JP3936281B2 - ネジ用十字穴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネジ用十字穴内に突起を成形し、部分接触で、ドライバービットに食い付く、ネジ用十字穴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドライバービットとネジ用十字穴を食い付かせるために、ドライバービットをネジ底に深く押し込むことで、接触面積を多くし、面接触させて、食い付くようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特公平8−第2588848号(1項、図1)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の面接触による食い付きにあっては、ドライバービットをネジ底に深く押し込むようにしないと面接触できず、食い付くことができなかった。
【0004】
また、面接触するとすぐにネジ底が、ドラバービットを止めてしまうため、強い食い付き力を得ることができず、確実にドライバービットに、食い付くことができなかった。
【0005】
また、面接触による食い付きをネジ用十字穴で行って、強い食い付き力を得るには、接触面積を多くするために、ネジ底を深くする必要があった。
【0006】
そこで、ネジ底に穴を開けて深くすることが考えられるが、ネジ底がネジ首の近くにあるため、穴を開けることで、ネジ首部分の断面積が少なくなり、ネジ自体の強度を弱めてしまうという問題があった。
【0007】
上記のような問題点から、本発明は面接触によらず、接触部を潰して密着することができる部分接触で、ドライバービットに食い付ける、突起付きネジ用十字穴を得ることを目的とし、さらに、この食い付き力を増すように突起の接触抵抗を多くすることで、確実にドライバービットに食い付ける、強い食い付き力を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のネジ用十字穴は、ネジ穴の十字付け根にネジ頭部面から前記ネジ穴の内部中央のネジ底付近に向けて傾斜する前記十字付け根を面取りしたような面取り形状の成形凹みが形成され、当該形成凹みと前記ネジ穴の内部壁面との境界部に沿って前記ネジ穴の内部に向かって張り出して突出するほぼ線状の突起が形成され、当該突起が前記境界部であって前記ネジ頭部面から最も離れた最下点付近を中心として左右対称に突出する内部突起と、当該内部突起に一体に連なりその最終部が前記成形凹みと前記ネジ頭部面との境界位置に到達する入口突起とを備え、前記ネジ穴にネジ締め用のドライバービットを挿入した最初の段階では前記内部突起がドライバービットの外面に接触し、更に前記ドライバービットを挿入した次の段階では前記内部突起が潰れて前記入口突起がドライバービットの外面に近接又は接触するものである。
【0009】
また、この食い付き力は、ドライバービットと突起との接触部の接触抵抗を多くすることで食い付き力を増すことができるため、ドライバービットに接触する突起の接触位置をネジ穴の入口で異なるようにし、ドライバービットとの接触部を増やして、さらに、突起をドライバービットに部分接触させて、ドライバービットとの接触部の接触抵抗を多くして、食い付き力高められる。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して、構造と作用を説明する。図1に示す実施例では、ネジ用十字穴1の内部にあるネジ穴の十字付け根8に、図2に示すネジ穴のX−X断面の実施例のように、ネジ穴内の上端部に位置させて入口突起5と内部突起6を対にした成形凹み7を四つ同時に成形する。
【0011】
また、この成形により、A−B部分の接触部を持つ、内部突起6とCを頂点としたB−C−Dの接触部を持つ、入口突起5が、それぞれ、ドライバービットに接触する位置と方向を異なえて、ネジ穴内の八ヶ所に突出する。
【0012】
図3および図4は、本発明の突起付きネジ用十字穴がドライバービットに食い付き、その食い付き力を増す、ドライバービットとの接触行程とその働きを示すものである。
【0013】
ネジ穴内の一次接触位置12で、ドライバービットの十字付け根10の接触部aと内部突起6の接触部Aの四点で部分接触し、内部突起6の接触部A〜Bの一部を八方向に潰して、ドライバービット11の押し込みをここで止めて食い付く。
【0014】
これにより、垂直方向の一次接触行程Q1と二次接触行程Q2および、水平方向の一次接触行程a−a’とb−b’および、二次接触行程c−Dが生じる。
【0015】
そして、図5および図6の接触行程の過程で、示すように、ドライバービット11が、一次接触行程Q1の押し込みを、行うことで、水平方向の接触行程が、a−a2へ b−Bへと進み、内部突起6の接触部A〜Bをドライバービットの十字付け根10の接触部a−bで、二次接触位置13まで、徐々に潰して、接触部A〜Bの密着を高めることで、食い付き力を増す。
【0016】
そして、ドライバービット11の十字付け根10に、一次接触跡15を遺す。
【0017】
さらに、上記のようして、食い付き力を増した内部突起6は、接触部の位置と方向が異なる、入口突起5の接触部B〜C〜Dが、ドライバービットの十字9の接触部b−cに、部分接触するため、接触部の接触抵抗が多くなり、二次接触位置13で止められる。
【0018】
そして、ドライバービット11が、二次接触行程Q2の押し込みを行うことで水平方向の接触行程がa2−a’へ B−b’へ c−Dへ と進み、食い付き力を増した内部突起6の接触部A〜Bと入口突起5の接触部B〜C〜Dを最終接触位置14まで、同時に潰して、さらに、強い食い付き力を得ることができる。
【0019】
そして、ドライバービット11の十字10に、二次接触跡16を遺す。
【0020】
また、ドライバービットの一次接触行程Q1の押し込みは、手で行って不足のない食い付き力で、ドライバービットに食い付くことができる。
【0021】
しかし、二次接触行程Q2の押し込みは、手で行うことができないため、打撃して行うようにするこれにより、突起付きネジ用十字穴は、作用反作用の効果で、打撃して接触部を潰した分の力と同程度の力でドライバービットに食い付くことができ、強い食い付き力とすることができる。
【0022】
上述した本発明の実施の形態に係るネジは、発明者である一級建築士が建設現場を訪れ、そこでたびたび目撃した悲惨な転落事故を防ぐ対策として、独自に発明したネジである。このように本実施の形態のネジにより転落事故の低減・防止を図ることができ、社会に大きく貢献できるものであるので、一日も早く社会にこのネジを普及させたいと考えている。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、上記説明したように、ネジ用十字穴内の突起により、以下のような効果を発揮する。
【0024】
ドライバービットをネジ穴に挿入すると、ドライバービットが突起との接触部を内部突起から入口突起へと順次徐々に潰して、ドライバービットに食い付くため、食い付き力を漸次増すことができ、しかも、本発明のネジ用十字穴を有するネジは、突起の潰れ具合に応じて、ドライバービットとの食い付き力を簡単に手で外すことができる強さから、手で強く引っ張っても外すことができない強さまで、食い付き力を漸次段階的に強く増すことができる。
そして、食い付き力を強くすることで、突起の接触部を密着することができるため、ドライバービットとネジを一体化することができる。
これにより、自在な方向に向けても、ネジがドライバービットから離れることがなく、ネジをねじ込むことができ、さらに、ドライバービットが外れてネジ穴内を潰すことも少なくなる。
【0025】
また、突起の食い付き力は、引張力に強く、せん断力に弱いため、テコの原理を利用してネジ穴からドライバービットを容易に外すことができる。
【0026】
また、この突起は、多種多様なネジ頭部のネジ用十字穴内に、簡単に成形できるため、多用途な使用方法を考えることができる。
【0027】
従来のネジにおいてはドライバービットをネジに一体化できなかったので、片手でネジを持ってねじ込む場所にあてがい他方の手でドライバーを握ってネジをねじ込むようにしていたが、このように両手がふさがってしまうので、高所作業などにおいて体を支えることができず作業が不安定になり、バランスを崩した際などに転落事故が多発していたが、本発明のネジ用十字穴付きのネジによれば、ドライバービットとネジとを一体化することができるので、片手で体を支え、他方の手でドライバーを握ってネジをねじ込むことができ、転落事故の低減・防止を図ることができ、労働安全上極めて有効であり、社会に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】食い付き突起の実施例を示す十字穴の平面図
【図2】図1のX−X断面図
【図3】ドライバービットとの接触行程を示す横断面一部平面図
【図4】ドライバービットとの接触行程を示す縦断面図
【図5】ドライバービットとの接触行程の過程を示す横断面一部平面図
【図6】ドライバービットとの接触行程の過程を示す縦断面図
【符号の説明】
1 ネジ用十字穴
2 ネジ頭部
3 ネジ穴入口
4 ネジ底
5 入口突起
6 内部突起
7 成形凹み
8 ネジ穴の十字付け根
9 十字
11 ドライバービット
12 一次接触位置
13 二次接触位置
14 最終接触位置
15 一次接触跡
16 二次接触跡
Q1 一次接触行程
Q2 二次接触行程
a−a’ b−b’ c−D 水平方向の接触行程
a2−a’ B−b’ c−D 水平方向の二次接触行程
A〜B 内部突起の接触部
B〜C〜D 入口突起の接触部
a−b ドライバービットの十字付け根の接触部
b−c ドライバービットの十字の接触部

Claims (1)

  1. ネジ穴の十字付け根にネジ頭部面から前記ネジ穴の内部中央のネジ底付近に向けて傾斜する前記十字付け根を面取りしたような面取り形状の成形凹みが形成され、当該形成凹みと前記ネジ穴の内部壁面との境界部に沿って前記ネジ穴の内部に向かって張り出して突出するほぼ線状の突起が形成され、当該突起が前記境界部であって前記ネジ頭部面から最も離れた最下点付近を中心として左右対称に突出する内部突起と、当該内部突起に一体に連なりその最終部が前記成形凹みと前記ネジ頭部面との境界位置に到達する入口突起とを備え、前記ネジ穴にネジ締め用のドライバービットを挿入した最初の段階では前記内部突起がドライバービットの外面に接触し、更に前記ドライバービットを挿入した次の段階では前記内部突起が潰れて前記入口突起がドライバービットの外面に近接又は接触することを特徴とするネジ用十字穴。
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