JP3941033B2 - 電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料、電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いて得られる電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、フェライト粉末や金属粉末等の電子材料粉末と混合され、あるいは混合されないで使用される電子材料組成物の重要な成分として用いられている。これらの樹脂や電子材料粉末等の電子材料は、主に電子部品用の材料として、成形材、被覆材、電極材、接合材その他に広く用いられている。
例えば電子材料としては以下の(1)〜(5)の用途が挙げられる。
(1)被覆材としては以下の▲1▼〜▲4▼が挙げられる。
▲1▼ 巻線型チップコイルでは、フェライトを含有する成形材から得られるフェライトコアに巻線をした後に、その上を被覆する外装材として用いられる。この場合には、樹脂成分を溶剤とともに混合して得た電子材料組成物を塗布し、硬化させてもよいが、フェライト粉末も混合したものも用いられる。
▲2▼ 電子部品を内装するケーシングの表面に被覆する電磁シールドの材料として用いられる。この場合には、磁性体材料粉末を樹脂成分とともに混合した混合物を成形したシートを単純に張り合わせている。なお、ケーシングそのものを金属粉末を樹脂成分とともに成形した成形体により構成することも行われている。
▲3▼ デジタルビデオカメラ、パソコン、プリンター等を接続するケーブルの被覆材として用いられる。この場合には、樹脂成分を溶融して導線ととも押し出し成形する。
▲4▼ 電子部品を搭載したプリント配線板のこれら電子部品を含む全面を被覆する被覆材として用いられる。
(2) 成形材としては、例えば巻線型チップコイルのコアを得る際の材料として用いられる。この場合、フェライト粉末を樹脂成分その他の成分とともに用いて造粒し、その粒子を用いて棒状に乾式成形した後、硬化させ、その硬化した成形体を切削加工し、両端に鍔部を有するコアを得る方法がある。このことは、切削加工は行わないが、空芯コイルの巻枠の場合についても言える。また、フェライト粉末を樹脂成分や溶剤とともに湿式混合した組成物を射出成形等により成形した後、硬化させる、いわゆる加工レスの製造法もある。
【0003】
(3)電極材としては、例えばガラスフリットと銀粉末を含有する導電ペーストが用いられ、そのペーストの塗布と、その後の焼付けにより例えばチップ部品の外部端子電極が形成されている。また、導電体粉末を樹脂成分や溶剤等ともに混合して得た導電ペーストを塗布し、焼き付けて同様な目的の外部端子電極を形成することも行われている。
(4)接合材としては、以下の▲1▼、▲2▼が挙げられる。
▲1▼ 例えばチップ部品をプリント配線板のはんだ付けランドにはんだ付けするはんだが用いられている。
▲2▼ 例えばLC積層複合電子部品のように、同種材料のグリーンシート積層体と他の同種材料のグリーンシート積層体を積層して焼成し、LC用素体とする場合には、異種材料の接触するシート部分は接着材料としての機能も有している。
この場合には、フェライ粉末又は誘電体材料粉末を樹脂や溶剤とともに湿式混合した電子材料組成物によりグリーンシートが形成される。
(5)充填材としては、例えば建築物の壁面を電磁遮蔽ボード、パネル又はタイルを継ぎ合わせて形成する場合のその継ぎ目に充填する充填材がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)▲1▼の場合には、特に品質係数Qを高めた巻線型のインダクター(LQインダクターということもある)では、外装材としては磁気特性及び環境信頼性の向上が求められている。磁気特性としては外装材にフェライトを含有させて磁束密度を向上させることが図られる。環境信頼性としては、例えばインダクターの製造をコアに巻線をした後にその両端に外部電極用として下地の電極膜を形成し、ついで外装材を巻線部分及びその下地の電極膜の内端側に塗布し、さらに残部の下地の電極膜にさらに電極層を積層して形成することにより行なう場合には、その得られた製品を寒暖の差の雰囲気下に置いても、特に亀裂の入り易い外装材と他の部材との接着界面にその亀裂を生じないことが求められる。
ところが、従来のエポキシ樹脂をフェライト粉末とともに使用した外装材を用いて巻線型インダクターを量産した場合には、その硬化性組成物を施したその硬化後の外装材はフェライトコアとの界面で剥離が多発する。これを改善するために、コア表面にシランカップリング剤による処理を行った後に外装材を塗布し、外装材とフェライトコアとの密着力を向上し、その剥離を減少させることも行われたが、リフローはんだ付けを3〜5回繰り返したり、−55℃と125℃の間を往復するヒートサイクルを100回繰り返すヒートサイクル試験を行なうと、フェライトコア近傍の外装材に樹脂内破壊(クラック)が発生するという問題が生じる。
そこで、これらの問題を生じないようなエポキシ樹脂に変わる新規な硬化性樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0005】
また、上記(1)▲1▼の場合には、多数の同種のチップ部品の集合体から個々の部品を吸着ノズルで吸着してピックアップし、プリント配線板の所定の位置にマウントする、いわゆるバルク部品のマウントにおいて、外装材が硬く、変形し難いため、吸着ノズルと外装材の被吸着面との間に隙間が生じやすく、滑りを引き起こしてピックアップされず、マウントミスを起こすという問題がある。従来は、そのマウントミスを減らすために、部品の形状の精度を向上することで対応してきたが、歩留まりを考えると限界がある。
また、上記(1)▲2▼の場合には、ケーシングの形状が複雑に屈曲したり、細かい凹凸を含むような異形状部を有するときには、電磁遮蔽シートをケーシングの壁面に密着して張り合わせることが困難であり、電磁遮蔽の十分な効果を得られないことがある。
上記(1)▲1▼、▲2▼の場合には、被覆材と被被覆体との線膨張率の差に基づく熱応力により、接合面が剥離したりあるいは被覆材の内部にクラック等の損傷を生じることがある。
また、上記(1)▲3▼の場合には、被覆材は樹脂材料からなっているので、ケーブルの導線を流れる電流により発生する電磁波が周囲に放射され、これによりケーブルの周囲の電子機器類に影響を与えてその誤動作を起こさせる原因となる、いわゆる輻射ノイズを抑制できない。そこで、従来は、アクリル変性ポリエステル樹脂を樹脂成分とする磁性材料組成物を用いた被覆材を被覆したケーブルも知られているが、そのような対策を施されていない通常の被覆電線であるケーブルについては、そのまま使用せざるを得ず、既に配線済みのものを含めて、上記の輻射ノイズを抑制できないという問題がある。
【0006】
上記(2)の場合には、最近の電子部品の小型化に伴って、コアの小型化が要求されてきているが、フエライト材料はこのコアが小型になるほど、硬くて脆い性質が顕在し易く、精密な加工が困難になり、そのため規格外のものが発生し易く、歩留まりを悪くする。また、湿式混合による電子材料組成物を用いた射出成形によるコアも靱性が小さい。これらの加工品、成形品は、例えばリフローはんだ付け工程で受ける熱応力に対するリフローはんだ付け試験では、これに耐える点からは強度面でも問題がある。
【0007】
また、上記(3)の場合には、銀粉末及びガラスフリットを使用して焼成した電極は、電子部品をプリント配線板のはんだ付けランドにはんだ付けされるが、両者はそれぞれ線膨張係数が異なるので、温度変化により両者間に応力が発生し易く、電子部品にその影響を与えることになり、電子部品が所定の性能を維持することができる耐久性に難がある。このことは、導電体粉末と樹脂成分を用いて焼付けにより形成した電極についても、その樹脂成分として、エポキシ樹脂を用いているので、その応力を緩和することができず、同様な問題がある。
また、上記(4)▲1▼の場合には、上記(3)の場合と同様に、電子部品の外部端子電極とはんだ付けランドを接合するはんだは、硬いため、変形できないので、温度変化により両者の間に発生する応力を緩和することができず、電子部品にその影響を与えることになり、電子部品の耐久性に難があり、このことは、上記(3)のことが加わることになれば、その耐久性をより一層悪くする。
また、上記(4)▲2▼の場合には、焼成時に、例えばフェライトグリーンシート積層体と誘電体材料グリーンシート積層体からなる異なる材料のグリーンシート積層体のそれぞれの積層体の収縮率が異なるので、得られた焼成体にクラックが入り易いという問題がある。その焼成体にクラックが入らない場合でも、それぞれの積層体の焼成体は線膨張率が異なるので、使用時等において温度差のある状況下に置かれると、その繰り返し数が多いほど、クラックが入りやすいという問題がある。
また、上記(5)の場合には、充填材としてシリコン系の樹脂が使用されているが、その樹脂を使用した充填体を通して建物外部から電磁波が侵入することを防止できないのみならず、電磁遮蔽ボード、パネル又はタイルの間のこの樹脂を充填した部分から、建物内部で使用しているパソコンなどの電子機器類から発生する電磁波が外部に漏洩し、その漏洩電磁波による情報漏洩のことも問題視されている。
【0008】
本発明の第1の目的は、リフローはんだ付けやヒートサイクル試験のような熱負荷時の発生応力に対して耐久性を有する電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、マウンターの吸着ノズルに吸着され易いバルク部品が得られるための柔軟性を有し、被外装体との線膨張係数の相違による熱応力にも耐性を有する外装材に用いられる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、小型化しても強度があり、歩留まりを向上できるとともに急激な温度変化にも耐性を有する成形体が得られる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、異形状表面を有するケーシングに対してもこれに適合して被覆される柔軟性を有して十分な電磁シールドを行なうことができ、被外装体との線膨張係数の相違による熱応力にも耐性を有する被覆材に用いられる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、輻射ノイズを防止することができるケーブルの被覆材や外皮材に用いられる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第6の目的は、プリント配線板に取り付けた電子部品について温度変化による応力が発生してもこれを緩和できるその電子部品用外部電極が得られる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第7の目的は、プリント配線板に取り付けた電子部品について温度変化による応力が発生してもこれを緩和できる、その取付けのための接合を行なえる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第8の目的は、部材同士の接合においてそれぞれの部材における熱処理による非可逆の膨張率又は収縮率が異なってもこれを吸収することができ、クラックが発生しない部材接合体が得られる接合材に用いられる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第9の目的は、線膨張率の異なる複数の被接合体間の接合材や、線膨張率の異なる被被覆体に被覆する被覆材として用いても、温度差のある状況下での熱応力に耐えることができる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第10の目的は、建物の電磁遮蔽用のボード、パネル又はタイルの隙間から電磁波が侵入又は漏洩しない電磁遮蔽壁に用いられる充填材が得られる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品及び電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法を提供することにある。
本発明の第11の目的は、硬化のための加熱による適用対象物の損傷を防止できる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これにより得られる電子用品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、(1)、(a)エポキシ樹脂と、(b)ポリサルファイドゴム骨格(−S−S−)を高分子中に有するポリサルファイド系ポリマーを含有し、かつ(c)磁性体材料粉末又は(d)導電体材料粉末を配合してなり、上記(a)成分と(b)成分と(c)成分を混合した混合物中に(c)成分は60vol%より多くなく、又は上記(a)成分と(b)成分と(d)成分を混合した混合物中に(d)成分は60vol%より多くないように用いた電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を提供するものである。
また、本発明は、(2)、ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドポリマーである上記(1)の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料、(3)、ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドとエポキシ系化合物との反応生成物であるポリサルファイド変性エポキシポリマーである上記(1)の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料、(4)、エポキシ系硬化剤を上記(a)成分100重量部に対して2〜50重量部の割合で含有する上記(1)ないし(3)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料、(5)、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた成形材からなる成形体を有する電子用品、(6)、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた被覆材からなる被覆体を有する電子用品、(7)、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた充填材からなる充填体を有する電子用品、(8)、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた電極材からなる電極を有する電子用品、(9)、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた接合材からなる接合体を有する電子用品、(10)、成形体が成形型による成形により得られる巻線型チップコイルの巻芯であり、該巻芯を有する巻線型チップコイルである上記(5)の電子用品、(11)、被覆体が巻線型チップコイルの巻線の上に被覆された外装体であり、該外装体を有する巻線型チップコイルである上記(6)の電子用品、(12)、被覆体がケーシングの電磁シールド用被覆体であり、該電磁シールド用被覆体を有する電子用品用ケーシングである上記(6)の電子用品、(13)、被覆体がケーブルの輻射ノイズ防止用外皮体であり、該輻射ノイズ防止用外皮体を有する輻射ノイズ防止ケーブルである上記(6)の電子用品、(14)、被覆体がプリント配線板上の実装部品を外装する外装体であり、該外装体を有するプリント配線板である上記(6)の電子用品、(15)、充填体が電磁遮蔽壁を形成する複数の電磁遮蔽ボード、パネル又はタイル間の充填体であり、該充填体を有する電磁遮蔽壁である上記(7)の電子用品、(16)、電極がチップ型電子部品の外部電極であり、該外部電極を有するチップ型電子部品である上記(8)の電子用品、(17)、接合体がチップ部品の外部電極をプリント配線板のはんだ付けランドに接合する導電性接合体であり、該導電性接合体を有するプリント配線板である上記(9)の電子用品、(18)、接合体が熱処理による非可逆の膨張率又は収縮率が互いに異なる部材同士の界面を接合する界面接合体であり、該界面接合体を介して該部材同士が接合され、熱処理されて得られる複合電子部品である上記(9)の電子用品、(19)、接合体が異なる線膨張率を有する複数の被接合体間を接合する接合体であり、該接合体を介して接合された被接合体を有する電子部品である上記(9)の電子用品、(20)、上記(1)ないし(4)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の成形体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該成形体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法、(21)、上記(1)ないし(4)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の充填体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該充填体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法、(22)、上記(1)ないし(4)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の被覆体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該被覆体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法、(23)、上記(1)ないし(4)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の外部電極を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該外部電極を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法、(24)、上記(1)ないし(4)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の接合体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該接合体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法を提供するものである。
また、(21)、ポリサルファイドゴム骨格(−S−S−)を高分子中に有するポリサルファイド系ポリマーを主成分として含有する電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(22)、 ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドポリマーである上記(21)の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(23)、ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドとエポキシ系化合物との反応生成物であるポリサルファイド変性エポキシポリマーである上記(21)の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(24)、上記(21)ないし(23)のいずれかのポリマーの樹脂とエポキシ樹脂とを混合して使用する電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(25)、エポキシ系硬化剤を含有する上記(23)又は(24)の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(26)、機能性フィラーを含有する上記(21)ないし(25)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(27)、電子材料用ポリサルファイド系樹脂組成物を用いて得られる電子材料からなる形成体が成形材からなる成形体、充填材からなる充填体、被覆材からなる被覆体、電極材からなる電極、又は接合材からなる接合体である上記(21)ないし(26)のいずれかの電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、(28)、上記(27)に記載の成形体、充填体、被覆体、電極又は接合体を有する電子用品、(29)、成形体が成形型による成形により得られる巻線型チップコイルの巻芯であり、該巻芯を有する巻線型チップコイルである上記(28)の電子用品、(30)、被覆体が巻線型チップコイルの巻線の上に被覆された外装体であり、該外装体を有する巻線型チップコイルである上記(28)の電子用品、(31)、被覆体がケーシングの電磁シールド用被覆体であり、該電磁シールド用被覆体を有する電子用品用ケーシングである上記(28)の電子用品、(32)、被覆体がケーブルの輻射ノイズ防止用外皮体であり、該輻射ノイズ防止用外皮体を有する輻射ノイズ防止ケーブルである上記(28)の電子用品、(33)、被覆体がプリント配線板上の実装部品を外装する外装体であり、該外装体を有するプリント配線板である上記(28)の電子用品、(34)、充填体が電磁遮蔽壁を形成する複数の電磁遮蔽ボード、パネル又はタイル間の充填材として電磁遮蔽コーキング材を用いて得られる充填体であり、該充填体を有する電磁遮蔽壁である上記(28)の電子用品、(35)、電極がチップ型電子部品の外部電極であり、該電極を有するチップ型電子部品である上記(28)の電子用品、(36)、接合体がチップ部品の外部電極をプリント配線板のはんだ付けランドに接合する導電性接合体であり、該導電性接合体を有するプリント配線板である上記(28)の電子用品、(37)、接合体が熱処理による非可逆の膨張率又は収縮率が互いに異なる部材同士の界面を接合する界面接合体であり、該界面接合体を介して該部材同士が接合され、熱処理されて得られた複合電子部品である上記(28)の電子用品、(38)、接合体が異なる線膨張率を有する複数の被接合体間を接合する接合体であり、該接合体を介して接合された被接合体を有する電子部品である上記(28)の電子用品、(39)、上記(21)ないし(26)のいずれかの電子材料組成物を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の成形体、充填体、被覆体、外部電極又は接合体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該成形体、該充填体、該被覆体、該外部電極又は該接合体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系樹脂組成物の使用方法を提供するものである。
【0010】
本発明において、電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物はポリサルファイド系ポリマーを主成分として含有するが、ポリサルファイド系ポリマーとは、ポリサルファイドゴム骨格(−S−S−)を高分子中に有するポリマーであり、サルフアイド基を多数有するポリサルファイドを主成分に有するポリマーであってもよく、ポリサルファイドポリマーそのものでもよい。ポリサルファイドは、例えば一般式 HS−(・・・−SS)n ・・・−SH(但し、「・・・」はサルファイド結合、炭素−炭素結合、エーテル結合等からなる骨格を有する有機基であり、nは0を含む整数である。)で表され、次のように酸素により脱水反応し、これが例えば上記の各ポリサルファイド分子の末端で起こる。酸化剤の存在下では、常温硬化性を持たせることができる。
・・・−SH + HS−・・・ + O →・・・−SS−・・・
ポリサルファイドの分子としては、具体的には、次のものが挙げられる。
HS−C2 H4 OCH2 OC2 H4 −SS−C2 H4 OCH2 OC2 H4 −SHこのような具体的化合物は、建築物用コーキング材の成分として使用されているものもあり、公知であり、市販されているものもある。
【0011】
ポリサルファイド系ポリマーは、ポリサルファイドとその他のポリマーや化合物の成分との反応物でもよく、エポキシ基その他の反応性官能基を導入することによって、その反応性官能基による硬化性を持たせたものでもよい。
上記ポリサルファイドとエポキシ化合物の反応生成物であるポリサルファイド変性エポキシポリマーからなるポリサルファイド変性エポキシ樹脂としては、チオール基(−SH)とエポキシ基との反応により得られるポリマーからなる樹脂が挙げられ、例えば下記一般式〔化1〕に示す反応により得られる直鎖高分子であって、その平均重量分子量が1000〜22000のポリマーからなる樹脂が挙げられる。また、下記一般式〔化1〕に示す反応により得られる反応生成物を基本骨格としてその両端のエポキシ基にさらにポリサルファイドポリマーが重合し、その末端チオール基にさらにエポキシポリマーが重合して得られる直鎖高分子であって、その平均重量分子量が1000〜22000のポリマーからなる樹脂であり、繰り返しの重合で最後に得られる末端基がエポキシ基となるように配合当量比を調整した樹脂も挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
(但し、Rはポリサルファイドポリマーの両末端を除く残基の-(C2H4-O-CH2-O-C2H4-S-S)n-C2H4-O-CH2-O-C2H4-を表わし、R’は-C6H4-CH2-C6H4- (C6H4はベンゼン環)を表わす。)
反応成分と生成物の鎖の伸び性を図1に模式図で示す(一般式〔化1〕のR、R’も示されている。)。
この際の具体的なエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(以上、大日本インキ化学工業社製)、エポセット(BPA328)、エポセット(BPF307)(以上、日本触媒社製)が挙げられる。
上記反応生成物のように両端にエポキシ基を有するもののみならず、高分子末端の一方その他分子中にエポキシ基を有するポリサルファイド変性エポキシポリマーからなる樹脂は、硬化剤と併用することにより硬化させることもでき、潜在型硬化剤(常温では硬化剤としての機能を発揮し難いが加熱すると硬化剤としての機能を発揮する硬化剤)を使用すれば、通常の塗料と同じ作業性を維持しながら、硬化樹脂からなる成形物や塗布膜を得ることができる。
【0014】
ポリサルファイドポリマーのようなポリサルファイド、エポキシ化合物、上記のポリサルファイド変性エポキシポリマーその他のエポキシ化合物の代わりに他の反応性化合物を用いたポリサルファイド変性硬化性ポリマーは、その1種又は2種以上を混合して使用し、必要に応じてその他の硬化性ポリマー、ゴムを含む非硬化性ポリマーや、潜在型硬化剤等の硬化剤、その他充填剤やカップリング剤等の添加剤の少なくとも1種とともに用いて電子材料用硬化性樹脂組成物とし、その硬化物の成形物や塗布膜を得るようにしてもよい。この場合にも、図1の模式図に示す伸びの小さい骨格に伸びの大きい骨格を付加することができる。
硬化剤としてはイミダゾール型アミンアダクト、直鎖型ジカルボヒドラジド等を挙げることができる。具体的にはPN−H、MY−H(以上、味ノ素(株)製)が挙げられる。
【0015】
上記ポリサルファイド系ポリマーを主成分に有する硬化膜は、柔軟性があるとして知られているシリコーン系樹脂の硬化膜と比較すると、Tgは同等か低く、上述した接合材、電極材等に用いられた場合には熱応力に対する緩和性が同等か優れる。また、エポキシ樹脂の硬化膜に比べても、耐溶剤性、耐薬品性、金属その他に対する密着力の耐熱性は同等程度か優れ、例えば230℃より酸化がようやく始まる程度である。
また、上記ポリサルファイドを含有する樹脂材料組成物は、シリコーン系樹脂に比べて、供給する酸素の量を加減することにより硬化を制御し易く、また、エポキシ基を導入したポリサルファイド系ポリマーもその硬化度を制御し易く、Bステージ、すなわち半硬化状態(硬化量が半分より多い場合、少ない場合もその程度を問わず含む)で対象物の具体的形状に即して被覆や充填等を行うことができ、その対象物が異形状部を有する場合であってもこれによく適合させ、その後に完全に硬化させることができる。このように、シリコーン系樹脂やエポキシ樹脂に優るとも劣らない特徴を備え、その適用にも融通性があり、その使用方法において優れているといえるが、これら樹脂と併用して、ポリサルファイドやその他のポリサルファイド系ポリマーとこれらの樹脂のポリマーを反応させてもよい。
【0016】
上記ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマー成分は、上記のその他の成分とともにエポキシ基含有反応性希釈剤その他の非反応性溶剤を含む溶剤とともに配合されてもよく、その樹脂材料組成物そのものも電子材料組成物として用いられるが、フェライト粉末等の磁性体材料、銀粉、銅粉等の金属粉やカーボン粉末等の導電性粉末、充填剤等の機能性フィラー等の電子材料粉末と混合して用いることにより、導電体材料組成物、磁性体材料組成物等の電子材料組成物としても用いられる。
上記ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマー成分を磁性体材料粉末とともに混合して用いる場合には、磁性体材料粉末0〜60vol%、上記ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマー成分40〜100vol%を混合し、これらに対して、必要に応じて他の樹脂や溶剤その他の添加剤を加えて磁性体材料組成物を得る。
【0017】
また、上記ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマーを導電体材料粉末とともに混合して用いる場合には、導電体材料0〜60vol%、上記ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマー40〜100vol%を混合し、これらに対して、必要に応じて他の樹脂や溶剤その他の添加剤を加えて、導電体材料組成物を得る。導電体材料粉末としては、銀、銅、アルミニウムその他の金属の粉末、カーボンブラックが挙げられる。フラーレン(C60、C70型カーボン)も使用できる。なお、上記の例えば「0〜60vol%」は「60vol%以下」、「60vol%より多くない」としてもよく、その他の「0〜」の場合もこれに準ずる。
【0018】
本発明における電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物は、樹脂成分をフェライト粉末、導電体粉末、その他の充填剤粉末等の機能性フィラーのような電子材料粉末とともに混合して用いる場合と、これらの電子材料粉末を用いない場合がある。前者としては、適宜電子材料粉末の種類を選択することにより、被覆材、成形材、電極材料、接合材及び充填材として使用する場合が挙げられるが、後者としても、これらの各材料として使用できるものもあり、例えば巻線型チップコイルの外装材として使用する場合が挙げられる。いずれの場合も、以下の物性を有することができる。
まず、電子材料粉末を用いない樹脂材料組成物の場合には、その硬化物は、少なくとも下記(a)、(b)の特性を有することができる。
(a)温度に対する剛性率の変化においてガラス状態からゴム状態に移行する過程におけるガラス転移温度が−50〜50℃である剛性率の温度特性
(b)該ゴム状態において105 Paないし107 Pa未満の剛性率
ここで、温度に対する剛性率は、ガラス状態からゴム状態に移行する過程においては、その変化率が大きく、その変化率の大きいことにより、その変化率の小さいガラス状態やゴム状態と区別することができるが、その変化率の大きい範囲の変化曲線に対応する温度範囲にガラス転移温度があり、Tgで表示する。
動的粘弾性の観点からいえば、ポリマーの弾性要素の大きさを表す動的貯蔵弾性率(G’)は、温度の上昇に伴い低下するが、熱可塑性樹脂がゴム域でもG’が低下し続けるのに対し、架橋型のポリマーはゴム域ではG’が低下し続けることはなく、平坦又は上昇する。一方、ポリマーの粘性要素の大きさを表す動的損失弾性率(G’’)と温度関係は、極大点をもつ曲線で示され、また、力学的損失(損失正接)tanδ(δは位相角(応力と歪みベクトルの位相差))は、応力とひずみの単振動の位相差から測定でき、系に与えられた力学的エネルギーが発熱のために失われる程度を示すスケールとなるが、曲線G’’、tanδのピーク値を示す温度が動的測定のTg(ガラス転移温度)となり、これを上記のガラス転移温度Tgとしてもよい。このTgを高めるには架橋密度の増大をはかったり、フェニル核等の核構造濃度の高いポリマーを設計し、Tgを低くするには架橋密度をルーズにしたり、例えば脂肪酸のアルキル鎖のポリマーへの導入や可塑剤を混合すればよい。なお、詳細は「最新 顔料分散技術」(1993年、技術情報協会発行、第53〜54頁、2.1項)を参照するこができる。
上記(a)、(b)の特性の点からは、従来の電子材料分野に使用されるエポキシ樹脂の硬化物は、Tgは50℃より大きく、ゴム状態における剛性率は108 Pa以上であることが一般的であり、一方、通常の弾性の大きい架橋したゴムは、Tgは−50℃よりは倍以上も低いのが一般的である。本発明は、上記(a)、(b)の両方の特性を有するものを電子材料として使用する点に従来にない特徴があり、柔軟性、靱性、熱応力に対する耐性等を備えることができる。なお、本発明で使用する樹脂成分は、硬化性であることにより、熱可塑性のものとは区別されている。Tgが大き過ぎると、上記したリフローはんだ付け試験等において温度差のある状況下に置かれた場合の耐性がよくなく、これが小さ過ぎると、架橋密度が低く、耐熱性が低くなる。また、剛性率が大きすぎると、熱応力や機械的応力の緩和性が低下し、剛性率が小さ過ぎると保形性が低下する。
【0019】
このように、本発明において使用する電子材料用硬化性樹脂組成物は、上記(a)、(b)の特性を有することにより他の樹脂成分と差別化することができるが、これらの特性にさらに下記(c)の特性を加えることにより、さらに一層よく差別化することができる。
(c)−50℃において5%の剪断歪によっても破壊しない伸長性
この(c)の特性は、破壊を起こすことなく外力を吸収できる外力の吸収性を示すもので、従来の電子材料分野に使用されるエポキシ樹脂の硬化物は、−50℃における5%の剪断歪によっては破壊を起こし、本発明に用いる樹脂材料組成物と対比すると、この(c)の特性の点では、上記(b)の特性の場合よりもその差は大きいということができる。
【0020】
磁性体材料組成物、導電体材料組成物その他のこれらに準じて得られる材料組成物を含む電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の硬化物の物性値は次のようにすることができる。
(d)温度に対する剛性率の変化においてガラス状態からゴム状態に移行する過程におけるガラス転移温度が−50〜50℃である剛性率の温度特性
(e)該ゴム状態において106 Paないし108 Pa未満の剛性率
このように、本発明において使用する樹脂成分は、上記(d)、(e)の特性を有することにより他の樹脂成分を用いた同様の組成物と差別化することができるが、これらの特性にさらに下記(f)の特性を加えることにより、さらに一層よく差別化することができる。
(f)−50℃において2%の剪断歪によっても破壊しない伸長性
なお、これらの(d)〜(f)の特性において、用語の意味や、それぞれの特性の機能は上記(a)〜(c)の特性について述べた場合に準ずる。
このような電子材料用の硬化性樹脂組成物を用いると、電子部品その他の電子用品用の材料として従来にない優れた効果を発揮することができる。
例えば硬化剤の使用量の調整による硬化物物性として架橋点間密度の減少や、ポリサルファイドゴム骨格の高分子骨格に占める割合を多くすることによりゴム分子鎖の絡み合いにより、ガラス転移温度を低下させることができるとともに、低剛性率でありながら破断伸びに優れた特性を発揮させることができる。その結果として、樹脂硬化時の残留応力の低減化や、熱負荷により発生した応力の緩和を同時に実現できる。
【0021】
具体的には、まず、上記磁性体材料組成物を巻線型チップコイルの巻線の上に外装材として用いる場合には、樹脂の硬化条件として、溶剤揮発量を低減化又は無溶剤化して乾燥工程を見直すとともに、硬化樹脂の物性としてガラス転移温度を低下させて、ガラス転移温度以下で大きく発生する残留応力を低減させ、これらにより初期硬化、冷却時の残留応力を低下させることができる。また、ガラス転移温度の低下、ガラス状態での剛性率低減(発生応力低減)、弾性内(限界)伸び率の向上(ガラス転移温度以下における発生応力吸収)により繰り返し熱負荷時の発生応力を低減又は吸収を行うことができ、外装材のコアからの剥離やクラックの発生を抑制することができる。
上記の無溶剤化を行うには、例えばエポキシ含有溶剤等の反応性希釈剤を使用することにより実現でき、ガラス転移温度の低減は架橋密度を低減させ、長分子鎖による絡み合い分子の増加により実現でき、ガラス状態の剛性率の低下は可撓性付与剤として例えば変性型シリコーンオイルを併用してもよい。これらにより、ガラス転移温度を常温(25℃)以下、破断伸び率を5%以上(但し例えばフェライト粉末等の電子材料粉末を50vol%添加した場合でも)、無溶剤化、ガラス状態でのヤング率を現状量産品の半分程度にすることができる。
ガラス状態での伸び率を向上する方法としては、主剤による硬化物性改良を行なってもよい。このためには、上述したエポキシ樹脂とポリサルファイドポリマーを事前に反応させたポリサルファイド変性エポキシポリマーを用いることが好ましい。
また、巻線型チップコイルのコアに巻線をし、その上に設ける外装材として上記磁性体材料組成物あるいは上記樹脂材料組成物を用いると、マウンターの吸着ノズルが吸着する被吸着体の部位である、巻線型チップコイルの外装材部分は低弾性率の柔軟なポリマー成分を用いることで、吸着ノズルの接触面の形状に沿った形に外装材が変形し、両者の間に隙間が生ぜず、その結果滑りがなくなり、マウントミスを低減することができる。マウント後は元の形状に復元し、部品の外形上不利になることはない。
【0022】
上記磁性体材料組成物を成形材に用いて、巻線型チップコイルのコアについて射出成形等による成形体を得ると、主に低弾性率で柔軟性のあるポリマー成分等を使用したことにより、リフローはんだ付け性、衝撃に対する靱性を向上し、しかも電気特性を左右するフェライトの充填量をポリマーの柔軟性に見合って増加させることができる。これにより、切削加工の必要のない、いわゆる加工レスで、形状の自由度が大きく、小型化が可能であり、高い精度を必要とすることなく、歩留まりがよいとともに、高機能化を実現することができるコアを得ることができる。そして従来にない低コスト、高機能の巻線型チップコイルを得ることができる。
また、外装体の樹脂等の異なる熱膨張係数等にともなう応力の吸収、チップの微細化に伴う耐衝撃性の向上を上述したように樹脂の低弾性率化、ガラス転移温度の低水準化、高伸び率により、低残留応力化を図り、発生応力を緩和することにより実現できる。
【0023】
また、上記磁性体材料組成物を使用してケーシングの壁面に被覆すると、ケーシングに内装した電子部品に影響を及ぼす外部からの電磁波を遮蔽し、ノイズを除去することができる電磁シールド層を形成することができる。この場合、ポリマー成分を半硬化状態にして用いることによりゲル状にし、パテ状にした磁性体材料組成物を被着体にコートし、加熱すると、全く未硬化のポリマーを用いた場合より、作業性が著しく向上する。ポリマーを半硬化状態あるいは全く未硬化状態で用いるいずれの場合も、磁性材料組成物を離型性を付与したフィルム上にキャステングするか、あるいは押し出し成形等によりシート状にし、このシートを被着体に加熱しながら密着させてもよい。このようにして用いるいずれの場合も、従来のように電磁遮蔽シートを射出成形で製造する面倒がないだけではなく、使用するポリマーは低弾性率で柔軟性を有するので、異形状表面にも適合するとともに被着体によく密着し、繰り返しの寒暖の温度差にも耐える、ケーシング用の電磁遮蔽シート層を形成することができる。
上記の外装材、被覆材として使用するいずれの場合も、温度差のある状況下に置かれた場合の熱応力に対して優れたその応力緩和性を示すことができる。
また、ケーブルの導線の被覆材としては、上記磁性材料組成物を導線とともに押し出し成形するか、あるいは従来のケーブルの被覆材の上に塗布又は押し出し成形することにより用いることができるが、この場合も、ポリマー成分は常温で低弾性率で柔軟性があり、輻射ノイズを防止することができるケーブルを提供することができる。
【0024】
また、電子部品の外部電極材としては、上記導電体材料組成物からなる導電材料ペーストを用いて電子部品に塗布し、その塗膜を焼き付けて用いる。得られた外部電極は表面に銅メッキ、ニッケルメッキ等を施してからプリント配線板にはんだ付けにより取付けてもよい。この場合も、ポリマー成分は柔軟性があり、骨格がゴム弾性を有するので、応力緩和性があり、リフローはんだ付け性に優れ、プリント配線板に取り付けた電子部品の耐久性を向上することができる。この外部電極材には上記の巻線コイルの外装材と同様の特性を持たせることも好ましい。
この際、外部電極をはんだ付けする代わりに、上記導電材料ペーストを上記外部電極あるいは従来の材料からなる外部電極と、プリント配線板のはんだ付けランドのいずれかに塗布し、加熱することにより、電子部品の接合材とすることかできる。この際、加熱条件は、リフロー加熱炉を用いて、例えば常温〜160℃、数分〜20分加熱すればよく、従来のロジン系物質を用いたはんだペーストの場合には、260℃、5〜10分加熱したことに比べれば、低い温度で硬化が可能であり、プリント配線板の搭載部品への温度による損傷を小さくすることができる。
また、例えばLC積層複合電子部品のインダクタ部とコンデンサ部に対応するそれぞれのグリーンシート積層体の間に、上記(a)〜(b)又は(a)〜(c)の特性を有する樹脂材料組成物、また、上記(d)〜(e)又は(d)〜(f)の特性を有する適宜充填材粉末を含有させた電子材料組成物を用いて得られる接合材を介在させると、主としてポリマー成分の低弾性率で柔軟性等により、焼成時にそれぞれのグリーンシート積層体が収縮率の相違により応力を発生してもこれを緩和し、焼成体にクラックが入るのを防止することができる。
また、上記インダクタ部とコンデンサ部に対応するそれぞれのグリーンシート積層体の焼成体を形成し、その間に上記(d)〜(e)又は(d)〜(f)の特性を有することができる電子材料組成物を用いて接合したLC素体のように、線膨張率の異なる被接合体をこの電子材料組成物を用いて接合すると、温度差のある状況下に置かれた場合の熱応力に対して緩和性をよく発揮できる電子部品等を得ることができる。
また、建物の外壁の電磁遮蔽ボードやタイルの継ぎ目に充填するコーキング材として、上記磁性体材料組成物を用いると、繰り返しの寒暖の温度差にさらされても、主としてポリマー成分の低弾性率で柔軟性等により、クラックが入ることがなく、耐熱性、耐候性に優れるとともに、電磁遮蔽効果を向上することができる。この際、コーキング材は常温硬化させることもできるので、この点でも便利である。
【0025】
このように、本発明の電子材料用硬化性樹脂組成物は、各種用途に使用できるが、その用い方として、上述したように、例えばケーシングの電磁シールド層や、ケーブルの被覆材や外皮材を押し出し成形する場合のように、ポリマー成分を半硬化状態にして用いることができるが、これらの用途に限らず、上記のその他の用途においても、同様にポリマー成分を半硬化状態にした組成物を用いることができ、これにより、加熱温度、加熱時間を制御することができ、例えば適用する電子部品や電子用品の熱による損傷を無くしたり、少なくすることができるとともに、その他の利点を有することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物は、電子部品等の電子用品に適用され、本発明はその電子用品も含み、この電子材料組成物の使用方法も提供するものであり、詳細は後述の実施例で述べる。
ポリサルファイド系ポリマー又はこれとその他のポリマー成分を電子材料粉末やその他の成分とともに併用しあるいは併用しないで混合して用いる場合には、以下の配合を例示することができる。
(a) エポキシ樹脂とポリサルファイド樹脂を混合して使用する場合
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100重量部
ポリサルファイド樹脂 10〜240重量部
硬化剤 2〜50重量部
機能性フィラー 0〜2300重量部
シリカ(充填剤) 0〜130重量部
シランカップリング剤 0〜120重量部
溶剤 0〜540重量部
(b) ポリサルファイド変性エポキシ樹脂とポリサルファイド樹脂を混合して使用する場合
ポリサルファイド変性エポキシ樹脂 100重量部
ポリサルファイド樹脂 0〜200重量部
硬化剤 2〜50重量部
機能性フィラー 0〜2300重量部
シリカ(充填剤) 0〜130重量部
シランカップリング剤 0〜120重量部
溶剤 0〜540重量部
(c) エポキシ樹脂( ゴムフィラー分散系樹脂) とポリサルファイド樹脂を混合して使用する場合
エポキシ樹脂( ゴムフィラー分散系樹脂) 100重量部
ポリサルファイド樹脂 10〜200重量部
硬化剤 2〜50重量部
機能性フィラー 0〜2300重量部
シリカ(充填剤) 0〜130重量部
シランカップリング剤 0〜120重量部
溶剤 0〜540重量部
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(重量平均分子量380でエポキシ当量190)は大日本インキ化学工業社製、ポリサルファイド樹脂はポリサルファイドポリマーの樹脂で東レ社製のチオコールLP3(上記一般式〔化1〕で表される重量平均分子量1000のポリマーの樹脂)、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂は東レ社製のチオコールFLEP60(重量平均分子量560でエポキシ当量280のエポキシ樹脂と上記一般式〔化1〕で表される重量平均分子量1000のポリマーの反応生成物からなる樹脂)、エポキシ樹脂はビスフェノールF型エポキシ樹脂(重量平均分子量420でエポキシ当量210)は日本触媒化学社製エポセット(BPF307)、ゴムフィラーは日本合成ゴム社製の架橋NBRエラストマー、硬化剤は味ノ素社製のPN−H、機能性フィラーはフエライトパウダー(Ni−Znフェライト(太陽誘電社製)等)、銀粉等の金属粉末、シリカは日本シリカ社製SS50、シランカップリング剤は日本ユニカ社製のγアミノプロピルエトキシシラン、溶剤は酢酸2−エトキシエチルを挙げることができるがこれらに限らない。これらは上記樹脂成分に機能性フィラーを混練し、硬化剤(潜在型硬化剤)を添加した高信頼型一液加熱硬化性樹脂組成物とすることができる。
【0027】
上記の電子材料用硬化性樹脂組成物その他の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物が適用される電子部品等の電子用品の一例は図2〜6に示される。
図2に示すように、1は両端に鍔部を有するコア2の中央凹部に巻線3、コア2の両端鍔部に外部端子電極4、4を有し、さらにその巻線3の上に被覆材による外装体5を有する巻線型チップコイルである。この巻線型チップコイルは、プリント配線板6の回路パターンのはんだ付けランド6a、6aに上記電極4、4が接合材による接合体7、7により接合されている。
図示省略したが他のチップ部品も同様にして所定のはんだ付けランドに取り付けられ、これら部品を含むプリント配線板6の全面には被覆体8が設けられている。
また、図3に示すように、9は電磁遮蔽ケーシングであり、ディスプレー部10とその他の電子部品が内装される本体11とからなり、両者の間に段部12が設けられ、このケーシング外壁の全面に電磁シールド層13の被覆体が設けられている。
また、図4に示すように、14はLC積層複合電子部品であり、コンデンサ部15とインダクタ部16の間に接合体17が介装され、その両端には外部端子電極18、18、その中央にコンデンサの接地側外部端子電極19が形成されている。
また、図5に示すように、20は輻射ノイズ防止用ケーブルであり、被覆電線21であるケーブルの外周に外皮体22を有する。
また、図6に示すように、23は建物の外壁であり、電磁遮蔽ボード、パネル又はタイル24、24・・の継ぎ目に電磁遮蔽コーキング材が充填され、充填体25、25・・が形成されている。
【0028】
このような電子用品において、上記コア2の成形材、電磁遮蔽ケーシング9の電磁シールド層13の被覆体の被覆材としては、ポリサルファイド系ポリマー又はこれとエポキシ樹脂を併用したポリマー成分、フェライト等の磁性体材料粉末、その他の成分として各種添加剤を添加してもよい磁性体材料組成物を用い、コア2については射出成形により成形し、電磁シールド層13についてはさらに溶剤を加えた流動性のある磁性体材料組成物そのものを適用してもよいが、そのポリマー成分を例えば空気中で加熱することにより半硬化状態とし、ゲル状としたパテ状のものを生成し、これをケーシング外壁の全面に加熱しながら供給する。
また、上記巻線型チップコイルの巻線3上の外装体5の被覆材、上記LC積層複合電子部品14の接合体17の接合材としては、ポリサルファイド系ポリマー又はこれとエポキシ樹脂を併用したポリマー成分、その他の成分として溶剤を含有した流動性のある樹脂材料組成物を用い、前者については例えば管状体による注入により、後者についてはグリーンシートを作成してこれをコンデンサ部15、インダクタ部16のそれぞれのグリーンシート積層体の間に挟持し、圧着して焼成する。これらの場合に、上記磁性体材料組成物を用いてもよい。
この場合、各グリーンシート積層体を別々に焼成し、そのそれぞれの焼成体を上記接合材の樹脂材料組成物により接合し、硬化させ、これをLC素体とし、これ以降は図4の場合と同様にしてLC積層複合電子部品を得るようにしてもよい。
また、上記巻線型チップコイルの外部端子電極4、4、上記LC積層複合電子部品14の外部端子電極18、18及び19の電極材としては、ポリサルファイド系ポリマー又はこれとエポキシ樹脂を併用したポリマー成分、金属粉末等の導電体材料粉末、その他の成分として溶剤を含有した流動性のある導電体材料組成物を用い、これを各チップの所定の外面に塗布して焼き付ける。
また、上記巻線型チップコイルの電極4、4とはんだ付けランド6a、6aとの接合体の接合材としては、上記電極材と同様の材料をリフローはんだ付けに準じて、はんだ付けランド6a、6aにその材料を塗布し、その上に上記巻線型チップコイル1を載置し、加熱硬化させる。
また、上記建物の外壁用のコーキング材については、上記磁性体材料組成物を用いて例えば充填器により充填し、常温硬化させる。
なお、硬化は架橋を含むものである。
【0029】
このようにすると、ポリサルファイド系ポリマー又はこれとエポキシ樹脂を併用したポリマー成分を用いた電子材料組成物は、その硬化物が上記(a)〜(b)又は(a)〜(c)の物性値を有し、いわゆる低弾性率で柔軟性があるので、この電子材料組成物を用いて得られた外装体等の被覆体、電極、接合体は熱負荷時の発生応力に対しても剥離し難く、クラックが入り難く、リフローはんだ付け性がよいとともに、応力緩和性を有することができ、上述した特性を示すことができる。
また、ポリサルファイド系ポリマー又はこれとエポキシ樹脂を併用したポリマー成分と電子材料粉末を用いた電子材料組成物は、その硬化物が上記(d)〜(e)又は(d)〜(f)の物性値を有し、この組成物を用いて得られた成形体、被覆体、接合体、充填体も、熱負荷時の発生応力に対しても剥離し難く、クラックが入り難く、リフローはんだ付け性がよいとともに、応力緩和性を有することができ、上述した特性を示すことができる。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1(巻線型チップコイルのコアの成形)
以下の配合物をロールミル又は攪拌分散機により混合し、磁性体材料組成物を製造する。
(配合物)
エポキシ樹脂(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂) 100重量部
ポリサルファイド樹脂(チオコールLP3) 210重量部
硬化剤(MY−H) 20重量部
フィラー(Ni−Znフェライト) 2000重量部
シリカ(SS−50) 23重量部
カップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン) 20重量部
離型剤(カルナバワックス) 10重量部
得られた磁性体材料組成物(磁性体材料粉末55体積%)を射出成形により、成形し、空気中、150℃、30分加熱して硬化させ、図1に示すコア(巻芯)を得る。
得られたコアについて、上記(d)〜(f)の物性値を、(d)、(e)については、動的粘弾性法による剛性率の温度分散挙動の測定によりグラフ(G’、G’’の温度(℃)依存性)で求めた。また、(f)については、動的粘弾性法による剛性率の時間分散挙動の測定により求めたところ、そのグラフ(G’、G’’の時間(秒)依存性)では破断を示す非直線性は確認されなかった。グラフは、G’〔Pa〕は動的貯蔵弾性率、G’’〔Pa〕は動的損失弾性率、tanδ(δは位相角(応力と歪みベクトルの位相差))は力学的損失(損失正接)である(以下、同様)。なお、具体的測定は、「ARES機器操作ガイド(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)」に準じて行った(以下、同様)。
以上の結果、G’’、tanδによるガラス転移温度は−20〜−10℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は5×107 Paであった。
また、図2に示すように得られたコアに巻線を施した巻線型チップコイル100個について、リフローはんだ付け工程で電子部品が加熱される最高温度に近い250℃に加熱してから常温に冷やす操作を1サイクルとして、500サイクル後にコアにおけるクラックや破損の有無を調べるヒートサイクル試験を行なったところ、クラックや破損の見られたものはなかった。
【0031】
上記実施例1の配合物の代わりに以下の配合物を用いた以外は同様のことを行ってもほぼ同様の結果が得られた。
(配合物)
ポリサルファイド変性エポキシ樹脂(FLEP60) 100重量部
ポリサルファイド樹脂(チオコールLP3) 149重量部
硬化剤(PN−H) 10重量部
フィラー(Ni−Znフェライト) 1245重量部
シリカ(SS−50) 7重量部
カップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン) 12重量部
溶剤(酢酸2エトキシエチル) 194重量部
【0032】
実施例2(巻線型チップコイルの巻線の外装)
以下の配合物をボールミル、ロールミル又は攪拌分散機散により混合し、粘度2〜6Pa・s(ブルックフィールドB型粘度計で4号ローターを使用した50rpm(毎分50回)における値、以下同様)の磁性体材料組成物を製造する。
(配合物)
アクリルゴム含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂 100重量部
(エポセットBPF307)
ポリサルファイド樹脂(チオコールLP3) 200重量部
硬化剤(PN−H) 10重量部
フィラー(Ni−Znフェライト) 1500重量部
シリカ(SS−50) 18重量部
カップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン) 20重量部
溶剤(酢酸エトキシエチル) 180重量部
この磁性体材料組成物を図2の巻線3の上にノズルにより注入し、乾燥させた後、空気中、150℃、20分加熱して硬化させた。
硬化した外装体(フィラー合計50vol%)について、実施例1と同様に、上記(d)、(e)を測定し、グラフを得た。また、上記(f)の試験を行ったところ、その特性を満たすものであった。グラフから、G’’、tanδによるガラス転移温度は−20℃〜20℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は約8×106 Paであった。
得られた巻線型チップコイル100個について、リフローはんだ付け工程で電子部品が加熱される最高温度に近い250℃に加熱してから常温に冷やす操作を1サイクルとして、500サイクル後にコアにおけるクラックや破損の有無を調べるヒートサイクル試験を行なったところ、外装体についてクラックや剥離の見られたものはなかった。
なお、磁性体材料粉末としてNi−Zn系フェライトパウダーを使用したが、これを使用しない以外は上記と同様の電子材料組成物を用いて上記と同様にして被覆し、外装してもよく、また、フィラーを使用しない以外上記と同様の樹脂材料組成物を用いて上記と同様にして被覆し、外装してもよく、この場合には、その硬化した外装体は、上記(a)、(b)を上記(d)、(e)と同様に測定してグラフを得た。上記(c)を上記(f)と同様に測定したところ、その特性を満たすものであった。グラフから、G’’、tanδによるガラス転移温度は−30〜−10℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は5×106 Paであった。
得られた巻線型チップコイル10000個についてその巻線の外装体をマウンターの吸着ノズルにより吸着し、プリント配線板の所定の位置にマウントしたところ、マウントミスは1個もなかった。
なお、巻線型チップコイル全体を上記磁性体材料組成物、樹脂材料組成物により被覆し、上記と同様に硬化させ、巻線型チップコイルを外装してもよい。
【0033】
実施例3(ケーシングの電磁シールド層の形成)
実施例2で用いた磁性材料組成物を空気中、150℃、10分加熱して樹脂成分を半硬化状態にしてゲル状とし、このようにして得られたパテ状のものを図3のディスプレー11及び本体12のケーシングの外壁にホットメルト塗装法により塗布し、さらに型押しによる成形を行ない、乾燥させた後、150℃、60分加熱して硬化させ、電磁シールド層13を形成する。
この電子シールド層については、上記磁性体材料粗製物の硬化物の物性値とほぼ同様の物性値を示す。
電磁シールド層13は段部12の角隅部にも密着して形成されており、−50℃〜+80℃の寒暖の繰り返し500回のヒートサイクル試験においても、電磁シールド層13の損傷やケーシングからの剥離は見られなかった。
なお、上記磁性材料組成物を図4に示す外皮体22の外皮材や、被覆電線21に被覆する被覆材として上記に準じて使用してもよく、このような処置を施されたケーブルは複雑な屈曲にも耐えることができ、上記のヒートサイクル試験にも耐えることができる。
【0034】
実施例4(電極の形成)
以下の配合物をボールミル、ロールミル又は攪拌分散機により混合し、粘度2〜6Pa・sの導電体材料組成物を製造する。
(配合物)
アクリルゴム含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂 100重量部
(エポセットBPF307)
ポリサルファイド樹脂(チオコールLP3) 188重量部
硬化剤(PN−H) 10重量部
フィラー(Ag粉末) 2600重量部
溶剤(酢酸エトキシエチル) 280重量部
得られた導電体材料組成物をディッピング法により図2の巻線型チップコイルの両端面にディップし、加熱条件150℃、60分で硬化させ、図2に示す外部電極4、4を形成する。硬化膜(フィラー合計55体積%)の厚さは50μmであった。
得られた外部電極の物性を調べるために、離型性のあるフィルムにスクリーン印刷により厚さを0.2mmとしたこと以外は同様に試験片を作成し、これについて、上記(d)〜(f)の物性値を、実施例1のコアの場合と同様に測定したところ、(d)、(e)については実施例1に示す場合とほぼ同様であり、(f)についてはその特性を満たすものであった。
また、その試験片100個について実施例1と同様のヒートサイクル試験を行ったところ、損傷の見られるものはなかった。
なお、図4に示すLC積層複合電子部品の外部端子電極18、18及び19についても同様にして形成できる。
【0035】
実施例5(チップ部品の電極とプリント配線板のはんだ付けランドとの接合)
実施例4で用いた導電体材料組成物をスクリーン印刷により、図2に示すプリント配線板6のはんだ付けランド6a、6aに塗布し、巻線型チップコイル1の電極4、4(実施例4による電極)をその未乾燥塗布膜の上に載置し、それから150℃、60分加熱して硬化させ、図2の接合体7、7とする。
この接合体は実施例4の試験片とほぼ同様の性能を示す。
【0036】
実施例6(LC積層複合電子部品の製造時のグリーンシート積層体の接合)
図7に示すように、フェライトグリーンシート31、31・・・には、図8に示すように、各フェライトグリーンシート毎にコイルパターン31a、31b、31c、31dを形成し、それぞれコイルパターン31a、31b、31dを各別に形成した3枚のインダクタ用フェライトグリーンシートを順次重ね、その下にさらにコイルパターン31b、31cを各別に形成した2枚のインダクタ用フェライトグリーンシートを重ね、さらにその下にコイルパターン31dを形成したインダクタ用フェライトグリーンシートを重ね、インダクタ用フェライトグリーンシート積層体を形成する。その際、図8に示すように、各パターンに形成したビアホール31a−1、31b−1、31c−1に塗布され充填された導体ペーストにより各コイルパターンは接続されるようにする。そしてフェライトグリーンシート31、31・・そのものを上に3枚、下に3枚重ねる。
また、誘電体セラミックグリーンシート32、32・・・には、図8に示すように、各誘電体セラミックグリーンシート毎に内部電極パターン32a、32bを形成し、図7に示すように、それぞれ内部電極パターン32a、32bを各別に形成した2枚のコンデンサ用セラミックグリーンシートを順次重ね、その下にさらにこの積層体と同じように形成した積層体を重ね、コンデンサ用セラミックグリーンシート積層体を形成する。そして誘電体セラミックグリーンシート32、32・・そのものを上に3枚、下に2枚重ねる。
図7に示すように、このようにして得られたそれぞれのグリーンシート積層体を、実施例2で用いた磁性体材料組成物においてNi−Zn系フェライトバウダーを除いたこと以外は同様の樹脂材料組成物を使用すること以外上記各グリーンシートと同様にして形成された接合用グリーンシートを介在させて積層し、LCグリーンシート積層体が得られる。
このようにして得られたLCグリーンシート積層体は圧着され、この圧着積層体からなる未焼成部品素体は、容器に適宜並べられて炉に入れられ、200℃、1時間加熱した。
このようにして、図4に示すコンデンサ部15とインダクタ部16の間に接合体17が介装されたLC素体が得られ、その両端にはコイル、コンデンサの引出部に接続する導体膜を、Agを主とする金属材料と樹脂成分からなる導体ペーストの塗布により形成し、ついでこれを150℃、30分間加熱して焼付け、さらにこの導体膜にNiメッキ、続いてはんだメッキを施して、両端に外部端子電極18、18、その中央にコンデンサの接地側外部端子電極19が形成される。なお、接合体17はフェライトグリーンシートと誘電体セラミックグリーンシートの熱履歴に伴う収縮応力を緩和することができる。
また、上記コンデンサ部15とインダクタ部16を別々に形成した後、両者を上記樹脂材料組成物や、充填剤を混合した電子材料組成物により接合し、硬化させてもよい。
このように接合材として上記の樹脂材料組成物を使用する場合、これに充填剤あるいは両方を混合使用するいずれの場合も、主に樹脂が低弾性率で柔軟性がある等のことにより、焼成時の各グリーンシート積層体の収縮率の相違による応力を緩和し、その焼成品にクラックが入らないようにできる。
上記コンデンサ部15とインダクタ部16を別々に形成した後、両者を電子材料粉末を混合しない上記電子材料組成物により接合し、硬化させたLC積層複合電子部品100個について、実施例1と同様のヒートサイクル試験を行ったところ、損傷の見られたものはなかった。
【0037】
実施例7(建物の外壁のコーキング材の充填)
実施例1で用いた磁性体材料組成物を図6の電磁遮蔽ボード又はタイルの継ぎ目に充填し、自然乾燥する。
得られる充填体は実施例1のコアに準じた性能が得られる。
【0038】
比較例1
実施例1において、ポリサルファイド系ポリマーを使用せず、その分エポキシ樹脂で置き換えた磁性体材料組成物を使用したこと以外は同様にしてコアを作製し、このコアについて、実施例1と同様に上記(d)、(e)の特性をグラフで求めた。上記(f)の特性を満たすことができなかった。グラフから、G’’、tanδによるガラス転移温度は80℃〜120℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は6×108 Paであった。
また、得られたコアに図2に示すように巻線を施した巻線型チップコイル100個について、実施例1と同様にヒートサイクル試験を行ったところ、20個にクラックが見られた。
【0039】
比較例2
実施例2において、ポリサルファイド系ポリマーを使用せず、その分エポキシ樹脂で置き換えた磁性体材料組成物を使用したこと以外は同様にして外装体を形成し、硬化した外装体について、実施例2と同様に、上記(d)、(e)を測定してグラフを得た。また、上記(f)の試験を行ったところ、その特性を満たすことができなかった。グラフから、G’’、tanδによるガラス転移温度は100℃〜120℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は約8×108 Paであった。
得られた巻線型チップコイル100個について、リフローはんだ付け工程で電子部品が加熱される最高温度に近い250℃に加熱してから常温に冷やす操作を1サイクルとして、500サイクル後にコアにおけるクラックや破損の有無を調べるヒートサイクル試験を行なったところ、外装体についてクラックや剥離が65個見られた。
得られた巻線型チップコイル10000個についてその巻線の外装体をマウンターの吸着ノズルにより吸着し、プリント配線板の所定の位置にマウントしたところ、マウントミスは7個あった。
【0040】
比較例3
実施例3において、磁性体材料組成物として、比較例2で使用した磁性体材料組成物を使用したこと以外は同様にして電磁シールド層を形成したが、図2の段部12の角隅には電磁シールド層が密着しておらず、、実施例3と同様のヒートサイクル試験を行ったところ、電磁シールド層にクラックが見られた。
【0041】
比較例4
実施例4において、ポリサルファイド系ポリマーを使用せず、その分エポキシ樹脂で置き換えた導電体材料組成物を使用したこと以外は同様にして電極及び試験片を作製した。
その試験片100個について実施例4と同様にヒートサイクル試験を行ったところ、15個にクラックが見られた。
なお、上記(d)、(e)の特性は、比較例2の場合と同様であり、上記(f)の特性を満たすことができなかった。
【0042】
比較例5
実施例5において、導電体材料組成物として比較例4で用いた導電体材料組成物を使用したこと以外は同様にして接合体を形成した。
この接合体についても比較例4と同様の結果が得られる。
【0043】
比較例6
実施例6において、上記コンデンサ部15とインダクタ部16を別々に形成した後、両者を電子材料粉末を混合しない上記電子材料組成物により接合し、硬化させる際、この電子材料組成物の代わりに比較例2で用いた電子材料組成物を用いたこと以外は同様にしてLC積層複合電子部品を作製した。
そのLC積層複合電子部品100個について実施例6と同様に試験したところ、10個に接合部での剥離が見られた。
【0044】
上記結果から、電子材料粉末を含有する電子材料組成物を用いた硬化物のガラス転移温度は−50℃〜0℃、好ましくは−35℃〜−5℃、ゴム状態での剛性率(G’)が5×106 Pa〜8×107 Pa、電子材料粉末を含有しない電子材料組成物を用いた硬化物のガラス転移温度は−50℃〜0℃、好ましくは−40℃〜20℃、ゴム状態の動的貯蔵弾性率(剛性率)(G’)は4×106 〜8×106Pa であることが好ましい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、リフローはんだ付けやヒートサイクル試験のような熱負荷時の発生応力に対して耐久性を有し、マウンターの吸着ノズルに吸着され易いバルク部品が得られるための柔軟性を有し、被外装体との線膨張係数の相違による熱応力にも耐性を有する外装材に用いられる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品を提供することができる。
また、小型化しても強度があり、歩留まりを向上できるとともに急激な温度変化にも耐性を有する成形体が得られ、異形状表面を有するケーシングに対してもこれに適合して被覆される柔軟性を有して十分な電磁シールドを行なうことができ、被外装体との線膨張係数の相違による熱応力にも耐性を有する被覆材に用いられ、輻射ノイズを防止することができるケーブルの被覆材や外皮材に用いられ、プリント配線板に取り付けた電子部品について温度変化による応力が発生してもこれを緩和できるととにもその取付けのための接合を行なえ、部材同士の接合においてそれぞれの部材における熱処理による非可逆の膨張率又は収縮率が異なってもこれを吸収することができ、クラックが発生しない部材接合体が得られ、線膨張率の異なる複数の被接合体間の接合材や、線膨張率の異なる被被覆体に被覆する被覆材として用いても、温度差のある状況下での熱応力に耐えることができる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品を提供することができる。さらに建物の電磁遮蔽用のボード、パネル又はタイルの隙間から電磁波が侵入又は漏洩しない電磁遮蔽壁に用いられる充填材が得られる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物、これを用いた電子用品を提供することができる。
また、適用後の樹脂の硬化量を減らすことができ、その硬化のための加熱による適用対象物の損傷を防止でき、作業性を向上することができる電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂組成物の使用方法、これにより得られる電子用品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリサルファイド変性エポキシポリマーの得られる過程と鎖の伸び性の関係を示す模式図である。
【図2】本発明の電子用品の第1の実施例のプリント基板搭載電子部品の部分断面図である。
【図3】本発明の電子用品の第2の実施例のケーシングの断面図である。
【図4】本発明の電子用品の第3の実施例のLC積層複合電子部品の斜視図である。
【図5】本発明の電子用品の第4の実施例の輻射ノイズ防止ケーブルの断面図である。
【図6】本発明の電子用品の第5の実施例の建物の外壁の一部の斜視図である。
【図7】本発明の電子用品の第6の実施例のLC積層複合電子部品の一製造工程を示す斜視図である。
【図8】その一部の説明図である。
【符号の説明】
1 巻線型チップコイル
2 コア(巻芯)
4、4 外部端子電極
5 外装体
7、7、17 接合体
9 電磁遮蔽ケーシング
13 電磁シールド層
14 LC複合電子部品
20 輻射ノイズ防止用ケーブル
21 被覆電線
22 外皮体
24、24・・電磁遮蔽ボード、パネル又はタイル
25 充填体
Claims (24)
- (a)エポキシ樹脂と、(b)ポリサルファイドゴム骨格(−S−S−)を高分子中に有するポリサルファイド系ポリマーを含有し、かつ(c)磁性体材料粉末又は(d)導電体材料粉末を配合してなり、上記(a)成分と(b)成分と(c)成分を混合した混合物中に(c)成分は60vol%より多くなく、又は上記(a)成分と(b)成分と(d)成分を混合した混合物中に(d)成分は60vol%より多くないように用いた電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料。
- ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドポリマーである請求項1に記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料。
- ポリサルファイド系ポリマーがポリサルファイドとエポキシ系化合物との反応生成物であるポリサルファイド変性エポキシポリマーである請求項1に記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料。
- エポキシ系硬化剤を上記(a)成分100重量部に対して2〜50重量部の割合で含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた成形材からなる成形体を有する電子用品。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた被覆材からなる被覆体を有する電子用品。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた充填材からなる充填体を有する電子用品。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた電極材からなる電極を有する電子用品。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を用いた接合材からなる接合体を有する電子用品。
- 成形体が成形型による成形により得られる巻線型チップコイルの巻芯であり、該巻芯を有する巻線型チップコイルである請求項5の電子用品。
- 被覆体が巻線型チップコイルの巻線の上に被覆された外装体であり、該外装体を有する巻線型チップコイルである請求項6の電子用品。
- 被覆体がケーシングの電磁シールド用被覆体であり、該電磁シールド用被覆体を有する電子用品用ケーシングである請求項6の電子用品。
- 被覆体がケーブルの輻射ノイズ防止用外皮体であり、該輻射ノイズ防止用外皮体を有する輻射ノイズ防止ケーブルである請求項6の電子用品。
- 被覆体がプリント配線板上の実装部品を外装する外装体であり、該外装体を有するプリント配線板である請求項6の電子用品。
- 充填体が電磁遮蔽壁を形成する複数の電磁遮蔽ボード、パネル又はタイル間の充填体であり、該充填体を有する電磁遮蔽壁である請求項7の電子用品。
- 電極がチップ型電子部品の外部電極であり、該外部電極を有するチップ型電子部品である請求項8の電子用品。
- 接合体がチップ部品の外部電極をプリント配線板のはんだ付けランドに接合する導電性接合体であり、該導電性接合体を有するプリント配線板である請求項9の電子用品。
- 接合体が熱処理による非可逆の膨張率又は収縮率が互いに異なる部材同士の界面を接合する界面接合体であり、該界面接合体を介して該部材同士が接合され、熱処理されて得られる複合電子部品である請求項9の電子用品。
- 接合体が異なる線膨張率を有する複数の被接合体間を接合する接合体であり、該接合体を介して接合された被接合体を有する電子部品である請求項9の電子用品。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の成形体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該成形体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の充填体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該充填体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の被覆体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該被覆体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の外部電極を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該外部電極を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料を半硬化状態にして用い、該半硬化状態の接合体を有する電子用品を形成し、ついで完全に硬化させて硬化状態の該接合体を有する電子用品を得る電子材料用ポリサルファイド系硬化性樹脂材料の使用方法。
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