JP2002228008A - シールリング - Google Patents

シールリング

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JP2002228008A
JP2002228008A JP2001025386A JP2001025386A JP2002228008A JP 2002228008 A JP2002228008 A JP 2002228008A JP 2001025386 A JP2001025386 A JP 2001025386A JP 2001025386 A JP2001025386 A JP 2001025386A JP 2002228008 A JP2002228008 A JP 2002228008A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】外筒が回転するのに伴う遠心力によってシール
リングのシール機能が低下することを抑制できるシール
リングを提供する。 【解決手段】軸体2と、軸体2の外径側に同心状に回転
自在に配置される外筒1との対向環状空間を軸方向で仕
切るシールリング7であって、外周が外筒に対して取り
付けられて内周が軸体2外周面へ向けて延びる環状胴体
71と、環状胴体71の内周に径方向斜め内向きに突出
する状態で設けられかつ軸体2外周面に対して所要のし
めしろを持つ状態で圧接させられる可撓弾性材からなる
ラジアルリップ72とを有し、ラジアルリップ72の揺
動支点Qに対して該ラジアルリップ72の断面形状にお
ける重心Rが、回転遠心力を受けたときにラジアルリッ
プ72の径方向外向きへの撓みを抑制する位置に配置さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸体と、軸体の外
径側に同心状に回転自在に配置される外筒との対向環状
空間を軸方向で仕切るシールリングシールリングに関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種のシールリングにあっては、例え
ば、図11に示すように、シールリング7における外筒
(図示せず)に嵌合される環状胴体としての環状芯金7
1の径方向での内方端箇所に径方向斜め内向きに突出す
る状態で可撓性部材からなるラジアルリップ72が設け
られていた。
【0003】従来から、このようなラジアルリップ72
としては、その径方向に揺動変形し易くなるよう、芯金
71側の基端部箇所から、一旦軸方向で一側に離れるよ
う延出され、その途中から軸方向他側に向きを変えて延
出されるように構成したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
シールリングは、図11に示すように、ラジアルリップ
72が径方向に撓み変形し易い構造であるので、外筒が
高速回転するに伴ってシールリング7も高速回転し、そ
れによって、軸体2外周面に対して所要のしめしろを持
つ状態で圧接されるラジアルリップ72が遠心力Faに
よって外筒側にめくり上がるように撓み変形する可能性
があった。
【0005】このめくり上がりによって、ラジアルリッ
プ72端縁と軸体2外周面との間に比較的大きな隙間が
生じ、その隙間を通して外筒と軸体2との間の密封空間
におけるグリス等の潤滑剤が外部に洩れるおそれがある
ともに、外部から密封空間に異物が侵入するおそれがあ
った。
【0006】特に、エンジンにおけるオルタネータ等を
回転駆動する一方向クラッチを備える伝動機構では、こ
のオルタネータへの入力が高速回転駆動で行われるの
で、それに供されるシールリングにおいて上記不具合が
生じやすい。
【0007】ところで、一方向クラッチを内装した密封
部に対しては、一方向クラッチのころが伝動可能に外筒
と軸体とにロックしたときに潤滑剤としてのグリスを噛
み込み、そのグリスの増ちょう剤を構成する繊維質材を
すり潰して油分を保持できなくした場合に油が増ちょう
剤から分離してしまうことがある。
【0008】その状態で、遠心力に伴ってラジアルリッ
プがめくれてその端縁が軸体外周から大きく離れて隙間
が生じると、グリスの増ちょう剤から分離した油が、シ
ールリングと軸体外周面との間に遠心力で開いた隙間を
通して外部に漏洩し易くなる。
【0009】そのような油の漏洩を防ぐため、Oリング
等のシール構造を設けることも考えられるが、シール材
を装着する溝を加工形成しなければならない等コスト高
を招くという課題がある。
【0010】本発明は、上記実状に鑑みてなされたもの
であって、外筒が回転するのに伴う遠心力によってシー
ルリングのシール機能が低下することを抑制できるシー
ルリングを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明第1のシールリン
グは、軸体と、軸体の外径側に同心状に回転自在に配置
される外筒との対向環状空間を軸方向で仕切るシールリ
ングであって、外周が前記外筒に対して取り付けられて
内周が前記軸体外周面へ向けて延びる環状胴体と、環状
胴体の内周に径方向斜め内向きに突出する状態で設けら
れかつ前記軸体外周面に対して所要のしめしろを持つ状
態で圧接させられる可撓弾性材からなるラジアルリップ
とを有し、前記ラジアルリップの揺動支点に対して該ラ
ジアルリップの断面形状における重心が、回転遠心力を
受けたときに前記ラジアルリップの径方向外向きへの撓
みを抑制する位置に配置されていることを特徴とするも
のである。
【0012】本発明第1のシールリングによると、外筒
の回転に伴い、その外筒に固定しているシールリングも
回転することで、そのシールリングのラジアルリップに
遠心力が作用しても、そのラジアルリップが捲りあがる
ような径方向外向きへのたわみがそのラジアルリップの
断面形状における重心位置の設定配置により抑制されて
いるから、ラジアルリップと軸体外周面との間に潤滑剤
が外方へ洩れるような隙間が生じないように維持でき
る。
【0013】これにより、外筒が高速回転するような場
合でも、密封機能は十分良好に維持できるものとなり、
外筒と軸体との間の潤滑性能を高く維持でき、耐久性も
高いものにできる。
【0014】本発明第2のシールリングは、第1のシー
ルリングにおいて、前記環状胴体が、金属板のプレス加
工品とされることを特徴とするものである。
【0015】本発明第2のシールリングによると、該シ
ールリングを構成する環状胴体が簡易に製造できる。
【0016】本発明第3のシールリングは、第1または
第2のシールリングにおいて、前記ラジアルリップの断
面形状における前記重心が、当該ラジアルリップの基部
における軸方向幅内あるいはそれよりも若干外れた位置
に配置されていることを特徴とするものである。
【0017】本発明第3のシールリングによると、ラジ
アルリップの断面形状における前記重心が、当該ラジア
ルリップの基部における軸方向幅内あるいはそれよりも
若干外れた位置に配置されていることで、回転に伴う遠
心力がラジアルリップに作用しても、ラジアルリップが
揺動して径方向外側に揺動変形させるようなモーメント
も小さいものとなるとともに、その遠心力は、径方向外
方に向かうラジアルリップを圧縮させる力として働く傾
向がある。
【0018】このことから、ラジアルリップを径方向外
方へ屈曲揺動させるものとなりにくくなって、ラジアル
リップと軸体外周面との間に隙間が生じることが抑制さ
れ、よって、シールリングで密封される対向環状空間内
から潤滑剤が洩れないようにできるとともに、外部から
密封空間内に異物が侵入しないようにできる。
【0019】本発明第4のシールリングは、第1または
第2のシールリングにおいて、前記ラジアルリップの断
面形状における前記重心が、その揺動支点よりもリップ
突出方向の反対側に配置されていることを特徴とするも
のである。
【0020】本発明第4のシールリングによると、遠心
力がラジアルリップに作用してもラジアルリップの重心
が揺動支点よりもリップ突出方向の反対側に配置されて
いることで、径方向外向きへの撓み変形よりも径方向内
側へ向かうようになって、そのラジアルリップは軸体外
周面にさらに圧接されるようになり、シール性が高めら
れる。
【0021】本発明第5のシールリングは、第1または
第2のシールリングにおいて、前記ラジアルリップの基
部においてリップ突出方向の反対側領域に、回転遠心力
を受けたときに前記ラジアルリップを径方向外向きに撓
ませる力に対して逆向きの力を発生させるための重心調
整部が設けられていることを特徴構成とする。
【0022】本発明第5のシールリングによると、回転
遠心力を受けても重心調整部によって、ラジアルリップ
を径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を発生
させられて、ラジアルリップが軸体外周面に圧接する側
に力が作用するので、ラジアルリップが径方向外向きに
撓み変形しないのみならず、一層シール性が高められ
る。
【0023】本発明第6のシールリングは、第5のシー
ルリングにおいて、前記重心調整部が、前記軸体外周面
との間で微小隙間からなる非接触密封部を形成するリッ
プ形状とされていることを特徴構成とする。
【0024】本発明第6のシールリングによると、重心
調整部がリップとして機能するものであるから、ラジア
ルリップを遠心力の作用で径方向外向きに撓み変形させ
るのを抑制する機能のみならず、通常のシール機能も兼
用するものとなっていて、重心調整部とラジアルリップ
の補助的なリップとを別々に設けるよりも構造簡単にな
るとともに、製造コストも低くできる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。
【0026】(実施の形態1)図1ないし図8に本発明
の一実施形態を示している。図1は外筒への固定前のシ
ールリング等の要部を示す径方向断面図、図2は外筒に
固定したシールリング要部と軸体外周面とを示す径方向
断面図、図3は、プーリユニットの径方向での展開断面
図、図4は、図3の(2)−(2)線断面の矢視図、図
5は、一方向クラッチにおける軸体および保持器を示す
斜視図、図6は、図3のA部を拡大して示す図、図7
は、シールリングの組み込み動作の説明に用いる図、図
8はシールリングの上半部の断面図である。
【0027】図例のプーリユニットは、外筒としてのプ
ーリ1、軸体としてのロータ軸2、一方向クラッチ3、
2つの転がり軸受4,5を有している。
【0028】なお、この実施形態のプーリユニットは、
部品点数を削減するために、一方向クラッチ3の内・外
輪および2つの転がり軸受4,5の内・外輪を省略し、
これらの外輪をプーリ1で兼用させて、内輪をロータ軸
2で兼用させた構成としている。
【0029】プーリ1は、例えば自動車エンジンのクラ
ンクシャフトによりVリブドベルト6を介して回転駆動
されるもので、その外周にはVリブドベルト6が巻き掛
けられる波状溝が形成されている。
【0030】ロータ軸2は、プーリ1の内周に挿通され
て、図示しないが自動車エンジンに付設される補機の入
力軸(例えばオルタネータのロータ)などに固定され
る。
【0031】一方向クラッチ3は、プーリ1とロータ軸
2との対向環状空間の軸方向中央に介装されるもので、
複数のころ31と、それを保持する合成樹脂製の保持器
32と、弾性部材として楕円形のコイルバネ33とを備
える構成になっている。
【0032】保持器32は、ロータ軸2に対して周方向
ならびに軸方向に位置決めされた状態で外装されるもの
で、その円周数カ所には、径方向内外に貫通形成される
ポケット32aが設けられている。
【0033】このポケット32aに対してころ31が収
納されている。コイルバネ33は、保持器32のポケッ
ト32a間に存在する各柱部32bの内壁面に一体形成
される突起32cに対して装着されていて、ころ31を
ロータ軸2のカム面21とプーリ1の内周面とで形成す
るくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧するもので
ある。
【0034】2つの転がり軸受4,5は、プーリ1とロ
ータ軸2との対向環状空間において一方向クラッチ3の
軸方向両側に1つずつ介装される。第1転がり軸受4
は、複数の玉41およびそれを保持する冠形保持器42
からなる深溝玉軸受とされ、第2転がり軸受5は、複数
のころ51およびそれを保持する保持器52からなるケ
ージアンドローラとされている。これらの転がり軸受
4,5の軸方向外側のみに対して、シールリング7,7
が装着され、プーリ1とロータ軸2との対向環状空間を
軸方向で仕切って密封するようにしている。
【0035】上述したように、プーリ1は、入力軸に一
体となったロータ軸2に転がり軸受4,5および一方向
クラッチ3を介して、入力軸の中心軸心Pを同心として
配置する構成となっている。
【0036】上記プーリ1およびロータ軸2の形状につ
いて詳細に説明する。
【0037】まず、ロータ軸2において軸方向中間領域
X1の円周数カ所には、一方向クラッチ3に用いられる
平坦なカム面21が形成され、その軸方向両側領域X
2,X3には、転がり軸受4,5の軸体軌道部が確保さ
れている。なお、この例では、ロータ軸2の中間領域X
1に8つのカム面21を設けているので、外径形状が八
角形になっている。また、ロータ軸2の両側領域X2,
X3は円形に形成されている。
【0038】そして、プーリ1とロータ軸2との間に、
一方向クラッチ3や2つの転がり軸受4,5を軸方向一
方から順番に簡単に組み込めるようにするために、ロー
タ軸2において第1転がり軸受4の軸体軌道部となる領
域X2の外径寸法は、第2転がり軸受5の軸体軌道部と
する領域X3の外径寸法よりも大きく設定されている。
【0039】また、プーリ1の内周面およびロータ軸2
の外周面において大径に設定した軸方向一端側の領域X
2には、第1転がり軸受4の玉41の軌道溝22が形成
されている。
【0040】また、プーリ1の内周面およびロータ軸2
の外周面において小径に設定した軸方向他端側の領域X
3には、位置決め溝23が設けられており、この位置決
め溝23に対してケージアンドローラからなる第2転が
り軸受5の保持器52の内周に設けられている径方向内
向きの輪状突起52aが係入されることにより、当該保
持器52が軸方向に位置決めされるようになっている。
【0041】そして、一方向クラッチ3の保持器32に
おける内周面は、ロータ軸2の外周面において軸方向中
間領域X1の外形形状と合致する形状つまり八角形に形
成されているとともに、この保持器32は、ころ31を
それぞれ保持させた状態でロータ軸2の軸方向中間領域
X1に外嵌されることにより、周方向に回り止めされて
いる。
【0042】この保持器32は、ロータ軸2における中
間領域X1のカム面21と大径の領域X2とを連接する
テーパ状段差部24によって、第1転がり軸受4側への
動きが封じられ、ロータ軸2に対して軸方向位置決めさ
れた第2転がり軸受5の保持器52によって第2転がり
軸受5側への動きが封じられるようになっている。
【0043】次に、上記プーリユニットの動作を説明す
る。要するに、プーリ1の回転速度がロータ軸2よりも
相対的に速くなると、一方向クラッチ3のころ31がく
さび状空間の狭い側へ転動させられてロック状態となる
ので、プーリ1とロータ軸2とが一体化して、ロータ軸
2と一体化された前記入力軸の回転中心となる軸心P周
りで同期回転する。
【0044】しかし、プーリ1の回転速度がロータ軸2
よりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ3のころ3
1がくさび状空間の広い側へ転動させられてフリー状態
となるので、プーリ1からロータ軸2へ回転動力の伝達
が遮断されることになってロータ軸2が回転慣性力のみ
で回転を継続するようになる。
【0045】ちなみに、上記プーリユニットを自動車エ
ンジンのオルタネータに利用する場合、ベルト6の駆動
源となるエンジンのクランクシャフトの回転変動に関係
なく、オルタネータのロータの回転を高回転域に維持し
て、発電効率を高めるようにすることができる。
【0046】つまり、クランクシャフトの回転数が上昇
するとき、一方向クラッチ3がロック状態となってロー
タ軸2をプーリ1と同期回転させるようにし、一方、ク
ランクシャフトの回転数が低下するとき、一方向クラッ
チ3がフリー状態となってロータ軸2をプーリ1の減速
と無関係に自身の回転慣性力により回転継続させるよう
にすればよい。
【0047】この実施形態では、2つの転がり軸受4,
5に対するシールリング7について特徴があるので、以
下において詳細に説明する。
【0048】このシールリング7は、環状胴体としての
環状芯金71の外周面から外側面および内周面に対して
ゴムからなるシール用弾性体9が加硫接着されており、
このシール用弾性体9の内周部分には、径方向斜め内向
きに突出する状態で設けられかつロータ軸2外周面に対
して所要のしめしろを持つ状態で圧接させられるラジア
ルリップとしての主リップ72と、この主リップ72の
シール用弾性体9に対する付け根部分である基部から軸
受内方へ向けて斜めに延びる補助リップ73とがシール
用弾性体9と一体に形成されている。この補助リップ7
3もラジアルリップを構成している。
【0049】主リップ72は、軸心P方向外側に向かう
姿勢でその先端が軸体としてのロータ軸2の外周面に摺
動自在に接当している。
【0050】この主リップ72先端側においてロータ軸
2外周面との摺接箇所より軸心P方向での内方側の側面
には、グリスから分離された油が外部へ洩れ出ていくの
を内方へ戻すように作用するヘリックス突起8を周方向
に多数並設している。このヘリックス突起8は、図1に
示すように、径方向に対して斜めに配置した突条であっ
て、例え油がヘリックス突起8箇所にきても、その油を
径方向外側にポンピング作用により案内していくもので
あって、その案内に伴って油は軸方向内方へ戻される。
【0051】補助リップ73は、転がり軸受4,5や一
方向クラッチ3が配備される密封空間側に位置する状態
で、ロータ軸2の外周面に対しては、微小隙間を隔てて
その先端が位置するようにしている。尚、この微小隙間
箇所においても、隙間が極めて狭いので密封空間内のグ
リスの漏出を阻止できるシール機能、すなわち非接触密
封機能を有している。
【0052】一方、シールリング7の環状芯金71は、
金属板をプレス加工したものであって、図6に示すよう
に、径方向に沿った板面を成す円板状部分71aと、こ
の円板状部分の外周に軸方向に沿うよう曲げ形成された
円筒状部分71bとで構成されている。この円筒状部分
71bには、プーリ1の内周面に形成された環状溝1a
にシールリング7を密着嵌合させて固定する弾性樹脂シ
ールが接着されている。
【0053】なお、シールリング7のプーリ1への装着
の様子は図7(a),(b)に示している。すなわち、
シールリング7は、ロータ軸2に対して一方向クラッチ
3および2つの転がり軸受4,5を組み付けた状態で、
ロータ軸2の両側からそれぞれ嵌め込み、ロータ軸2の
外周をスライドさせることにより、当該シールリング7
の外周の弾性体をプーリ1の肩部に設けてある取り付け
溝1aに対して嵌入させ、環状芯金71の円筒状部分7
1bにおいてプーリ1に取り付けられる。
【0054】そして、主リップ72については、円板状
部分71aの内周縁から径方向内方に突出するシール用
弾性体9の軸方向での厚みをほぼ同じまま(ただし補助
リップ73の厚み分は除く)その先端まで至るように形
成しているとともに、非装着状態の自然状態ではシール
用弾性体9の突出方向での途中から軸方向に緩く屈折さ
せた形状となっている(図1参照)。
【0055】その径方向上半部もしくは下半部における
断面形状が側面視くの字状に屈折された箇所よりも径方
向外側に主リップ72の揺動に対する中心が位置する基
部が設定されている。すなわち、その基部の補助リップ
73を除く前記軸心P方向での肉厚幅における中心位置
を揺動支点Qとして、主リップ72は径方向に揺動変形
自在となっている。
【0056】さらに、ラジアルリップは、その揺動支点
Qから主リップ72及び補助リップ73のそれぞれの先
端に至る径方向上半部もしくは下半部での断面形状の重
心Rが、該ラジアルリップの基部における軸方向幅内
で、かつ揺動支点Qよりも主リップ72よりもそのリッ
プ突出方向の反対側に位置するように設定されている
(図1,図2参照)。
【0057】したがって、プーリ1に嵌合固定した状態
のシールリング73において、この重心Rと、揺動支点
置Qとは軸心P方向で近接するものであって、それら重
心R,揺動支点Qが円板状部71aの軸心P方向での幅
内にも位置するように設定されている。
【0058】これにより、プーリ1の高速回転に伴うシ
ールリング73の高速回転により、ラジアルリップを構
成する主リップ72に遠心力が作用しても、ラジアルリ
ップ全体としての重心Rが揺動支点Qよりも主リップ7
2の延出向きとは反対側に位置していることで、補助リ
ップ73も含むラジアルリップ全体としては遠心力の作
用で補助リップ73側が径方向外向きに変位するように
なるので、その変位に引かれて主リップ72は逆に径方
向内向きでロータ軸2に圧接するようになって、主リッ
プ72とロータ軸2の外周面との間に隙間が生じにくい
ものとなっている。
【0059】ここで、補助リップ73は、遠心力で主リ
ップ72が径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの
力を発生するための重心調整部を兼用している。
【0060】なお、重心調整部はラジアルリップの断面
形状においてその重心位置を、ラジアルリップの揺動支
点に対してラジアルリップ(上記実施形態の場合主リッ
プが相当)の延出向きとは反対側に位置するよう設定す
るものであって、補助リップとは別に設けてもよい。
【0061】(実施の形態2)次に、別の実施の形態に
ついて図に基いて説明する。尚、図9は、外筒への固定
前のシールリング等の要部を示す径方向断面図、図10
は外筒に固定したシールリング要部と軸体外周面とを示
す径方向断面図である。
【0062】図例において、シールリング7の環状胴体
としての環状芯金71における径方向に沿う板面を成す
円板状部分71aにゴムからなるシール用弾性体9が加
硫接着され、その円板状部分71aよりも径方向内方に
突出するようにして、ラジアルリップ72形成してい
る。
【0063】このラジアルリップ72は、円板状部分7
1aの内周縁部分に接着されたシール用弾性体9から径
方向内方に突出するように形成しているのであって、そ
の途中から縦断側面でくの字状に緩く屈折した形状とな
っている。
【0064】さらに、ラジアルリップ72の径方向で揺
動自在に変形できるよう、その揺動を行えるようにして
いる基部をラジアルリップ72の付け根箇所に設定して
いるとともに、その基部の軸方向での肉厚中央位置に、
ラジアルリップ72の揺動中心となる揺動支点Qを設定
している。
【0065】それに対して、ラジアルリップ72は、揺
動支点Qからその先端に至る径方向上半部もしくは下半
部での断面形状の重心Rが、該ラジアルリップの基部に
おける軸方向幅内に配置設定されている(図9,図10
参照)。なお、重心Rは、円板状部分71aの軸方向で
の幅内に位置するように設定している。
【0066】したがって、重心Rが揺動支点Qに対して
軸方向で近くに位置することにより、図示しない外筒の
高速回転に伴ってラジアルリップ72に遠心力が作用し
ても、揺動支点Qを揺動中心としてそのラジアルリップ
72を径方向外方へ揺動させるモーメントはかなり大き
くないとラジアルリップ72は径方向外方へ揺動しない
ので、ラジアルリップ72が径方向外向きに撓みにくく
なっており、よって、ラジアルリップ72先端とロータ
軸2の外周面との間に隙間が生じにくいものとなってい
る。
【0067】上記各実施の形態では、ラジアルリップの
重心が、ラジアルリップの基部における軸方向幅内に位
置設定したものを示したが、それよりも若干はずれた位
置に配置されていても良い。
【0068】
【発明の効果】本発明のよると、外筒の回転に伴い、そ
の外筒に固定しているシールリングも回転することで、
そのシールリングのラジアルリップに遠心力が作用して
も、そのラジアルリップが捲りあがるような径方向外向
きへの撓みがそのラジアルリップの断面形状における重
心位置の設定配置により抑制されるから、ラジアルリッ
プと軸体外周面との間に潤滑剤が外方へ洩れるような隙
間が生じないように維持できる。
【0069】これにより、外筒が高速回転するような場
合でも、密封機能は十分良好に維持できるものとなり、
外筒と軸体との間の潤滑性能を高く維持でき、耐久性も
高いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のシールリング(プーリへの固定
前)の要部の断面図
【図2】同シールリング(プーリへの固定後)の要部等
の断面図
【図3】プーリユニットの展開断面図
【図4】図3の(2)−(2)線断面の矢視図
【図5】図3中のロータ軸および一方向クラッチの保持
器を示す斜視図
【図6】図3のA部を拡大して示す断面図
【図7】シールリングの組み込みの様子を(a)(b)
の順に示す断面図
【図8】シールリングの上半部を示す断面図
【図9】実施の形態2のシールリング(プーリへの固定
前)の要部の断面図
【図10】同シールリング(プーリへの固定後)の要部
等の断面図
【図11】従来におけるシールリング(プーリへの固定
後)の要部等の断面図
【符号の説明】
1 プーリ(外筒) 2 ロータ軸(軸体) 7 シールリング 71 環状芯金(環状胴体) 72 主リップ(ラジアルリップ) 73 補助リップ(重心調整部)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸体と、軸体の外径側に同心状に回転自在
    に配置される外筒との対向環状空間を軸方向で仕切るシ
    ールリングであって、 外周が前記外筒に対して取り付けられて内周が前記軸体
    外周面へ向けて延びる環状胴体と、環状胴体の内周に径
    方向斜め内向きに突出する状態で設けられかつ前記軸体
    外周面に対して所要のしめしろを持つ状態で圧接させら
    れる可撓弾性材からなるラジアルリップとを有し、 前記ラジアルリップの揺動支点に対して該ラジアルリッ
    プの断面形状における重心が、回転遠心力を受けたとき
    に前記ラジアルリップの径方向外向きへの撓みを抑制す
    る位置に配置されている、ことを特徴とするシールリン
    グ。
  2. 【請求項2】請求項1のシールリングにおいて、 前記環状胴体が、金属板のプレス加工品とされる、こと
    を特徴とするシールリング。
  3. 【請求項3】請求項1または2のシールリングにおい
    て、 前記ラジアルリップの断面形状における前記重心が、当
    該ラジアルリップの基部における軸方向幅内あるいはそ
    れよりも若干外れた位置に配置されている、ことを特徴
    とするシールリング。
  4. 【請求項4】請求項1または2のシールリングにおい
    て、 前記ラジアルリップの断面形状における前記重心が、そ
    の揺動支点よりもリップ突出方向の反対側に配置されて
    いる、ことを特徴とするシールリング。
  5. 【請求項5】請求項1または2のシールリングにおい
    て、 前記ラジアルリップの基部においてリップ突出方向の反
    対側領域に、回転遠心力を受けたときに前記ラジアルリ
    ップを径方向外向きに撓ませる力に対して逆向きの力を
    発生させるための重心調整部が設けられている、ことを
    特徴とするシールリング。
  6. 【請求項6】請求項5のシールリングにおいて、 前記重心調整部が、前記軸体外周面との間で微小隙間か
    らなる非接触密封部を形成するリップ形状とされてい
    る、ことを特徴とするシールリング。
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