JP3942987B2 - ナビゲーションシステム、地図差分データの配信装置、及び車載用ナビゲーション装置 - Google Patents

ナビゲーションシステム、地図差分データの配信装置、及び車載用ナビゲーション装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナビゲーションに係る各種情報の配信サービスを行うサーバと、地図データに基づいて目的地までのルート探索を行う機能を有した車載端末(ナビゲーション装置)とが相互に通信可能に接続されたナビゲーションシステムに関し、特に、地図データを格納した書き換え可能な記憶媒体を有するナビゲーション装置がサーバ側から最新の地図データをダウンロードして当該地図データの更新を行う場合においてその通信の効率化を図るのに有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に知られている典型的な車載用ナビゲーション装置においては、ナビゲーションに係る一切の処理を制御するCPU、地図データを格納したCD−ROMやDVD−ROM等の記憶装置、ディスプレイ装置、自車の現在位置を検出するためのGPS (Global Positioning System ) 受信機、自車の進行方位や走行速度等を検出するためのジャイロや車速センサ等、さらには交通情報を受信するためのVICS (Vehicle Information and Communication System) 受信機等が設けられている。そして、CPUにより、自車の現在位置を含む地図データを記憶装置から読み出し、この地図データに基づいて自車位置の周囲の地図画像をディスプレイ画面に描画すると共に、自車の現在位置を指示する自車位置マークをディスプレイ画面に重ね合わせて表示し、自車の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定して自車位置マークを移動させたりして、自車が現在何処を走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0003】
また、車載用ナビゲーション装置には、通常、ユーザが目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるように案内する機能(経路誘導機能)が搭載されている。この経路誘導機能によれば、CPUにより、地図データを用いて出発地(典型的には自車の現在位置)から目的地までを結ぶ最適な経路を、横型探索法やダイクストラ法等のシミュレーション計算を行って探索し、その探索した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上にその誘導経路を他の道路とは識別可能に(例えば、色を変えたり、線幅を太くして)表示したり、また自車が誘導経路上で進路を変更すべきポイント(交差点)に所定距離内に近づいたとき、地図画像上にその交差点の拡大図を表示したりすることで、目的地に向けた最適な経路をユーザが把握できるようになっている。
【0004】
このように、車載機器(CD−ROM等の記憶装置)の地図データのみを用いて行うナビゲーションの形態を、車両単独で(つまり「オンボード」で)経路探索を行うことができるという意味で「ローカルナビ」とも称し、現状の技術において車載用ナビゲーション装置の主流をなす形態である。
【0005】
これに対し、最近注目されているナビゲーションの形態として「通信ナビ」があり、これは、通信により車外から取得した経路探索結果や地図データ等を利用して経路案内等を行うものであり、近い将来車載用ナビゲーション装置の主流となることが期待されている。典型的な通信ナビは、例えばインターネット等を介して接続されたサーバに対し、自車から携帯電話機等を介して自車の現在位置及び目的地に関する位置データを送信し、これら位置データに基づいてサーバ側で当該車両にとって最適な誘導経路(推奨経路)の探索を行い、その探索結果を通信によりダウンロードして自車の経路誘導を行うものである。
【0006】
ローカルナビにせよ、あるいは通信ナビにせよ、車載の地図データベースに基づいて経路探索や経路誘導(経路案内)を行うナビゲーション装置において、道路情報やPOI情報等に関して確度の高い情報案内を行うためには、地図データベースに格納されている地図データは、出来るだけ最新の情報を反映したデータであるのが望ましい。例えば、道路の形状が変更されたり、道路の周辺に新たな施設(コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、ガソリンスタンド、銀行等の物件)ができたり、あるいは施設の位置が変更されたりすると、この変更後の最新の情報は当初のデータベースには存在しないため、この最新の情報に整合させるために地図データの更新(バージョンアップ)を行う必要がある。
【0007】
従来、地図データのバージョンアップは、地図データを格納している記憶媒体(CD−ROMやDVD−ROM等の固定的な媒体、HDD等の書き換え可能な媒体など)それ自体を交換するか、あるいは通信手段を介してデータの書き換えを行う方法により実施されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
地図データの更新(バージョンアップ)を記憶媒体の交換によって実施する場合、その記憶媒体を(場合によってはナビゲーション装置本体と共に)メーカに発送して全データを書き換えてもらう必要があり、あるいは、最新のデータを書き込んだ新規のディスク(記憶媒体)と交換してもらう必要がある。
【0009】
このため、非常に煩雑であり、またコスト的にも無駄があり、さらに、データ更新された記憶媒体がユーザに返送されてくるまでに相当の時間を要するといった不利がある。
【0010】
一方、地図データの更新(バージョンアップ)を通信によるデータの書き換えによって実施する場合、携帯電話機等の通信手段により情報センタ等のサーバとの間でデータ転送を行って最新の情報を地図データベースに反映させることができる。
【0011】
しかしこの方法では、通信により地図データの転送を行うため、通信コストが高く、また、通常の文字情報の転送の場合と比べて通信データ量は膨大なものとなるため、最新の情報が反映された地図データをサーバ側からダウンロードしてデータベースの書き換えを完了するまでに相当の時間を要し、現実的でない。
【0012】
また、端末(ナビゲーション装置)側にとっては、サーバ側からダウンロードする全ての情報(最新の地図データ)を必ずしも必要としない場合が多い。例えば、主として関東地域及びその周辺を走行しているユーザにとっては、北海道地域の最新の道路情報を取得してもその利用価値はないため、結局、その情報取得に要する時間やコストが無駄になる。
【0013】
また、記憶媒体を交換する方法、通信によりデータを書き換える方法のいずれの場合も、ユーザが意識して地図データの更新(バージョンアップ)を実施しなければならないといった煩雑さがある。
【0014】
本発明は、上述した従来技術における課題に鑑み創作されたもので、確度の高い情報案内を行うのに必要な最新の地図データを通信により取得するにあたり、その通信コストの低減化及び通信時間の短縮化を図ると共に、ユーザにとって煩雑さを伴うことなく地図データの更新(バージョンアップ)を行うことができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【0015】
また本発明は、上記のナビゲーションシステムにおいてサーバ側に装備される地図差分データの配信装置、及び車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明によれば、少なくとも最新の地図データを格納した地図データベースを有し、ナビゲーションに係る各種情報の配信サービスを行うサーバと、該サーバと通信可能に接続され、ナビゲーションに必要な地図データを格納した書き換え可能な記憶媒体を有し、該地図データに基づいて目的地までのルート探索を行う機能を有した車載端末とを備え、前記車載端末においてルート探索の指令があったときに、当該車両の現在位置及び目的地の各位置データと当該車載端末のユーザが使用中の地図データを特定するユーザ識別データとを前記サーバに送信し、前記サーバにおいて、前記ユーザ識別データと前記各位置データに基づき当該目的地に到る第1のルートを探索すると共に、前記地図データベースに格納されている最新の地図データを参照して前記各位置データに基づき当該目的地に到る第2のルートを探索し、該探索した第1及び第2のルートを比較して両者間に差異を検出したときに、前記最新の地図データの中から当該差異部分に該当するブロック単位の地図データのみを抽出し、該抽出した地図データを地図差分データとして前記車載端末に送信することを特徴とするナビゲーションシステムが提供される。
【0017】
本発明に係るナビゲーションシステムによれば、端末側でルート探索の指令があったときに、当該車両の現在位置及び目的地の各位置データとユーザが使用中の地図データ(つまり、記憶媒体に格納されている地図データ)を特定するユーザ識別データとをサーバに送信し、サーバ側では、受信した各データに基づき、さらに地図データベースに格納されている最新の地図データを参照して、当該目的地に到る第1のルート(端末側で使用している現状の地図データをベースとしたもの)と第2のルート(サーバ上の最新の地図データをベースとしたもの)を探索し、両者を比較して差異部分を検出したときに、最新の地図データの中から該当する部分のブロック単位の地図データのみを抽出し、地図差分データとして端末側に配信するようにしている。
【0018】
このように本発明によれば、端末からサーバへの転送データは各位置データとユーザ識別データのみであり、サーバ側では、端末側で使用している現状の地図データとサーバ上の最新の地図データとを比較し、差異部分が検出されたときにその該当する一部分の地図データのみをダウンロードするようにしているので、通信コストを低減することができ、またナローバンドでも通信時間を短縮することができ、非常に効率的である。
【0019】
また、端末側では、必要なとき(ルート探索の指令があったとき)のみ、リアルタイムでサーバから配信される地図差分データに基づいて地図データが更新されるので、ユーザにとって煩雑さを伴うことなく地図データのバージョンアップを行うことができる。これによって、道路情報やPOI情報等に関して確度の高い情報案内を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明の他の形態によれば、ナビゲーションに係る各種情報の配信サービスを行うサーバに装備された地図差分データの配信装置であって、各車両に搭載されたナビゲーション装置と通信するための通信手段と、少なくとも最新の地図データを格納した地図データベースと、前記通信手段及び地図データベースの入出力を制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記通信手段を介して前記各車両のナビゲーション装置から当該車両の現在位置及び目的地の各位置データと当該ナビゲーション装置のユーザが使用中の地図データを特定するユーザ識別データとを受信したときに、該ユーザ識別データ及び各位置データに基づいて当該目的地に到る第1のルートを探索すると共に、前記地図データベースに格納されている最新の地図データを参照して前記各位置データに基づき当該目的地に到る第2のルートを探索し、該探索した第1及び第2のルートを比較して両者間に差異を検出したときに、前記最新の地図データの中から当該差異部分に該当するブロック単位の地図データのみを抽出し、該抽出した地図データを地図差分データとして前記通信手段を介して配信することを特徴とする地図差分データの配信装置が提供される。
【0021】
また、本発明の更に他の形態によれば、上記の地図差分データの配信装置を装備したサーバと通信可能に接続された車載用ナビゲーション装置であって、ユーザに案内情報を提供するディスプレイ装置と、ナビゲーションに必要な地図データを格納した書き換え可能な記憶媒体と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、目的地やルートを探索するために必要な情報を入力する情報入力手段と、前記ディスプレイ装置、記憶媒体、位置検出手段及び情報入力手段の入出力を制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記情報入力手段を介してルート探索の指令があったときに、前記各位置データ及び前記ユーザ識別データを前記サーバに送信し、前記地図差分データを前記サーバからダウンロードしたときに、該地図差分データを前記記憶媒体に格納されている地図データに上書きして当該地図データを更新すると共に、該更新した地図データに基づいて前記第2のルートを探索し、該探索した第2のルートを前記ディスプレイ装置の画面上に表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を概略的に示したものである。
【0024】
本実施形態に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーションに係る各種情報(道路情報やPOI情報等を含む地図データ、経路案内情報、VICS情報等)の配信サービスを行うサーバ(情報センタ)10と、このサーバ10と通信可能に接続された車載端末30(ナビゲーション装置)とを備えている。サーバ10には、本発明を特徴付ける地図差分データの配信を行うための装置20が装備されており、この地図差分データの配信装置20は、各車載端末30(ナビゲーション装置)と通信するための通信部21と、大容量の地図データベース22と、通信部21及び地図データベース22の入出力を制御する制御部23とを備えている。
【0025】
地図データベース22には、各車載端末30(ナビゲーション装置)のユーザがそれぞれ使用している現状の地図データをバージョン毎に分けて格納したデータベース(バージョン1、バージョン2、……、最新バージョン)と、後述するように各ユーザ毎の地図差分データのダウンロード履歴に関する情報を格納したユーザデータベース(DB)とが設けられている。
【0026】
図2はナビゲーションシステムにおける車載端末30(ナビゲーション装置)の構成を概略的に示したものである。
【0027】
車載端末(ナビゲーション装置)30において、31はハードディスクドライブ(HDD)を示し、このHDD31によって駆動されるディスク31aには、縮尺レベル(1/12500、1/25000、1/50000等)に応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られた地図データが格納されている。この地図データには、表示用の道路データ、各種施設や物件(ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン等)の位置等に関する物件データ、経路探索用の道路データなどが含まれており、各データは、経緯度で表現された点(ノード)の座標集合で表されている。ディスク31aに格納されている地図データは、後述するように制御部47からの制御に基づいて、サーバ10から最新の地図データをダウンロードしたときにその内容が書き換えられる(つまり更新される)ようになっている。
【0028】
また、32は後述するナビゲーション装置本体40を操作するための操作部を示し、例えば、リモコン送信器の形態を有している。特に図示はしないが、かかるリモコン送信器には、表示画面上の各種メニュー、各種項目等を選択したり、選択したメニュー等を実行させるための各種操作ボタン、ジョイスティックなどが適宜設けられている。また、33はインターネットを介してサーバ10と通信するための携帯電話機や車載電話機等の通信機、34はGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信して自車の現在位置の経度及び緯度を検出するGPS受信機、35は自立航法センサを示す。この自立航法センサ35は、自車の進行方位を検出するためのジャイロ等の角度センサ35aと、一定の走行距離毎にパルスを発生する距離センサ35bとにより構成されており、自車の走行速度を検出するのに用いられる。
【0029】
また、36はLCD等のディスプレイ装置、37はスピーカを示す。ディスプレイ装置36は、後述するナビゲーション装置本体40からの制御に基づいて、基本的には、ナビゲーションに係る案内情報(自車の現在位置の周囲の地図、出発地から目的地までの誘導経路、自車の現在位置(自車位置マーク)、その他の案内情報等)を画面上でユーザに提供するものであり、特定的には、後述するように車載端末30が行う地図差分データの取得及びそれに基づくルート探索/表示に係る案内情報を画面上に表示する。スピーカ37は、上記のナビゲーションに係る案内情報及び地図差分データの取得に基づくルート案内情報を音声によりユーザに提供するものである。
【0030】
ナビゲーション装置本体40において、41はHDD31を介してディスク31aから地図データを読み取るための地図データ読取制御部、42は地図データ読取制御部41により読み出された地図データを一時的に格納するバッファメモリ、43,44,45及び46はそれぞれ操作部32、通信機33、GPS受信機34及び自立航法センサ35に接続されるインタフェース(I/F)を示す。
また、47はマイクロコンピュータ等により構成された制御部を示し、この制御部47は、ナビゲーション用のプログラム(経路探索の処理やそれに基づく経路案内に必要な表示出力制御等を行うためのプログラム)を内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信機34から出力される信号に基づいて自車の現在位置を検出したり、自立航法センサ35から出力される信号に基づいて自車の走行速度(車速)を算出したり、地図データ読取制御部41を制御して、表示させたい地図のデータをHDD31を介してディスク31aからバッファメモリ42に読み出したり、バッファメモリ42に読み出された地図データを用いて設定された探索条件で出発地(自車の現在位置)から目的地までの誘導経路を探索するなど、ナビゲーションに係る種々の処理を実行する。このナビゲーションに係る種々の処理を実行するに際し、制御部47は、後述するように車載端末30が行う地図差分データの取得及びそれに基づくルート探索/表示処理を制御する機能を有している。
【0031】
また、48はバッファメモリ42に読み出された地図データを用いて地図画像の描画処理を行う地図描画部、49は動作状況に応じて各種メニュー画面(操作画面)及び自車位置マーク、カーソル等の各種マークを生成する操作画面・マーク発生部、50は誘導経路に関するデータを格納しておくための誘導経路記憶部を示す。この誘導経路記憶部50には、制御部47によって探索された誘導経路の出発地から目的地までの全てのノード(経緯度で表現された点の座標)に関するデータが記憶される。また、51は誘導経路描画部を示し、誘導経路記憶部50から誘導経路のデータ(ノード列)を読み出して、当該誘導経路を他の道路とは異なる表示態様(色を変える、線幅を太くするなど)で描画する機能を有している。
【0032】
また、52は画像合成部を示し、制御部47からの制御に基づいて、地図描画部48で描画された地図画像に、誘導経路描画部51で描画された誘導経路、操作画面・マーク発生部49で生成された操作画面及び各種マーク等を重ね合わせて、ディスプレイ装置36の画面上に表示させる機能を有している。画像合成部52は、後述するように車載端末30が行う地図差分データの取得及びそれに基づくルート探索/表示に係る案内情報をディスプレイ装置36の画面上に表示させる機能も有している。また、53は音声出力部を示し、制御部47からの制御に基づいて音声信号(ナビゲーションに係る案内情報、地図差分データの取得に基づくルート案内情報など)をスピーカ37に出力する。
【0033】
また、54は車載端末30のユーザを特定するユーザ識別データを格納しておくためのRAM等のメモリ(ユーザ識別データ格納部)を示し、このユーザ識別データには、サーバ10側の制御部23においてユーザを識別するのに必要な情報が含まれている。
【0034】
以上のように構成されたナビゲーションシステム(サーバ10に装備された地図差分データの配信装置20、及び車載端末としてのナビゲーション装置30)において、通信部21は「通信手段」に、制御部23は「制御手段」に、ディスク31aは「書き換え可能な記憶媒体」に、操作部32は「情報入力手段」に、GPS受信機34は「位置検出手段」に、制御部47は「制御手段」に、ユーザ識別データ格納部54は「メモリ手段」に、それぞれ対応している。
【0035】
以下、本実施形態のナビゲーションシステムにおいて行う処理について、図3に示す処理フロー(端末30側が行う地図差分データの取得及びそれに基づくルート探索/表示処理)及び図4に示す処理フロー(サーバ10側が行う地図差分データの配信処理)と共に、これら処理フローを補足説明するための図5〜図7を参照しながら説明する。
【0036】
先ず図3を参照すると、最初のステップS11では、ユーザが操作部32(リモコン送信器)を操作して目的地を設定する。この際、必要に応じて、目的地に至る途中の通過点(どの経路を通って目的地に行くのかなど)を設定したり、また、各種条件(有料道路優先で行くのか又は一般道路優先で行くのか、走行距離の短縮又は走行時間の短縮のいずれを優先させるのかなど)も併せて設定する。
これら設定された目的地等のデータは、インタフェース43を介して制御部47に入力される。
【0037】
次のステップS12では、ローカルナビにより、自車が走行すべき誘導経路を探索する。具体的には、制御部47において、入力された目的地のデータとGPS受信機34で検出された自車の現在位置を出発地として設定された出発地のデータとに基づき、地図データ読取制御部41を制御して、出発地から目的地までが入る範囲の地図データをHDD31を介してディスク31aからバッファメモリ42に読み出し、さらに誘導経路記憶部50に格納されているデータを参照して、出発地から目的地までを結ぶ誘導経路(第1のルート)を横型探索法などにより探索する。
【0038】
次のステップS13では、探索した誘導経路を、制御部47からの制御に基づき画像合成部52を介してディスプレイ装置36の画面に表示し、経路案内を開始する(ローカルナビ)。
【0039】
例えば、図5(a)の画面表示例に概略的に示すように、ディスプレイ装置の画面60上に、出発地A(車両の現在位置)から目的地Bに到る誘導経路GR1(第1のルート)を地図画像に重ね合わせて表示する。この際、誘導経路GR1は、ユーザが識別し易いように他の道路とは異なる表示態様(例えば、目立つ色で表示したり、線幅を太くしたりするなど)で表示される。これによって、ユーザは、ディスプレイ装置の画面60を通して、目的地Bまで自車が案内されるべき誘導経路GR1(第1のルート)を把握することができる。
【0040】
次のステップS14では、制御部47からの制御に基づき通信機33(携帯電話機等)を介して、自車の現在位置及び目的地を指示する各位置データとユーザ識別データとをセンタ(サーバ10)に送信する。この後、サーバ10側で地図差分データの配信に係る処理が行われるが、これについては後で説明する。
【0041】
次のステップS15では、上記のように誘導経路GR1(第1のルート)に沿って自車が案内されている状態で、制御部47において、通信機33を介してサーバ10から地図差分データを受信した(YES)か否(NO)かを判定する。
判定結果がYESの場合にはステップS16に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0042】
次のステップS16では、通信機33を介して受信した地図差分データを、制御部47からの制御に基づきHDD31を介して、ディスク31aに現在格納されている地図データに上書きし、当該地図データを更新する(地図データのバージョンアップ)。
【0043】
次のステップS17では、ステップS12で行った処理と同様にして、制御部47において、当該目的地のデータとGPS受信機34で検出された自車の現在位置のデータとに基づき、地図データ読取制御部41を制御して、出発地から目的地までが入る範囲の地図データ(この場合、更新後のバージョンアップされた地図データ)をHDD31を介してディスク31aからバッファメモリ42に読み出し、さらに誘導経路記憶部50に格納されているデータを参照して、出発地から目的地までを結ぶ誘導経路(第2のルート)を探索する。
【0044】
最後のステップS18では、バージョンアップされた地図データに基づいて探索した経路(第2のルート)を、当初探索した経路(第1のルート)と共に、制御部47からの制御に基づき画像合成部52を介してディスプレイ装置36の画面に表示し、所定の時間経過後、第1のルートの表示を消して第2のルートの表示のみとし、経路案内を行う。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0045】
第1及び第2のルートの表示に際しては、例えば、図5(b)の画面表示例に概略的に示すように、ディスプレイ装置の画面60(1画面)上に、車両の現在位置Aから目的地Bに到る第1,第2の各ルートGR1,GR2を地図画像に重ね合わせて表示する。この際、各ルートGR1,GR2は、ユーザが識別し易いように異なる表示態様で表示される。図5(b)の例示では、旧ルート(第1のルートGR1)の方を新ルート(第2のルートGR2)に比べて相対的に目立たないようにするため破線態様で表示しているが、各ルートの表示態様はこれに限定されないことはもちろんである。例えば、新ルートGR2の方を旧ルートGR1に比べて相対的に目立つ色で表示したり、あるいは旧ルートGR1を点滅態様で表示してもよい。
【0046】
あるいは、図5(c)の画面表示例に概略的に示すように、ディスプレイ装置の画面を2分割して、一方の画面(左画面L)上に旧ルート(第1のルートGR1)を表示し、他方の画面(右画面R)上に新ルート(第2のルートGR2)を表示するようにしてもよい。
【0047】
このようにディスプレイ装置の画面60(L,R)上に新ルートGR2と旧ルートGR1を同時に表示することにより、ユーザは、サーバ10側からの地図差分データのダウンロードによる効果(旧ルートに対比させた新ルートの表示)を視覚的に把握することができる。また、所定の時間経過後は旧ルートGR1の表示を消しているので、ディスプレイ画面を通して目的地Bまで自車が案内されるべき新ルートGR2を把握することができる。
【0048】
次に図4を参照すると、最初のステップS21では、サーバ10の配信装置20における制御部23において、通信部21を介して端末30から各位置データ(車両位置、目的地)とユーザ識別データとを受信した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS22に進み、判定結果がNOの場合には当該データを受信するまで判定処理を繰り返す。
【0049】
次のステップS22では、制御部23において、受信したユーザ識別データに基づき、地図データベース22から、当該地図データ(端末30のユーザが使用中の地図データ)のバージョンに関する情報と、当該端末30に対する地図差分データのダウンロード履歴に関する情報とを検索する。
【0050】
次のステップS23では、制御部23において、検索した地図データのバージョン情報と地図差分データのダウンロード履歴情報とを加味して、受信した各位置データ(車両位置、目的地)に基づき、当該目的地に到る第1のルートを探索する。
【0051】
次のステップS24では、制御部23において、地図データベース22に格納されている最新バージョンの地図データを参照して、受信した各位置データ(車両位置、目的地)に基づき、当該目的地に到る第2のルートを探索する。
【0052】
次のステップS25では、制御部23において、ステップS23で探索した第1のルート(つまり、端末30側で使用している現状の地図データに基づいて探索したルート)とステップS24で探索した第2のルート(つまり、サーバ10上の最新の地図データに基づいて探索したルート)とを比較する。この比較を行うにあたり、制御部23は、単に、各々のルートが位置及び形状に関して相互に同一であるか否かを判定するだけではなく、各々のルートに沿った周辺の道路、ルート沿い周辺に存在する各種施設、物件等の位置(POI)やランドマークなどについても、それぞれ相互に同一であるか否かを判定する。
【0053】
例えば、図6(a)の比較例に概略的に示すように、探索した各々のルートGR1,GR2が位置及び形状に関して同一であるかどうか(つまり、違うルートを探索していないかどうか)を比較し、もし位置及び形状に関して同一であった場合には、図6(b)の比較例に概略的に示すように、各々のルートGR1,GR2に沿った周辺の道路PR1,PR2が位置及び形状に関して同一であるかどうか(つまり、新設・封鎖された道路が無いかどうか)を比較し、さらに、図6(c),(d)の比較例にそれぞれ概略的に示すように、各々のルートGR1,GR2に沿って周辺に存在する物件等の位置(POI)M1〜M3やランドマークLM1,LM2の位置及び形状が同一であるかどうか(つまり、新設・変更・閉鎖されたPOI/ランドマークが無いかどうか)を比較する。
【0054】
次のステップS26では、制御部23において、図6に例示した比較処理に基づいて両ルートGR1,GR2間に差異部分を検出した(YES)か否(NO)かを判定する。判定結果がYESの場合にはステップS27に進み、判定結果がNOの場合には本処理フローは「終了」となる。
【0055】
次のステップS27では、制御部23が地図データベース22を参照して、最新バージョンの地図データの中から、当該差異部分に該当するブロック単位の地図データ(地図差分データ)のみを抽出する。
【0056】
ここに、差異部分に該当するブロック単位の地図データとは、例えば図7に模式的に示すように、最新バージョンの地図データを複数のブロック単位に分割したときに両ルートGR1,GR2間に差異が生じている部分を包含するブロック単位の地図データ(図7の例では、BM1〜BM3で示す部分)をいう。
【0057】
最後のステップS28では、制御部23において抽出した地図データを地図差分データとして、通信部21を介して端末30側に配信し、地図データベース22における当該ユーザに対する地図データのバージョンに関する情報と地図差分データのダウンロード履歴に関する情報を必要に応じて更新する。そして、本処理フローは「終了」となる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係るナビゲーションシステム(サーバ10に装備された地図差分データの配信装置20、及び車載端末としてのナビゲーション装置30)によれば、端末30側でルート探索を行ったときに、当該車両の現在位置及び目的地の各位置データとユーザ識別データとをサーバ10側に送信し、サーバ10側では、受信した各データに基づき、更に地図データベース22に格納されている最新バージョンの地図データを参照して、当該目的地に到る第1のルート(端末30側で使用している現状の地図データをベースとしたもの)と第2のルート(サーバ10上の最新の地図データをベースとしたもの)を探索し、両者を比較して差異部分を検出したときに、最新の地図データの中から該当する部分のブロック単位の地図データのみを抽出し、地図差分データとして端末30側に配信するようにしている。
【0059】
このように本システムにおいては、端末30からサーバ10への転送データは各位置データとユーザ識別データのみであり、サーバ10側では、端末10側で使用している現状の地図データとサーバ10上の最新の地図データとを比較し、差異部分が検出されたときにその該当する一部分の地図データのみをダウンロードするようにしているので、通信コストの低減化及び通信時間の短縮化を図ることができ、非常に効率的である。
【0060】
また、端末30側では、ルート探索を行ったときのみ、サーバ10側からリアルタイムで配信される地図差分データに基づいて地図データが更新されるので、ユーザが意識せずに、地図データのバージョンアップを行うことが可能となる。
これによって、ユーザに対し、道路情報やPOI情報等に関して確度の高い情報案内を行うことができる。
【0061】
なお、端末30側で地図データのバージョンアップを行った場合には、別途サーバ10側に通知し、地図データベース22のユーザに関する地図データのバージョン情報を変更するようにすれば良い。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るナビゲーションシステム(地図差分データの配信装置、及び車載用ナビゲーション装置)によれば、確度の高い情報案内を行うのに必要な最新の地図データを通信により取得するにあたり、その通信コストの低減化及び通信時間の短縮化を図ると共に、ユーザにとって煩雑さを伴うことなく地図データの更新(バージョンアップ)を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のシステムにおける車載端末(ナビゲーション装置)の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1のシステムにおいて端末側が行う地図差分データの取得及びそれに基づくルート探索/表示処理の一例を示すフロー図である。
【図4】図1のシステムにおいてサーバ側が行う地図差分データの配信処理の一例を示すフロー図である。
【図5】ルート案内に係る画面表示例を示す図である。
【図6】図4の処理フローを補足説明するための図である。
【図7】地図差分データの説明図である。
【符号の説明】
10…サーバ(情報センタ)、
20…地図差分データの配信装置、
21…通信部(通信手段)、
22…地図データベース、
23…制御部(制御手段)、
30…車載端末(ナビゲーション装置)、
31a…ディスク(書き換え可能な記憶媒体)、
32…操作部(情報入力手段)、
33…通信機、
34…GPS受信機(位置検出手段)、
36…ディスプレイ装置、
40…ナビゲーション装置本体、
47…制御部(制御手段)、
52…画像合成部、
54…ユーザ識別データ格納部(メモリ手段)、
60(L,R)…表示画面、
BM1〜BM3…ブロック単位の地図差分データ、
GR1…探索した誘導経路(第1のルート)、
GR2…探索した誘導経路(第2のルート)。

Claims (10)

  1. 少なくとも最新の地図データを格納した地図データベースを有し、ナビゲーションに係る各種情報の配信サービスを行うサーバと、
    該サーバと通信可能に接続され、ナビゲーションに必要な地図データを格納した書き換え可能な記憶媒体を有し、該地図データに基づいて目的地までのルート探索を行う機能を有した車載端末とを備え、
    前記車載端末においてルート探索の指令があったときに、当該車両の現在位置及び目的地の各位置データと当該車載端末のユーザが使用中の地図データを特定するユーザ識別データとを前記サーバに送信し、
    前記サーバにおいて、前記ユーザ識別データと前記各位置データに基づき当該目的地に到る第1のルートを探索すると共に、前記地図データベースに格納されている最新の地図データを参照して前記各位置データに基づき当該目的地に到る第2のルートを探索し、
    該探索した第1及び第2のルートを比較して両者間に差異を検出したときに、
    前記最新の地図データの中から当該差異部分に該当するブロック単位の地図データのみを抽出し、該抽出した地図データを地図差分データとして前記車載端末に送信することを特徴とするナビゲーションシステム。
  2. 前記車載端末において、前記サーバから前記地図差分データをダウンロードしたときに、該地図差分データを前記記憶媒体に格納されている地図データに上書きして当該地図データを更新することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
  3. ナビゲーションに係る各種情報の配信サービスを行うサーバに装備された地図差分データの配信装置であって、
    各車両に搭載されたナビゲーション装置と通信するための通信手段と、
    少なくとも最新の地図データを格納した地図データベースと、
    前記通信手段及び地図データベースの入出力を制御する制御手段とを備え、
    該制御手段は、前記通信手段を介して前記各車両のナビゲーション装置から当該車両の現在位置及び目的地の各位置データと当該ナビゲーション装置のユーザが使用中の地図データを特定するユーザ識別データとを受信したときに、該ユーザ識別データ及び各位置データに基づいて当該目的地に到る第1のルートを探索すると共に、前記地図データベースに格納されている最新の地図データを参照して前記各位置データに基づき当該目的地に到る第2のルートを探索し、
    該探索した第1及び第2のルートを比較して両者間に差異を検出したときに、
    前記最新の地図データの中から当該差異部分に該当するブロック単位の地図データのみを抽出し、該抽出した地図データを地図差分データとして前記通信手段を介して配信することを特徴とする地図差分データの配信装置。
  4. 前記地図データベースは、更に、前記各ナビゲーション装置のユーザがそれぞれ使用中のバージョン毎の地図データと、各ユーザ毎の地図差分データのダウンロード履歴に関するデータとを格納していることを特徴とする請求項3に記載の地図差分データの配信装置。
  5. 前記制御手段は、前記探索した第1及び第2のルートを比較する際に、各々のルートが位置及び形状に関して相互に同一であるか否かの判定と共に、各々のルートに沿った周辺の道路が位置及び形状に関して相互に同一であるか否かの判定と、各々のルートに沿って周辺に存在する各種施設や物件の位置及び形状が相互に同一であるか否かの判定も併せて行い、該判定の結果に基づいて前記差異部分に該当するブロック単位の地図データのみを抽出することを特徴とする請求項3に記載の地図差分データの配信装置。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載の地図差分データの配信装置を装備したサーバと通信可能に接続された車載用ナビゲーション装置であって、
    ユーザに案内情報を提供するディスプレイ装置と、
    ナビゲーションに必要な地図データを格納した書き換え可能な記憶媒体と、
    車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
    目的地やルートを探索するために必要な情報を入力する情報入力手段と、
    前記ディスプレイ装置、記憶媒体、位置検出手段及び情報入力手段の入出力を制御する制御手段とを備え、
    該制御手段は、前記情報入力手段を介してルート探索の指令があったときに、
    前記各位置データ及び前記ユーザ識別データを前記サーバに送信し、
    前記地図差分データを前記サーバからダウンロードしたときに、該地図差分データを前記記憶媒体に格納されている地図データに上書きして当該地図データを更新すると共に、
    該更新した地図データに基づいて前記第2のルートを探索し、該探索した第2のルートを前記ディスプレイ装置の画面上に表示させることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
  7. 前記車載用ナビゲーション装置の制御手段は、前記探索した第2のルートを前記ディスプレイ装置の画面上に表示させる際に、前記サーバに送信した各位置データに基づいて探索した前記第1のルートも併せて表示させることを特徴とする請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
  8. 前記車載用ナビゲーション装置の制御手段は、前記ディスプレイ装置の画面上に前記第1及び第2のルートを相互に異なる表示態様で表示させることを特徴とする請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
  9. 前記車載用ナビゲーション装置の制御手段は、前記ディスプレイ装置に対し、画面を2分割して一方の画面上に前記第1のルートを表示させると共に、他方の画面上に前記第2のルートを表示させることを特徴とする請求項7に記載の車載用ナビゲーション装置。
  10. 前記ユーザ識別データを格納するメモリ手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置。
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