JP3932669B2 - ポリアミド樹脂組成物および製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐衝撃性、剛性および耐吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、その優れた物性によりエンジニアリングプラスチックとして大きな需要が期待されている。しかし、耐衝撃強度、特に低温耐衝撃性が十分とは言えず、その改良が望まれていた。この耐衝撃性を改良する方法として、例えば特開昭55−9661号および特開昭55−9662号には、ポリアミド樹脂に、α,β−不飽和カルボン酸をグラフトしたエチレン・α−オレフィン共重合体をブレンドすると、ポリアミド樹脂のアイゾット衝撃強度が改良されることが記載されている。しかしながら、上記組成物は、アイゾット衝撃強度を改良すると剛性が大きく低下するという新たな問題点を生ずる。さらに、低温での落錘衝撃強度に関しては不十分であり、実成形品の低温衝撃強度が不足するという問題点もある。
【0003】
また特開昭59−78256号には、ポリアミド、変性エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチレン重合体を含むポリアミド樹脂組成物が記載され、耐衝撃性が改善されることが記載されている。しかし、このポリアミド樹脂組成物は、エチレン重合体として分子量分布(Mw/Mn)の大きなエチレン重合体が使用されているため、低温耐衝撃性の改善が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性に優れるとともに、剛性および耐吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明の他の課題は、上記のようなポリアミド樹脂組成物を容易にかつ効率よく製造する方法を提案することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリアミド樹脂の剛性低下が少なく、かつ実成形品での低温衝撃強度を満足すべく、低温での落錘衝撃強度、アイゾット衝撃強度を向上させる研究を重ねた結果、本発明で特定する重合体を組合せて配合することにより、低温耐衝撃性(落錘衝撃強度、アイゾット衝撃強度)および剛性が優れ、かつ吸水性に起因する耐塩水強度、剛性の低下ならびに寸法変化が少ないポリアミド樹脂組成物が得られることを見出した。またこれら特定の重合体を予備的に溶融混合した後にポリアミド樹脂に配合することにより、さらに優れた品質のポリアミド樹脂組成物が得られることを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は次のポリアミド樹脂組成物および製造方法である。
(1)(A)ポリアミド98〜50重量%、
(B)(B−1)エチレン含有量60〜93モル%、炭素数3以上のα−オレフィン含有量40〜7モル%、密度0.900g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に、
(B−2)不飽和ジカルボン酸またはその誘導体0.01〜5重量部をグラフト重合してなるメルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分の変性エチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量%、ならびに
(C)重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)2.5以下、メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分、炭素数3以上のα−オレフィン含有量10モル%以下、密度0.970〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量に対する重量%である)
を含み、かつ前記(B)成分と(C)成分との比が(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05である
ポリアミド樹脂組成物。
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の密度が0.850〜0.890g/cm3である上記(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された重合体である上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度が0.940〜0.900g/cm3である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)(B)(B−1)エチレン含有量60〜93モル%、炭素数3以上のα−オレフィン含有量40〜7モル%、密度0.900g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に、
(B−2)不飽和ジカルボン酸またはその誘導体0.01〜5重量部をグラフト重合してなる
メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分の変性エチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量部と、
(C)重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)2.5以下、メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分、炭素数3以上のα−オレフィン含有量10モル%以下、密度0.970〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量部とを、
(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05となる範囲で予備的に溶融混合し、この予備混合物と、
(A)ポリアミド98〜50重量部(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100重量部である)とを、溶融混合する
ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(7)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された重合体である上記(6)記載の製造方法。
(8)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である上記(6)記載の製造方法。
(9)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって成形された射出成形品。
(10)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を押出成形することによって成形された押出成形品。
(11)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を圧縮成形することによって成形された圧縮成形品。
(12)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を発泡成形することによって成形された発泡成形品。
(13)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる自動車用部品。
(14)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる電機部品。
【0007】
本発明において使用されるポリアミド(A)は、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体であり、現在の技術でよく知られている公知のポリアミドが制限なく使用できる。これらのものは成形品を生成するに充分な分子量のものである。
ポリアミド(A)は、例えば4〜12個の炭素原子を含有する飽和有機ジカルボン酸を、2〜13個の炭素原子を含有する有機ジアミンと縮合させることにより製造することができる。この場合、有機ジアミンは、ポリアミド(A)中でカルボキシル末端基よりもアミン末端基が過剰となるように使用するのが好ましい。逆に、酸基が過剰となるようにジカルボン酸を使用することもできる。
【0008】
ポリアミド(A)を製造するのに使用される代表的なジカルボン酸としてはアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などがあげられる。またこれらの誘導体、例えばエステル、酸塩化物またはアミン塩などを使用することもできる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0009】
一方、代表的なジアミンとしてはヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびこれらの誘導体などがあげられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
またポリアミド(A)は、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合以外に、ラクタムの開環重合によっても製造することができる。
【0010】
ジカルボン酸とジアミンとの重縮合によって製造されるポリアミド(A)としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバサミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカノアミドなどがあげられる。ラクタム類の開環重合によって製造されるポリアミド(A)としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)およびポリラウリックラクタムなどがあげられる。
【0011】
ポリアミド(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
本発明において使用される好ましいポリアミド(A)としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、またはポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)とポリカプロラクタム(ナイロン6)との混合物などがあげられる。
【0012】
本発明で使用される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)はエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)に特定量の不飽和ジカルボン酸またはその誘導体(B−2)から選ばれるグラフトモノマーがグラフト共重合した変性エチレン・α−オレフィン共重合体である。
【0013】
変性前のエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は、エチレン含有量が60〜93モル%、好ましくは60〜85モル%、さらに好ましくは75〜85モル%、炭素数3以上のα−オレフィン含有量が40〜7モル%、好ましくは40〜15モル%、さらに好ましくは25〜15モル%である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)のエチレン含有量が93モル%より大きくなっても、また60モル%より小さくなってもエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は高結晶性となり、共重合体(B−1)のグラフト変性物を後述のエチレン性共重合体(C)と組合せてポリアミド(A)に配合しても、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性の改良効果が十分とはいえない。
【0014】
またエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は、密度が0.900g/cm3未満、好ましくは0.850〜0.890g/cm3である。そしてα−オレフィンがプロピレンの場合、密度は0.850〜0.870g/cm3であることが特に好ましく、α−オレフィンが炭素数4〜18のものである場合、密度は0.850〜0.875g/cm3であることが特に好ましい。
【0015】
またエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は、190℃におけるメルトフローレート〔MFR、荷重2160gで190℃で測定した値(ASTM D 1238Eによる方法)〕が0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分であることが望ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)のMFRが0.05g/10分より小さくても、また50g/10分より大きくても、共重合体(B−1)から得られるグラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とポリアミド(A)との溶融粘度の差が大きくなる傾向にあり、グラフト変性物(B)のポリアミド(A)への分散効果も必ずしも充分とはいえず、後記するエチレン性共重合体(C)と組合せても耐衝撃性を改良する効果が低下する傾向にある。
さらにエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は低結晶性ないし非晶性のものが好適であり、その結晶化度は通常0〜50%、好ましくは0〜20%であるのが望ましい。
【0016】
エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)を構成するα−オレフィン成分単位としては、炭素数3以上、好ましくは3〜18程度のα−オレフィンがあげられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどを例示することができる。これらは1種単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0017】
エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は通常エチレン成分とα−オレフィン成分との共重合体であるが、場合によっては微量、例えば0.5モル%以下の範囲でジエン成分などを含有していても差しつかえない。ジエン成分の含有量が0.5モル%を超えると、架橋によりエチレン性共重合体(C)との混合が悪くなり、ポリアミド(A)への分散が悪くなる。
【0018】
エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)は、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン系触媒を用いた方法、その他ICI法、BASF法、フィリップス法、スタンダード法などの公知の方法により製造することができる。
【0019】
グラフトモノマーとして用いる不飽和ジカルボン酸(B−2)としては、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などの不飽和ジカルボン酸があげられる。これらの誘導体(B−2)としては、例えば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルなどがあげられ、具体的には塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが例示される。これらの中では無水物が好適であり、特に無水マレイン酸、無水ナジック酸が好適である。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0020】
本発明で使用される変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の不飽和ジカルボン酸またはその誘導体(B−2)のグラフト割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。グラフトモノマーのグラフト割合が0.01重量部より少なくなると、ポリアミド(A)に対する相容性が悪くなって層状剥離が起り、かつ耐衝撃性改良効果が小さくなる。また、グラフト割合が5重量部より多くなるとグラフト変性物(B)の架橋度が増大して、ポリアミド(A)に配合しても、その耐衝撃性を改良する効果は低下する。
【0021】
グラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、メルトフローレート〔MFR、荷重2,160g、190℃で測定した値〕が0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分である。
【0022】
グラフト変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は通常0.902g/cm3未満、好ましくは0.852〜0.892g/cm3であるのが望ましい。そしてα−オレフィンがプロピレンの場合、密度は0.852〜0.872g/cm3であることが特に好ましく、α−オレフィンが炭素数4〜18のものである場合、密度は0.852〜0.877g/cm3であることが特に好ましい。
【0023】
不飽和ジカルボン酸またはその誘導体(B−2)から選ばれるグラフトモノマーをエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)にグラフト共重合するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。例えばエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)を溶融させ、あるいは溶媒に溶解させ、グラフトモノマーを添加してグラフト重合する方法などがある。グラフト重合に際しては、他のビニルモノマー例えばスチレン等を併存させてもよい。特にラジカル発生剤を使用してグラフト重合を効率よく行うことにより得られる変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、原料であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の酸化による分解も少なく、本発明において好適に使用される。
【0024】
上記ラジカル発生剤としては有機ペルオキシド、有機ペルエステルおよびアゾ化合物などがあげられる。具体的なものとしては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、tert−ブチルペルジエチルアセテート、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどがあげられる。これらの中ではジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましい。
【0025】
変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0026】
本発明で使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)2.5以下、好ましくは1.5〜2.3、メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分であり、炭素数3以上、好ましくは3〜18のα−オレフィン含有量10モル%以下、好ましくは3〜10モル%であり、密度0.970〜0.900g/cm3、好ましくは0.940〜0.900g/cm3である。なお、上記メルトフローレート(MFR(190℃))は、190℃、荷重2160gで190℃で測定(ASTM D 1238Eによる方法)した値である。
【0027】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)においてエチレンと共重合するα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどがあげられる。
【0028】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の結晶化度は90〜20%、好ましくは約70〜約30%であるのが望ましい。またエチレン・α−オレフィン共重合体(C)としては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が特に好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0030】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)としては、メタロセン系触媒の存在下に重合されたものが好ましい。メタロセン系触媒を用いると分子量分布の狭いポリエチレンを製造することができるので、本発明で使用するMw/Mnが2.5以下の分子量分布の狭いエチレン・α−オレフィン共重合体(C)も容易に製造することができる。
【0031】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の製造に好適に用いられるシングルサイト触媒としてのメタロセン系触媒としては、従来から使用されている公知のメタロセン系触媒が制限なく使用でき、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属を有するメタロセン化合物(d)と有機アルミニウムオキシ化合物(e)とからなる触媒、およびメタロセン化合物(d)とイオン化イオン性化合物(f)とからなる触媒等があげられる。
【0032】
上記メタロセン化合物(d)の具体的なものとしては、下記式(1)で表される遷移金属化合物などがあげられる。
MLx …(1)
式(1)中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的にはジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0033】
式(1)中、Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えばシクロペンタジエニル基;メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0034】
式(1)で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基;ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていることが望ましい。
【0035】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3R1)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0036】
式(1)で表されるメタロセン化合物(d)は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式(2)で表される。
R2pR3qR4rR5sM …(2)
式(2)中、Mは式(1)と同じ遷移金属であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5は、それぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または式(1)中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同じである。pは1以上の整数であり、p+q+r+s=4である。
【0037】
メタロセン化合物(d)とともに用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(e)としては、メチルアルミノオキサン等のアルミノキサンがあげられる。
【0038】
メタロセン化合物(d)とともに用いられるイオン化イオン性化合物(f)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを例示することができる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物等があげられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0039】
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができる。
上記ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレートなどをあげることができる。
メタロセン系触媒はさらに有機アルミニウム化合物を組み合せて使用することもできる。
【0040】
本発明の樹脂組成物の各成分の配合割合は、ポリアミド(A)98〜50重量%、好ましくは96〜60重量%、変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%、エチレン性共重合体(C)1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量に対する重量%である)であって、かつ(B)成分と(C)成分との比が(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05、好ましくは10〜0.1である。
【0041】
各成分の割合が上記の条件を満たさない場合は、衝撃性の改良効果が不十分である。特に(B)または(C)成分が多量に配合される場合は、ポリアミド(A)の優れた剛性が損われるので好ましくない。
【0042】
本発明の樹脂組成物には(A)〜(C)の必須成分に加えて、従来からポリアミド、ポリオレフィン樹脂または変性ポリオレフィン樹脂などに配合されている添加剤を、他の成分として1種類以上配合することもできる。このような他の成分としては、例えばフェノールもしくはアミン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光保護剤、金属不活性剤、亜リン酸塩安定剤、過酸化物分解剤、ポリアミド安定剤、塩基性補助安定剤、塩化ポリビニル安定剤、増核剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、帯電防止剤、炎保護剤、顔料、カーボンブラック、アスベスト、ガラス繊維、カオリンまたはタルクなどがあげられる。従って、本発明の樹脂組成物は1種またはそれ以上の添加剤を必須成分とともに含有する多構成成分樹脂組成物を含む。
適当な上記添加剤の例は以下の群から選択される。特に以下に例示する酸化防止剤、また以下に例示する酸化防止剤および紫外線吸収剤を配合した本発明の樹脂組成物は非常に効果的な安定性を与える。
【0043】
これらの添加剤は例えば特開昭50−111140号(対応米国特許第3975357号)に記載された化合物があり、酸化防止剤としては2,6−ジアルキルフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;アルキル化ヒドロキノン誘導体、例えば2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール);アルキリデン−ビスフェノール、例えば2,2′−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール);O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば3,5,3′,5′−テトラ−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシベンジルエーテル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジル−メルカプト酢酸オクタデシルエステル;ヒドロキシベンジル化マロン酸エステル、例えば2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロン酸ジオクタデシルエステル、2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロン酸ジオクタデシルエステル;ヒドロキシベンジル−芳香族炭化水素、例えば1,3,5−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン;s−トリアジン化合物、例えば2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオン酸のアミド、例えば1,3,5−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオン酸と1価または多価アルコールとのエステル、例えばそのようなアルコールとしてはメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン;5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルプロピオン酸と1価または多価アルコールとのエステル、例えばそのようなアルコールとしてはメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と1価または多価アルコールとのエステル、例えばそのようなアルコールとしてはメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン;アミノアリール誘導体、例えばフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミンなどがあげられる。
【0044】
前記紫外線吸収剤または光保護剤としては2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンズトリアゾールの誘導体;2,4−ビス(2′−ヒドロキシフェニル)−6−アルキル−s−トリアジンの誘導体;2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン誘導体;1,3−ビス(2′−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ベンゼン;置換安息香酸のエステル、例えばフェニルサリシレート;アクリレート、例えばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル;ニッケル化合物、例えば2,2′−チオビス−(4−tert−オクチルフェノール)とニッケルの錯体1:1および1:2のような錯体、ニッケルジブチルジチオカーバメート、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニル−ウンデシル−ケトンオキシムのニッケル錯体;シュウ酸ジアミド、例えば4,4′−ジオクチルオキシオキサニリドなどがあげられる。
【0045】
前記金属不活性剤としては、例えばオキサニリド等;亜リン酸塩(phosphite)安定剤としては、例えばトリフェニルホスフィト等;過酸化物分解剤としては、2−メルカプトベンズイミダゾールの塩、例えば亜鉛塩、ジフェニルチオ尿素等;ポリアミド安定剤としては、例えばヨウ素および/またはリン化合物と結合している銅塩等;塩基性補助安定剤としては、例えばポリビニルピロリドン、ポリウレタン等のほか高級飽和または不飽和脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばカルシウムステアレート等;ポリ塩化ビニル安定剤としては、例えば有機スズ化合物、脂肪酸のバリウムまたはカドミウム塩等;増核剤としては、例えば4−tert−ブチル安息香酸などが例示される。
【0046】
本発明の樹脂組成物に対するこれらの添加剤の配合量は広い範囲で変えることができる。
本発明においては、酸化防止剤特にフェノール系酸化防止剤を用いることが望ましく、その配合量は、ポリアミド樹脂組成物全体に対して約0.01〜約3重量%が好適である。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、種々の方法で溶融混合されて調製される。例えば任意の2成分を予備混合した後、残りの他の成分と混合したり、同時に3成分を混合する方法などがあげられる。またこれらの任意の段階で必要に応じて追加量の添加剤、例えば酸化防止剤などを添加することもできる。
【0048】
本発明の樹脂組成物は(B)成分と(C)成分とを予備的に溶融混合し、この予備混合物とポリアミド(A)成分とを溶融混合して製造するのが好ましい。この場合、(B)成分と(C)成分とは、(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05、好ましくは10〜0.1となる範囲で予備的に溶融混合し、この予備混合物と、ポリアミド(A)98〜50重量部、好ましくは96〜60重量部(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100重量部である)とを溶融混合する。このようにして製造されたポリアミド樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性および耐吸水性などの諸性質に特に優れている。
【0049】
さらに好ましくは、上記予備混合物を調製する際には、酸化防止剤を混合して調製することが望ましい。予備混合物を調製する際に配合する酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が特に好適であり、予備混合物100重量部に対して約0.01〜約3重量部、好ましくは約0.02〜約0.5重量部とすることが望ましい。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、高剛性を保ち、耐衝撃性特に低温耐衝撃性、耐吸湿性、耐塩水強度などの性質が改良されている。
本発明の樹脂組成物は、従来公知の種々の溶融成形法により、種々の形状に成形される。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、発泡成形などの方法があげられ、自動車用部品、電機器具、電機部品をはじめとする広い用途に利用される。
【0051】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)と、特定の変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と、特定のエチレン性共重合体(C)とを特定量含有しているので、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性、剛性および耐吸水性に優れている。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、変性エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とエチレン性共重合体(C)とを溶融混合した後、この予備混合物とポリアミド(A)とを溶融混合するようにしているので、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性、剛性および耐吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物を容易にかつ効率よく製造することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について説明する。
製造例1
《(C)成分として用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の製造》
[メタロセン系触媒の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ10.0kgを154 literのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(Al=1.33mol/liter)57.5 literを1時間で滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で20時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100 literで再懸濁化した。この系内にビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=27.0mmol/liter)16.8 literを80℃で30分間かけて滴下し、さらに80℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り3.5mgのジルコニウムを含有するメタロセン系固体触媒を得た。
【0053】
[予備重合触媒の調製]
2.5molのトリイソブチルアルミニウムを含有する87 literのヘキサンに、上記で得られたメタロセン系固体触媒870gおよび1−ヘキセン260gを加え、35℃で5時間エチレンの予備重合を行うことにより、固体触媒1g当り10gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0054】
[重合]
連続式流動床気相重合装置を用い、全圧2.0MPa(20kgf/cm2,ゲージ圧)、重合温度70℃でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。上記で調製した予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.03mmol/h、およびトリイソブチルアルミニウムを5.0mmol/hの割合で連続的に供給し、重合の間一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.035、水素/エチレン=4.5×10-4、エチレン濃度=70モル%)。
【0055】
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(LLDPE)の収量は、6.0kg/hであり、密度は0.905g/cm3であり、MFRは4.0g/10分であり、Mw/Mnは2.2であり、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度が106.8℃であり、23℃におけるデカン可溶分含有量が0.22重量%であり、不飽和結合の数が炭素数1000個当り0.09個で、かつ重合体1分子当り0.70個あった。
【0056】
製造例2
《比較例で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体の製造》
[触媒成分の調製]
窒素雰囲気下、無水塩化マグネシウム(市販品)1モルを脱水精製したヘキサン2 literに懸濁させ、攪拌しながらエタノール6モルを1時間かけて滴下後、室温にて1時間反応させた。反応後、これに2.6モルのジエチルアルミニウムクロリドを室温で滴下し、2時間攪拌を続けた。次に四塩化チタン6モルをさらに加えた後、系を80℃に昇温して3時間攪拌しながら反応を行った。反応後、得られた固体を分離し、精製ヘキサンを用いて繰り返し洗浄した。この固体(以下、α−1という)の組成を調べたところ、その組成は以下の通りであった。
Ti:3.6重量%
Cl:66.8重量%
Mg:20.0重量%
Al:0.4重量%
OC2H5:4.7重量%
なお上記OC2H5は、生成した固体をH2O−アセトンで分解抽出後、ガスクロマトグラフィーによりエタノールとして定量した。
【0057】
次に精製ヘキサンに懸濁したTiに換算して50ミリモルの量のα−1に対し、500ミリモルのエタノールを室温で加え、50℃に昇温して1.5時間反応させた。反応後、得られた固体部を精製ヘキサンにて繰り返し洗浄した。このようにして得られた触媒(以下、β−1という)の組成は以下の通りであった。
Ti:1.2重量%
Cl:52.8重量%
Mg:15.9重量%
Al:0.7重量%
OC2H5:22.7重量%
上記OC2H5は前記と同様にして求めた。
【0058】
[重合]
内容積200 literの連続反応器を用い、脱水精製したヘキサンを85 liter/hr、ジエチルアルミニウムクロリドを6ミリモル/hr、エチルアルミニウムセスキクロリドを6ミリモル/hrおよび上記で得られた触媒(β−1)をTiに換算して0.42ミリモル/hrの割合で連続的に供給し、原料としてエチレンを13kg/hr、1−ブテンを9kg/hr、水素を8.0 liter/hrの割合で重合器内に連続的に供給し、重合温度170℃、全圧3.1MPa(30kgf/cm2,ゲージ圧)、平均滞留時間1.3時間、溶媒ヘキサンに対する共重合体濃度が130g/lとなる条件下で共重合反応を行った。触媒活性は22100g−共重合体/mmol−Tiであった。
【0059】
実施例1
ナイロン6(東レ株式会社、CM1017、商標)と、エチレン・1−ブテン共重合体〔エチレン含有量=81モル%、MFR=0.5g/10分、密度=0.860g/cm3、結晶化度=0%〕100重量部に無水マレイン酸を1.0重量部グラフト共重合した無水マレイン酸グラフト変性エチレン・1−ブテン共重合体〔MFR(190℃)=1.5g/10分〕と、製造例1のポリエチレン(エチレン含有量=94.3モル%、MFR(190℃)=4.0g/10分、密度=0.905g/cm3、Mw/Mn=2.2)とを、表1に示す割合でブレンダーを用いて混合し、ドライブレンド品を調製した。
【0060】
このドライブレンド樹脂組成物をL/D=40、30mmφ二軸押出機に供給し、245℃、50rpmで1回通過させて混練し、造粒した。造粒したペレット試料を80℃で24時間乾燥後、下記条件で日本製鋼所製M50AII−DM射出成形機にて物性試験片を作成した。
シリンダー温度:245℃
射出圧力:61MPa(600kgf/cm2)
金型温度:80℃
【0061】
続いて、下記の方法により物性評価を行った。結果を表2に示す。
《曲げ試験》
1/8インチ厚みの試験片を用い、ASTM D−790−80により曲げ弾性率、曲げ降伏点応力を測定した。
《引張り試験》
1/8インチ厚みの試験片を用い、ASTM D638により降伏点応力、破断点応力、破断点伸びを測定した。
《アイゾット衝撃強度》
1/8インチ厚みの試験片を用い、ASTM D256により、23℃、−20℃、−40℃でノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0062】
実施例2
エチレン性共重合体(C)として表1に示すエチレン・1−ヘキセン共重合体を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0063】
実施例3
実施例1において、(B)成分である無水マレイン酸グラフト変性エチレン・1−ブテン共重合体の代わりに、無水マレイン酸グラフト変性エチレン・1−オクテン共重合体〔MFR(190℃)=0.6g/10分〕を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0064】
比較例1
ポリアミド(A)を単独で用いて、実施例1と同様に物性を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
比較例2
実施例1において、製造例1のエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の代わりに製造例2のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0066】
比較例3〜4
表1に示す樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に物性を測定した。結果を表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
Claims (14)
- (A)ポリアミド98〜50重量%、
(B)(B−1)エチレン含有量60〜93モル%、炭素数3以上のα−オレフィン含有量40〜7モル%、密度0.900g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に、
(B−2)不飽和ジカルボン酸またはその誘導体0.01〜5重量部をグラフト重合してなるメルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分の変性エチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量%、ならびに
(C)重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)2.5以下、メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分、炭素数3以上のα−オレフィン含有量10モル%以下、密度0.970〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量に対する重量%である)
を含み、かつ前記(B)成分と(C)成分との比が(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05であるポリアミド樹脂組成物。 - エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の密度が0.850〜0.890g/cm3である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された重合体である請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度が0.940〜0.900g/cm3である請求項1ないし4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- (B)(B−1)エチレン含有量60〜93モル%、炭素数3以上のα−オレフィン含有量40〜7モル%、密度0.900g/cm3未満のエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部に、
(B−2)不飽和ジカルボン酸またはその誘導体0.01〜5重量部をグラフト重合してなるメルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分の変性エチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量部と、
(C)重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)2.5以下、メルトフローレート(MFR(190℃))0.05〜50g/10分、炭素数3以上のα−オレフィン含有量10モル%以下、密度0.970〜0.900g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜40重量部とを、
(B)成分/(C)成分の重量比で20〜0.05となる範囲で予備的に溶融混合し、この予備混合物と、
(A)ポリアミド98〜50重量部(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計は100重量部である)とを、溶融混合する
ポリアミド樹脂組成物の製造方法。 - エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された重合体である請求項6記載の製造方法。
- エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がメタロセン系触媒の存在下に重合された線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である請求項6記載の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を射出成形することによって成形された射出成形品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を押出成形することによって成形された押出成形品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を圧縮成形することによって成形された圧縮成形品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を発泡成形することによって成形された発泡成形品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる自動車用部品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる電機部品。
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