JP3780092B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、レーザープリンター、LEDプリンターなどの画像形成装置において好適に使用される電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機光導電性化合物を使用した電子写真感光体は無機系の光導電性化合物を用いた場合に比べて、軽量性、表面平滑性、低毒性、製造が簡単、低価格などの点から、近年盛んに研究されている。この有機有機光導電性化合物を使用した電子写真感光体として、感光体を電荷発生材料と電荷輸送材料とに機能分離した形態、いわゆる機能分離型感光体が特に注目され、種々の材料が提案されている(例えば、米国特許第3791826号)。この方式においては、キャリア(キャリアとは電荷を示す、以下同様)の発生効率の大きい物質を電荷発生材料として用い、かつ電荷輸送能力の高い物質を電荷輸送材料として組み合わせることによって高感度の電子写真感光体が得られる可能性がある。
【0003】
このうち電荷輸送材料に要求されることは、電界印加下で光照射により電荷発生材料において発生したキャリアを効率良く受取り、感光体層内を速やかに移動させて、表面電荷を速やかに消滅させることである。キャリアが単位電界当りに移動する速さをキャリア移動度といい、キャリア移動度が高いということはキャリアが電荷輸送層内を速く移動するということである。このキャリア移動度は電荷輸送物質固有のものであり、したがって、高いキャリア移動度を達成するためにはキャリア移動度の高い材料を使用する必要があるが、従来提案された材料ではキャリア移動度が未だ十分なレベルに達しているとはいえないのが現状である。
【0004】
また、電荷輸送物質は結着剤ポリマーとともに有機溶剤に溶解され、導電性支持体上に塗布され薄膜状に形成されて用いられるが、この時塗膜に結晶の析出やピンホールの生成のない均質な有機薄膜を形成する必要がある。これは、電子写真感光体が使用される場合高電界が印加されるため、微結晶やピンホールが生成したところで絶縁破壊が起きたり、ノイズが発生する原因となり、感光体として好ましくないからである。
【0005】
更に、電荷発生物質および電荷輸送物質の各々の特性が良好であることは勿論必要な要件であるが、電荷発生物質から電荷輸送物質へのキャリアの注入、すなわち、電荷発生層から電荷輸送層への電荷の注入が効率良く行われることも重要な要件である。この電荷の注入は電荷発生物質(または電荷発生層)と電荷輸送物質(または電荷輸送層)の界面の特性によるものであって各種物質間で一様ではない。
【0006】
このように電荷輸送材料には種々の条件が要求されるため、従来いろいろな特性を有する電荷輸送物質の開発、提案が行われいる。従来提案された電荷輸送材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体(特公昭52−41880号など)、オキサジアゾール誘導体(米国特許第3189447号など)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3717462号、特開昭54−59143号など)、アリールアミン誘導体(米国特許第3180730号、米国特許第4232103号、特開昭55−144250号、特開昭56−119132号、特開平5−39248号など)、スチルベン誘導体(特開昭58−190953号、特開昭59−195658号など)が挙げられる。しかしながらこれら従来提案された電荷輸送材料を用いた電子写真感光体はキャリア移動度が十分高いものではなく、また高感度で残留電位が少なく、更に膜の状態が安定な電子写真感光体が得られていたとはいいがたいものであった。
【0007】
また、上記の電荷輸送材料以外に、テトラフェニルブタジエン誘導体を電荷輸送材料に用いた電子写真感光体も提案されている。例えば、特公平5−19701号では、少なくとも1つは置換基として置換アミノ基を有する1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン誘導体を用いたものが、特公平7−21646号では1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体あるいは1,1−ビス(p−アミノフェニル)−4,4−ジフェニルブタジエン誘導体を用いたものが提案されている。また、特公平7−27244号では、これらテトラフェニルブタジエン誘導体を電荷輸送材料に、オキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生材料に用いた電子写真感光体が提案されている。更に特開平5−134428号では、テトラフェニルブタジエン誘導体を電荷輸送物質に、高分子結着剤として特定のポリカーボネート樹脂を用いた電子写真感光体が開示されている。しかしながら、これらテトラフェニルブタジエン誘導体を電荷輸送材料として用いた電子写真感光体においても、その特性は十分満足できるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子写真感光体の電荷輸送材料として従来から望まれる特性を十分に満足する、すなわち結着剤ポリマーへの溶解性がよく,安定な高濃度の有機薄膜を形成でき、キャリア移動度が高い電荷輸送材料およびこの材料を用いて高感度で、カブリの発生がない電子写真感光体を提供することである。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、高濃度に使用する場合にも安定な有機薄膜を与えることが出来、またキャリア移動度も高く、電子写真感光体に用いた場合に高性能の感光体を形成することのできる電荷輸送材料を得るべく、種々の化合物を合成して鋭意研究した結果、1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体にシスとトランスの幾何異性体が存在し、これら異性体のうちトランス体はシス体よりもキャリア移動度が大きく、電子写真特性が優れ、更に結着剤ポリマーへの溶解性も良く、高濃度に用いても結晶の析出やピンホールを生成せず、また、これを使用した感光体は高感度にして残留電位が低いことを見い出して、本発明をなしたものである。
【0010】
即ち、本第1の発明は、下記一般式(1)で表されるトランス体モル比率〔トランス体モル数/(トランス体モル数+シス体モル数)〕(以下、トランス体比率という。)が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体の1種以上を含有する電子写真感光体である。
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1 およびR2 は、各々同一でも異なってもよく、炭素数1〜4の低級アルキル基、置換基を有しても良いフェニル基またはベンジル基を表わし、R3 、R4 およびR5 は、各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)
また、本第2の発明は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを含有してなる電子写真感光体において、電荷発生材料がフタロシアニン系顔料であり、電荷輸送材料が上記一般式(1)で示されるトランス体比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体の1種以上からなることを特徴とする電子写真感光体である。
【0013】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明においては、電荷輸送材料としてトランス体が上記一般式(1)で示される1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体が用いられる。上記式中R1 、R2 は炭素数1〜4の低級アルキル基、置換基を有しても良いフェニル基、ベンジル基を表わすが、炭素数1〜4の低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、置換基を有しても良いフェニル基としてはフェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基が置換したフェニル基、ハロゲン原子が置換したフェニル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基が置換したフェニル基が好ましく、特にフェニル基、m−トリル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基が好ましい。更に、R3 、R4 、R5 は、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン原子を表すが、炭素数1〜4の低級アルキル基としてはメチル基が特に好ましい。また、炭素数1〜4の低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−またはイソプロポキシ基が好ましいものとして挙げられ、その中でも特にメトキシ基が好ましく、ハロゲン原子としては塩素原子が特に好ましい。
【0014】
また、一般式(1)で示されるトランス体比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体化合物の好ましい具体例を、以下の表1に示す。これら具体的化合物は、単に好ましい材料として例示するものにすぎず、したがって本発明において使用することができる電荷輸送材料がこれら具体的に例示された化合物に限定されるものでは勿論ない。
【0015】
【表1】
【0016】
表1中の略号は以下の意味を表す。
Me;メチル基、 Et;エチル基、 n−Pr;n−プロピル基、 Ph;フェニル基、 p−Tol;p−トリル基、 m−Tol;m−トリル基、p−MeOPh;p−メトキシフェニル基、 OMe;メトキシ基、 Bn;ベンジル基、 Cl;塩素原子。
【0017】
上記一般式(1)で示される1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体の合成は、例えば次のようにして行われる。なお、下記式中、R1 〜R5 は前述と同様の意味を表す。
【0018】
【化4】
【0019】
まず、p−アミノ置換ベンゾフェノン(2)に塩化メチルとマグネシウムから調製されるグリニア試薬を反応させ、後に脱水させることにより1,1−ジフェニルエチレン誘導体(3)を得る。一方、この1,1−ジフェニルエチレン誘導体(3)はp−アミノ置換ブロモベンゼンから調製されるグリニア試薬とアセトフェノン体(5)を反応させ、脱水することにより合成することも可能である。続いて、オキシ塩化リンとN,N−ジメチルホルムアミドから調製されるヴィールスマイヤー試薬を反応させて3,3−ジフェニルアクロレイン誘導体(6)を得る。このようにして得られた3,3−ジフェニルアクロレイン誘導体(6)はシス体とトランス体の混合物であるが、カラムクロマトグラフィーや再結晶、あるいはこれらの処理を組み合わせることによりトランス体過剰の3,3−ジフェニルアクロレイン誘導体(7)を得ることができる。化合物(7)と(9)で表される1,1−ジフェニルメチル亜リン酸ジエチル誘導体をウィティッヒ−ホーナー反応により縮合することによりトランス体が過剰(トランス体比率≧0.7)な1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体(1)が合成できる。
【0020】
また、一般式(1)で示される化合物は、次のようにしても合成することができる。なお、下記式中、R1 〜R5 は前述と同様の意味を表す。
【0021】
【化5】
【0022】
まず特開平7−173112号公報に記載されている方法を用いて3,3−ジフェニルアリルクロリド誘導体(10)を得、このもののグリニア試薬(11)とベンゾフェノン誘導体(2)を反応させてカルビノール(12)とする。得られた化合物(12)をパラトルエンスルホン酸などの酸により脱水反応させることにより、シス体とトランス体の混合物であるブタジエン(13)を得、これををカラムクロマトグラフィーや再結晶、あるいはこれらの処理を組み合わせることによりトランス体が過剰(トランス体比率≧0.7)な1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体(1)を合成することができる。
【0023】
一般式(1)で示されるトランス体の比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体は、具体的には、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層に機能分離された積層型電子写真感光体の電荷輸送層の電荷輸送材料として、あるいは同一層中に電荷発生材料と電荷輸送材料を含む感光層の電荷輸送材料として用いられる。これら感光体の構成を図1により更に説明すると、感光体は、図1aに示されるように、導電性支持体4上に設けられた電荷発生層2上に電荷輸送層1を積層したものでもよく、また図1bに示されるように、電荷発生層2の下に電荷輸送層1が積層されたものでもよいが、電荷発生層の上に電荷輸送層が積層されているものが望ましい。また、、図1cに示すように、一種以上の電荷発生材料と一種以上の電荷輸送材料とを同一層5に含有する単層型電子写真感光体であってもよい。
【0024】
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層は、一般式(1)で示されるトランス体比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体化合物のみをそのまま導電性支持体上または電荷発生層上に蒸着させるか、該誘導体化合物と結着剤とを適当な溶剤に溶解させて溶液とし、この液を導電性支持体または電荷発生層に塗布し、乾燥させることにより形成される。一方、電荷発生材料および電荷輸送材料を含有する本発明の単層型感光体は、電荷発生材料および一般式(1)のトランス体化合物を含む電荷輸送材料を結着剤とともに適当な溶剤に溶解または分散させ、得られた溶液を導電性支持体に塗布し、乾燥させることにより形成される。また、電子アクセプター型化合物と一般式(1)の化合物を含有する単層型感光体も同様にして得ることができる。
【0025】
電子写真感光体で用いられる結着剤は、感光体の帯電性や感度など電気特性だけでなく、感光層の接着強度や硬度、耐磨耗性などの機械的強度にも通常影響を与え、このため使用される結着剤により感光体の電気的特性のみならず感光体の耐久性も左右される。更に、塗布液における粘度や電荷発生材料の分散安定性など、製造条件にも影響を与えるため、結着剤の選択により感光体の性能は大幅に変化する可能性がある。本発明においては、従来感光体の結着剤として用いられていたものは、いずれも本発明の感光体の結着剤として用いることができる。本発明において好ましく用いることができる結着剤としては、例えばポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、あるいはこれらの共重合体および混合物を挙げることができる。また、このような絶縁性ポリマーの他に、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーも使用できる。
【0026】
これらの結着剤のなかではポリカーボネートが特に好ましい結着剤である。好ましく使用できるポリカーボネートとしては、下記一般式(A)で示されるビスフェノールメタン型のポリカーボネートを挙げることができる。
【0027】
【化6】
【0028】
(式中、R11およびR12は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、または炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン基が置換してもよいフェニル基を表し、R11およびR12は環状に結合してもよい。R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基または置換基を有してもよいフェニル基を表し、nは整数を表す。)
上記一般式(A)で示されるポリカーボネートの好ましい具体例としては、下記式(A−1)で示されるビスフェノールA型のポリカーボネート(三菱瓦斯化学製のユピロンEシリーズなど)、式(A−2)で示されるビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(例えば、三菱瓦斯化学株式会社製のポリカーボネートZシリーズなど)、式(A−3)または(A−4)で示されるポリカーボネート樹脂、およびこれらの混合物、または共重合物が挙げられる。これらのポリカーボネート類は、感光体を形成したときにひび割れやキズが発生しにくいように高分子量であることが望ましい。
【0029】
【化7】
【0030】
また、共重合物としては、例えば、一般式(A)のモノマー単位を適宜組み合わせたものが使用できるが、好適には下記一般式(B)で示される特開平4−179961号公報に開示されているビスフェノール/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0031】
【化8】
【0032】
(式中、R11およびR12は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、または炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基またはハロゲン基が置換してもよいフェニル基を表し、R11およびR12は環状に結合しても良い。R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、または置換基を有してもよいフェニル基を表わす。R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、または置換基を有してもよいフェニル基を表わし、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28はそれぞれ独立に環状に結合してもよい。nおよびmは整数を表す。)
ビスフェノール共重合ポリカーボネートの好ましい具体例としては、例えば、下記式(B−1)、(B−2)、(B−3)または(B−4)で表されるビスフェノール/ビフェノール型ポリカーボネートを挙げることができる。式中、nおよびmは整数を表し、nとmの比は任意の割合であってよいが、n/n+m= 0.1〜0.9が好ましく、0.7〜0.9が更に好ましい。
【0033】
【化9】
【0034】
また、上述したポリカーボネートのほかにも特開平6−214412号公報に開示されている、繰り返し単位が下記式(C)で表されるポリカーボネートを使用することができる。
【0035】
【化10】
【0036】
更に、特開平6−222581号公報に開示されている下記一般式(D)で表されるポリカーボネートも使用することができる
【0037】
【化11】
【0038】
(式中、R29、R30およびR31は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、3〜8員環の炭素原子を持つ脂環基、または炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン基が置換してもよいフェニル基、または炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン基が置換してもよいベンジル基を表し、nは整数を表わす。)
これらの結着剤と一般式(1)で表されるトランス体比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体との混合割合は、任意の割合でよい。しかし、通常電荷輸送材料の使用量は結着剤100重量部当たり10〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、更に好ましくは40〜200重量部である。
また、形成される電荷輸送層の膜厚は一般に2〜40μmであるが、好ましい範囲は5〜40μm、更に好ましくは10〜30μmである。
【0039】
使用される有機溶剤については特に限定はないが、通常、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、四塩化炭素などの脂肪族ハロゲン化炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物などの単独、あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0040】
塗布によって電荷輸送層、電荷発生層あるいは単層の感光層を形成する場合、塗工法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法などのコーティング法が用いられる。また、塗布後の乾燥は、室温において乾燥した後、更に加熱乾燥する方法が好ましい。加熱乾燥は、一般的には30〜200℃の温度で、5分〜3時間静止または送風下で行うことが好ましい。
【0041】
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としては、銅、アルミニウム(アルマイト加工したものを含む)、銀、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属や合金の箔ないしは板をシート状またはドラム状にしたもの、あるいはこれらの金属をプラスチックのフィルムや円筒等に真空蒸着または電解メッキしたもの、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化スズ等の導電性化合物の層をガラス、紙あるいはプラスチックフィルムなどのシート状またはドラム状の支持体上に塗布または蒸着によって設けたものが用いられる。
【0042】
一方、本発明において用いられる電荷発生材料としては、従来機能分離型感光体の電荷発生材料として用いられているものをいずれも用いることができる。このような電荷発生材料としては、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機の電荷発生材料、ピリリウム塩系染料、チアピリリウム塩系染料、アズレニウム塩系染料、チアシアニン系染料、キノシアニン系染料などのカチオン染料、スクアリウム塩系顔料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料などの多環キノン顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、ピロロピロール系顔料などの有機電荷発生材料が挙げられる。本発明の電子写真感光体の電荷発生層を形成するには、上記電荷発生材料の少なくとも一種を用い、蒸着することにより、あるいは結着剤とともに溶剤に溶解させあるいは溶剤に分散させ、この溶解溶液あるいは分散液を塗布することにより行われる。
【0043】
上述のような有機電荷発生物質のなかでも特に好ましいものとしては、Chem.Rev.,1993,93,p.449−486に記載された有機電荷発生物質が挙げられる。このなかでも特にフタロシアニン系顔料が好ましい。そしてフタロシアニン系顔料としては、アルコキシチタニウムフタロシアニン(Ti(OR)2 Pc)、オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、無金属フタロシアニン(H2 Pc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(HOGaPc)、バナジルフタロシアニン(VOPc)、クロロインジウムフタロシアニン(ClInPc)などが好ましいものとして挙げられる。更に詳細には、TiOPcとしては、α型−TiOPc、β型−TiOPc、γ型−TiOPc、m型−TiOPc、Y型−TiOPc、A型−TiOPc、B型−TiOPc、TiOPcアモルファスなどが挙げられる。H2 Pcとしては、α型−H2 Pc、β型−H2 Pc、τ1 型−H2 Pc、τ2 型−H2 Pc、x型−H2 Pcなどが挙げられる。これらのフタロシアニン類は、混合、ミリングして混合体として、または新たに形成される混晶系としても使用できる。混晶系としては、例えば、特開平4−371962号公報、特開平5−2278号公報、特開平5−2279号公報などに記載されているオキソチタニルフタロシアニンとバナジルフタロシアニンの混晶や、特開平6−148917号公報、特開平6−145550号公報、特開平6−271786号公報、特開平5−297617号公報などに記載されているオキソチタニルフタロシアニンとクロロインジウムフタロシアニンの混晶が挙げられる。
【0044】
また、アゾ系顔料としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、テトラキス顔料などが挙げられるが、特に次の構造式で示される化合物が好ましい。
【0045】
【化12】
【0046】
(式中、R41は低級アルキル基を表す。)
【0047】
【化13】
【0048】
ビスアゾのCp1 、Cp2 およびトリスアゾのCp1 、Cp2 、Cp3 は、次の基を表す。
【0049】
【化14】
【0050】
(式中、R42,R43,R44およびR45は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表す。)
また、次の式(E)、(F)、(G)、(H)で示されるペリレン系化合物または多環キノン系化合物も電荷発生材料として好ましいものである。
【0051】
【化15】
【0052】
これら以外のものであっても、光を吸収し高い効率で電荷を発生する材料であれば、いずれの材料でも本発明の感光体の電荷発生材料として使用することができる。
【0053】
更に、本発明における電荷輸送層には必要に応じて他の電荷輸送材料および種種の添加剤を含有させて用いることができる。他の電荷輸送材料としては、例えば、下記一般式(I)で表されるジアミン化合物が挙げられる。
【0054】
【化16】
【0055】
(式中、R51およびR52 は、各々同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基を表し、Ar1 、Ar2 、Ar3 およびAr4 は、各々同一でも異なってもよく、置換していてもよいα−ナフチル基、β−ナフチル基、フェニル基またはp−ビフェニル基を表す。)
この中でも特に下記に示した式(I−1)、(I−2)、(I−3)で表されるジアミンが好ましいものである。
【0056】
【化17】
【0057】
更に、特公昭55−42380号公報、特開昭60−340999号公報、特開昭61−23154号公報等に記載されている下記一般式(J)で示されるヒドラゾン化合物、米国特許第3873312号明細書等に記載されている下記一般式(K)で示されるジスチリル系化合物、その他、トリフェニルメタン誘導体、N,N−ジフェニル−N−ビフェニルアミン誘導体、N,N−ジフェニル−N−ターフェニルアミン誘導体などのトリアリールアミン誘導体、一般式(1)の化合物以外のテトラフェニルブタジエン系化合物、α−フェニルスチルベン誘導体、特開平7−173112号公報に記載されているビスブタジエニルトリフェニルアミン誘導体なども挙げられる。しかし、使用できる他の電荷輸送材料がこれらに限定されるものではない。
【0058】
【化18】
【0059】
(式中、R61およびR62は、各々同一または異なってもよく、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基を表し、R63およびR64は、各々同一または異なってもよく、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、R63とR64がそれぞれ結合して環を形成してもよい。R65は水素原子、低級アルキル基、置換基を有してもよいアリルー基、置換基を有してもよいアラルキル基、低級アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。R65とR61またはR62がそれぞれ結合して環を形成してもよい。)
【0060】
【化19】
【0061】
(式中、R71、R72、R73およびR74は、各々同一または異なってもよく、低級アルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表し、Ar5 およびAr7 は、各々同一でも異なってもよく、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子の中から選ばれる1以上の基を置換していてもよいフェニル基を表す。Ar6 は、Ar5 、Ar7 と同様の置換基を有してもよい炭素数4〜14から成る単環あるいは多環式芳香環、またはAr5 およびAr7 と同様の置換基を有してもよいヘテロ環を表す。)
本発明の感光体には、感光体の耐久性向上のため、必要に応じて紫外線吸収剤や酸化防止剤やその他の添加剤を用いることができる。その他、従来から感光体の特性を改善するために用いられている他の種々の添加剤も用いることができる。このような添加剤としては、例えば、特開平6−332206号公報に開示されているビフェニル系化合物、m−ターフェニル、m−ジ−tert−ブチルフェニル、ジブチルフタレートなどの可塑剤や、シリコーンオイル、グラフト型シリコーンポリマー、フルオロカーボン類などの表面潤滑剤、ジシアノビニル化合物、カルバゾール誘導体などの電位安定剤、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのモノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、高分子系フェノール系酸化防止剤、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどのアミン系酸化防止剤、サリチル酸系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系光安定剤、dl−トコフェロール(ビタミンE)などを挙げることができる。
【0062】
本発明においては、感光層上に、必要に応じて保護層を塗布形成することができる。また、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることも出来る。下引き層を形成する材料としては、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、カゼイン、エチレン−アクリル酸共重合体、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。下引き層の膜厚は、通常0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3μmである。
【0063】
以上のようにして一般式(1)で表されるトランス体比率が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体を電荷輸送層あるいは単層感光層に含有する電子写真感光体を得ることができる。
【0064】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、合成例中において用いる測定機器及び測定条件を以下に示す。
【0065】
【0066】
合成例1
1−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン(例示化合物1)の合成
(1)3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニルアクロレイン(7a,トランス過剰体)の合成
1,2−ジクロロエタン10mL、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1mL(12.9ミリモル)を100mLの反応用フラスコに秤取り、氷水で冷却しながら1.0gのオキシ塩化リン(6.5ミリモル)を徐々に滴下した。バスを取り除き、10分攪拌した後、特公平7−21646号公報に記載された方法を用いて4−ジメチルアミノベンゾフェノン(2a)とメチルマグネシウムクロリドから合成した1−(p−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン(3a)1.3g(5.8ミリモル)の1,2−ジクロロエタン5mL溶液を室温で滴下した。同温度で3時間撹拌し、水中に注いだ。ソーダ灰で中和し、80℃で加熱分解後、分液した。水相をトルエンで抽出し、有機相と併せて水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮したところ、シスとトランスの混合物(6a)1.4g得られた。このものをヘキサンとアセトンからなる混合溶媒より再結晶したところ440mgの3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニルアクロレイン(7a)が得られた。収率は29.3%であり、融点(mp)は134−136℃であった。また、 1H−NMRによるトランス体比率は0.98であった(以下、トランス体比率はすべて 1H−NMRにより算出した。)。
【0067】
1H−NMR(トランス体のピークのみを記す)δ;3.05(s,6H)、6.59(d,J=8.2Hz,1H)、6.67(d,J=9.1Hz,2H)、7.27(d,J=7.9Hz,2H)、7.47(m,3H)、9.38(d,J=8.2Hz,1H).
MS(m/z);251、234、223、207、178、165、145、121、102、91、77、42。
【0068】
(2)例示化合物1の合成
3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−フェニルアクロレイン(7a,トランス体モル比率=0.98)430mg(1.7ミリモル)、ジフェニルメチル亜リン酸ジエチル625mg(2.05ミリモル)、DMF10mLを50mLの反応フラスコに秤取り、230mg(2.05ミリモル)のカリウム−t−ブトキシドを徐々に加えた。室温で終夜反応させた後、混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。濃縮物を酢酸エチルから2回再結晶してトランス体比率が0.98の例示化合物1を280mg得た。収率は40.8%で、融点(mp)は190−195℃であった。
【0069】
1H−NMR(トランス体のピークのみを記す)δ;2.93(s,6H)、6.56(d,J=9.0Hz,2H)、6.68(d,J=11.5Hz,1H)、6.72(d,J=11.5Hz,1H)、7.05(d,J=9.0Hz,2H)、7.08−7.22(m,5H)、7.27−7.36(m,6H)、7.36−7,42(m,4H).
MS(m/z);402、324,279、234、211、134、91。
【0070】
合成例2
1−(p−ジエチルアミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン(例示化合物8)の合成
1Lの反応用フラスコにマグネシウム7.6g(313ミリモル)、THF17mL、トルエン315mLを秤取り、ヨウ素、ジブロモエタンで活性化した。これに、4−ジエチルアミノベンゾフェノン(2b)59.0g(233ミリモル)、特開平7−173112号公報に記載された方法を用いて合成された3,3−ジフェニルアリルクロリド(10a)58.4g(256ミリモル)、THF16mLおよびトルエン350mLからなる溶液を25〜35℃で1 時間かけて滴下した。室温で5時間反応させた後、塩化アンモニウム83gを水750mLに溶かした溶液に注いだ。分液を行い、有機相を水洗した。分液した有機溶液中にパラトルエンスルホン酸を3g加え、還流しながら水抜きを2時間行った。その後炭酸ナトリウム水で中和洗浄し、さらに水洗、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。濃縮物を120mLのアセトンと240mLのヘプタンから結晶化すると、111gのややしめった粗結晶が得られた( 1H−NMRによるトランス体比率=0.84)。このものをトルエン350mLに溶かし、シリカゲル48gと共に1時間撹拌し、ろ過(シリカゲルを50mLのトルエンで洗浄した)後、濃縮した。濃縮物を180mLのアセトンと370mLのヘプタンの混合溶媒から再結晶したところ54.0gの例示化合物8が得られた(ベンゾフェノンからの収率54.0%、 1H−NMRによるトランス体比率=0.91)。このうち5gを酢酸エチルとヘキサンから再結晶して2.4gのトランス体比率0.99の例示化合物8を得た。
【0071】
このものの融点、スペクトルデータは以下の通りである。
mp;131−133℃
1H−NMR (トランス体のピークのみを記す)δ;1.12(t,J=7.1Hz,6H)、3.32(q,J=7.1Hz,4H)、6.52(d,J=9.0Hz,2H)、6.68(d,J=11.5Hz,1H)、6.71(d,J=11.5Hz,1H)、7.03(d,J=9.0Hz,2H)、7.11−7.25(m,5H)、7.32−7.39(m,6H)、7.39−7.47(m,4H).
MS(m/z);429、414、352、294、279、238、218、194、197、118、91。
【0072】
また、粗結晶を取り出した母液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶媒;トルエン/ヘキサン)を行うことによりシス体過剰品を得、さらにこのものを酢酸エチルから再結晶することによりトランス体比率0.01の比較化合物3を得た。
このものの融点、 1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
mp;165−165.5℃
1H−NMR(シス体のピークのみ記す)δ;1.20(t,J=7.1Hz,6H)、3.40(q,J=7.1Hz,4H)、6.57(d,J=11.4Hz,1H)、6.67(d,J=8.8Hz,2H)、6.95(d,J=11.3Hz,1H)、7.15(d,J=8.8Hz,2H)、7.15−7.29(m,10H)、7.30−7.35(m,3H)、7.35−7.42(m,2H)。
【0073】
これら得られた結晶の混合比率を変えることによりトランス体比率の異なる例示化合物8のサンプル(但し0.8以上)およびトランス体比率の低い比較化合物3のサンプルを調製し、実施例および比較例において使用した。
【0074】
合成例3
1−(p−ジエチルアミノフェニル)−1−(p−メトキシフェニル)−4,4−ジフェニルブタジエン(例示化合物10)の合成
合成例2と同様の方法により、マグネシウム6.0g、4−ジエチルアミノ−4’−メトキシベンゾフェノン(2c)53.5g(189ミリモル)、3,3−ジフェニルアリルクロリド(10a )47.4g(207ミリモル)からグリニア反応し、さらに脱水反応を行って109.2gの油状物を得た。このものをイソプロパノール250mLと酢酸エチル250mLからなる混合溶媒から結晶化して64.1gの粗結晶を得た。このものをトルエン300mLに溶かし、シリカゲル40gと共に1時間撹拌し、ろ過、濃縮し、ヘキサン(150mL)とアセトン(60mL)からなる混合溶媒から再結晶して35.1gのトランス体比率0.94の例示化合物10(ベンゾフェノンからの収率40.4%)を得た。
【0075】
このものの融点、スペクトルデータは以下の通りである。
mp;132−134℃
1H−NMR(トランス体のみ記す)δ; 1.12(t,J=7.1Hz,6H)、3.31(q,J=7.1Hz,4H)、3.85(s,3H)、6.52(d,J=9.0Hz,2H)、6.63(d,J=11.4Hz,1H)、6.78(d,J=11.4Hz,1H)、6.95(d,J=8.7Hz,2H)、7.04(d,J=9.0Hz,2H)、7.11−7.40(m,12H).
MS(m/z);459、382、224。
【0076】
母液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;トルエン)で精製した。さらにヘキサンとアセトンから2回再結晶することにより、トランス体比率0.21の比較化合物4(mp;123−150℃)が得られた。
また、これら得られた結晶の混合比率を変えることによりトランス体比率の異なる例示化合物10のサンプル(トランス体比率は0.8以上)およびトランス体比率の低い比較化合物4を調製し、実施例および比較例において使用した。
【0077】
合成例4
1−(p−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニル−4,4−ジ−(p−トリル)ブタジエン(例示化合物12)の合成
合成例2と同様の方法により、マグネシウム6.0g、4−ジエチルアミノベンゾフェノン(2b)53.0g(209ミリモル)、3,3−ジ−(p−トリル)アリルクロリド(10b)61.4g(239ミリモル)からグリニア反応し、さらに脱水反応を行って113.6gの油状物が得られた。このものを酢酸エチルから結晶化させて69.0gの結晶を得、さらにトルエン500mLに溶解しシリカゲル70gと共に1時間攪拌し、ろ過、濃縮した。このものを酢酸エチルから2回結晶化することにより25.5g(4−ジエチルアミノベンゾフェノン(2b)からの収率26.7%)のトランス体比率0.99の例示化合物12が得られた。融点(mp)は174−176℃であった。
【0078】
1H−NMR(トランス体のピークのみを記す)δ;1.12(t,J=7.0Hz,6H)、2.30(s,3H)、2.42(s,3H)、3.32(q,J=7.0Hz,4H)、6.55(d,J=9.0Hz,2H)、6.65(d,J=11.5Hz,1H)、6.71(d,J=11.5Hz,1H)、6.98−7.08(m,6H)、7.20(s,4H)、7.30−7.35(m,3H)、7.36−7.40(m,2H).
MS(m/z);457、442,366、229、195。
【0079】
母液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;トルエン)で精製した。さらにヘキサンとアセトンから2回再結晶することにより、トランス体比率0.14の比較化合物1(mp160−185℃)が得られた。
また、これら得られた結晶の混合比率を変えることによりトランス体比率の異なる例示化合物12のサンプル(トランス体比率は0.8以上)を調製し、実施例において使用した。
【0080】
合成例5
1−p−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン(例示化合物15)の合成
合成例2と同様の方法により、マグネシウム2.3g、4−ジ−n−プロピルアミノベンゾフェノン(2c)20.0g(71.2ミリモル)、3,3−ジフェニルアリルクロリド(10a)16.1g(74.8ミリモル)からグリニア反応、引き続き脱水反応して38.9gの粗生物を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;トルエン)で精製し、さらにイソプロパノール、酢酸エチル、ヘプタン/トルエン(混合)から再結晶を繰り返して11.8gのトランス体比率0.93の例示化合物15を得た。収率は36.2%であり、融点(mp)は136−137℃であった。
【0081】
1H−NMR(トランス体のピークのみを記す)δ;0.90(t,J=7.5Hz,6H)、1.57(sextet,J=7.5Hz,4H)、3.19(t,J=7.5Hz,4H)、6.49(d,J=9.0Hz,2H)、6.69(d,J=11.5Hz,1H)、6.72(d,J=11.5Hz,1H)、7.03(d,J=9.0Hz,2H)、7.10−7.28(m,5H)、7.30−7.40(m,6H)、7.40−7.45(m,4H).
MS(m/z);458、428、400、194、167。
【0082】
母液を濃縮し、酢酸エチルから再結晶してトランス体比率0.54の比較化合物5(mp122.5−123.5℃)が得られた。
また、これら得られた結晶の混合比率を変えることによりトランス体比率の異なる例示化合物15のサンプル(トランス体比率は0.8以上)を調製し、実施例において使用した。
【0083】
合成例6
1−(p−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−1−フェニル−4,4−ジ−(p−トリル)ブタジエン(例示化合物19)の合成
合成例2と同様の方法により、マグネシウム1.65g、4−ジ−n−プロピルアミノベンゾフェノン(2c)14.3g(50.8ミリモル)、3,3−ジ−(p−トリル)アリルクロリド(10b)14.35g(55.9ミリモル)からグリニア反応、引き続き脱水反応して27.4gの粗生成物を得た。このものをイソプロパノールより結晶化させ、結晶をトルエンに溶解し、シリカゲル8.7gと共に1時間撹拌し、濾過後、濾液を濃縮し、トルエン/ヘプタン(混合)から2回再結晶することにより、トランス体比率0.92の例示化合物19を13.5g得た。収率は54.5%であり、融点(mp)は134−137℃であった。
【0084】
1H−NMR(トランス体のピークのみを記す)δ;0.90(t,J=7.5Hz,6H)、1.57(sextet,J=7.5Hz,4H)、2.28(s,3H)、2.40(s,3H)、3.19(t,J=7.5Hz,4H)、6.49(d,J=9.0Hz,2H)、6.65(d,J=11.5Hz,1H)、6.70(d,J=11.5Hz,1H)、6.98−7.08(m,6H)、7.20(s,4H)、7.30−7.35(m,3H)、7.36−7.40(m,2H).
MS(m/z);485、456、428、294、242、195、105。
【0085】
母液を濃縮し、酢酸エチルから再結晶してトランス体比率0.37の比較化合物6(mp;128−130℃)が得られた。
これら得られた結晶の混合比率を変えることによりトランス体比率の異なる例示化合物19のサンプル(トランス体比率は0.8以上)を調製し実施例で使用した。
【0086】
実施例 1
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、α型−オキシチタニルフタロシアニン(α−TiOPc、山陽色素株式会社製)1重量部を加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(トランス体比率0.91)を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
【0087】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を静電記録試験装置EPA−8200型(川口電機製作所製)を用いてスタティック方式により測定した。すなわち、感光体を−6kvのコロナ放電を行って帯電せしめ、表面電位V0 (単位は−v)を測定し、これを暗所で5秒間保持した(表面電位Vi (単位は−v))後、ハロゲンランプにより照度5ルックスの光を照射し、表面電位Vi を半減させるに必要な露光量すなわち半減露光量E1/2 (ルックス・秒)、表面電位を1/6にするのに必要な露光量E1/6 、続いて照度5ルックスの光を10秒間照射後の表面残留電位VR10 (−v)を求めた。この結果を第2表に示す。
【0088】
実施例2〜4
実施例1と同様にして、α型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
一方、表2に示すように例示化合物10(トランス体比率0.80)、15(トランス体比率0.93)、19(トランス体比率0.92)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部、または構造式(A−2)で示されるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ−200)1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0089】
実施例5
実施例1と同様にして、α型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
表2に示すように例示化合物8(トランス体比率0.91)を0.5重量部と下記化合物(a)を0.5重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0090】
【化20】
【0091】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0092】
比較例1
実施例1と同様にして、α型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)を1重量部と構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例6
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、β型−オキシチタニルフタロシアニン(β−TiOPc、山陽色素(株)製)1重量部を加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(トランス体比率0.86)を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表3に示す。
【0095】
実施例7〜8
実施例6と同様にして、β型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
一方、表3に示すように例示化合物15(トランス体比率0.91)、19(トランス体比率0.82)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様に測定した。結果を表3に示す。
【0096】
実施例9
実施例6と同様にして、β型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
表3に示すように例示化合物8(トランス体比率0.83)を0.5重量部と下記化合物(b)を0.5重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とともにジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0097】
【化21】
【0098】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様に測定した。結果を表3に示す。
【0099】
比較例2
実施例6と同様にして、β型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)1重量部と構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0100】
比較例3
実施例6と同様にして、β型−オキシチタニルフタロシアニンを用いて電荷発生層を形成した。
下記式で表される比較化合物2を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0101】
【化22】
【0102】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】
表3から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0105】
実施例10
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、ゼネカ社(ゼネカ リミテッド)製の結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(1)、このもののX線回折を図2に示す)1重量部を加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(0.83)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を実施例1と同様に測定した。結果を表4に示す。
【0106】
実施例11〜13
実施例10と同様にして、ゼネカ社(ゼネカ リミテッド)製の結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(1))を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表4に示すように例示化合物10(トランス体比率0.89)、15(トランス体比率0.89)、19(トランス体比率0.85)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表4に示す。
【0107】
実施例14
実施例10と同様にして、ゼネカ社(ゼネカ リミテッド)製の結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(1))を用いて電荷発生層を形成した。
表4に示すように例示化合物15(トランス体比率0.93)を0.5重量部と、下記化合物(C)0.5重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0108】
【化23】
【0109】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表4に示す。
【0110】
比較例4
実施例10と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(1))を用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)を1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0111】
比較例5
実施例10と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(1))を用いて電荷発生層を形成した。
比較化合物2を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表4に示す。
【0112】
【表4】
【0113】
表4から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0114】
実施例15
特開平2−28265号公報に記載されているオキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(2))を用い、上記公開特許公報に記載されている方法でポリビニルブチラールおよびTHFと共に分散液を調製した。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(トランス体比率0.99)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
【0115】
実施例16〜18
実施例15と同様にして、特開平2−28265号公報に記載されている結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(2))を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表5に示すように例示化合物10(トランス体比率0.85)、12(トランス体比率0.84)、15(トランス体比率0.87)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を、表5に示す。
【0116】
実施例19
実施例15と同様にして、特開平2- 28265号公報に記載されている結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(2))を用いて電荷発生層を形成した。
表5に示すように例示化合物15(トランス体比率0.84)0.5重量部、下記化合物(d)0.5重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0117】
【化24】
【0118】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
【0119】
比較例6
実施例15と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(2))を用いて電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0120】
比較例7
実施例15と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(2))を用いて電荷発生層を形成した。
比較化合物2を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
【0121】
比較例8
実施例15と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(2))を用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物8と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物3(トランス体比率0.01)1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
【0122】
【表5】
【0123】
表5から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0124】
実施例20
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、特開平1−291256号公報に記載されている方法を用いて調製した結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(3))1重量部を加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(トランス体比率0.92)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0125】
実施例21〜23
実施例20と同様にして、特開平1−291256号公報に記載されている結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(3))を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表6に示すように例示化合物10(トランス体比率0.91)、12(トランス体比率0.80)、15(トランス体比率0.86)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0126】
実施例24
実施例20と同様にして、特開平1−291256号公報に記載されている結晶性オキシチタニルフタロシアニン(結晶性TiOPc(3))を用いて電荷発生層を形成した。
表6に示すように例示化合物19(トランス体比率0.92)0.8重量部と下記化合物(e)0.2重量部を、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とともにジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0127】
【化25】
【0128】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0129】
比較例9
実施例20と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(3))を用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0130】
比較例10
実施例20と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(3))を用いて電荷発生層を形成した。
一方、比較化合物2の1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0131】
比較例11
実施例20と同様にして、結晶性オキシチタニルフタロシアニン(TiOPc(3))を用いて電荷発生層を形成した。
例示化合物8と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物3(トランス体比率0.01)1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表6に示す。
【0132】
【表6】
【0133】
表6から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0134】
実施例25
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)1重量部を加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
【0135】
一方、例示化合物12(トランス体比率0.99)1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表7に示す。
【0136】
実施例26
実施例25と同様にして、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表7に示すように例示化合物15(トランス体比率0.85)1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表7に示す。
【0137】
実施例27
実施例25と同様にして、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表7に示すように例示化合物10(トランス体比率0.94)0.5重量部、下記化合物(f)0.5重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0138】
【化26】
【0139】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表7に示す。
【0140】
比較例12
実施例25と同様にして、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)1重量部と構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0141】
比較例13
実施例25と同様にして、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物3(トランス体比率0.01)1重量部および構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表7に示す。
【0142】
【表7】
【0143】
表7から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0144】
実施例28
ブチラール樹脂(積水化学工業(株)ポリビニルブチラールBL−1)1重量部をテトラヒドロフラン30重量部に溶解させて得た結着材樹脂溶液に、x型無金属フタロシアニン(x−H2 Pc)を1重量部加え、ガラスビーズと共に5時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバーを用いて塗布、乾燥し、電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物8(トランス体比率0.92)1重量部および構造式(A−2、三菱瓦斯化学(株)製ポリカーボネートZ−200)1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ、感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表8に示す。
【0145】
実施例29〜31
実施例28と同様にして、x型無金属フタロシアニン(x−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表8に示すように例示化合物10(トランス体比率0.94)、15(トランス体比率0.84)、19(トランス体比率0.88)をそれぞれ1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部、または構造式(A−2)で示される示されるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ポリカーボネートZ−200)1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの液をドクターブレードで上記電荷発生層上にそれぞれ塗布し、80℃で3時間乾燥させ、各感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表8に示す。
【0146】
実施例32
実施例28と同様にして、x型無金属フタロシアニン(x−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、表8に示すように例示化合物8(トランス体比率0.91)を0.75重量部と下記化合物(g)を0.25重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
【0147】
【化27】
【0148】
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表8に示す。
【0149】
比較例14
実施例28と同様にして、x型無金属フタロシアニン(x−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)を1重量部と、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部とをジクロロエタン8重量部中で混合したが溶解しなかったため、電子写真特性を測定することが出来なかった。
【0150】
比較例15
実施例28と同様にして、τ型無金属フタロシアニン(τ−H2 Pc)を用いて電荷発生層を形成した。
一方、比較化合物2を1重量部、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この液をドクターブレードで上記電荷発生層上に塗布し、80℃で3時間乾燥させ感光体を作製した。
このようにして得られた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に測定した。結果を表8に示す。
【0151】
【表8】
【0152】
表8から明らかなように、例示化合物を用いた電子写真感光体の方が感度が良く(E1/2 、E1/6 の値が小さい)、残留電位(VR10 )が小さいことがわかる。
【0153】
実施例33〜35
例示化合物8(トランス体比率0.99)と比較化合物3(例示化合物8と構造は同じであるがトランス体比率が0.01)を混合して、トランス体比率(0.7以上)の異なるサンプルを3種類調製した(トランス体比率0.99、0,86、0.75)。これらをそれぞれ1重量部と構造式(A−2)で示されるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ポリカーボネートZ−200)1重量部をそれぞれジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。これらの溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらにこの電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を測定した。キャリア移動度の測定は、光源としてパルス半値幅0.9nsec、波長337nmの窒素ガスレーザーを用い、Time−of−flight法(田中聡明、山口康浩、横山正明:電子写真、29、366(1990))にて行った。25℃、25V/μmでの測定結果を第9表および図3に示す。
【0154】
比較例16〜23
例示化合物8(トランス体比率0.99)と比較化合物3(例示化合物8と構造は同じであるがトランス体比率が0.01)を混合して、トランス体比率(0.7未満)の異なるサンプルを8種類調製した(トランス体比率0.60、0.50、0.40、0.30、0.20、0.10、0.04、0.01)。これらのサンプルを実施例33〜35と同様にしてシートを調製し、キャリア移動度を測定した。結果を表9および図3に示す。
【0155】
【表9】
【0156】
図3から、シス体(トランス体比率0.01)とトランス体比率0.5〜0.6のものが、ほぼ同程度の移動度を示しており、トランス体比率が0.7以上では、明らかにこれらのものより移動度が高いことがわかる。
【0157】
実施例36
例示化合物10(トランス体比率0.94)1重量部と構造式(A−2)で示される示されるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ポリカーボネートZ−200)1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらにこの電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を実施例33〜35と同様に測定した。結果を表10に示す。
【0158】
比較例24〜25
例示化合物10の代わりに例示化合物10と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物4(トランス体比率0.46)、比較化合物4(トランス体比率0.21)を用いた以外は実施例36と同様にしてシートを作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表10に示す。
【0159】
【表10】
【0160】
表10から明らかなように、トランス体比率の高い例示化合物10を用いた感光体の方が、例示化合物10と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物4を用いた感光体よりも高い移動度を有していることがわかる。
【0161】
実施例37
例示化合物12(トランス体比率0.99)1重量部と構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらにこの電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を実施例33〜35と同様に測定した。結果を表11に示す。
【0162】
比較例26
例示化合物12の代わりに、例示化合物12と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物1(トランス体比率0.14)を1重量部用い、構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部と共にジクロロエタン8重量部中で混合溶解を試みたが溶解しなかった。このため移動度の測定は出来なかった。
【0163】
【表11】
【0164】
実施例38
例示化合物15(トランス体比率0.93)1重量部と構造式(A−2)で示されるポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学(株)製、ポリカーボネートZ−200)1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらにこの電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を実施例33〜35と同様に測定した。結果を表12に示す。
【0165】
比較例27
例示化合物15の代わりに例示化合物15と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物5(トランス体比率0.54)を用いた以外は実施例37と全く同様にしてシートを作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表12に示す。
【0166】
【表12】
【0167】
表12から明らかなように、トランス体比率の高い例示化合物15を用いた感光体の方が、例示化合物15と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物5を用いた感光体よりも高い移動度を有していることがわかる。
【0168】
実施例39
例示化合物19(トランス体比率0.92)1重量部と構造式(B−1)で示されるビスフェノールA/ビフェノール型共重合ポリカーボネート樹脂(出光興産(株))1重量部をジクロロエタン8重量部中で混合溶解した。この溶液をドクターブレードでポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させた。さらにこの電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を実施例33〜35と同様に測定した。結果を表13に示す。
【0169】
比較例28
例示化合物19の代わりに例示化合物19と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物6(トランス体比率0.37)を用いた以外は実施例例39と全く同様にしてシートを作製し、キャリア移動度を測定した。結果を表13に示す。
【0170】
【表13】
【0171】
表13から明らかなように、トランス体比率の高い例示化合物19を用いた感光体の方が、例示化合物19と構造式は同じであるがトランス体比率の低い比較化合物より高い移動度を有していることがわかる。
【0172】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の電荷輸送材料は結合材ポリマーへの溶解性に優れ、このため安定で高濃度かつ均質な感光体薄膜層を形成することができるとともに、キャリア移動度が高いため感度のすぐれた電子写真感光体を形成することができる。また、残留電位が小さく、カブリのない画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電荷輸送材料を用いて製造される電子写真感光体の層構成を示す。
【図2】ゼネカ社製の結晶性オキシチタニルフタロシアニンのX線回析図である。
【図3】例示化合物8(トランス体比率0.99)および比較化合物3(例示化合物8と構造式は同じであるがトランス体比率が0.01)を所望の混合比で混ぜ合わせたときのキャリアの移動度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 電荷輸送層
2 電荷発生層
3 下引き層
4 導電性支持体
5 感光体層
Claims (2)
- 電荷発生材料と電荷輸送材料とを含有してなる電子写真感光体において、前記電荷発生材料がフタロシアニン系顔料であり、前記電荷輸送材料が下記の一般式(1)で表されるトランス体モル比率〔トランス体モル数/(トランス体モル数+シス体モル数)〕が0.7以上である1−(p−アミノフェニル)−1,4,4−トリフェニルブタジエン誘導体の1種以上からなることを特徴とする電子写真感光体。
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