JP3943522B2 - トリフェニルアミン誘導体の製造方法 - Google Patents

トリフェニルアミン誘導体の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次の一般式(6)
【化8】
〔式中、R はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、R 10 〜R13はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示し、l及びlは0又は1を示す。Zは水素原子又は次の一般式(7a)、(7b)、(7c)
【化9】
(式中、R10〜R13、1,1は前記一般式(6)と同じ意味を示し、R’及びR’’はそれぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示し、lは0又は1を示す。)の基を示す。〕で表される、後記一般式(1)の新規なトリフェニルアミン誘導体を包含するトリフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
また本発明は、後記一般式(1)及び/又は前記一般式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造中間体として有用な次の一般式(4)
【化10】
〔式中、R,R,Rはそれぞれが同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、Yはホルミル基又は水素原子を示す。〕で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0003】
ほかに、本発明者らは、次の一般式(1)
【化11】
(式中、R,R,R,R,R,Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは0又は1を示す)で表される新規なトリフェニルアミン誘導体、該新規なトリフェニルアミン誘導体を含有する電荷輸送材料及び該電荷輸送材料を含有する電子写真感光体を提案する。
【0004】
【従来の技術】
近年、無機系の光導電性材料としては、アモルファスシリコン、アモルファスセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等が用いられているが、製造が困難であるため高価であったり、毒性があり環境保護の観点から問題の有る場合がある。
一方、有機系の光導電体としては、特に、光導電体を電荷発生材料と電荷輸送材料とに機能分離した形態が盛んに提案されている(例えば、米国特許第3791826号)。この方式においては、キャリア(キャリアとは電荷を示す、以下同様)の発生効率の大きい物質を電荷発生材料として用い、かつ電荷輸送能力の高い物質を電荷輸送材料として組み合わせることによって高感度の電子写真感光体が得られる可能性がある。
【0005】
このうち電荷輸送材料に要求されることは、電界印加下で光照射により電荷発生材料において発生したキャリアを効率良く受取り、感光体層内を速く移動させ、表面電荷を速やかに消滅させることである。キャリアが単位電界当りに移動する速さをキャリア移動度と呼ぶ。キャリア移動度が高いということはキャリアが電荷輸送層内を速く移動するということである。このキャリア移動度は電荷輸送物質固有のものであり、したがって、高いキャリア移動度を達成するためにはキャリア移動度の高い材料を使用する必要があるが、未だ十分なレベルに達しているとはいえないのが現状である。
【0006】
また、電荷輸送物質を結着剤ポリマーとともに有機溶剤に溶解させ塗布して用いる場合に、塗膜において結晶の析出やピンホールの生成のない均質な有機薄膜を形成する必要がある。これは得られた薄膜に高電界を印加するため微結晶やピンホールが生成したところで絶縁破壊が起きたり、ノイズの原因となるからである。
さらに、電荷発生物質及び電荷輸送物質の両者の特性が良くても、電荷発生物質から電荷輸送物質へのキャリアの注入、即ち、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入が効率よく行われることが重要である。この電荷の注入は電荷発生物質(又は電荷発生層)と電荷輸送物質(又は電荷輸送層)の界面の特性によるものであって各種物質間で一様ではない。以上のように電荷輸送材料には種々の条件が要求されるため、いろいろな特性を有する電荷輸送物質の開発が行われている。
【0007】
従来、電荷輸送材料としては例えば、特開昭60−174749号公報には次の式(A)
【化12】
で表されるスチリル化合物が提案されている。
【0008】
また、特開昭60−175052号公報には次の一般式(B)
【化13】
(式中、R1 は置換アルキル基を含むアルキル基又は置換アリール基を含むアリール基を表し、R2 は水素原子、置換アルキル基を含むアルキル基又は置換アリール基を含むアリール基を表し、Arは置換アリール基を含むアリール基を表す。)
で表されるスチリル化合物が提案されている。
【0009】
また、上記化合物(B)と同様な化合物が、特開昭62−120346号公報、特開平1−217357号公報、特開平4−57056号公報、特開平4−292663号公報等に提案されている。
【0010】
一方、特公平6−93124号公報には、下式(C)で表されるスチリル化合物が提案されている。
【化14】
(式中、R1,R3,R5はそれぞれ水素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環式基を表し、アリール基、アラルキル基、複素環式基は置換基を有しても良い。R2,R4,R6はそれぞれアリール基、アラルキル基、複素環式基を表し、それぞれの基は置換基を有しても良い。R1とR2、R3とR4、R5とR6は一体となって環を形成しても良い。R7,R8,R9は水素、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基を表す。)
【0011】
上記(C)と同様な化合物が特開昭63−163361号公報、特開平6−332206号公報にも提案されている。また、下式(D)で表されるヒドラゾン化合物が特開平4−292663号公報に示されている。
【化15】
(式中、R1,R2,R3,R4,R5及びR6 は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基又はアリール基を示し、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基及びアリール基はいずれも置換基を有しても良い。Ar1,Ar2,Ar3,Ar4,Ar5及びAr6は同一又は異なって水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環式基を示し、アルキル基、アリール基、アラルキル基及び複素環式基はいずれも置換基を有しても良い。l、m及びnは0又は1を示す。但し、Ar1,Ar2,Ar3,Ar4,Ar5及びAr6は水素原子であってはならない。)
電荷輸送材料は、益々その需要が拡大しており、それに伴って種々の条件に対応しうるさらに新しい材料が求められている。
【0012】
例えば、特開平4−57056号公報には、次の化合物(E)の溶解性が悪いため、感光体作製時に一部結晶が析出したことが記載されている。
【化16】
【0013】
さらに、特開平6−332206号公報には、次の化合物(F)とバインダーポリマーからなる電荷輸送層ではクラックが生じることが記載されている。
【化17】
【0014】
また、特開平2−226159号公報には、次の一般式G
【化18】
〔式中、Xは置換基を有してもよいアリール基、アリーレン基、複素環基、ジアリールアミノ基又はトリアリールアミノ基を示し、Yは次の群
【化19】
から選ばれた基、又は単結合を示し、nは0又は1、mは1、2又は3の整数を示す。R1及びR2は同一であっても異なってもよく、置換基を有してもよいアルキル基、、アリール基、アラルキル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、R3は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。〕で表される化合物が記載されているが、この化合物は2つのフェニル基がYで結合して別の環を形成している複雑な化合物である。
【0015】
前記した公知の電荷輸送材料として使用される各種のトリフェニルアミン誘導体は、例えば、非特許文献1〔「実験化学講座」第14巻、688頁(丸善発行)〕に記載されているように、対応するトリフェニルアミン基本骨格を有する化合物を、オキシ塩化燐のようなハロゲン化剤とN,N−ジメチルホルムアミドのようなホルミル化剤から調製されるヴィールスマイヤー試薬と反応させて得られるイミニウム中間体をアルカリ水溶液で加水分解するというような方法によって製造されるホルミル置換トリフェニルアミン誘導体を所定の亜燐酸エステルと反応させることによって製造することができる。
【0016】
しかし、上記方法の場合、トリフェニルアミンに1当量のヴィールスマイヤー試薬が反応したモノイミニウム塩が生成すると、このものの求核性が極端に低下するために2つめのヴィールスマイヤー試薬と反応しにくくなり、ジイミニウム塩は効率良く生成しない。従って、トリフェニルアミンのモノアルデヒド体の合成は容易に達成できるが、トリフェニルアミンのジホルミル体の合成は困難であり、多量のヴィールスマイヤー試薬を存在させたり、反応時間を長くしても収率が非常に低い。例えば、特許文献1(特開平7−173112号公報)には、4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンの収率は39.5%であり、4−メチル−4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンの収率はわずか11.8%であることが示されている。
【0017】
Bouananeらはトリフェニルアミンを通常のヴィールスマイヤー反応させることにより、4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンを75%の収率で得たと報告しているが〔非特許文献2(C. R. Hebd. Seances Acad. Sci., Ser. C, Vol.279, No.5, p187-190)〕、本発明者の追試ではこのように高い収率で4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンを得ることはできなかった。また、さらに3つ目のヴィールスマイヤー試薬と反応したトリイミニウム塩の生成に非常に不利であり、トリフェニルアミンのトリホルミル体の合成は非常に困難である。
このように、これまで収率良く4,4’−ジホルミルトリフェニルアミン誘導体と4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン誘導体を合成する方法は知られていない。
【0018】
【特許文献1】
特開平7−173112号公報
【非特許文献1】
「実験化学講座」第14巻、688頁(丸善発行)
【非特許文献2】
C. R. Hebd. Seances Acad. Sci., Ser. C, Vol.279, No.5, p187-190、
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電荷輸送材料において、製膜化したときに安定で、高いキャリア移動度が発現でき、しかも電子写真感光体を形成したときの諸特性においても優れている新しい素材と、上記特性を備えた新しい素材を電荷輸送材料として含有する電子写真感光体を提供することができる電荷輸送材料の効率的な製造方法を提供することを目的とするものであり、さらに本発明は、上記新規な電荷輸送材料を製造するために有用な中間体物質の改善された製造方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
このような現状において、本発明者らは様々な化合物について鋭意研究を行った結果、トリフェニルアミンの1つのフェニル基にジフェニルブタジエニル骨格の置換基を有し、他の二つのフェニル基にジフェニルブタジエニル骨格の置換基又はジフェニルビニル骨格の置換基を有する次の一般式(1)
【化20】
(式中、R,R,R,R,R,Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは0又は1を示す)
で表される新規なトリフェニルアミン誘導体が、前記の諸特性において優れている新しい素材であることを見出した。
【0021】
即ち、本発明者らは、一般式(1)のトリフェニルアミン誘導体が、結着剤ポリマーへの溶解性が良く、結晶の析出やピンホールの生成が起こらず、高いキャリア移動度を発現出来、また、これを使用した感光体は高感度にして残留電位が低いことを見出し、それらの効率的な製造方法を見出した。
【0022】
本発明は、次の一般式(3)
【化21】
(式中、R,R,Rは互いに同一又は異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、ルイス酸及びプロトン酸からなる群から選ばれた酸の存在下に、ハロゲン化試剤とN−置換ホルムアミドから調製されるヴィールスマイヤー試薬と反応させ、次いでアルカリ性水溶液で加水分解することによって次の一般式(4)
【化22】
(式中、R,R及びRは前記一般式(3)と同じ意味を示し、Yはホルミル基又は水素原子を示す。)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体を得、次いで、該一般式(4)の多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体を次の一般式(5a)、(5b)又は(5c)
【化23】
(式中、R10,R11,R12,R13、R,R’及びR’’は、それぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。l,l及びlは0又は1を示し、それぞれが0のときにはAは水素原子を示し、1のときにはA,Bはともに結合して単結合を形成する。)で表される亜燐酸エステル化合物と反応させることを特徴とする、次の一般式(6)
【化24】
〔式中、R〜R13,l 及びl 前記一般式(3)、(5a)、(5b)と同じ意味を示し、Zは水素原子、又は、次の一般式(7a)、(7b)、(7c)
【化25】
(式中、R10〜R13,R’,R’’,l,l及びlは前記一般式(5a)、(5b)、(5c)及び(6)と同じ意味を示す。)で表される基を示す。〕で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法に関するものである。
【0023】
また本発明は、前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体は、その置換基Yが水素原子であるジホルミル置換トリフェニルアミン誘導体と、置換基Yがホルミル基であるトリホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の混合物であり、前記一般式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、その置換基Zが水素原子であるトリフェニルアミン誘導体と、置換基Zが前記一般式(7)で表される基であるトリフェニルアミン誘導体の混合物であることを特徴とする上記一般式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0024】
また本発明は、次の一般式(3)
【化26】
(式中R,R,Rは互いに同一又は異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、ルイス酸及びプロトン酸からなる群から選ばれた酸の存在下に、ハロゲン化試剤とN−置換ホルムアミドから調製されるヴィールスマイヤー試薬と反応させ、反応生成物を次いでアルカリ性水溶液で加水分解することを特徴とする次の一般式(4)
【化27】
(式中、R,R,Rは前記一般式(3)と同じ意味を示し、Yはホルミル基又は水素原子を示す。)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0025】
また本発明は、前記一般式(3)のトリフェニルアミン誘導体をヴィールスマイヤー試薬と反応させる際に使用されるルイス酸が、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三弗化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン及び塩化スズから選ばれるものであり、プロトン酸が塩化水素及び臭化水素から選ばれたものであることを特徴とする前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法に関するものである。
【0026】
また本発明は、前記ヴィールスマイヤー試薬がオキシ塩化リン、ホスゲン及び塩化チオニルから選ばれる少なくとも1種のハロゲン化試剤と、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルホルムアミドから選ばれる少なくとも1種のN−置換ホルムアミドとから調製されていることを特徴とする、前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法に関するものである。
【0027】
また本発明は、前記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン誘導体とヴィールスマイヤー試薬との反応が、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種の反応溶媒を使用して行われることを特徴とする前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【0028】
また本発明者らは、次の一般式(1)
【化28】
(式中R,R,R,R,R,Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは0又は1を示す)
で表される新規なトリフェニルアミン誘導体に関する発明を提案する。
【0029】
また本発明は、前記一般式(1)の新規なトリフェニルアミン誘導体と、次の一般式(2)
【化29】
(式中、R,R,R はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、10,R11,R12,R13はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは0又は1を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体との混合物を含有することを特徴とする電荷輸送材料に関する発明を提案する。
【0030】
【発明の実施の形態】
前記一般式(1)の化合物における置換基R,R,R,R,R,Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示すが、低級アルキル基としては、炭素数1〜4個のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられるが、特にメチル基あるいはエチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0031】
また、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、そして、p−トリル基、2,4−ジメチルフェニル基等の低級アルキル基置換のフェニル基、p−メトキシフェニル基等の低級アルコキシ基置換のフェニル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン原子置換のフェニル基等が挙げられる。
一般式(1)の化合物の好ましい具体例としては以下の表1、表2及び表3に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
表中の略記号は、以下の意味を示す。
4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
本明細書における以降に記載の各化合物で用いられている略記号についても上記と同様な意味を示す。
【0036】
一般式(1)においてm=n=1、(R1,R2)=(R3,R4)=(R5,R6)で表される化合物、即ち、R1,R2とR3,R4とR5,R6が同一であるトリフェニルアミン誘導体(1a)は反応式1に従って合成することができる。
【化30】
(式中、R1,R2 及びRは前記と同じ意味を示す。)
尚、Rはメチル基又はエチル基が特に望ましい。
【0037】
即ち、4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)と、その3倍モル量以上の3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジアルキルエステル(5)とを塩基の存在下で室温から80℃程度の温度で反応させ容易に製造できる。塩基としては水酸化ナトリウム、ナトリウムアミド及びナトリウムメトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシドが使われる。溶媒としては、メタノール、エタノールの低級アルコール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒又はそれらの混合物を用いることができる。
【0038】
前記一般式(1)で表される新規なトリフェニルアミン誘導体の製造に使用され(前記反応式1)、また化合物(2)の製造中間体ともなる前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体は、前述したように、前記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、ルイス酸及びプロトン酸からなる群から選ばれた酸の存在下に、ヴィールスマイヤー試薬と反応させた後、アルカリ性水溶液で加水分解して製造される。例えば次の合成スキーム(ヴィールスマイヤー試薬としてN,N−ジメチルホルムアミドとオキシ塩化燐より調製したものを用いる。)を例にとって説明する。
【0039】
【化31】
【0040】
上記反応式にみられるように、トリフェニルアミン化合物(イ)をヴィールスマイヤー反応させる場合に、無触媒で反応を行うとモノイミニウム塩(ロ)で反応はほとんど停止し、従ってその加水分解物は大部分がモノホルミル置換体(ハ)である。しかし、触媒としてルイス酸又はプロトン酸が存在すると、ジイミニウム塩(ニ)を生成する反応が進行するし、さらにヴィールスマイヤー試薬の量を多くし、反応時間を延長するとトリイミニウム塩(ホ)へと導くことができ、その結果、加水分解生成物としてジ−ホルミル置換体(ヘ)及び/又はトリ−ホルミル置換体(ト)を各単独又は混合物として得ることができる。
ここで得られるジ−ホルミル置換体(ヘ)は、本発明の電荷輸送材料において前記一般式(2)に包含される化合物の製造中間体として有用であるし、同様に得られるトリ−ホルミル置換体(ト)は前記一般式(1)に包含される化合物の製造中間体である。
それ故、上記反応に従って得られるトリホルミル置換体(ト)及び該トリホルミル置換体(ト)とジホルミル置換体(ヘ)の混合物は、いずれも本発明の電荷輸送材料に含有させる化合物の製造中間体として有用である。
【0041】
上記多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体(へ)、(ト)の製造原料として用いられるトリフェニルアミン誘導体(イ)の置換基R、R、Rとしては、水素原子、炭素数1から4の分岐もしくは直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基などの低級アルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン元素、などが挙げられる。置換の位置としてはR、Rはアミノ基のメタ位であり、Rに関してはアミノ基に対してオルト位、メタ位、パラ位いずれでもよいが、化合物(ホ)、(ト)を得るためにはアミノ基に対してメタ位であることが好ましい。
【0042】
ホルミル化剤となるべきN−置換ホルムアミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミドなどが挙げられるが、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリドである。
また、これらのN置換ホルムアミドと反応してヴィールスマイヤー試薬を形成するハロゲン化試剤としては、オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素錯体、ヘキサクロロトリホスファザトリエンなどが挙げられるが、好ましくは、オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化チオニルである。
用いる溶媒としては反応に不活性なものであれば良く、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられ、これらの混合溶媒でも差しつかえない。
【0043】
反応は、溶媒中にN置換ホルムアミドを2から8当量秤取り、2から8当量のハロゲン化試剤を滴下して、ヴィールスマイヤー試薬を調製した後、1当量のトリフェニルアミン誘導体を加え、さらに1当量以上のルイス酸もしくはプロトン酸を加えて行うことが出来る。ジホルミル置換体を合成する場合は、N置換ホルムアミドとハロゲン化試薬はトリフェニルアミンに対して2から4倍程度が好ましい。トリホルミル置換体を合成する場合は、N置換ホルムアミドとハロゲン化試薬はトリフェニルアミンに対して5から7倍程度が好ましい。触媒の量はトリフェニルアミンに対して1から2倍程度で十分であり、これより少ないと反応の進行が不十分であり、多いと経済的に不利である。また、触媒、トリフェニルアミン誘導体、N置換ホルムアミドを溶媒中にあらかじめ仕込み、その中へハロゲン化試剤を加えても良い。反応は室温から150℃で行うことが出来るが、好ましくは50〜90℃である。
【0044】
ジホルミル置換体を合成する場合は、この温度で反応を20時間から30時間行い、トリフェニルアミンのジイミニウム塩を得ることが出来る。また、さらにトリホルミル置換体を合成する場合は、さらに反応を行って合計で40時間から60時間反応を行い、トリフェニルアミンのトリイミニウム塩を得ることが出来る。これらのイミニウム塩を炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液で加水分解することにより4,4’−ジホルミルトリフェニルアミン誘導体、又は4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン誘導体へそれぞれ導くことが出来る。
本発明の製造法により4,4’−ジホルミルトリフェニルアミン誘導体と4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン誘導体の合成を良好な収率で行うことが可能となり、またこれらの試薬は比較的安価であるために工業的にも製造が可能となった。
【0045】
前記反応式1で使用される3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジアルキルエステル(5)は次の反応式3に従って得ることができる。
【化32】
【0046】
即ち、ベンゾフェノン誘導体(8)に(i)メチルマグネシウムクロリド(MeMgCl)を反応させ、(ii)次いで、得られたアルコール体を酸の存在下脱水させて、1,1−ジアリールエチレン(9)を得る。酸としてはPTSA(p−トルエンスルホン酸)等の脱水反応で通常用いるものを使用することができる。
【0047】
ここで、1,1−ジアリールエチレン(9)は反応式4のようにしても得ることができる。即ち、アセトフェノン誘導体(10)を出発化合物として、メチルマグネシウムクロリドの代わりに置換フェニルマグネシウムブロミドを用いる以外は、上記(i)(ii)と同様な反応を行うことにより得ることができる。
【化33】
【0048】
次いで、特開昭49−75564号公報に記載の方法に従って、1,1−ジアリールエチレン(9)を酢酸中で、パラホルムアルデヒド(CH2O)n及び塩化水素と反応させて3,3−ジアリールアリルクロリド(11)を得る。さらにこの3,3−ジアリールアリルクロリド(11)とトリアルキルホスファイトP(OR)3を反応させて3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジエチルエステル(5)を得ることが出来る。
ここで、トリアルキルホスファイトとしては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト等を用いることができる。
【0049】
一方、一般式(1)においてm=n=1、(R1,R2)=(R5,R6)≠(R3,R4)で表される化合物、即ち、R1,R2 とR5,R6が同一であり、R3,R4とは異なるトリフェニルアミン誘導体(1b)は反応式5に従って合成することができる。
【化34】
【0050】
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)と二倍モル量の3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジアルキルエステル(5)を塩基の存在下で反応させ、4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジアリール−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12)を合成し、先の(5)とは別の3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジアルキルエステル(5’)を反応させることにより、目的とする本発明化合物(1b)を合成することができる。
一方、一般式(1)において、m=1、n=0、(R1,R2)=(R5,R6)≠(R3,R4)で表されるトリフェニルアミン誘導体(1c)は反応式6に従って合成することができる。
【0051】
【化35】
【0052】
即ち、先の反応式(5)で示した4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジアリール−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12)と、当量のジアリールメチル亜燐酸ジアルキルエステル(5″)を反応させて目的とする化合物(1c)を合成することが可能である。
尚、ジアリールメチル亜燐酸ジアルキルエステル(5’’)は相当するジアリールメチルクロリド、又はブロミドとトリアルキルホスファイトを直接、あるいはトルエン、キシレン等の溶剤中で加熱して得られる。
【0053】
一方、一般式(1)において、m=n=0、(R1,R2)=(R3,R4)≠(R5,R6)で表されるトリフェニルアミン誘導体(1d)は反応式7に従って合成することができる。
【化36】
【0054】
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)と二倍モル量のジアリールメチル亜燐酸ジアルキルエステル(5’’)を塩基存在下で反応させ、4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジアリールビニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(13)を合成し、このものと3,3−ジアリールアリル亜燐酸ジアルキルエステル(5)を反応させることにより、目的とする本発明化合物(1d)を合成することができる。
【0055】
電荷輸送材料として前記般式(1)で表される新規なトリフェニルアミン誘導体との混合物として使用することのできる次の一般式(2)
【化37】
(式中、 〜R はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、R 10 〜R13はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは0又は1を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体の好ましい具体例としては以下の表4〜表6に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
一般に、前記一般式(2)における置換基R〜R13において、低級アルキル基としては、炭素数1〜4個のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基等が挙げられるが、特にメチル基あるいはエチル基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基2,4−ジメチルフェニル基等の低級アルキル基置換のフェニル基、p−メトキシフェニル基等の低級アルコキシ置換のフェニル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン原子置換のフェニル基等が挙げられる。
【0057】
一般式(2)のトリフェニルアミン誘導体は、前記一般式(1)のトリフェニルアミン誘導体の製造方法として記載されている前記反応式1〜反応式7と同様の反応方法を採用して製造することができる。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
電荷輸送材料に使用することのできる前記一般式(1)で表される新規なトリフェニルアミン誘導体と一般式(2)で表されるトリフェニルアミン誘導体の混合物の調製方法に特に制限はない。前記反応式1〜7に示された反応方法等に従って別々に製造されている一般式(1)及び一般式(2)の2種のトリフェニルアミン誘導体を混合して調製することができる。
また、例えば、一般式(1)の新規なトリフェニルアミン誘導体の製造過程において生成する前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体中間体が、該一般式(4)の置換基Yが水素原子であるジホルミル置換トリフェニルアミン誘導体と、該置換基Yがホルミル基であるトリホルミル置換トリフェニルアミン誘導体との混合物として得られる場合には、該中間体混合物をそのまま前記一般式(5)で表される亜燐酸エステル化合物と反応させることによって、前記一般式(1)と一般式(2)でそれぞれ表される2種類のトリフェニルアミン誘導体の混合物を調製することができる。外に同様に前記2種類のトリフェニルアミン誘導体の混合物を調製できる他の製造方法に従って調製してもよい。
【0062】
例えば、電荷輸送材料とするために一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物を混合する場合、以下の表7〜表10に示されるような組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
上述の一般式(1)の新規なトリフェニルアミン誘導体を電荷輸送材料として用いれば高いキャリア移動度が得られる。
また、一般式(1)の新規なトリフェニルアミン誘導体は有機エレクトロルミネッセンス(EL)等幅広い分野で用いることができる。
一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体又は該新規なトリフェニルアミン誘導体と前記一般式(2)で表されるトリフェニルアミン誘導体の混合物を含有する電荷輸送材料を電子写真感光体の感光層に使用すれば高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0068】
電子写真感光体は具体的には、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸 送層に機能分離した電子写真感光体の、電荷輸送材料として化合物(1)を電荷輸送層に用いる。また、電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生剤及び電荷輸送剤として一般式(1)の化合物を含有する単層を設けたものでもよい。
【0069】
一般式(1)の化合物を電荷輸送材料として用いた電荷輸送層は、一般式(1)の化合物又は該一般式(1)の化合物と前記一般式(2)の化合物の混合物のみをそのまま導電性支持体又は電荷発生層に蒸着させるか、前記一般式(1)の化合物又は該一般式(1)と一般式(2)の化合物の混合物と結着剤とを適当な溶剤に溶解させた溶液を導電性支持体又は電荷発生層に塗布し、乾燥させることにより形成される。一方、電荷発生剤及び一般式(1)の化合物を含有する単層は、電荷発生剤及び一般式(1)の化合物等を結着剤とともに適当な溶剤に溶解又は分散させた溶液を導電性支持体に塗布し、乾燥させることにより形成される。
【0070】
ここに結着剤としては、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレンあるいはこれらの共重合体を挙げることができる。また、このような絶縁性ポリマーの他にポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンやポリビニレン等の有機光導電性ポリマーも使用できる。
【0071】
これらの結着剤のなかでポリカーボネートを用いるのが特に好適である。好適に使用できるポリカーボネートとしては、下記構造式で示されるビスフェノールA型のポリカーボネート(例えば、三菱ガス化学株式会社製のユーピロンEシリーズ)、及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(例えば、三菱ガス化学株式会社製のポリカーボネートZシリーズ)、又は、特開平4−179961号公報に開示されているビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビフェノールカーボネートを構造単位として含有する共重合ポリカーボネートがある。
【0072】
【化38】
【0073】
ビフェノール共重合ポリカーボネートの具体的な例として、例えば、下記構造で表されるビスフェノールA/ビフェニル型ポリカーボネート樹脂(ここでn/n+m=0.1〜0.9が好ましい。)、具体的には0.85のものが挙げられる。
【0074】
【化39】
【0075】
(式H〜L中、R14及びR15はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R14及びR15は環状に結合していてもよい。R16,R17,R18,R19,R20,R21,R22,R23,R24,R25,R26,R27,R28,R29,R30及びR31はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を表し、n及びmは上記の各繰り返し単位のモル数を示している。)
【0076】
また、上述したポリカーボネートの他にも特開平6−214412号公報に開示されている、繰り返し単位が下記構造式で表されるポリカーボネートを使用することができる。
【化40】
【0077】
さらに、特開平6−222581号公報に開示されている繰り返し単位が下記構造で表されるポリカーボネートも使用することができる。
【化41】
(式中、R32,R33,R34は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアリールアルキル基を示す。)
具体的には次の表で示されるものが挙げられる。
【0078】
【表11】
【0079】
これらの結着剤と化合物(1)との配合割合は、結着剤100重量部当り電荷輸送物質を10〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、さらに好ましくは40〜200重量部添加することができる。
【0080】
用いる溶剤としては、特に限定されないが有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエ−テル類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を単独で、又はこれらの混合物の形で用いることができる。
【0081】
感光体に用いられる導電性支持体としては、銅、アルミニウム、銀、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属や合金の箔ないしは板をシート状またはドラム状にしたものが使用され、あるいはこれらの金属をプラスチックのフィルムや円筒等に真空蒸着、電解メッキしたもの、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化スズ等の導電性化合物の層をガラス、紙あるいはプラスチックフィルム等の支持体上に塗布もしくは蒸着によって設けられたものが用いられる。
【0082】
塗布は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法等のコーティング法を用いて行うことができる。
乾燥は、室温における乾燥の後、加熱乾燥する方法が好ましい。加熱乾燥は30〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で無風または送風下で行うことが好ましい。
【0083】
さらに、電荷輸送層には必要に応じて他の電荷輸送材料及び種々の添加剤を含有させて用いることができる。他の電荷輸送材料としては、例えば特公昭55−42380号公報、特開昭60−340999号公報、特開昭61−23154号公報等に記載されている下記一般式(I)で示されるヒドラゾン化合物、特公昭58−32372号公報等に記載されている下記一般式(II)で示されるトリフェニルアミンダイマー、米国特許第3873312号等下記一般式(III)で示されるジスチリル系化合物、その他テトラフェニルブタジエン系化合物、α−フェニルスチルベン、ポリビニルカルバゾール、トリフェニルメタン等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0084】
【化42】
(式中、R1,R2は同一又は異なってもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキルを示し、R3,R4は同一又は異なってもよく、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロ環基を示し、R3とR4がそれぞれ結合して環を形成してもよい。R5は水素原子、低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。R5とR1又はR2 がそれぞれ結合して環を形成してもよい。)
【0085】
【化43】
(式中、R1〜R12は同一又は異なってもよく水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子で置換された低級アルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、又はハロゲン原子を示す。)
【0086】
【化44】
(式中、R1〜R4は同一又は異なってもよく低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基を示し、Ar1,Ar3は同一又は異なってもよく、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子の中から一つ以上選ばれる基を置換してもよいフェニル基を示す。Ar2はAr1,Ar3と同様の置換基を有してもよい炭素数4〜14から成る単環あるいは多環式芳香環、又はAr1,Ar3と同様の置換基を有していてもよいヘテロ環を示す。)
【0087】
種々の添加剤としては、例えば、ビフェニル系化合物(例えば特開平6−332206号公報に開示されたもの)、m−ターフェニル、ジブチルフタレート等の可塑剤、シリコーンオイル、グラフト型シリコーンポリマー、各種フルオロカーボン類等の表面潤滑剤、ジシアノビニル化合物、カルバゾール誘導体等の電位安定剤、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のモノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等のアミン系酸化防止剤、サリチル酸系酸化防止剤、トコフェロール等を挙げることができる。
【0088】
得られる電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、好ましくは10〜30μmである。
上述のようにして得られる電荷輸送層は、電荷発生層と電気的に接続されることにより、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キャリアを受け取ると共に、これらの電荷キャリアを感光層の表面まで輸送する機能を有することができる。この際、この電荷輸送層は電荷発生層の上に積層されていても良く、またその下に積層されていても良いが、電荷発生層の上に積層されていることが望ましい。
この様に作製した感光層上に、必要に応じて保護層を塗布・形成することができる。また、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることもできる。下引き層を形成する材料としては、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、ガゼイン、エチレン−アクリル酸共重合体、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。下引き層の膜厚は0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3μmが適当である。
【0089】
電荷発生層としては、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン等の無機の電荷発生材料、ピリリウム塩系染料、チアピリリウム塩系染料、アズレニウム塩系染料、チアシアニン系染料、キノシアニン系染料等のカチオン染料、スクアリウム塩系顔料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ顔料、ピロロピロール系顔料等の有機電荷発生物質から選ばれた材料を単独ないしは組み合わせて用い、蒸着層あるいは塗布層として用いることができる。上述のような有機電荷発生物質のなかでも特に好ましくは、Chem. Rev. 1993,93, p.449-486 に記載された有機電荷発生物質が挙げられる。具体的にはフタロシアニン顔料が好ましい。
【0090】
ここで特にフタロシアニン系顔料としては、アルコキシチタニウムフタロシアニン(Ti(OR)2Pc)、オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、無金属フタロシアニン(H2Pc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)、バナジルフタロシアニン(VOPc)、クロロインジウムフタロシアニン(ClInPc)が挙げられる。さらに詳しくは、TiOPcとしては、α型−TiOPc、β型−TiOPc、γ型−TiOPc、m型−TiOPc、Y型−TiOPc、A型−TiOPc、B型−TiOPc、TiOPcアモルファスが挙げられ、H2 Pcとしては、α型−H2Pc、β型−H2 Pc、τ型−H2Pc、x型−H2Pcが挙げられる。
【0091】
アゾ顔料もまた好ましい。アゾ顔料としてはモノアゾ化合物、ビスアゾ化合物及びトリスアゾ化合物が挙げられるが、具体的には、次の構造式で示されるアゾ化合物が好ましい。
【化45】
【0092】
さらに、次の構造式で示されるペリレン系化合物又は多環キノン系化合物も好ましい。
【化46】
これらのもの以外でも、光を吸収し高い効率で電荷を発生する材料であれば、いずれの材料でも使用することができる。
【0093】
以上のようにしてトリフェニルアミン誘導体(1)を電荷輸送層に含有する電子写真感光体を得ることができる。
上述の様に、トリフェニルアミン誘導体(1)、即ち表1〜3に挙げられる様な化合物は、製膜化したときに安定で、高いキャリア移動度が発現でき、しかも電子写真感光体を形成したときの諸特性においても優れた素材である。
【0094】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中において用いる測定機器及び測定条件を以下に示す。
【0095】
実施例1
4,4’,4’’−トリス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)トリフェニルアミン(例示化合物1、m=n=1、R1=R2=R3=R4=R5=R6=H)の合成
【0096】
(1)1,1−ジフェニルエチレン(9a)の合成
2リットル反応フラスコに窒素気流中マグネシウム31.6g(1.3モル)と乾燥THF50mlを仕込み、ヨード、臭化エチルを微量加え、反応開始を確認後、攪拌しながら乾燥THF600mlを加え、塩化メチルガスを吹き込んだ。30〜40℃を保つように吹き込み量と冷却をコントロールした。2時間で発熱が収まりマグネシウムが消失した。塩化メチルガスの吹き込みを止め、同温度で1時間攪拌しグリニア調製を終了した。
次にベンゾフェノン(8a、R1=R2=H)182.22g(1.1モル)と乾燥THF364mlの混合液を35〜40℃、30分間で滴下し、更に同温度で15時間攪拌し、反応を終了した。氷冷下、冷却10%塩化アンモン水溶液1400g中へ注加し、30分間攪拌し、静置、分液後、食塩水洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、粗カルビノール200.23g(ベンゾフェノンより理論収率98.6%)を得た。
【0097】
1リットル反応フラスコに粗カルビノール200.23g、トルエン400ml、パラトルエンスルホン酸(PTSA)1gを仕込み、トルエン還流下(94〜116℃)、2時間共沸脱水した。冷却後水洗、2%ソーダ灰水洗浄、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、粗1,1−ジフェニルエチレン(9a、R1=R2=H)190.09gを得た。粗1,1−ジフェニルエチレン(9a)をビグロー付きクライゼンで蒸留し、1,1−ジフェニルエチレン(9a)174.06gを得た。b.p.103℃/1mmHg
ベンゾフェノンより96.5%の収率である。
【0098】
(2)3,3−ジフェニルアリルクロリド(11a、R1=R2=H)の合成
300ml反応フラスコに1,1−ジフェニルエチレン(9a)54.13g(0.3モル)、酢酸108.26g、パラホルムアルデヒド13.51g(0.45モル)を仕込み、攪拌しながら30℃、3.5時間で塩化水素13.67g(0.375モル)を吹き込んだ。弱く発熱するので冷却し反応温度を30℃に保った。塩化水素の吹き込みを止め、同温度で2時間攪拌した後一夜静置した。反応液を水200ml中へ注加し、トルエン200mlで抽出し、水洗、2%ソーダ灰洗浄、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して粗クロリド68.42gを得た。ビグロー付きクライゼンで蒸留し、57.51gを得た。
【0099】
b.p.120〜132℃/1mmHg
収率;8aより79%
このもののスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);228(M+),193,178,115
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);4.11(2H,d,J=8.0Hz),6.23(1H,t,J=8.0Hz),7.21−7.41(10H,m)
【0100】
(3)3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル(5a、R1=R2=H、R=Et)の合成
3,3−ジフェニルアリルクロリド(11a)40.75g(0.155モル)、トリエチルホスファイト94.48g(0.569モル)を24時間還流攪拌した。3,3−ジフェニルアリルクロリド(11a)の消失を確認し、反応終了とした。冷却後、ビグロー付きクライゼンで蒸留し、55.39gを得た。
【0101】
b.p.170〜203℃/1mmHg
理論収率99%
このもののスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);330(M+),193,115
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);1.31(6H,t,J=7.0Hz),2.71(2H,dd,J=7.9Hz,J=22.4Hz),4.08(6H,dt,J=7.1Hz,J=7.6Hz),6.12(1H,q,J=7.9Hz,J=7.6Hz),7.22−7.38(10H,m)
【0102】
(4)4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)の合成
2リットルの反応フラスコに窒素気流中トリフェニルアミン150g(0.61mol)とN,N−ジメチルホルムアミド268g(3.67mol)及びトルエン溶液500gを仕込み、三塩化ホスホリル562.5g(3.67mol)を滴下した。滴下終了2時間後、塩化亜鉛166.7g(1.22mol)を加えた。80℃で2日攪拌を行った。放冷後、水500gを冷却しながら滴下した。さらにトルエン100gを加え、炭酸ナトリウム1314.59gを徐々にアルカリ性になるまで加えた。60℃で3時間加熱した後、トルエンで抽出した。水洗、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して、固形物185.6gを得た。イソプロパノール/トルエン(4/1wt)混合溶媒で再結晶を行ったところジホルミル体とトリホルミル体の混合物164.6gを得た(ジホルミル体:トリホルミル体=85.6:14.4モル比)。粗生成物165.10g中134.95gをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;トルエン/酢エチ=8.3)で精製分離後、再結晶(溶媒イソプロパノール/トルエン=1.5/1wt)を行ったところ、4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)が15.09g、収率7.5%で得られた。
【0103】
m.p.247〜248℃
マススペクトル(m/e);329(M+ ),301,271,243,167,141,115,77,41
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);7.25(d,J=8.6Hz,6H),7.85(d,J=8.7Hz,6H),9.95(s,3H)
【0104】
(5)4,4’,4’’−トリス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)トリフェニルアミンの合成
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)0.4g(1.2ミリモル)、3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル(5)(R1=R2=H、R=エチル)1.80g(5.4ミリモル)を12mlのDMF中に溶かし、カリウム−tert−ブトキシド0.73g(6.5ミリモル)を室温で徐々に加えた。その後、50℃で一日攪拌し、混合物を120mlのメタノール中に注いだ。析出物をろ取し、ベンゼン100mlに溶解し、水洗を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ベンゼン)にて精製すると1.0gの結晶が得られた。このものをトルエンから再結晶すると0.47gの4,4’,4’’−トリス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)トリフェニルアミンが得られた。
【0105】
収率 45.3%
m.p.189〜190℃
マススペクトル(m/e);857(M+),666,369,313,289,265,239,202
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3 );6.76(d,J=15.1Hz,3H),6.78(dd,J=15.0Hz,J=10.7Hz,3H),6.87(d,J=10.7Hz,3H),6.93(d,J=8.6Hz,6H),7.15(d,J=8.7Hz,6H),7.20−7.42(m,30H)
【0106】
実施例2
4,4’,4’’−トリス〔4’’’,4’’’−ジ(p−トリル)−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミン(例示化合物2、m=n=1、R1=R2=R3=R4=R5=R6=4−Me)の合成
【0107】
(1)1,1−ジ(p−トリル)エチレン(9b、R1=R2=4−Me)の合成窒素気流化、1リットル反応フラスコに15.6g(0.65モル)のマグネシウム、20mlのTHFを入れ、少量のヨウ化エチルとヨードで反応を開始し、p−ブロモトルエン111.15g(0.65モル)のTHF500ml溶液を2時間、室温〜40℃で滴下し、グリニア試薬を調製した。これにp−メチルアセトフェノン(10a)83.75g(0.625モル)のTHF200mlの溶液を同温度で、3時間で滴下した。3時間室温で攪拌し、後4時間還流攪拌した。冷却し、5%硫酸水1リットルに注入し、加水分解した。トルエン抽出し、ソーダ灰水洗、水洗、濃縮した。これにトルエン300ml、PTSA0.5gを加え、4時間還流攪拌して供沸脱水した。ソーダ灰水洗、水洗、濃縮した。粗1,1−ジ(p−トリル)エチレン(9b)をビグロー付きクライゼンで蒸留し98.5gを得た。
b.p.120〜121℃/1mmHg
p−メチルアセトフェノンより75.8%の理論収率である。
【0108】
(2)3,3−ジ(p−トリル)アリルクロリド(11b、R1=R2=4−Me)の合成
実施例1の(2)における3,3−ジフェニルアリルクロリド(11a)の合成と同様にして1,1−ジ(p−トリル)エチレン(9b)70.5g(0.337モル)、パラホルムアルデヒド15.1(0.505モル)から3,3−ジ(p−トリル)アリルクロリド(11b)58.7g(b.p.153〜173℃/1mmHg、理論収率67.9%)を得た。これをヘキサンから再結晶して49.0gを得た。
【0109】
m.p.66℃
理論収率56.7%
3,3−ジ−p−トリルアリルクロリド(11b)のスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);256(M+),221,206,165,129
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);2.33(3H,s),2.39(3H,s),4.13(2H,d,J=8.1Hz),6.17(1H,t,J=8.1Hz),7.01−7.24(8H,m)
【0110】
(3)3,3−ジ(p−トリル)アリル亜燐酸ジエチルエステル(5b、R1=R2=4−Me、R=Et)の合成
実施例1(3)3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル((5)R1=R2=H、R=Et)の合成と同様にして3,3−ジ(p−トリル)アリルクロリド(8b)35.0g(0.1365モル)とトリエチルホスファイト68g(0.409モル)とから反応させ、蒸留残渣として49.3gを得た。これをヘキサンから再結晶して29.9gの3,3−ジ(p−トリル)アリル亜燐酸ジエチルエステル(5b、R1=R2=4−Me、R=Et)を得た。
【0111】
理論収率61.16%
m.p.56.0℃
このもののスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);358(M+),314,221,129
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);1.30(6H,t,J=7.1Hz),2.32(3H,s),2.39(3H,s),2.71(2H,dd,J=7.9Hz,J=22.4Hz),4.07(4H,q,J=7.1Hz,J=8.1Hz),6.05(1H,dd,J=7.9Hz,J=15.2Hz),7.06−7.19(8H,m)
【0112】
(4)4,4’,4 ’’−トリス〔4’’’,4’’’−ジ(p−トリル)−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミンの合成
4,4’,4 ’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)0.4g(1.2ミリモル)、3,3−ジ(p−トリル)アリル亜燐酸ジエチルエステル(5b、R1=R2=4−Me、R=Et)1.96g(5.5ミリモル)、DMF12ml、カリウム−tert−ブトキシド1.22g(10.9ミリモル)を実施例1の(5)と同様に反応させ、後処理を行ったところ、0.69gの4,4’,4 ’’−トリス〔4’’’,4’’’−ジ(p−トリル)−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミンが得られた。
【0113】
収率60.3%
m.p.155〜156℃
マススペクトル(m/e);942,722,632,307,279,229,202
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);2.35(s,9H),2.40(s,9H),6.59−6.67(m,3H),6.76−6.83(m,6H),6.93(d,J=8.6Hz,6H),7.09(d,J=8.3Hz,6H),7.12−7.30(m,24H)
このほかにマイナーピークとして6.20−6.38(m)が観測された。
【0114】
実施例3
4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕−4’’−〔4’’’’,4’’’’−ジ(p−トリル)−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミン(例示化合物5、m=n=1、R1=R2=R5=R6=H、R3=R4=4−Me)の合成
【0115】
(1) 4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12a)の合成
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)2.0g(6.1ミリモル)、3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル(5b、R1=R2=H、R=Et)4.0g(12.1ミリモル)を15mlのDMFに溶かし、1.5g(13.4ミリモル)のカリウム−tert−ブトキシドを徐々に加えた。室温で1晩攪拌した後、水100ml中に注いだ。混合物をトルエンで2回抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ベンゼン)で精製すると、1.24gの油状物が得られた。このものをアセトニトリルと酢酸エチルからなる混合溶媒で結晶化させることにより、1.03gの4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12a)が得られた。
【0116】
収率24.9%
m.p.179〜181℃
このもののスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);681(M+),505,203
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);6.69(d,J=14.1Hz,2H),6.85(dd,J=27.1Hz,J=10.9Hz,2H),6.87(d,J=3.1Hz,2H),6.99−7.06(m,6H),7.21−7.44(m,24H),7.66(d,J=8.8Hz,2H),9.82(s,l)
【0117】
(2)4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−〔4’’’,4’’’−ジ(p−トリル)−1’’’,3’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミンの合成
4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12a)1.4g(2.1ミリモル)、3,3−ジ(p−トリル)アリル亜燐酸ジエチルエステル((5)R1=R2=4−Me、R=Et)885mg(2.5ミリモル)を10mlのDMFに溶かし、カリウム−tert−ブトキシド280mg(2.5ミリモル)を徐々に加え、1晩反応させた。実施例1の(5)と同様の後処理を行い、1.11gの4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−〔4’’’’,4’’’’−ジ(p−トリル)−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル〕トリフェニルアミンを得た。
【0118】
収率61.1%
m.p.133〜135℃
このもののスペクトルデータは次のとおりである。
マススペクトル(m/e);885(M+),44
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);2.35(s,3H),2.40(s,3H),6.59−6.70(m,3H),6.73−6.83(m,4H),6.87(d,J=10.8Hz,2H),6.90−7.00(m,6H),7.09(d,J=8.0Hz,2H),7.12−7.43(m,32H)
このほかにマイナーピークとして6.20−6.35(m)が観測された。
【0119】
実施例4
4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−(2’’’’,2’’’’−ジフェニルビニル)−トリフェニルアミン(例示化合物21、m=1、n=0、R1=R2=R5=R6=H、R3=R4=H)の合成
【0120】
4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(12a)1.77g(2.6ミリモル)、ジフェニルメチル亜燐酸ジエチル((5″)R3=R4=H、R=Et)1.0g(3.3ミリモル)、カリウム−tert−ブトキシド400mg(3.6ミリモル)、DMF10mlを実施例1(5)と同様の操作を行い、2.01gの4,4’−ビス(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)−4’’−(2’’’’,2’’’’−ジフェニルビニル)−トリフェニルアミンを得た。
【0121】
収率92.9%
m.p.127〜128℃
マススペクトル(m/e);832(M+ ),831,667
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);6.65(d,J=15.0Hz,2H),6.72−6.95(m,13H),7.12−7.43(m,34H)
【0122】
実施例5
4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−(4’’’’,4’’’’−ジフェニル−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル)−トリフェニルアミン(例示化合物41、m=n=0、R1 =R2 =R5 =R6 =R3 =R4 =H)の合成
【0123】
(1) 4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(13a)の合成
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)2.0g(6.1ミリモル)、ジフェニルメチル亜燐酸ジエチル((5″)R3 =R4 =H、R=Et)3.7g(12.2ミリモル)、カリウム−tert−ブトキシド1.4g(12.5ミリモル)、DMF20mlを実施例3(1)と同様に処理して728mgの粗13aを得た。酢酸エチルより結晶化することにより558mgの4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(13a)を得た。
【0124】
収率14.5%
m.p.159〜161℃
マススペクトル(m/e);629(M+ ),315,179
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);6.84(d,J=8.7Hz,4H),6.90−6.97(m,6H),6.98(d,J=8.7Hz,2H),7.20−7.38(m,20H),7.64(d,J=8.8Hz,2H),9.79(s,1H)
【0125】
(2) 4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−(4’’’’,4’’’’−ジフェニル−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル)−トリフェニルアミンの合成
4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(13a)1.53g(2.4ミリモル)、3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル((5)R1=R2=H、R=Et)963mg(2.9ミリモル)、カリウム−tert−ブトキシド350mg(3.1ミリモル)、DMF10mlを実施例1(5)と同様に処理して、1.66gの4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−(4’’’’,4’’’’−ジフェニル−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル)−トリフェニルアミンを得た。
【0126】
収率84.7%
m.p.140〜142℃
マススペクトル(m/e);805,629,268
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);6.64(d,J=15.0Hz,1H),6.73−6.81(m,5H),6.82−6.93(m,10H),7.12−7.19(m,5H),7.20−7.43(m,26H)
このほかにマイナーピークとして6.23(t,J=11.6Hz),6.35(d,J=11.6Hz)が観測された。
【0127】
実施例6
4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−〔4’’’’,4’’’’−ジ(p−トリル)−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル〕−トリフェニルアミン(例示化合物45、m=n=0、R1=R2=R3=R4=H、R5=R6=4−Me)の合成
【0128】
4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−ホルミルトリフェニルアミン(13a)1.58g(2.5ミリモル)、3,3−ジ(p−トリル)アリル亜燐酸ジエチルエステル((5)R1=R2=4−Me、R=Et)1.0g(2.8ミリモル)、カリウム−tert−ブトキシド340mg(3.0ミリモル)、DMF10mlを実施例1(5)と同様に処理して、1.72gの4,4’−ビス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−4’’−〔4’’’’,4’’’’−ジ(p−トリル)−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル〕−トリフェニルアミンを得た。
【0129】
収率82.2%
m.p.131〜133℃
マススペクトル(m/e);834(M+ ),833,629,416,179
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);2.35((s,3H),2.41(s,3H),6.58−6.65(m,1H),6.75−6.92(m,13H),7.08−7.37(m,31H)
【0130】
合成例1
4,4’,4’’−トリス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−トリフェニルアミン(比較化合物1)の合成
4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン(4a)622mg(1.89ミリモル)、ジフェニルメチル亜燐酸ジエチルエステル((5’’)R3=R4=H、R=Et)1.9g(6.25ミリモル)、DMF10ml、カリウム−tert−ブトキシド1.0g(8.9ミリモル)を実施例1の5と同様に反応させ、後処理を行ったところ、0.80gの4,4’,4’’−トリス(2’’’,2’’’−ジフェニルビニル)−トリフェニルアミンが得られた。
収率54.2%
m.p.196〜197℃
【化47】
【0131】
合成例2
1,1−ジフェニル−4−(p−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−1,3−ブタジエン(比較化合物2)の合成
p−ジ−n−プロピルアミノベンズアルデヒド2.05g(10.0ミリモル)、3,3−ジフェニルアリル亜燐酸ジエチルエステル((5)、R1=R2=H、R=Et)3.6g(10.9ミリモル)、カリウム−tert−ブトキシド1.3g(11.6ミリモル)、DMF15mlを実施例1(5)と同様に処理して2.35gの1,1−ジフェニル−4−(p−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−1,3−ブタジエンを得た。
収率73.8%、m.p.94.5〜95.2℃
【化48】
【0132】
前記一般式(4)で表される各種の4,4’−ジホルミルトリフェニルアミン誘導体及び4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン誘導体を以下の方法に従って製造した。
なお、実施例7〜実施例10と比較例1は4−メチルトリフェニルアミンのヴィールスマイヤー反応における生成物の定量を高速液体クロマトグラフィーで行うために内部標準物質としてp−ターフェニルを用いて反応を行った。
【0133】
実施例7
4−メチルトリフェニルアミンの塩化亜鉛存在下のヴィールスマイヤー反応:
300mlの反応フラスコに窒素気流中4−メチルトリフェニルアミン5.18g(20.0mmol)とN,N- ジメチルホルムアミド5.85g(80mmol)及びトルエン溶液35gを仕込み、三塩化ホスホリル12.27g(80.0mmol)を滴下した。なお、内標としてp−ターフェニル0.461g(2.0mmol)を加えた。滴下終了2時間後、塩化亜鉛2.73g(20.0mmol)を加えた。90℃で30時間撹拌を行った後、水100gを冷却しながら滴下した。さらにトルエン100gを加え、炭酸ナトリウムを徐々に加え、アルカリ性になるまで加えた。60℃で3時間加熱した後、トルエンで抽出した。水洗、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して、固形物を得た。なお、原料である4−メチルトリフェニルアミンは完全に消失していた。p−ターフェニルを内部標準物質として高速液体クロマトグラフィーの生成物の定量を行った。結果を表12に示した。
【0134】
実施例8
4−メチルトリフェニルアミンの臭化亜鉛存在下のヴィールスマイヤー反応:
実施例7の塩化亜鉛の代わりに臭化亜鉛を4.50g(20.0mmol)用いた以外は、実施例7と同様に反応して、高速液体クロマトグラフィーで生成物の定量を行った。結果を表12に示した。
【0135】
実施例9
4−メチルトリフェニルアミンの三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体存在下のヴィールスマイヤー反応:
実施例7の塩化亜鉛の代わりに三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を2.84g(20.0mmol)用いた以外は、実施例7と同様に反応して、高速液体クロマトグラフィーで生成物の定量を行った。結果を表12に示した。
【0136】
実施例10
4−メチルトリフェニルアミンの塩化水素存在下のヴィールスマイヤー反応:
実施例7の塩化亜鉛の代わりに塩化水素ガスを約20ml/min、60時間吹き込んだ以外は、実施例7と同様に反応して、高速液体クロマトグラフィーで生成物の定量を行った。結果を表12に示した。
【0137】
比較例1
4−メチルトリフェニルアミンの無触媒下でのヴィールスマイヤー反応:
実施例1においてルイス酸を加えずに反応を行ったこと以外は、実施例1と同様に反応して、高速液体クロマトグラフィーで生成物の定量を行った。結果を表12に示した。
【0138】
【表12】
【0139】
表12から明らかなように、ルイス酸、プロトン酸共存下でヴィールスマイヤー反応を行うことにより4−メチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミン(A)の収率が著しく向上することがわかる。
【0140】
実施例11
4−メチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
窒素気流下5リットル反応フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド488.1(6.68モル)、トルエン1200gを加え、オキシ塩化リン930.8g(6.07モル)を5から10℃、2時間で滴下した。同温度で1時間かき混ぜた後、4−メチルトリフェニルアミン400g(1.52モル)とトルエン800gの混合液を10℃から室温、1時間で滴下した。滴下終了後、無水塩化亜鉛206.85g(1.52モル)を加え、80〜81℃、30時間反応(HPLCでモノホルミル体1%以下を確認)した。約40℃に冷却後、冷水8リットル中に注加した。ソーダ灰1500gで中和後、55〜60℃、1時間攪拌抽出した。セライトろ過後、ろ液を分液、水洗(8リットル×2回、pH7)した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、残渣520.8gを得た。これをイソプロパノール/トルエン=9/1(wt)で再結晶し、4−メチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンを413.6g得た。m.p.153〜153.5℃。理論収率85.7%。
【0141】
実施例12
4−エチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
300mlの反応フラスコに窒素気流中トルエン50mlと塩化亜鉛2.5g(18.3mmol)、4−エチルトリフェニルアミン5.0g(18.3mmol)及びN, N−ジメチルホルムアミド5.66g(77.5mmol)を秤取り、三塩化ホスホリル11.5g(75.0mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後、90℃で30時間撹拌を行った後、水100gを冷却しながら滴下した。さらににトルエン100gを加え、炭酸ナトリウムを徐々に加え、アルカリになるまで加えた。60℃で3時間加熱した後、トルエンで抽出した。水洗、飽和食塩水で洗浄した後、MgSO4 で乾燥、溶媒留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液トルエン/酢酸エチル=10/1)にて分離すると、0.97g(17.6%)の4−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンと4.93g(81.8%)の4−エチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンが得られた。得られた4−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミンをメタノールから結晶化させると0.72g(13.1%)となった。結果を表13に示す。生成物の物性は以下のとおりである。
【0142】
4−エチル−4’−ホルミルトリフェニルアミン
m.p.81.82℃
マススペクトル;301(M+ ), 286.
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);1.23(t,J=7.6Hz,3H),2.65(q,J=7.6Hz,2H),6.98(d,J=8.8Hz,2H),7.09(d,J=8.5Hz,2H),7.13〜7.20(m,5H),7.30〜7.36(m,2H),7.65(d,J=8.9Hz,2H),9.80(s,1H)
4−エチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミン
m.p.103〜104℃
マススペクトル;329,314,167,105
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);1.28(t,J=7.6Hz,3H),2.70(q,J=7.6Hz,2H),7.08(d,J=8.4Hz,2H),7.17(d,J=8.7Hz,4H),7.23(d,J=8.4Hz,2H),7.76(d,J=8.7Hz,4H),9.90(s,2H)
【0143】
比較例2
塩化亜鉛を加えずに実施例12と同様の操作を行った。結果を表13に示す。
【0144】
実施例13
2−メチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
2−メチルトリフェニルアミン5g(19.3mmol)、N, N−ジメチルホルムアミド6.14g(84.0mmol)、オキシ塩化リン12.5g(81.5mmol)、塩化亜鉛2.7g(19.8mmol)、トルエン100mlを実施例12と同様に反応、後処理、単離操作を行った。結果を表13に示す。生成物の物性は以下のとおりである。
2−メチル−4’−ホルミルトリフェニルアミン
m.p.
マススペクトル;287(M+ ),180,167
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);2.05(s,3H),6.88(q,J=8.7Hz,2H),7.07〜7.17(m,4H),7.21〜7.26(m,2H),7.26〜7.33(m,3H),7.67(d,J=8.9Hz,2H),9.79(s,1H)
2−メチル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミン
m.p.121〜122℃
マススペクトル;315(M+ ),286,271,256,243,210,180,167.
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm):2.03(s,3H),7.12(d,J=8.6Hz,4H),7.12〜7.17(m,1H),7.28〜7.36(m,3H),7.77(d,J=8.8Hz,4H),9.88(s,2H).
【0145】
比較例3
塩化亜鉛を加えずに実施例13と同様の操作を行った。結果を表13に示す。
【0146】
実施例14
4−メトキシ−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
4−メトキシトリフェニルアミン5g(18.16mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド5.66g(77.5mmol)、オキシ塩化リン11.5g(75.0mmol)、塩化亜鉛2.5g(18.3mmol)、トルエン100mlを実施例12と同様に反応、後処理、単離操作を行った。結果を表13に示す。生成物の物性は以下のとおりである。
4−メトキシ−4’−ホルミルトリフェニルアミン
m.p.73〜74℃
マススペクトル;315(M+ ),288,230,129
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm):3.80(s,3H),6.89(d,J=9.0Hz,2H),6.94(d,J=8.7Hz,2H),7.12(d,J=9.1Hz,2H),7.16(m,3H),7.32(m,2H),7.64(d,J=8.9Hz,2H),9.78(s,1H)
4−メトキシ−4’,4’’ −ジホルミルトリフェニルアミン
m.p.;113〜114℃
マススペクトル(m/e);331(M+ ),316,259,230
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);3.85(3H,s),6.94(2H,d,J=9.0Hz),7.12(2H,d,J=9.0Hz),7.17(4H,d,J=8.7Hz),7.56(4H,d,J=8.7Hz),9.88(2H,s)
【0147】
比較例4
塩化亜鉛を加えずに実施例14と同様の操作を行った。結果を表13に示す。
【0148】
【表13】
表13から明らかなように、ルイス酸共存下でヴィールスマイヤー反応を行うことによりジホルミルトリフェニルアミンの収率が著しく向上することがわかる。
【0149】
実施例15
4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンと4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンの合成:
2リットルの反応フラスコに窒素気流中トリフェニルアミン150g(0.61mol)とN,N−ジメチルホルムアミド268g(3.67mol)及びトルエン溶液500gを仕込み、三塩化ホスホリル562.5g(3.67mol)を滴下した。滴下終了2時間後、塩化亜鉛166.7g(1.22mol)を加えた。80℃で2日撹拌を行った。放冷後、水500gを冷却しながら滴下した。さらにトルエン100gを加え、炭酸ナトリウム1314.59gを徐々にアルカリ性になるまで加えた。60℃で3時間加熱した後、トルエンで抽出した。水洗、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒留去して、固形物185.6gを得た。イソプロパノール/トルエン(4/1wt)混合溶媒で再結晶を行ったところジホルミル体とトリホルミル体の混合物164.6gを得た。
粗生成物165.10g中134.95gをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;トルエン/酢エチ=8.3)で精製分離後、再結晶(溶媒イソプロパノール/トルエン=1.5/1wt)を行ったところ、4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンが122.6g得られた。 m.p.148〜149℃、収率67.4%。
また、4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンが15.09g、収率7.5%で得られた。
m.p.247〜248℃
【0150】
比較例5
1リットル反応フラスコにN, N−ジメチルホルムアミド44.74g(0.612モル)、ジクロルエタン200mlを仕込み、5〜10℃、30分でオキシ塩化リン93.82g(0.612モル)を滴下した。その後トリフェニルミン50g(0.204モル)を200mlのジクロロエタンに溶解した溶液を室温下、30分で加えた。室温で12時間、さらに還流下24時間攪拌した。冷却後、N,N−ジメチルホルムアミド44.74g(0.612モル)、オキシ塩化リン93.82g(0.612モル)をさらに加え、還流攪拌を24時間行った。この操作をさらに3回繰り返した後、氷水4リットル中に注入し、トルエン1リットルを加えて、炭酸ソーダで中和した。65℃で1時間攪拌し、分液、水洗、乾燥、濃縮して56.6gを得た。イソプロピルアルコールから2回再結晶して4,4’−ジホルミルトリフェニルアミン24.3g(理論収率39.5%)を得た。
【0151】
比較例6
3リットルの反応フラスコに110.52g(1.51モル)のN,N−ジメチルホルムアミドとの757mlの1,2−ジクロロエタンを仕込み、0から5℃で231.84g(1.51モル)のオキシ塩化リンを1時間かけ滴下した。その後、1時間室温で攪拌し、トリフェニルアミン126.17g(0.504モル)の1,2−ジクロロエタン溶液(505ml)を0から5℃で1時間かけて滴下した。次いで、室温で1時間、還流下26時間反応した。冷却後、N, N−ジメチルホルムアミド110.52g(1.5モル)、オキシ塩化リン231.84g(1.51モル)を加え、還流下攪拌を26時間行った。この操作をさらに3回繰り返した後、混合物を氷水10リットル中に注ぎ、炭酸ソーダ1823gで中和した。この溶液を50〜60℃で1時間攪拌し、クロロホルムを加えて分液した。有機層を2回水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ベンゼン/酢酸エチル=9/1)で精製すると1.3gの結晶が得られた。アセトニトリルと酢酸エチルからなる混合溶媒から再結晶させると0.52gの4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンが得られた。
収率0.5%
【0152】
実施例15と比較例5、6からわかるように、ルイス酸共存下でヴィールスマイヤー反応を行うことにより収率良く4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンと4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンの合成が出来る。
【0153】
実施例16
4−ブロモ−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
4−ブロモトリフェニルアミン10.0g(30.4mmol)、N, N−ジメチルホルムアミド9.79g(133.9mmol)、オキシ塩化リン18.67g(121.8mmol)、塩化亜鉛4.15g(30.4mmol)、トルエン100mlを実施例12と同様に反応、後処理、単離操作を行った。結果を表14に示す。生成物の物性は以下のとおりである。
4−ブロモ−4’−ホルミルトリフェニルアミン
m.p.119〜120℃
マススペクトル(m/e);353,351,322,271,243,167,141,115
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);7.03(m,4H),7.12〜7.21(m,3H),7.35(m,2H),7.43(d,J=8.9Hz,2H),7.69(d,J=8.9Hz,2H),9.84(s,1H)
4−ブロモ−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミン
m.p.201.5〜202.5℃
マススペクトル(m/e);381,379,271,241,167
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);7.05(d,J=8.8Hz,2H),7.18(d,J=8.7Hz,4H),7.51(d,J=8.9Hz,2H),7.78(d,J=8.8Hz,4H),9.90(s,2H)
【0154】
比較例7
塩化亜鉛を加えずに実施例16と同様の操作を行った。結果を表14に示す。
【0155】
実施例17
4−p−トリル−4’,4’’−ジホルミルトリフェニルアミンの合成:
4−p−トリルトリフェニルアミン10.0g(29.5mmol)、N, N−ジメチルホルムアミド9.47g(129.6mmol)、オキシ塩化リン18.06g(117.8mmol)、塩化亜鉛4.02g(29.5mmol)、トルエン100mlを実施例13と同様に反応、後処理、単離操作を行った。結果を表14に示す。生成物の物性は以下のとおりである。
4−p−トリル−4’−ホルミルトリフェニルアミン
マススペクトル;363,334,243,167,149
1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,δppm);2.39(s,3H),7.07(d,J=8.7Hz,2H),7.16〜7.27(m,7H),7.36(m,2H),7.48(d,J=8.2Hz,2H),7.54(d,J=8.7Hz,2H),7.69(d,J=8.9Hz,2H),9.81(s,1H)
4−p−トリル−4’−4’’−ジホルミルトリフェニルアミン
m.p.197〜198℃
マススペクトル(m/e);
1H−NMRスペクトル(400MHz,δ;ppm in CDCl3);2.42(s,3H),7.19〜7.28(m,8H),7.49(d,J=8.2Hz,2H),7.59(d,J=8.7Hz,2H),7.79(d,J=8.8Hz,4H),9.90(s,2H)
【0156】
比較例8
塩化亜鉛を加えずに実施例17と同様の操作を行った。結果を表14に示す。
【0157】
【表14】
【0158】
実施例18
例示化合物1と例示化合物(2)−57 混合物の合成
(1)4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンと4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミン混合物の合成
2リットルの反応フラスコに窒素気流下、100.0g(0.41モル)のトリフェニルアミン、214.5g(2.93モル)のN,N−ジメチルホルムアミド、及び500gのトルエンを秤り取り、24〜53℃、30分で375g(2.45モル)のオキシ塩化リンを徐々に滴下した。続いて、111.1g(0.82モル)の塩化亜鉛を加え、80℃、57時間攪拌した。混合物を氷水2リットル中に注ぎ、トルエン500gを加えた。炭酸ナトリウム721.7gを徐々に加え、溶液をpH11にした。60℃で30分攪拌抽出し、分液後、トルエン層を水洗(3回)した。トルエン層を乾燥(Na2SO4)、濃縮すると133.9gの固形物が得られた。このものを240gのトルエンと536gの2−プロパノールからなる混合溶媒で再結晶させると111.6gの結晶が得られた。このものは、1H−NMRより4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンと4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンの混合物であり、その比率は74.4モル%、25.6モル%であった。
融点141〜143℃、184〜192℃
【0159】
(2)例示化合物1と例示化合物(2)−57 混合物の合成
1リットルの反応フラスコに(1)で合成した4,4’−ジホルミルトリフェニルアミンと4,4’,4’’−トリホルミルトリフェニルアミンの混合物(モル比74.4:25.6)50g、3,3−ジフェニルアリル亜リン酸ジエチル145.4g(0.44モル)、N,N−ジメチルホルムアミド250mlを仕込み、59g(0.526モル)のカリウム−t−ブトキシドを徐々に加えた。50℃で8時間反応した後、混合物を水2.5リットル中に注いだ。析出物を減圧ろ過により取り出し、730gのトルエンで溶解させた後、水洗(2回)した。トルエンを濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;トルエン)で精製すると127.6gの結晶が得られた。このものをトルエンとヘプタンからなる混合溶媒から再結晶させると77.2gの例示化合物1と例示化合物(2)−57 混合物が得られた。高速液体クロマトグラフィーの分析により、このもののモル比率は71.4:28.6であった。
融点123〜125℃
【0160】
応用例1〜3
クロルジアンブルー(CDB)1部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製ユーピロンE−2000)1部をジクロロエタン30部を溶剤としてボールミルで5時間混練した。得られた顔料分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いで塗布し、45℃で3時間乾燥して約1μmの厚さに電荷担体発生層を作った。さらに例示化合物1、21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体1〜3を作製した。
【0161】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を静電記録試験装置SP−428型 Electrostatic Paper Analyzer (川口電機製作所製)を用いてスタティック方式により測定した。即ち、感光体を−6kVのコロナ放電を5秒間行って帯電せしめ、表面電位V0 (単位は−V)を測定し、これを暗所で5秒間保持した後、タングステンランプにより照度5ワックスの光を照射し、表面電位を半分に減衰させるに必要な露光量即ち半減電光量E1/2(ルックス・秒)、及び照度5ルックスの光を10秒間照射後の表面残留電位VR10(−V)を求めた。この結果を表15に示した。
【0162】
応用比較例1
例示化合物1、21、41の代りに、比較化合物1を用いた以外は応用例1〜3と同様にして感光体4を作製し、電子写真特性を測定した。結果を表15に示した。ここで、表面残留電位VR10が高い値を示すということは、画像濃度の低下あるいは字よごれの原因となるため、VR10は小さいほど良く、例示化合物1,21,41を用いた場合は、表面残留電位VR10がそれぞれ0,8,6であるのに対し、比較化合物1を用いた場合は、VR10が102もあり、明らかに本発明化合物が優れていることがわかる。
【0163】
応用例4〜9
ポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム薄膜上に、オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)を106torrで約0.8μmの厚さに真空蒸着し、電荷担体発生層を形成した。さらに例示化合物1、2、5、21、41、45をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体5〜10を作製した。応用例1〜3と同様に電写真特性を測定した。結果を表15に示した。
【0164】
応用比較例2
応用例4〜9において使用した例示化合物1、2、5、21、41、45の代りに、比較化合物2を用いた以外は応用例4〜9と同様にして感光体11を作製し、電子写真特性を測定した。結果を表15に示した。例示化合物1、2、5、21、45を用いた場合にはVR10が0であり、例示化合物41を用いた場合には、VR10が4であるのに対し、比較化合物2を用いた場合には、VR10が58もあり、明らかに本発明化合物が優れていることがわかる。
【0165】
応用例10〜12
τ型無金属フタロシアニン(τ−H2Pc)1部とブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBM−1)1部をテトラヒドロフラン30部を溶剤としてボールミルで5時間混練した。得られた顔料分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上に塗布し、50℃で2時間乾燥して電荷担体発生層を作った。さらに実施例3、5、6において合成した例示化合物5、21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で2時間乾燥させ、感光体12〜14を作製した。このようにして得た感光体の電子写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表16に示した。
【0166】
応用比較例3
例示化合物5、21、41の代りに比較化合物2を用いた以外は応用例10〜12と同様にして感光体15を作製した。応用例1〜3と同様にして電子写真特性を測定し、結果を表16に示した。ここで、表面電位V0が高い値ほどコントラストがはっきりするが、V0が低すぎると感光体として充分な機能が発現できない。本発明の例示化合物5、21、41を用いた場合には、V0がそれぞれ826、1238、1184であるのに対し、比較化合物2を用いた場合には、V0が67であり、明らかに本発明化合物が優れていることがわかる。
【0167】
【表15】
【0168】
【表16】
【0169】
応用例13〜14
x型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)1部とブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBM−1)1部をテトラヒドロフラン30部を溶剤としてボールミルで5時間混練した。得られた顔料分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上に塗布し、50℃で2時間乾燥して電荷担体発生層を作った。さらに例示化合物21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体16、17を作製した。このようにして得た感光体の電子写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表16に示した。
【0170】
応用例15〜17
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBM−1)1部をテトラヒドロフラン30部を溶解させて得た結着剤樹脂溶液に、特開昭63−20365号公報に従って製造された結晶性オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc結晶)1部を加え、ガラスビーズと共に2時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、約0.5μmの電荷担体発生層を作製した。さらに例示化合物5、21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体18〜20を作製した。このようにして得た感光体の電子写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表16に示した。
【0171】
応用比較例4
例示化合物5、21、41の代りに比較化合物2を用いた以外は応用例15〜17と同様にして感光体21を作製した。応用例1〜3と同様にして電子写真特性を測定し、結果を表16に示した。本発明の例示化合物5,21,41を用いた場合には、V0がそれぞれ300,766,832であるのに対し、比較化合物2を用いた場合には、V0が70であり、明らかに本発明化合物が優れていることがわかる。また、半減電光量E1/2 が高い値を示すことは感度が悪いことを示すが、本発明の例示化合物5,21,41を用いた場合には、E1/2がそれぞれ0.6,0.6,0.8であるのに対し、比較化合物2を用いた場合には、E1/2が12.0であり、明らかに本発明化合物が優れていることがわかる。
【0172】
応用例18〜20
ビスアゾ顔料(P)1部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学株式会社製ユーピロンE−2000)1部をジクロロエタン30部を溶剤としてボールミルで5時間混練した。得られた顔料分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布し、45℃で3時間乾燥して約1μmの厚さに電荷担体発生層を作った。さらに例示化合物5、21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体22〜24を作製した。これらの電子写真特性を測定し、結果を表17に示した。
【0173】
【表17】
【0174】
応用例21〜24
例示化合物5、21、41、45をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらに電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を測定した。キャリア移動度の測定は、光源としてパルス半値幅0.9nsec、波長337nmの窒素ガスレーザーを用い、Time-of-flight法(田中聡明、山口康浩、横山正明:電子写真,29,366(1990)にて行った。25℃、25V/μmでの測定結果を表18に示した。
【0175】
応用比較例5
例示化合物5、21、41、45の代りに比較化合物2を用いた以外は応用例21〜24と全く同様にしてフィルムを作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表18に示した。
【0176】
【表18】
表18から明らかなように本発明化合物は比較化合物に対し、高いキャリア移動度を示している。
【0177】
応用例25、26
応用例4〜9と同様にしてオキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)を106torrで約0.8μmの厚さに真空蒸着した電荷担体発生層を作製した。電荷輸送材料として例示化合物21、41をそれぞれ1部、及びポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに下記構造式で示されるビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体25、26を作製した。
【化49】
【0178】
感光体25、26について応用例1〜3と同様にして、電子写真特性を測定した。結果を表19に示した。
【0179】
【表19】
【0180】
応用例27、28
応用例10〜12と同様にしてτ型無金属フタロシアニン(τ−H2Pc)の電荷担体発生層を形成した。さらに例示化合物21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに応用例25、26で用いたビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体27、28を作製した。電荷写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表20に示した。
【0181】
応用例29、30
応用例13、14と同様にx型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)電荷担体発生層を形成した。さらに例示化合物21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに応用例25、26で用いたビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体29、30を作製した。次いで感光体29〜30の電子写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表20に示した。
【0182】
応用例31、32
応用例15〜17と同様に結晶性オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc結晶)を使用した電荷担体発生層を作製した。さらに例示化合物21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに応用例25、26で用いたビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体31、32を作製した。このようにして得た感光体の電子写真特性を応用例1〜3と同様にして測定した。この結果を表20に示した。
【0183】
【表20】
【0184】
応用例33、34
応用例18〜20と同様にしてビスアゾ顔料(P)を使用した電荷担体発生層を作製した。さらに例示化合物21、41をそれぞれ1部、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに応用例25、26で用いたビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部をジクロロエタン8部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで電荷担体発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体33、34を作製し、この電子写真特性を測定した。結果を表21に示した。
【0185】
【表21】
【0186】
応用例35、36
応用例21〜24において、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代わりに応用例25、26で用いたビスフェノールA/ビフェニル型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)1部を使用した以外は応用例21〜24と同様に電荷輸送層を形成し、80℃で3時間乾燥させた。応用例21〜24と同様に電荷キャリア移動度をTime-of-flight法にて行った。電荷キャリア移動度の値は25℃、25V/μmでの測定結果を表22に示した。
表22から明らかなように前記一般式(1)で表される化合物は、高いキャリア移動度を示している。
【0187】
【表22】
【0188】
応用例37
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部と下式(U)で示されるヒドラゾン化合物0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例1と同様にして感光体35を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【化50】
【0189】
応用例38
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(U)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例10と同様にして感光体36を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【0190】
応用例39
応用例13の例示化合物21を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(U)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例13と同様にして感光体37を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【0191】
応用例40
応用例15の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(U)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例15と同様にして感光体38を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【0192】
応用例41〜43
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代りに、応用例25で用いたビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興製(株)製)を用いた以外は、それぞれ応用例37、38、39と同様の材料を用いて感光体39、40、41をそれぞれ作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【0193】
応用例44
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部と下式(V)で示されるヒドラゾン化合物0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例1と同様にして感光体42を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表23に示す。
【化51】
【0194】
応用例45
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(V)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例10と同様にして感光体43を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表24に示す。
【0195】
応用例46
応用例15の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(V)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例15と同様にして感光体を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表24に示す。
【0196】
応用例47
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代りに、応用例25で用いたビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興製(株)製)を用いた以外は応用例44と同様の材料を用いて感光体45を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表24に示す。
【0197】
応用例48
応用例43において混合電荷輸送材料を例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(V)0.6部に代えた以外は同様の材料を用い感光体46を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表24に示す。
【0198】
応用例49
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部と下式(W)で示されるヒドラゾン化合物0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例1と同様にして感光体47を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表25に示す。
【化52】
【0199】
応用例50
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(W)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例10と同様にして感光体48を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表25に示す。
【0200】
応用例51
応用例13の例示化合物21を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(W)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例13と同様にして感光体49を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表25に示す。
【0201】
応用例52
応用例15の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.4部とヒドラゾン化合物(W)0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は、応用例15と同様にして感光体50を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表25に示す。
【0202】
応用例53〜56
ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代りに、応用例25で用いたビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興(株)製)を用いた以外はそれぞれ応用例49、50、51、52と同様の材料を用いて感光体51、52、53、54をそれぞれ作製し、電子写真特性を評価した。結果を表25に示す。
【0203】
【表23】
【0204】
【表24】
【0205】
【表25】
【0206】
応用例57〜60
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−57 0.6部、例示化合物1 0.3部と例示化合物(2)−57 0.7部、例示化合物1 0.2部と例示化合物(2)−57 0.8部、例示化合物1 0.1部と例示化合物(2)−57、0.9部、からなる混合電荷輸送材料をそれぞれ用いた以外は、応用例1と同様にして感光体55、56、57、58を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表26に示す。
【0207】
応用例61〜64
応用例15の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−57 0.6部、例示化合物1 0.3部と例示化合物(2)−57 0.7部、例示化合物1 0.2部と例示化合物(2)−57 0.8部、例示化合物1 0.1部と例示化合物(2)−57 0.9部からなる混合電荷輸送材料をそれぞれ用いた以外は、応用例15と同様にして感光体59、60、61、62を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表26に示す。
【0208】
応用例65
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物41 0.5部と例示化合物(2)−57 0.5部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体63を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表27に示す。
【0209】
応用例66
応用例4の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物41 0.5部と例示化合物(2)−57 0.5部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体64を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表27に示す。
【0210】
応用例67
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物41 0.5部と例示化合物(2)−57 0.5部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体65を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表27に示す。
【0211】
応用例68
応用例13の例示化合物21を1部用いる代りに、例示化合物41 0.5部と例示化合物(2)−57 0.5部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体66を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表27に示す。
【0212】
応用例69
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−76 0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体67を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表28に示す。
【0213】
応用例70
応用例15の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−76 0.6部からなる混合電荷輸送材料を用いた以外は応用例1と同様にして感光体68を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表28に示す。
【0214】
応用例71
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−33 0.6部の混合電荷輸送材料を用いて、応用例1と同様にして感光体69を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表29に示す。
【0215】
応用例72
応用例13の例示化合物21を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−33 0.6部の混合電荷輸送材料を用いて、応用例13と同様にして感光体70を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表29に示す。
【0216】
応用例73
ポリカーボネート樹脂の代りに、応用例25で用いたビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂を用いた以外は、応用例71と同様の材料を用いて感光体71を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表29に示す。
【0217】
応用例74
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−1 0.6部の混合電荷輸送材料を用いて、応用例1と同様にして感光体72を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表30に示す。
【0218】
応用例75
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と例示化合物(2)−1 0.6部の混合電荷輸送材料を用いて、応用例10と同様にして感光体73を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表30に示す。
【0219】
応用例76
例示化合物1 0.4部、例示化合物(2)−57 0.6部を用い、応用例21と同様に感光体74を作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表31に示す。
【0220】
応用例76−(1)
例示化合物(1)を0.8部、例示化合物(2)−57を0.2部用い、応用例21と同様に感光体75を作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表31に示す。
【0221】
【表26】
【0222】
【表27】
【0223】
【表28】
【0224】
【表29】
【0225】
【表30】
【0226】
【表31】
【0227】
応用例77
応用例15で用いたオキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)0.15g、ポリカーボネート(三菱瓦斯化学(株)ポリカーボネートZ)3.5g、例示化合物41 1.35g及びジクロロエタン31.5gを分散手段としてガラスビーズを使用して、5時間分散した。分散液は200メッシュのフィルターでろ過してビーズから分離した。この分散液を、ドクターブレードを使用して、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミニウムを蒸着したシート上に塗布した。オーブン中で、80℃で3時間乾燥させ感光体75を作製した。このようにして得られた単層型感光体を−6kVのコロナ放電で負帯電し、応用例1と同様の方法で電子写真特性を測定した。結果を表32に示す。
【0228】
応用比較例7
例示化合物41の代りに、比較化合物3としてトリフェニルアミン(TPA、東京化成工業(株)社製のものをトルエンとヘキサンからなる混合溶媒から再結晶したものを用いた。融点127℃)を用いた以外は、応用例77と同様にして単層型感光体76を作製し、応用例1と同様の方法で電子写真特性を測定した。結果を表32に示す。
【0229】
応用例78
電荷発生物質であるオキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)の代りに、応用例3を用いたx型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)を用いた以外は応用例77と同様にして単層型感光体77を作製し、負帯電させたのち応用例1と同様の方法で電子写真特性を評価した。結果を表32に示す。
【0230】
応用比較例8
例示化合物41の代りに、比較化合物3を用いた以外は、応用例78と同じ材料で単層型感光体78を作製し、同様にして電子写真特性を測定した。結果を表32に示す。
【0231】
応用例79
応用例77で作製した単層型感光体75を+6kVのコロナ放電を5秒間行って帯電せしめ、表面電位V0(単位はV)を測定し、これを暗所で5秒間保持した後、タングステンランプにより照度ルックスの光を照射し、表面電位を半分に減衰させるに必要な露光量すなわち半減電光量E1/2(ルックス・秒)、および照度5ルックスの光を10秒間照射後の表面残留電位VR10(V)を求めた。この結果を表33に示した。
【0232】
応用比較例9
応用比較例7で作製した単層型感光体76を+6kVのコロナ放電により正帯電せしめ、応用例79と同様にして電子写真特性を評価した。結果を表33に示す。
【0233】
応用例80
応用例78で作製した単層型感光体77を+6kVのコロナ放電により正帯電させ、応用例79と同様にして電子写真特性を評価した。結果を表33に示す。
【0234】
応用比較例10
応用比較例8で作製した単層型感光体78を+6kVのコロナ放電により正帯電せしめ、応用例79と同様にして電子写真特性を評価した。結果を表33に示す。
【0235】
【表32】
【0236】
【表33】
【0237】
表32、33からわかるように、本発明の方法で製造される前記一般式(1)で表される化合物は単層型感光体として使用した場合、正負いずれに帯電させても比較化合物に比べて明らかに良好な感度と低い残留電位を有している。
【0238】
応用例81
応用例4の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と下記化合物(Xa)0.6部からなる混合電荷輸送材を用い、ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ)の代りに、ビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製)を用いた以外は応用例4と同様にして感光体79を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表34に示す。
【0239】
【化53】
【0240】
応用例82
例示化合物21又は41を1部用いる代りに、例示化合物1 0.5部と化合物(Xb)0.5部からなる混合電荷輸送材を用いた以外は応用例31と同様にして感光体80を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表34に示す。
【0241】
【表34】
【0242】
応用例83
応用例1の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と下記化合物(Y)0.6部からなる混合電荷輸送材を用いた以外は応用例1と同様にして感光体81を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表35に示す。
【0243】
【化54】
【0244】
応用例84
応用例4の例示化合物1を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と下記化合物(Y)0.6部からなる混合電荷輸送材を用いた以外は応用例4と同様にして感光体82を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表35に示す。
【0245】
応用例85
応用例10の例示化合物5を1部用いる代りに、例示化合物1 0.4部と下記化合物(Y)0.6部からなる混合電荷輸送材を用いた以外は応用例10と同様にして感光体83を作製し、電子写真特性を評価した。結果を表35に示す。
【0246】
【表35】
【0247】
【発明の効果】
上述のように、本発明の製造方法は、トリフェニルアミン誘導体(1)及び/又は化合物(2)を収率よく製造することのできる工業的に有利な方法を提供できるものである。また、本発明の方法で製造されるトリフェニルアミン誘導体(1)と化合物(2)の混合物は、電荷輸送材料としての性能に優れ、そのため電子写真感光体にしたときに高いキャリア移動度を発現することができ、しかも高感度で残留電位の無いといった諸特性も良好な、工業的に優れたものである。

Claims (6)

  1. 次の一般式(3)
    (式中、R,R,Rは互いに同一又は異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、ルイス酸及びプロトン酸からなる群から選ばれた酸の存在下に、ハロゲン化試剤とN−置換ホルムアミドから調製されるヴィールスマイヤー試薬と反応させ、次いでアルカリ性水溶液で加水分解することによって次の一般式(4)
    〔式中、R,R,Rは前記一般式(3)と同じ意味を示し、Yはホルミル基又は水素原子を示す。)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体を得、次いで、該一般式(4)の多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体を次の一般式(5a)、(5b)、(5c)
    (式中、 10 ,R 11 ,R 12 ,R 13 ,R,R’及びR’’は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。l,l及びlは0又は1を示し、それぞれが0のときにはAは水素原子を示し、1のときにはA,Bはともに結合して単結合を形成する。〕で表される亜燐酸エステル化合物と反応させることを特徴とする、次の一般式(6)
    〔式中、R,R,R,R10,R11,R12,R13,l及びlは、前記一般式(3)、(5a)、(5b)及び(5c)と同じ意味を示し、Zは水素原子又は、次の般式(7a)、(7b)、(7c)
    (式中、 10 〜R13 ,R’,R’’,l,l及びlは前記一般式(5a),(5b)及び(5c)と同じ意味を示す。)で表される基を示す。〕で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法。
  2. 前記請求項1記載の製造方法において、前記一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体は、その置換基Yが水素原子であるジ−ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体と、置換基Yがホルミル基であるトリホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の混合物であり、前記一般式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、その置換基Zが水素原子であるトリフェニルアミン誘導体と、置換基Zが前記一般式(7a)、(7b)又は(7c)で表される基であるトリフェニルアミン誘導体の混合物であることを特徴とする請求項1記載の一般式(6)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造方法。
  3. 次の一般式(3)
    (式中、R,R,Rは互いに同一又は異なってもよく、水素原子、低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、ルイス酸及びプロトン酸からなる群から選ばれた酸の存在下に、ハロゲン化試剤とN−置換ホルムアミドから調製されるヴィールスマイヤー試薬と反応させ、反応生成物を次いでアルカリ性水溶液で加水分解することを特徴とする次の一般式(4)
    〔式中、R,R及びRは前記一般式(3)と同じ意味を示し、Yはホルミル基又は水素原子を示す。〕で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法。
  4. 前記請求項3記載の製造方法において、前記ヴィールスマイヤー試薬は、オキシ塩化リン、ホスゲン及び塩化チオニルから選ばれる少なくとも1種のハロゲン化試剤と、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルホルムアミドから選ばれる少なくとも1種のN−置換ホルムアミドとから調製されていることを特徴とする、請求項3に記載の一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法。
  5. 前記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン誘導体と前記ヴィールスマイヤー試薬との反応は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンから選ばれる少なくとも1種の反応溶媒を使用して行われることを特徴とする請求項3及び請求項4のいずれか1項に記載の一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法。
  6. 前記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン誘導体とヴィールスマイヤー試薬とのルイス酸及び/又はプロトン酸の存在下における反応は、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三弗化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン及び塩化スズからなるルイス酸、塩化水素及び臭化水素からなるプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の存在下に行われることを特徴とする、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の一般式(4)で表される多ホルミル置換トリフェニルアミン誘導体の製造方法。
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