JP3927041B2 - 筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents

筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具に関する。更に詳細には、インキ中での気泡の発生を抑制し、且つ、紙に筆記して得られる筆跡を消しゴムにより色残りなく消去できる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、消しゴムにより消去できる筆跡をもたらすインキ組成物としては、着色樹脂粒状体と粘着性樹脂粒状体とゲル化剤を含んでなり、それぞれの粒状体の粒子分布がいずれも2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物が開示されている(特開2001−19888号公報、特開2001−19889号公報)。
更に0℃以下の造膜温度又は0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、顔料と、水と、ゲル化剤を含んでなる、消しゴム消去性水性インキ組成物が開示されている(特開平10−195366号公報)。
前記筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物は、着色樹脂粒状体及び粘着性樹脂粒状体が特定粒子径に存在するため、紙面上に形成された乾燥後の筆跡中で粒子相互間及び粒子と紙面との間で点接着状態で存在し、筆跡は消しゴムで容易に消去でき、且つ、前記筆跡は通常の指や紙同士の擦過程度では消去されない筆跡保持性を有するインキ組成物である。
ゲル化剤を含む前記インキ組成物を用いた筆記具は構造を簡易にできる反面、インキの調整及び充填に際し、インキ後端面にインキ中の溶剤が蒸発することを防止したり、筆記先端部が上向き状態(正立状態)においてインキの逆流を防止するインキの消費に伴って追従するインキ逆流防止体(液栓)が充填されるといった特別な配慮が必要となる。そのため、インキは外部の空気と遮断された気密空間に存在するので、インキ中に気体が混入していると、経時により気体が集まって気泡が発生し、筆記時のインキ出に悪影響を与えると共に、筆記先端部に気泡が存在すると筆記不能になる恐れがある。
前記問題を解決するため、機械的にインキ中の気体を取り除く脱泡処理が主に行なわれるが、それだけでは不十分であるので、酸化防止剤を添加してインキ中の気体を化学的に除去する方法が開示されている。
しかし、前記酸化防止剤として先に開示されている、アスコルビン酸誘導体(特公平7−113101号公報)、α−トコフェロール(特開平10−330672号公報)、カテキン類(特開平10−298483号公報)、ピロガロール等のポリフェノール類(特開2001−81389号公報)等を用いた場合、紙面にインキが転写されたときに酸化防止剤が紙内部に浸透してしまい、筆跡を消しゴムで消去したとしても、着色剤は取り除けるが、酸化防止剤の色調による残像が形成されることになる。
それ故に前記酸化防止剤は、消しゴム消去性インキに適しているとは言い難い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、前記した従来の消しゴム消去性インキ組成物について更に鋭意検討した結果、消しゴム消去性インキに適したインキ中の気体を化学的に除去する特定の化合物を用いることによって、良好な経時性能、筆記性能を得ることができることを見出して本発明を完成させた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料を含む着色樹脂粒状体、染料を含む着色樹脂粒状体、金属光沢顔料から選ばれる着色剤と、粘着性樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかであり、前記着色剤と、粘着性樹脂粒状体の粒子分布がいずれも2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を要件とする。
【0005】
更に本発明は、顔料と粘着性樹脂からなる着色樹脂粒子表面の少なくとも一部が粘着性を有してなり、且つ、前記粒子の粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる粘着性着色樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を要件とする。更には、前記酸化防止剤をインキ組成物中0.01〜5重量%含んでなることを要件とする。
【0006】
更に本発明は、顔料と0℃以下の造膜温度若しくは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を要件とする。更には、前記筆記用消しゴム消去性水性インキにおいて、100rpmでの粘度が25〜160mPa・s(EMD型粘度計25℃の値)であり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7を示すことを要件とする。更には、前記筆記用消しゴム消去性水性インキを、インキ収容管内に直接収容してなる筆記具を要件とする。
【0007】
本発明は大別すると三つの構成を異にする発明からなる。そのうち、顔料を含む着色樹脂粒状体、染料を含む着色樹脂粒状体、金属光沢顔料から選ばれる着色剤と、粘着性樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかであり、前記着色剤と、粘着性樹脂粒状体の粒子分布がいずれも2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物について説明する。
【0008】
前記着色剤は目視可能な筆跡を与えるための着色された粒状体であり、且つ、紙への浸透を防ぐためにその粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれることを必要とする。
前記着色樹脂粒状体は、樹脂粒子中に顔料が均質に分散された着色樹脂粒状体、樹脂粒子の表面が顔料で被覆されている着色樹脂粒状体が挙げられる。
【0009】
前記着色樹脂粒状体を構成する樹脂類としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド、ウレタン樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−ウレタン共重合体、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
前記樹脂を着色する顔料としては、アゾ系、アンスラキノン系、縮合ポリアゾ系、チオインジゴ系、金属錯塩系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系及びキナクリドン系の有機顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料は適宜必要に応じて1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。更には、特殊な顔料として蛍光顔料、金属粉顔料、パール顔料、蓄光顔料、可逆性熱変色顔料、導電性顔料等を挙げることもできる。なお、前記顔料類は、該モノマー等の溶液への分散性を向上する目的で、従来公知の種々の方法により表面処理されたものであってもよい。
前記着色樹脂粒状体は、従来より公知の粉砕法、重合法及びスプレードライ法等の製造方法を利用して得ることができる。前記重合法として具体的には、懸濁重合法、懸濁重縮合法、分散重合法、乳化重合法等が挙げられ、マイクロカプセル化法を用いることもできる。
本発明に用いられる大部分が2〜20μmの粒子径を有する着色粒状体を得るためには粉砕法、懸濁重合法、懸濁重縮合法、分散重合法が好適に用いられ、更に好適には、懸濁重合法、粉砕法が用いられる。
【0010】
尚、前記着色樹脂粒状体として顔料を媒体中に分散させてなる着色体を公知のマイクロカプセル化法により樹脂壁膜形成物質からなる殻体に内包又は固溶体化させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
前記殻体を形成する壁膜形成物質としては、ゼラチン、シェラック、アラビアガム、ロジン、ロジンエステル、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、パラフィン、トリステアリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイソブテン、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、メラミン樹脂等を単独又は混合して使用することができる。
適用できるマイクロカプセル化法としては、コアセルベーション法、インサイチュー重合法、界面重合法、液中硬化被膜法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライイング法等が挙げられる。
【0011】
前記着色樹脂粒状体は、樹脂粒子中に染料が均質又は不均質に分散又は溶解された着色樹脂粒状体が挙げられる。
尚、染料が樹脂中で会合したり、或いは、偏在して発色を損なうことを防止するため、樹脂中に均質に溶解することが好ましい。
【0012】
染料を含む着色樹脂粒状体には、特に熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、キシレン系樹脂、トルエン系樹脂、グアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、アルキッド系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリアミドエステル系樹脂、尿素系樹脂、シリコーン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と比較して耐溶剤性、耐熱性に優れると共に、含有される染料の耐移行性にも優れており、よって、含有させる染料の溶出を抑制でき、筆跡を消去させる本発明の消しゴム消去性インキ組成物の着色剤として好適である。
また、前記熱硬化性樹脂のうち、グアナミン系樹脂或いはメラミン系樹脂は、含有させる染料の溶出を妨げる機能に優れているため、好適に用いられる。
【0013】
前記樹脂を着色する染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、油溶性染料が挙げられる。
前記染料のうち、塩基性染料は、酸性染料や直接染料と比較して、熱硬化性樹脂と結合し易く、インキ組成物中で染料の溶出を生じ難いため、特に好適に用いられる。
前記酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等を例示できる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等を例示できる。
また、蛍光性塩基染料としては、C.I.BASIC YELLOW 1、C.I.BASIC YELLOW 9、C.I.BASIC YELLOW 35、C.I.BASIC YELLOW 40、C.I.BASIC RED 1、C.I.BASIC RED 1─1、C.I.BASIC RED 2、C.I.BASIC RED 12、C.I.BASIC RED 13、C.I.BASIC RED 14、C.I.BASIC RED 15、C.I.BASIC RED 36、C.I.BASIC VIOLET 7、C.I.BASIC VIOLET 10、C.I.BASIC VIOLET 11、C.I.BASIC VIOLET 15、C.I.BASIC VIOLET16、C.I.BASIC VIOLET 27、C.I.BASIC ORANGE 15、C.I.BASIC ORANGE 22、C.I.BASICBLUE 1、C.I.BASIC BLUE 3、C.I.BASIC BLUE 7、C.I.BASIC BLUE 9、C.I.BASIC GREEN 1等を例示できる。
前記直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等を例示できる。
前記油溶性染料としては、C.I.SOLVENT BLACK 7、C.I.SOLVENT BLACK 123、C.I.SOLVENT BLUE 2、C.I.SOLVENT BLUE 25、C.I.SOLVENT BLUE 55、C.I.SOLVENT BLUE 70、C.I.SOLVENT RED 8、C.I.SOLVENT RED 49、C.I.SOLVENT RED 100、C.I.SOLVENT VIOLET 8、C.I.SOLVENT VIOLET 21、C.I.SOLVENT GREEN 3、C.I.SOLVENT GREEN 3、C.I.SOLVENT YELLOW 21、C.I.SOLVENT YELLOW 44、C.I.SOLVENT YELLOW 61、C.I.SOLVENT ORANGE 37等を例示できる。
【0014】
前記着色樹脂粒状体に含まれる染料の重量比率としては、0.1〜20重量%であることが好ましい。0.1重量%未満では所望の色調を呈する筆跡が得られ難く、また、20重量%を越えると溶出の度合いが激しくなり、筆跡の十分な消去性が得られ難くなる。
また、前記着色樹脂粒状体中には、所望により顔料を添加することもできるし、別途調製した粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる顔料を含む着色樹脂粒状体を添加することもできる。
【0015】
前記熱硬化性樹脂から形成される着色樹脂粒状体は、従来より公知の粉砕法、重合法及びスプレードライ法等の製造方法を利用して得ることができる。前記重合法として具体的には、懸濁重合法、懸濁重縮合法、分散重合法、乳化重合法等が挙げられる。
本発明に用いられる大部分が2〜20μmの粒子径を有する着色樹脂粒状体を得るためには粉砕法、懸濁重合法、懸濁重縮合法、分散重合法が好適に用いられ、更に好適には、懸濁重合法、粉砕法が用いられる。
【0016】
前記熱硬化性樹脂から形成される着色樹脂粒状体を粉砕法によって微粒子状に調製する方法について説明すると、本発明においては、バルクの形態で重縮合された熱硬化性着色樹脂のブロックを粗く粉砕した後、更に粉砕機によって微粒子化する方法が挙げられる。
【0017】
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料、天然雲母や合成雲母の表面を酸化チタンで被覆した真珠光沢性を有する金属光沢顔料、酸化アルミニウムや偏平状ガラス片を表面を酸化チタンで被覆した真珠光沢性を有する金属光沢顔料、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断した虹彩性を有する金属光沢顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料等を例示できる。
更に、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料を用いる場合、前記金属光沢顔料の表面を透明又は着色透明性樹脂で被覆した顔料が好適に用いられる。
前記透明又は着色透明性樹脂で被覆した金属光沢顔料を用いることにより、インキ組成物中での安定性に優れる。
前記透明又は着色透明性樹脂で被覆した金属光沢顔料として、具体的には、偏平状金属粉の両面を透明又は着色透明性の樹脂フィルムで被覆したものを例示できる。
又、前記粒子径分布の金属光沢顔料を用いることにより、例えば、粒子径の小さい金属光沢顔料を樹脂中に分散して形成した金属光沢調樹脂粒状体を用いた系と比較して、金属光沢性に優れるため、光輝性に富む筆跡が得られる。
【0018】
次に、前記着色剤と併用してインキ組成物中に添加される粘着性樹脂粒状体について説明する。
前記粘着樹脂粒状体は、紙面に対し接着又は粘着性を示さない前記着色樹脂粒状体を紙面に接着させ、耐軽擦過性を付与すると共に消しゴムでの消去性を付与する役割を有する。粘着樹脂粒状体自体の粘着力とインキ組成中における配合量は消しゴム消去性と耐軽擦過性を満たす良好な範囲で決定される。粘着性樹脂粒状体についても紙面への浸透を防止、低減させるためにその粒子分布は2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれることを必要とする。
前記粘着性樹脂粒状体は、少なくとも表層部が粘着性を有していれば特に製造方法に制約を受けるものではなく、従来公知の樹脂粒子合成方法を用いることができる。
【0019】
粘着性樹脂粒状体の具体的な形態としては、粘着性樹脂粒状体を形成する樹脂の全体が粘着性を有する均質ポリマー組成物であるもの、粘着性樹脂粒状体の全表面が粘着性を有するポリマー組成物で被覆されたもの、粘着性樹脂粒状体が多層構造状のもので、少なくとも表面の一部が粘着性を有するもの、粘着性樹脂粒状体の少なくとも表面の一部が連続又は非連続状態の粘着性を有するポリマー組成物で構成されたものが挙げられる。
【0020】
前記の粘着性樹脂粒状体を得る方法としては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法等が適用できる。粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を有する均質ポリマー組成のものを得るには、主として懸濁重合法、分散重合法、シード重合法、液中溶媒蒸発法が適用でき、一方、粒状体が多層構造状であるものを得るには、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法を適宜組み合わせたり、二次処理的な表面改質の手段を適用することができる。前記多層構造の例としては、中心部が硬質で表層部が粘着性を有するものが挙げられる。
粘着性付与のための二次処理とは、粘着性の有無に関わらず得られた一次粒子に対して、更に前記一次粒子を改質して粘着性を付与する処理をいう。
【0021】
尚、粘着性樹脂粒状体を調製する方法としては懸濁重合法、分散重合法、シード重合法から選ばれる少なくとも1つの重合法より調製されることが好ましく、これらの重合法のうちシード重合法及び分散重合法は、シャープな粒子分布曲線を示す粒状体(粒子分布の狭い粒状体)を得ることができることから、反応後の分級処理を実質上省略することもできるためより好ましい。
【0022】
前記粘着性樹脂粒状体が示す粘着性とは、それ自体が消しゴムでの摩擦により除去可能であり、且つ、軽擦過に対して必要最低限の粘着力を示す程度を意味する。即ち、粘着力が強すぎれば消しゴムでの消去性が低下したり、あるいは消去時に消しゴムでの強い摩擦力を要する。逆に、粘着力が弱すぎれば軽擦過により粘着性樹脂粒状体は容易に剥離するため、良好な消しゴム消去性と耐軽擦過性を満たすように粘着力を調整することが必要である。
粘着性樹脂粒状体に好適な粘着性を付与する指標として、得られた粘着性樹脂粒状体のガラス転移点が40℃未満であることが好ましく、より好ましくは20℃未満である。ガラス転移点が40℃を越える粘着性樹脂を用いると概して室温条件下において粘着性の程度が弱く、耐軽擦過性を伴ない難くなる。
【0023】
粘着性樹脂粒状体の調製に用いられるポリマー類としては粘着性を有していれば特に限定されないが、具体的なポリマーを例示すると、アクリル酸エステル樹脂、アクリルスチレン共重合樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
【0024】
本発明の粘着性樹脂粒状体の粘着性の調整方法としては、(1)潜在的に粘着性を有するモノマー類の種類を変えたり、混合して粘着性樹脂を得たり、(2)多官能性モノマー(架橋性モノマー)の量を調整することによって所望の粘着性を有する樹脂を得ることができるが、更に、粘着性を調節するためにロジン、ロジン誘導体、クマロン・インデン樹脂、ポリテルペン樹脂、非反応性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂等の粘着性付与剤を添加することもできる。また、ミネラルオイル、液状ポリブテン、ラノリン、二塩基酸エステル等の可塑剤、顔料や体質顔料等を適宜加えてもよい。
【0025】
次に前記着色剤と粘着性樹脂粒状体を前述した粒子分布に調整する方法について説明する。
着色剤は湿式分級法や乾式分級法によって所望の粒子分布に調整することができる。
湿式分級法としては、水等の媒体中に前記粒状体を分散した後、遠心沈降法、又は、自然沈降法により粒子を分級する方法が適用できる。又、粗大粒子の除去には、ろ紙、フィルター等によるろ過処理も効果的である。
一方、乾式分級法は、乾燥状態にした粒状体をバリアブルインパクター、サイクロン、クラシクロン、ターボクラシファイアー、ミクロンセパレーター等の機具を用いて分級する方法が適用できる。所望の粒度分布が得られるように分級を複数回繰り返し行ってもよい。なお、乾式分級法は電子写真用のコピー用トナーの分級方法にも用いられている。
かかる分級方法から単一或いは複数の方法を用いて粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上が含まれる粒状体が得られる。更に、狭い粒径範囲内に粒子の量を集中させた、粒子径がより均一な粒状体を得るためには、上記分級をくり返したり、不要な粒子範囲部分を拡大する方法が挙げられる。
【0026】
一方、粘着性樹脂粒状体は室温下で粘着性を有するため、乾式分級は概して適用が困難である。そのためできるかぎり粒子調製段階で2μm〜20μmの範囲に70重量%以上が含まれるように前記粒状体を調製することが好ましい。仮に分級が必要な場合は、湿式分級法が適用でき、ろ紙、フィルター等によるろ過処理、及び遠心沈降法などが適している。
【0027】
次にインキ組成中における、着色剤及び粘着性樹脂粒状体の配合重量及びこれらの重量比率について説明する。
インキ組成物中のそれぞれの粒状体の配合量は、着色樹脂粒状体が5〜30重量%、粘着性樹脂粒状体が0.5〜15重量%であり、且つ、着色剤と粘着性樹脂粒状体の重量比率が着色剤100に対して粘着性樹脂粒状体2〜200であることが好ましい。
着色剤が5重量%未満では良好な色濃度が得られず、30重量%を越えるとインキ組成物中での固形分比率が高くなり、円滑なインキの吐出を妨げ易くなる。粘着性樹脂粒状体が0.5重量%未満では良好な耐軽擦過性が得られず、15重量%を越えると良好な消しゴム消去性が得られ難くなることがある。又、着色剤との配合比率が2未満では、良好な耐軽擦過性が得られず、200を越えると良好な消しゴム消去性が得られ難くなることがある。
【0028】
次に、顔料と粘着性樹脂からなる着色樹脂粒子表面の少なくとも一部が粘着性を有してなり、且つ、前記粒子の粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる粘着性着色樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物について説明する。
【0029】
以下に粘着性着色樹脂粒状体について説明する。
粘着性着色樹脂粒状体はそれ自体が粘着と着色の2つの機能を有するものである。
前記粘着性着色樹脂粒状体が示す粘着性とは、粒状体が消しゴムでの摩擦により除去可能であり、且つ、軽擦過に対して必要最低限の粘着力を示す程度を意味する。即ち、粘着力が強すぎれば消しゴムでの消去性が低下したり、あるいは消去時に消しゴムでの強い摩擦力を要する。逆に、粘着力が弱すぎれば軽擦過により容易に剥離するため、良好な消しゴム消去性と耐軽擦過性を満たすように粘着力を調整することが必要である。
尚、前記粘着性着色樹脂粒状体の粘着性は、粘着性樹脂のガラス転移点(Tg)のみによって決定されるものではない。粘着性を決定する要因は一般的に様々な要因からなり、主な要因としては樹脂自体の特性、例えば、結晶性、流動性、ガラス転移点、分子量、架橋密度等が挙げられ、多くの要因が複雑に関与している。一例として、ガラス転移点が−58℃のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)のラテックスは室温下で全く粘着性を有さず、ゴム質で脆い性質を示す。一方、ガラス転移点が−45℃のポリアクリル酸ブチルは室温下で強い粘着性を示す。前記のように、樹脂の粘着性は必ずしもガラス転移点に依存するものではない。
【0030】
前記粘着性着色樹脂粒状体は、顔料を含む着色樹脂粒子の表面の少なくとも一部が粘着性を有する粒子であれば特に製造方法は制約を受けるものではなく、従来公知の樹脂粒子合成技術を用いて得ることができる。粘着性着色樹脂粒状体の形態としては、着色樹脂粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を有する均質ポリマー組成物であるもの、着色樹脂粒状体の全表面が粘着性を有するポリマー組成物で被覆されたもの、着色樹脂粒状体の表面の一部が連続又は非連続状態の粘着性を有するポリマー組成物で構成されたものが挙げられる。
前記の粘着性着色樹脂粒状体を得る方法としては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中乾燥法が適用できる。着色樹脂粒状体を形成する樹脂の全部が粘着性を有する均質ポリマー組成であるものを得るには、主として懸濁重合法、液中溶媒蒸発法が適用でき、一方、着色樹脂粒状体の全表面又は表面の一部が連続又は非連続状態で粘着性を有するポリマー組成であるものを得るには、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中溶媒蒸発法を適宜組み合わせたり、二次処理的な表面改質の手段を適用することができる。
【0031】
粘着性着色樹脂粒状体に好適な粘着性を付与する指標として、得られた粘着性着色樹脂粒状体のガラス転移点が40℃未満であることが好ましい。40℃以上の粘着性樹脂を用いると室温条件下において粘着性の程度が弱く、耐軽擦過性を満たすことができない。
【0032】
本発明の粘着性着色樹脂粒状体の粘着性の調整方法としては、(1)粘着性を有するモノマー類の種類を変えたり、二種以上のモノマーを混合したり、(2)多官能性モノマー(架橋性モノマー)の量を調整することによって所望の粘着性を有する樹脂を得ることができるが、更に、粘着性を調節するためにロジン、ロジン誘導体、クマロン・インデン樹脂、ポリテルペン樹脂、非反応性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂等の粘着性付与剤を添加することもできる。また、ミネラルオイル、液状ポリブテン、ラノリン、二塩基酸エステル等の可塑剤、顔料や体質顔料等を適宜加えてもよい。
【0033】
次に、粘着性着色樹脂粒状体の粒子径について説明する。
本発明の筆記用消しゴム消去性インキ組成物に適用される粘着性着色樹脂粒状体は2〜20μmの範囲に70重量%が含まれる粒子分布を有する必要があり、好ましくは2μm〜15μmの範囲に80重量%以上が含まれる。
前記粘着性着色樹脂粒状体の粒子径と消しゴム消去性は密接な関係にあり、2μmより小さい粒子の割合が多いと前述のように、紙の繊維間に浸透する割合が顕著に多くなり、良好な消しゴム消去性が得られない。一方、20μmより大きい粒子の割合が多くなると、手や指での擦過で剥離し易くなり、満足な耐軽擦過性が得られにくく、さらに各種筆記具のインキ導出部、例えば繊維ペン、プラスチックペン、フェルトチップ、ボールチップからインキが円滑に導出し難くなる。
前述の各重合法によって得られた粘着性着色樹脂粒状体は粒子分布が前記の粒子径の範囲を満たすように乾式分級や遠心沈降法などの湿式分級を所望により行なうことができる。粘着性着色樹脂粒状体は常温下で粘着性を有するため、粒状体の合一を防止するために、ろ過や遠心沈降分離等の湿式条件下の分級が好ましい。
【0034】
本発明の粘着性着色樹脂粒状体は着色手段として顔料が用いられ、着色方法としては、顔料を分散剤の存在下でモノマー、オリゴマー、プレポリマー又はポリマー中に、所望に応じて溶剤を加えて顔料を分散する。その後、各々の反応形態によって顔料を含んだ粘着性着色樹脂粒状体が調製される。顔料は粒状体中に均一に分散していてもよいし、粒状体中で局在化した不均一なものであってもよい。
【0035】
前記粘着性着色樹脂粒状体はインキ組成物中5〜35重量%の範囲で添加されることが好ましい。5重量%未満では良好な色濃度が得られず、35重量%を越えるとインキ組成物中での固形分比率が高くなり、円滑なインキの吐出を妨げがちである。従って、添加量については前記範囲内で粘着性着色樹脂粒状体自体の色濃度や使用目的に応じて適宜決めることができる。
前記粘着性着色樹脂粒状体は粘着性、色調、色濃度、粒子径分布の異なる2種類以上の粘着性着色樹脂粒状体を所望に応じて混合して使用することもできる。更に、粘着性着色樹脂粒状体中に含まれる顔料の重量比率は、2〜30重量%であることが好ましい。特に顔料が均質に分散された粘着性着色樹脂粒状体の場合は30重量%を越えると粒状体の調整、特に粒子径の調整ができ難くなる。一方、2重量%未満では良好な色濃度を示す筆跡が得られ難い。非均質形態の粘着性着色樹脂粒状体についても、一次粒子の調整時に同様の条件が適用される。
又、本発明のインキ組成物には該粘着性着色樹脂粒状体と同様の粒子径分布をもつ粘着性を有さない着色粒状体を補色や粘着性を調節するために重量比で粘着性着色樹脂粒状体100に対して40以内の比率で所望に応じて添加することができる。
【0036】
次に、顔料と0℃以下の造膜温度若しくは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物について説明する。
【0037】
前記樹脂の具体例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合物であるニトリルゴム、イソブチレンとイソプレンとの共重合物であるブチルゴム、シス−1,4−ポリイソプレン、アクリル酸の各種エステルのゴム状重合体(アクリルゴム)、多硫化系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴムなどのゴム状物質、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体などのアクリロニトリル系共重合体、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体などのビニル塩化物重合体、酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−エチレン重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル重合体、酢酸ビニルマレート重合体などの酢酸ビニル系共重合体、ポリブテン、ポリエチレンなどのポリオレフィン等があり、一種若しくは二種以上混合して用いることができる。
【0038】
インキ組成物中における樹脂の配合量は、2〜50重量%、好ましくは20〜30重量%の範囲で使用される。樹脂量が2重量%未満ではインキ消去性を発揮することができず、また、樹脂量が50重量%を越えると、筆記中に樹脂の造膜に伴う糸引きが発生し易くなる。
【0039】
前記顔料としては、前述の有機顔料、無機顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、金属光沢顔料、可逆性熱変色顔料、導電性顔料等を用いることができるが、粒子径は10μm以下であることが好ましい。10μmを越えると、筆記具のチップ内で目詰まりをおこし、インキの流出ができなくなり、筆記不良をおこす。
【0040】
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、キサンタンガム、ウエランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
更に、剪断減粘性付与剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油類、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、脂肪酸アミド類等から選ばれるHLB値が8〜12の範囲のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の中和物、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
前記剪断減粘性付与剤はインキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0041】
特に本発明のインキ組成物をボールペンに適用する場合には、比較的大きな粒状体を用いるために、インキ組成物中で粒状体が沈降しやすい性質がある。そのため、インキ組成物中に剪断減粘性付与剤を添加して、得られたインキ組成物の25℃におけるEMD型粘度計を用いた100rpmの粘度が25〜160mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7であれば粒状体の沈降、分離もなく経時的に安定な筆記具を得ることができる。
前記100rpmにおけるインキ粘度が160mPa・sを越えるとインキ吐出性が低下して、筆記不能になったり、かすれを生じる。また、25mPa・s未満では粒状体の分散安定性が充分に保てない。即ち、剪断減粘指数が前記範囲外では剪断減粘性による効果が適正でなく、粘着性着色樹脂粒状体の分離防止、インキ吐出性及び筆跡性能に支障を来す。
尚、前記におけるインキの剪断減粘指数は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式(T=Kjn :K及びnは計算された定数である)に当てはめることによって計算されるn値である。
【0042】
前記酸化防止剤は、インキ組成物中に添加することにより、良好な酸素吸収能を発現するので、インキ中での気泡の発生を抑制することができる。
前記酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアヤレチック酸、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、コウジ酸、α−グルコシルルチン、オキシム誘導体、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素、没食子酸プロピルなどの油脂類等の酸化防止剤、または、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)のフェノール系酸化防止剤、更には、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
消しゴム消去性インキ組成物中において特に好ましい酸化防止剤は、色残りすることなく良好な消去性を与え、長期的に顕著な気体除去機能を示すものであり、具体的には、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素が挙げられる。これらの酸化防止剤のうち、一種又は二種以上選ばれて添加される。添加量としては、インキ組成物中0.01〜5重量%が好ましい。
【0043】
前記水溶性極性溶剤は、筆記先端でのインキの乾燥抑制、筆跡の耐水性の付与等の目的で用いられる。水溶性極性溶剤としては水に相溶性のある従来汎用の溶剤が全て有効であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等を一種又は二種以上併用して用いることができ、添加量はインキ組成物中2〜35重量%が好ましい。
【0044】
また、所望に応じて防腐剤、消泡剤、安定剤、潤滑剤、PH調整剤、界面活性剤等の慣用の添加剤を添加することもできる。
前記添加剤は、PH調整剤として、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物が適用できる。
防錆剤としてベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
防腐剤、防黴剤としては、石炭酸、1,2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が使用できる。
湿潤剤としては、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等が使用できる。その他、インキの浸透性向上剤としてのフッ素系界面活性剤やシリコン系、ノニオン、アニオン、カチオン系の界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤、分散剤等を使用してもよい。
潤滑剤としては、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩等が使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
更には、水性ビヒクル媒体にはインキの流動性の向上や分散安定化、粘着性の微調整の目的で従来公知の水溶性樹脂や、水性樹脂エマルジョンを添加することもできる。
【0045】
次に、筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を内蔵する筆記具について説明する。
本発明の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を内蔵する筆記具としては、ボールペンや、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンや、先のチップを筆記先端部に装着し、インキ収容管内に直接インキを収容するサインペン等が挙げられる。
【0046】
ボールペンに内蔵された筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物に適用される粒状体の粒子径について説明すると、インキ組成物中に含まれる全粒状体の粒子分布が2μm〜20μmの範囲に80重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは、2μm〜10μmの範囲に90重量%以上含まれることである。
ボールペン筆記用のインキ組成物中の粒子分布はボールペンチップ部におけるボール収容部近傍の狭い間隙を粒状体が円滑に通過するために、粒子サイズについて他の筆記具に比べてより大きな制約を必要とする。ボールペンチップの構造にもよるが、2μm〜20μmの範囲に80重量%以上含まれるような粒状体を適用するのが好ましい。更に好ましくは、2μm〜10μmの範囲に90重量%以上含まれる粒子分布の粒状体が適用される。10μm以上の粒子の割合が多くなると、前記ボール収容部近傍で粗大な粒子が通過することなく累積し、筆記不良になる場合があるためである。
【0047】
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンが例示できる。
【0048】
前記インキ組成物を充填するボールペンについて更に詳しく説明すると、筆記先端部(チップ)の構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の0.3〜1.2mm径程度のものが適用できる。
【0049】
前記インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
又、前記インキ収容管は、2.5〜10mmの内径を有するものが好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記軸筒内に収容するレフィルの内径は、2.5〜5mmのものが好適に用いられ、インキを直接収容する軸筒の内径は、4〜10mmのものが好適に用いられる。
【0050】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体を充填することが好ましい。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム等を添加することもできる。
また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。
更に、前記液状及び固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物は、水と水溶性極性溶剤からなる媒体中に、粘着性着色樹脂粒状体を含む分散液、又は、着色剤と粘着樹脂粒状体、又は、顔料と0℃以下の造膜温度若しくは0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を添加し、更に酸化防止剤及び剪断減粘性付与剤を添加し、添加剤が配合される場合には適宜添加剤を投入して分散することにより調製され、インキ収容管内に直接インキを収容するボールペン、サインペンやフェルトペン等のマーキングペン、万年筆、筆ペン等の形態の筆記具に充填して使用される。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
又、実施例における粒子径分布の測定にはレーザー回折式粒度分布測定機〔(株)島津製作所製;SALD 1100〕を用い、ガラス転移温度の測定には示差走査熱量計〔理学電気(株)製:DSC 8230L〕を用いて測定した。
尚、実施例中の配合数字は重量部を示す。
【0053】
実施例1
粘着性樹脂粒状体の調製
撹拌機付きセパラブルフラスコ(2リットル)に水600部を入れ、更にラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100、信越化学(株)製)20部を溶解して分散媒とした。前記分散媒にブチルアクリレート120部、メタクリル酸メチル10部、エチレングリコールジメタクリレート2部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.0部からなる油相溶液を加え、400rpmで平均粒子径が約6μmとなるよう撹拌を続けた。ついで、窒素雰囲気下で懸濁液を70℃に昇温して撹拌を6時間続けて懸濁重合を行なった。その後室温まで冷却し、水1000部を加えて希釈した後、遠心分離法によって固液分離し、水で固形分を30%に調整して粘着性樹脂粒状体分散体Aを得た。
前記粘着性樹脂粒状体分散体A中の粒状体の平均粒子径は7.8μmであり、粒子は2μm〜20μmの範囲に全粒状体の85重量%が含まれるものであった。
【0054】
インキ組成物の調製
黒色樹脂粒状体 10.0
〔商品名:アートパールC−800、根上工業(株)製、
平均粒子径6.1μm、2μm〜20μmの範囲に95.0重量%を含む〕
粘着性樹脂粒状体分散体A 10.0
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 0.3
〔商品名:OTP−100、日光ケミカルズ(株)製〕
ダイナマイトグリセリン 10.0
サクシノグリカン 0.3
(構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1
〔商品名:プロキセルXL−2、ゼネカ(株)製〕
トリエタノールアミン 0.3
ジエチルヒドロキシルアミン 0.1
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
水 58.8
合計 100.0
前記配合物を混合しディスパーにて室温で3時間撹拌した後、濾過することでインキ組成物を得た。
得られたインキ組成物は粘度(25℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)が43mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0055】
実施例2
着色樹脂粒状体の調製
ビーカー(2リットル)に水480部を入れ、更にポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノールGL−03、日本合成(株)製〕20部を溶解して分散媒とした。
前記分散媒にフタロシアニン系青色有機顔料(商品名ファーストゲンブルー5007、大日本インキ(株)製)15部、エポキシ樹脂(ビスフェノールA/ジグリシジルエーテル系、エポキシ当量184〜194)85部、酢酸エチル60部からなる着色組成物を加えて高速撹拌により約5μmの液滴とした後、撹拌継続下で60℃まで昇温し、エポキシ樹脂硬化剤(脂肪族ポリアミン)21部を水200部中に溶解した溶液を約1時間かけて滴下した。ついで液温を80℃まで昇温度させて5時間撹拌を続けることにより酢酸エチルを揮散させた。
室温まで冷却し、水1000部を加えて洗浄して遠心分離によって固液分離した後、水で固形分を調整して固形分50%の青色樹脂粒状体分散液を得た。
前記青色樹脂粒状体分散液中の粒状体の平均粒子径は6.7μmであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の91重量%が含まれるものであった。
【0056】
インキ組成物の調製
青色樹脂粒状体分散液 10.0
粘着性樹脂粒状体分散液A 20.0
エチレングリコール 10.0
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
〔商品名:SLS、日光ケミカルズ(株)製〕
サクシノグリカン 0.3
ナトリウムオマジン 0.3
〔商品名:トップサイド280、パーマケム(株)製〕
亜硫酸ナトリウム 0.2
水 58.1
合計 100.0
前記配合物を混合して室温でディスパーにて3時間撹拌後、濾過することにより筆記具用インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物は粘度(25℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)が44mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0057】
実施例3
粘着性着色樹脂粒状体分散液の調製
セパラブルフラスコ(2リットル)に水480.0部を入れ、更にポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノールGL−03、日本合成(株)製〕20.0部を溶解して分散媒とした。
前記分散媒にカーボンブラック(商品名:Printex L、デグサ社製)8.0部、アクリル酸ブチル46.0部、スチレン46.0部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2.0部からなる着色組成物を加え、高速撹拌により約7μmの液滴とした後、撹拌を続けながら60℃で6時間懸濁重合を行った。
室温まで冷却した後、分散媒中のポリビニルアルコールを除去するために水600.0部を加えて洗浄し、遠心分離法により粘着性黒色粒状体を分離した。
得られた粘着性黒色粒状体のスラリーに、更に水600.0部を加えて洗浄した後、再度遠心分離法により分離し、水で固形分を50重量%に調整して粘着性黒色樹脂粒状体分散液を得た。
前記のようにして得られた粘着性黒色樹脂粒状体分散液中の粒状体のガラス転移温度は8℃であり、平均粒子径は8.2μmであり、粒子は2μm〜15μmの範囲に全粒状体の92.5重量%が含まれるものであった。
【0058】
筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物の調製
粘着性黒色樹脂粒状体分散液 30.0
グリセリン 10.0
POE(10)アセチレングリコール 0.3
〔商品名:アセチレノールEH、川研ファインケミカル(株)製〕
サクシノグリカン 0.3
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1
トリエタノールアミン 0.5
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
亜ジチオン酸ナトリウム 0.2
水 58.5
合計 100.0
前記配合物を混合し、室温でディスパーにて3時間攪拌後、濾過することにより筆記具用インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物は粘度(25℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)が41mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0059】
実施例4
粘着性着色樹脂粒状体分散液の調製
セパラブルフラスコ(2リットル)に水475.0部を入れ、更にポリビニルアルコール〔商品名:ゴーセノールGL−03、日本合成(株)製〕25.0部を溶解して分散媒とした。
前記分散媒に赤色有機顔料(商品名:CINQUASIA Scarlet RT−787−D、チバガイギー社製)11部、アクリル酸ブチル80.1部、メタクリル酸メチル3.6部、エチレングリコールジメタクリレート5.3部、t−ブチルパーオキシピバレート2.0部からなる着色組成物を加え、高速撹拌により約5μmの液滴とした後、撹拌を続けながら60℃で6時間懸濁重合を行った。
室温まで冷却した後、実施例3と同様の方法で充分洗浄した後、遠心分離を行い、水で固形分を50重量%に調整して粘着性赤色樹脂粒状体分散液を得た。
得られた粘着性赤色樹脂粒状体分散液中の粒状体のガラス転移温度は−32℃であり、平均粒子径は5.8μmであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の90.5重量%が含まれるものであった。
【0060】
筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物の調製
粘着性赤色粒状体分散液 30.0
POE(10)アセチレングリコール 0.3
〔商品名:アセチノールEH、川研ファインケミカル(株)製〕
ジエチレングリコール 10.0
キサンタンガム 0.3
石炭酸 0.3
炭酸ナトリウム 0.2
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
次亜リン酸一ナトリウム 0.3
水 58.5
合計 100.0
前記配合物を混合し、室温でディスパーにて3時間攪拌後、濾過することにより筆記具用インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物は粘度(25℃、EMD型粘度計による100rpmでの粘度)が39mPa・sであり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0061】
実施例5
粘着性樹脂粒状体の調整
実施例1の粘着性樹脂粒状体Aの油相溶液をブチルアクリレート78部、エチルメタクリレート52部、t−ブチルパーオキピバレート1部とする以外は実施例1と同様の手順で反応を行なった。但し、回転数を500rpmとして平均粒子径が4μmとなるように調整した。
得られた粘着性樹脂粒状体の固形分を水で30%に調整して粘着性樹脂粒状体分散液Bを得た。
前記粘着性樹脂粒状体分散液B中の粒子体の平均粒子径は4.8μmであり、粒子は2μm〜10μmの範囲に全粒状体の90重量%が含まれるものであった。
【0062】
着色樹脂粒状体の調製
反応容器に、p−トルエンスルホンアミド72部、ホルムアルデヒド18部、蛍光黄色染料〔ダイアレジンブリリアントイエロー6G、油溶性染料、三菱化学(株)製〕3部を投入し、150℃まで加温して均一溶解した後、メラミン18部を加えて1時間反応させた。更に、熱風乾燥機を用いて150℃で3時間加熱処理を行ない、室温下で放冷した後、ハンマーミルで粗粉砕し、ついで、ジェットミルで微粉砕し、風力分級機で分級を行って蛍光黄色樹脂粒状体を得た。
前記蛍光黄色樹脂粒状体中の粒状体の平均粒子径は6.3μmであり、粒子は2μm〜20μmの範囲に全粒状体の91重量%が含まれるものであった。
【0063】
インキ組成物の調製
蛍光黄色樹脂粒状体 10.0
粘着性樹脂粒状体分散体B 20.0
エチレングリコール 10.0
尿素 5.0
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
サクシノグリカン 0.2
(有機酸修飾ヘテロ多糖類、平均分子量約100万乃至800万)
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔商品名:プライサーフM208B、第一工業製薬(株)製〕
亜ジチオン酸ナトリウム 0.2
水 54.0
合計 100.0
前記配合物を混合しディスパーにて均質になるまで撹拌してインキ組成物を得た。
得られたインキ組成物の粘度は42mPa・s(ELD型粘度計100rpm、25℃)であり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0064】
実施例6
インキ組成物の調製
金属光沢顔料 6.0
〔商品名:エルジー R.GOLD #500、尾池工業(株)製、
平均粒子径15μm、2μm〜20μmの範囲に78重量%を含む〕
粘着性樹脂粒状体分散体B 20.0
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.3
〔商品名:OTP−100、日光ケミカルズ(株)製〕
ダイナマイトグリセリン 10.0
ナトリウムオマジン 0.3
〔商品名:トップサイド280、パーマケム社製〕
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
サクシノグリカン 0.3
(有機酸修飾ヘテロ多糖類、平均分子量約100万乃至800万)
亜ジチオン酸ナトリウム 0.2
水 62.8
合計 100.0
前記配合物を混合しディスパーにて均質になるまで撹拌してインキ組成物を得た。
得られたインキ組成物の粘度は37mPa・s(EMD型粘度計100rpm、25℃)であり、剪断減粘指数(n)は0.4であった。
【0065】
実施例7
インキ組成物の調製
黒色顔料(カーボンブラック) 5.0
〔商品名:MCF−88、三菱化学(株)製、平均粒子径0.15μm〕
スチレン−ブタジエン系ラテックス 43.2
〔商品名:Nipol LX110、日本ゼオン(株)製、
ガラス転移温度−50℃、固形分40.5%〕
スチレン−ブタジエン系ラテックス 21.6
〔商品名:Nipol 2570×5、日本ゼオン(株)製、
ガラス転移温度−20℃、固形分41%〕
オレイン酸 2.9
ポリグリセリンポリリシノレート 0.1
〔商品名:CR−310、坂本薬品工業(株)製〕
キサンタンガムとローカストピーンガムの混合系 2.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.2
ポリオキシエチレングリコール 2.0
ジエチルヒドロキシルアミン 0.1
シリコーン変性消泡剤(ジメチルポリシロキサン) 0.1
水 22.8
合計 100.0
前記配合物を混合しディスパーにて室温で均質になるまで撹拌した後、濾過することでインキ組成物を得た。
得られたインキ組成物の粘度は45mPa・s(ELD型粘度計100rpm、25℃)であり、剪断減粘指数(n)は0.5であった。
【0066】
比較例1
実施例1のインキ組成物の調製において、ジエチルヒドロキシルアミンを除き、替わりに水を用いた以外は実施例1と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0067】
比較例2
実施例2のインキ組成物の調製において、亜硫酸ナトリウムを除き、替わりに水を用いた以外は実施例2と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0068】
比較例3
実施例3のインキ組成物の調製において、亜ジチオン酸ナトリウムを除き、替わりに水を用いた以外は実施例3と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0069】
比較例4
実施例4のインキ組成物の調製において、次亜リン酸一ナトリウムを除き、替わりに水を用いた以外は実施例4と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0070】
比較例5
実施例5のインキ組成物の調製において、亜ジチオン酸ナトリウムを除き、替わりに水を用いた以外は実施例5と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0071】
比較例6
実施例6のインキ組成物の調製において、亜ジチオン酸ナトリウムを除き、替わりに水を用いた以外は実施例6と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0072】
比較例7
実施例7のインキ組成物の調製において、ジエチルヒドロキシルアミンを除き、替わりに水を用いた以外は実施例7と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0073】
比較例8
実施例1のインキ組成物の調製において、ジエチルヒドロキシルアミンを除き、替わりにアスコルビン酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0074】
比較例9
実施例1のインキ組成物の調製において、ジエチルヒドロキシルアミンを除き、替わりにカテキンを用いた以外は実施例1と同様にして水性インキ組成物を得た。
【0075】
前記インキ調整法により、実施例及び比較例のインキを作成し、そのインキを直径0.7mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィールに充填した後、前記ボールペンレフィールを軸筒に組み込み、ボールペンとした。
【0076】
消しゴム消去性試験
前記ボールペンでレポート用紙(コクヨ製、品番:レ−116AN)の紙面に直径約2cmの円を連続して描き、得られた筆跡を消しゴム〔シードゴム工業(株)製、商品名:STAR Radar〕を用いて、筆記1日後に擦過消去した。
【0077】
初期及び50℃、60日後における気泡の発生、筆記可否、消しゴム消去性について以下の表に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0003927041
【0079】
尚、表中の判定基準は以下の通りである。
筆跡の状態
○:良好な筆跡が得られる。
×:筆跡にカスレが見られる。
消しゴム消去性
○:容易に消去できる。
×:色残りがある。
【0080】
【発明の効果】
本発明は、消しゴム消去性水性インキ組成物中に特定の酸化防止剤としてモノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素を添加することにより、消去性が悪化することなく長期的に顕著な気体除去機能を示す筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具を提供できる。

Claims (6)

  1. 顔料を含む着色樹脂粒状体、染料を含む着色樹脂粒状体、金属光沢顔料から選ばれる着色剤と、粘着性樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかであり、前記着色剤と、粘着性樹脂粒状体の粒子分布がいずれも2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  2. 顔料と粘着性樹脂からなる着色樹脂粒子表面の少なくとも一部が粘着性を有してなり、且つ、前記粒子の粒子分布が2μm〜20μmの範囲に70重量%以上含まれる粘着性着色樹脂粒状体と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  3. 顔料と0℃以下の造膜温度又は0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂と、水と、水溶性極性溶剤と、酸化防止剤と、剪断減粘性付与剤とから少なくともなり、前記酸化防止剤が、モノ又はジアルキルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、二酸化チオ尿素のいずれかである筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  4. 前記酸化防止剤をインキ組成物中0.01〜5重量%含んでなる請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  5. 100rpmでの粘度が25〜160mPa・s(EMD型粘度計25℃の値)であり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7を示す請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物。
  6. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記用消しゴム消去性水性インキ組成物を、インキ収容管内に直接収容してなる筆記具。
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