JP3925980B2 - ゲート遅延計算装置およびゲート遅延計算方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、論理シミュレーション時やタイミング解析時に使用されるゲート遅延を計算するためのゲート遅延計算装置、およびゲート遅延計算方法に関し、特に、RCモデルを使用してゲート遅延を計算するためのゲート遅延計算装置、およびゲート遅延計算方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化、多機能化に伴い、その回路規模は増大する傾向にあり、半導体集積回路の開発に要する時間も長くなりつつある。この開発期間を短縮する方法の1つとして、製造された半導体集積回路の不具合による設計、開発のやり直しを極力少なくすることが挙げられる。そのためには、半導体集積回路の設計段階におけるシミュレーション結果と実際に製造された半導体集積回路内での各ゲート間における信号のタイミングとが近似している必要があり、より精度の高い遅延計算装置に対する要望が高まっている。
【0003】
図7は、従来の遅延計算装置の構成を示すブロック図である。遅延計算装置は、ゲートの入力端子に加わる入力波形の傾きを抽出するための入力波形傾き計算装置51、ゲートの出力端子に加わる負荷をRCモデル化する出力負荷モデル計算装置52、ゲートの入力端子から出力端子に至るまでの遅延を計算するためのゲート遅延計算装置53およびゲートの出力端子から次段のゲートの入力端子に至るまでの遅延(配線による遅延)を計算するための配線遅延計算装置54を含む。ゲート遅延計算装置53が算出したゲート遅延データ55および配線遅延計算装置54が算出した配線遅延データ56は、シミュレータ等によって論理シミュレーション時またはタイミング解析時に使用される。
【0004】
図8は、遅延計算装置がゲート遅延データ55および配線遅延データ56を計算する回路の一例を示す模式図である。この回路は、ゲート(インバータ)41〜44および各ゲート間の配線45〜50を含む。以下、遅延計算装置の処理手順を図8に示す回路図を適宜参照しながら説明する。
【0005】
一般に、論理回路の遅延は、ゲート固有の遅延(ゲート遅延データ55)とゲート間の配線容量による遅延(配線遅延データ56)とから算出される。したがって、遅延計算装置が各ゲートごとのゲート遅延データ55と配線遅延データ56(ゲートの出力端子側)とを算出することによって、シミュレータ等による論理シミュレーションやタイミング解析が可能となる。たとえば、遅延計算装置が図8に示すゲート42の遅延計算を行なうとする。まず、入力波形傾き計算装置51は、前段のゲート41の計算結果(ゲート遅延データと配線遅延データ)に基づいてゲート42の入力端子に加わる電圧波形の傾き量を計算する。
【0006】
出力負荷モデル計算装置52は、ゲート42の出力電圧が伝わる配線48〜50とゲート43および44の入力とをモデル化する。このモデル化については後述する。
【0007】
ゲート遅延計算装置53は、入力波形傾き計算装置51が算出した入力波形傾き量と出力負荷モデル計算装置52が算出した出力負荷モデルとを受取り、ゲート42における入力端子から出力端子に至るまでのゲート遅延を算出し、ゲート遅延データ55を作成する。また、ゲート遅延計算装置53は、ゲート42の出力電圧波形の傾きを計算し、配線遅延計算装置54へ送出する。
【0008】
配線遅延計算装置54は、ゲート遅延計算装置53が算出したゲート42の出力電圧波形と、出力負荷モデル計算装置52が算出した出力負荷モデルとを受取り、ゲート42の入力端子からゲート43および44の入力端子に至るまでの配線遅延を計算し、配線遅延データ56を作成する。
【0009】
図9は、図7のゲート遅延計算装置53の構成をより詳細に示すブロック図である。ゲート遅延計算装置53は、ソース抵抗の抵抗値RS および固定遅延時間T0 を格納するRS ,T0 パラメータ格納ファイル57と、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータを使用してゲート遅延計算時に必要となるRS およびT0 を決定するためのRS ,T0 決定部58と、RS およびT0 を用いてゲート遅延を算出するためのゲート遅延決定部59と、配線遅延計算装置54が配線遅延を計算する際必要となる入力波形データ63を算出するための入力波形決定部60とを含む。入力波形傾き量61は入力波形傾き計算装置51が算出した値を、出力負荷モデル62は出力負荷モデル計算装置52が算出した値を示している。
【0010】
図10は、出力負荷モデル62として一般に使用されているπ型RCモデルの構成を示す図である。このπ型RCモデルは、ゲートのソース抵抗71と、ゲートの出力端子をπ型負荷に接続するためのスイッチ72と、容量素子74、75および抵抗素子73で構成されるπ型負荷とを含む。
【0011】
以下、ゲート遅延計算装置53の処理手順を図10に示すπ型RCモデルの構成図を適宜参照しながら説明する。
【0012】
RS ,T0 決定部58は、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータと入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とからソース抵抗71の抵抗値RS および固定遅延時間T0 を決定する。固定遅延時間T0 は、スイッチ72をオフからオンにする時間を表わしており、入力波形傾き量61によって大きく影響される。したがって、入力波形傾き量61から固定遅延時間T0 が決定できるようにパラメータ化され、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されている。また、抵抗値RS は、入出力の状態によらない定数値としてもよいが、ゲート遅延の計算精度を上げるために、入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とを考慮してパラメータ化することも可能である。この場合に、出力負荷モデル62が参照される。このように、RS ,T0 決定部58は、入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とRS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータを参照することによって、ソース抵抗の抵抗値RS と固定遅延時間T0 の値を決定する。
【0013】
なお、RS ,T0 パラメータは、ゲートの種類や出力の立上がり/立下がりによって異なるので、ゲートの種類と出力の変化の向きごとにパラメータ化されている。また、ゲートの立上がりとは、図10に示すπ型RCモデルのソース抵抗71の上側端子に電源が接続されている状態を意味し、立下がりとはソース抵抗71の上側端子が接地されている状態を意味する。ゲート遅延決定部59は、RS ,T0 決定部58で決定された抵抗値RS および固定遅延時間T0 と、出力負荷モデル62とを用いてゲート遅延を計算する。ゲート遅延は、図10に示すπ型RCモデルを解析して算出される。π型RCモデルの抵抗素子73の抵抗値Rと容量素子74および75の容量値C1およびC2とは、出力負荷モデル計算装置52によって算出された出力負荷モデル62から決定される。たとえば、図8のゲート42の出力負荷をモデル化する場合、配線48〜50の配線容量およびインピーダンスと、ゲート43および44の入力容量とから容量値C1およびC2と抵抗値Rとが決定される。π型RCモデルを解析してゲートの出力波形v(t)を次式で算出する。Eは電源電圧とする。
【0014】
【数1】
【0015】
(1)式において、出力波形v(t)が論理しきい値電圧となる時間を求めればゲート遅延データ55が得られる。すなわち、v(t)=βE(0<β<1)を解けばよいことになる。βの値は、通常0.5が用いられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のゲート遅延計算装置53はπ型RCモデルを用いてゲート遅延を算出している。すなわち、スイッチ72がオフの間(固定遅延時間T0 まで)、抵抗値RS を無限大とし、スイッチ72がオンの間(固定遅延時間T0 以降)、抵抗値RS をRS ,T0 決定部58が決定した固定値RS としていた。しかし、実際のゲートのソース抵抗の抵抗値RS は、時間とともに変化する値である。
【0017】
図11は、ソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示す図である。グラフ81は、従来のゲート遅延計算装置53が使用するソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示している。固定遅延時間T0 =1.0nsまでは抵抗値RS は無限大であり、固定遅延時間T0 =1.0ns以降は一定の値となっている。また、グラフ82は、実際のゲートのソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示している。グラフ82からわかるように、実際のゲートのソース抵抗は、時間0nsにおいて無限大でない所定値であり、時間とともに徐々に減少する値である。
【0018】
図12は、ゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示す図である。グラフ83は、従来のゲート遅延計算装置53が算出した出力電圧v(t)と時間tとの関係を示している。固定遅延時間T0 =1.0nsまでは出力電圧v(t)が0Vであり、固定遅延時間T0 =1.0ns以降は(1)式に従う曲線となっている。また、グラフ84は、実際のゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示している。グラフ84からわかるように、実際のゲートの出力電圧v(t)は、時間0nsにおいて所定の値であり、時間とともに徐々に増加する値である。
【0019】
このように、実際のゲートの出力電圧の変化と、ゲート遅延計算装置53が算出した出力電圧の変化との間に違いが生じるのは以下の理由によるものである。
【0020】
(1) ゲート遅延計算装置53においては、π型RCモデルの容量素子C1およびC2は、固定遅延時間T0 まで充電を行なわず、固定遅延時間T0 を過ぎたときに充電を開始する。しかし、実際のゲートにおいては、時間0nsから充電が開始される。
【0021】
(2) 固定遅延時間T0 は、実際のゲートのソース抵抗が十分に大きな値とみなせなくなる時間に設定されるため、ソース抵抗が一定値に近づくよりも早い時間が設定される。結果として、固定遅延時間T0 以降の抵抗値RS は、実際のゲートのソース抵抗において近づく一定値よりも大きく設定されることになり、時間の経過とともにゲート遅延計算装置53の算出する出力波形は実際のゲートの出力波形よりも下方にずれていく。その結果、ゲート遅延計算装置53が算出した論理しきい値電圧となる時間が、実際のゲートにおける時間と異なったものとなる。
【0022】
この問題を解決するために、ゲート遅延計算装置53が算出する論理しきい値電圧となる時間が実際のゲートにおける時間と一致するようにRS ,T0 をモデル化する等の工夫も考えられるが、ゲート遅延計算装置53が算出した出力波形の形状は、実際のゲートの出力波形と著しく異なるため、配線遅延計算装置54へ正確な出力波形を送出できないという問題点が残る。
【0023】
また、論理しきい値を可変として遅延計算を行なうシステムには対応できないという問題点がある。
【0024】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明の目的は、ゲート遅延データの計算精度の向上が可能なゲート遅延計算装置を提供することである。
【0025】
請求項2に記載の発明の目的は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、実際のゲートの出力波形に近似した出力波形を算出可能なゲート遅延計算装置を提供することである。
【0026】
請求項3に記載の発明の目的は、ゲート遅延データの計算精度の向上が可能なゲート遅延計算方法を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のゲート遅延計算装置は、π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを予め格納するための格納手段と、入力波形傾き量と出力負荷モデルとから格納手段に格納されたパラメータを選択的に抽出するための抽出手段と、抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現された関数を用いて計算したソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するためのゲート遅延決定手段とを含む。
【0028】
ゲート遅延決定手段は、パラメータによって連続的な時間の関数として表現されたソース抵抗値を用いてゲート遅延を算出するので、実際のソース抵抗値を用いて算出したゲート遅延と近似した値を算出することが可能となる。
【0029】
請求項2に記載のゲート遅延計算装置は、請求項1記載のゲート遅延計算装置であって、ゲート遅延計算装置はさらに、抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現されたソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいて配線遅延計算装置への入力波形を決定するための入力波形決定手段を含む。
【0030】
入力波形決定手段は、パラメータによって表現されたソース抵抗値を用いて入力波形を決定するため、実際のソース抵抗値を用いて決定した入力波形に近似した入力波形を求めることが可能となる。
【0031】
請求項3に記載のゲート遅延計算方法は、π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを入力波形傾き量と出力負荷モデルとから選択的に決定するステップと、パラメータによって表現された関数を用いて計算したソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するステップとをコンピュータに実行させる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のゲート遅延計算装置の外観を示す図である。ゲート遅延計算装置は、コンピュータ本体1、グラフィックディスプレイ装置2、磁気テープ4が装着される磁気テープ装置3、キーボード5、マウス6、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory )8が装着されるCD−ROM装置7、および通信モデム9を含む。後述するようにゲート遅延計算プログラムは、磁気テープ4またはCD−ROM8等の記録媒体によって供給される。ゲート遅延計算プログラムはコンピュータ本体1によって実行され、操作者はグラフィックディスプレイ装置2を見ながらキーボード5またはマウス6を操作することによってゲート遅延計算を行なう。また、ゲート遅延計算プログラムは他のコンピュータより通信回線を経由し、通信モデム9を介してコンピュータ本体1に供給されてもよい。
【0033】
図2は、本発明のゲート遅延計算装置の構成を示すブロック図である。図1に示すコンピュータ本体1は、CPU(Central Processing Unit )10、ROM(Read Only Memory) 11、RAM(Random Access Memory)12およびハードディスク13を含む。CPU10は、グラフィックディスプレイ装置2、磁気テープ装置3、キーボード5、マウス6、CD−ROM装置7、通信モデム9、ROM11、RAM12またはハードディスク13との間でデータを入出力しながら処理を行なう。磁気テープ4またはCD−ROM8に記録されたゲート遅延計算プログラムは、CPU10によって磁気テープ装置3またはCD−ROM装置7を介して一旦ハードディスク13に格納される。CPU10は、ハードディスク13から適宜ゲート遅延計算プログラムをRAM12にロードして実行することによってゲート遅延計算を行なう。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態におけるゲート遅延計算装置の構成を示すブロック図である。ゲート遅延計算装置は、ソース抵抗値RS を時間の関数として表現するパラメータを予め格納するためのRS パラメータ格納ファイル24、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからゲート遅延計算時に必要となるソース抵抗値RS のパラメータをRS パラメータ格納ファイル24から取得するためのRS 決定部21、RS パラメータと出力負荷モデル26とからゲート遅延を計算するためのゲート遅延決定部22、配線遅延計算装置が配線遅延を計算する際必要となる入力波形データ28を算出するための入力波形決定部23を含む。
【0035】
図4は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置の処理手順を示すフローチャートである。以下、その処理手順を図10に示すπ型RCモデルの構成図を適宜参照しながら説明する。ただし、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置は、π型RCモデルのスイッチ72が常にオンになっている(固定遅延時間T0 が常に0)として説明する。
【0036】
まず、RS 決定部21は、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからソース抵抗値RS のパラメータ(RS の関数の定数部分に相当する値)を決定し、RS パラメータ格納ファイル24から読出す(S1)。ソース抵抗値の変化は、入力波形傾き量25に大きく依存し、ゲートの種類や出力の立上がり/立下がりによっても異なるので、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからソース抵抗値の変化を決定できるように予めRS の関数の定数部分をパラメータ化し、RS パラメータ格納ファイル24に格納しておく。
【0037】
たとえば、このRS パラメータから以下のようなソース抵抗値RS の関係が求められる。
【0038】
RS (t)=3.378×10-9×t-1.311(0≦t<2.5ns)…(2)
RS (t)=−2.008×1011×t+1.569×103 (2.5ns≦t)…(3)
この場合、RS パラメータ格納ファイル24には、上記(2)式および(3)式における“3.378×10-9”,“−1.311”,“2.5ns”,“−2.008×1011”,および“1.569×103 ”の5つの値がRS パラメータとして予め格納されている。
【0039】
次に、ゲート遅延決定部22は時間tに“0”を代入し(S2)、上記(2)式あるいは(3)式を用いてRS (t)を算出する(S3)。そして、次式を用いて出力波形v(t)を算出する。Eは電源電圧とする。
【0040】
【数2】
【0041】
ただし、r1,r2およびz0は、(1)式に示すものと同じとする。
ゲート遅延決定部22は、(4)式によって算出されたv(t)がβE(0<β<1)と等しいか否かを判定する(S5)。v(t)とβEとが等しくなければ(S5,No)、tを予め定めた微小時間だけ増やして(S6)、ステップS3へ戻り以下の処理を繰返す。また、v(t)とβEとが等しければ(S5,Yes)、このときの時間tをゲート遅延データと決定する(S7)。ゲート遅延を計算する際βの値は通常0.5が用いられる。
【0042】
図5は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたソース抵抗値RS (t)と時間tとの関係を示す図である。本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたRS (t)のグラフ31が、実際のソース抵抗のグラフ82とよく一致していることがわかる。
【0043】
また、図6は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出された出力波形v(t)と時間tとの関係を示す図である。本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたv(t)のグラフ32が、実際のゲートの出力波形のグラフ84によく一致していることがわかる。
【0044】
入力波形決定部23は、図4のフローチャートに示す処理を用いることによって入力波形データ28を決定することが可能である。すなわち、ステップS5におけるβの値を0.1としてゲート遅延データt1を決定する。そして、ステップS5におけるβの値を0.9としてゲート遅延データt2を決定した後、このt2とt1との差を求める。この差が入力波形データとなる。入力波形決定部23は、求められた入力波形データ28を配線遅延計算装置へ送出する。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出するようにしたので、実際のソース抵抗値の波形によく一致するという効果を奏する。したがって、ゲート遅延の計算精度が向上し、実際のゲートの出力波形によく一致した出力波形を配線遅延計算装置へ送出することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1におけるゲート遅延計算装置によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後ゲート遅延を算出するので、計算精度の向上が可能となった。
【0047】
請求項2におけるゲート遅延計算装置によれば、請求項1の効果に加えて、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後、出力波形を算出するので実際のゲートの出力波形に近似した出力波形を配線遅延計算装置へ送出することが可能となった。
【0048】
請求項3におけるゲート遅延計算方法によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後ゲート遅延を算出するので、計算精度の向上が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゲート遅延計算装置の外観を示す図である。
【図2】 本発明のゲート遅延計算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるゲート遅延計算装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたソース抵抗値RS (t)と時間tとの関係を示す図である。
【図6】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出された出力波形v(t)と時間tとの関係を示す図である。
【図7】 従来の遅延計算装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 遅延計算装置がゲート遅延データおよび配線遅延データを算出する回路の一例を示す模式図である。
【図9】 従来のゲート遅延計算装置の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図10】 出力負荷モデルとして一般に使用されているπ型RCモデルの構成を示す図である。
【図11】 従来のゲート遅延計算装置における、ソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示す図である。
【図12】 従来のゲート遅延計算装置における、ゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ本体、2 グラフィックディスプレイ装置、3 磁気テープ装置、4 磁気テープ、5 キーボード、6 マウス、7 CD−ROM装置、8 CD−ROM、9 通信モデム、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 ハードディスク装置、21 RS 決定部、22 ゲート遅延決定部、23 入力波形決定部、24 RS パラメータ格納ファイル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、論理シミュレーション時やタイミング解析時に使用されるゲート遅延を計算するためのゲート遅延計算装置、およびゲート遅延計算方法に関し、特に、RCモデルを使用してゲート遅延を計算するためのゲート遅延計算装置、およびゲート遅延計算方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化、多機能化に伴い、その回路規模は増大する傾向にあり、半導体集積回路の開発に要する時間も長くなりつつある。この開発期間を短縮する方法の1つとして、製造された半導体集積回路の不具合による設計、開発のやり直しを極力少なくすることが挙げられる。そのためには、半導体集積回路の設計段階におけるシミュレーション結果と実際に製造された半導体集積回路内での各ゲート間における信号のタイミングとが近似している必要があり、より精度の高い遅延計算装置に対する要望が高まっている。
【0003】
図7は、従来の遅延計算装置の構成を示すブロック図である。遅延計算装置は、ゲートの入力端子に加わる入力波形の傾きを抽出するための入力波形傾き計算装置51、ゲートの出力端子に加わる負荷をRCモデル化する出力負荷モデル計算装置52、ゲートの入力端子から出力端子に至るまでの遅延を計算するためのゲート遅延計算装置53およびゲートの出力端子から次段のゲートの入力端子に至るまでの遅延(配線による遅延)を計算するための配線遅延計算装置54を含む。ゲート遅延計算装置53が算出したゲート遅延データ55および配線遅延計算装置54が算出した配線遅延データ56は、シミュレータ等によって論理シミュレーション時またはタイミング解析時に使用される。
【0004】
図8は、遅延計算装置がゲート遅延データ55および配線遅延データ56を計算する回路の一例を示す模式図である。この回路は、ゲート(インバータ)41〜44および各ゲート間の配線45〜50を含む。以下、遅延計算装置の処理手順を図8に示す回路図を適宜参照しながら説明する。
【0005】
一般に、論理回路の遅延は、ゲート固有の遅延(ゲート遅延データ55)とゲート間の配線容量による遅延(配線遅延データ56)とから算出される。したがって、遅延計算装置が各ゲートごとのゲート遅延データ55と配線遅延データ56(ゲートの出力端子側)とを算出することによって、シミュレータ等による論理シミュレーションやタイミング解析が可能となる。たとえば、遅延計算装置が図8に示すゲート42の遅延計算を行なうとする。まず、入力波形傾き計算装置51は、前段のゲート41の計算結果(ゲート遅延データと配線遅延データ)に基づいてゲート42の入力端子に加わる電圧波形の傾き量を計算する。
【0006】
出力負荷モデル計算装置52は、ゲート42の出力電圧が伝わる配線48〜50とゲート43および44の入力とをモデル化する。このモデル化については後述する。
【0007】
ゲート遅延計算装置53は、入力波形傾き計算装置51が算出した入力波形傾き量と出力負荷モデル計算装置52が算出した出力負荷モデルとを受取り、ゲート42における入力端子から出力端子に至るまでのゲート遅延を算出し、ゲート遅延データ55を作成する。また、ゲート遅延計算装置53は、ゲート42の出力電圧波形の傾きを計算し、配線遅延計算装置54へ送出する。
【0008】
配線遅延計算装置54は、ゲート遅延計算装置53が算出したゲート42の出力電圧波形と、出力負荷モデル計算装置52が算出した出力負荷モデルとを受取り、ゲート42の入力端子からゲート43および44の入力端子に至るまでの配線遅延を計算し、配線遅延データ56を作成する。
【0009】
図9は、図7のゲート遅延計算装置53の構成をより詳細に示すブロック図である。ゲート遅延計算装置53は、ソース抵抗の抵抗値RS および固定遅延時間T0 を格納するRS ,T0 パラメータ格納ファイル57と、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータを使用してゲート遅延計算時に必要となるRS およびT0 を決定するためのRS ,T0 決定部58と、RS およびT0 を用いてゲート遅延を算出するためのゲート遅延決定部59と、配線遅延計算装置54が配線遅延を計算する際必要となる入力波形データ63を算出するための入力波形決定部60とを含む。入力波形傾き量61は入力波形傾き計算装置51が算出した値を、出力負荷モデル62は出力負荷モデル計算装置52が算出した値を示している。
【0010】
図10は、出力負荷モデル62として一般に使用されているπ型RCモデルの構成を示す図である。このπ型RCモデルは、ゲートのソース抵抗71と、ゲートの出力端子をπ型負荷に接続するためのスイッチ72と、容量素子74、75および抵抗素子73で構成されるπ型負荷とを含む。
【0011】
以下、ゲート遅延計算装置53の処理手順を図10に示すπ型RCモデルの構成図を適宜参照しながら説明する。
【0012】
RS ,T0 決定部58は、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータと入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とからソース抵抗71の抵抗値RS および固定遅延時間T0 を決定する。固定遅延時間T0 は、スイッチ72をオフからオンにする時間を表わしており、入力波形傾き量61によって大きく影響される。したがって、入力波形傾き量61から固定遅延時間T0 が決定できるようにパラメータ化され、RS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されている。また、抵抗値RS は、入出力の状態によらない定数値としてもよいが、ゲート遅延の計算精度を上げるために、入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とを考慮してパラメータ化することも可能である。この場合に、出力負荷モデル62が参照される。このように、RS ,T0 決定部58は、入力波形傾き量61と出力負荷モデル62とRS ,T0 パラメータ格納ファイル57に格納されたパラメータを参照することによって、ソース抵抗の抵抗値RS と固定遅延時間T0 の値を決定する。
【0013】
なお、RS ,T0 パラメータは、ゲートの種類や出力の立上がり/立下がりによって異なるので、ゲートの種類と出力の変化の向きごとにパラメータ化されている。また、ゲートの立上がりとは、図10に示すπ型RCモデルのソース抵抗71の上側端子に電源が接続されている状態を意味し、立下がりとはソース抵抗71の上側端子が接地されている状態を意味する。ゲート遅延決定部59は、RS ,T0 決定部58で決定された抵抗値RS および固定遅延時間T0 と、出力負荷モデル62とを用いてゲート遅延を計算する。ゲート遅延は、図10に示すπ型RCモデルを解析して算出される。π型RCモデルの抵抗素子73の抵抗値Rと容量素子74および75の容量値C1およびC2とは、出力負荷モデル計算装置52によって算出された出力負荷モデル62から決定される。たとえば、図8のゲート42の出力負荷をモデル化する場合、配線48〜50の配線容量およびインピーダンスと、ゲート43および44の入力容量とから容量値C1およびC2と抵抗値Rとが決定される。π型RCモデルを解析してゲートの出力波形v(t)を次式で算出する。Eは電源電圧とする。
【0014】
【数1】
【0015】
(1)式において、出力波形v(t)が論理しきい値電圧となる時間を求めればゲート遅延データ55が得られる。すなわち、v(t)=βE(0<β<1)を解けばよいことになる。βの値は、通常0.5が用いられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のゲート遅延計算装置53はπ型RCモデルを用いてゲート遅延を算出している。すなわち、スイッチ72がオフの間(固定遅延時間T0 まで)、抵抗値RS を無限大とし、スイッチ72がオンの間(固定遅延時間T0 以降)、抵抗値RS をRS ,T0 決定部58が決定した固定値RS としていた。しかし、実際のゲートのソース抵抗の抵抗値RS は、時間とともに変化する値である。
【0017】
図11は、ソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示す図である。グラフ81は、従来のゲート遅延計算装置53が使用するソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示している。固定遅延時間T0 =1.0nsまでは抵抗値RS は無限大であり、固定遅延時間T0 =1.0ns以降は一定の値となっている。また、グラフ82は、実際のゲートのソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示している。グラフ82からわかるように、実際のゲートのソース抵抗は、時間0nsにおいて無限大でない所定値であり、時間とともに徐々に減少する値である。
【0018】
図12は、ゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示す図である。グラフ83は、従来のゲート遅延計算装置53が算出した出力電圧v(t)と時間tとの関係を示している。固定遅延時間T0 =1.0nsまでは出力電圧v(t)が0Vであり、固定遅延時間T0 =1.0ns以降は(1)式に従う曲線となっている。また、グラフ84は、実際のゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示している。グラフ84からわかるように、実際のゲートの出力電圧v(t)は、時間0nsにおいて所定の値であり、時間とともに徐々に増加する値である。
【0019】
このように、実際のゲートの出力電圧の変化と、ゲート遅延計算装置53が算出した出力電圧の変化との間に違いが生じるのは以下の理由によるものである。
【0020】
(1) ゲート遅延計算装置53においては、π型RCモデルの容量素子C1およびC2は、固定遅延時間T0 まで充電を行なわず、固定遅延時間T0 を過ぎたときに充電を開始する。しかし、実際のゲートにおいては、時間0nsから充電が開始される。
【0021】
(2) 固定遅延時間T0 は、実際のゲートのソース抵抗が十分に大きな値とみなせなくなる時間に設定されるため、ソース抵抗が一定値に近づくよりも早い時間が設定される。結果として、固定遅延時間T0 以降の抵抗値RS は、実際のゲートのソース抵抗において近づく一定値よりも大きく設定されることになり、時間の経過とともにゲート遅延計算装置53の算出する出力波形は実際のゲートの出力波形よりも下方にずれていく。その結果、ゲート遅延計算装置53が算出した論理しきい値電圧となる時間が、実際のゲートにおける時間と異なったものとなる。
【0022】
この問題を解決するために、ゲート遅延計算装置53が算出する論理しきい値電圧となる時間が実際のゲートにおける時間と一致するようにRS ,T0 をモデル化する等の工夫も考えられるが、ゲート遅延計算装置53が算出した出力波形の形状は、実際のゲートの出力波形と著しく異なるため、配線遅延計算装置54へ正確な出力波形を送出できないという問題点が残る。
【0023】
また、論理しきい値を可変として遅延計算を行なうシステムには対応できないという問題点がある。
【0024】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明の目的は、ゲート遅延データの計算精度の向上が可能なゲート遅延計算装置を提供することである。
【0025】
請求項2に記載の発明の目的は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、実際のゲートの出力波形に近似した出力波形を算出可能なゲート遅延計算装置を提供することである。
【0026】
請求項3に記載の発明の目的は、ゲート遅延データの計算精度の向上が可能なゲート遅延計算方法を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のゲート遅延計算装置は、π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを予め格納するための格納手段と、入力波形傾き量と出力負荷モデルとから格納手段に格納されたパラメータを選択的に抽出するための抽出手段と、抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現された関数を用いて計算したソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するためのゲート遅延決定手段とを含む。
【0028】
ゲート遅延決定手段は、パラメータによって連続的な時間の関数として表現されたソース抵抗値を用いてゲート遅延を算出するので、実際のソース抵抗値を用いて算出したゲート遅延と近似した値を算出することが可能となる。
【0029】
請求項2に記載のゲート遅延計算装置は、請求項1記載のゲート遅延計算装置であって、ゲート遅延計算装置はさらに、抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現されたソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいて配線遅延計算装置への入力波形を決定するための入力波形決定手段を含む。
【0030】
入力波形決定手段は、パラメータによって表現されたソース抵抗値を用いて入力波形を決定するため、実際のソース抵抗値を用いて決定した入力波形に近似した入力波形を求めることが可能となる。
【0031】
請求項3に記載のゲート遅延計算方法は、π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを入力波形傾き量と出力負荷モデルとから選択的に決定するステップと、パラメータによって表現された関数を用いて計算したソース抵抗値と出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するステップとをコンピュータに実行させる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のゲート遅延計算装置の外観を示す図である。ゲート遅延計算装置は、コンピュータ本体1、グラフィックディスプレイ装置2、磁気テープ4が装着される磁気テープ装置3、キーボード5、マウス6、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory )8が装着されるCD−ROM装置7、および通信モデム9を含む。後述するようにゲート遅延計算プログラムは、磁気テープ4またはCD−ROM8等の記録媒体によって供給される。ゲート遅延計算プログラムはコンピュータ本体1によって実行され、操作者はグラフィックディスプレイ装置2を見ながらキーボード5またはマウス6を操作することによってゲート遅延計算を行なう。また、ゲート遅延計算プログラムは他のコンピュータより通信回線を経由し、通信モデム9を介してコンピュータ本体1に供給されてもよい。
【0033】
図2は、本発明のゲート遅延計算装置の構成を示すブロック図である。図1に示すコンピュータ本体1は、CPU(Central Processing Unit )10、ROM(Read Only Memory) 11、RAM(Random Access Memory)12およびハードディスク13を含む。CPU10は、グラフィックディスプレイ装置2、磁気テープ装置3、キーボード5、マウス6、CD−ROM装置7、通信モデム9、ROM11、RAM12またはハードディスク13との間でデータを入出力しながら処理を行なう。磁気テープ4またはCD−ROM8に記録されたゲート遅延計算プログラムは、CPU10によって磁気テープ装置3またはCD−ROM装置7を介して一旦ハードディスク13に格納される。CPU10は、ハードディスク13から適宜ゲート遅延計算プログラムをRAM12にロードして実行することによってゲート遅延計算を行なう。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態におけるゲート遅延計算装置の構成を示すブロック図である。ゲート遅延計算装置は、ソース抵抗値RS を時間の関数として表現するパラメータを予め格納するためのRS パラメータ格納ファイル24、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからゲート遅延計算時に必要となるソース抵抗値RS のパラメータをRS パラメータ格納ファイル24から取得するためのRS 決定部21、RS パラメータと出力負荷モデル26とからゲート遅延を計算するためのゲート遅延決定部22、配線遅延計算装置が配線遅延を計算する際必要となる入力波形データ28を算出するための入力波形決定部23を含む。
【0035】
図4は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置の処理手順を示すフローチャートである。以下、その処理手順を図10に示すπ型RCモデルの構成図を適宜参照しながら説明する。ただし、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置は、π型RCモデルのスイッチ72が常にオンになっている(固定遅延時間T0 が常に0)として説明する。
【0036】
まず、RS 決定部21は、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからソース抵抗値RS のパラメータ(RS の関数の定数部分に相当する値)を決定し、RS パラメータ格納ファイル24から読出す(S1)。ソース抵抗値の変化は、入力波形傾き量25に大きく依存し、ゲートの種類や出力の立上がり/立下がりによっても異なるので、入力波形傾き量25と出力負荷モデル26とからソース抵抗値の変化を決定できるように予めRS の関数の定数部分をパラメータ化し、RS パラメータ格納ファイル24に格納しておく。
【0037】
たとえば、このRS パラメータから以下のようなソース抵抗値RS の関係が求められる。
【0038】
RS (t)=3.378×10-9×t-1.311(0≦t<2.5ns)…(2)
RS (t)=−2.008×1011×t+1.569×103 (2.5ns≦t)…(3)
この場合、RS パラメータ格納ファイル24には、上記(2)式および(3)式における“3.378×10-9”,“−1.311”,“2.5ns”,“−2.008×1011”,および“1.569×103 ”の5つの値がRS パラメータとして予め格納されている。
【0039】
次に、ゲート遅延決定部22は時間tに“0”を代入し(S2)、上記(2)式あるいは(3)式を用いてRS (t)を算出する(S3)。そして、次式を用いて出力波形v(t)を算出する。Eは電源電圧とする。
【0040】
【数2】
【0041】
ただし、r1,r2およびz0は、(1)式に示すものと同じとする。
ゲート遅延決定部22は、(4)式によって算出されたv(t)がβE(0<β<1)と等しいか否かを判定する(S5)。v(t)とβEとが等しくなければ(S5,No)、tを予め定めた微小時間だけ増やして(S6)、ステップS3へ戻り以下の処理を繰返す。また、v(t)とβEとが等しければ(S5,Yes)、このときの時間tをゲート遅延データと決定する(S7)。ゲート遅延を計算する際βの値は通常0.5が用いられる。
【0042】
図5は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたソース抵抗値RS (t)と時間tとの関係を示す図である。本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたRS (t)のグラフ31が、実際のソース抵抗のグラフ82とよく一致していることがわかる。
【0043】
また、図6は、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出された出力波形v(t)と時間tとの関係を示す図である。本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたv(t)のグラフ32が、実際のゲートの出力波形のグラフ84によく一致していることがわかる。
【0044】
入力波形決定部23は、図4のフローチャートに示す処理を用いることによって入力波形データ28を決定することが可能である。すなわち、ステップS5におけるβの値を0.1としてゲート遅延データt1を決定する。そして、ステップS5におけるβの値を0.9としてゲート遅延データt2を決定した後、このt2とt1との差を求める。この差が入力波形データとなる。入力波形決定部23は、求められた入力波形データ28を配線遅延計算装置へ送出する。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出するようにしたので、実際のソース抵抗値の波形によく一致するという効果を奏する。したがって、ゲート遅延の計算精度が向上し、実際のゲートの出力波形によく一致した出力波形を配線遅延計算装置へ送出することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1におけるゲート遅延計算装置によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後ゲート遅延を算出するので、計算精度の向上が可能となった。
【0047】
請求項2におけるゲート遅延計算装置によれば、請求項1の効果に加えて、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後、出力波形を算出するので実際のゲートの出力波形に近似した出力波形を配線遅延計算装置へ送出することが可能となった。
【0048】
請求項3におけるゲート遅延計算方法によれば、RCモデルのソース抵抗値を時間の関数として表現するためのパラメータを用いて算出した後ゲート遅延を算出するので、計算精度の向上が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゲート遅延計算装置の外観を示す図である。
【図2】 本発明のゲート遅延計算装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるゲート遅延計算装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出されたソース抵抗値RS (t)と時間tとの関係を示す図である。
【図6】 本実施の形態におけるゲート遅延計算装置によって算出された出力波形v(t)と時間tとの関係を示す図である。
【図7】 従来の遅延計算装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 遅延計算装置がゲート遅延データおよび配線遅延データを算出する回路の一例を示す模式図である。
【図9】 従来のゲート遅延計算装置の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図10】 出力負荷モデルとして一般に使用されているπ型RCモデルの構成を示す図である。
【図11】 従来のゲート遅延計算装置における、ソース抵抗の抵抗値RS と時間tとの関係を示す図である。
【図12】 従来のゲート遅延計算装置における、ゲートの出力電圧v(t)と時間tとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 コンピュータ本体、2 グラフィックディスプレイ装置、3 磁気テープ装置、4 磁気テープ、5 キーボード、6 マウス、7 CD−ROM装置、8 CD−ROM、9 通信モデム、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 ハードディスク装置、21 RS 決定部、22 ゲート遅延決定部、23 入力波形決定部、24 RS パラメータ格納ファイル。
Claims (4)
- π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを予め格納するための格納手段と、
入力波形傾き量と出力負荷モデルとから前記格納手段に格納されたパラメータを選択的に抽出するための抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現された前記関数を用いて計算したソース抵抗値と前記出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するためのゲート遅延決定手段とを含むゲート遅延計算装置。 - 前記ゲート遅延計算装置はさらに、前記抽出手段によって抽出されたパラメータによって表現されたソース抵抗値と前記出力負荷モデルとに基づいて配線遅延計算装置への入力波形を決定するための入力波形決定手段を含む、請求項1記載のゲート遅延計算装置。
- π型RCモデルのソース抵抗値を連続的な時間の関数として表現するパラメータを入力波形傾き量と出力負荷モデルとから選択的に決定するステップと、
前記パラメータによって表現された前記関数を用いて計算したソース抵抗値と前記出力負荷モデルとに基づいてゲート遅延を算出するステップとをコンピュータに実行させる、ゲート遅延計算方法。 - 前記パラメータが5つの定数a〜eを含むとすると、ソース抵抗値Rsは次式によって表わされる、請求項1記載のゲート遅延計算装置。
Rs(t)=a×t b (0≦t<c ns)…(5)
Rs(t)=d×t+e(c ns≦t)…(6)
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