JP4435292B2 - ボールペン型接着具用水性接着組成物及びそれを内蔵したボールペン型接着具 - Google Patents

ボールペン型接着具用水性接着組成物及びそれを内蔵したボールペン型接着具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はボールペン型接着具用水性接着組成物及びそれを内蔵したボールペン型接着具に関する。更に詳細にはボールを回転自在に抱持した先端部と連通する容器内に収容して用いる特定の粘着性樹脂粒状体を含有する水性接着組成物およびそれを収容したボールペン型接着具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液状の接着組成物とそれを収容する接着具に関しては多数の提案が開示されており、前記接着具として塗布先端部に大径のプラスチック製球状体を装着させた容器、或いは、塗布に用いられる小径の金属製或いはセラミック製ボールを塗布先端部に装着したボールペン型の接着剤容器(特公昭63−4466号公報、特開平9−262531号公報、実開昭58−42097号公報)が挙げられる。
前記塗布先端部にボールを抱持した接着剤容器は、先端部に設けたボールが被接着面に接触して回転することにより前記被接着面に接着組成物を塗布できることから、手を汚すことなく使用できるため簡便に用いることができる。しかしながら、接着組成物が比較的低粘度の液状であること、及び、接着組成物の吐出量が少ないため被接着面への塗布量が少量となることに起因して接着効果が得られ難く、特に紙等の多孔質面に塗布すると内部に接着組成物が浸透し易くなり十分な粘接着効果が得られ難くなる。また、被接着面上に塗布した接着組成物は、時間経過により乾燥して粘接着力が低下する不具合を生じる。
これらの欠点を生じる理由として、従来汎用の糊剤や合成接着剤が原料として配合されている点が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の問題点を解消するボールペン形態の接着具に収容して簡便に使用できる水性接着組成物、及び、それを内蔵したボールペン型接着具(以下に記すボールペン型接着具とは、内部に接着組成物を収容した状態をいう)を得るものであって、即ち、少量の塗布量で十分な粘接着性が得られ、しかも、被接着面が紙等の多孔質面においても粘接着性を維持でき、且つ、時間経過により乾燥しても粘接着性を示す使い勝手の良いボールぺン型接着具用水性接着組成物及びそれを内蔵したボールペン型接着具を提供しようとするものである。
なお、以下に記載する粘接着性とは、粘着力に基づき被接着物間を接合する性質をいう。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の問題点を解消するボールペン形態の接着具に収容して簡便に使用できるボールペン型接着具用水性接着組成物の技術的要件について検討した結果、従来の接着組成物に汎用されている水溶性糊剤(ポリビニルアルコール、アラビアガム及びデンプン糊等)は紙等の多孔質面に塗布すると、内部に速やかに浸透して十分な粘接着効果が得られず、しかも、乾燥状態では十分な粘接着性を示さない。また、市販の乳化重合法で得られる各種樹脂ディスパージョンを用いても前記糊剤と同様に浸透性が大きく、よって、紙同士の接着には十分な効果を示さない。
前記した問題点を解析した結果、最大の原因は被接着面への接着成分の浸透が大きく、接着が不十分となるためである。かかる現象は特に吐出量の少ないボールペン形態の接着具に収容して塗布した際、顕著に起こり易いことが判明した。 本発明者は、接着成分の粒子径に着目して鋭意検討した結果、概してその粒子径が2μm〜15μmの範囲にあり、且つ、粒子自体が粘着性を有する粘着性樹脂粒状体であれば、ボールペン形態の接着具の如き吐出量の少ない容器に充填しても良好な接着性を示すことを見出した。さらに、ボールペン形態の接着具に内蔵した場合の経時安定性を検討した結果、低粘度の状態で充填した場合には、粘着樹脂粒状体が沈降又は浮上して分離するため、粘着樹脂粒状体の分散液に特定の剪断減粘性を付与することにより、保存安定性に優れる接着組成物が得られるという知見を得た。
【0005】
即ち、本発明は、水と、水溶性有機溶剤と、粒子径が2μm〜15μmの範囲に全粒状体の70重量%以上を占める粒子分布を有する粘着性樹脂粒状体を5〜35重量%と、剪断減粘性付与剤を0.1〜20重量%含有してなり、粘度が25〜160mPa・s(25℃でEM型回転粘度計における回転数100rpmでの値)の範囲にあり、0.1〜0.7の剪断減粘指数を示すボールペン型接着具用水性接着組成物を要件とする。更には、粘着性樹脂粒状体は、塗布後の乾燥状態において被接着物上で粒形状を有し、粒状体相互間及び/又は被接着物間で点接着状態の相互接着構造を有し、変形によって接着性を示す粒状体であること、粘着性樹脂粒状体は、ラジカル重合性のモノマー類を懸濁重合条件下にてポリマー化して得られること、粘着性樹脂粒状体を構成する全モノマー組成において、多官能モノマーが2〜20重量%の範囲であること、粘着性樹脂粒状体のガラス転移点が0℃以下であること、塗布後の時間経過に応じて消色する着色剤を含有してなること等を要件とし、更には、前記いずれかの水性接着組成物を、ボールを回転自在に抱持した先端部と連通する収容部に内蔵してなるボールペン型接着具を要件とする。
【0006】
前述したように、本発明は被接着面に浸透し難く、粘着性を示す粘着性樹脂粒状体を用いる点に最大の特徴を有する。更に詳しく説明すれば、粘着性樹脂粒状体の紙等の被接着面への粒状体の浸透を低減又は防止するために、2〜15μmの粒子径に調製し、且つ、粒状体自体に粘着性を付与することにより、従来困難であったボールペン形態の接着具への適用を可能にすることができた。
【0007】
本発明者は、本発明の水性接着組成物が良好に機能する理由について、粘着性樹脂粒状体を含む水性接着組成物はボールペン形態の接着具に内蔵して紙等の多孔質性被接着面に塗布されると、水及び水溶性有機溶剤は浸透して被接着面上に粘着性樹脂粒状体が残り、乾燥状態若しくは半乾燥状態で粘着性樹脂粒状体は被接着面上で粒状形態を損なうことなく存在し、粒状体相互間及び/又は被接着物間で点接着状態の相互接着構造を形成するため、別の接着物を塗布面上に重ねて圧力を加えると粘着性樹脂粒状体は他方の接着物中へ変形によって絡み、接着性を示すことを可能にしているものと推察する。
【0008】
以下、本発明に用いられる粘着性樹脂粒状体について説明する。
粘着性樹脂粒状体を得る方法としては、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中乾燥法等が適用される。このうち、粒状体全体が粘着性を有する均質ポリマー組成の粒状体を得るには、懸濁重合法、シード重合法、分散重合法、液中乾燥法が適用される。
また、多層構造の粒状体を得るには、懸濁重合法、懸濁重縮合法、懸濁付加反応法、シード重合法、分散重合法、液中乾燥法を適宜組み合わせたり、二次処理的な表面改質の手段を適用することができる。
なお、前記多層構造の粒状体としては、中心部が硬質で表層部が粘着性を有する形態が好ましい。
前記した粘着性樹脂粒状体を調製する方法のうち、最も簡便で、かつ粒子分布が狭く、所望の粘着性を得やすい製造方法は懸濁重合法である。
【0009】
前記粘着性樹脂粒状体の製造方法についてさらに詳しく説明する。懸濁重合法とは、親油性の開始剤を用い、実質上水不溶性のモノマーやオリゴマーを分散剤の存在下で微小な油滴として水中に乳化又は分散させて、懸濁重合条件下で重合させる方法をいう。一般的に懸濁重合法では得られる粒子の大きさは数十μm〜数mmの範囲とも言われているが、乳化剤や分散安定剤及び粘度調整剤を適宜選択することにより、本発明に好適な2μm〜15μmの粒子径分布をもつ粘着性樹脂粒状体を得ることができる。
【0010】
懸濁重縮合法及び懸濁付加反応法はそれぞれ重縮合性や付加反応性のモノマーやプレポリマーを、親水性の分散剤の存在下で微小な油滴として水中に乳化又は分散させて重縮合反応又は付加反応によりポリマー化させた粒子を調製する方法であり、本発明においては二次処理による粘着性樹脂粒状体の製造に適用することができる。
又、シード重合法とはあらかじめ合成された種としての樹脂粒子に対し、さらに同種又は異種のモノマーを吸収させてさらに重合し、肥大化させる方法であり、分散重合法とは分散安定剤の存在下、モノマーは溶解するがポリマーを溶解しない溶媒中で重合を行い、生成ポリマーの析出によって粒子を得る方法であり、粒子分布がシャープな粘着性樹脂粒状体を調製することが可能である。
液中溶媒蒸発法は、溶剤に溶解したポリマーを分散剤を含む水媒体中に乳化し、溶剤を加温又は減圧下で留去することによってポリマー粒子を得る方法であり、均質ポリマー組成を有する粘着性樹脂粒状体の調製に適する。
【0011】
次に、粘着性樹脂粒状体の粒子径について説明する。
本発明の水性接着組成物に適用される粘着性樹脂粒状体は2〜15μmの範囲に全粒状体の70重量%以上が含まれる粒子径分布を示す必要があり、より好ましくは2〜10μmに80重量%以上含まれる。
前記粘着性樹脂粒状体の粒子径と粘接着性は密接な関係があり、2μmより小さい粒状体の割合が多いと、被接着物内部に前記粒状体が浸透する傾向が著しく増大する結果、表面上の粘接着効果を維持するための粒状体が必要量存在しなくなり、接着物同士を重ね合わせても十分な接着性を示さない。また、15μmを越える粒状体の割合が多くなると、ボールペン形態の接着具の先端部(ボールとボール抱持部間のクリアランス)の狭い間隙を通過し難くなり、粒状体が内部で蓄積して塗布できなくなる不具合を生じる。よって、粘着性樹脂粒状体の粒子径は少なくとも2〜15μmの範囲に全粒状体の70重量%以上が含まれることが重要となる。
【0012】
前述の各重合方法によって得られる粘着性樹脂粒状体は、粒状体が前記粒子径及び粒子分布を満たすように各種の分級方法により処理してもよい。粘着性樹脂粒状体は常温下では粘着性を有するため、粒状体の合一・凝集を防止するために、ろ過や遠心分離等の湿式条件下での分級が好ましい。
【0013】
前記粘着性樹脂粒状体を懸濁重合法、シード重合法、分散重合法等のラジカル重合反応を利用して調製する場合の反応性モノマー類について以下説明する。
反応性モノマー類は実質上水に不溶性乃至難溶性のものが使用できる。
ラジカル重合性の一官能性モノマーとしては、エチルアクリレート、メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルベンジルクロリド、ビニルピリジンのような芳香族系モノマー類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、ビニルアセテートのような飽和カルボン酸の不飽和エステル類等が挙げられる。前記したモノマーのnはノルマル、iはイソ、tはターシャリーを示す。
これらの一官能性モノマーは所望の粘着性に応じて1種類もしくは2種類以上を混合して適宜選択して用いることができる。また、アクリル酸やメタクリル酸のような親水性のモノマーは懸濁粒子の分散安定性を付与させるため、必要に応じて全モノマー中、5重量%以下の割合で添加できる。
【0014】
多官能性モノマーとしては、エチレングリコルジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルベンゼン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、多官能性モノマーを使用せずに一官能性モノマー類のみを用いて重合してもよいが、粘着性樹脂粒状体の物理的強度を増強させるために二官能性又は多官能性のモノマーを併用することが好ましい。前記一官能性モノマーと多官能性モノマーの混合比率は全モノマー組成において、多官能モノマーが2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。多官能性モノマーの比率が2より小さいと粒状体の物理的強度が弱くなり、粘着性樹脂粒状体の安定性が低い。
一方、多官能性モノマーの比率が20よりより大きいと粘着性が低下する傾向があり、実質上接着に必要な粘着力が得られ難くなる。
更に、多官能性モノマーの添加は粘着性樹脂粒状体の製造時や分級工程においける安定性に関しても重要な役割を発揮する。即ち、本発明の粘着性樹脂粒状体は室温下において粘着性を有しており、且つ、粒子径が比較的大きいことに起因して、水の存在下においても、重力による自然沈降で粒状体相互間で合一・凝集を生じ易い。かかる問題を解消或いは低減させるために、多官能性モノマーを前記範囲内で併用することにより、粒状体に架橋構造を付与させることにより安定な粒状体を得ることができる。
【0016】
粘着性樹脂粒状体の粘着性を示す指標として、得られた粘着性樹脂粒状体のガラス転移点が0℃以下であることが好ましい。粘着力はガラス転移温度のみで一義的にその物性を示す物性値とはならないが、少なくとも本発明の接着用途に適した粘着性樹脂粒状体はガラス転移点は0℃以下であることが好適である。0℃よりガラス転移温度が高い粘着性樹脂粒状体は、概して粘着力が弱く紙等を接着する用途には不向きである
なお、本発明における粘接着力の強弱は、使用するモノマーの組み合わせ、架橋剤の種類と配合量、水性接着組成物中の粘着性樹脂粒状体の配合量等によって概略決定されるが、設定できる粘接着力の範囲は広範囲であり、従って目的用途に応じて粘接着力を選定することができる。例えば「強粘接着性」を望む場合には、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートのような軟質系のモノマーを選定し、更に水性接着組成物における粘着性樹脂粒状体の配合量も多い方が好ましい。一方、再剥離性接着組成物のような「弱粘接着性」を望む場合には、前者に較べ比較的ガラス転移点が高いモノマーを単独またはガラス転移温度の低いモノマーと併用することにより得ることができるし、或いは、前記「強粘接着性」の接着組成物に本発明の粘着性樹脂粒子の粒子分布と同様の分布を持つ非粘着性の樹脂粒状体を添加することによって得ることもできる。
【0017】
前記重合方法に適用される開始剤としては以下の実質的に水不溶性乃至難溶性の化合物が例示できる。水溶性の開始剤は乳化重合反応を招く結果、1μm以下の微細粒子が形成されるので本発明の粘着性樹脂粒状体の調製には適さない。
具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、m−トルイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキシネオデカノエート、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスプロピオニトリル、2,2′−アゾビスバレロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物、及び他の一般的なフリーラジカル発生化合物が挙げられる。
【0018】
次に懸濁重縮合法及び懸濁付加反応法によって粘着性樹脂粒状体を得る方法について説明する。
前記方法には反応性のモノマー、オリゴマー、プレポリマーが適用可能であり、かかる化合物としては、アクリル樹脂、アクリルポリオール、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂から選ばれた反応性樹脂であって、反応後に粘着性を有する樹脂が適用できる。前記反応性樹脂を含む溶剤溶液に、更に必要に応じて架橋剤を添加した後、分散剤を含む分散媒中に所望の粒径に乳化し、その後、昇温操作によって反応を促進し、粘着性樹脂粒状体を得ることができる。
【0019】
液中溶媒蒸発法によって粘着性樹脂粒状体を得る方法について説明すると、液中溶媒蒸発法では予め粘着性を有するポリマーを用い、これを水不溶性の溶剤に溶解した溶液を、親水性の分散剤を含む分散媒体中に所望の粒子径になるように乳化し、その後、昇温や減圧等の手段によって溶剤を蒸発留去することによって、粘着性樹脂粒状体を得ることができる。なお、必要に応じて、乳化の前後に架橋剤を添加して、元のポリマーの物性を改質してもよい。
液中溶媒蒸発法に適用できるポリマー類としては粘着性を有していれば特に限定はされないが、以下に具体的なポリマーを例示する。アクリル酸エステル樹脂、アクリルスチレン共重合樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
【0020】
粘着性樹脂粒状体の粘着性の調整方法としては、(1)潜在的に粘着性を有するモノマー類の種類を変えたり、混合して粘着性樹脂を得たり、(2)多官能性モノマー(架橋性モノマー)の量を調整することによって所望の粘着性を有する樹脂を得ることができるが、更に、粘着性を調節するためにロジン、ロジン誘導体、クマロン・インデン樹脂、ポリテルペン樹脂、非反応性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂等の粘着性付与剤を添加することもできる。また、ミネラルオイル、液状ポリブテン、ラノリン、二塩基酸エステル等の可塑剤を適宜加えてもよい。
【0021】
前記粘着性樹脂粒状体は水性接着組成物中5〜35重量%の範囲で添加する。5重量%未満では良好な粘着性が得られず、35重量%を越えると接着組成物中での固形分比率が高くなり、円滑な吐出性を妨げがちである。従って、添加量については前記範囲内で使用目的に応じて適宜決めることができる。
前記粘着性樹脂粒状体は粘着性、粒子分布の異なる2種類以上の粘着性樹脂粒状体を所望に応じて混合して使用することもできる。
又、本発明の水性接着組成物には該粘着性樹脂粒状体と同様の粒子分布をもつ粘着性を有さない着色粒状体を補色や粘着性を調節するために重量比で粘着性着色樹脂粒状体100に対して40以内の比率で所望に応じて添加することもできる。
【0022】
水性接着組成物の調製方法としては、水及び水溶性有機溶剤を含む媒体中に粘着性樹脂粒状体を均質に混合分散することによって調製することができる。
前記水は50重量%以上含有することが好ましい。
前記水溶性有機溶剤は、塗布先端部での組成物の乾燥抑制の目的で用いられる。
水溶性有機溶剤としては水に相溶性のある従来汎用の溶剤も全て有効であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等を一種又は二種以上併用して用いることができ、添加量は接着組成物中2〜35重量%が好ましい。
【0023】
また、所望に応じて防腐剤、消泡剤、酸化防止剤、安定剤、PH調製剤、界面活性剤等の慣用の添加剤を添加することもできる。
前記添加剤は、PH調整剤として、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物が適用できる。 防錆剤としてベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
防腐剤、防黴剤としては、石炭酸、1,2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が使用できる。
湿潤剤としては、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等が使用できる。その他、インキの浸透性向上剤としてのフッ素系界面活性剤やシリコン系、ノニオン、アニオン、カチオン系の界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤、分散剤等を使用してもよい。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
更に媒体中には接着組成物の流動性の向上や分散安定化、粘着性の微調整の目的で従来公知の水溶性樹脂や、水性樹脂エマルジョンを添加することもできる。
【0024】
一方、本発明の水性接着組成物をボールペン形態の接着具に充填して用いる場合、比較的大きな粘着性樹脂粒状体を用いるため接着組成物中で粘着性樹脂粒状体が沈降しやすい性質がある。かかる理由から接着組成物中に剪断減粘性付与剤を添加して、得られた接着組成物の25℃におけるEMD型粘度計を用いた100rpmの粘度が25〜160mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7であれば粘着性粒状体の沈降、分離もなく経時的に安定なボールペン型接着具用接着組成物を得ることができる。
前記100rpmにおける粘度が160mPa・sを越えると吐出性が低下して、塗布不能になったり、かすれを生じる。また、25mPa・s未満では粘着性樹脂粒状体の分散安定性が充分に保てない。即ち、剪断減粘指数が前記範囲外では剪断減粘性による効果が適正でなく、粘着性樹脂粒状体の分離防止、吐出性及び塗布性能に支障を来す。
なお、前記における接着組成物の剪断減粘指数は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式(T=KjKは計算された定数である)にあてはめることによって計算されるn値である。
【0025】
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、キサンタンガム、ウエランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
更に、剪断減粘性付与剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンヒマシ油類、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、脂肪酸アミド類等から選ばれるHLB値が8〜12の範囲のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の中和物、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
前記剪断減粘性付与剤は接着組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いる。
又、本発明の粘着性樹脂粒状体は粒子自体が粘着性をもっており、ボールペン形態の接着具内においてボールの円滑な回転を妨げる傾向が強い。このため、接着組成物には潤滑剤を配合することが好ましく、潤滑剤としては、リン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸の塩類、アミノ酸型ベタイン両性界面活性剤、ジチオカルバミン酸誘導体、アルキルスルファミン酸塩、ワックスエマルジョン、脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、単独或いは併用して使用することができる。
前記潤滑剤は接着組成物中0.05〜5重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0026】
なお、本発明の水性接着組成物に染料或いは顔料を微量乃至少量添加して淡色に着色し、塗布部分を目視できるようにすることもできる。前記着色剤としては染料類や有機或いは無機の顔料類を用いることができる。
更に恒久的な着色に不都合を生じる場合は、塗布後の時間経過に応じて消色又は変色する化合物を添加することもできる。前記化合物例としては特公昭45−13647号公報、特公昭51−49256号公報、特公昭55−18758号公報、特開昭53−145736号公報、特開平6−287497号公報等に開示されているアルカリ側で有色を示すフタレイン染料と塩基性化合物の組み合わせ、特開昭57−40573号公報に開示されている蛍光性化合物、特公昭57-40573号公報に開示されているヒドロキシピレンスルホン酸塩とアルカリ物質の組み合わせ等が挙げられる。
【0027】
ボールペン型接着具の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内に接着組成物を充填した収容管を有し、該収容管はボールを先端部に装着したチップと連通しており、さらに接着組成物の後端面には逆流防止体を密接状態に配設した構造が例示できる。
【0028】
前記接着組成物を充填するボールペン形態の接着具について説明すると、先端部(チップ)の構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持させたボールをバネ体によって後方から前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、プラスチック等の0.3〜1.2mm径程度のもの汎用されるが、本発明はこれに限らず5mm程度のボールを適用することもできる。
【0029】
前記水性接着組成物を収容する収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、接着組成物の低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
又、前記収容管は、2.5〜10mmの内径を有するものが好適に用いられる。
更に、前記収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、接着組成物の残量等を確認できる。
前記収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記収容管は、ボールペン形態の接着具用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体を収容体として、前記軸筒内に直接接着組成物を充填してもよい。
前記軸筒内に収容するレフィルの内径は、2.5〜5mmのものが好適に用いられ、接着組成物を直接収容する軸筒の内径は、4〜10mmのものが好適に用いられる。
【0030】
前記収容管に収容した接着組成物の後端には、前記接着組成物の消費によって追従する逆流防止体を配置することが好ましい。
前記逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状の逆流防止体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム等を添加することもできる。
また、固体の逆流防止体としては任意形状の樹脂成形物が挙げられる。
更に、前記液状及び固体の逆流防止体を併用することもできる。
【0031】
前記ボールペン形態の接着具として、更に複数の塗布先端部を備えたものであってもよく、例えば、塗布先端部のボール径が異なる両頭式、繰り出し式(ノック機構により選択的に突出させる構造、連結して最先端の塗布先端部を使用する構造)接着具、充填される接着組成物の粘接着性や色調が異なる両頭式、繰り出し式接着具等が挙げられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明のボールペン型接着具用水性接着組成物は、水と水溶性有機溶剤からなる媒体中に、粘着性樹脂粒状体を配合し、添加剤が配合される場合には適宜添加剤を投入して攪拌して分散することにより調製され、ボールペン形態の接着具に充填し、ボールペン型接着具として実用に供される。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
又、実施例における粒子径分布の測定にはレーザー回折式粒度分布測定機〔(株)島津製作所製;SALD1100〕を用い、ガラス転移温度の測定には示差走査熱量計〔理学電気(株)製;DSC8230L〕を用いて測定した。
【0034】
実施例1
粘着性樹脂粒状体ペーストの調製
ラウリル硫酸ナトリウム0.2g、メチルセルロース(信越化学(株)製、商品名:メトローズ90SH−100)20gを水600gに溶解して分散媒を調製した。
ついで、ブチルアクリレート120g、メチルメタクリレート10g、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)5g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(開始剤)3gを混合して油相溶液を調製した。
撹拌機付きセパラブルフラスコ(2リットル)に前記分散媒を投入し、400rpmの回転数で撹拌下、前記油相溶液を投入して平均粒子径が約5μmになるよう更に撹拌を続けて懸濁液とした。更に撹拌継続下で前記懸濁液を70℃に昇温して3時間反応させた後、85℃で更に3時間反応を続けた。
その後、100℃に昇温してトルエン及び残存モノマーを共沸留去した後、室温まで冷却し、水2000gを添加して希釈し、遠心分離法によって固液分離して固形分60%の粘着性樹脂粒状体ペーストAを得た。
前記粘着性樹脂粒状体ペーストAの粒子分布を測定した結果、重量分布において2μm未満の粒子は6%、2〜15μmの粒子は92%、15μmを越える粒子は2%であった。また、粘着性樹脂粒状体ペーストAを乾燥させた後、ガラス転移点を測定した結果、−42℃であった。
【0035】
ボールペン型接着具用水性接着組成物の調製
粘着性樹脂粒状体ペーストA(固形分60%)30g、エチレングリコール10g、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM208B〕0.5g、剪断減粘性付与剤としてサクシノグリカン0.2g、水59.3gを混合して水性接着組成物を調製した。
なお、サクシノグリカンは予めエチレングリコール中に微細分散したものを用いた。
前記接着組成物の粘度は50mPa・s(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの値、25℃)であり、剪断減粘指数は0.26であった。
【0036】
ボールペン型接着具の作成
直径0.7mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製の軸筒一端に嵌着された形態の接着具に前記水性接着組成物を充填し、更に、前記接着組成物の後端面に密接させて逆流防止体(シリコーングリース系)を充填して遠心処理を施した後、尾栓を嵌着してボールペン型接着具を作成した。
前記ボールペン型接着具を用いて上質紙に直径約5mmのスパイラル曲線形状に接着組成物を塗布し、その直後、別の上質紙を重ねて押圧すると、実用に足りる粘接着性を示した。また、前記接着組成物を塗布した一時間後に、別の上質紙を重ねて押圧すると、ほぼ同様の粘接着性を示した。
いずれの場合も接着した2枚の紙を引き剥がすと接着部の紙に破損乃至損傷が観察された。
【0037】
実施例2
粘着性樹脂粒状体ペーストBの調製
2−エチルヘキシルアクリレート110g、ブチルメタクリレート20g、ジビニルベンゼン(架橋剤)3g、t−ブチルパーオキシピバレート(開始剤)1gを混合した油相溶液を用いた以外は実施例1と同様の手順で反応を行った。但し、攪拌時は回転数を550rpmにして平均粒子径が3μmとなるようにした。
得られた粘着性樹脂粒状体ペーストB(乳白色)の固形分を60%になるよう水で調整した。
前記粘着性樹脂粒状体ペーストBの粒子分布を測定した結果、重量分布において2μm未満の粒子は21%、2〜15μmの粒子は78%、15μmを越える粒子は1%あった。また、粒状体ペーストBを乾燥後、ガラス転移点を測定した結果、−52℃であった。
【0038】
ボールペン型接着具用水性接着組成物の調製
粘着性樹脂粒状体ペーストB35g、エチレングリコール10g、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM208B〕0.5g、剪断減粘性付与剤としてキサンタンガム0.2g、水52.3g、チモールフタレイン1g、炭酸ナトリウム1gを均一に混合して青色の水性接着組成物を調製した。
なお、キサンタンガムは予めエチレングリコール中に微細分散したものを用いた。
前記接着組成物の粘度は55mPa・s(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの値、25℃)であり、剪断減粘指数は0.47であった。
【0039】
ボールペン型接着具の作成
実施例1と同様の方法でボールペン型接着具を作成した。
前記ボールペン型接着具を用いて上質紙に直径約5mmのスパイラル曲線形状に接着組成物を塗布すると、青色の曲線が確認された。その直後、別の上質紙を重ねて押圧すると、実用に足りる粘接着性を示した。また、前記接着組成物を塗布した一時間後に、別の上質紙を重ねて押圧すると、ほぼ同様の粘接着性を示した。
なお、青色の曲線は塗布後数分で完全に消色した。いずれの場合も接着した2枚の紙を引き剥がすと接着部の紙に破損乃至損傷が観察された。
【0040】
実施例3
粘着性樹脂粒状体ペーストCの調製
ラウリル硫酸ナトリウム0.2g、メチルセルロース(信越化学(株)製、商品名:メトローズ90SH−100)20gを水600gに溶解して分散媒を調製した。
ついで、ブチルアクリレート105g、メチルメタクリレート10g、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)20g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(開始剤)3gを混合して油相溶液を調製した。
撹拌機付きセパラブルフラスコ(2リットル)に前記分散媒を投入し、400rpmの回転数で撹拌下、前記油相溶液を投入して平均粒子径が約5μmになるよう更に撹拌を続けて懸濁液とした。更に撹拌継続下で前記懸濁液を70℃に昇温し3時間反応させた後、85℃で更に3時間反応を続けた。
その後、100℃に昇温してトルエン及び残存モノマーを共沸留去した後、室温まで冷却し、水2000gを添加して希釈し、遠心分離法によって固液分離して固形分60%の粘着性樹脂粒状体ペーストCを得た。
前記粘着性樹脂粒状体ペーストCの粒子分布を測定した結果、重量分布において2μm未満の粒子は4%、2〜15μmの粒子は90%、15μmを越える粒子は6%であった。また、粘着性樹脂粒状体ペーストCを乾燥させた後、ガラス転移点を測定した結果、−35℃であった。
【0041】
ボールペン型接具用水性接着組成物の調製
粘着性樹脂粒状体ペーストC(固形分60%)25g、エチレングリコール10g、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM208B〕0.5g、剪断減粘性付与剤としてサクシノグリカン0.2g、水64.3gを混合して水性接着組成物を調製した。
なお、サクシノグリカンは予めエチレングリコール中に微細分散したものを用いた。
前記接着組成物の粘度は43mPa・s(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの値、25℃)であり、剪断減粘指数は0.30であった。
【0042】
ボールペン型接着具の作成
直径1.2mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製の軸筒一端に嵌着された形態の接着具に前記水性接着組成物を充填し、更に、前記接着組成物の後端面に密接させて逆流防止体(シリコーングリース系)を充填して遠心処理を施した後、尾栓を嵌着してボールペン型接着具を作成した。
前記ボールペン型接着具を用いて上質紙に直径約5mmのスパイラル曲線形状に接着組成物を塗布し、その直後、別の上質紙を重ねて押圧すると接着可能であった。また、軽い力で剥がすと紙の破損乃至損傷なく剥離が可能であり、再び上質紙を重ねて押圧すると粘接着性を示し、再剥離・再粘接着性を示す接着組成物であった。
また、前記接着組成物を塗布した一時間後に、別の上質紙を重ねて押圧すると、ほぼ初期と同様の再接着・再剥離性を示した。
【0043】
比較例1
粘着性樹脂粒状体分散液Dの調整
実施例1の開始剤を水溶性の過硫酸カリウム3gに置き換えて、乳化重合条件下で反応させた。又、分散剤として用いるメチルセルロースを5g、水を250gに低減させた。その結果、得られた粘着性樹脂粒状体の粒子分布は平均粒子系約0.4μmであり、2μm未満の粒子が99%を占めた。
得られた白色分散液は遠心処理が困難なためそのまま使用した。なお、分散液の固形分は最終的に水で35%に調整した。ガラス転移温度は−43℃であった。
【0044】
水性接着組成物の調製
粘着性樹脂粒状体分散液D52g、エチレングリコール10g、リン酸エステル系界面活性剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM208B〕0.5g、剪断減粘性付与剤としてキサンタンガム0.2g、水37.3gを混合して水性接着組成物を調製した。
なお、キサンタンガムは予めエチレングリコール中に微細分散したものを用いた。
前記接着組成物のインキ粘度は48mPa・s(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの値、25℃)であり、剪断減粘指数は0.30であった。
【0045】
ボールペン型接着具作成
前記水性接着組成物を用いた以外は実施例1と同様の仕様にてボールペン型接着具を作成した。
前記ボールペン型接着具を用いて上質紙に直径約5mmのスパイラル曲線形状に接着組成物を塗布し、その直後、別の上質紙を重ねて押圧しても殆ど粘接着性を示さず、容易に剥離した。また、前記接着組成物を塗布した一時間後に、別の上質紙を重ねて押圧しても、同様に粘接着性を示さず、容易に剥離した。
【0046】
比較例2
粘着性樹脂粒状体ペーストEの調製
実施例1と同一の分散媒と油相溶液を用いて、回転数を250rpmに変更して懸濁重合を行った。得られた粘着性樹脂粒状体ペーストEの固形分は最終的に水で60%に調整した。
前記粘着性樹脂粒状体ペーストEの粒子分布を測定した結果、重量分布において2μm未満の粒子は0%、2〜15μmの粒子は58%、15μmを越える粒子は42%であった。また、粘着性樹脂粒状体ペーストEを乾燥後、ガラス転移点を測定した結果、−42℃であった。
【0047】
水性接着組成物の調製
前記粘着性樹脂粒状体ペーストEを用いた以外は実施例1と同様の配合により接着組成物を調製した。得られた接着組成物の粘度は65mPa・s(EM型回転粘度計における回転数100rpmでの値、25℃)であり、剪断減粘指数は0.24であった。
【0048】
ボールペン型接着具の作成
前記水性接着組成物を用いた以外は実施例1と同一に仕様にてボールペン型接着具を作成した。前記ボールペン型接着具を用いて塗布すると、塗布先端部から接着組成物が殆ど吐出せず、接着は不能であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明のボールペン型接着具用接着組成物は、ボールペン形態の接着具内に収容されて安定的に貯蔵されると共に、使用時にあってはボールの回転によりスムーズに接着組成物を被接着物表面に付着させることができる。また、被接着物が紙等の微細な多孔質体であっても接着性を維持でき、且つ、時間経過により乾燥しても接着できる粘接着性を示すことができる。しかも、前記接着組成物を収容したボールペン型接着具は接着組成物の吐出量が常に一定であり、しかも、目的の部位に任意に塗布でき、携帯性と使い勝手に優れたボールペン型接着具を提供できる。

Claims (7)

  1. 水と、水溶性有機溶剤と、粒子径が2μm〜15μmの範囲に全粒状体の70重量%以上を占める粒子分布を有する粘着性樹脂粒状体を5〜35重量%と、剪断減粘性付与剤を0.1〜20重量%含有してなり、粘度が25〜160mPa・s(25℃でEM型回転粘度計における回転数100rpmでの値)の範囲にあり、0.1〜0.7の剪断減粘指数を示すボールペン型接着具用水性接着組成物。
  2. 粘着性樹脂粒状体は、塗布後の乾燥状態において被接着物上で粒形状を有し、粒状体相互間及び/又は被接着物間で点接着状態の相互接着構造を有し、変形によって接着性を示す粒状体であることを特徴とする請求項1記載のボールぺン型接着具用水性接着組成物。
  3. 粘着性樹脂粒状体は、ラジカル重合性のモノマー類を懸濁重合条件下にてポリマー化して得られることを特徴とする請求項1又は2記載のボールぺン型接着具用水性接着組成物。
  4. 粘着性樹脂粒状体を構成する全モノマー組成において、多官能モノマーが2〜20重量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのボールペン型接着具用水性接着組成物。
  5. 粘着性樹脂粒状体のガラス転移点が0℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかのボールペン型接着具用水性接着組成物。
  6. 塗布後の時間経過に応じて消色する着色剤を含有してなる請求項1乃至5記載のいずれかのボールペン型接着具用水性接着組成物。
  7. 請求項1乃至6記載のいずれかの水性接着組成物を、ボールを回転自在に抱持した先端部と連通する収容部に内蔵してなるボールペン型接着具。
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