JP3936793B2 - 機械式駐車装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、横方向または縦方向に細長い平面を効率的に活用する機械式駐車装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の駐車装置は、トレー搬送用の搬送台車を往復走行する搬送路と、その両側に沿って配列され、それぞれにトレーを配置された複数の格納室とを備え、搬送台車上にトレー移載装置を搭載して、搬送台車と各格納室との間でトレーを出し入れするようになっている。
【０００３】
図１３にトレー移載装置の一例を示している。これは本願出願人が開示した特公平７−３３７３４号公報の発明である。このトレー移載装置は、搬送台車７１においてその幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能に配置され、先端が格納室７３側に所要寸法だけ突出した長さを有する旋回アーム８１と、旋回アーム８１の先端に上方に向けて突設された係合部材８２と、旋回アーム８１を旋回駆動する旋回駆動装置として減速機付きの駆動モータ８３とを備え、旋回アーム８１の旋回動作により、係合部材８２をトレー７４下面の長手方向に沿って取り付けられたアングル状のガイド部材７５に係合、離脱させて、搬送台車７１と各格納室７３との間で、トレー７４の受け渡しを行うようになっている。
【０００４】
なお、自動車の乗入部と格納階層との間には、通常、リフトが１基設置され、このリフトと格納階層の搬送台車との間においても同様に、トレー移載装置の旋回アームの旋回動作によりトレーが受け渡しされ、搬送台車からリフトへ受け渡しされたトレーは自動車の乗入部へ移送され、リフトから搬送台車へ受け渡しされたトレーは格納室へ移送される。
【０００５】
この種の駐車装置ではまた、搬送路の両側または片側に格納室を２列隣接して配列することにより、自動車の収容台数の拡大を図っている。この場合、搬送台車と第１、第２の列の各格納室との間でトレーの受け渡しを行い得るトレー移載機構を必要とする。その一例が特開平７−１３９２０８号公報に開示されている。これは図１３のトレー移載装置を応用したものであり、図１４に示すように、第１モータを搭載された装置本体９１と、基端を第１モータ側の出力軸に固定された第１アーム９２と、第１アーム９２先端の回動軸９３に固定され、先端にトレー裏面に配設されたガイド部材に係合するローラ９４を転動可能に設けた第２アーム９５と、トレーの移載時、第１、第２アーム９２、９５が互いに上下に重なった折り畳み状態と、互いに離れた伸張状態との姿勢をとるように両アーム９２、９５を互いに逆方向に回動させるアーム作動手段９６と、トレーの移載時、ローラ９４を水平移動させてローラ９４をガイド部材に対し係合・離脱させるシフト手段９７とを備える。
【０００６】
自動車の出庫時、図１５に示すように、まず第１アーム９２が第１モータの駆動により回動し、この回動動作によりアーム作動手段９６が作動する。第１アーム９２に上下に重なって折り畳み状態となっていた第２アーム９５が、第１アーム９２と逆方向に回動して第１アーム９２から離れて伸張状態となり、第２アーム９５先端のローラ９４が手前側もしくは奥側の格納室にあるトレー７４裏面のガイド部材に対応する。そして、ローラ９４がシフト手段９７の作動により水平移動してガイド部材に係合し、この状態から第１アーム９２を上記とは逆方向に回動させると、第２アーム９５が第１アーム９２に上下に重なって折り畳み状態となり、トレー７４が手前側もしくは奥側の格納室から引き出されて搬送台車上に移載される。自動車の入庫時は、搬送台車上の車載トレーが上記と逆の動作により手前側もしくは奥側の格納室７３側に引き込まれて移載される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の後者のトレー移載装置では、搬送台車と第１、第２の列の各格納室との間でトレーを移動するのに、２つのアームを用いているため、第１、第２の両アームが延びたときに相当の長さになり、このため先端が下がるのを防止するためにこのトレー移載装置全体の剛性を高める必要があり、図１３のトレー移載装置に比べて、装置が大きく、複雑になり、さらにアームの動作が複雑になって、その分だけトレーの載せ替えに多くの時間が必要になるという問題がある。
【０００８】
また従来、格納階層と自動車の乗入部との間のトレーの移送を、通常、１基のリフトにより行っているため、格納階層の搬送台車からリフトへトレーが受け渡しされ、リフトで移送されてしまうと、その格納階層で続けて、例えば出庫の指示によりトレーを搬送する要求があっても、リフトで移送中のトレーがその格納階層に戻されて、搬送台車で格納室へ返されるまでは搬送台車は待機していなければならない。したがって、搬送台車の稼動効率が悪く、格納室、搬送台車、リフトの３者間におけるトレーの受け渡しに円滑性を欠き、自動車の入出庫を迅速に行うことができないという問題がある。
【０００９】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、機械式駐車装置において、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、さらに、これら格納室、搬送台車と、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の機械式駐車装置においては、搬送路の両側または片側において格納室の列数をＮとした場合、少なくとも（Ｎ−１）箇所のトレーのない空の格納室を設け、トレー移載機構を、搬送台車に搭載され、旋回アームの旋回動作により搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーを受け渡しする第１のトレー横送り装置と、第１の列の格納室とその外側の格納室との間に設置され、フックの直進動作により第１の列の格納室とその外側の格納室との間でトレーを受け渡しする第２のトレー横送り装置とにより構成する。そして、２基のリフトを搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に設置し、これらリフトと搬送台車との間で第１のトレー横送り装置によりトレーを受け渡しする。
【００１１】
このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、さらに、これら格納室、搬送台車と、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行う。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の機械式駐車装置は、搬送路上を往復走行し、自動車載置用のトレーを搬送する搬送台車と、搬送路の両側または片側に、搬送路に隣接する内側の列を第１の列として複数列に亘って配列され、それぞれにトレーを配置された複数の格納室と、搬送台車と各格納室との間でトレーを受け渡しするトレー移載機構と、自動車の乗入部と格納階層との間でトレーを移送するリフトとを備えた機械式駐車装置において、搬送路の側方に隣接する格納室の列数をＮとしたとき、（Ｎ−１）個のトレーのない空の格納室を設け、トレー移載機構を、搬送台車上にその幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能に配置され、先端部が第１の列の格納室側に所要寸法だけ突出した長さを有する旋回アームと、旋回アームの先端に設けられて各トレーの下面に配設されたガイド部材に係合可能な係合部材と、旋回アームを旋回駆動する旋回駆動装置とを備え、搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーを受け渡しする第１のトレー横送り装置と、第１の列とその外側の列の各格納室間に移動可能に配置され、トレーに対して係合可能なフックと、その駆動装置とを備え、第１の列の格納室とその外側の格納室との間でトレーを受け渡しする第２のトレー横送り装置とにより構成するとともに、前記第２のトレー送り装置を、一対のスプロケットと、これらスプロケット間に巻き掛けられた前記フックを固定するチェーンと、一方のスプロケットを回転駆動する駆動モータとで構成し、かつ、前記スプロケットの内、外側の格納室側のスプロケットを、前記第１の列と外側の列に跨る補助フレームに設けたものである。
【００１３】
この構成により、第１の列に対して外側の格納室から自動車を出庫する場合、第１、第２のトレー横送り装置の連係動作により、その自動車の前にあるトレーをその列の空の格納室に入れるため、第１のトレー横送り装置で搬送台車に取込み、搬送台車を空の格納室の前まで走行させ、第１のトレー横送り装置で空の格納室にトレーを格納する。この操作を取り出す自動車のトレーが、第２のトレー横送り装置で第１の列にくるまで繰り返す。この場合、第２のトレー横送り装置は搬送台車が走行移動中に操作作動させる。取り出す自動車のトレーが第１の列に来たら、第１のトレー横送り装置で搬送台車上に載せる。このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことができる。
【００１４】
また、自動車を所定の格納室に入庫させる場合は、上記と逆の操作が行われる。
【００１５】
本発明の請求項２に記載の機械式駐車装置は、請求項１の構成において、前記搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上にそれぞれ、リフトの昇降路を設定して、２基のリフトをそれぞれ、トレー用の横行レールを配置した昇降部材と、その昇降駆動装置とにより構成するものである。
【００１６】
この構成により、第１の列に対して外側の格納室から自動車を出庫する場合、第１、第２のトレー横送り装置の連係動作により、その自動車の前にあるトレーをその列の空の格納室に入れるため、第１のトレー横送り装置で搬送台車に取込み、搬送台車を空の格納室の前まで走行させ、第１のトレー横送り装置で空の格納室にトレーを格納する。この操作を取り出す自動車のトレーが、第２のトレー横送り装置で第１の列にくるまで繰り返す。この場合、第２のトレー横送り装置は搬送台車が走行移動中に操作作動させる。取り出す自動車のトレーが第１の列に来たら、第１のトレー横送り装置で搬送台車上に載せて、取り出した側のリフト位置まで走行させ、そのリフトの前で停止し、第１のトレー横送り装置でそのリフトに載せる。そこでリフトは、昇降移動して入出庫階に停止し、出庫可能状態となる。このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室、搬送台車、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことができる。
【００１７】
本発明の請求項３に記載の機械式駐車装置は、請求項１または２の構成において、前記チェーンを、下方側が筒型のベースフレーム内を、上方側が前記ベースフレーム上に設けられたガイドフレーム内を通過するように配置したものである。
【００１８】
このようにして、フックをガイドフレームの案内により駆動することができ、また、ローラーチェーンの動作中、ローラーチェーンから油滴の落下が発生しても、油滴が角筒形のベースフレーム内に溜められていくので、下方の格納室に格納されている自動車に油が落下するのを防止することができる。
【００１９】
以下、図１乃至図１２を用いて本発明の一実施例について説明する。
【００２０】
（実施例）
図１は本発明の一実施例における機械式駐車装置の構成を示している。なお、この駐車装置は地下３階層からなり、各格納階層にそれぞれ図１に示す構成を備えている。
【００２１】
図１において、１は搬送路であり、細長い平面においてその短い幅方向中間部に長手方向に向けて設定されている。この搬送路１上には一対のレール１０１が敷設されている。なお、このレール１０１には図示されない搬送台車用の給電部が配設されている。
【００２２】
２は自動車載置用のトレー４を搬送する自走式の搬送台車であり、搬送路１の一対のレール１０１上に配置され、搬送台車２に備えた図示されない集電部とレール１０１の給電部との接続により給電されて、一対のレール１０１上を往復走行可能な構造になっている。
【００２３】
３は搬送路１の両側に沿って２列ずつ配列された格納室であり、それぞれ一対の横行レール３０１を備え、これら横行レール３０１の上にトレー４が車輪を乗せて配置されている。ここで、搬送路１を境に右側の一方のサイドをＲサイド、左側の他方のサイドをＬサイドとし、さらに搬送路１のＲ、Ｌ両サイドで搬送路１に隣接する内側の格納室３の列を第１の列、その外側の格納室３の列を第２の列と称して区別する。
【００２４】
また、ここで用いるトレー４には、図２、図３に示すように、その下面の所定位置に、後述する第１のトレー横送り装置１０の係合部材１２が係合可能なアングル状のガイド部材４０１が取り付けられている。また、搬送路１のＲ、Ｌ両サイド、第２の列に配置されたトレー４には、その下面側、外側に相当する側部で、トレー４の前後方向中間部所定の位置に、図４に示すように、係合ピン４０２がトレー４の前後方向に向けて固定されている。
【００２５】
図１において、５Ｒ、５Ｌはそれぞれ、各格納階層と自動車の乗入部とを連絡するリフト、６Ｒ、６Ｌはそれぞれ、その昇降路である。この駐車装置においてはＲ、Ｌ両サイドの第１の列の格納室３のうち、その配列方向（長手方向）中央で相互に対向する位置の一格納室分のスペース上にそれぞれ、リフトの昇降路６Ｒ、６Ｌを設定して、２基のリフト５Ｒ、５Ｌをそれぞれ、トレー４用の一対の横行レール５１を配置された昇降部材５２と、その昇降駆動装置とにより構成している。ここで、昇降部材５２には、特に図示されていないが、その手前側（搬送路１側）にトレー４のロック装置、その奥側にトレー４のエンドストッパーをそれぞれ備え、一対の横行レール５１上に載せたトレー４の落下を防止するようになっている。またここでは、昇降駆動装置が図示されていないが、周知のとおり、減速機付きの駆動モータ、スプロケット、カウンタウェイト、駆動チェーンなどを備え、駆動チェーンに連結した昇降杆をガイドレールＧ内で昇降駆動し、一対の昇降部材５２を昇降するようになっている。
【００２６】
運用上、図１において右側一方のリフト５Ｒはこのリフト５Ｒが設置されている搬送路１の片側一方、すなわちＲサイドに配置されたトレー４の専用リフトとして設定され、左側他方のリフト５Ｌはこのリフト５Ｌが設置されている搬送路１の片側他方、すなわちＬサイドに配置されたトレー４の専用リフトとして設定され、使用される。
【００２７】
１０は搬送台車２に搭載された第１のトレー横送り装置であり、旋回アーム１１と、旋回アーム１１の係合部材１２と、旋回アーム１１の旋回駆動装置１３とを備え、搬送台車２と、Ｒ、Ｌ両サイドの第１の列の各格納室３との間でトレー４を受け渡しするようになっている。
【００２８】
この第１のトレー横送り装置１０において、旋回アーム１１は、その旋回中心を搬送台車２の幅方向中央の所定位置に設定されて、水平方向に旋回可能に配置されている。ここで、旋回アーム１１は、旋回動作に際して、その先端がＲ、Ｌ両サイドの第１の列の各格納室３側に所要寸法だけ突出した長さを有している。
【００２９】
旋回アーム１１の係合部材１２はローラであり、旋回アーム１１の先端上面に軸支されている。
【００３０】
旋回アーム１１の旋回駆動装置１３は、直結型サーボモータであり、その回転軸に旋回アーム１１が取り付けられて、旋回アーム１１の旋回動作においてパルス信号により旋回アーム１１の旋回停止位置が制御されるようになっている。
【００３１】
図１において、２０はそれぞれ、Ｒ、Ｌ両サイドにおいて各第２の列の各格納室３に、第１の列の各格納室３との間に跨がって設置された第２のトレー横送り装置であり、図２、図３、図４に示すように、トレー４に対してその係合ピン４０２に係合可能なフック２１と、その駆動装置２６とを備え、第１、第２の列の各格納室３間でトレー４を受け渡しするようになっている。
【００３２】
フック２１は、図４に示すように、一対のフックプレート２２からなり、これらフックプレート２２がトレー４の係合ピン４０２に対して両側から挟持可能に駆動装置２６に組み付けられている。なお、一対のフックプレート２２間はガイドプレート２３を介して連結されている。このガイドプレート２３には一端に丸穴２４、他端に長穴２５を有し、一方のフックプレート２２が丸穴２４側で軸支されるとともに、他方のフックプレート２２が長穴２５側で軸支されている。このようにして両フックプレート２２間が開閉可能に連結されている。
【００３３】
一方、駆動装置２６は、図３、図４に示すように、一対のスプロケット２７と、このスプロケット２７間に巻き掛けられたローラーチェーン２８と、一方のスプロケット２７を回転駆動する駆動モータ２９とを備え、これらがフレーム３０上に組み立てられている。
【００３４】
ここで、フレーム３０は、図４、図５に示すように、細長い角筒形のベースフレーム３１と、ベースフレーム３１上に中空間を形成して配置され、上面にベースフレーム３１の長手方向に向けてスリット状のガイド部３２Ｇを形成されたガイドフレーム３２と、ベースフレーム３１の一端、延長上に配置された箱形の補助フレーム３３とからなる。このフレーム３０は、図１または図２に示すように、各格納室３において一対の横行レール３０１間の所定の位置に、各横行レール３０１に対して平行に配置されている。その設置上、ベースフレーム３１の一端が第２の列の格納室３の奥側に位置決めされ、ベースフレーム３１の他端、延長上の補助フレーム３３が第１の列の格納室３側に突出されている。このようにして第１の列、第２の列の各格納室３間に跨がった配置になっている。
【００３５】
一対のスプロケット２７の一方は、図４または図６に示すように、ベースフレーム３１の一端（格納室３の奥側）に軸支され、ベースフレーム３１側とガイドフレーム３２側とに跨がって回転可能に取り付けられている。一対のスプロケット２７の他方は、図４に示すように、ベースフレーム３１の他端、補助フレーム３３に一方のスプロケット２７と同じ高さ位置にして軸支されるとともに、駆動側のスプロケット２７として、図２に示すように、ベースフレーム３１の側面に固定された駆動モータ２９に作動連結されている。
【００３６】
ローラーチェーン２８は、図４に示すように、ベースフレーム３１内、ガイドフレーム３２内に通されて、両スプロケット２７間に巻き掛けられ、両フレーム３１、３２間に回転可能に取り付けられている。なお、ローラーチェーン２８にはグリスが塗布されるから、その動作中、油滴の落下が発生するが、このフレーム３１の構造から、油滴が角筒形のベースフレーム３１内に溜められていくので、下方の格納室に格納されている自動車に油が落下するのを防止する。
【００３７】
フック２１（一対のフックプレート２２）はそれぞれ、図７に示すように、下端をローラーチェーン２８の隣接するリンクプレートにボルトにより固定されて、図４および図５に示すように、ガイドフレーム３２のガイド部３２Ｇ上に立ち上げられている。フック２１がガイド部３２Ｇの案内により一方のスプロケット２７から他方のスプロケット２７まで直進往復駆動される構造になっている。
【００３８】
このように、この駐車装置においては、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０と、Ｒ、Ｌ両サイドの第２の列の各格納室３上に第１の列の格納室３側に跨がって設置された第２のトレー横送り装置２０とにより、トレー移載機構を構成する。
【００３９】
次に、この機械式駐車装置におけるトレー移載機構の基本動作について説明する。
【００４０】
図１において、第１のトレー横送り装置１０は、搬送路１上において、Ｒ、Ｌ両サイドの第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）からトレー４を搬送台車２上に引き出すトレー引き出し動作と、トレー４を搬送台車２から第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）へ送り出すトレー送り出し動作とを行う。
【００４１】
すなわちトレー引き出し動作は、まず、旋回駆動装置１３の作動によりその回転軸が回転し、旋回アーム１１が搬送路１と平行な初期停止位置からＲサイドまたはＬサイドの第１の列に向けて旋回していく。旋回アーム１１の先端が第１の列内に入り、旋回アーム１１全体が第１の列の配列方向に対して直角の位置まで旋回されると、係合部材１２がトレー４の下面、ガイド部材４０１の一端に入り込む。係合部材１２がガイド部材４０１に沿って移動し、旋回アーム１１の旋回とともにトレー４が一対の横行レール３０１上を旋回アーム１１の旋回方向に引き出され、搬送台車２上に引き込まれていく。旋回アーム１１がトレー４の長手方向に対して平行な位置まで旋回したところで、係合部材１２はトレー４のガイド部材４０１の終端近くに達し、そこから続く旋回アーム１１の旋回に伴い、係合部材１２がガイド部材４０１上を戻る方向に移動する。このようにして、旋回アーム１１が所定の旋回角度まで移動したところで停止され、トレー４が搬送台車２上に完全に移し替えられる。
【００４２】
これに対して、トレー４の送り出し動作は、旋回アーム１１の戻す方向への旋回により、搬送台車２からトレー４を送り出し、第１の列へに移し替える。
【００４３】
図１において、第２のトレー横送り装置２０は、第２の列の各格納室３からその前列、第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）へトレー４を送り出すトレー送り出し動作と、その反対に、第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）から第２の列の格納室３へトレー４を引き出すトレー引き出し動作とを行う。
【００４４】
トレー送り出し動作の場合、第２の列の格納室３上のトレー４に対して、その下面側の係合ピン４０２に係合中のフック２１が、その駆動装置２６により作動される。すなわち、駆動モータ２９によりスプロケット２７を回転駆動され、ローラーチェーン２８が回転されると、フック２１がローラーチェーン２８の回転方向、この場合、格納室３の奥側から手前側に向けて直進移動される。これにより、トレー４が一対の横行レール３０１上を第２の列の格納室３から第１の列へ横送りされる。トレー４が第１の列へ完全に移し替えられると同時に、図４中、二点鎖線で示すように、フック２１の一対のフックプレート２２が駆動側のスプロケット２７上に乗ってその周回軌道に入り、ここで両フックプレート２２を連結するガイドプレート２３の長穴２５の許容により、先行のフックプレート２２が後続のフックプレート２２に対して離れ、両者間が開かれる。この状態で駆動装置２６が動作を停止される。これにより、先行のフックプレート２２と係合ピン４０２との係合が外れ、第１の列に移し替えられたトレー４の搬送路１方向への移動、すなわち搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０によるトレー４の引き出し動作が可能となる。
【００４５】
トレー引き出し動作の場合は、その反対で、開いた状態のフック２１が、その駆動装置２６の反転動作により作動される。すなわち、駆動モータ２９の反転により、スプロケット２７が反転方向に回転されると、ローラーチェーン２８が同様に反転駆動され、フック２１が第２の列の格納室３の手前側から奥側に向けて直進移動される。この駆動開始時、スプロケット２７上で開いていたフック２１は閉じられ、トレー４の係合ピン４０２を挟持し、係合される。フック２１の移動によりトレー４は第１の列から第２の列の格納室３に引き出される。トレー４は第２の列の格納室３上に戻されると、下面側の係合ピン４０２がフック２１に挟持、係合された状態で駆動装置２６の動作を停止される。
【００４６】
次に、このトレー移載機構の基本動作に基づく機械式駐車装置の入庫運転または出庫運転の動作について図８乃至図１２を用いて説明する。なお、この駐車装置の運用上、各格納階層において、搬送路１のＲ、Ｌ両サイドの各格納室３のうち、少なくともその一つにトレーなしの空格納室を設定しておく。
【００４７】
ここでは、自動車の入庫または出庫に際して、地下第３階層のＲサイド、第２の列の一方端に位置する格納室３（以下、指定先の格納室３という。）上のトレー４（図８中、斜線部分）を取り出し、自動車の乗入部へ移送させ、さらに続けて他の格納室３のトレー４を取り出す工程について説明する。
【００４８】
図８（１）〜（３）に示すように、まず予備運転として、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に向けて移動され、指定先の格納室３に対応する位置に停止される。ここで、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作により、指定先の格納室３の前列、第１の列の格納室３上のトレー４が搬送台車２上に引き出されて載せ替えられる。これと同時に、指定先の格納室３では、第２のトレー横送り装置２０のトレー送り出し動作により、指定先の格納室３からトレー４がその前列、第１の列の格納室３へ送り出される。続いて、搬送台車２上でトレー４と第１のトレー横送り装置１０とを係合したまま、搬送路１上を搬送台車２がトレーなしの空の格納室３の前へ移動される。そして、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、トレー４が搬送台車２からその空の格納室３へ移し替えられる。
【００４９】
このような入庫または出庫準備を経て、実際の自動車の入庫または出庫に際し、図９（４）に示すように、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に対応する位置まで移動され、そこで第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作により、指定先の格納室３から予め第１の列の格納室３に移し替えられたトレー４が搬送台車２上に載せ替えられる。そして、指定先のトレー４を載せた搬送台車２は搬送路１上を２基のリフト５Ｒ、５Ｌの間まで移動される。
【００５０】
一方、ここまでの間、Ｒサイドのリフト５Ｒは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここでは、図１０（１）、（２）に示すように、トレー４が自動車の乗入部まで移送された後、地下第２階層へ降下されている。そこでトレー４はリフト５Ｒから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされる。なお、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここではトレー４が地下第１階層の搬送台車２からリフト５Ｌへ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされた後、自動車の乗入部へ移送される。
【００５１】
そして、図１１（３）に示すように、Ｒサイドのリフト５Ｒが地下第３階層まで降下されると、ここで、図９（５）または図１１（４）に示すように、トレー４が搬送台車２からＲサイドのリフト５Ｒへ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされる。
【００５２】
なお、この間、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または停止中）であり、ここではトレー４が自動車の乗入部まで移送された後、地下第１階層へ降下され、そこで、リフト５Ｌから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされている。
【００５３】
続いて、図１２（５）に示すように、Ｒサイドのリフト５Ｒは上昇され、トレー４が自動車の乗入部まで移送されて、そこで自動車の入出庫が行われる。
【００５４】
このとき、同じ地下第３階層で、自動車の入庫指示または出庫指示により、例えばＬサイド、第１の列の格納室３のトレー４を搬送する要求が出された場合、図９（６）に示すように、搬送台車２は、Ｒサイドのリフト５Ｒに受け渡ししたトレー４の返送を待つことなしに、Ｌサイドのトレー４の格納室３まで移動され、そこで第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作によりトレー４が取り出される。そして再び、搬送台車２が２基のリフト５Ｒ、５Ｌ間まで移動され、図９（７）に示すように、そこでトレー４が第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、搬送台車２からＬサイドのリフト５Ｌへ受け渡しされる。そして、自動車の乗入部まで移送される。
【００５５】
Ｒサイドのリフト５Ｒでは、自動車の入庫または出庫が終了すると、図１２（６）に示すように、トレー４が地下第３階層まで戻される。そこで、トレー４がリフト５Ｒから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされ、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に対応する位置まで移動する。そして、第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、トレー４が搬送台車２から第１の列の格納室３へ載せ替えられる。さらにこのトレー４を第２の列に入れる場合は、第２のトレー横送り装置２０のトレー引き出し動作が行われる。
【００５６】
なお、この間、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここでは、図１２（５）、（６）に示すように、地下第１階層の第２の列の格納室３からトレー４がリフト５Ｌへ第２のトレー横送り装置２０により受け渡しされ、自動車の乗入部まで移送されて、自動車の入庫または出庫が行われている。
【００５７】
また、各格納階層において第１または第２の列の格納室３に自動車を入れる場合は、必要に応じて第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその格納室３を空けておく入庫準備が行われる。このような入庫準備から、実際の入庫に際してトレー４が一方のリフト５Ｒまたは５Ｌから搬送台車２上に第１のトレー横送り装置１０により取り出された後、搬送台車２の移動により、入庫先の格納室３まで搬送され、そこで第１のトレー横送り装置１０により格納室３に載せ替えられる。これに続けて、さらに出庫または入庫がある場合、搬送台車２と両方のリフト５Ｒ、５Ｌとの連係により連続してトレー４が移送される。
【００５８】
このように上記実施例によれば、搬送路１の両側において２列ずつ複数の格納室３を配列し、少なくともその１箇所にトレーのない空の格納室を設けておき、トレー移載機構を、搬送台車２上に搭載され、旋回アーム１１の単純な旋回動作を行う第１のトレー横送り装置１０と、第１、第２の列の格納室３間に設置され、フック２１の単純な直進動作を行う第２のトレー横送り装置２０とにより構成して、第１のトレー横送り装置１０により、搬送台車２と第１の列の各格納室３との間でトレー４の受け渡しを行うとともに、第２のトレー横送り装置２０により、第１、第２の列の各格納室３間でトレー４の受け渡しを行い、さらに、搬送路１の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に、２基のリフト５Ｒ、５Ｌを設置して、これらリフト５Ｒ、５Ｌと搬送台車２との間で第１のトレー横送り装置１０によりトレー４の受け渡しを行うようにしているので、各格納室３、搬送台車２、リフト５Ｒ、５Ｌ、これら３者間でトレー４の受け渡しを効率良く行うことができる。
【００５９】
具体的には、第２の列の格納室３から自動車を取り出す場合でも、第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその前列、第１の列の格納室３を空けてそこへトレー４を移動しておく出庫準備を行うことができ、このような出庫準備により、実際の出庫に際して、円滑、かつ迅速に、トレー４を移動先の格納室３から搬送台車２上に取り出し、リフト５Ｒ、５Ｌへ搬送して載せ替えることができ、自動車の出庫を短時間で実行することができる。
【００６０】
また、第１または第２の列の格納室３に自動車を入れる場合でも、第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその格納室３を空けておく入庫準備を行うことができ、このような入庫準備により、実際の入庫に際して、円滑、かつ迅速に、トレー４を一方のリフト５Ｒまたは５Ｌから搬送台車２上に取り出し、入庫先の格納室３まで搬送して載せ替えることができ、自動車の入庫を短時間で実行することができる。
【００６１】
また、同じ格納階層で、出庫に続けてさらに出庫または入庫がある場合でも、２基のリフト５Ｌ、５Ｒを併用することにより、連続してトレー４を格納室３から搬送台車２上に取り出し、リフト５Ｒ、５Ｌへ搬送して載せ替えることができ、連続する自動車の入出庫を短時間で実行することができる。
【００６２】
また、この駐車装置においては、２基のリフト５Ｒ、５ＬをＲ、Ｌ両サイド、第１の列においてその長手方向中央に設置しているので、搬送路１の両端から２基のリフト５Ｒ、５Ｌまでの搬送台車２の移動距離が均等になって、格納室３全体にトレー４の受け渡しを効率良く行うことができる。
【００６３】
また、この駐車装置においては、一方のリフト５ＲをＲサイドに配置されたトレー４の専用リフトに設定し、他方のリフト５ＬをＬサイドに配置されたトレー４の専用リフトに設定して使用しているので、複数の格納室３、搬送台車２、２基のリフト５Ｒ、５Ｌ、これら３者間のトレー４の受け渡しを、第１のトレー横送り装置１０の旋回アーム１１の単純な旋回動作と、第２のトレー横送り装置２０のフック２１の単純な直進動作とで実行することができる。
【００６４】
また、この駐車装置においては、第１のトレー横送り装置１０を、旋回アーム１１と、係合部材１２と、旋回駆動装置１３とにより構成し、第２のトレー横送り装置２０を、フック２１と、その駆動装置２６として、一対のスプロケット２７と、ローラーチェーン２８と、駆動モータ２９とにより構成しているので、トレー移載機構全体として簡単な装置構成により、コストの低減を図ることができ、その実用的効果は大きい。
【００６５】
なお、本実施例では、搬送路１の両側に複数の格納室３を２列ずつ配列したものとして例示しているが、３列以上に亘って配列することもできる。この場合、列数をＮとすると（Ｎ−１）箇所にトレーのない空格納室を設けておくことが必要である。また、片側一方を単列、片側他方を複列にすることもできる。
【００６６】
また、本実施例では、２基のリフトをＲ、Ｌ両サイド、第１の列の中央に相互に対向させて設置しているが、第１の列、任意の位置に対向させて、あるいは対向させずに分散して設置することができる。また、駐車装置の規模が大きい場合は３基以上のリフトを用いて、搬送台車２の稼動効率を高めるようにしてもよい。
【００６７】
【発明の効果】
本発明は上記実施例から明らかなように、搬送路の両側または片側において格納室の列数をＮとした場合、少なくとも（Ｎ−１）箇所のトレーのない空の格納室を設定し、トレー移載機構を、搬送台車上に搭載され、旋回アームの単純な旋回動作を行う第１のトレー横送り装置と、第１の列とその外側の列の各格納室間に設置され、フックの単純な直進動作を行う第２のトレー横送り装置とにより構成し、第１のトレー横送り装置により、搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーの受け渡しを行うとともに、第２のトレー横送り装置により、第１の列とその外側の列の各格納室間でトレーの受け渡しを行うようにしたので、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を実現するとともに、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行え、自動車の入庫時間、出庫時間の短縮を図ることができる。さらに、本発明では、搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に、２基のリフトを設置し、これらリフトと搬送台車との間で第１のトレー横送り装置によりトレーの受け渡しを行うようにしているので、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を実現するとともに、複数列に亘る各格納室、搬送台車、リフト、これら３者間でトレーの受け渡しを効率良く行え、自動車の入庫時間、出庫時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例における機械式駐車装置の一部省略平面図
【図２】同駐車装置の第１、第２の列の格納室およびそこに配置されたトレーの一部省略平面図
【図３】同駐車装置の第２の列の格納室およびトレーの側面図
【図４】同駐車装置に備えた第２のトレー横送り装置の側面図
【図５】同駐車装置の第２のトレー横送り装置の部分断面図
【図６】同駐車装置の第２のトレー横送り装置の部分断面図
【図７】同駐車装置の第２のトレー横送り装置に用いるフックの部分断面図
【図８】同駐車装置において自動車の出庫準備における動作例を時系列で示す平面図
【図９】同駐車装置において自動車の出庫運転における動作例を時系列で示す平面図
【図１０】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１１】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１２】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１３】従来の機械式駐車装置に用いているトレー移載装置の平面図
【図１４】従来の機械式駐車装置に用いている別のトレー移載装置の一部省略斜視図
【図１５】同トレー移載装置の動作例を示す平面図
【符号の説明】
１ 搬送路
１０１ 一対のレール
２ 自走式の搬送台車
３ 格納室
３０１ 一対の横行レール
４ 自動車載置用のトレー
４０１ ガイド部材
４０２ 係合ピン
５Ｒ、５Ｌ リフト
５１ 横行レール
５２ 昇降部材
Ｇ ガイドレール
６Ｒ、６Ｌ 昇降路
１０ 第１のトレー横送り装置
１１ 旋回アーム
１２ 係合部材（ローラ）
１３ 旋回駆動装置
２０ 第２のトレー横送り装置
２１ フック
２２ フックプレート
２３ ガイドプレート
２４ 丸穴
２５ 長穴
２６ 駆動装置
２７ スプロケット
２８ ローラーチェーン
２９ 駆動モータ
３０ フレーム
３１ ベースフレーム
３２ ガイドフレーム
３２Ｇ ガイド部
３３ 補助フレーム
【発明の属する技術分野】
本発明は、横方向または縦方向に細長い平面を効率的に活用する機械式駐車装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の駐車装置は、トレー搬送用の搬送台車を往復走行する搬送路と、その両側に沿って配列され、それぞれにトレーを配置された複数の格納室とを備え、搬送台車上にトレー移載装置を搭載して、搬送台車と各格納室との間でトレーを出し入れするようになっている。
【０００３】
図１３にトレー移載装置の一例を示している。これは本願出願人が開示した特公平７−３３７３４号公報の発明である。このトレー移載装置は、搬送台車７１においてその幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能に配置され、先端が格納室７３側に所要寸法だけ突出した長さを有する旋回アーム８１と、旋回アーム８１の先端に上方に向けて突設された係合部材８２と、旋回アーム８１を旋回駆動する旋回駆動装置として減速機付きの駆動モータ８３とを備え、旋回アーム８１の旋回動作により、係合部材８２をトレー７４下面の長手方向に沿って取り付けられたアングル状のガイド部材７５に係合、離脱させて、搬送台車７１と各格納室７３との間で、トレー７４の受け渡しを行うようになっている。
【０００４】
なお、自動車の乗入部と格納階層との間には、通常、リフトが１基設置され、このリフトと格納階層の搬送台車との間においても同様に、トレー移載装置の旋回アームの旋回動作によりトレーが受け渡しされ、搬送台車からリフトへ受け渡しされたトレーは自動車の乗入部へ移送され、リフトから搬送台車へ受け渡しされたトレーは格納室へ移送される。
【０００５】
この種の駐車装置ではまた、搬送路の両側または片側に格納室を２列隣接して配列することにより、自動車の収容台数の拡大を図っている。この場合、搬送台車と第１、第２の列の各格納室との間でトレーの受け渡しを行い得るトレー移載機構を必要とする。その一例が特開平７−１３９２０８号公報に開示されている。これは図１３のトレー移載装置を応用したものであり、図１４に示すように、第１モータを搭載された装置本体９１と、基端を第１モータ側の出力軸に固定された第１アーム９２と、第１アーム９２先端の回動軸９３に固定され、先端にトレー裏面に配設されたガイド部材に係合するローラ９４を転動可能に設けた第２アーム９５と、トレーの移載時、第１、第２アーム９２、９５が互いに上下に重なった折り畳み状態と、互いに離れた伸張状態との姿勢をとるように両アーム９２、９５を互いに逆方向に回動させるアーム作動手段９６と、トレーの移載時、ローラ９４を水平移動させてローラ９４をガイド部材に対し係合・離脱させるシフト手段９７とを備える。
【０００６】
自動車の出庫時、図１５に示すように、まず第１アーム９２が第１モータの駆動により回動し、この回動動作によりアーム作動手段９６が作動する。第１アーム９２に上下に重なって折り畳み状態となっていた第２アーム９５が、第１アーム９２と逆方向に回動して第１アーム９２から離れて伸張状態となり、第２アーム９５先端のローラ９４が手前側もしくは奥側の格納室にあるトレー７４裏面のガイド部材に対応する。そして、ローラ９４がシフト手段９７の作動により水平移動してガイド部材に係合し、この状態から第１アーム９２を上記とは逆方向に回動させると、第２アーム９５が第１アーム９２に上下に重なって折り畳み状態となり、トレー７４が手前側もしくは奥側の格納室から引き出されて搬送台車上に移載される。自動車の入庫時は、搬送台車上の車載トレーが上記と逆の動作により手前側もしくは奥側の格納室７３側に引き込まれて移載される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の後者のトレー移載装置では、搬送台車と第１、第２の列の各格納室との間でトレーを移動するのに、２つのアームを用いているため、第１、第２の両アームが延びたときに相当の長さになり、このため先端が下がるのを防止するためにこのトレー移載装置全体の剛性を高める必要があり、図１３のトレー移載装置に比べて、装置が大きく、複雑になり、さらにアームの動作が複雑になって、その分だけトレーの載せ替えに多くの時間が必要になるという問題がある。
【０００８】
また従来、格納階層と自動車の乗入部との間のトレーの移送を、通常、１基のリフトにより行っているため、格納階層の搬送台車からリフトへトレーが受け渡しされ、リフトで移送されてしまうと、その格納階層で続けて、例えば出庫の指示によりトレーを搬送する要求があっても、リフトで移送中のトレーがその格納階層に戻されて、搬送台車で格納室へ返されるまでは搬送台車は待機していなければならない。したがって、搬送台車の稼動効率が悪く、格納室、搬送台車、リフトの３者間におけるトレーの受け渡しに円滑性を欠き、自動車の入出庫を迅速に行うことができないという問題がある。
【０００９】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、機械式駐車装置において、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、さらに、これら格納室、搬送台車と、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の機械式駐車装置においては、搬送路の両側または片側において格納室の列数をＮとした場合、少なくとも（Ｎ−１）箇所のトレーのない空の格納室を設け、トレー移載機構を、搬送台車に搭載され、旋回アームの旋回動作により搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーを受け渡しする第１のトレー横送り装置と、第１の列の格納室とその外側の格納室との間に設置され、フックの直進動作により第１の列の格納室とその外側の格納室との間でトレーを受け渡しする第２のトレー横送り装置とにより構成する。そして、２基のリフトを搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に設置し、これらリフトと搬送台車との間で第１のトレー横送り装置によりトレーを受け渡しする。
【００１１】
このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、さらに、これら格納室、搬送台車と、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行う。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の機械式駐車装置は、搬送路上を往復走行し、自動車載置用のトレーを搬送する搬送台車と、搬送路の両側または片側に、搬送路に隣接する内側の列を第１の列として複数列に亘って配列され、それぞれにトレーを配置された複数の格納室と、搬送台車と各格納室との間でトレーを受け渡しするトレー移載機構と、自動車の乗入部と格納階層との間でトレーを移送するリフトとを備えた機械式駐車装置において、搬送路の側方に隣接する格納室の列数をＮとしたとき、（Ｎ−１）個のトレーのない空の格納室を設け、トレー移載機構を、搬送台車上にその幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能に配置され、先端部が第１の列の格納室側に所要寸法だけ突出した長さを有する旋回アームと、旋回アームの先端に設けられて各トレーの下面に配設されたガイド部材に係合可能な係合部材と、旋回アームを旋回駆動する旋回駆動装置とを備え、搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーを受け渡しする第１のトレー横送り装置と、第１の列とその外側の列の各格納室間に移動可能に配置され、トレーに対して係合可能なフックと、その駆動装置とを備え、第１の列の格納室とその外側の格納室との間でトレーを受け渡しする第２のトレー横送り装置とにより構成するとともに、前記第２のトレー送り装置を、一対のスプロケットと、これらスプロケット間に巻き掛けられた前記フックを固定するチェーンと、一方のスプロケットを回転駆動する駆動モータとで構成し、かつ、前記スプロケットの内、外側の格納室側のスプロケットを、前記第１の列と外側の列に跨る補助フレームに設けたものである。
【００１３】
この構成により、第１の列に対して外側の格納室から自動車を出庫する場合、第１、第２のトレー横送り装置の連係動作により、その自動車の前にあるトレーをその列の空の格納室に入れるため、第１のトレー横送り装置で搬送台車に取込み、搬送台車を空の格納室の前まで走行させ、第１のトレー横送り装置で空の格納室にトレーを格納する。この操作を取り出す自動車のトレーが、第２のトレー横送り装置で第１の列にくるまで繰り返す。この場合、第２のトレー横送り装置は搬送台車が走行移動中に操作作動させる。取り出す自動車のトレーが第１の列に来たら、第１のトレー横送り装置で搬送台車上に載せる。このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことができる。
【００１４】
また、自動車を所定の格納室に入庫させる場合は、上記と逆の操作が行われる。
【００１５】
本発明の請求項２に記載の機械式駐車装置は、請求項１の構成において、前記搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上にそれぞれ、リフトの昇降路を設定して、２基のリフトをそれぞれ、トレー用の横行レールを配置した昇降部材と、その昇降駆動装置とにより構成するものである。
【００１６】
この構成により、第１の列に対して外側の格納室から自動車を出庫する場合、第１、第２のトレー横送り装置の連係動作により、その自動車の前にあるトレーをその列の空の格納室に入れるため、第１のトレー横送り装置で搬送台車に取込み、搬送台車を空の格納室の前まで走行させ、第１のトレー横送り装置で空の格納室にトレーを格納する。この操作を取り出す自動車のトレーが、第２のトレー横送り装置で第１の列にくるまで繰り返す。この場合、第２のトレー横送り装置は搬送台車が走行移動中に操作作動させる。取り出す自動車のトレーが第１の列に来たら、第１のトレー横送り装置で搬送台車上に載せて、取り出した側のリフト位置まで走行させ、そのリフトの前で停止し、第１のトレー横送り装置でそのリフトに載せる。そこでリフトは、昇降移動して入出庫階に停止し、出庫可能状態となる。このようにして、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を用いて、複数列に亘る各格納室、搬送台車、リフトの３者間でトレーの受け渡しを効率良く行い、自動車の入庫、出庫を円滑、かつ迅速に行うことができる。
【００１７】
本発明の請求項３に記載の機械式駐車装置は、請求項１または２の構成において、前記チェーンを、下方側が筒型のベースフレーム内を、上方側が前記ベースフレーム上に設けられたガイドフレーム内を通過するように配置したものである。
【００１８】
このようにして、フックをガイドフレームの案内により駆動することができ、また、ローラーチェーンの動作中、ローラーチェーンから油滴の落下が発生しても、油滴が角筒形のベースフレーム内に溜められていくので、下方の格納室に格納されている自動車に油が落下するのを防止することができる。
【００１９】
以下、図１乃至図１２を用いて本発明の一実施例について説明する。
【００２０】
（実施例）
図１は本発明の一実施例における機械式駐車装置の構成を示している。なお、この駐車装置は地下３階層からなり、各格納階層にそれぞれ図１に示す構成を備えている。
【００２１】
図１において、１は搬送路であり、細長い平面においてその短い幅方向中間部に長手方向に向けて設定されている。この搬送路１上には一対のレール１０１が敷設されている。なお、このレール１０１には図示されない搬送台車用の給電部が配設されている。
【００２２】
２は自動車載置用のトレー４を搬送する自走式の搬送台車であり、搬送路１の一対のレール１０１上に配置され、搬送台車２に備えた図示されない集電部とレール１０１の給電部との接続により給電されて、一対のレール１０１上を往復走行可能な構造になっている。
【００２３】
３は搬送路１の両側に沿って２列ずつ配列された格納室であり、それぞれ一対の横行レール３０１を備え、これら横行レール３０１の上にトレー４が車輪を乗せて配置されている。ここで、搬送路１を境に右側の一方のサイドをＲサイド、左側の他方のサイドをＬサイドとし、さらに搬送路１のＲ、Ｌ両サイドで搬送路１に隣接する内側の格納室３の列を第１の列、その外側の格納室３の列を第２の列と称して区別する。
【００２４】
また、ここで用いるトレー４には、図２、図３に示すように、その下面の所定位置に、後述する第１のトレー横送り装置１０の係合部材１２が係合可能なアングル状のガイド部材４０１が取り付けられている。また、搬送路１のＲ、Ｌ両サイド、第２の列に配置されたトレー４には、その下面側、外側に相当する側部で、トレー４の前後方向中間部所定の位置に、図４に示すように、係合ピン４０２がトレー４の前後方向に向けて固定されている。
【００２５】
図１において、５Ｒ、５Ｌはそれぞれ、各格納階層と自動車の乗入部とを連絡するリフト、６Ｒ、６Ｌはそれぞれ、その昇降路である。この駐車装置においてはＲ、Ｌ両サイドの第１の列の格納室３のうち、その配列方向（長手方向）中央で相互に対向する位置の一格納室分のスペース上にそれぞれ、リフトの昇降路６Ｒ、６Ｌを設定して、２基のリフト５Ｒ、５Ｌをそれぞれ、トレー４用の一対の横行レール５１を配置された昇降部材５２と、その昇降駆動装置とにより構成している。ここで、昇降部材５２には、特に図示されていないが、その手前側（搬送路１側）にトレー４のロック装置、その奥側にトレー４のエンドストッパーをそれぞれ備え、一対の横行レール５１上に載せたトレー４の落下を防止するようになっている。またここでは、昇降駆動装置が図示されていないが、周知のとおり、減速機付きの駆動モータ、スプロケット、カウンタウェイト、駆動チェーンなどを備え、駆動チェーンに連結した昇降杆をガイドレールＧ内で昇降駆動し、一対の昇降部材５２を昇降するようになっている。
【００２６】
運用上、図１において右側一方のリフト５Ｒはこのリフト５Ｒが設置されている搬送路１の片側一方、すなわちＲサイドに配置されたトレー４の専用リフトとして設定され、左側他方のリフト５Ｌはこのリフト５Ｌが設置されている搬送路１の片側他方、すなわちＬサイドに配置されたトレー４の専用リフトとして設定され、使用される。
【００２７】
１０は搬送台車２に搭載された第１のトレー横送り装置であり、旋回アーム１１と、旋回アーム１１の係合部材１２と、旋回アーム１１の旋回駆動装置１３とを備え、搬送台車２と、Ｒ、Ｌ両サイドの第１の列の各格納室３との間でトレー４を受け渡しするようになっている。
【００２８】
この第１のトレー横送り装置１０において、旋回アーム１１は、その旋回中心を搬送台車２の幅方向中央の所定位置に設定されて、水平方向に旋回可能に配置されている。ここで、旋回アーム１１は、旋回動作に際して、その先端がＲ、Ｌ両サイドの第１の列の各格納室３側に所要寸法だけ突出した長さを有している。
【００２９】
旋回アーム１１の係合部材１２はローラであり、旋回アーム１１の先端上面に軸支されている。
【００３０】
旋回アーム１１の旋回駆動装置１３は、直結型サーボモータであり、その回転軸に旋回アーム１１が取り付けられて、旋回アーム１１の旋回動作においてパルス信号により旋回アーム１１の旋回停止位置が制御されるようになっている。
【００３１】
図１において、２０はそれぞれ、Ｒ、Ｌ両サイドにおいて各第２の列の各格納室３に、第１の列の各格納室３との間に跨がって設置された第２のトレー横送り装置であり、図２、図３、図４に示すように、トレー４に対してその係合ピン４０２に係合可能なフック２１と、その駆動装置２６とを備え、第１、第２の列の各格納室３間でトレー４を受け渡しするようになっている。
【００３２】
フック２１は、図４に示すように、一対のフックプレート２２からなり、これらフックプレート２２がトレー４の係合ピン４０２に対して両側から挟持可能に駆動装置２６に組み付けられている。なお、一対のフックプレート２２間はガイドプレート２３を介して連結されている。このガイドプレート２３には一端に丸穴２４、他端に長穴２５を有し、一方のフックプレート２２が丸穴２４側で軸支されるとともに、他方のフックプレート２２が長穴２５側で軸支されている。このようにして両フックプレート２２間が開閉可能に連結されている。
【００３３】
一方、駆動装置２６は、図３、図４に示すように、一対のスプロケット２７と、このスプロケット２７間に巻き掛けられたローラーチェーン２８と、一方のスプロケット２７を回転駆動する駆動モータ２９とを備え、これらがフレーム３０上に組み立てられている。
【００３４】
ここで、フレーム３０は、図４、図５に示すように、細長い角筒形のベースフレーム３１と、ベースフレーム３１上に中空間を形成して配置され、上面にベースフレーム３１の長手方向に向けてスリット状のガイド部３２Ｇを形成されたガイドフレーム３２と、ベースフレーム３１の一端、延長上に配置された箱形の補助フレーム３３とからなる。このフレーム３０は、図１または図２に示すように、各格納室３において一対の横行レール３０１間の所定の位置に、各横行レール３０１に対して平行に配置されている。その設置上、ベースフレーム３１の一端が第２の列の格納室３の奥側に位置決めされ、ベースフレーム３１の他端、延長上の補助フレーム３３が第１の列の格納室３側に突出されている。このようにして第１の列、第２の列の各格納室３間に跨がった配置になっている。
【００３５】
一対のスプロケット２７の一方は、図４または図６に示すように、ベースフレーム３１の一端（格納室３の奥側）に軸支され、ベースフレーム３１側とガイドフレーム３２側とに跨がって回転可能に取り付けられている。一対のスプロケット２７の他方は、図４に示すように、ベースフレーム３１の他端、補助フレーム３３に一方のスプロケット２７と同じ高さ位置にして軸支されるとともに、駆動側のスプロケット２７として、図２に示すように、ベースフレーム３１の側面に固定された駆動モータ２９に作動連結されている。
【００３６】
ローラーチェーン２８は、図４に示すように、ベースフレーム３１内、ガイドフレーム３２内に通されて、両スプロケット２７間に巻き掛けられ、両フレーム３１、３２間に回転可能に取り付けられている。なお、ローラーチェーン２８にはグリスが塗布されるから、その動作中、油滴の落下が発生するが、このフレーム３１の構造から、油滴が角筒形のベースフレーム３１内に溜められていくので、下方の格納室に格納されている自動車に油が落下するのを防止する。
【００３７】
フック２１（一対のフックプレート２２）はそれぞれ、図７に示すように、下端をローラーチェーン２８の隣接するリンクプレートにボルトにより固定されて、図４および図５に示すように、ガイドフレーム３２のガイド部３２Ｇ上に立ち上げられている。フック２１がガイド部３２Ｇの案内により一方のスプロケット２７から他方のスプロケット２７まで直進往復駆動される構造になっている。
【００３８】
このように、この駐車装置においては、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０と、Ｒ、Ｌ両サイドの第２の列の各格納室３上に第１の列の格納室３側に跨がって設置された第２のトレー横送り装置２０とにより、トレー移載機構を構成する。
【００３９】
次に、この機械式駐車装置におけるトレー移載機構の基本動作について説明する。
【００４０】
図１において、第１のトレー横送り装置１０は、搬送路１上において、Ｒ、Ｌ両サイドの第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）からトレー４を搬送台車２上に引き出すトレー引き出し動作と、トレー４を搬送台車２から第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）へ送り出すトレー送り出し動作とを行う。
【００４１】
すなわちトレー引き出し動作は、まず、旋回駆動装置１３の作動によりその回転軸が回転し、旋回アーム１１が搬送路１と平行な初期停止位置からＲサイドまたはＬサイドの第１の列に向けて旋回していく。旋回アーム１１の先端が第１の列内に入り、旋回アーム１１全体が第１の列の配列方向に対して直角の位置まで旋回されると、係合部材１２がトレー４の下面、ガイド部材４０１の一端に入り込む。係合部材１２がガイド部材４０１に沿って移動し、旋回アーム１１の旋回とともにトレー４が一対の横行レール３０１上を旋回アーム１１の旋回方向に引き出され、搬送台車２上に引き込まれていく。旋回アーム１１がトレー４の長手方向に対して平行な位置まで旋回したところで、係合部材１２はトレー４のガイド部材４０１の終端近くに達し、そこから続く旋回アーム１１の旋回に伴い、係合部材１２がガイド部材４０１上を戻る方向に移動する。このようにして、旋回アーム１１が所定の旋回角度まで移動したところで停止され、トレー４が搬送台車２上に完全に移し替えられる。
【００４２】
これに対して、トレー４の送り出し動作は、旋回アーム１１の戻す方向への旋回により、搬送台車２からトレー４を送り出し、第１の列へに移し替える。
【００４３】
図１において、第２のトレー横送り装置２０は、第２の列の各格納室３からその前列、第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）へトレー４を送り出すトレー送り出し動作と、その反対に、第１の列の格納室３または各リフト５Ｒ、５Ｌ（この動作説明の中で、以下、単に第１の列という。）から第２の列の格納室３へトレー４を引き出すトレー引き出し動作とを行う。
【００４４】
トレー送り出し動作の場合、第２の列の格納室３上のトレー４に対して、その下面側の係合ピン４０２に係合中のフック２１が、その駆動装置２６により作動される。すなわち、駆動モータ２９によりスプロケット２７を回転駆動され、ローラーチェーン２８が回転されると、フック２１がローラーチェーン２８の回転方向、この場合、格納室３の奥側から手前側に向けて直進移動される。これにより、トレー４が一対の横行レール３０１上を第２の列の格納室３から第１の列へ横送りされる。トレー４が第１の列へ完全に移し替えられると同時に、図４中、二点鎖線で示すように、フック２１の一対のフックプレート２２が駆動側のスプロケット２７上に乗ってその周回軌道に入り、ここで両フックプレート２２を連結するガイドプレート２３の長穴２５の許容により、先行のフックプレート２２が後続のフックプレート２２に対して離れ、両者間が開かれる。この状態で駆動装置２６が動作を停止される。これにより、先行のフックプレート２２と係合ピン４０２との係合が外れ、第１の列に移し替えられたトレー４の搬送路１方向への移動、すなわち搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０によるトレー４の引き出し動作が可能となる。
【００４５】
トレー引き出し動作の場合は、その反対で、開いた状態のフック２１が、その駆動装置２６の反転動作により作動される。すなわち、駆動モータ２９の反転により、スプロケット２７が反転方向に回転されると、ローラーチェーン２８が同様に反転駆動され、フック２１が第２の列の格納室３の手前側から奥側に向けて直進移動される。この駆動開始時、スプロケット２７上で開いていたフック２１は閉じられ、トレー４の係合ピン４０２を挟持し、係合される。フック２１の移動によりトレー４は第１の列から第２の列の格納室３に引き出される。トレー４は第２の列の格納室３上に戻されると、下面側の係合ピン４０２がフック２１に挟持、係合された状態で駆動装置２６の動作を停止される。
【００４６】
次に、このトレー移載機構の基本動作に基づく機械式駐車装置の入庫運転または出庫運転の動作について図８乃至図１２を用いて説明する。なお、この駐車装置の運用上、各格納階層において、搬送路１のＲ、Ｌ両サイドの各格納室３のうち、少なくともその一つにトレーなしの空格納室を設定しておく。
【００４７】
ここでは、自動車の入庫または出庫に際して、地下第３階層のＲサイド、第２の列の一方端に位置する格納室３（以下、指定先の格納室３という。）上のトレー４（図８中、斜線部分）を取り出し、自動車の乗入部へ移送させ、さらに続けて他の格納室３のトレー４を取り出す工程について説明する。
【００４８】
図８（１）〜（３）に示すように、まず予備運転として、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に向けて移動され、指定先の格納室３に対応する位置に停止される。ここで、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作により、指定先の格納室３の前列、第１の列の格納室３上のトレー４が搬送台車２上に引き出されて載せ替えられる。これと同時に、指定先の格納室３では、第２のトレー横送り装置２０のトレー送り出し動作により、指定先の格納室３からトレー４がその前列、第１の列の格納室３へ送り出される。続いて、搬送台車２上でトレー４と第１のトレー横送り装置１０とを係合したまま、搬送路１上を搬送台車２がトレーなしの空の格納室３の前へ移動される。そして、搬送台車２上の第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、トレー４が搬送台車２からその空の格納室３へ移し替えられる。
【００４９】
このような入庫または出庫準備を経て、実際の自動車の入庫または出庫に際し、図９（４）に示すように、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に対応する位置まで移動され、そこで第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作により、指定先の格納室３から予め第１の列の格納室３に移し替えられたトレー４が搬送台車２上に載せ替えられる。そして、指定先のトレー４を載せた搬送台車２は搬送路１上を２基のリフト５Ｒ、５Ｌの間まで移動される。
【００５０】
一方、ここまでの間、Ｒサイドのリフト５Ｒは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここでは、図１０（１）、（２）に示すように、トレー４が自動車の乗入部まで移送された後、地下第２階層へ降下されている。そこでトレー４はリフト５Ｒから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされる。なお、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここではトレー４が地下第１階層の搬送台車２からリフト５Ｌへ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされた後、自動車の乗入部へ移送される。
【００５１】
そして、図１１（３）に示すように、Ｒサイドのリフト５Ｒが地下第３階層まで降下されると、ここで、図９（５）または図１１（４）に示すように、トレー４が搬送台車２からＲサイドのリフト５Ｒへ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされる。
【００５２】
なお、この間、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または停止中）であり、ここではトレー４が自動車の乗入部まで移送された後、地下第１階層へ降下され、そこで、リフト５Ｌから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされている。
【００５３】
続いて、図１２（５）に示すように、Ｒサイドのリフト５Ｒは上昇され、トレー４が自動車の乗入部まで移送されて、そこで自動車の入出庫が行われる。
【００５４】
このとき、同じ地下第３階層で、自動車の入庫指示または出庫指示により、例えばＬサイド、第１の列の格納室３のトレー４を搬送する要求が出された場合、図９（６）に示すように、搬送台車２は、Ｒサイドのリフト５Ｒに受け渡ししたトレー４の返送を待つことなしに、Ｌサイドのトレー４の格納室３まで移動され、そこで第１のトレー横送り装置１０のトレー引き出し動作によりトレー４が取り出される。そして再び、搬送台車２が２基のリフト５Ｒ、５Ｌ間まで移動され、図９（７）に示すように、そこでトレー４が第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、搬送台車２からＬサイドのリフト５Ｌへ受け渡しされる。そして、自動車の乗入部まで移送される。
【００５５】
Ｒサイドのリフト５Ｒでは、自動車の入庫または出庫が終了すると、図１２（６）に示すように、トレー４が地下第３階層まで戻される。そこで、トレー４がリフト５Ｒから搬送台車２へ第１のトレー横送り装置１０により受け渡しされ、搬送台車２が搬送路１上を指定先の格納室３に対応する位置まで移動する。そして、第１のトレー横送り装置１０のトレー送り出し動作により、トレー４が搬送台車２から第１の列の格納室３へ載せ替えられる。さらにこのトレー４を第２の列に入れる場合は、第２のトレー横送り装置２０のトレー引き出し動作が行われる。
【００５６】
なお、この間、Ｌサイドのリフト５Ｌは、入庫または出庫の指示に従って運転中（または待機中）であり、ここでは、図１２（５）、（６）に示すように、地下第１階層の第２の列の格納室３からトレー４がリフト５Ｌへ第２のトレー横送り装置２０により受け渡しされ、自動車の乗入部まで移送されて、自動車の入庫または出庫が行われている。
【００５７】
また、各格納階層において第１または第２の列の格納室３に自動車を入れる場合は、必要に応じて第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその格納室３を空けておく入庫準備が行われる。このような入庫準備から、実際の入庫に際してトレー４が一方のリフト５Ｒまたは５Ｌから搬送台車２上に第１のトレー横送り装置１０により取り出された後、搬送台車２の移動により、入庫先の格納室３まで搬送され、そこで第１のトレー横送り装置１０により格納室３に載せ替えられる。これに続けて、さらに出庫または入庫がある場合、搬送台車２と両方のリフト５Ｒ、５Ｌとの連係により連続してトレー４が移送される。
【００５８】
このように上記実施例によれば、搬送路１の両側において２列ずつ複数の格納室３を配列し、少なくともその１箇所にトレーのない空の格納室を設けておき、トレー移載機構を、搬送台車２上に搭載され、旋回アーム１１の単純な旋回動作を行う第１のトレー横送り装置１０と、第１、第２の列の格納室３間に設置され、フック２１の単純な直進動作を行う第２のトレー横送り装置２０とにより構成して、第１のトレー横送り装置１０により、搬送台車２と第１の列の各格納室３との間でトレー４の受け渡しを行うとともに、第２のトレー横送り装置２０により、第１、第２の列の各格納室３間でトレー４の受け渡しを行い、さらに、搬送路１の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に、２基のリフト５Ｒ、５Ｌを設置して、これらリフト５Ｒ、５Ｌと搬送台車２との間で第１のトレー横送り装置１０によりトレー４の受け渡しを行うようにしているので、各格納室３、搬送台車２、リフト５Ｒ、５Ｌ、これら３者間でトレー４の受け渡しを効率良く行うことができる。
【００５９】
具体的には、第２の列の格納室３から自動車を取り出す場合でも、第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその前列、第１の列の格納室３を空けてそこへトレー４を移動しておく出庫準備を行うことができ、このような出庫準備により、実際の出庫に際して、円滑、かつ迅速に、トレー４を移動先の格納室３から搬送台車２上に取り出し、リフト５Ｒ、５Ｌへ搬送して載せ替えることができ、自動車の出庫を短時間で実行することができる。
【００６０】
また、第１または第２の列の格納室３に自動車を入れる場合でも、第１、第２のトレー横送り装置１０、２０の連係動作により、予めその格納室３を空けておく入庫準備を行うことができ、このような入庫準備により、実際の入庫に際して、円滑、かつ迅速に、トレー４を一方のリフト５Ｒまたは５Ｌから搬送台車２上に取り出し、入庫先の格納室３まで搬送して載せ替えることができ、自動車の入庫を短時間で実行することができる。
【００６１】
また、同じ格納階層で、出庫に続けてさらに出庫または入庫がある場合でも、２基のリフト５Ｌ、５Ｒを併用することにより、連続してトレー４を格納室３から搬送台車２上に取り出し、リフト５Ｒ、５Ｌへ搬送して載せ替えることができ、連続する自動車の入出庫を短時間で実行することができる。
【００６２】
また、この駐車装置においては、２基のリフト５Ｒ、５ＬをＲ、Ｌ両サイド、第１の列においてその長手方向中央に設置しているので、搬送路１の両端から２基のリフト５Ｒ、５Ｌまでの搬送台車２の移動距離が均等になって、格納室３全体にトレー４の受け渡しを効率良く行うことができる。
【００６３】
また、この駐車装置においては、一方のリフト５ＲをＲサイドに配置されたトレー４の専用リフトに設定し、他方のリフト５ＬをＬサイドに配置されたトレー４の専用リフトに設定して使用しているので、複数の格納室３、搬送台車２、２基のリフト５Ｒ、５Ｌ、これら３者間のトレー４の受け渡しを、第１のトレー横送り装置１０の旋回アーム１１の単純な旋回動作と、第２のトレー横送り装置２０のフック２１の単純な直進動作とで実行することができる。
【００６４】
また、この駐車装置においては、第１のトレー横送り装置１０を、旋回アーム１１と、係合部材１２と、旋回駆動装置１３とにより構成し、第２のトレー横送り装置２０を、フック２１と、その駆動装置２６として、一対のスプロケット２７と、ローラーチェーン２８と、駆動モータ２９とにより構成しているので、トレー移載機構全体として簡単な装置構成により、コストの低減を図ることができ、その実用的効果は大きい。
【００６５】
なお、本実施例では、搬送路１の両側に複数の格納室３を２列ずつ配列したものとして例示しているが、３列以上に亘って配列することもできる。この場合、列数をＮとすると（Ｎ−１）箇所にトレーのない空格納室を設けておくことが必要である。また、片側一方を単列、片側他方を複列にすることもできる。
【００６６】
また、本実施例では、２基のリフトをＲ、Ｌ両サイド、第１の列の中央に相互に対向させて設置しているが、第１の列、任意の位置に対向させて、あるいは対向させずに分散して設置することができる。また、駐車装置の規模が大きい場合は３基以上のリフトを用いて、搬送台車２の稼動効率を高めるようにしてもよい。
【００６７】
【発明の効果】
本発明は上記実施例から明らかなように、搬送路の両側または片側において格納室の列数をＮとした場合、少なくとも（Ｎ−１）箇所のトレーのない空の格納室を設定し、トレー移載機構を、搬送台車上に搭載され、旋回アームの単純な旋回動作を行う第１のトレー横送り装置と、第１の列とその外側の列の各格納室間に設置され、フックの単純な直進動作を行う第２のトレー横送り装置とにより構成し、第１のトレー横送り装置により、搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーの受け渡しを行うとともに、第２のトレー横送り装置により、第１の列とその外側の列の各格納室間でトレーの受け渡しを行うようにしたので、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を実現するとともに、複数列に亘る各格納室と搬送台車との間でトレーの受け渡しを効率良く行え、自動車の入庫時間、出庫時間の短縮を図ることができる。さらに、本発明では、搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上に、２基のリフトを設置し、これらリフトと搬送台車との間で第１のトレー横送り装置によりトレーの受け渡しを行うようにしているので、簡単な装置構成で、単純、かつ迅速な動作のトレー移載機構を実現するとともに、複数列に亘る各格納室、搬送台車、リフト、これら３者間でトレーの受け渡しを効率良く行え、自動車の入庫時間、出庫時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例における機械式駐車装置の一部省略平面図
【図２】同駐車装置の第１、第２の列の格納室およびそこに配置されたトレーの一部省略平面図
【図３】同駐車装置の第２の列の格納室およびトレーの側面図
【図４】同駐車装置に備えた第２のトレー横送り装置の側面図
【図５】同駐車装置の第２のトレー横送り装置の部分断面図
【図６】同駐車装置の第２のトレー横送り装置の部分断面図
【図７】同駐車装置の第２のトレー横送り装置に用いるフックの部分断面図
【図８】同駐車装置において自動車の出庫準備における動作例を時系列で示す平面図
【図９】同駐車装置において自動車の出庫運転における動作例を時系列で示す平面図
【図１０】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１１】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１２】同駐車装置において自動車の入庫または出庫運転における動作例を時系列で示す断面図
【図１３】従来の機械式駐車装置に用いているトレー移載装置の平面図
【図１４】従来の機械式駐車装置に用いている別のトレー移載装置の一部省略斜視図
【図１５】同トレー移載装置の動作例を示す平面図
【符号の説明】
１ 搬送路
１０１ 一対のレール
２ 自走式の搬送台車
３ 格納室
３０１ 一対の横行レール
４ 自動車載置用のトレー
４０１ ガイド部材
４０２ 係合ピン
５Ｒ、５Ｌ リフト
５１ 横行レール
５２ 昇降部材
Ｇ ガイドレール
６Ｒ、６Ｌ 昇降路
１０ 第１のトレー横送り装置
１１ 旋回アーム
１２ 係合部材（ローラ）
１３ 旋回駆動装置
２０ 第２のトレー横送り装置
２１ フック
２２ フックプレート
２３ ガイドプレート
２４ 丸穴
２５ 長穴
２６ 駆動装置
２７ スプロケット
２８ ローラーチェーン
２９ 駆動モータ
３０ フレーム
３１ ベースフレーム
３２ ガイドフレーム
３２Ｇ ガイド部
３３ 補助フレーム
Claims (3)
- 搬送路上を往復走行し、自動車載置用のトレーを搬送する搬送台車と、搬送路の両側または片側に、搬送路に隣接する内側の列を第１の列として複数列に亘って配列され、それぞれにトレーを配置された複数の格納室と、搬送台車と各格納室との間でトレーを受け渡しするトレー移載機構と、自動車の乗入部と格納階層との間でトレーを移送するリフトとを備えた機械式駐車装置において、
搬送路の側方に隣接する格納室の列数をＮとしたとき、（Ｎ−１）個のトレーのない空の格納室を設け、
トレー移載機構を、
搬送台車上にその幅方向の中心位置に旋回中心を設定されて水平方向に旋回可能に配置され、先端部が第１の列の格納室側に所要寸法だけ突出した長さを有する旋回アームと、旋回アームの先端に設けられて各トレーの下面に配設されたガイド部材に係合可能な係合部材と、旋回アームを旋回駆動する旋回駆動装置とを備え、搬送台車と第１の列の格納室との間でトレーを受け渡しする第１のトレー横送り装置と、第１の列とその外側の列の各格納室間に移動可能に配置され、トレーに対して係合可能なフックと、その駆動装置とを備え、第１の列の格納室とその外側の格納室との間でトレーを受け渡しする第２のトレー横送り装置とにより構成するとともに、
前記第２のトレー送り装置を、
一対のスプロケットと、これらスプロケット間に巻き掛けられた前記フックを固定するチェーンと、一方のスプロケットを回転駆動する駆動モータとで構成し、かつ、前記スプロケットの内、外側の格納室側のスプロケットを、前記第１の列と外側の列に跨る補助フレームに設けたことを特徴とする機械式駐車装置。 - 前記搬送路の両側で相互に対向する第１の列の一格納室分のスペース上にそれぞれ、リフトの昇降路を設定して、２基のリフトをそれぞれ、トレー用の横行レールを配置した昇降部材と、その昇降駆動装置とにより構成することを特徴とする請求項１記載の機械式駐車装置。
- 前記チェーンを、下方側が筒型のベースフレーム内を、上方側が前記ベースフレーム上に設けられたガイドフレーム内を通過するように配置したことを特徴とする請求項１または２記載の機械式駐車装置。
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