JP3934602B2 - 重荷重用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、カーカスのプライ折返し部の構造を改善することにより、軽量化を図りつつビード耐久性を向上した重荷重用タイヤに関する。
近年、図6に示す如く、カーカスのプライ折返し部aを、ビードコアbの周りで略一周巻きし、該ビードコアbの半径方向上面bsに沿わせたプライ折返し部aの端部分a1を、該ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で狭持したビード構造(以下ビードワインド構造という場合がある)のタイヤが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開平11−321244号公報 特開2000−219016号公報
この構造のものは、プライ折返し部aがビードコアbの周囲で途切れるため、その端部分a1にビード変形時の応力が作用せず、従って、該端部分a1を起点としたコードルース等の損傷を効果的に抑制できる。しかもプライ折返し部aの長さが小であるため、タイヤを軽量化しうるという利点もある。なおカーカスプライの吹き抜け現象は、前記端部分a1が、ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で挟まれて係止されることにより防止される。しかし、前記構造のものは、前記端部分a1の長さが小でありかつ折れ曲がりの度合いが大きいため、例えば生タイヤ成形過程などにおいて、前記端部分a1に強い曲げ戻り(所謂スプリングバック)が発生する。その結果、ビードコアbとの間に空洞が生じるなど、空気残りなどの成形不良が生じやすくなるという問題がある。
そこで本発明者は、予め、前記端部分a1とビードコアbとの間に小高さの充填ゴムを介在せしめ、敢えて端部分a1をビードコアbから離間させて折れ曲がりの度合いを減じることにより、前記スプリングバックを抑制することを提案した。
しかし係る構造では、ビード変形時にその先端に作用する応力が増大するため該先端に損傷が発生しやすい傾向となる。又前記離間により端部分a1への係止力が弱まるためカーカスプライが吹き抜け方向に動きやすくなるなど、ビードコアbのタイヤ軸方向内端位置Qにおいて、カーカスプライがビードコアbと擦れやすくなり、かつビードコアbとの強い圧接力とも相俟ってカーカスコードのトッピングゴムに割れ等を招くなど、前記位置Qにも損傷が起こりやすい傾向となることも判明した。
そこで本発明は、カーカスプライの端部分をビードコアから離間させたビードワインド構造において、ビードエーペックスゴム、クリンチゴム、或いはカーカスプライのトッピングゴムのゴム物性を特定することを基本として、前記端部分先端での損傷、及び/又はビードコアのタイヤ軸方向内端位置での損傷を抑制でき、ビード耐久性を向上しうる重荷重用タイヤを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、
トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
かつ前記ビード部は、ビードコアから前記巻上げ部を介してタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴムと、リムとの接触域に配されるリムずれ防止用のクリンチゴムとを具えるとともに、
タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した50kPa内圧状態において、
前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのび、しかも該巻上げ部の先端の、前記ビードコアの半径方向上面からの高さLaを5〜12mmとするとともに、
前記クリンチゴムは、70℃における複素弾性率Ea*を8〜15MPa、かつ23℃における引張強さ(単位MPa)と切断時伸び(単位%)との積を4000〜12000とし、
かつ前記カーカスプライのトッピングゴムは、70℃における複素弾性率Ec*を5〜13MPa、しかも硫黄配合量を2phr〜7phrとしたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、クリンチゴムのゴム物性を特定するのに代えて、ビードエーペックスゴムの外エーペックス部を、70℃における複素弾性率Eb*が3〜10MPa、かつ23℃における100%モジュラスが2.0〜4.0MPaのゴムとしたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記クリンチゴムを、70℃における複素弾性率Ea*を8〜15MPa、かつ23℃における引張強さ(単位MPa)と切断時伸び(単位%)との積を4000〜12000としたことを特徴とする。
なお本明細書において、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
本発明は叙上の如く構成しているため、カーカスプライの端部分先端での損傷、及び又はビードコアのタイヤ軸方向内端位置での損傷を抑制できビード耐久性を向上しうる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は本願発明の重荷重用タイヤの50kPa充填状態を示す断面図、図2、3はそのビード部を拡大して示す断面図である。
図1において、重荷重用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具備して構成される。
前記ベルト層7は、ベルトコードを用いた2枚以上(重荷重用タイヤの場合は通常3枚以上)のベルトプライから形成される。本例では、ベルト層7が、スチールコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜4のベルトプライ7B〜7Dとの4枚構造の場合を例示している。このベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されることにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した一枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとして、スチールコードが好適であるが、必要に応じてナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミドなどの有機繊維コードも使用される。又前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
なお前記ビードコア5は、図2に示すように、例えばスチール製のビードワイヤを多段多列に巻回してなるリング状体であって、本例では、断面横長の偏平六角形状のものを例示する。このビードコア5は、半径方向下面SLが正規リムJのリムシートJ1と略平行となることによって、リムとの嵌合力を広範囲に亘って高めている。本例では、前記正規リムJがチューブレス用の15°テーパーリムである場合を例示しており、従って、ビードコア5の前記半径方向下面SL及び上面SUは、タイヤ軸方向線に対して略15°の角度で傾斜してる。ビードコア5の断面形状としては、必要に応じて、正六角形、矩形状も採用できる。
次に、本願のタイヤでは、カーカス6のプライ折返し部6bは、前記ビードコア5の周面に巻き付けられるとともに、その端部分がビードエーペックスゴム8との間で挟まれて係止される所謂ビードワインド構造で構成される。
詳しくは、前記プライ折返し部6bは、前記ビードコア5のタイヤ軸方向内側面Si、半径方向下面SL、及びタイヤ軸方向外側面Soに沿って折れ曲がる主部10と、該主部10に連なり前記ビードコア5から離間してのびる巻上げ部11とから形成される。
このとき、前記巻上げ部11は、ビードコア5の前記半径方向上面SUに対して90°より小、好ましくは75°以下の角度θを有して前記プライ本体部6aに向かって傾斜してのびる。この巻上げ部11は、前記半径方向上面SUの延長線よりも半径方向外側の部位を意味し、本例では、略く字状に折れ曲がる屈曲線状のものを例示しているが、直線状、及び円弧状等の湾曲線状に形成することもできる。
なおビードコア5では、図4に誇張して示すように、ビードワイヤ40が一直線状に整一せずに上下にバラツキながら配列するなど、その半径方向上面SUが非平面をなす場合がある。係る場合には、前記半径方向上面SUは、該上面SUをなすビードワイヤ列(上段列)のうちで半径方向最外側に位置するビードワイヤ40oと半径方向最内側に位置するビードワイヤ40iとに接する接線Kとして定義する。又前記巻上げ部11が屈曲線状及び湾曲線状等の曲線の場合には、前記角度θは、前記巻上げ部11が前記半径方向上面SUの延長線(半径方向上面SUが非平面の場合は前記接線K)に交わる巻上げ部11の下端Pbと、巻上げ部11の先端Paとを結ぶ直線の前記半径方向上面SU(半径方向上面SUが非平面の場合は前記接線K)に対する角度として定義する。
そして、前記巻上げ部11では、その先端Paの前記半径方向上面SU(半径方向上面SUが非平面の場合は前記接線K)からの距離Laを5〜12mmとするとともに、前記ビードコア5とプライ折返し部6bとの間に充填ゴム12を配設している。
前記充填ゴム12は、本例では、ビードコア5の前記半径方向上面SUと前記巻上げ部11と前記プライ本体部6aとの間に配される断面略三角形状の基部12A、及びビードコア5の前記タイヤ軸方向内側面Si,半径方向下面SL,タイヤ軸方向外側面Soと、プライ折返し部6bの前記主部10との間に配される比較的薄い膜状の副部12Bとから形成される好ましい場合を例示している。なお充填ゴム12を前記基部12Aのみで形成することもできる。
このように、断面略三角形状の基部12Aを有する充填ゴム12を設け、前記距離Laを5mm以上に確保しているため、前記巻上げ部11の曲がりの度合いを減じることができ、巻上げ部11のスプリングバックを抑え、空気残りなどの成形不良の発生を抑制することが可能となる。なお前記距離Laが12mmを越えると、巻上げ部11の前記先端Paに、タイヤ変形時の応力が強く作用する傾向となり、該先端Paを起点としたコードルース等の損傷が生じやすくなる。従って、前記距離Laを7〜12mmとするのが好ましい。
又前記先端Paでは、前記プライ本体部6aとの間隙Lbを1〜5mm確保するのが好ましく、1mm未満では、タイヤ形成時のバラツキ、或いは走行時のタイヤ変形等によって、カーカスコードの先端とプライ本体部6aのカーカスコードとが接触して擦れ合うなど、フレッティング等のコード損傷を招きやすくなる。なお前記間隙Lbが5mmを越えると、巻上げ部11への係止力が不十分となり、吹き抜け現象が発生する恐れがある。
次に、前記ビード部4には、図3に示すように、ビードコア5から前記巻上げ部11を介してタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8と、リムとの接触域に配されるリムずれ防止用のクリンチゴム20とが配されている。
前記クリンチゴム20は、ビード部4の外皮をなす耐摩耗性に優れるゴムからなり、ビード外側面をなしかつビードヒール部分からリムフランジの上端を半径方向外方に超えた高さ位置まで立ち上がるクリンチ基部20Aと、ビード底面をなかつ前記クリンチ基部20からビードヒール部分までのびるクリンチ底部20Bとを含んで構成される。前記クリンチ基部20AのビードベースラインBLからの半径方向高さh1は、リムフランジ高さh2の1.5〜4.0倍の範囲であり、かつ該クリンチ基部20Aには、クリンチゴム20よりも、ゴム硬度及び弾性率が小さいサイドウォールゴム3Gの下端部が隣接する。
又前記ビードエーペックスゴム8は、前記巻上げ部11から立ち上がる半径方向内側の内エーペックス部8Aと、その外側の外エーペックス部8Bとからなる。このうち前記内エーペックス部8Aは、タイヤ半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側から内側に傾く斜面S1を有する断面三角形状をなし、かつゴム硬度Hsa(デュロメータA硬さ)が80〜95°の硬質のゴムから形成される。又前記外エーペックス部8Bは、前記斜面S1を底面としてタイヤ半径方向外方にのびる断面三角形状をなし、かつゴム硬度Hsb(デュロメータA硬さ)が40〜70°かつ前記ゴム硬度Hsaより小な軟質のゴムから形成される。前記ビードエーペックスゴム8のビードベースラインBLからの半径方向高さh3は、カーカスプライ最大巾高さH0の40〜80%であり、かつ内エーペックス部8Aの半径方向高さh3aは、前記高さh3の30〜70%の範囲としている。なお前記カーカスプライ最大巾高さH0とはプライ本体部6aタイヤ軸方向外側に最も張り出す点(カーカスプライ最大巾点)のビードベースラインBLからの半径方向高さである。
そして、前記クリンチゴム20として、70℃における複素弾性率Ea*を8MPa以上と従来的なタイヤのクリンチゴムよりも高く設定している。これによって、荷重負荷時のビード部の倒れ込みを軽減し、前記巻上げ部11の先端Paでの損傷をさらに抑制することができる。なお後述するビード補強層15の外片15o先端での損傷抑制にも効果がある。しかし前記複素弾性率Ea*が15MPaを超えると、隣接する前記サイドウォールゴム3Gとの間に弾性差に起因して応力が集中しやすくなり、その境界面を起点とした損傷の発生傾向を招く。従って、前記複素弾性率Ea*を8MPa〜15MPaとすることが必要であり、特にその下限値を8MPa以上、上限値を12MPa以下とするのが好ましい。
このとき前記クリンチゴム20では、23℃における引張強さt(単位MPa)と切断時伸びe(単位%)との積t×eを4000〜12000とすることも重要であり、もし前記積t×eが4000未満では、強度が不足しリムフランジとの接触部分において、変形による破壊が発生しやすくなる。逆に積t×eが12000を超えると、負荷時の変形に追従しなくなるため、破壊が生じやすくなる。従って前記積t×eは4000〜8000の範囲が好ましい。
本願において前記複素弾性率は、JIS K6394の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法」に準拠し、粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定した値であり、又前記引張強さt、切断時伸びe、及び後述する100%モジュラスM100 は、JIS K6251の「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して23℃の条件で測定した値である。
又本例では、荷重負荷時のビード部の倒れ込みをさらに軽減し、前記巻上げ部11の先端Paでの損傷をより抑制するために、前記ビード部4に略U字状のビード補強層15を設けている。
前記ビード補強層15は、スチールコードをタイヤ周方向線に対して例えば10〜40゜の角度で配列したコードプライからなり、図3に示すように、前記プライ折返し部6bの主部10に沿いその半径方向内方を通る曲線状部15Aと、この曲線状部15Aのタイヤ軸方向外側で前記主部10と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片15oと、前記曲線状部15Aのタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部6aのタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片15iとを具えて構成される。
なお前記内片15iでは、荷重負荷時のビード部の倒れ込みを抑えて前記先端Paでの歪みをより小さく減じるなどの補強の役目があり、従って、内片15iのビードベースラインBLからの半径方向高さHiは、10mm以上さらには25mm以上とするのが好ましい。しかし60mmを超えると、内片15i先端で応力集中による損傷が生じやすくなる。
又前記外片15oでは、ビードコア5のタイヤ軸方向内端位置Qにおいてカーカスコードにコードルースが生じるなどの損傷を抑制する役目があり、そのために、外片15oのビードベースラインBLからの半径方向高さHoは、20mm以上とするのが好ましい。
ここで、前記位置Qでの損傷は、ビードワインド構造では、荷重負荷時のカーカスプライ6Aの倒れ込みが相対的に大きく、かつ前記巻上げ部11のビードコア5から離間によって巻上げ部11への係止力が弱まるため、カーカスプライ6Aが吹き抜け方向に動きやすい傾向があることに原因する。そしてこれにより、ビードコアbのタイヤ軸方向内端位置Qにおいて、カーカスプライ6Aがビードコア5と擦れやすくなり、かつビードコア5との強い圧接力とも相俟ってカーカスコードのトッピングゴムに割れ等が生じ、コードルース等の損傷へと進行する。この傾向は、ビード内のゴムが、車両側のブレーキパッド等の熱を拾って過度に温度上昇し、熱軟化を起こした場合により顕著であり、荷重負荷時、熱軟化したビード内のゴムがフランジとの間で押し圧されてビードトウ側に移動する傾向となり、このとき前記プライ折返し部6bが引きずられて吹き抜け方向への移動を大きくさせるからと推測される。
そして前記外片15oは、前記半径方向高さHoが20mm以上と高くなると遮蔽板としての機能を発揮し、ビードトウ側への前記ゴム移動F(図3に一点鎖線で示す)を遮蔽効果によって減じることにより、前記位置Qにおける損傷を低減できる。しかし、前記半径方向高さHoが40mmを越えると、前記外片15o先端で応力集中による損傷が生じやすくなる。
又前記充填ゴム12では、その複素弾性率Ed* が2MPa未満と柔らか過ぎると、巻上げ部11への係止力が弱まるとともにゴム移動Fに引きずられやすくなるため、前記位置Qでの損傷に不利となり、従ってその下限値は、2MPa以上が好ましく、さらには3MPaより大、さらには8MPaより大、さらには13MPaより大が望ましい。しかし25MPaを超えて大きくなると、前記巻上げ部11の先端Paでの衝撃が大きくなるなど前記先端Paでの損傷に不利となり、従ってその上限値を25MPa以下とするのが好ましい。
次に、本願の第2発明のタイヤを説明する。
この第2発明のタイヤでは、前記第1発明のタイヤがクリンチゴム20のゴム物性を規制したのに対して、前記ビードエーペックスゴム8における外エーペックス部8Bのゴム物性を規制している。詳しくは、前記外エーペックス部8Bの70℃における複素弾性率Eb*を、3MPa以上と従来的なタイヤの外エーペックス部よりも高く設定し、これによって荷重負荷時のビード部の倒れ込みを軽減し、前記巻上げ部11の先端Paでの損傷抑制を図っている。しかし前記複素弾性率Eb*が10MPaを超えると、ビード剛性が高くなりすぎ、ビードエーペックスゴム8の半径方向外端近傍で損傷しやすくなる。従って、前記複素弾性率Eb*を3MPa〜10MPaとすることが必要であり、特にその下限値を5MPa以上、上限値を8MPa以下とするのが好ましい。
このとき外エーペックス部8Bでは、23℃における100%モジュラスM100を2.0〜4.0MPaとすることも重要であり、もし100%モジュラスM100が2.0MPa未満では、ビード部の倒れ込みを軽減する能力が不足する。又4.0MPaを超えると、隣接する前記サイドウォールゴム3Gとの間に、弾性差に起因した損傷が発生傾向となる。
又前記トッピングゴムの70℃における複素弾性率Ec*を、5MPa以上と従来的なタイヤのカーカストッピングゴムよりも高く設定している。これによる剛性アップによって、ビードコアbとの圧接力に基づく割れ等の発生を抑え、前記位置Qにおける損傷抑制が図られる。しかし前記複素弾性率Ec*が13MPaを超えると、ゴム剛性か高くなりすぎ、荷重負荷時の変形量が大となるカーカスプライ最大巾点の近傍において、トッピングゴムに割れ等の損傷を招く傾向となる。従って、前記複素弾性率Ec*を5MPa〜13MPaとすることが必要であり、特にその下限値を6MPa以上、上限値を10MPa以下とするのが好ましい。
又前記トッピングゴムでは、加硫剤としての硫黄を2.0phr以上加えて硫黄配合量を増やすことにより、ゴムとコードとの接着強度を高めることも必要である。又、硫黄を2.phr以上配合することで前記範囲の複素弾性率Ecを得る場合、ゴムが熱軟化し難い特性も生じ、ブレーキパッド等の熱でビード温度が過度に上昇した場合にも、前記プライ折返し部6bの吹き抜け方向への移動を抑えることができ、前記位置Qでの損傷抑制効果を維持しうるという効果も期待できる。なお前記硫黄の配合量が7phrを越えると、加硫が早くなり過ぎてゴム焼けが起こリやすくなるため、隣接する部材との接着性を低下させる恐れを招き、従って4phr以下とするのが好ましい。
なお、前記外エーペックス部8Bのゴム物性及びカーカストッピングゴムのゴム物性、前記クリンチゴム20のゴム物性及びカーカストッピングゴムのゴム物性は、クリンチゴム20とカーカストッピングゴム、或いは外エーペックス部8Bとカーカストッピングゴムとともに、クリンチゴム20とも組み合わせることはビード耐久性のために好ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1の構造をなしかつ表1〜3の仕様を有する重荷重用タイヤ(11R22.5)をそれぞれ試作するとともに、各試供タイヤのビード耐久性をテストし評価した。なお表1〜3に記載以外の仕様は互いに同仕様としており、又表1〜3に記載の実施例1A、1B、1Cに用いたクリンチゴム、外エーペックス部、カーカストッピングゴムのゴム組成を表4に例示している。
又なお従来例は、図5に示す如く、カーカスのプライ折返し部をビードエーペックスゴムの外側面に沿って巻き上げた構造をなし、プライ折返し部のビードベースラインからの高さh3を65mmとしている。
(1)ビード耐久性;
〈i〉 一般ビード耐久性:
ドラム試験機を用い、タイヤをリム(7.50×22.5)、内圧(700kPa)、縦荷重(27.25kN×3)の条件下にて、速度30km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。
〈ii〉 熱ビード耐久性:
前記と同様のビード耐久性テストを、リムを130℃に加熱した状態で実施し、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。なお熱ビード耐久性では、ビードコアのタイヤ軸方向内端位置でのコードルースを起点として損傷が発生している。
Figure 0003934602
Figure 0003934602
Figure 0003934602
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本発明の重荷重用タイヤの一実施例を示す断面図である。 そのビード部を拡大して示す断面図である。 そのビード部を拡大して示す断面図である。 半径方向上面が非平面をなす場合の上面の定義を説明する線図である。 表1〜3の従来例のビード構造を示す断面図である。 ビードワインド構造の従来技術を説明する断面図である。
符号の説明
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b プライ折返し部
8 ビードエーペックスゴム
8A 内エーペックス部
8B 外エーペックス部
10 主部
11 巻上げ部
20 クリンチゴム

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
    前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
    かつ前記ビード部は、ビードコアから前記巻上げ部を介してタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴムと、リムとの接触域に配されるリムずれ防止用のクリンチゴムとを具えるとともに、
    タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した50kPa内圧状態において、
    前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのび、しかも該巻上げ部の先端の、前記ビードコアの半径方向上面からの高さLaを5〜12mmとするとともに、
    前記クリンチゴムは、70℃における複素弾性率Ea*を8〜15MPa、かつ23℃における引張強さ(単位MPa)と切断時伸び(単位%)との積を4000〜12000とし、
    かつ前記カーカスプライのトッピングゴムは、70℃における複素弾性率Ec*を5〜13MPa、しかも硫黄配合量を2phr〜7phrとしたことを特徴とする重荷重用タイヤ。
  2. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
    前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなり、
    かつ前記ビード部は、ビードコアから前記巻上げ部を介してタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴムと、リムとの接触域に配されるリムずれ防止用のクリンチゴムとを具えるとともに、
    タイヤを正規リムにリム組みしかつ50kPaの内圧を充填した50kPa内圧状態において、
    前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのび、しかも該巻上げ部の先端の、前記ビードコアの半径方向上面からの高さLaを5〜12mmとするとともに、
    前記ビードエーペックスゴムは、前記巻上げ部から立ち上がる半径方向内側の内エーペックス部と、その外側の外エーペックス部とからなり、かつ該外エーペックス部は、70℃における複素弾性率Eb*を3〜10MPa、かつ23℃における100%モジュラスを2.0〜4.0MPaとし、
    かつ前記カーカスプライのトッピングゴムは、70℃における複素弾性率Ec*を5〜13MPa、しかも硫黄配合量を2phr〜7phrとしたことを特徴とする重荷重用タイヤ。
  3. 前記クリンチゴムは、70℃における複素弾性率Ea*を8〜15MPa、かつ23℃における引張強さ(単位MPa)と切断時伸び(単位%)との積を4000〜12000としたことを特徴とする請求項2記載の重荷重用タイヤ。
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