JP3934595B2 - 重荷重用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、カーカスのプライ折返し部の構造を改善することにより、軽量化を図りつつビード耐久性を向上した重荷重用タイヤに関する。
近年、図7に示す如く、カーカスのプライ折返し部aを、ビードコアbの周りで略一周巻きし、該ビードコアbの半径方向上面bsに沿わせたプライ折返し部aの端部分a1を、該ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で狭持したビード構造(以下ビードワインド構造という場合がある)のタイヤが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開平11−321244号公報 特開2000−219016号公報
この構造のものは、プライ折返し部aがビードコアbの周囲で途切れるため、その端部分a1にタイヤ変形時の応力が作用せず、従って、該端部分a1を起点としたコードルース等の損傷を効果的に抑制できる。しかもプライ折返し部aの長さが小であるため、タイヤを軽量化しうるという利点もある。なおカーカスプライの吹き抜け現象は、前記端部分a1が、ビードコアbとビードエーペックスゴムcとの間で挟まれて係止されることにより防止される。
しかし、前記構造のものは、前記端部分a1の長さが小でありかつ折れ曲がりの度合いが大きいため、例えば生タイヤ成形過程などにおいて、前記端部分a1に強い曲げ戻り(所謂スプリングバック)が発生する。その結果、ビードコアbとの間に空洞が生じるなど、空気残りなどの成形不良が生じやすくなるという問題がある。
そこで本発明者は、予め、前記端部分a1とビードコアbとの間に小高さの充填ゴムを介在せしめ、敢えて端部分a1をビードコアbから離間させて折れ曲がりの度合いを減じることにより、前記スプリングバックを抑制することを提案した。そしてこれを前提として研究を積み重ねた結果、前記端部分a1先端を、正規内圧状態或いは正規荷重負荷状態のタイヤの所定位置で終端させれば、カーカスの吹き抜け現象を抑えながら前記先端での損傷を抑制することが可能となり、ビードワインド構造の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうることを究明し得た。
そこで本発明は、カーカスプライの端部分先端を、正規内圧状態或いは正規荷重負荷状態のタイヤの所定位置で終端させることを基本として、ビードワインド構造の利点、即ち軽量化やビード耐久性の向上等の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる重荷重用タイヤを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなるとともに、
前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とを具えるビード補強層を具え、
タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧状態において、
前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのびるとともに、前記巻上げ部の先端は、前記ビード部の外面が前記正規リムのフランジから離間するフランジ離間点を通り前記プライ本体部に直角に交わる基準線よりもタイヤ半径方向内方に位置し、しかも前記巻上げ部の先端の前記基準線からの距離Lpを2〜12mmとし
さらに前記ビードコアと前記プライ折返し部と前記プライ本体部との間に、硫黄配合量を5〜12phrかつ複素弾性率Ea* を2〜25Mpaとし、かつビードコアの周囲を囲む充填ゴムを配したことを特徴としている。
又請求項2の発明では、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなるとともに、
前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とを具えるビード補強層を具え、
正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧状態のタイヤに正規荷重を負荷した正規荷重負荷状態において、
前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのびるとともに、前記巻上げ部の先端は、前記ビード部の外面が前記正規リムのフランジから離間するフランジ離間点を通り前記プライ本体部に直角に交わる基準線よりもタイヤ半径方向内方に位置し、しかも前記巻上げ部の先端の前記基準線からの距離Lpを10〜25mmとし、
さらに前記ビードコアと前記プライ折返し部と前記プライ本体部との間に、硫黄配合量を5〜12phrかつ複素弾性率Ea* を2〜25Mpaとし、かつビードコアの周囲を囲む充填ゴムを配したことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記ビードコアは、前記半径方向下面と上面とが15°テーパリムのリムシートと略平行となる断面六角形状をなすとともに、前記充填ゴムは、前記ビードコアの半径方向上面と前記巻上げ部と前記プライ本体部との間に配される断面三角形状の基部を有することを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記充填ゴムは、前記複素弾性率Ea*が8Mpa以上でありかつ硫黄配合量が7.0phr以上であることを特徴としている。
なお本明細書において、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。また前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" を意味する。又前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"に0.88を乗じた荷重を意味する。
本発明は叙上の如く構成しているため、ビードワインド構造の利点を損ねることなく、空気残りなどの成形不良の発生を効果的に抑制しうる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は本願第1発明の重荷重用タイヤの正規内圧状態を示す断面図、図2、3はそのビード部を拡大して示す断面図、図5は第2発明の重荷重用タイヤの正規荷重負荷状態を示すビード部の断面図である。
図1において、第1発明の重荷重用タイヤ1Aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具備して構成される。
前記ベルト層7は、ベルトコードを用いた2枚以上(重荷重用タイヤの場合は通常3枚以上)のベルトプライから形成される。本例では、ベルト層7が、スチールコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜4のベルトプライ7B〜7Dとの4枚構造の場合を例示している。このベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されることにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した一枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとして、スチールコードが好適であるが、必要に応じてナイロン、レーヨン、ポリエステル、芳香族ポリアミドなどの有機繊維コードも使用される。又前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。
なお前記ビードコア5は、図2に示すように、例えばスチール製のビードワイヤを多段多列に巻回してなるリング状体であって、本例では、断面横長の偏平六角形状のものを例示する。このビードコア5は、半径方向下面SLが正規リムJのリムシートJ1と略平行となることによって、リムとの嵌合力を広範囲に亘って高めている。本例では、前記正規リムJがチューブレス用の15°テーパーリムである場合を例示しており、従って、ビードコア5の前記半径方向下面SL及び上面SUは、タイヤ軸方向線に対して略15°の角度で傾斜している。ビードコア5の断面形状としては、必要に応じて、正六角形、矩形状も採用できる。
次に、本発明では、前記カーカス6のプライ折返し部6bは、このビードコア5の周面に巻き付けられるとともに、該プライ折返し部6bの端部がビードエーペックスゴム8との間で狭持されて係止されるビードワインド構造をなす。
詳しくは、前記プライ折返し部6bは、前記ビードコア5のタイヤ軸方向内側面Si、半径方向下面SL、及びタイヤ軸方向外側面Soに沿って折れ曲がる主部10と、該主部10に連なり前記ビードコア5から離間してのびる巻上げ部11とから形成される。
このとき、前記巻上げ部11は、ビードコア5の前記半径方向上面SUに対して90°より小、好ましくは75°以下の角度θを有して前記プライ本体部6aに向かって傾斜してのびる。この巻上げ部11は、前記半径方向上面SUの延長線よりも半径方向外側の部位を意味し、本例では、略く字状に折れ曲がる屈曲線状のものを例示しているが、直線状、及び円弧状等の湾曲線状に形成することもできる。前記角度θが90°以上となると、カーカスプライ6Aの吹き抜け現象が起こりやすくなる。
ここで、ビードコアでは、図4に誇張して示すように、ビードワイヤ40が一直線状に整一せずに上下にバラツキながら配列するなど、その半径方向上面SUが非平面をなす場合がある。係る場合には、前記角度θは、前記半径方向上面SUをなすビードワイヤ列(上段列)のうちで半径方向最外側に位置するビードワイヤ40oと半径方向最内側に位置するビードワイヤ40iとに接する接線Kに対する角度とする。又前記巻上げ部11が屈曲線状及び湾曲線状等の曲線の場合には、前記巻上げ部11が前記半径方向上面SUの延長線(半径方向上面SUが非平面の場合は前記接線K)に交わる巻上げ部11の下端Pbと、巻上げ部11の先端Paとを結ぶ直線の前記半径方向上面SU(半径方向上面SUが非平面の場合は前記接線K)に対する角度をθとする。
そして本発明では、前記巻上げ部11の先端Paを、フランジ離間点Rを通って前記プライ本体部6aに直角に交わる基準線Xよりもタイヤ半径方向側の領域(便宜上フランジ内側領域という)に位置させるとともに、この先端Paの前記基準線Xからの距離Lpを2〜12mmの範囲に規制している。なお前記フランジ離間点Rとは、ビード部4の外面が前記正規リムJのフランジJ2から離間する点を意味する。
このフランジ内側領域は、リムJによって変形が抑えられた歪みの少ない領域であり、特に前記距離Lpを2mm以上確保することにより、前記先端Paに作用する応力を大巾に低減でき、該先端Paを起点としたコードルース等のビード損傷を抑制しうる。しかし前記距離Lpが12mmを越えると、巻上げ部11の折れ曲がりの度合いが大きくなるなどスプリングバックしやすくなり、空気残りなどの成形不良を充分抑制できない傾向となる。
なお本例では、前記先端Paに作用する応力をより緩和するため、前記巻上げ部11とビードコア5との間に配する充填ゴム12を、複素弾性率Ea* が2〜25Mpaの衝撃緩和効果に優れる低弾性のゴムで形成している。この複素弾性率の値は、粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動歪率2%の条件で測定した値であり、25Mpaを越えると柔軟性に劣り応力緩和効果を不十分とする。前記充填ゴム12として、本例では、ビードコア5の前記半径方向上面SUと前記巻上げ部11と前記プライ本体部6aとの間に配される断面略三角形状の基部12A、及びビードコア5の前記タイヤ軸方向内側面Si,半径方向下面SL,タイヤ軸方向外側面Soと、プライ折返し部6bの前記主部10との間に配される比較的薄い膜状の副部12Bとから形成される好ましい場合を例示している。なお充填ゴム12を前記基部12Aのみで形成することもでき、このとき副部12Bに、前記範囲外の複素弾性率E* のゴムを使用しうる。
又本発明では、前記ビード部4に略U字状のビード補強層15を設け、前記先端Paに作用する応力等のさらなる低減化を図っている。
前記ビード補強層15は、スチールコードをタイヤ周方向線に対して例えば10〜40゜の角度で配列したコードプライからなり、図3に示すように、前記プライ折返し部6bの主部10に沿いその半径方向内方を通る曲線状部15Aと、この曲線状部15Aのタイヤ軸方向外側で前記主部10と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片15oと、前記曲線状部15Aのタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部6aのタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片15iとを具えて構成される。
このビード補強層15では、その外片15oが、前記基準線Xから半径方向内方に5mm以下かつ半径方向外方に20mm以下隔たる範囲領域Y1内で終端し、又内片15iが、前記基準線Xから半径方向外方に0mm以上かつ30mm以下隔たる範囲領域Y2内で終端することが好ましい。言い換えると、前記基準線Xより半径方向内側をマイナス(−)、外側をプラス(+)と表示したとき、前記外片15oの先端の基準線Xからの距離Loを−5〜+20mmとするのが好ましく、又前記内片15iの先端の基準線Xからの距離Liを0〜+30mmとするのが好ましい。
ここで前記内片15iでは、前記巻上げ部11と同様に、フランジ内側領域で終端することで、その先端での歪みを小さく抑えられるものの、前記巻上げ部11の先端Paに比べて損傷し難い特徴があることと、荷重負荷時のカーカスプライ6Aの倒れ込みを抑え、前記巻上げ部11の先端Paでの歪みをより小さく減じる補強の役目がある。そして、これらを総合的に考えた場合、前記距離Liを0〜+30mmとするのが、ビード耐久性を向上する上で好ましい。なお前記距離Liが0mmより小のとき、補強効果が不十分となって巻上げ部11の先端Paで損傷しやすくなり、又30mmを越えると内片15iの先端で損傷しやすくなる。
又前記外片15oでは、前記巻上げ部11と同様に、フランジ内側領域で終端することで、その先端での歪みを小さく抑えられるものの、前記巻上げ部11の先端Paに比べて損傷し難い特徴があることと、ビードコア5のタイヤ軸方向内端位置Qにおいてカーカスコードにコードルースが生じるなどのビードワインド構造に特有の損傷を抑制する役目がある。そして、これらを総合的に考えた場合、前記距離Loを−5〜+20mmとするのがビード耐久性を向上する上で好ましい。
なお前記ビードワインド構造に特有の損傷は、ビードワインド構造では、荷重負荷時のカーカスプライ6Aの倒れ込みが相対的に大きいこと、およびビード内のゴムが運転状況によっては車両側のブレーキパッド等の熱を拾って過度に温度上昇し、熱軟化を起こすことに原因する。即ち、荷重負荷時、熱で軟化したビード内のゴムはフランジとの間で押し圧されてビードトウ側に移動する傾向となり、このときプライ折返し部6bが、前記移動に引きずられて動くため、前記位置Qにおいてカーカスプライ6Aとビードコア5との間に大きな剪断歪みが発生し、コードルースを誘発させると推測される。
そして前記外片15oは、遮蔽板としての機能を発揮し、ビードトウ側への前記ゴム移動F(図3に一点鎖線で示す)をその遮蔽効果によって減じることができ、前記位置Qでのコードルースを抑制しうる。従って、前記距離Loが−5mmより小では、遮蔽効果が有効に発揮できずに前記位置Qでの損傷を招き、又20mmを越えると外片15oの先端で損傷を招く傾向となる。
又前記充填ゴム12の複素弾性率Ea* が2Mpa未満と柔らか過ぎると、前記プライ折返し部6bがゴム移動Fに引きずられやすくなるため、前記位置Qでの損傷に不利となる。従って、前記複素弾性率Ea* の下限値は、3Mpaより大、さらには8Mpaより大、さらには13Mpaより大に設定するのが好ましい。このとき充填ゴム12として、加硫剤としての硫黄の配合量を5.0phr以上とした高硫黄配合ゴムを使用するのが好ましい。これは、硫黄を5.0phr以上配合することで前記範囲の複素弾性率Eaを得る場合、ゴムが熱軟化し難い特性となるからである。従って、ブレーキパッド等の熱でビード温度が過度に上昇した場合にも、充填ゴム12の熱軟化によってプライ折返し部6bの動きが助長されることがなく、コードルースの抑制効果を維持しうるからである。なお前記硫黄の配合量が12phrを越えると、加硫が早くなり過ぎてゴム焼けが起こリやすくなるため、隣接する部材との接着性を低下させる恐れを招く。従って、硫黄の配合量は、5.0〜12phrの範囲が好ましく、その下限値は7.0phr以上、又上限値は10phr以下がより好ましい。なお通常のタイヤ用のゴム組成物では、硫黄は1.0〜4.5phrで配合されている。
なお前記ビードエーペックスゴム8としては、本例では、複素弾性率Eb1*を35〜60Mpaとした下のエーペックスゴム部8Aと、その半径方向外方に隣接しかつ複素弾性率Eb2*を、充填ゴム12の前記複素弾性率Ea*より大かつ下のエーペックスゴム部8Aの前記複素弾性率Eb*より小とした上のエーペックスゴム部8Bとの2層構造をなすものを例示しており、特に本例では、前記下のエーペックスゴム部8AのビードベースラインBLからの半径方向高さh01をビードエーペックスゴム8の全高さh0の40〜60%の範囲とし、乗り心地性と操縦安定性との両立を図っている。
次に、図5に第2発明の重荷重用タイヤ1Bの一実施例を例示する。
なお、前記第1発明では、正規内圧状態において、前記巻上げ部11の角度θ、前記巻上げ部11の先端Paの基準線Xからの距離Lp、及び前記ビード補強層15の外片15o、内片15iの各終端位置をそれぞれ規制したものであり、これに対して第2発明では、正規荷重負荷状態、即ちビード部に損傷が発生する変形状態においてそれらを規制している。従って、第1発明の特徴又は第2発明の特徴の何れか一方を備えることにより、本願の作用効果を奏することができる。
以下に、第2発明の特徴を具体的に記載するが、それ以外の構成は第1発明の重荷重用タイヤ1Aと実質的に同構成とすることができる。
第2発明の重荷重用タイヤ1Bでは、図5に示すように、正規荷重負荷状態において、前記巻上げ部11は、ビードコア5の半径方向上面SUに対して90°より小、好ましくは75°以下の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜するとともに、前記巻上げ部11の先端Paは、基準線Xよりもタイヤ半径方向内方に位置し、しかも前記先端Paの前記基準線Xからの距離Lpは10〜25mmの範囲に規制される。
これは、正規荷重負荷状態では、荷重負荷によってビード部4がタイヤ軸方向外側に大きく倒れ込むため、正規内圧状態に比してフランジ離間点Rが半径方向外側に移行するとともに、前記基準線Xが起立する向き(半径方向に対する角度が減じる向き)に移行するからである。従って、前記基準線Xからの距離Lpは、正規内圧状態の場合に比して大な10〜25mmの値に規制される。前記距離Lpが10mm未満では、前記先端Paに作用する応力を充分に低減できず、又25mmを越えると巻上げ部11の折れ曲がりの度合いが大きくなって成形不良を充分抑制できない。
又前記ビード補強層15においては、正規荷重負荷状態において、前記外片15oを、前記基準線Xから半径方向内方に10mm以下かつ半径方向外方に15mm以下隔たる範囲領域Y1内で終端させることが好ましく、又内片15iを、前記基準線Xから半径方向内方に10mm以下かつ半径方向外方に20mm以下隔たる範囲領域Y2内で終端させるのが好ましい。言い換えると、前記基準線Xより半径方向内側をマイナス(−)、外側をプラス(+)と表示したとき、前記外片15oの先端の基準線Xからの距離Loを−10〜+15mmとするのが好ましいく、又前記内片15iの先端の基準線Xからの距離Liを−10〜+20mmとするのが好ましい。
前記距離Liが−10mmより小のとき、前記内片15iによる補強効果が不十分となって巻上げ部11の先端Paで損傷しやすくなり、逆に20mmを越えると内片15iの先端で損傷しやすくなる。又前記距離Loが−10mmより小では、内片15iによる遮蔽効果が有効に発揮できずに前記位置Qで損傷を招きやすくなり、又15mmを越えると外片15oの先端で損傷を招く傾向となる。
なお重荷重用タイヤでは、第1及び第2の発明の双方の特徴を兼ね備えることが、ビード耐久性をより確実に向上する上で好ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1の構造をなすタイヤサイズが11R22.5の重荷重用ラジアルタイヤを表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤのビード耐久性を測定し互いに比較した。表1以外の仕様は互いに同仕様としている。
なお従来例は、図6に示す如く、カーカスのプライ折返し部をビードエーペックスゴムの外側面に沿って巻き上げた構造をなし、プライ折返し部のビードベースラインからの高さh2を65mmとしている。
(1)ビード耐久性;
〈i〉 一般ビード耐久性:
ドラム試験機を用い、タイヤをリム(7.50×22.5)、内圧(700kPa)、縦荷重(27.25kN×3)の条件下にて、速度30km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。
〈ii〉 熱ビード耐久性:
前記と同様のビード耐久性テストを、リムを130℃に加熱した状態で実施し、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を、従来例を100とした指数で示した。値が大なほど耐久性に優れている。なお熱ビード耐久性では、ビードコアのタイヤ軸方向内端位置でのコードルースを起点として損傷が発生している。
Figure 0003934595
表の如く、実施例品は、一般ビード耐久性および熱ビード耐久性の双方が向上していることが確認できる。
第1発明の重荷重用タイヤの一実施例を示す断面図である。 そのビード部を拡大して示す断面図である。 そのビード部を拡大して示す断面図である。 半径方向上面が非平面をなす場合の角度θの定義を説明する線図である。 第2発明の重荷重用タイヤの一実施例のビード部を拡大して示す断面図である。 表1の従来例のビード構造を示す断面図である。 ビードワインド構造の従来技術を説明する断面図である。
符号の説明
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b プライ折返し部
10 主部
11 巻上げ部
15A 曲線状部
15 ビード補強層
15o 外片
15i 内片
J 正規リム
J2 フランジ
R フランジ離間点
X 基準線

Claims (4)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
    前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなるとともに、
    前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とを具えるビード補強層を具え、
    タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧状態において、
    前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのびるとともに、前記巻上げ部の先端は、前記ビード部の外面が前記正規リムのフランジから離間するフランジ離間点を通り前記プライ本体部に直角に交わる基準線よりもタイヤ半径方向内方に位置し、しかも前記巻上げ部の先端の前記基準線からの距離Lpを2〜12mmとし
    さらに前記ビードコアと前記プライ折返し部と前記プライ本体部との間に、硫黄配合量を5〜12phrかつ複素弾性率Ea* を2〜25Mpaとし、かつビードコアの周囲を囲む充填ゴムを配したことを特徴とする重荷重用タイヤ。
  2. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部に、前記ビードコアの廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部を一連に設けたカーカスプライを具えた重荷重用タイヤであって、
    前記プライ折返し部は、前記ビードコアのタイヤ軸方向内側面、半径方向下面及びタイヤ軸方向外側面に沿って折れ曲がる主部と、該主部に連なり前記ビードコアから離間してのびる巻上げ部とからなるとともに、
    前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とを具えるビード補強層を具え、
    正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規内圧状態のタイヤに正規荷重を負荷した正規荷重負荷状態において、
    前記巻上げ部は、前記ビードコアの半径方向上面に対して90°より小の角度θを有して前記プライ本体部に向かって傾斜してのびるとともに、前記巻上げ部の先端は、前記ビード部の外面が前記正規リムのフランジから離間するフランジ離間点を通り前記プライ本体部に直角に交わる基準線よりもタイヤ半径方向内方に位置し、しかも前記巻上げ部の先端の前記基準線からの距離Lpを10〜25mmとし
    さらに前記ビードコアと前記プライ折返し部と前記プライ本体部との間に、硫黄配合量を5〜12phrかつ複素弾性率Ea* を2〜25Mpaとし、かつビードコアの周囲を囲む充填ゴムを配したことを特徴とする重荷重用タイヤ。
  3. 前記ビードコアは、前記半径方向下面と上面とが15°テーパリムのリムシートと略平行となる断面六角形状をなすとともに、前記充填ゴムは、前記ビードコアの半径方向上面と前記巻上げ部と前記プライ本体部との間に配される断面三角形状の基部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の重荷重用タイヤ。
  4. 前記充填ゴムは、前記複素弾性率Ea*が8Mpa以上でありかつ硫黄配合量が7.0phr以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
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