルーホール2が形成されたプリント基板10と、プリント基板10の表面11に実装されたチップコンデンサ3などの回路素子一式とを有する。回路素子としてのチップコンデンサ3は、スルーホール2から所定距離をおいてこのプリント基板10の表面11に実装されており、少なくとも塗布時には液状であった薬剤としての防湿剤5が塗布されている。
【0073】
本実施例のプリント回路板1の特徴は、阻止手段4としての二重堤防41,42を有することである。阻止手段4は、回路素子としてのチップコンデンサ3とスルーホール2との間のプリント基板10の表面11に形成されており、チップコンデンサ3などに塗布された防湿剤5が流動してこのスルーホールに達することを阻止する手段である。
【0074】
本実施例での阻止手段4は、スルーホール2の周囲に同心円状に形成された外周堤防41および内周堤防42からなる二重堤防41,42である。外周堤防41および内周堤防42は、所定の高さすなわち厚みをもっており、その厚みは、シルクスクリーン印刷による印字49のインクペースト厚さと同等である。また、外周堤防41および内周堤防42は、それぞれの幅(縦深すなわち奥行き)をもっており、外周堤防41と内周堤防42との間には、所定の幅の堀40が形成されている。
【0075】
前述のように、二重堤防41,42は、インクペーストを印字49と同時にシルクスクリーン印刷することによって形成されており、その主成分は、エポキシ樹脂および顔料である。
【0076】
(実施例1としての製品の作用効果)
本実施例のプリント回路板は、以上のように構成されているので、以下のような作用効果を発揮する。
【0077】
すなわち、製造方法の項で前述したように、薬剤としての防湿剤5が流動してスルーホール2に至りスルーホール2が汚染されることが防止される作用が得られる。
【0078】
したがって、本実施例のプリント回路板1によれば、その製造過程で、従来技術と異なって、マスク工程を施さなくても、スルーホール2が薬剤としての防湿剤5に汚染されることは有効に防止されているという効果がある。また、阻止手段4としての二重堤防41,42が、シルクスクリーン印刷によって印字のついでに形成されてしまうので、マスク工程を行う従来技術と異なってほとんどコストアップを招かず、極めて安価になるという効果がある。そのうえ、シルクスクリーン印刷と同じ精度で二重堤防41,42が形成されるので、極めて精密な位置精度および寸法精度が得られ、実装密度を上げることを妨げることがないという効果もある。
【0079】
そればかりではなく、後工程や製品出荷後も含めて後々、防湿剤5が塗布されたチップコンデンサ3などの回路素子や周囲の部品から電解液など何らかの薬液が流出した場合にも、前述の従来技術とは異なって、本実施例のプリント回路板1には特有の効果がある。すなわち、本実施例のプリント回路板1によれば、部品端子がスルーホール2にハンダ付けされている場合にも、ターミナルピン等がスルーホール2に挿入されているだけの場合にも、防湿剤5による汚染が防止される。その結果、本実施例のプリント回路板1によれば、後々にわたっても、スルーホール2でのハンダ付け部分の劣化や導通不良などの不具合が防止されるという効果も新たに得られる。
【0080】
そしてこの効果は、製品のライフサイクルのうちどこかで、他の回路素子から電解液などが流れ出たような場合であっても、同様に発揮される。
【0081】
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、図7に示すように、二重堤防41,42のうち外周堤防41が、回路素子としてのチップコンデンサ3に背向する部分に、二箇所の欠損部410をもったプリント回路板1の実施が可能である。外周堤防41に欠損部410を形成するには、阻止手段形成工程でシルクスクリーン印刷を施す際に、外周堤防41に当たる部分のスクリーンパターンに欠損部を設けておけばよい。
【0082】
本変形態様では、防湿剤5が多量に過ぎ、よしんば阻止手段4の最外周にある外周堤防41を防湿剤5のうちかなりの量が乗り越えてきたとしても、何も心配は要らない。なぜならば、堀40に流入した防湿剤5’は、外周堤防41と内周堤防42との間に形成された堀40に沿って流れるうちに欠損部410に達し、欠損部410から再び外周堤防41の外に流れ出てしまうからである。その結果、欠損部410から排出された防湿剤5”は、外周堤防41の外に溜まりを作るだけで、決して内周堤防42を乗り越えてその内側へ浸入してくることはあり得ない。
【0083】
それゆえ、たとえ防湿剤5が外周堤防41の堤防を乗り越えて流れ込むことがあっても、防湿剤5がさらに内周の堤防を乗り越えてスルーホール2に達することは、まずあり得ない。
【0084】
したがって、本変形態様のプリント回路板1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、よりいっそう確実に防湿剤5によるスルーホール2の汚染が防止されるようになるという効果がある。
【0085】
なお、本変形態様において、外周堤防41の欠損部410をいくつ形成するか、欠損部410の幅をどの程度にするかなどは、単なる設計事項であって、実験などに基づき設計者が適正に設定すればよいことである。
【0086】
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、図8に示すように、スルーホール2がプリント基板10の外縁10aに近く形成されている場合には、さらに簡素で有効なプリント回路板1の実施が可能である。
【0087】
すなわち、本変形態様のプリント回路板1では、阻止手段4としての二重堤防41,42のうち、外周堤防41の一部だけが外縁10aからはみ出して途切れ、欠損部410が形成されている。なお、プリント基板10の外縁10aでは、内周堤防42の外縁部が一部欠けていても構わない。すると、チップコンデンサ3などの回路素子は、プリント基板10の縁際には配置されないのが普通なので、欠損部410は、自然に回路素子に概ね背向した位置に形成される。
【0088】
それゆえ、薬剤としての防湿剤5がスルーホール2の方に流動してきても、まず外周堤防41の外縁部に沿って流れて外縁10aからこぼれ落ちる。よしんば防湿剤5が外周堤防41を乗り越えてくることがあっても、浸入した防湿剤5は堀40に沿って流れ、その外縁10aに開口した排出口40’から排出され、液滴Dとなってこぼれ落ちる。その結果、防湿剤5が内周堤防42を乗り越えてスルーホール2に浸入してスルーホール2を汚染することは、極めて強力に防止されている。すなわち、この変形態様において、二重堤防41,42は、阻止手段4としての信頼性がいっそう高い。
【0089】
したがって、本変形態様のプリント回路板1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、よりいっそう確実に防湿剤5によるスルーホール2の汚染が防止されるようになるという効果がある。
【0090】
なお、本変形態様では、外縁10aから垂れた防湿剤5がプリント基板10の裏側に回って裏側からスルーホール2を汚染することがないように、プリント基板10の裏面にも二重堤防41,42などの阻止手段4を形成しておくことが望ましい。
【0091】
(実施例1の変形態様3)
本実施例の変形態様3として、図9に示すように、スルーホール2がプリント基板10の角部10cの近くに形成されている場合には、簡素でありながら極めて有効なプリント回路板1の実施が可能である。
【0092】
すなわち、本変形態様のプリント回路板1では、阻止手段4としての二重堤防41,42のうち、外周堤防41のうち二箇所がプリント基板10の外縁10a,10bからはみ出して途切れ、その二箇所で欠損部410が形成されている。すると、チップコンデンサ3などの回路素子は、プリント基板10の縁際には配置されないのが普通なので、欠損部410は、自然に回路素子としてのチップコンデンサ3に対してだいたい背向した位置に形成される。
【0093】
それゆえ、薬剤としての防湿剤5がスルーホール2の方に流動してきても、まず外周堤防41の外縁部に沿って流れて外縁10a,10bからこぼれ落ちる。よしんば防湿剤5が外周堤防41を乗り越えてくることがあっても、浸入した防湿剤5は堀40に沿って流れ、その外縁10aに開口した二箇所の排出口40’から排出され、液滴Dとなってこぼれ落ちる。その結果、防湿剤5が内周堤防42を乗り越えてスルーホール2に浸入してスルーホール2を汚染することは、極めて強力に防止されている。すなわち、この変形態様において、二重堤防41,42は、阻止手段4としての信頼性がよりいっそう高い。
【0094】
したがって、本変形態様のプリント回路板1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、よりいっそう確実に防湿剤5によるスルーホール2の汚染が防止されるようになるという効果がある。
【0095】
なお、本変形態様でも、外縁10a,10bから垂れた防湿剤5がプリント基板10の裏側に回って裏側からスルーホール2を汚染することがないように、プリント基板10の裏面にも二重堤防41,42などの阻止手段4を形成しておくことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の阻止手段形成工程前のプリント基板を示す平面図
【図2】 実施例1の阻止手段形成工程直後のプリント基板を示す平面図
【図3】 実施例1の回路素子実装後のプリント回路板を示す平面図
【図4】 実施例1の薬剤塗布工程後のプリント回路板を示す平面図
【図5】 実施例1の薬剤塗布工程後のプリント回路板を示す側断面図
【図6】 実施例1の薬剤塗布工程後のプリント回路板を示す平面図
【図7】 実施例1の変形態様1としてのプリント回路板を示す平面図
【図8】 実施例1の変形態様2としてのプリント回路板を示す平面図
【図9】 実施例1の変形態様3としてのプリント回路板を示す平面図
【符号の説明】
1:プリント回路板
10:プリント基板
10a,10b:外縁 10c:角部
11:表面(グリーンマスクの上に銅箔のプリント配線)
101,102:パッド(チップ部品用の銅箔製)
2:スルーホール
21:スルーホールめっき
3:回路素子(コンデンサーのチップ部品)
4:二重堤防(阻止手段として)
41:外周堤防(シルクスクリーン印刷により形成)
42:内周堤防(同上) 410:欠損部
40:堀 40’:排出口
T:堤防の厚さ(高さ) W0:堀の幅(縦深)
W1:外周堤防の幅(縦深) W2:内周堤防の幅(縦深)
49:印字(シルクスクリーン印刷による)
5:防湿剤(薬剤として)
5’:外周堤防を乗り越えて堀に浸入した防湿剤
5”:堀を通って排出口から流れ出た防湿剤
D:基板外縁から排出された防湿剤の液滴

Claims (4)

  1. スルーホールが形成されたプリント基板と、
    このスルーホールから所定距離をおいてこのプリント基板の表面に実装されており、少なくとも塗布時には液状であった薬剤が塗布された回路素子と、
    を有するプリント回路板であって、
    前記回路素子と前記スルーホールとの間の前記プリント基板の前記表面に形成されており、前記回路素子に塗布された前記薬剤が流動してこのスルーホールに達することを阻止する阻止手段を有し、
    前記阻止手段は、所定の高さすなわち厚みを持った堤防と、所定の深さおよび幅をもった溝と、前記薬剤をはじく性質を持った材料からなる所定の幅の阻止帯とのうち、少なくとも二つが組み合わされて構成されており、
    前記堤防、前記溝および前記阻止帯のうち少なくとも一つは、多重(少なくとも二重)に配設されていて、
    前記堤防および前記阻止帯のうち最外周のものには前記回路素子に背向する部分に欠損部が設けられていることと、前記溝のうち少なくとも一部には基板外縁部へと通じる排出溝が接続されていることとのうち、少なくとも一方であることを特徴とする、
    プリント回路板。
  2. スルーホールが形成されたプリント基板と、
    このスルーホールから所定距離をおいてこのプリント基板の表面に実装されており、少なくとも塗布時には液状であった薬剤が塗布された回路素子と、
    を有するプリント回路板であって、
    前記回路素子と前記スルーホールとの間の前記プリント基板の前記表面に形成されており、前記回路素子に塗布された前記薬剤が流動してこのスルーホールに達することを阻止する阻止手段を有し、
    この阻止手段は、前記スルーホールの周囲に同心円状に形成され、所定の高さすなわち厚みを持った複数重の堤防であり、
    これらの堤防のうち最外周の堤防は、前記回路素子に背向する部分に欠損部を少なくとも一つは有することを特徴とする、
    プリント回路板。
  3. プリント基板に形成されたスルーホールから所定距離をおいてこのプリント基板の表面に実装された回路素子に、液状の薬剤を塗布する薬剤塗布工程を有するプリント回路板の製造方法において、
    前記薬剤が流動して前記スルーホールに達することを阻止する阻止手段を、前記回路素子とこのスルーホールとの間の前記プリント基板の前記表面に形成する阻止手段形成工程を有することと、
    この阻止手段は、前記スルーホールの周囲に同心円状に形成され、所定の高さすなわち厚みを持った複数重の堤防であり、これらの堤防のうち最外周の堤防は、前記回路素子に背向する部分に欠損部を少なくとも一つは有することと、
    この阻止手段形成工程は、前記薬剤塗布工程に先立って行われることとを特徴とする、
    プリント回路板の製造方法。
  4. 前記阻止手段形成工程は、他の部分にペーストおよびインクのうちいずれかをスクリーン印刷で塗布する際に、いっしょに所定の幅と厚みとを持つ堤防をこのインクないしこのペーストで形成してしまう印刷工程をもち、この堤防をもって前記阻止手段とする工程である、
    請求項記載のプリント回路板の製造方法。
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