JP3934348B2 - シールリング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸体と、軸体の外径側に同心状に回転自在に配置される外筒との対向環状空間を軸方向で仕切るシールリングシールリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のシールリングにあっては、例えば、図11に示すように、シールリング7における外筒(図示せず)に嵌合される環状胴体としての環状芯金71の径方向での内方端箇所に径方向斜め内向きに突出する状態で可撓性部材からなるラジアルリップ72が設けられていた。
【0003】
従来から、このようなラジアルリップ72としては、その径方向に揺動変形し易くなるよう、芯金71側の基端部箇所から、一旦軸方向で一側に離れるよう延出され、その途中から軸方向他側に向きを変えて延出されるように構成したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のシールリングは、図11に示すように、ラジアルリップ72が径方向に撓み変形し易い構造であるので、外筒が高速回転するに伴ってシールリング7も高速回転し、それによって、軸体2外周面に対して所要のしめしろを持つ状態で圧接されるラジアルリップ72が遠心力Faによって外筒側にめくり上がるように撓み変形する可能性があった。
【0005】
このめくり上がりによって、ラジアルリップ72端縁と軸体2外周面との間に比較的大きな隙間が生じ、その隙間を通して外筒と軸体2との間の密封空間におけるグリス等の潤滑剤が外部に洩れるおそれがあるともに、外部から密封空間に異物が侵入するおそれがあった。
【0006】
特に、エンジンにおけるオルタネータ等を回転駆動する一方向クラッチを備える伝動機構では、このオルタネータへの入力が高速回転駆動で行われるので、それに供されるシールリングにおいて上記不具合が生じやすい。
【0007】
ところで、一方向クラッチを内装した密封部に対しては、一方向クラッチのころが伝動可能に外筒と軸体とにロックしたときに潤滑剤としてのグリスを噛み込み、そのグリスの増ちょう剤を構成する繊維質材をすり潰して油分を保持できなくした場合に油が増ちょう剤から分離してしまうことがある。
【0008】
その状態で、遠心力に伴ってラジアルリップがめくれてその端縁が軸体外周から大きく離れて隙間が生じると、グリスの増ちょう剤から分離した油が、シールリングと軸体外周面との間に遠心力で開いた隙間を通して外部に漏洩し易くなる。
【0009】
そのような油の漏洩を防ぐため、Oリング等のシール構造を設けることも考えられるが、シール材を装着する溝を加工形成しなければならない等コスト高を招くという課題がある。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであって、外筒が回転するのに伴う遠心力によってシールリングのシール機能が低下することを抑制できるシールリングを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明第1のシールリングは、軸体と、軸体の外径側に同心状に回転自在に配置される外筒との対向環状空間を軸方向で仕切るシールリングであって、外周が前記外筒に対して取り付けられて内周が前記軸体外周面へ向けて延びる環状胴体と、環状胴体の内周に径方向斜め内向きに突出する状態で設けられかつ前記軸体外周面に対して所要のしめしろを持つ状態で圧接させられる可撓弾性材からなるラジアルリップとを有し、ラジアルリップの断面形状における重心が、その揺動支点よりもラジアルリップ突出方向の軸方向反対側に配置され、回転遠心力を受けたときに前記ラジアルリップの径方向外向きへの撓みを抑制すことを特徴とするものである。
【0012】
本発明第1のシールリングによると、外筒の回転に伴い、その外筒に固定しているシールリングも回転することで、そのシールリングのラジアルリップに遠心力が作用しても、そのラジアルリップが捲りあがるような径方向外向きへのたわみがそのラジアルリップの断面形状における重心位置の設定配置により抑制されているから、ラジアルリップと軸体外周面との間に潤滑剤が外方へ洩れるような隙間が生じないように維持できる。
【0013】
これにより、外筒が高速回転するような場合でも、密封機能は十分良好に維持できるものとなり、外筒と軸体との間の潤滑性能を高く維持でき、耐久性も高いものにできる。
【0014】
本発明第2のシールリングは、第1のシールリングにおいて、前記環状胴体が、金属板のプレス加工品とされることを特徴とするものである。
【0015】
本発明第2のシールリングによると、該シールリングを構成する環状胴体が簡易に製造できる。
【0016】
本発明第3のシールリングは、第1または第2のシールリングにおいて、前記ラジアルリップの断面形状における前記重心が、当該ラジアルリップの基部における軸方向幅内あるいはそれよりも若干外れた位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明第3のシールリングによると、ラジアルリップの断面形状における前記重心が、当該ラジアルリップの基部における軸方向幅内あるいはそれよりも若干外れた位置に配置されていることで、回転に伴う遠心力がラジアルリップに作用しても、ラジアルリップが揺動して径方向外側に揺動変形させるようなモーメントも小さいものとなるとともに、その遠心力は、径方向外方に向かうラジアルリップを圧縮させる力として働く傾向がある。
【0018】
このことから、ラジアルリップを径方向外方へ屈曲揺動させるものとなりにくくなって、ラジアルリップと軸体外周面との間に隙間が生じることが抑制され、よって、シールリングで密封される対向環状空間内から潤滑剤が洩れないようにできるとともに、外部から密封空間内に異物が侵入しないようにできる。
【0021】
本発明第のシールリングは、請求項1ないし3いずれか一項のシールリングにおいて、前記ラジアルリップの基部においてリップ突出方向の反対側領域に、回転遠心力を受けたときに前記ラジアルリップを径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を発生させるための重心調整部が設けられていることを特徴構成とする。
【0022】
本発明第のシールリングによると、回転遠心力を受けても重心調整部によって、ラジアルリップを径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を発生させられて、ラジアルリップが軸体外周面に圧接する側に力が作用するので、ラジアルリップが径方向外向きに撓み変形しないのみならず、一層シール性が高められる。
【0023】
本発明第5のシールリングは、第4のシールリングにおいて、前記重心調整部が、前記軸体外周面との間で微小隙間からなる非接触密封部を形成するリップ形状とされていることを特徴構成とする。
【0024】
本発明第5のシールリングによると、重心調整部がリップとして機能するものであるから、ラジアルリップを遠心力の作用で径方向外向きに撓み変形させるのを抑制する機能のみならず、通常のシール機能も兼用するものとなっていて、重心調整部とラジアルリップの補助的なリップとを別々に設けるよりも構造簡単になるとともに、製造コストも低くできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1ないし図8に本発明の一実施形態を示している。図1は外筒への固定前のシールリング等の要部を示す径方向断面図、図2は外筒に固定したシールリング要部と軸体外周面とを示す径方向断面図、図3は、プーリユニットの径方向での展開断面図、図4は、図3の(2)−(2)線断面の矢視図、図5は、一方向クラッチにおける軸体および保持器を示す斜視図、図6は、図3のA部を拡大して示す図、図7は、シールリングの組み込み動作の説明に用いる図、図8はシールリングの上半部の断面図である。
【0027】
図例のプーリユニットは、外筒としてのプーリ1、軸体としてのロータ軸2、一方向クラッチ3、2つの転がり軸受4,5を有している。
【0028】
なお、この実施形態のプーリユニットは、部品点数を削減するために、一方向クラッチ3の内・外輪および2つの転がり軸受4,5の内・外輪を省略し、これらの外輪をプーリ1で兼用させて、内輪をロータ軸2で兼用させた構成としている。
【0029】
プーリ1は、例えば自動車エンジンのクランクシャフトによりVリブドベルト6を介して回転駆動されるもので、その外周にはVリブドベルト6が巻き掛けられる波状溝が形成されている。
【0030】
ロータ軸2は、プーリ1の内周に挿通されて、図示しないが自動車エンジンに付設される補機の入力軸(例えばオルタネータのロータ)などに固定される。
【0031】
一方向クラッチ3は、プーリ1とロータ軸2との対向環状空間の軸方向中央に介装されるもので、複数のころ31と、それを保持する合成樹脂製の保持器32と、弾性部材として楕円形のコイルバネ33とを備える構成になっている。
【0032】
保持器32は、ロータ軸2に対して周方向ならびに軸方向に位置決めされた状態で外装されるもので、その円周数カ所には、径方向内外に貫通形成されるポケット32aが設けられている。
【0033】
このポケット32aに対してころ31が収納されている。コイルバネ33は、保持器32のポケット32a間に存在する各柱部32bの内壁面に一体形成される突起32cに対して装着されていて、ころ31をロータ軸2のカム面21とプーリ1の内周面とで形成するくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧するものである。
【0034】
2つの転がり軸受4,5は、プーリ1とロータ軸2との対向環状空間において一方向クラッチ3の軸方向両側に1つずつ介装される。第1転がり軸受4は、複数の玉41およびそれを保持する冠形保持器42からなる深溝玉軸受とされ、第2転がり軸受5は、複数のころ51およびそれを保持する保持器52からなるケージアンドローラとされている。これらの転がり軸受4,5の軸方向外側のみに対して、シールリング7,7が装着され、プーリ1とロータ軸2との対向環状空間を軸方向で仕切って密封するようにしている。
【0035】
上述したように、プーリ1は、入力軸に一体となったロータ軸2に転がり軸受4,5および一方向クラッチ3を介して、入力軸の中心軸心Pを同心として配置する構成となっている。
【0036】
上記プーリ1およびロータ軸2の形状について詳細に説明する。
【0037】
まず、ロータ軸2において軸方向中間領域X1の円周数カ所には、一方向クラッチ3に用いられる平坦なカム面21が形成され、その軸方向両側領域X2,X3には、転がり軸受4,5の軸体軌道部が確保されている。なお、この例では、ロータ軸2の中間領域X1に8つのカム面21を設けているので、外径形状が八角形になっている。また、ロータ軸2の両側領域X2,X3は円形に形成されている。
【0038】
そして、プーリ1とロータ軸2との間に、一方向クラッチ3や2つの転がり軸受4,5を軸方向一方から順番に簡単に組み込めるようにするために、ロータ軸2において第1転がり軸受4の軸体軌道部となる領域X2の外径寸法は、第2転がり軸受5の軸体軌道部とする領域X3の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0039】
また、プーリ1の内周面およびロータ軸2の外周面において大径に設定した軸方向一端側の領域X2には、第1転がり軸受4の玉41の軌道溝22が形成されている。
【0040】
また、プーリ1の内周面およびロータ軸2の外周面において小径に設定した軸方向他端側の領域X3には、位置決め溝23が設けられており、この位置決め溝23に対してケージアンドローラからなる第2転がり軸受5の保持器52の内周に設けられている径方向内向きの輪状突起52aが係入されることにより、当該保持器52が軸方向に位置決めされるようになっている。
【0041】
そして、一方向クラッチ3の保持器32における内周面は、ロータ軸2の外周面において軸方向中間領域X1の外形形状と合致する形状つまり八角形に形成されているとともに、この保持器32は、ころ31をそれぞれ保持させた状態でロータ軸2の軸方向中間領域X1に外嵌されることにより、周方向に回り止めされている。
【0042】
この保持器32は、ロータ軸2における中間領域X1のカム面21と大径の領域X2とを連接するテーパ状段差部24によって、第1転がり軸受4側への動きが封じられ、ロータ軸2に対して軸方向位置決めされた第2転がり軸受5の保持器52によって第2転がり軸受5側への動きが封じられるようになっている。
【0043】
次に、上記プーリユニットの動作を説明する。要するに、プーリ1の回転速度がロータ軸2よりも相対的に速くなると、一方向クラッチ3のころ31がくさび状空間の狭い側へ転動させられてロック状態となるので、プーリ1とロータ軸2とが一体化して、ロータ軸2と一体化された前記入力軸の回転中心となる軸心P周りで同期回転する。
【0044】
しかし、プーリ1の回転速度がロータ軸2よりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ3のころ31がくさび状空間の広い側へ転動させられてフリー状態となるので、プーリ1からロータ軸2へ回転動力の伝達が遮断されることになってロータ軸2が回転慣性力のみで回転を継続するようになる。
【0045】
ちなみに、上記プーリユニットを自動車エンジンのオルタネータに利用する場合、ベルト6の駆動源となるエンジンのクランクシャフトの回転変動に関係なく、オルタネータのロータの回転を高回転域に維持して、発電効率を高めるようにすることができる。
【0046】
つまり、クランクシャフトの回転数が上昇するとき、一方向クラッチ3がロック状態となってロータ軸2をプーリ1と同期回転させるようにし、一方、クランクシャフトの回転数が低下するとき、一方向クラッチ3がフリー状態となってロータ軸2をプーリ1の減速と無関係に自身の回転慣性力により回転継続させるようにすればよい。
【0047】
この実施形態では、2つの転がり軸受4,5に対するシールリング7について特徴があるので、以下において詳細に説明する。
【0048】
このシールリング7は、環状胴体としての環状芯金71の外周面から外側面および内周面に対してゴムからなるシール用弾性体9が加硫接着されており、このシール用弾性体9の内周部分には、径方向斜め内向きに突出する状態で設けられかつロータ軸2外周面に対して所要のしめしろを持つ状態で圧接させられるラジアルリップとしての主リップ72と、この主リップ72のシール用弾性体9に対する付け根部分である基部から軸受内方へ向けて斜めに延びる補助リップ73とがシール用弾性体9と一体に形成されている。この補助リップ73もラジアルリップを構成している。
【0049】
主リップ72は、軸心P方向外側に向かう姿勢でその先端が軸体としてのロータ軸2の外周面に摺動自在に接当している。
【0050】
この主リップ72先端側においてロータ軸2外周面との摺接箇所より軸心P方向での内方側の側面には、グリスから分離された油が外部へ洩れ出ていくのを内方へ戻すように作用するヘリックス突起8を周方向に多数並設している。このヘリックス突起8は、図1に示すように、径方向に対して斜めに配置した突条であって、例え油がヘリックス突起8箇所にきても、その油を径方向外側にポンピング作用により案内していくものであって、その案内に伴って油は軸方向内方へ戻される。
【0051】
補助リップ73は、転がり軸受4,5や一方向クラッチ3が配備される密封空間側に位置する状態で、ロータ軸2の外周面に対しては、微小隙間を隔ててその先端が位置するようにしている。尚、この微小隙間箇所においても、隙間が極めて狭いので密封空間内のグリスの漏出を阻止できるシール機能、すなわち非接触密封機能を有している。
【0052】
一方、シールリング7の環状芯金71は、金属板をプレス加工したものであって、図6に示すように、径方向に沿った板面を成す円板状部分71aと、この円板状部分の外周に軸方向に沿うよう曲げ形成された円筒状部分71bとで構成されている。この円筒状部分71bには、プーリ1の内周面に形成された環状溝1aにシールリング7を密着嵌合させて固定する弾性樹脂シールが接着されている。
【0053】
なお、シールリング7のプーリ1への装着の様子は図7(a),(b)に示している。すなわち、シールリング7は、ロータ軸2に対して一方向クラッチ3および2つの転がり軸受4,5を組み付けた状態で、ロータ軸2の両側からそれぞれ嵌め込み、ロータ軸2の外周をスライドさせることにより、当該シールリング7の外周の弾性体をプーリ1の肩部に設けてある取り付け溝1aに対して嵌入させ、環状芯金71の円筒状部分71bにおいてプーリ1に取り付けられる。
【0054】
そして、主リップ72については、円板状部分71aの内周縁から径方向内方に突出するシール用弾性体9の軸方向での厚みをほぼ同じまま(ただし補助リップ73の厚み分は除く)その先端まで至るように形成しているとともに、非装着状態の自然状態ではシール用弾性体9の突出方向での途中から軸方向に緩く屈折させた形状となっている(図1参照)。
【0055】
その径方向上半部もしくは下半部における断面形状が側面視くの字状に屈折された箇所よりも径方向外側に主リップ72の揺動に対する中心が位置する基部が設定されている。すなわち、その基部の補助リップ73を除く前記軸心P方向での肉厚幅における中心位置を揺動支点Qとして、主リップ72は径方向に揺動変形自在となっている。
【0056】
さらに、ラジアルリップは、その揺動支点Qから主リップ72及び補助リップ73のそれぞれの先端に至る径方向上半部もしくは下半部での断面形状の重心Rが、該ラジアルリップの基部における軸方向幅内で、かつ揺動支点Qよりも主リップ72よりもそのリップ突出方向の反対側に位置するように設定されている(図1,図2参照)。
【0057】
したがって、プーリ1に嵌合固定した状態のシールリング73において、この重心Rと、揺動支点置Qとは軸心P方向で近接するものであって、それら重心R,揺動支点Qが円板状部71aの軸心P方向での幅内にも位置するように設定されている。
【0058】
これにより、プーリ1の高速回転に伴うシールリング73の高速回転により、ラジアルリップを構成する主リップ72に遠心力が作用しても、ラジアルリップ全体としての重心Rが揺動支点Qよりも主リップ72の延出向きとは反対側に位置していることで、補助リップ73も含むラジアルリップ全体としては遠心力の作用で補助リップ73側が径方向外向きに変位するようになるので、その変位に引かれて主リップ72は逆に径方向内向きでロータ軸2に圧接するようになって、主リップ72とロータ軸2の外周面との間に隙間が生じにくいものとなっている。
【0059】
ここで、補助リップ73は、遠心力で主リップ72が径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を発生するための重心調整部を兼用している。
【0060】
なお、重心調整部はラジアルリップの断面形状においてその重心位置を、ラジアルリップの揺動支点に対してラジアルリップ(上記実施形態の場合主リップが相当)の延出向きとは反対側に位置するよう設定するものであって、補助リップとは別に設けてもよい。
【0061】
(実施の形態2)
次に、別の実施の形態について図に基いて説明する。尚、図9は、外筒への固定前のシールリング等の要部を示す径方向断面図、図10は外筒に固定したシールリング要部と軸体外周面とを示す径方向断面図である。
【0062】
図例において、シールリング7の環状胴体としての環状芯金71における径方向に沿う板面を成す円板状部分71aにゴムからなるシール用弾性体9が加硫接着され、その円板状部分71aよりも径方向内方に突出するようにして、ラジアルリップ72形成している。
【0063】
このラジアルリップ72は、円板状部分71aの内周縁部分に接着されたシール用弾性体9から径方向内方に突出するように形成しているのであって、その途中から縦断側面でくの字状に緩く屈折した形状となっている。
【0064】
さらに、ラジアルリップ72の径方向で揺動自在に変形できるよう、その揺動を行えるようにしている基部をラジアルリップ72の付け根箇所に設定しているとともに、その基部の軸方向での肉厚中央位置に、ラジアルリップ72の揺動中心となる揺動支点Qを設定している。
【0065】
それに対して、ラジアルリップ72は、揺動支点Qからその先端に至る径方向上半部もしくは下半部での断面形状の重心Rが、該ラジアルリップの基部における軸方向幅内に配置設定されている(図9,図10参照)。なお、重心Rは、円板状部分71aの軸方向での幅内に位置するように設定している。
【0066】
したがって、重心Rが揺動支点Qに対して軸方向で近くに位置することにより、図示しない外筒の高速回転に伴ってラジアルリップ72に遠心力が作用しても、揺動支点Qを揺動中心としてそのラジアルリップ72を径方向外方へ揺動させるモーメントはかなり大きくないとラジアルリップ72は径方向外方へ揺動しないので、ラジアルリップ72が径方向外向きに撓みにくくなっており、よって、ラジアルリップ72先端とロータ軸2の外周面との間に隙間が生じにくいものとなっている。
【0067】
上記各実施の形態では、ラジアルリップの重心が、ラジアルリップの基部における軸方向幅内に位置設定したものを示したが、それよりも若干はずれた位置に配置されていても良い。
【0068】
【発明の効果】
本発明のよると、外筒の回転に伴い、その外筒に固定しているシールリングも回転することで、そのシールリングのラジアルリップに遠心力が作用しても、そのラジアルリップが捲りあがるような径方向外向きへの撓みがそのラジアルリップの断面形状における重心位置の設定配置により抑制されるから、ラジアルリップと軸体外周面との間に潤滑剤が外方へ洩れるような隙間が生じないように維持できる。
【0069】
これにより、外筒が高速回転するような場合でも、密封機能は十分良好に維持できるものとなり、外筒と軸体との間の潤滑性能を高く維持でき、耐久性も高いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のシールリング(プーリへの固定前)の要部の断面図
【図2】同シールリング(プーリへの固定後)の要部等の断面図
【図3】プーリユニットの展開断面図
【図4】図3の(2)−(2)線断面の矢視図
【図5】図3中のロータ軸および一方向クラッチの保持器を示す斜視図
【図6】図3のA部を拡大して示す断面図
【図7】シールリングの組み込みの様子を(a)(b)の順に示す断面図
【図8】シールリングの上半部を示す断面図
【図9】実施の形態2のシールリング(プーリへの固定前)の要部の断面図
【図10】同シールリング(プーリへの固定後)の要部等の断面図
【図11】従来におけるシールリング(プーリへの固定後)の要部等の断面図
【符号の説明】
1 プーリ(外筒)
2 ロータ軸(軸体)
7 シールリング
71 環状芯金(環状胴体)
72 主リップ(ラジアルリップ)
73 補助リップ(重心調整部)

Claims (5)

  1. 軸体と、軸体の外径側に同心状に回転自在に配置される外筒との対向環状空間を軸方向で仕切るシールリングであって、
    外周が前記外筒に対して取り付けられて内周が前記軸体外周面へ向けて延びる環状胴体と、環状胴体の内周に径方向斜め内向きに突出する状態で設けられかつ前記軸体外周面に対して所要のしめしろを持つ状態で圧接させられる可撓弾性材からなるラジアルリップとを有し、
    ラジアルリップの断面形状における重心が、その揺動支点よりもラジアルリップ突出方向の軸方向反対側に配置され、回転遠心力を受けたときに前記ラジアルリップの径方向外向きへの撓みを抑制する、ことを特徴とするシールリング。
  2. 請求項1に記載のシールリングにおいて、
    前記環状胴体が、金属板のプレス加工品とされる、ことを特徴とするシールリング。
  3. 請求項1または2に記載のシールリングにおいて、
    前記ラジアルリップの断面形状における前記重心が、当該ラジアルリップの基部における軸方向幅内あるいはそれよりも若干外れた位置に配置されている、ことを特徴とするシールリング。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシールリングにおいて、
    前記ラジアルリップの基部においてリップ突出方向の反対側領域に、回転遠心力を受けたときに前記ラジアルリップを径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を発生させるための重心調整部が設けられている、ことを特徴とするシールリング。
  5. 請求項4に記載のシールリングにおいて、
    前記重心調整部が、前記軸体外周面との間で微小隙間からなる非接触密封部を形成するリップ形状とされている、ことを特徴とするシールリング。
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