JP3164055B2 - 集積回路の遅延時間計算装置及び遅延時間計算プログラムを記録した記憶媒体 - Google Patents

集積回路の遅延時間計算装置及び遅延時間計算プログラムを記録した記憶媒体

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JP3164055B2 JP08104698A JP8104698A JP3164055B2 JP 3164055 B2 JP3164055 B2 JP 3164055B2 JP 08104698 A JP08104698 A JP 08104698A JP 8104698 A JP8104698 A JP 8104698A JP 3164055 B2 JP3164055 B2 JP 3164055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、LSI(Large
Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)設計時に
回路の動作遅延時間の計算を行うための遅延時間計算シ
ステムに係り、詳しくは、遅延値の計算後に回路変更又
はレイアウト変更があった場合の遅延時間計算を精度高
く高速に処理できる、集積回路の遅延時間計算装置及び
遅延時間計算プログラムを記録した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの設計時には、当該LSIの動作
遅延時間を計算することが必要であるが、そのための遅
延時間計算システムとしては、LSIの論理回路接続情
報を格納したファイルと、遅延パラメータのデータを収
容したライブラリファイルの内容を、遅延時間計算手段
に入力して、論理回路接続情報ファイル中のすべての回
路モジュールに対して遅延時間を計算することによっ
て、当該LSIの遅延値のデータを収容したファイルが
出力されるようにしたものが一般的であった。
【0003】しかしながら、このような遅延時間計算シ
ステムの場合、LSI中の特定のモジュール内におい
て、回路変更又はレイアウトの変更があった場合でも、
論理回路接続情報中の変更モジュール以外のすべての計
算対象モジュールに対して遅延時間の計算を行うことが
必要であった。このように、遅延時間に変更のないモジ
ュールに対しても、遅延時間の再計算が行われる結果、
遅延時間の計算処理に多大の時間を要するという問題が
あった。
【0004】これに対して、LSIの論理回路接続情報
の一部が変更された場合でも、高速に動作遅延時間の計
算を行うことができる遅延時間計算装置として、例え
ば、特開平6−348777号公報に開示されたものが
知られている。図5は、上記第1の従来例の集積回路の
遅延時間計算装置のシステム構成を示すブロック図であ
る。図5において、変更後の論理回路接続情報11は、
LSIの特定のモジュールに変更があったときの、変更
後の論理回路の接続情報を格納したファイルである。変
更があったモジュール情報12は、LSIにおける回路
変更又はレイアウト変更があったモジュール名を示す情
報である。遅延パラメータライブラリファイル13は、
LSIの遅延時間計算に必要な遅延パラメータのデータ
を格納したファイルである。遅延時間計算手段14は、
変更があったモジュールの遅延時間を計算する。変更前
の遅延値データファイル15は、LSIの回路変更又は
レイアウト変更前の遅延値データを格納したファイルで
ある。遅延値データ書き換え手段16は、変更前の遅延
値データファイル15における変更があった遅延値デー
タを、遅延時間計算手段14で計算された遅延値によっ
て書き換える。変更後の遅延値データファイル17は、
回路変更又はレイアウト変更後の遅延値データを格納し
たファイルである。
【0005】次に、図5を参照して、この第1の従来例
の装置の動作を説明する。遅延時間計算装置から、遅延
値データが出力された後に、LSIの特定のモジュール
に回路変更又はレイアウト変更があった場合は、遅延時
間計算装置に変更後の論理回路接続情報11及び遅延パ
ラメータライブラリファイル13の内容が入力された状
態で、変更があったモジュール情報12から、変更があ
ったモジュール名が指定されたとき、遅延時間計算手段
14は、変更があったモジュール名を認識し、変更後の
論理回路接続情報11及び遅延パラメータライブラリフ
ァイル13の内容を参照して、変更があったモジュール
に対してのみ、遅延値の計算を行う。そして、変更前の
遅延値データファイル15の内容を入力して、変更前の
遅延値データのうち、回路変更又はレイアウト変更があ
ったモジュールの遅延値を、遅延時間計算手段14で計
算された遅延値で書き換えて、変更後の遅延値データフ
ァイル17に出力する。
【0006】また、LSIの論理回路接続情報の一部が
変更された場合でも、高速に動作遅延時間の計算を行う
ことができる遅延時間計算装置として、別の従来例が知
られている。図6は、上記第2の従来例の集積回路の遅
延時間計算装置のシステム構成を示すブロック図であ
る。図6において、変更前の論理回路接続情報21は、
LSIの特定のモジュールに変更があった以前の論理回
路の接続情報を格納したファイルである。遅延パラメー
タライブラリファイル22は、LSIの遅延時間計算に
必要な遅延パラメータのデータを格納したライブラリフ
ァイルである。遅延値制約情報23は、LSIの遅延値
の制約条件を示す情報である。変更前の遅延値データフ
ァイル24は、LSIの特定のモジュールに変更があっ
た以前のLSIの遅延値データを格納したファイルであ
る。回路変更・遅延時間計算・遅延値データ書き換え手
段25は、遅延値の制約条件を満たすようにLSIの回
路を変更し、変更部分及び周辺部分のみの遅延時間を計
算し、変更前の遅延値データファイル24の遅延値デー
タを書き換える。変更後の論理回路接続情報26は、回
路変更後の論理回路の接続情報を格納するファイルであ
る。変更後の遅延値データファイル27は、回路変更後
のLSIの遅延値データを格納するファイルである。
【0007】次に、図6を参照して、この第2の従来例
の装置の動作を説明する。LSIに対する遅延シミュレ
ーションの結果、所定の遅延制約を満たさなかったと
き、遅延制約を満たすようにLSIの特定のモジュール
に回路変更又はレイアウト変更を行った場合は、遅延時
間計算装置に変更前の論理回路接続情報21,遅延パラ
メータライブラリファイル22,遅延値制約情報23及
び変更前の遅延値データファイル24の内容が入力され
た状態で、回路変更・遅延時間計算・遅延値データ書き
換え手段25において、遅延値制約条件を満たすように
LSIの回路を変更し、変更部分及び、その回路変更に
より遅延値が変化する周辺部分についてのみ、遅延時間
を計算する。そして変更前の論理回路接続情報21にお
いて、変更があった回路の論理回路接続情報を書き換え
て、変更後の論理回路接続情報26を出力するととも
に、変更前の遅延値データファイル24において、変更
があった回路の遅延値データを書き換えて、変更後の遅
延値データファイル27を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1の従来例にあっては、回路変更があったモジュールに
ついてのみ、遅延時間を計算しており、従って、その回
路変更が当該モジュール以外の部分の遅延値を変化させ
るものであった場合でも、その遅延値を計算していない
ため、精度の高い遅延時間計算を行うことができない、
という問題があった。また、変更モジュール内の変更部
分のみでなく、変更モジュール全体について遅延時間計
算を行うため、遅延時間計算処理に長時間を必要とする
という問題があった。また、上記第2の従来例にあって
は、回路変更処理と遅延時間計算処理とが一体化してい
るため、遅延時間計算を行いたい変更部分の情報を、遅
延時間計算手段の外部から与えることができないという
問題があった。
【0009】この発明は、上述の事情に鑑みてなされた
ものであって、精度の高い遅延時間計算処理を行うこと
ができるとともに、遅延時間計算処理に必要な時間が短
く、さらに、遅延時間計算を行いたい変更部分の情報
を、遅延時間計算手段の外部から与えることが可能な、
集積回路の遅延時間計算装置及び方法並びに遅延時間計
算プログラムを記録した記憶媒体を提供することを目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明に係る集積回路の遅延時間計算
装置は、集積回路を構成する各部分の遅延時間を計算し
て該集積回路の遅延値を求めた後に回路又はレイアウト
の変更があったとき、該変更前の論理回路の接続及びレ
イアウトの情報と変更後の論理回路の接続及びレイアウ
トの情報とから、該変更部分及び該変更によって遅延時
間に影響を受ける周辺部分を検出する検出手段と、上記
変更部分及び上記周辺部分のセルの入力波形鈍りを、前
段セルの入力波形鈍りテーブルから前段セルに基づく負
荷容量をキーとして求め、上記変更部分及び上記周辺部
分のセルの遅延値を、当該セルの遅延値テーブルから入
力波形鈍りと当該セルの負荷容量とをキーとして求める
計算手段と、変更前の上記集積回路の各部分の遅延値を
格納したデータファイルの情報を上記計算された遅延値
の情報によって書き換えて出力するデータ書き換え手段
とを備えてなることを特徴としている。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】また、請求項2記載の発明は、遅延時間計
算プログラムを記録した記憶媒体に係り、請求項1記載
の集積回路の遅延時間計算装置に用いられるプログラム
を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっ
て、集積回路を構成する各部分の遅延時間を計算して該
集積回路の遅延値を求めた後に回路又はレイアウトの変
更があったとき、該変更前の論理回路の接続及びレイア
ウトの情報を格納したファイルの情報と変更後の論理回
路の接続及びレイアウトの情報を格納したファイルの情
報とから、該変更部分及び該変更によって遅延時間に影
響を受ける周辺部分を検出する第1のステップと、上記
変更部分及び上記周辺部分のセルの入力波形鈍りを、前
段セルの入力波形鈍りテーブルから前段セルに基づく負
荷容量をキーとして求め、上記変更部分及び上記周辺部
分のセルの遅延値を、当該セルの遅延値テーブルから入
力波形鈍りと当該セルの負荷容量とをキーとして求める
第2のステップと、変更前の上記集積回路の各部分の遅
延値を格納したデータファイルの情報を上記計算された
遅延値の情報によって書き換えて出力する第3のステッ
プとを実行するプログラムを記録したことを特徴として
いる。
【0015】
【0016】また、請求項3記載の発明は、請求項2記
載の遅延時間計算プログラムを記録した記憶媒体に係
り、前記第1のステップにおいて、前記集積回路を構成
する各部分の遅延時間を計算して該集積回路の遅延値デ
ータを求めた結果、該遅延値が前記集積回路の各部分又
は全体が超えないことを要求されている遅延制約を満た
さなかったとき、該遅延制約を満たさない原因となって
いる回路部分における回路素子の追加又は削除又は置換
を行い又は配線容量の変化を伴う配線長又は配線形状の
変更を行った後、該変更部分及び該変更を受けた回路素
子又は変更を受けた配線の両隣に接続されている回路素
子からなる周辺部分を求めることを特徴としている。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【作用】この発明の構成では、集積回路の遅延時間を計
算する際に、この集積回路の遅延値データを求めた後に
回路又はレイアウトの変更があったときは、変更前の論
理回路の接続及びレイアウトの情報と、変更後の論理回
路の接続及びレイアウトの情報とから、変更部分及びこ
の変更によって遅延時間に影響を受ける周辺部分を検出
し、検出された変更部分及び周辺部分の情報と、変更後
の論理回路の接続及びレイアウトの情報と、集積回路を
構成する各部の遅延値パラメータを格納したファイルの
情報とから、変更後の集積回路の遅延時間を計算して、
変更前の集積回路の遅延値を格納したデータファイルの
情報を計算された遅延値の情報によって書き換えて、変
更後の遅延値データファイルを生成するようにしたの
で、精度の高い遅延時間計算処理を行うことができると
ともに、遅延時間計算処理に必要な時間が短く、さら
に、遅延時間計算を行いたい変更部分の情報を、遅延時
間計算手段の外部から与えることが可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用い
て具体的に行なう。図1は、この発明の一実施例である
集積回路の遅延時間計算装置の電気的構成を示すブロッ
ク図、図2は、LSIにおける回路変更の具体例を示す
図、図3は、この装置における遅延値の計算手法を説明
するための図、図4は、この装置における入力波形鈍り
と遅延値の算出方法を説明するための図である。この例
の集積回路の遅延時間計算装置は、図1に示すように、
変更前の論理回路接続及びレイアウト情報1と、変更後
の論理回路接続及びレイアウト情報2と、変更部分及び
その周辺部分を検出する手段3と、変更部分及びその周
辺部分の情報4と、遅延パラメータライブラリファイル
5と、遅延時間計算手段6と、変更前の遅延値データフ
ァイル7と、遅延値データ書き換え手段8と、変更後の
遅延値データファイル9とから概略構成されている。
【0025】変更前の論理回路接続及びレイアウト情報
1は、LSIの特定の部分に変更があった以前の論理回
路の接続情報及び論理回路のレイアウトの情報を格納し
たファイルである。変更後の論理回路接続及びレイアウ
ト情報2は、LSIの特定の部分に変更があったとき
の、変更後の論理回路の接続情報及び論理回路のレイア
ウトの情報を格納したファイルである。変更部分及びそ
の周辺部分を検出する手段3は、変更前の論理回路接続
及びレイアウト情報1と、変更後の論理回路接続及びレ
イアウト情報2とを入力して、変更部分及びその変更に
よって遅延値が変化する周辺部分を検出して、それらの
情報を出力する。変更部分及びその周辺部分の情報4
は、検出された変更部分及びその周辺部分の情報を格納
するファイルである。遅延パラメータライブラリファイ
ル5は、LSIの遅延時間計算に必要な遅延パラメータ
のデータを格納したライブラリファイルである。遅延時
間計算手段6は、変更後の論理回路接続及びレイアウト
情報2と、変更部分及びその周辺部分の情報4と、遅延
パラメータライブラリファイル5の情報とから、変更部
分及びその変更によって遅延値が変化する周辺部分につ
いて遅延時間を計算する。変更前の遅延値データファイ
ル7は、LSIの特定の部分に変更があった以前のLS
Iの各部の遅延値データを格納したファイルである。遅
延値データ書き換え手段8は、変更前の遅延値データフ
ァイル7上の遅延値を、遅延時間計算手段6で計算され
た遅延値によって書き換えて出力する。変更後の遅延値
データファイル9は、書き換えられたLSI各部の遅延
値データを格納するファイルである。
【0026】次に、図1を参照して、この例の集積回路
の遅延時間計算装置の動作を説明する。この例におい
て、変更部分とは、変更された回路素子(論理素子)又
は配線を指す。また、ある部分の変更によって遅延値が
変化する周辺部分は、当該部分ごとに予め定められてお
り、例えば、変更部分に直接接続された配線及びこの配
線を介して接続された回路素子(論理素子)である。遅
延時間計算装置から、遅延値データが出力された後に、
LSIの特定の部分に回路変更又はレイアウト変更があ
った場合は、遅延時間計算装置に、変更前の論理回路接
続及びレイアウト情報1と、変更後の論理回路接続及び
レイアウト情報2とが入力された状態で、変更部分及び
その周辺部分を検出する手段3が、変更前後の回路接続
情報及び回路レイアウト情報から、変更部分及びその変
更によって遅延値が変化する周辺部分を検出して、それ
らの情報を変更部分及びその周辺部分の情報4へ出力す
る。そして遅延時間計算手段6が、変更部分及びその周
辺部分の情報4と、遅延パラメータライブラリファイル
5の情報によって、変更部分及びその変更によって遅延
値が変化する周辺部分について、遅延時間を計算する。
さらに、遅延値データ書き換え手段8が、変更前の遅延
値データファイル7上の変更部分及びその変更によって
遅延値が変化した周辺部分の遅延値データを、遅延時間
計算手段6で計算された遅延時間によって書き換えて、
変更後の遅延値データファイル9として出力する。
【0027】次に、この例による回路変更に基づく遅延
時間の計算の具体例を説明する。この例においては、L
SIの設計時に、回路の遅延計算をした後で、回路変更
またはレイアウトの変更があった場合、変更があったモ
ジュール全体の遅延時間を計算するのではなく、変更部
分及びその変更によって遅延値が変化する周辺部分のみ
について遅延値を計算する。例えば、図2(a)に示す
ような変更前のLSI10の中に、例えばバッファから
なるセルCL1,CL2,CL3,CL4が直列に接続
されている回路部分Aがあったとする。そして、このL
SI10に対し遅延シミュレーションを行った結果、こ
の回路部分Aが遅延制約を満たしていなかったとする。
そこで、遅延制約を満たすために、図2(b)に示すL
SI10’の回路部分A’のように、セルCL2とCL
3の間にバッファセルCL5を挿入した場合について、
本願発明の遅延時間計算方法を説明する。
【0028】ここで、本願発明で使用する遅延時間計算
モデルについて説明しておく。本願モデルでは、ある回
路の入力に変化があったとき、その変化が出力に現れる
までの時間をその回路の遅延時間Tdと定義する。そし
て、このTdの値はその回路の入力信号の入力波形鈍り
Trfと、その回路の出力端子に繋がれている負荷容量
CtBによってのみ決まると定義する。また、ある回路
に信号が入力されて、その信号に応答した出力信号の波
形鈍り(すなわち、次段の回路に対しては入力波形鈍り
Trfになる)は、その回路の出力端子に接続された負
荷容量CtBによってのみ決まるとする。かかるモデル
を使用すると、図2(b)に示すような回路変更があっ
たときは、セルCL5とその前段及び次段にそれぞれ接
続されているセルCL2,CL3についてのみ、遅延計
算を行えばよい。以降、図3及び図4を用いて、セルC
L2,CL5,CL3の遅延計算法を説明する。なお、
簡単化のために、ここでは、CL1〜CL5は、同じ種
類のバッファセルであると仮定して話を進める。
【0029】CL5がCL2とCL3の間に挿入された
ことにより、CL2の負荷容量を計算し直すとともに、
新らに追加したCL5 の負荷容量を求める必要がある。
この計算過程を示したのが図3(a),(b)である。
すなわち、セルCL2に着目した場合、図3(a)に示
すように、その出力側における容量は、セルCL2とセ
ルCL5との間の配線に基づく配線容量CLAと、セル
CL5の入力端子容量CiAとである。一方、セルCL
5に対しての出力側における容量は、セルCL5とセル
CL3との間の配線に基づく配線容量CLBと、セルC
L3の入力端子容量CiBである。これらは図3(b)
に示すように、セルCL2とセルCL5との間の全容量
CtAと、セルCL5とセルCL3との間の全容量Ct
Bとに集約して考えることができる。以下においては、
CtAを前段セルCL2の負荷容量と呼び、CtBを当
該セルCL5の負荷容量と呼ぶ。
【0030】まず、図3(c),(d)及び図4を用い
てセルCL5の遅延時間の計算法を説明する。実際の遅
延値の計算は、定式化された式を用いて計算するのでは
なく、図4に示すように、負荷容量CtA,CtB、入
力波形鈍りTrf、遅延時間Tdの関係を、実際の回路
から抽出したパラメータや回路シミュレーションを使用
して求めたパラメータを予めテーブルに格納しておき、
テーブルルックアップ手法を適用することによって行
う。具体的ステップを以下に示す。 (1)まず、入力波形鈍り(Trf)を計算する。 (a)前段セルCL2の負荷容量(CtA)を求める。 CtA=配線容量CLA+CL5の入力端子容量CiA (b)前段セルCL2の出力波形鈍りすなわちCL5の
入力波形鈍りをテーブル(一次元)(図4(a)参照)
から、前段セルの負荷容量をキーとして参照して求め
る。なお、このテーブルにない負荷容量に対応する入力
波形鈍りは、既存値から補間によって求められる。図4
(b)は、このテーブルの基となった、負荷容量と入力
波形鈍りとの関係を示すデータである。 (2)次にセルCL5の負荷容量(CtB)を求める。 CtB=配線容量CLB+次段セルCL3の入力端子容
量CiB (3)CL5のセル遅延値(Td)を、当該セルの遅延
値テーブル(二次元)(図4(c)参照)から、入力波
形鈍り(Trf)と当該セルの負荷容量(CtB)とを
キーとして参照して、遅延値(Td)を求める。なお、
このテーブルにない入力波形鈍りと負荷容量に対応する
遅延値は、既存値から補間によって求める。図4(d)
は、このテーブルの基となった、当該セルの負荷容量及
び入力波形鈍りと、当該セルの遅延値との関係を示すデ
ータである。以上により、新たに挿入したセルCL5の
遅延値が求まる。
【0031】次に、CL2について遅延値Tdを求め直
す方法を説明する。CL2の前段すなわちCL1の負荷
容量は変更を受けていないので求め直す必要はない。そ
の負荷容量をキーにして図4(a)のテーブルを参照し
て対応するTrfを求める。次に、求め直したCL2の
負荷容量CtAとTrfをキーにして図4(c)のテー
ブルを参照すればCL2の遅延時間Tdが求まる。上述
したのと同様のプロセスを経て、CL3の遅延時間も求
め直すことができる。このようにして、回路変更部、い
まの場合は追加セルCL5とその周辺回路CL2及びC
L3の遅延時間が求まる。図1に示された遅延値計算手
段6で、このようにして求めた各回路の遅延値を用い
て、遅延値データ書き換え手段8でそれぞれ対応する遅
延値を書き換える。 なお、CL1〜CL5を同じ種類
のバッファセルと仮定したので、CL2,CL3及びC
L5について同じ種類のテーブルを参照したが、セルの
種類毎すなわち回路構成は同じでも駆動能力の違うセル
毎にテーブルを予め用意したり、回路の種類毎すなわち
回路構成が違う回路毎にテーブルを用意しておき、セル
毎に対応するテーブルを参照できることは当然である。
【0032】以上においては、回路部分AにセルCL5
を追加した場合について説明したが、回路部分AのCL
2を種類の異なるバッファセルCL2’で置換した場合
についても上述と同様の方法を用いて、CL1,CL
2’,CL3の遅延計算を行えばよい。また、回路部分
AからCL3を削除したときは、CL2の負荷容量が変
わるのでCL2の負荷容量を上述の手順に従って求め直
した後、CL2とCL4について遅延値を計算し直せば
よい。この場合は、削除されたCL3が回路変更部に当
たり、CL2とCL4がその周辺回路に当たる。さら
に、回路部分Aにおいてレイアウトの変更があって、例
えばCL2とCL3の間の配線長又は配線形状が変化し
たときは、配線容量の変化によって、CL2の負荷容量
が変化し、従ってCL2の遅延時間が変化するととも
に、CL3の入力波形鈍りの変化によって、CL3の遅
延時間も変化する。この場合は、CL2とCL3間の配
線の変更によって、遅延時間に影響を受けた周辺回路
は、CL2とCL3である。
【0033】上述のように、変更を受けた回路部のみで
はなく、その周辺回路まで遅延時間を計算し直している
ので、精度の高い遅延時間計算処理を行うことができる
とともに、変更が必要なところのみしか計算し直さない
ので処理時間を短くできる。さらに、遅延時間計算を行
いたい変更部分の情報を、遅延時間計算手段の外部から
与えることが可能である。
【0034】以上、この発明の実施例を図面により詳述
してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られたもの
ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があってもこの発明に含まれる。例えば、遅延時間
計算の対象となるセルは、バッファに限らず、ゲート又
はその他の素子であってもよい。また、変更部分は、モ
ジュール内の一部の回路又は配線に限らず、当該モジュ
ール全体であってもよい。この例の遅延時間計算装置
は、その全部または一部がハードウエア構成であるとソ
フトウエア構成であるとを問わない。この例の遅延時間
計算装置の全部又は一部がCPU(中央処理装置)と、
ROMやRAM等の内部記憶装置と、FDD(フレキシ
ブルディスクドライバ)、HDD(ハードディスクドラ
イバ)、CD−ROMドライバ等の外部記憶装置と、キ
ーボードやマウス等の入力装置と、表示装置とを有する
コンピュータによって構成されている態様が好ましく、
この場合、FD(フレキシブルディスク)やHD(ハー
ドディスク)やCD−ROM等の記録媒体には、上述の
実施例の処理をコンピュータに実行させる遅延時間計算
プログラムが記録されている態様が好ましい。記録媒体
は、半導体メモリその他の記録媒体でもよい。このよう
な構成において、遅延時間計算プログラムは、記録媒体
からコンピュータに読み込まれてコンピュータの動作を
制御し、コンピュータは、遅延時間計算プログラムが稼
動すると、上述の遅延時間計算装置の機能を実行する。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、LSI設計のための遅延時間計算システムにおい
て、遅延値データ出力後に、回路変更またはレイアウト
の変更があった場合、変更部分のみでなく、その変更に
より遅延値が変化する周辺部分についても、遅延時間計
算を行うので、LSIの回路変更またはレイアウト変更
後の遅延時間計算を、精度高く処理できるとともに、L
SIの回路全体でなく、回路変更またはレイアウトの変
更があった部分、及びその変更によって遅延値が変化す
る周辺部分のみについて、遅延時間の計算を行うので、
遅延時間計算を高速に処理できる。さらに回路変更処理
と遅延時間計算処理とが分離しているので、遅延時間計
算を行いたい変更部分の情報を、遅延時間計算装置の外
部から与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である集積回路の遅延時間
計算装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】LSIにおける回路変更の具体例を示す図であ
る。
【図3】この装置における遅延値の計算手法を説明する
ための図である。
【図4】この装置における入力波形鈍りと遅延値の算出
方法を説明するための説明図である。
【図5】第1の従来例の集積回路の遅延時間計算装置の
システム構成を示すブロック図である。
【図6】第2の従来例の集積回路の遅延時間計算装置の
システム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 変更前の論理回路接続及びレイアウト情報 2 変更後の論理回路接続及びレイアウト情報 3 変更部分及びその周辺部分を検出する手段(検
出手段) 4 変更部分及びその周辺部分の情報 5 遅延パラメータライブラリファイル(パラメー
タファイル) 6 遅延時間計算手段(計算手段) 7 変更前の遅延値データファイル(データファイ
ル) 8 遅延値データ書き換え手段(データ書き換え手
段) 9 変更後の遅延値データファイル(データファイ
ル)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−296173(JP,A) 特開 平3−91870(JP,A) 特開 平4−337870(JP,A) 特開 平6−348777(JP,A) 特開 平7−182392(JP,A) 特開 平10−32254(JP,A) 特開 平10−92938(JP,A) 特開 平10−187779(JP,A) 特開 平11−8308(JP,A) 特開 平11−85820(JP,A) 特開 平11−102378(JP,A) 特開 平11−161693(JP,A) 特開 平7−200642(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 17/50 674 G06F 17/50 668

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集積回路を構成する各部分の遅延時間を
    計算して該集積回路の遅延値を求めた後に回路又はレイ
    アウトの変更があったとき、該変更前の論理回路の接続
    及びレイアウトの情報と変更後の論理回路の接続及びレ
    イアウトの情報とから、該変更部分及び該変更によって
    遅延時間に影響を受ける周辺部分を検出する検出手段
    と、 前記変更部分及び前記周辺部分のセルの入力波形鈍り
    を、前段セルの入力波形鈍りテーブルから前段セルに基
    づく負荷容量をキーとして求め、前記変更部分及び前記
    周辺部分のセルの遅延値を、当該セルの遅延値テーブル
    から入力波形鈍りと当該セルの負荷容量とをキーとして
    求める計算手段と、 変更前の前記集積回路の各部分の遅延値を格納したデー
    タファイルの情報を前記計算された遅延値の情報によっ
    て書き換えて出力するデータ書き換え手段とを備えてな
    ることを特徴とする集積回路の遅延時間計算装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の集積回路の遅延時間計算
    装置に用いられるプログラムを記録したコンピュータ読
    み取り可能な記録媒体であって、集積回路を構成する各
    部分の遅延時間を計算して該集積回路の遅延値を求めた
    後に回路又はレイアウトの変更があったとき、該変更前
    の論理回路の接続及びレイアウトの情報を格納したファ
    イルの情報と変更後の論理回路の接続及びレイアウトの
    情報を格納したファイルの情報とから、該変更部分及び
    該変更によって遅延時間に影響を受ける周辺部分を検出
    する第1のステップと、前記変更部分及び前記周辺部分
    のセルの入力波形鈍りを、前段セルの入力波形鈍りテー
    ブルから前段セルに基づく負荷容量をキーとして求め、
    前記変更部分及び前記周辺部分のセルの遅延値を、当該
    セルの遅延値テーブルから入力波形鈍りと当該セルの負
    荷容量とをキーとして求める第2のステップと、変更前
    の前記集積回路の各部分の遅延値を格納したデータファ
    イルの情報を前記計算された遅延値の情報によって書き
    換えて出力する第3のステップとを実行するプログラム
    を記録したことを特徴とする遅延時間計算プログラムを
    記録した記憶媒体。
  3. 【請求項3】 前記第1のステップにおいて、前記集積
    回路を構成する各部分の遅延時間を計算して該集積回路
    の遅延値データを求めた結果、該遅延値が前記集積回路
    の各部分又は全体が超えないことを要求されている遅延
    制約を満たさなかったとき、該遅延制約を満たさない原
    因となっている回路部分における回路素子の追加又は削
    除又は置換を行い又は配線容量の変化を伴う配線長又は
    配線形状の変更を行った後、該変更部分及び該変更を受
    けた回路素子又は変更を受けた配線の両隣に接続されて
    いる回路素子からなる周辺部分を求めることを特徴とす
    る請求項2記載の遅延時間計算プログラムを記録した記
    憶媒体。
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