JP3928337B2 - 着香酪酸菌粉末の製造方法及び着香酪酸菌培養液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酪酸菌に香料で各種の香りを付けて粉末にした着香酪酸菌粉末、その製造方法およびその着香酪酸菌粉末を用いた食品用素材および防腐剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、クロストリヂウムブチュリクム(Clostridium butyricum)に代表される酪酸菌は、整腸作用があるために整腸剤として広く用いられている。これらの酪酸菌は、酪酸菌培養液を濃縮してまたは酪酸菌を分離して、デンプン、糖粉末などの担体に添加して固形の状態で用いられている。
【0003】
また、酪酸菌を用いた整腸剤は医薬品が主体であるために、その用途が制限されていた。一方、酪酸香料は液状のまま、あるいはデンプン、糖粉末などの担体に添加して固形の状態で、例えばチーズ、果実、乳製品等に添加して用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の様に、酪酸菌の代表的なクロストリヂウムブチュリクムの生菌は整腸剤や飼料に混合して用いられ、ヒトや家畜にとって有害な菌に制御的に働き、また有用な菌には促進的に働き整腸が行なわれる。
【0005】
このクロストリヂウムブチュリクムの生菌は、芽胞を有する嫌気性菌であり、0.5%ブドウ糖加普通寒天培地で37℃、48時間培養し、その培養液を顕微鏡で観察すると、ほとんど直線状か、まれにやや弯曲した桿菌であり、卵形の芽胞を形成している。また、その培養液中には、生菌の他に、代謝産物である酪酸,酢酸等の有機酸、および自己融解した菌体成分が含有されている。
【0006】
しかしながら、クロストリヂウムブチュリクムの培養液には、有機酸や自己融解した菌体成分等を含有しており、ヒトや家畜にとって有効であるが、特に有機酸として酪酸を含有しているために、異臭を有する欠点がある。例えば、酪酸の臭いの閾値(臭いの種類を判別することのできる限界濃度)は、ベッセイ(Bessay)によれば、4.3×1013(分子数/cc)であることからわかるように、ヒトが忌避する臭いの一つである。
【0007】
この様に、酪酸菌は独特な臭いを有するために、医薬品として用いる場合には臭いがあってもあまり問題はないが、その他の用途ではその独特な臭いが問題となってくる。
【0008】
本発明は、この様な従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、酪酸菌の培養液の異臭を香料を用いてマスキングして他の香りを付けた着香酪酸菌培養液、また酪酸菌の培養液を粉末化してその培養液の有する有効成分の効果をより発揮させた、着香酪酸菌粉末の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、その酪酸菌に各種の香りを付けて粉末にした着香酪酸菌粉末を用いた食品用素材および食品用防腐剤を提供することを目的とするものである。また、本発明を応用し、各種生菌剤も着香可能となり、利用範囲が広がるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、酪酸菌培養液に例えばプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にすることを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
【0012】
本発明は、酪酸菌培養液から液相部を分離して酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部に例えばプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にする工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
本発明は、酪酸菌培養液にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にすることを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
本発明は、酪酸菌培養液から液相部を分離して酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にする工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
【0013】
上記の本発明の着香酪酸菌粉末の製造方法においては、前記酪酸菌培養液から液相部を遠心分離により分離して酪酸菌含有部を得るのが好ましい。また、前記酪酸菌培養液または酪酸菌含有部の濃度を調整した後に乾燥するのが好ましい。さらに、前記乾燥を噴霧乾燥、凍結真空乾燥、真空乾燥または自然乾燥により行なうのが好ましい。
【0014】
本発明は、酪酸菌培養液にプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けることを特徴とする着香酪酸菌培養液である。
また、本発明は、酪酸菌培養液にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けることを特徴とする着香酪酸菌培養溶液である。
この酪酸菌培養液の酪酸菌としてはクロストリジウムブチュリクムが好ましく、また、酪酸菌培養液は、糖類、アミノ酸、炭酸カルシウム、水等を主成分として含む液体培地により培養して生成されたものであることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の第一の発明の着香酪酸菌粉末は、酪酸菌培養液または酪酸菌培養液から液相部を分離した酪酸菌含有部に香料を添加して乾燥した粉末からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第三および第五の発明の上記の着香酪酸菌粉末の製造方法は、酪酸菌培養液に香料を添加した後、乾燥して粉末にすることを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法、および酪酸菌培養液から液相部を分離して固相部の酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部に香料を添加した後、乾燥して粉末にする工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
【0017】
本発明に用いられる酪酸菌は、偏性嫌気性菌で芽胞を形成するグラム陽性の桿菌であり、0.5%ブドウ糖加普通寒天培地で37℃、48時間培養し、その培養液を顕微鏡で観察すると、ほとんど直線状か、まれにやや弯曲した桿菌であり、卵形の芽胞を形成している。この芽胞の形成により、耐熱性、耐酸性を有し、生菌は安定である。
【0018】
酪酸菌は、クロストリヂウムブチュリクム(Clostridium butyricum)が用いられる。酪酸菌の培養液には、特に制限はなく、通常の酪酸菌を培養した培養液を用いることができるが、例えば糖類、アミノ酸、炭酸カルシウム、水等を主成分として含む液体培地で、酪酸菌を35〜40℃で、24〜72時間培養したものが適している。
【0019】
酪酸菌の培養液中には、酪酸菌の生菌の他に、代謝産物である酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、および自己融解した菌体成分、アミラーゼ、各種アミノ酸等が含有されている。また、培養液には、有機酸として酪酸、酢酸、プロピオン酸等を含有しているために、異臭を有し、また酪酸菌は芽胞体であるために水分含有量が高い状態で嫌気的に放置すると発芽して異臭を放ち、時間の経過につれて臭いが悪くなる物性があるが、本発明はこの臭いを例えば香料でマスキングすることに特徴を有する。
【0020】
酪酸菌の培養液は、水分の含有量が95〜98重量%と多いために、各種の分離機、例えば遠心分離機、濃縮装置等により、固液分離を行ない過剰の水分を除去する。具体的には、培養液中の培地を除くために遠心分離機にかけ培養液中の固形培地と液部とに分離する。次に、該液部を遠心分離機にかけて主として水分と、菌体、各種ビタミン、アミラーゼ等を含む固相部に分離する。該固相部と前記の固形培地を混合して酪酸菌含有部とする。酪酸菌含有部の水分の含有量は60〜90重量%の範囲である。
【0021】
また、本発明においては、酪酸菌培養液をそのまま後工程の乾燥に用いてもよい。
【0022】
上記の酪酸菌培養液または酪酸菌含有部は、後工程で乾燥して粉末にするが、その乾燥方法の種類により、乾燥に適応する様に水分の含有量を調製してもよい。水分含有量を調製する方法は、例えば、酪酸菌含有部を濃縮したり、乳糖などの粉状物を添加することにより行なうことができる。これにより、水分含有量を20〜85重量%の範囲に調整する。なお、この水分含有量の調整を行なわないで、後工程の乾燥に用いてもよい。
【0023】
次に、上記の酪酸菌培養液または酪酸菌含有部に香料を添加する。香料には、酪酸菌臭のマスキングに有効なものであれば特に制限はないが、食品添加物として用いられるものが好ましい。その成分としては、天然香料、着香料(食品衛生法に記載のもの)、エチルアルコールおよびプロピレングリコールを含有するものが好ましい。これらの香料は液状又は粉末状のものが用いられる。
【0024】
例えば、塩野香料株式会社製の香料として、ヨーグルトオイル(SX−2085)、ブルーベリーオイル(SX−3020)、ピーチオイル(SX−4475)、オレンジオイル(6672)、アップルオイル(71322)、バナナエッセンス(SW−5109)、オレンジエッセンス(1803)等が挙げられる。
【0025】
それらの香料の一部の組成を以下に示す。
アップルオイル(71322):エステル類 28.4重量%アルコール類 8.7重量%アップルフレーバーベース 20.7重量%プロピレングリコール 37.0重量%99%エチルアルコール 5.2重量%
【0026】
オレンジオイル(6672):各種オレンジ油 87.3重量%タンゼリン油 7.7重量%濃縮オレンジ油 4.5重量%オレンジエンハンサー 0.5重量%
【0027】
ヨーグルトオイル(SX−2085):柑橘油含水アルコール抽出物 30.0重量%ヨーグルトフレーバーベース 25.6重量%プロピレングリコール 29.0重量%99%エチルアルコール 15.4重量%
【0028】
また、香料の香りは上記のものに限定されることはなく、多種のものを用いることができ、例えば塩野香料株式会社製の香料で、オレンジ、イチゴ、バナナ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、ライチ、グァバ、ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ブラックカーラント、ストロベリー、バター、ミルク、クリーム、ヨーグルト、バニラ、キャラメル、黒糖、ハニー、ラム、グレープ、メロン、ピーチ、プラム、スパイスミック、シナモン、コーラ、チョコレート、ココア、コーヒー、紅茶等が挙げられる。
【0029】
酪酸菌培養液または酪酸菌含有部への香料の添加量は、固形分に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%が望ましい。また、粉末香料の場合には、0.1〜1重量%、液状香料の場合には1.0〜5.0重量%が好ましい。また、上記の香料以外にも香を付けることができるものであれば、他の物を用いてもよく、また着香方法により着香をしてもよい。
【0030】
次に、香料を添加した酪酸菌培養液または酪酸菌含有部を乾燥して粉末化する。乾燥方法は、噴霧乾燥(スプレードライヤー)、凍結真空乾燥、真空乾燥、自然乾燥等の各種の方法により行なうことができる。乾燥温度、乾燥時間は各乾燥方法により適宜選択すればよい。
【0031】
酪酸菌培養液または酪酸菌含有部は、上記の乾燥方法により水分が除去され粉末または固形物となり、さらに粉砕機により粉砕して微粉化することにより着香酪酸菌粉末を得ることができる。着香酪酸菌粉末は、10〜28℃の定温、35〜50%の定湿度で保存するのが好ましい。
【0032】
得られた着香酪酸菌粉末は、香料により酪酸臭はマスキングされて、香料の香り有する製品である。また、粉末中には芽胞を形成した耐熱性の酪酸菌が1×106 〜1×1012/120mg程度含有されており、さらに代謝産物である酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、および自己融解した酪酸菌体成分、当菌由来のアミラーゼ、各種ビタミンが含有されており、整腸作用および栄養価に極めて優れたものである。
【0033】
本発明の第二の発明の着香酪酸菌粉末は、酪酸菌培養液または酪酸菌培養液から液相部を分離した酪酸菌含有部を乾燥した粉末に香料を添加してなることを特徴とする。
【0034】
また、本発明の第四および第六の発明の上記の着香酪酸菌粉末の製造方法は、酪酸菌培養液を乾燥して粉末にする工程、該粉末に例えば香料を添加する工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法、および酪酸菌培養液から液相部を分離して酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部を乾燥して粉末にする工程、該粉末に例えば香料を添加する工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法である。
【0035】
第二の発明の着香酪酸菌粉末は、第一発明の酪酸菌培養液または酪酸菌培養液から液相部を分離した酪酸菌含有部をそのまま乾燥して粉末を得た後に、粉末香料を添加することにより得ることができる。
【0036】
酪酸菌含有部を乾燥する方法は、上記の第一発明と同様の方法により行なうことができ、上記の乾燥により水分が除去された粉末または固形物は、さらに必要に応じて粉砕機により粉砕して微粉化することにより乾燥粉末を得る。該乾燥粉末に香料を均一に添加することにより着香酪酸菌粉末を得ることができる。香料の添加は、例えば混合機により行なうことができる。
【0037】
本発明の着香酪酸菌粉末は、上記の様に、酪酸臭はマスキングされて、香料の各種の香りを有し、また、芽胞を形成した耐熱性の酪酸菌、さらに代謝産物である酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、および自己融解した酪酸菌体成分、当菌由来のアミラーゼ、各種ビタミンが含有されているために、整腸作用および栄養価に極めて優れているために、食品用素材および食品用防腐剤として好適である。
【0038】
また、食品用防腐剤中には酪酸菌は、芽胞となり安定的に入っており、腐敗菌に対して強い拮抗作用があることから、食品用素材として当該酪酸菌を添加することにより食品の安定性を高める役割を担うことができる。
【0039】
食品用素材としては、酪酸菌が芽胞を形成しているので耐熱性にすぐれ、乾燥粉末のために保存性がよく、食品への添加が容易である。食品への添加量としては、一食当たり1mg〜100mg(10万個〜2億個酪酸菌数)が好ましい。
【0040】
また、食品用素材として着香酪酸菌粉末を用いることができる食品としては、例えば酪酸菌飲料、その他の飲料、キャンデー、チョコレート、マシュマロ、粉末ジュース、ビスケット、打状菓子、ラムネ、インスタントデザート、パン、ふりかけ、各種健康食品、漬け物の素、その他の食品等が挙げられる。
【0041】
着香酪酸菌粉末の食品への添加は、食品の製造工程で添加すればよいが、酪酸菌を有効に使用するために出来るだけ後工程で添加するのが好ましい。
【0042】
次に、食品用防腐剤として、酪酸菌の防腐作用を利用して着香酪酸菌粉末を用いることができる。食品用防腐剤としての使用方法は、上記の食品用素材と同様に食品に添加することにより行なうことができる。
【0043】
また、食品への添加量としては、防腐効果を示すためには、1食当たり10mg〜100mg(5千万個〜2億個酪酸菌数)が好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
製造例1下記の方法で酪酸菌の培養液から酪酸菌含有部を調製した。使用菌株として、クロストリヂウムブチュリクム(Clostridiumbutyricum)を使用して、下記の液体培地で、24〜72時間、34〜40℃で嫌気培養して酪酸菌の培養液を得た。
【0046】
液体培地
コーンスターチ 20〜60重量部
乳糖 5〜20重量部
炭酸カルシウム 10〜30重量部
各種アミノ酸 20〜60重量部
水 全体の90重量%以上
【0047】
得られた酪酸菌の培養液は、水分の含有量が98重量%と多いために、遠心分離機にかけて、固液分離を行ない、液相部の過剰の水分を除去し、菌体固相部の酪酸菌含有部Aの菌液を得た。酪酸菌含有部Aの水分の含有量は60〜90重量%の範囲である。
【0048】
実施例1
スプレードライヤー方式
製造例1で得られた酪酸菌含有部Aの菌液に乳糖等を添加して水分含有量20〜40重量%の濃度に調整し、香料(アップルオイル 71322、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%添加して撹拌し均一に混合した後、ポンプにて加圧スプレーにより、150〜180℃で熱風で瞬間乾燥した。さらに60〜85℃で二次乾燥して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はアップルの香りを有し、水分含有量2〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0049】
実施例2
凍結真空乾燥方式
製造例1で得られた酪酸菌含有部Aの菌液を分離装置により濃縮した濃縮菌液(水分含有量60〜80重量%)に、香料(オレンジオイル 6672、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%添加し、撹拌または練り込みにより均一に混合した後、−40〜−50℃で凍結固形化し、固形物を7〜20℃の温度で真空下で昇華乾燥させ、粉砕機で粉砕して微粉末に調整して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はオレンジの香りを有し、水分含有量2〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0050】
実施例3
真空乾燥方式
製造例1で得られた酪酸菌含有部Aの菌液を分離装置により水分含有量65〜85重量%に濃縮して半固形化状態にし、その中に香料(ヨーグルトオイル SX−2085、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%練り込み均一に混合した後、5〜15mmの厚さに平面状に広げ、真空下で遠赤外線を照射して加熱して乾燥した。乾燥温度は28〜40℃である。その後、乾燥物を砕機で粉砕して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はヨーグルトの香りを有し、水分含有量2〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0051】
実施例4
自然乾燥方式製造例1で得られた酪酸菌含有部Aの菌液を分離装置により水分含有量65〜85重量%に濃縮して半固形化状態にし、その中に香料(バナナエッセンス SW−5109、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%練り込み均一に混合した後、3〜10mmの厚さに平面状に広げ、乾燥室で20〜40℃で乾燥した。その後、乾燥物を低衝撃粉砕機で粉砕して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はバナナの香りを有し、水分含有量3〜5重量%で、平均粒子径約35μmの粉末であった。
【0052】
実施例5
スプレードライヤー方式製造例1で得られた酪酸菌含有部Aの菌液に乳糖等を添加して水分含有量20〜40重量%の濃度に調整し、ポンプにて加圧噴霧により、熱風(150〜180℃)で瞬間乾燥し、さらに60〜85℃で二次乾燥して酪酸菌粉末を得た。
【0053】
得られた酪酸菌粉末に、香料粉末(ストロベリーオイル粉末、塩野香料株式会社製)を0.1〜5重量%添加して均一に混合して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はストロベリーの香りを有し、水分含有量3〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0054】
実施例6
実施例5のスプレードライヤー方式の代わりに、実施例2〜4と同様の凍結真空乾燥、真空乾燥、自然乾燥の各方式により酪酸菌粉末を得た後、該酪酸菌粉末に実施例5と同様に香料粉末を添加して均一に混合して着香酪酸菌粉末を得た。
【0055】
実施例7
スプレードライヤー方式製造例1で得られた酪酸菌培養液に乳糖等を添加して水分含有量20〜40重量%の濃度に調整し、香料(アップルオイル 71322、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%添加して撹拌し均一に混合した後、ポンプにて加圧スプレーにより、150〜180℃で熱風で瞬間乾燥した。さらに60〜85℃で二次乾燥して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はアップルの香りを有し、水分含有量2〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0056】
実施例8
凍結真空乾燥方式製造例1で得られた酪酸菌培養液を分離装置により濃縮した濃縮菌液(水分含有量60〜80重量%)に、香料(オレンジオイル 6672、塩野香料株式会社製)の液を0.1〜5重量%添加し、撹拌または練り込みにより均一に混合した後、−40〜−50℃で凍結固形化し、固形物を7〜20℃の温度で真空下で昇華乾燥させ、粉砕機で粉砕して微粉末に調整して着香酪酸菌粉末を得た。着香酪酸菌粉末はオレンジの香りを有し、水分含有量2〜5重量%で、平均粒子径約30μmの粉末であった。
【0057】
実施例9
チョコレートに着香酪酸菌粉末を添加した実施例を示す。
ビターチョコレート20%、カカオバター20%、全脂粉乳20%、粉糖40%、その他レシチン、バニリンを少量の配合により、チョコレートを製造する過程で着香酪酸菌粉末を添加した。
【0058】
まず、カカオビーンズを160℃、40分焼成し、粉砕し、粉糖、全脂粉乳等を添加した後、ミキサーで細かく粉砕し、混練した後、チョコレート香料を用いた着香酪酸菌粉末を添加して、再び混練して成型してチョコレートを得た。着香酪酸菌粉末の添加量は、酪酸菌1×105個/gであった。チョコレートは酪酸臭の異臭はなかった。
【0059】
実施例10
キヤンデーに着香酪酸菌粉末を添加した実施例を示す。砂糖56%、水あめ42%、クエン酸、香料(アップル)、着色量を少量の配合により、キヤンデーを製造する過程で着香酪酸菌粉末を添加した。
【0060】
まず、砂糖と水あめを加熱して溶解し、煮詰、混練し、80℃で実施例1で得られたアップル香料を用いた着香酪酸菌粉末を添加して、再び混練して成型してキヤンデーを得た。着香酪酸菌粉末の添加量は、酪酸菌1×105個/gであった。キヤンデーは酪酸臭の異臭はなかった。
【0061】
実施例11
マヨネーズに着香酪酸菌粉末を添加した実施例を示す。サラダ油81%、食酢・水9%、卵黄6.2%、調味香辛料等を少量の配合により、マヨネーズを製造する過程で着香酪酸菌粉末を添加した。
【0062】
まず、卵黄を撹拌混合して、食酢、調味香辛料、サラダ油およびオレンジ香料を用いた着香酪酸菌粉末を添加し、ミキサーで撹拌し容器に充填してマヨネーズを得た。着香酪酸菌粉末の添加量は、酪酸菌3×105個/gであった。マヨネーズは酪酸臭の異臭はなかった。また、マヨネーズを10℃で、6カ月保存しても酪酸菌の防腐作用により変質しなかった。
【0063】
実施例12
ゼリーに着香酪酸菌粉末を添加した実施例を示す。ゼラチンを水に溶解して加湿し、果汁を添加し、ヨーグルトを配合してなるゼリーに、実施例2で得られたオレンジ香料を用いた着香酪酸菌粉末を添加した。
【0064】
着香酪酸菌粉末の添加量は、酪酸菌5×105個/gであった。ゼリーは酪酸臭の異臭はなかった。また、ゼリーを10℃で、6カ月保存しても酪酸菌の防腐作用により変質しなかった。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、酪酸菌の培養液の異臭を香料を用いてマスキングして香料の香りを付け、かつ酪酸菌の培養液を粉末化してその培養液の有する有効成分の効果をより発揮させた着香酪酸菌粉末を提供することができる効果を奏する。また、本発明の製造方法は、酪酸菌の培養液を乾燥させることにより容易に着香酪酸菌粉末を得ることができる効果を奏する。さらに、酪酸菌の培養液の異臭を香料を用いてマスキングして他の香りを付けた着香酪酸菌培養液を提供することができる。
【0066】
また、本発明の食品用素材は、酪酸臭はマスキングされて、香料の各種の香りを有し、また芽胞を形成した耐熱性の酪酸菌、さらに代謝産物である酪酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、および自己融解した酪酸菌体成分、当菌由来のアミラーゼ、各種ビタミンが含有された着香酪酸菌粉末からなるために、整腸作用および栄養価に極めて優れている。
【0067】
さらに、本発明の食品用防腐剤は、着香酪酸菌粉末の酪酸菌の防腐作用を利用することにより、防腐剤として極めて有用である。これらは他の有用生菌にも応用が可能で、食品への利用範囲も広げられる。
Claims (11)
- 酪酸菌培養液にプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にすることを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 酪酸菌培養液から液相部を分離して酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部にプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にする工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 酪酸菌培養液にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にすることを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 酪酸菌培養液から液相部を分離して酪酸菌含有部を得る工程、該酪酸菌含有部にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付けた後、乾燥して粉末にする工程を有することを特徴とする着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 前記酪酸菌培養液から液相部を遠心分離により分離して酪酸菌含有部を得る請求項2又は4記載の着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 前記酪酸菌培養液又は酪酸菌含有部の濃度を調整した後に乾燥する請求項1乃至5のいずれかの項に記載の着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 前記乾燥を噴霧乾燥、凍結真空乾燥、真空乾燥又は自然乾燥により行う請求項1乃至5のいずれかの項に記載の着香酪酸菌粉末の製造方法。
- 酪酸菌培養液にプロピレングリコールを含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付ける
ことを特徴とする着香酪酸菌培養溶液。 - 酪酸菌培養液にタンゼリン油を含有した香料を添加し、前記酪酸菌培養液の異臭を前記香料を用いてマスキングして前記香料の香りを付ける
ことを特徴とする着香酪酸菌培養溶液。 - 前記酪酸菌培養液の酪酸菌がクロストリジウムブチュリクムである請求項8又は9記載の着香酪酸菌培養液。
- 前記酪酸菌培養液が、酪酸菌を糖類、アミノ酸、炭酸カルシウム、水等を主成分として含む液体培地により培養して生成された培養液である請求項8乃至10のいずれかの項に記載の着香酪酸菌培養液。
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