JP2001349346A - 一方向クラッチならびにそれを備えるプーリユニット - Google Patents

一方向クラッチならびにそれを備えるプーリユニット

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JP2001349346A JP2000165815A JP2000165815A JP2001349346A JP 2001349346 A JP2001349346 A JP 2001349346A JP 2000165815 A JP2000165815 A JP 2000165815A JP 2000165815 A JP2000165815 A JP 2000165815A JP 2001349346 A JP2001349346 A JP 2001349346A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一方向クラッチにおいて、過大トルク作用時に
クラッチ部で滑らせて、過大トルクを伝達させずに吸収
できるようにすること。 【解決手段】径方向内外に同心状に配設される駆動環体
2および従動環体3の対向環状空間に介装され、これら
両環体2,3の回転速度差に応じて駆動環体2に対して
従動環体3を同期回転させるロック状態と相対回転させ
るフリー状態とに切り換える一方向クラッチ4であっ
て、両環体2,3の間にくさび部材13が介装されてい
て、駆動環体2から入力される回転トルクが所要値を越
えると、前記くさび部材23が両環体2,3間で滑って
従動環体3への動力伝達を遮断する状態になる。これに
より、動力伝達する回転トルクの上限値を規制できるよ
うになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方向クラッチな
らびにそれを備えるプーリユニットに関する。このプー
リユニットは、例えば自動車などのエンジンのクランク
シャフトや当該クランクシャフトからベルトを介して駆
動される補機に装備される。補機としては、例えば自動
車のオルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッ
サ、ウォーターポンプ、冷却ファンなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】従来から、ころやスプラグなどのくさび
部材を用いる一方向クラッチがいろいろ知られている
が、いずれの構成でも、くさび部材の食い込み力を強弱
変化させることによって駆動環体に従動環体を同期回転
させるロック状態と、両環体を相対回転させるフリー状
態とを切り換えるような形態になっている。
【0003】このような一方向クラッチは、例えば駆動
環体の角速度が増減変動するような状況において、この
角速度変動を従動環体に伝達させないようにするため
に、利用することがある。つまり、駆動環体の角速度の
増減変動に応じて一方向クラッチをロック状態やフリー
状態にさせて、駆動環体から従動環体へ回転動力を伝達
させたり遮断させたりすることによって、駆動環体側の
角速度変動を吸収させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例の一方向ク
ラッチでは、動力伝達するロック状態と動力伝達を遮断
するフリー状態の2状態に切り換えるものであり、ロッ
ク状態において、過大なトルクが作用したときに、増速
の高角加速度がかかると、過大なトルクが一方向クラッ
チに作用することがある。
【0005】このような一方向クラッチを自動車の補機
などに装着されるプーリユニットに組み込んだ構造の場
合だと、前述したような過大トルクが作用して、プーリ
に対してベルトが滑ったり、ベルトの張力変動が大きく
なり、ベルトの寿命低下につながる。
【0006】このような事情に鑑み、本発明は、一方向
クラッチにおいて、過大トルク作用時にクラッチ部で滑
らせて、過大トルクを伝達させずに吸収できるようにす
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明第1の一方向クラ
ッチは、径方向内外に同心状に配設される駆動環体およ
び従動環体の対向環状空間に介装され、これら両環体の
回転速度差に応じて駆動環体に対して従動環体を同期回
転させるロック状態と相対回転させるフリー状態とに切
り換えるもので、前記両環体の間にくさび部材が介装さ
れていて、駆動環体から入力される回転トルクが所要値
を越えると、前記くさび部材がロック状態から両環体間
で滑って従動環体への動力伝達を遮断する状態になる、
ことを特徴としている。
【0008】本発明第2の一方向クラッチは、径方向内
外に同心状に配設される駆動環体および従動環体の対向
環状空間に介装され、これら両環体の回転速度差に応じ
て駆動環体に対して従動環体を同期回転させるロック状
態と相対回転させるフリー状態とに切り換えるもので、
前記一方環体の周面の円周数カ所に、他方環体の周面と
の間で周方向一方で狭くかつ周方向他方で広くなったく
さび状空間を形成するカム面が設けられていて、このく
さび状空間にころが、保持器により周方向転動範囲が規
制された状態で1つずつ配置されており、前記くさび状
空間の狭い側において所要位置を越えた領域でくさび角
度がころをロック状態から滑り回転状態にさせるよう大
きく設定されている、ことを特徴としている。
【0009】本発明第3の一方向クラッチは、前記カム
面が、径方向内側に配設される環体の外周面に対して形
成されており、このカム面が、内側環体の外周面から急
峻に立ち下がる急峻立ち下がり部と、そこから深さが周
方向一方へ向けて漸次深くなるように傾斜された凸状球
面部とを有する形状に形成されている、ことを特徴とし
ている。
【0010】本発明第4の一方向クラッチは、径方向内
外に同心状に配設される駆動環体および従動環体の対向
環状空間に介装され、これら両環体の回転速度差に応じ
て駆動環体に対して従動環体を同期回転させるロック状
態と相対回転させるフリー状態とに切り換えるもので、
前記両環体の対向する周面が円筒形とされ、これら両環
体間の円周数ヶ所に鼓状断面を有するスプラグが、保持
器により周方向位置決めされた状態で傾動可能に配置さ
れており、前記スプラグの両環体に対するストラト角度
が、ロック方向に所要角度以上傾いた姿勢のときにロッ
ク状態から滑り状態に変化させるように設定されてい
る、ことを特徴としている。
【0011】本発明のプーリユニットは、プーリとその
内周に挿通されるロータ軸との対向環状空間に、上記第
1ないし第4のいずれかの一方向クラッチと、この一方
向クラッチの少なくとも軸方向一側に配設される転がり
軸受とが介装されている、ことを特徴としている。
【0012】以上、本発明の一方向クラッチでは、所要
値以上の回転トルクが加担されたときに、くさび部材を
ロック状態から滑り状態にさせることにより、伝達する
回転トルクの伝達を遮断させる形態にしている。
【0013】また、本発明のプーリユニットでは、上述
したような一方向クラッチを組み込んだ構成であるか
ら、過大な回転トルクの入力時にプーリに対してそれに
巻き掛けられるベルトの滑りを抑制または防止できるよ
うになる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。
【0015】図1ないし図5は本発明の実施形態1であ
る。図1は、プーリユニットの縦断面図、図2は、図1
の(2)−(2)線断面の矢視図、図3は、一方向クラ
ッチのポケット内を示す平面展開図、図4は、一方向ク
ラッチにおける内輪のカム面を示す斜視図、図5は、プ
ーリユニットの回転変動波形を示すグラフである。
【0016】図例のプーリユニット1は、プーリ2、中
空軸3、一方向クラッチ4、2つの転がり軸受5,5を
有している。
【0017】プーリ2は、例えば自動車エンジンのクラ
ンクシャフトによりVリブ形状のベルト6を介して回転
駆動されるもので、その外周にはベルト6が巻き掛けら
れる波状溝が形成されている。
【0018】中空軸3は、プーリ2の内周に挿通され
て、図示しないが自動車エンジンの補機の入力軸(例え
ばオルタネータのロータ)に固定される。
【0019】一方向クラッチ4は、プーリ2と中空軸3
との対向環状空間の軸方向中央に介装されるもので、内
輪10、外輪11、合成樹脂製の円環状の保持器12、
複数のころ13、弾性部材として楕円形のコイルバネ1
4とを備えている。
【0020】2つの転がり軸受5,5は、プーリ2と中
空軸3との対向環状空間の軸方向両側に1つずつ介装さ
れるもので、この実施形態ではいずれも一般的な深溝型
玉軸受が用いられている。これらの転がり軸受5,5の
軸方向外端側には、それぞれシール(符号省略)が装着
されており、グリースなどの潤滑剤が封入されている。
また、外側の転がり軸受5の外側には、さらに泥水など
が転がり軸受5に直接かかることを防止するために、環
状板からなるシールリング7が装着されている。
【0021】上記一方向クラッチ4の各構成要素を説明
する。
【0022】内輪10は、上記中空軸3に対して圧入に
より外嵌されるもので、その外周面の円周数カ所には凹
状のカム面10aが設けられている。このカム面10a
は、周方向一方へ向けて漸次深さが深くなるような凹形
状に形成されており、このカム面10aと外輪11の内
周面との対向部分が周方向一方に向けて狭くなるくさび
状空間となる。この各カム面10aの形状に特徴がある
ので、後で詳細に説明する。
【0023】外輪11は、上記プーリ2に対して圧入に
より内嵌されるもので、その内周面は円筒形に形成され
ている。
【0024】保持器12は、上記内・外輪10,11の
対向環状空間に配設されて内輪10に対して周方向なら
びに軸方向に位置決めされた状態で外装されるもので、
その円周数カ所つまり内輪10のカム面10aに対応す
る領域には、径方向内外に貫通形成されるポケット12
aが設けられている。
【0025】ころ13は、保持器12の各ポケット12
aに1つずつ周方向転動範囲が規制された状態で収納さ
れる。
【0026】コイルバネ14は、保持器12の各ポケッ
ト12aの内壁面に突設される突起12bに対して装着
されて、ころ13をカム面10aと外輪11の内周面と
で形成するくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧す
るものである。
【0027】なお、保持器12の軸方向ならびに周方向
での位置決めについては、保持器12の一方軸端に設け
てある凸部12cと、内輪10の一方軸端に設けてある
凹部10bとの嵌合により行わせている。
【0028】次に、上記プーリユニット1の動作を説明
する。ここでは、ベルト6によりプーリ2が回転駆動さ
れて、このプーリ2から中空軸3に対して動力伝達され
る形態になっている。ここで、プーリ2の回転速度が中
空軸3よりも相対的に速くなると、一方向クラッチ4の
ころ13がくさび状空間の狭い側へ転動させられてロッ
ク状態となるので、プーリ2と中空軸3とが一体化して
同期回転する。しかし、プーリ2の回転速度が中空軸3
よりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ4のころ1
3がくさび状空間の広い側へ転動させられてフリー状態
となるので、プーリ2から中空軸3へ回転動力の伝達が
遮断されることになって中空軸3が回転慣性力のみで回
転を継続するようになる。
【0029】そして、上記実施形態1では、プーリユニ
ット1に用いられる一方向クラッチ4について、プーリ
2から入力される回転トルクが所要値を越えると、ころ
13をくさび状空間の狭い側においてプーリ2と中空軸
3とに対して滑り回転させるようにして、プーリ2から
中空軸3への動力伝達を遮断させる形態にしていること
に特徴がある。
【0030】このような動作を実現するために、内輪1
0のカム面10の形状を次のようにしている。
【0031】このカム面10aは、内輪10の外周面か
ら急峻に立ち下がる急峻立ち下がり部10a1と、そこ
から深さが周方向一方へ向けて漸次深くなるように傾斜
された凸状球面部10a2とを有する形状に形成されて
いる。なお、図4に示すように、凸状球面部10a2
は、その曲率中心O1を内輪10の曲率中心からずらし
た位置に確保することにより、形成される。
【0032】このようなカム面10aでは、凸状球面部
10a2のロック位置P1におけるくさび角度θ1が、
ころ13を強く食い込ませるよう小さい角度になり、角
部10a3の滑り回転位置P2におけるくさび角度θ2
が、ころ13を滑らせるよう大きい角度になる。但し、
前述のくさび角度θ1は、例えば4〜6度の範囲に、ま
た、くさび角度θ2は、例えば11度以上に設定するの
が好ましい。
【0033】そして、カム面10aの浅い側の所要位置
P1にころ13が位置したときにロックするように設定
し、このロック位置P1からさらに浅い側へころ13が
移動したときにころ13が内輪10の外周面とカム面1
0aとの角部10a3に当接してころ13を受け止める
とともにこの位置P2までくると、ころ13を滑り回転
させる状態になるように設定している。
【0034】ここで、前述したロック位置P1と滑り回
転位置P2との離隔間隔と、内輪10、外輪11のばね
定数により、ころ13が滑り回転するトルクを設定でき
る。
【0035】なお、上記ころ13のかみ合い性は、前述
したくさび角度θ1,θ2の他に、くさび状空間を形成
する外輪11の内周面や、カム面10aにおける急峻立
ち下がり部10a1および角部10a3の摩擦係数μも
関係する。つまり、ロック時において、トルク伝達に必
要な条件としては、一般的に周知であるが、μ>tan
θ/2の関係式であらわせる。θは、くさび角度であ
る。
【0036】このような構成により、一方向クラッチ4
の動作としては、ころ13がロックしている状態つまり
動力伝達状態において、ベルト6の回転変動に伴いプー
リ2に対して所要の規定値以上の回転トルクが加わる
と、ころ13がくさび状空間の狭い側へさらに押し込ま
れることになる。このときにころ13が角部10a3に
当接する位置P2まで移動させられると、ころ13が滑
り回転することになって、プーリ2と中空軸3とが相対
的に回転することになるので、プーリ2から中空軸3に
対する動力伝達が遮断されることになる。これにより、
ベルト6がプーリ2上で滑らずに共回りして滑らずに済
むので、ベルト6の張り側(回転方向上流側)の張力が
より強くなって緩み側(回転方向下流側)の張力が弱く
なるといった張力変動を抑制できるようになり、しか
も、ベルト6に余分なストレスが作用せずに済むので、
ベルト6の寿命向上に貢献できるようになる。
【0037】但し、ベルト6からプーリ2に対して加わ
る回転トルクが所要の規定値未満になると、ころ13が
角部10a3から離れてロック位置P1側へ戻されるこ
とになって、再度、ころ13がロックすることになるの
で、プーリ2から中空軸3に対する動力伝達が行われ
る。
【0038】このように、一方向クラッチ4の本来のロ
ック、フリー動作の他に、上述した滑り回転という動作
を可能としているから、動力伝達する回転トルクの上限
値を規制できるようになり、結果的に、動力伝達する回
転トルクの下限値と上限値とを規定できるようになる。
【0039】参考までに、上記実施形態1のプーリユニ
ット1の回転変動と張力変動とについて調べているの
で、説明する。
【0040】試験条件は、エンジンに付設されるオルタ
ネータに試料としてのプーリユニット1を搭載した状態
とし、オルタネータ回転数を2000rpmとし、オル
タネータの負荷電流を5Aに設定している。
【0041】図5には、本実施形態に関する結果を、ま
た、図6には、一方向クラッチを用いていない従来例に
関する結果を、それぞれ示している。これらの図から明
らかであるが、従来例の場合だと、プーリ2の角速度が
サインカーブのように微小に増減変動していて、それが
そのまま中空軸3に対して伝達されるのに対して、本実
施形態の場合では、プーリ2の角速度がサインカーブの
ように微小に増減変動しているような場合であっても、
中空軸3の回転変動幅が小さくなることを確認してい
る。また、従来例の場合だと、プーリ2に巻き掛けられ
るベルト6の張り側(回転方向下流側)と、緩み側(回
転方向上流側)との張力変動が大きくなるのに対して、
本実施形態の場合では、それらの張力変動量が小さく抑
制されることを確認している。
【0042】図7ないし図11に本発明の実施形態2を
示している。図7は、プーリユニットの上半分の縦断面
図、図8は、図7の(8)−(8)線断面の矢視図、図
9は、一方向クラッチにおけるスプラグの動作を示す説
明図、図10は、一方向クラッチにおけるばね体を示す
斜視図、図11は、一方向クラッチにおけるスプラグの
設計要件を示す説明図である。
【0043】この実施形態2のプーリユニット1は、ス
プラグを用いるタイプの一方向クラッチ20を用いてい
る点が、上記実施形態1と相違している。
【0044】ここでの一方向クラッチ20は、一般的に
周知の構成であるが、一対の環状板21、22と、複数
のスプラグ23と、保持器24と、ばね体25とを備え
ている。
【0045】スプラグ23は、鼓状断面を有する形状と
され、一対の環状板21,22間に配置される。
【0046】保持器24は、例えば合成樹脂などで円環
状に形成されており、その円周数ヶ所に各スプラグ23
が挿通されるポケット24aが設けられている。この保
持器24は、一対の環状板21,22間に介装される。
【0047】ばね体25は、薄肉のばね鋼材などで円環
状に形成されており、図10に示すように、その円周数
ヶ所に各スプラグ23が挿通される貫通孔25aが設け
られているとともに、この貫通孔25a内においてスプ
ラグ23を起立姿勢に押圧する押さえ片25bが設けら
れている。このばね体25は、保持器24の内径側に嵌
合装着される。
【0048】この一方向クラッチ20では、上述した実
施形態1と同様の機能を持たせるために、プーリ2や中
空軸3に対するスプラグ23の各ストラト角度α、β
が、ロック方向に所要角度以上傾いた姿勢のときにロッ
ク状態から滑り状態に変化させるように設定されてい
る。
【0049】具体的に、スプラグ23が起立姿勢となる
ように傾いてその径方向寸法が最も大きくなるとロック
状態になるが、その状態において、所要の規定値以上の
回転トルクが作用したときに、スプラグ23がロック状
態の起立姿勢からさらに倒れてその径方向寸法が若干小
さくなると、滑り回転状態になって、動力伝達が遮断さ
れる。
【0050】そして、スプラグ23が滑り状態になって
いる状況において、入力される回転トルクが所要の規定
値未満になると、スプラグ23とプーリ2、中空軸3の
弾性変形の反力でもってロック状態に戻されることにな
る。
【0051】ここで、上記スプラグ23を用いた一方向
クラッチ20の設計条件について説明する。
【0052】まず、図11に示すように、スプラグ23
がプーリ2と中空軸3とに対して接する点をそれぞれ
A,Bとすると、直線ABと、プーリ2と中空軸3の軌
道径の中心Oからひかれる直線OA,OBとのなす角
α,βをストラト角という。なお、直線OAとOBのな
す角度をγとすると、α=β+γとなり、常に、α>β
となる。
【0053】スプラグ23が軌道輪とかみ合い、トルク
を伝達するためには、tanαが接触面の摩擦係数μよ
り小さくなければならない。つまり、tanα<μとな
る。
【0054】スプラグ23がトルクを受けると、ストラ
ト直線A,B上に力Qを生じ、接触点Aにおいて垂直分
力をP、接触分力をFとすると、F=P・tanαとな
る。
【0055】このときの伝達トルクTは、T=N・P・
tanα・R1・lとなる。
【0056】ここで、Nはスプラグ23の数、R1は中
空軸3の軌道半径、lはスプラグ23の有効長さであ
る。
【0057】以上のようなスプラグ式の一方向クラッチ
20を備えるプーリユニットでは、プーリ2と中空軸3
に対するスプラグ23の各ストラト角度α、βを、ロッ
ク方向に所要角度以上傾いた姿勢のときにロック状態か
ら滑り状態に変化させるように大きく設定すれば、上記
実施形態1で説明したことと同様に、一方向クラッチ2
0の本来のロック、フリー動作の他に、上述した滑りと
いう動作を可能とすることができるので、動力伝達する
回転トルクの下限値と上限値とを規定できるようにな
る。このように、過大な回転トルクを伝達させないよう
にすることによって、ベルト6とプーリ2との間の滑り
を無くすことができて、ベルト6の張力変動を抑制する
とともに、ベルト6の寿命向上に貢献できるようにな
る。
【0058】なお、本発明は上述した実施形態1,2の
みに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考え
られる。
【0059】(1)上記実施形態では、一方向クラッチ
4,20をプーリユニット1に内蔵した形態で説明した
が、一方向クラッチ4,20は、種々な用途の装置に利
用することができ、よって使用対象としてプーリユニッ
ト1だけに限定されない。
【0060】(2)上記実施形態での一方向クラッチ
4,20における細部の構成についても限定されるもの
でなく、種々な変形が考えられる。
【0061】
【発明の効果】本発明の一方向クラッチは、一方向クラ
ッチの本来のロック、フリー動作の他に、くさび部材を
滑り回転状態または滑り状態という動作を行えるような
形態にしているから、動力伝達する回転トルクの上限値
を規制できるようになる。したがって、動力伝達する回
転トルクの下限値と上限値とをシビアに規定できるよう
になるから、使用対象に応じて最適な一方向クラッチを
選定できるなど、使い勝手が向上することになる。
【0062】本発明のプーリユニットは、上述したよう
に過大な回転トルクを伝達させないように構成した一方
向クラッチを備えているから、過大な回転トルクの入力
時に動力伝達を遮断させる状態にできて、ベルトとそれ
に巻き掛けられるプーリとの間の滑りを無くすことがで
きるとともに、ベルトの張力変動を抑制することができ
るようになるなど、ベルトの寿命向上に貢献できるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るプーリユニットの上
半分の縦断面図
【図2】図1の(2)−(2)線断面の矢視図
【図3】実施形態1の一方向クラッチのポケット内を示
す平面展開図
【図4】実施形態1の一方向クラッチにおける内輪のカ
ム面を示す斜視図
【図5】実施形態1のプーリユニットの回転変動波形を
示すグラフ
【図6】実施形態1の比較例とする従来例のプーリユニ
ットの回転変動波形を示すグラフ
【図7】本発明の実施形態2に係るプーリユニットの上
半分の縦断面図
【図8】図7の(8)−(8)線断面の矢視図
【図9】実施形態2の一方向クラッチにおけるスプラグ
の動作を示す説明図
【図10】実施形態2の一方向クラッチにおけるばね体
を示す斜視図
【図11】実施形態2の一方向クラッチにおけるスプラ
グの設計要件を示す説明図
【符号の説明】
1 プーリユニット 2 プーリ 3 中空軸 4 一方向クラッチ 5 転がり軸受 6 ベルト 10 一方向クラッチの内輪 10a 内輪のカム面 11 一方向クラッチの外輪 12 一方向クラッチの保持器 12a 保持器のポケット 13 一方向クラッチのころ 14 コイルバネ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】径方向内外に同心状に配設される駆動環体
    および従動環体の対向環状空間に介装され、これら両環
    体の回転速度差に応じて駆動環体に対して従動環体を同
    期回転させるロック状態と相対回転させるフリー状態と
    に切り換える一方向クラッチであって、 前記両環体の間にくさび部材が介装されていて、 駆動環体から入力される回転トルクが所要値を越える
    と、前記くさび部材がロック状態から両環体間で滑って
    従動環体への動力伝達を遮断する状態になる、ことを特
    徴とする一方向クラッチ。
  2. 【請求項2】径方向内外に同心状に配設される駆動環体
    および従動環体の対向環状空間に介装され、これら両環
    体の回転速度差に応じて駆動環体に対して従動環体を同
    期回転させるロック状態と相対回転させるフリー状態と
    に切り換える一方向クラッチであって、 前記一方環体の周面の円周数カ所に、他方環体の周面と
    の間で周方向一方で狭くかつ周方向他方で広くなったく
    さび状空間を形成するカム面が設けられていて、このく
    さび状空間にころが、保持器により周方向転動範囲が規
    制された状態で1つずつ配置されており、 前記くさび状空間の狭い側において所要位置を越えた領
    域でくさび角度がころをロック状態から滑り回転状態に
    させるよう大きく設定されている、ことを特徴とする一
    方向クラッチ。
  3. 【請求項3】請求項2の一方向クラッチにおいて、 前記カム面が、径方向内側に配設される環体の外周面に
    対して形成されており、このカム面が、内側環体の外周
    面から急峻に立ち下がる急峻立ち下がり部と、そこから
    深さが周方向一方へ向けて漸次深くなるように傾斜され
    た凸状球面部とを有する形状に形成されている、ことを
    特徴とする一方向クラッチ。
  4. 【請求項4】径方向内外に同心状に配設される駆動環体
    および従動環体の対向環状空間に介装され、これら両環
    体の回転速度差に応じて駆動環体に対して従動環体を同
    期回転させるロック状態と相対回転させるフリー状態と
    に切り換える一方向クラッチであって、 前記両環体の対向する周面が円筒形とされ、これら両環
    体間の円周数ヶ所に鼓状断面を有するスプラグが、保持
    器により周方向位置決めされた状態で傾動可能に配置さ
    れており、 前記スプラグの両環体に対するストラト角度が、ロック
    方向に所要角度以上傾いた姿勢のときにロック状態から
    滑り状態に変化させるように設定されている、ことを特
    徴とする一方向クラッチ。
  5. 【請求項5】プーリとその内周に挿通されるロータ軸と
    の対向環状空間に、上記請求項1ないし4のいずれかの
    一方向クラッチと、この一方向クラッチの少なくとも軸
    方向一側に配設される転がり軸受とが介装されている、
    ことを特徴とするプーリユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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